特許第6118087号(P6118087)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6118087
(24)【登録日】2017年3月31日
(45)【発行日】2017年4月19日
(54)【発明の名称】吸収性物品及び吸収性本体保持カバー
(51)【国際特許分類】
   A61F 13/49 20060101AFI20170410BHJP
   A61F 13/51 20060101ALI20170410BHJP
   A61F 13/532 20060101ALI20170410BHJP
【FI】
   A61F13/49 312A
   A61F13/49 311A
   A61F13/51
   A61F13/49 413
   A61F13/532 200
【請求項の数】5
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2012-264756(P2012-264756)
(22)【出願日】2012年12月3日
(65)【公開番号】特開2014-108294(P2014-108294A)
(43)【公開日】2014年6月12日
【審査請求日】2015年9月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100076439
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 敏三
(74)【代理人】
【識別番号】100164345
【弁理士】
【氏名又は名称】後藤 隆
(72)【発明者】
【氏名】宮村 猛史
(72)【発明者】
【氏名】田中 あづさ
(72)【発明者】
【氏名】南岡 政宏
(72)【発明者】
【氏名】松井 学
【審査官】 北村 龍平
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−023116(JP,A)
【文献】 特開2007−312951(JP,A)
【文献】 欧州特許出願公開第02022453(EP,A1)
【文献】 特開2012−139247(JP,A)
【文献】 国際公開第2008/069280(WO,A1)
【文献】 特開2008−228760(JP,A)
【文献】 特表平08−510940(JP,A)
【文献】 特開2003−290280(JP,A)
【文献】 特開2011−019730(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 13/15 − 13/84
A61L 15/16 − 15/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外装体とその肌面側に配される吸収性本体とを備え、前記外装体が、着用者の腹側に配される腹側部、着用者の背側に配される背側部、及び該腹側部と背側部との間に位置する股下部を有する吸収性物品であって、
前記外装体は、前記腹側部及び前記背側部に、着用者の胴回り方向に伸縮可能な伸縮性シートと該伸縮性シートが伸長状態で接合された非伸縮性シートとを有し、前記伸縮性シートと前記非伸縮性シートとは、前記外装体の幅方向に5cm以上の長さを有し身丈方向に間隔をおいて複数条配設された帯状接合部によって接合されており、
前記外装体は、外側シートと内側シートとを積層してなり、
前記内側シートは、前記非伸縮性シートを前記腹側部から前記股下部を介し前記背側部に亘る全面に配してなり、
前記外側シートは、前記伸縮性シートを前記腹側部及び前記背側部とし、伸長状態の該伸縮性シートと前記股下部に配される非伸縮性の股下シートの端部とを一部重ね貼り合わせた複合シートからなり、前記貼り合わせ部分は、前記帯状接合部間の、前記外側シートの伸縮性シートと前記内側シートの非伸縮性シートとが非接合とされた領域のうち最も股下部寄りにあるものよりも股下部寄りに配されている吸収性物品。
【請求項2】
外装体とその肌面側に配される吸収性本体とを備え、前記外装体が、着用者の腹側に配される腹側部、着用者の背側に配される背側部、及び該腹側部と背側部との間に位置する股下部を有する吸収性物品であって、
前記外装体は、前記腹側部及び前記背側部に、着用者の胴回り方向に伸縮可能な伸縮性シートと該伸縮性シートが伸長状態で接合された非伸縮性シートとを有し、前記伸縮性シートと前記非伸縮性シートとは、前記外装体の幅方向に5cm以上の長さを有し身丈方向に間隔をおいて複数条配設された帯状接合部によって接合されており、
前記吸収性本体は、その端部において前記外装体の前記腹側部及び前記背側部と胴回り方向に接合されており、
前記吸収性本体と前記外装体との端部接合部と、前記外装体における前記伸縮性シートと前記非伸縮性シートとの帯状接合部とが、胴回り方向に沿って厚み方向で重なる配置とされている吸収性物品。
【請求項3】
前記吸収性本体は内部に液保持性の吸収性コアを備え、該吸収性コアの一部が前記伸縮性シートと厚み方向で重なる配置とされており、該重なり部分で、前記吸収性コアは、坪量が低い部分、凹部及び部材を欠く空隙部の何れか1つ以上を有する請求項1又は2に記載の吸収性物品。
【請求項4】
前記坪量が低い部分、凹部又は前記空隙部が、前記伸縮性シートに重なる前記吸収性コアの端部に配されている請求項記載の吸収性物品。
【請求項5】
着用者の腹側に配される腹側部、着用者の背側に配される背側部、及び該腹側部と背側部との間に位置する股下部を有する外装体を備え、別体の吸収性本体と組み合わせて用いられる吸収性本体保持カバーであって、
前記外装体は、前記腹側部及び前記背側部に、着用者の胴回り方向に伸縮可能な伸縮性シートと該伸縮性シートが伸長状態で接合された非伸縮性シートを有し、前記伸縮性シートと前記非伸縮性シートとは、前記外装体の幅方向に5cm以上の長さを有した複数条の帯状接合部によって身丈方向に間隔をおいて接合されており、
前記外装体は、外側シートと内側シートとを積層してなり、
前記内側シートは、前記非伸縮性シートを前記腹側部から前記股下部を介し前記背側部に亘る全面に配してなり、
前記外側シートは、前記伸縮性シートを前記腹側部及び前記背側部とし、伸長状態の該伸縮性シートと前記股下部に配される非伸縮性の股下シートの端部とを一部重ね貼り合わせた複合シートからなり、前記貼り合わせ部分は、前記帯状接合部間の、前記外側シートの伸縮性シートと前記内側シートの非伸縮性シートとが非接合とされた領域のうち最も股下部寄りにあるものよりも股下部寄りに配されている吸収本体保持カバー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸収性物品及び吸収性本体保持カバーに関する。
【背景技術】
【0002】
使い捨ておむつ等の吸収性物品や、吸収パッドを肌面側に配置して用いるおむつカバーなどにおいては、その胴回り部分に伸縮力を付与し、該おむつやおむつカバー等を着用者の腰回りに固定させている。伸縮力を付与する方法として弾性部材を配したものがある。しかし弾性部材が存在する部位にその収縮力が集中し、肌への締め付けとなる場合もある。
これを回避するため、伸縮性シートを用いて前記胴回り部分を形成したものがある。例えば、特許文献1には、ウエスト域をなす第1および第2のシートのいずれかが胴回り方向に伸縮弾性を有し、両シートを第1接合部と第2接合部とで接合した着用物品が開示されている。この第1接合部及び第2接合部はそれぞれ、前記第2シートの上下端縁部において胴回り方向に複数間欠配置とされている。この上下端縁部以外では両シートが非接合とされている。
また、特許文献2には、ウエスト域が胴回り方向に伸縮性を有する伸縮性シートと非伸縮性シートの2層からなり、両シート間を接合幅の異なる第1接合ラインと第2接合ラインとで接合された使い捨ておむつが開示されている。この第1接合ライン及び第2接合ラインは共に縦方向に連続してなり、該接合ラインを胴回り方向に複数条ストライプ状に配している。つまり、接合ラインは、胴回り方向には間欠配置とされている。
さらに、特許文献3には、伸縮性不織布と非伸縮性不織布とからなる複合シートを用いて胴回り方向に伸縮性を持たせた使い捨ておむつが開示されている。両不織布の接合部は、図1及び2に示されるように、所定幅の帯状として伸縮性不織布の伸長方向と直交する方向に向けて、伸縮性不織布の伸長方向に複数条間隔を置いて配設されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−227153号公報
【特許文献2】特開2010−233885号公報
【特許文献3】国際公開第2008/066009号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記特許文献1の着用物品では、接合部が胴回りの伸縮方向に間欠配置となり、非接合の領域が伸縮方向に点在する。このような接合では、伸縮方向に対し両シートの接合を点で支えることとなり、シートの破れや型崩れを生じかねない。これを補おうと前記接合部の接合強度を高めるとこの部分の剛性が高まり肌への擦れとなって好ましくない。さらに第2シートの上下端部以外の広い面領域で両シートが非接合であるため、一方のシートの伸縮弾性が他方のシートに伝わり難い。これにより各シートの動きにズレが生じ易く、おむつの胴回り部分全体の着用者の身体へのフィット性が損なわれかねない。
また特許文献2及び3の使い捨ておむつでは、接合部が胴回りの伸縮方向に間欠配置となり、非接合の領域が伸縮方向に点在する。この場合も、伸縮方向に対しては両シートの接合を点で支えることとなり、シートの破れや型崩れを生じかねない。
【0005】
本発明は、上記の観点に鑑み、胴回りの伸縮方向に対して優れた伸縮性と高い接合強度とを両立する吸収性物品及び吸収性本体保持カバーに関する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、外装体とその肌面側に配される吸収性本体とを備え、前記外装体が、着用者の腹側に配される腹側部、着用者の背側に配される背側部、及び該腹側部と背側部との間に位置する股下部を有する吸収性物品であって、前記外装体は、前記腹側部及び前記背側部に、着用者の胴回り方向に伸縮可能な伸縮性シートと該伸縮性シートが伸長状態で接合された非伸縮性シートとを有し、前記伸縮性シートと前記非伸縮性シートとは、胴回り方向に連続し身丈方向に間隔をおいて複数条配設された帯状接合部によって接合されている吸収性物品を提供する。
【発明の効果】
【0007】
本発明の吸収性物品及び吸収性本体保持カバーは、胴回りの伸縮方向に対して優れた伸縮性と高い接合強度とを両立することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の吸収性物品の好ましい一実施形態(第1実施形態)としてのパンツ型使い捨ておむつ10を概ね着用状態の形状として模式的に示した斜視図である。
図2図1に示すパンツ型おむつを展開し伸張した状態を肌面側から模式的に示す一部切欠展開平面図である。
図3図2に示すパンツ型使い捨ておむつの外装体を構成する各シートと吸収性本体とを分離して示す平面図であり、(A)は外側シートの肌面側を示し、(B)は内側シートの肌面側を示し、(C)は吸収性本体の非肌面側を示す。
図4】(A)は図2のA―A線断面を拡大して示す断面図であり、(B)は図2のB―B線断面を拡大して示す断面図である。
図5】接合部の変形例を模式的に示す説明図である。
図6】本発明の吸収性物品の第2実施形態としてのパンツ型使い捨ておむつの外装体を展開し伸長した状態を肌面側から模式的に示す平面図であり、(A)は外層シートの肌面側を示し、(B)は内側シートの肌面側を示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の吸収性物品の好ましい実施形態としてのパンツ型使い捨ておむつについて、図面を参照しながら以下に説明する。
図1及び2に示すように、本実施形態のパンツ型使い捨ておむつ10は、外装材2とその肌面に配される吸収性本体3とを備えている。外装体2は、おむつ10の外形をなし、着用者の腹側に配される腹側部F、着用者の背側に配される背側部R、及び腹側部Fと背側部Rとの間に位置する股下部Cを有する。腹側部Fと背側部Rとが股下部Cを折り返し軸として相対され、両側のサイドシール部11,11で接合されて環状の胴回り部Dをなす。これにより、おむつ10は、胴回り部Dの上端が開放されたウエスト開口部12と、胴回り部Dの下方の股下部Cの両側が開放された一対のレッグ開口部13,13とを有する。サイドシール部11は、ヒートシール、超音波シール等の任意の方法により形成される。
【0010】
本発明において、特に断らない限り、人体に接触する側を肌面側ないし肌当接面側あるいは表面側といい、これと反対側を非肌面側ないし非肌当接面側あるいは裏面側という。着用時に人体の前側に位置する方向を前方といいその端部を前端部とし、後側に位置する方向を後方といいその端部を後端部として説明する。吸収性物品の表面又は裏面の法線方向を厚み方向といいその量を厚みという。
【0011】
おむつ10をサイドシール部11,11で破断して展開した形状は、図2に示すとおり、その長手方向(Y方向)に腹側部F、股下部C及び背側部Rに区分される。外装体2は、その長手方向の中央の両側縁が幅方向(X方向)内方に括れた略砂時計形状である。なお、展開した状態で示される幅方向(X方向)は、図1のパンツ型使い捨ておむつ10に組み立てられた状態で、着用者の胴回り方向に一致する。また展開した状態で示される長手方向(Y方向)は、図1のパンツ型使い捨ておむつ10に組み立てられた状態で、股下部F及び背側部Rでは着用者の身丈方向、つまりおむつ10の上下方向に一致し、股下部Cでは着用者の股下を介して腹側から背側へと繋がる前後方向に一致する。
【0012】
吸収性本体3は、外装体2の肌面側において、その長手方向をおむつの長手方向(Y方向)に向け、外装体3の股下部Cを中心に腹側部F及び背側部Rへ亘って配設され接合されている。その接合部分は、図3(C)に示されるように、吸収性本体3の非肌当接面側の腹側部32A、背側端部32B、側縁部32C及び32Dと外装体2の肌当接面側とである。接合方法としては、例えば接着剤、ヒートシール、超音波シール等による方法が用いられる。
【0013】
吸収性本体3は、構成部材として、液透過性の表面シート31、撥水性の裏面シート32及び両シート間に介在配置される吸収性コア33を有する。さらに表面シート31の肌当接面側の両側部には、サイドシート34が吸収性本体3の長手方向に沿うように配されている。サイドシート34は表面シート31の幅方向外方に延出してその非肌当接面側に捲き下げられ、吸収性コア33と裏面シート32との間又は裏面シート32の非肌当接面側に接合固定されている。吸収性コア33は、平面視において股下部Cに位置する部分に括れ部を有し、かつ、背側部Rへ向かうにつれ複数に枝分かれした形状を有する。なお、本発明において、吸収性コア33の形状は本実施形態のものに限定されるものではなく、長方形や砂時計状、その他の形状など、使用目的等により任意に設定できる。
【0014】
外装体2は、部材の厚み方向に見て、外側シート21と内側シート25とを積層して形成されている。内側シート25は、外装体2の肌当接面側に位置し、1枚の非伸縮性シート26を腹側部F、股下部C及び背側部Rに亘る全面に配してなるものである(図3(B)参照)。外側シート21は、外装体2の非肌当接面側に位置し、着用者の胴回り方向、すなわち外装体2の幅方向(X方向)に伸縮性を有する伸縮性シート22と非伸縮性の股下シート23とからなる(図3(A)参照)。具体的には、伸縮性シート22,22を腹側部F及び背側部Rとし、伸縮性シート22,22を伸長状態にして股下部Cに配される股下シート23の端部と一部重ね貼り合わせて形成されている。つまり、外側シート21は、長手方向(Y方向)に、伸縮性シート22、股下シート23及び伸縮性シート22の順に組み合わされた複合シートである。なお、この伸縮性シート22と股下シート23の前後端とが重ねられ貼り合わされた部分を、貼り合わせ部24と称する。おむつ10の股下部C両側には、外側シート21と内側シート25との間にレッグギャザー形成用弾性部材27が伸長状態で配置固定されている。これによりレッグ開口部13の周囲にレッグギャザーが形成され、おむつ10が着用者の足回りに密着できるようにされている。なお、図3(A)においては、レッグギャザー形成用弾性部材27を便宜的に外側シート21の肌面側に示しているが、実際は、外側シート21及び内側シート25の間に介在され接合される。
【0015】
また、外側シート21の腹側部F及び背側部Rをなす伸縮性シート22,22は、ウエスト開口部12の開口端縁12Aから肌当接面側へと折り返されて内側シート25と接合された折り返し部22E,22Eを有する。この部分は、非伸縮性の内層シート25を介して伸縮性の外層シート21が二重に積層され、この部分の伸縮性が他の部分よりも高くされている。これにより、開口端縁12Aが肌にフィットし易く肌との隙間を生じ難い。この折り返し部22Eは、本実施形態のように開口端縁12A近傍に配置される場合に限らず、吸収性本体3の端縁にまで伸びてもよい。また、折り返し部22Eと外装シート21又は内層シート25との間に弾性部材を配してもよい。あるいは折り返し部がない態様であってもよい。
【0016】
前述の伸縮性シート22の「伸縮性」とは、少なくとも1方向の最大伸度が100%(元のシート長からその100%分伸長した状態=元のシート長の2倍)以上であり、その最大伸度が100%以上である1方向に伸度100%迄伸長させた後、収縮させたときの伸長回復率(100%伸長時の伸長回復率)が、少なくとも70%以上であることを意味する。最大伸度が100%以上である方向を複数有する伸縮性シートの場合、そのうちの何れか1方向のみにおいて伸長回復率が70%以上であればよい。
伸縮性シート22は、幅方向(X方向)においては、大きく伸長し且つ伸長後に収縮する(最大伸度100%以上且つ伸長回復率70%以上)が、長手方向(Y方向)においては、わずかにしか伸長しない(例えば、最大伸度50%以下)。
【0017】
伸縮性シートの伸長回復率は、以下の測定方法により測定される。
(伸長回復率の測定方法)
長さ50mm、幅25mmの伸縮性シートのサンプル片を用意し、引っ張り試験機(株式会社オリエンテックの「テンシロン」RTC−1210A)を用いて、チャック間隔K0にサンプル片を固定し、300mm/minの速度で100%伸長時の長さK2(K2=K0×2)まで伸長させた後、引張速度と同様の速度で戻し始めて応力が0になった時におけるサンプル片の長さを伸長回復後の長さK1とする。次式から100%伸長時の伸長回復率を算出する。
100%伸長時の伸長回復率(%)=〔(K2−K1)/(K2−K0)〕×100
【0018】
非伸縮性シート26の「非伸縮性」とは、前記〔伸長回復率の測定方法〕により測定した伸長回復率(%)が20%以下のシート、もしくは100%伸長する前に破断するシートをいう。非伸縮性シート26は、伸長性を有しても有していなくてもよいが、最大伸度が90%以下であることが好ましい。
【0019】
胴回り部Dをなす腹側部F及び背側部Rにおいて、図2〜4に示されるように、伸縮性シート22と非伸縮性シート26とが、胴回り方向に連続し身丈方向に間隔をおいて複数条配設された帯状接合部5によって接合されている。このとき、伸縮性シート22は伸長状態で非伸縮性シート26と接合されている。本実施形態においては、帯状接合部5は、折り返し部22Eの下方に、4条(5A,5B,5C,5D)が配設されている。この帯状接合部5によって伸縮性シート22及び非伸縮性シート26が接合され一体化された領域を接合領域6(6A,6B,6C,6D)という。なお、帯状接合部5は、ホットメルト接着剤などの任意の接着剤を用いて伸縮シート22又は非伸縮性シート26のいずれか又は両方に塗布して形成することができる。図3(A)においては、帯状接合部5(5A,5B,5C,5D)を便宜的に外側シート21の肌面側に示している。一方、接合領域6同士に挟まれた領域は、伸縮性シート22と非伸縮性シート26とが非接合とされ、両シートが部分的に浮いた状態とされた非接合領域7である。非接合領域7は、本実施形態においては3条(7A,7B,7C)が配されている。
【0020】
帯状接合部5は、外装体2の伸縮方向に一致する接合帯をなしている。また帯状接合部5は、腹側部F及び背側部Rを併せた胴回り部Dでその周方向に環状の接合帯をなしている。この帯状接合部5の配された接合領域6では、伸縮性シート22の周方向の伸長及び収縮に対し、非伸縮性シート26がしっかりと追従し、両シート間の剥離が生じ難い。つまり、複数条の帯状の帯状接合部5により胴回り部Dの接合強度が高められている。この接合強度は、伸縮方向に直交する長手方向(Y方向)に連続した接合部では得られない。
また、この部分で伸縮性シート22の収縮が肌面側の非伸縮性シート26にしっかりと伝わる。これにより接合領域6は、胴回りB部Dの肌面側で環状の収縮力を発揮する。この収縮力が着用者の胴回りへの固定力となる。
さらに接合領域6では、2枚のシート間の接合力により、胴回り部Dの身丈方向に働く力を胴回りの周方向に伝播させる。このような力としては、例えば、おむつ10を穿くときの開口端縁12A付近を持って引き上げる力などが挙げられる。この引き上げ力が、身丈方向から接合領域6に沿って幅方向に転換し、胴回り部Dの周方向に均等に広がる。また力の一部がさらに下方へと伝わると、非接合領域7で適度に緩和しながら、複数の接合領域6で横方向に広がり、胴回り部D全体を引き上げる力となる。これにより、胴回り部Dにかかる力が局所的に集中せずに破れが生じ難くなる。この観点から、帯状接合部5は、両側のサイドシール部11,11を繋いて腹側部F及び背側部Rの幅方向(X方向)全体に配設されることが好ましい。サイドシール部11は、外装体2の腹側部F及び背側部Rを接合し胴回り部Dの形状とする要であるため、これを帯状接合部5が幅方向(X方向)に横断して繋ぐことでさらに胴回り部D全体に力を伝えることができる。
【0021】
帯状接合部5の連続とは、各帯状接合部5がそれぞれ、腹側部F及び背側部Rの全幅域に亘って形成される場合に限らず、上記の作用を奏し得る所定の幅方向(X方向)長さで形成される場合を含む意味である。その所定の幅方向(X方向)長さは、5cm以上が好ましく、8cm以上がより好ましい。各帯状接合部5が腹側部F及び背側部Rの全幅域より短い場合、例えば図5に示すように、各帯状接合部5がそれぞれ長手方向(X方向)に一部重なって、全体として幅方向(X方向)に接合の切れ目がないように配設されていることが好ましい。これにより、接合部全体として胴回り方向に連続することとなる。また、長手方向(Y方向)に連続した非接合の領域が形成されないので、伸縮性シート22の伸縮によるシートの破れ起点が無く好ましい。
【0022】
一方、非接合領域7では、伸縮性シート22の伸縮力が非伸縮性シート26の拘束を受けない。つまり非接合領域7は、接合領域6に比して、伸縮力が高くされている。この非接合領域7は、腹側部F及び背側部Rを併せた胴回り部Dで環状をなし、胴回り方向への高い伸縮力を発揮する。また、非接合領域7が接合領域6に接しかつこれに沿って胴回り方向(X方向)に連続して形成されている。これにより、非接合領域7の伸縮性シート22の伸縮につられ、場合によってはこれに遅行しながら、接合領域6が伸縮する。このようにして、複数条の非接合領域7が複数条の接合領域5を伴って伸縮し胴回り部D全体の周方向の伸縮性を高める。
【0023】
さらに、胴回り部Dにおいて内側から外側へ押し出す力が生じると、非接合領域7の伸縮性シート22は、サイドシール部11を伸縮の基底として非伸縮性シート26以上に伸長する。つまり、非接合領域7は、胴回り部Dの肌面側で環状の伸長力を発揮する。このような力として、例えば、お腹回りなどの膨らみで部分的に押し広げる力などが挙げられる。このような力では、内側シート25よりも外側シート21の方がより大きな伸長を要する。この点、外側にある複数条の非接合領域7の伸縮性シート22が、内側からの力に応じて、非伸縮性シート26による変形以上に外側に伸長する。これに伴い、前述と同様に接合領域6もつられて伸長する。これにより、たとえば、お腹回りが大きな着用者の場合でも、胴回り部Dが着用者の身体に追従して余計な締め付けなく優しく固定される。また着用中でも、空腹時のお腹のへこみ、反対に満腹時のお腹のふくらみに併せて複数条の非接合領域7の伸縮性シート22が柔軟に伸縮して追従する。また呼吸による腹部の動きにも伸縮性シート22が追従する。しかも、伸縮性シート22の収縮力は、非接合の非伸縮性シート26を介して間接的に肌へと伝わるので、接合領域6における収縮力の伝達に比べ当たりが柔らかい。この複数の非接合領域7の存在により、胴回り部D全体の肌への締め付けを軽減する。
【0024】
加えて、非接合領域7では、シート間の接合による剛性の高まりがなく、この部分で着用者の肌に柔らかな感触を与える。またその外側も柔らかな風合いとなる。さらに、非接合領域7では、両シートの繊維間の空間が保持されているので空気の通り道が確保され、胴回り部Dは通気性ないし透湿性に優れる。またシート間の浮きによる保温作用も可能となる。
さらに非接合領域7では、伸縮性シート22と非伸縮性シート26とが伸縮方向の全体に亘って浮いた状態であり、襞を生じる基点となる接合がこの領域にない。そのため大きな襞や皺が生じ難い。一方、これに隣接する接合領域6では、伸縮方向に帯状に帯状接合部5が形成されているので、伸縮性シート22の収縮による襞は、長手方向(Y方向)に短く、細かなものとなる。これは、長手方向に列をなす接合部によって生じる大きな長手方向の襞とは異なり、胴回り部Dの嵩高さを低減する。
【0025】
以上のようにして、おむつ10は、伸縮力が互いに異なる接合領域6と非接合領域7との相互作用により、胴回り部Dを着用者の体形変化に柔らかく追従させ優しくフィットさせることができる。これにより、おむつ10は着用者の身体に好適に固定される。これにより、着用者の様々な動きに追従しておむつ10と着用者の胴回りとの間の隙間を生じ難くし、そこからの液漏れを防止することができる。
また胴回り部Dの柔軟な伸縮にあたり、接合領域6と非接合領域7との相互作用で、胴回り部Dにかかる力の局所的な集中が軽減される。これによりおむつ10は破れや型崩れなどを生じ難い。つまり、おむつ10は、接合面積を低減させたにも係らず、高い製品強度を有する。特に、おむつ10を穿く際、過度の荷重なく足元から容易に引き上げることができる。具体的には、前述の優れた伸縮力で、容易に胴回り部Dを大きく伸長させてウエスト開口部12を大きく開き、そこから両足を引っ掛かりなく容易にレッグ開口部13に通すことができる。そして、前述のように、引き上げ力を効率よく胴回り部Dの全体に伝達して、おむつ10を大腿部から股下、胴回りへと容易に引き上げることができる。このように過度な力を加えずに、小さな力で良好におむつ10を装着できる。これにより、おむつ10の破れや型崩れを回避できる。
【0026】
このように、おむつ10は、高い接合強度と優れた伸縮性の両立を達成し、良好な装着感が得られる。しかも、前述の胴回り部の嵩高さの低減により、おむつ10の外側は襞が小さく見た目がすっきりとしたものとなる。これによりおむつ10は、下着のようにして着用できズボン等の着衣を着ても外見に違和感がない。またおむつ10は、前記の接合面積の低減で胴回り部Dの剛性を抑えて肌触りが柔らかく通気性に優れる。このようなおむつは、胴回り方向の接合領域6及び非接合領域7の本数や種々のサイズ調整によって着用者の体形やおむつの大きさ等に応じた好適なおむつとすることができる。
この観点から、接合領域6の身丈方向(Y方向)の長さ(H1)の非接合領域7の長手方向(Y方向)の長さ(H2)に対する比(H1/H2)は、0.1以上が好ましく、0.3以上がより好ましい。そして、5以下が好ましく、3以下がより好ましい。また腹側部F及び背側部Rを合わせた、接合領域6の面積(M1)の非接合領域7の面積(M2)に対する比(M1/M2)は、0.05以上が好ましく、0.2以上がより好ましい。そして、10以下が好ましく、5以下がより好ましい。
伸縮性とおむつの形状保持の両立のため、接合領域の伸縮方向への剥離強度は5cN/25mm以上が好ましく、10cN/25mm以上がより好ましい。
【0027】
このような作用を奏する限り、伸縮性シート22及び非伸縮性シート26の配置は、本実施形態のものに限定されない。例えば、伸縮性シート22が外側シート21の全体を形成するようにしてもよく、その場合、接合領域6と非接合領域7とを外装体2全体に亘って形成するようにしてもよい。また、伸縮性シート22を内側シート25とし、非伸縮性シート26を外側シート21としてもよい。
【0028】
本実施形態のおむつ10において、図3及び4に示されるように、外側シート21は貼り合わせ部24を有する。貼り合わせ部24は、前述のとおり、胴回り部Dに伸縮性を付付与する伸縮性シート22,22と股下部Cに配される非伸縮性の股下シート23との連結部分である。このような異なる部材を貼り合わせた構造とすることで、胴回り部Dの伸縮性でおむつ10を着用者の身体に固定し、かつ股下部Cを非伸縮として着用者の股下付近など柔らかな部分の締め付けを回避し良好な着用感を得ることができる。しかも、排泄液を最も多く受ける股下部Cを非伸縮とすることで吸収性本体をよれさせず、しっかりと液を吸収保持して横漏れを防ぐことができる。
一方、この貼り合わせ部24は、伸縮性シート22が股下シート23に接合されて伸縮性が制限されている部分である。この貼り合わせ部24は、外装体2のシート積層からなる接合領域6及び非接合領域7による作用を阻害しないよう、これらよりも股下部C側にあることが好ましい。より具体的には、非接合領域7Cよりも股下部C側にあることが好ましい。また、胴回り部の両側縁をなすサイドシール部11,11の下端線よりも股下部C側にあることがさらに好ましい。
【0029】
外装体2の腹側部F及び背側部Rには、吸収性本体3の一部が積層され接合されている。特に、図4に示されるように、吸収性本体3の腹側端部32A、背側端部32Bが、腹側部F及び背側部Rの肌当接面側で胴回り方向に沿って接合されている(この両部材の接合部分を端部接合部38A及び38Bという。)。この端部接合部38A及び38Bは、外装体2におる伸縮性シート22と非伸縮性シート26との帯状接合部5と胴回り方向に沿って厚み方向で重なる配置であることが好ましい。これにより、外装体2の非接合領域7の胴回り方向の伸縮性を阻害しないようにすることができる。また、外装体2の外層シート21と内層シート25との胴回り方向の帯状接合部5の接合強度を補強することができる。
【0030】
また、吸収性本体3内部の吸収性コア33の一部も、同様に外装体2の腹側部Fの伸縮性シート22と厚み方向で重なる配置とされている。吸収性コア3は、液保持性の部材からなり比較的剛性の高い部材である。そのため、この重なり部分で、吸収性コア33は、伸縮性シート22の伸縮性を阻害しないよう、坪量が低い部分、凹部及び部材を欠く空隙部の何れか1つ以上を有することが好ましい。これにより、外装体3の胴回り方向の伸縮に対し、坪量が低い部分、凹部又は空隙部が吸収性コア33の基点となって伸縮し、外装体2の伸縮性を阻害しない。なお、坪量が低い部分とはその周辺部と比較して坪量が低い部分である。凹部とは、吸収性コア33を構成する液保持性の部材が存在しているが、該部分の周辺部と比較して厚みが薄い部分である。空隙部とは、吸収性コア33を構成する液保持性の部材が存在していないが、該部分の周辺部には液保持性の部材が存在している部分のことである。また凹部は、その周辺部と比較し坪量が低い場合や、坪量は同じまたは高いが厚みが薄い場合もあり得る。
【0031】
このような坪量が低い部分、凹部又は空隙部として、例えば、図2に示すように、背側部Rの端部にある符号33Aで示される部分や、股下部Cから腹側部Fにかけて配された符号33Bで示される部分である。これらは、長手方向(Y方向)に長く、幅方向(X方向)に所定幅で形成されている。この所定幅とは、好ましくは2mm以上であり、より好ましくは3mm以上である。これにより幅方向への変形が容易となる。またその上限は、好ましくは30mm以下であり、より好ましくは20mm以下である。これにより、吸収性能の維持が可能となる。その結果、吸収性コア33を含む吸収性本体3は、坪量が低い部分、凹部又は空隙部を配した縦長の部分で、外装体2の胴回り方向の伸縮に追従して変形できる。
また、より伸縮に追従させるために、坪量が低い部分や凹部、空隙部を複数個配置できる。
【0032】
本発明の別の好ましい実施形態(第2実施形態)としてのパンツ型使い捨ておむつ20について以下に説明する。
第2実施形態のパンツ型使い捨ておむつ20は、第1実施形態のおむつ10と外装体が異なる。おむつ20の外装体9は、図6に示されるように、I字形の外層シート91と腹側部F及び背側部Rに分離した2つの非伸縮性シート96,96で構成された内層シート95からなる。外層シート91は、腹側部F及び背側部Rをなす胴回り方向に伸縮可能な伸縮性シート92、92と股下部Cをなす非伸縮性の股下シート93とからなる。伸縮性シート92は幅方向に長い矩形であり、股下シート93は長手方向(Y方向)に長い矩形である。伸縮性シート92,92と股下シート93の端部とを一部重ね貼り合わせてI字形の外層シート91をなす。
【0033】
おむつ20の外装体9においては、肌側部F及び背側部Rにある伸縮性シート92及び非伸縮性シート96が、胴回り方向に連続し身丈方向に間隔をおいて4条配設された帯状接合部50(50A,50B,50C,50D)によって接合されている。この帯状接合部50によって伸縮性シート92及び非伸縮性シート96が接合され一体化された領域を接合領域60(60A,60B,60C,60D)という。接合領域60同士に挟まれた領域は、伸縮性シート92と非伸縮性シート96とが非接合とされ、両シートが部分的に浮いた状態とされた非接合領域70である。非接合領域70は、本実施形態においては3条(70A,70B,70C)が配されている。
以上の構成を有するおむつ20は、第1実施形態のおむつ10と同様に、胴回り部の優れた伸縮性と高い接合強度の両立がなされ、着用者のお腹回り等の身体の動きに追従して優れたフィット性が得られる。このような第2実施形態の外装体90は、その変形例として、外層シート91を幅方向に長い伸縮性シート92のみとするものであってもよい。この場合の外装体は、図示しないが、股下シート93がなく、伸縮性シート92及び非伸縮性シート96を積層した腹側部F及び背側部Rのみであり、吸収性本体がこれらを繋ぐようにして股下部Cを形成する形態となる。
【0034】
おむつ10及び20を構成する部材としては、この種の物品に用いられるものを特に制限なく用いることができる。
例えば、外装体をなす外側シートの伸縮性シートとしては、伸縮性を有する各種のシートを採用でき、通気性を良好にする観点から、熱可塑性繊維からなる不織布から形成されているものが好ましい。また、風合いを良好にする観点から、積層シートからなり、少なくともその非肌当接面側の層がエアスルー不織布から形成されているものも好ましい。
【0035】
上記伸縮性を有する伸縮性シートとしては、例えば(1)弾性繊維層の両面または片面に、伸長可能な繊維層が一体化されているシート、(2)ネット状の弾性シートの両面または片面に、伸長可能な繊維層が一体化されているシート、(3)弾性フィルムからなる弾性シートの両面または片面に、伸張可能な繊維層が一体化されているシート、(4)互いに交差せずに一方向に延びるように配列した多数の弾性フィラメントが、非伸長状態で、それらの全長にわたり、伸長可能な不織布に接合されてなる伸縮シート等を好ましく用いることができる。
【0036】
前記(1)のシートとしては、例えば(a)弾性繊維層の少なくとも一面に、非弾性の非弾性繊維層が配され、両繊維層は、弾性繊維層の構成繊維が繊維形態を保った状態で、繊維交点の熱融着によって全面接合されており、非弾性繊維層の構成繊維の一部が弾性繊維層に入り込んだ状態、および弾性繊維層の構成繊維の一部が非弾性繊維層に入り込んだ状態のいずれかの状態または両方の状態になっている伸縮性不織布が挙げられる。また、前記(1)〜(3)のシートとしては、(b)弾性伸縮性を有する弾性層と非弾性の非弾性繊維層とを有し、前記両層が厚み方向に積層されて部分的に接合されている積層シートを、延伸させてなる伸縮性シート等を好ましく用いることができる。これらの延伸や前記(1)〜(3)の伸長可能な繊維層や不織布を得るための一手段として、前述の歯溝加工を施すことが好ましい。
【0037】
前記(a)の伸縮性不織布は、弾性繊維層と、非弾性繊維層との界面およびその近傍においては、弾性繊維層の構成繊維と、非弾性繊維層の構成繊維との交点が熱融着しており、全面で均一に接合されている。全面で接合されていることによって、両層が離間して空間が形成されることが防止され、あたかも一層の不織布のような一体感のある多層構造の伸縮性不織布となる。上記の弾性繊維層の構成繊維が繊維形態を保った状態とは、弾性繊維層の構成繊維のほとんどが、熱や圧力等を付与された場合であっても、フィルム状、または繊維を含むフィルム構造に変形していない状態をいう。また、弾性繊維層は、その層内において、構成繊維の交点が熱融着している。同様に、非弾性繊維層も、その層内において、構成繊維の交点が熱融着している。
【0038】
弾性繊維層の両面に非弾性繊維層が配されている場合、少なくとも何れか一方の面においては、その構成繊維の一部が弾性繊維層に入り込んだ状態、および弾性繊維層の構成繊維の一部が少なくとも一方の非弾性繊維層に入り込んだ状態のいずれかの状態または両方の状態になっている。
弾性繊維層は、伸ばすことができ且つ伸ばした力から解放したときに収縮する性質を有するものである。また、弾性を有する繊維の集合体である。また、弾性繊維層は、弾性を有する繊維からなるウエブや不織布の形態であり得る。例えば、スピニングブローン法、スパンボンド法、メルトブローン法等によって形成された不織布であり得る。特に好ましくは、スピニングブローン法で得られたウエブである。弾性繊維層の構成繊維としては、例えば熱可塑性エラストマー、ゴムなどを原料とする繊維を用いることができる。特に熱可塑性エラストマーを原料とする繊維は、通常の熱可塑性樹脂と同様に押出機を用いた溶融紡糸が可能であり、またそのようにして得られた繊維は熱融着させやすいので、エアスルー不織布を基本構成とする本実施形態の伸縮性不織布に好適である。熱可塑性エラストマーとしては、SBS、SIS、SEBS、SEPS等のスチレン系エラストマー、オレフィン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ポリウレタン系エラストマーを挙げることができる。これらは一種を単独でまたは二種以上を組み合わせて用いることができる。
【0039】
非弾性繊維層は、伸長性を有するが、実質的に非弾性のものである。ここでいう、伸長性は、構成繊維自体が伸長する場合と、構成繊維自体は伸長しなくても、繊維同士の交点において熱融着していた両繊維が離れたり、繊維同士の熱融着等により複数本の繊維で形成された立体構造が構造的に変化したり、構成繊維がちぎれたりして、繊維層全体として伸長する場合の何れであっても良い。非弾性繊維層を構成する繊維としては、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリエステル(PETやPBT)、ポリアミド等からなる繊維等が挙げられる。非弾性繊維層を構成する繊維は、短繊維でも長繊維でも良く、親水性でも撥水性でも良い。また、芯鞘型またはサイド・バイ・サイドの複合繊維、分割繊維、異形断面繊維、捲縮繊維、熱収縮繊維等を用いることもできる。これらの繊維は一種を単独でまたは二種以上を組み合わせて用いることができる。非弾性繊維層は、連続フィラメントまたは短繊維のウエブまたは不織布であり得る。
【0040】
前記(b)の伸縮性シートは、弾性伸縮性を有する弾性層の両面または片面に非弾性の非弾性繊維層が積層され、これらが規則的なパターンで、部分的に接合されている積層シートに対して延伸加工を施すことにより得られる。
【0041】
外装体をなす内側シートの非伸縮性シート及び外側シートの股下シートとしては、不織布、不織布と樹脂フィルムとの積層材、多孔性フィルム等が好ましい。非伸縮性シートは、通気性、風合いを良好にする観点から、熱可塑性繊維からなる不織布から形成されているものが好ましく、また、排泄物の漏れ防止の観点から、撥水性の不織布から形成されているものが好ましい。
また、外層シート、内層シートからなる外装体は液不透過性を有していた方が防漏性の観点から好ましく、通気性及び水蒸気の透過性を有していた方が、おむつ内の過度の湿度の上昇を防ぐために好ましい。
【0042】
吸収性本体3をなす表面シート32は、排泄された体液を速やかに吸収し、吸収体に伝達する観点と肌触りのよさの観点とから親水性のサーマルボンド不織布が好ましく、特にエアスルー不織布が好ましい。表面シート31は親水化処理された熱可塑性樹脂繊維であり、かつ、該繊維が2次クリンプ又は3次クリンプのような立体捲縮がなされた繊維であることが好ましい。具体的には、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ナイロン、及びこれらの複合繊維を作成し、所定の長さにカットしてステープルを形成する前の段階で、各種親水化剤を塗工する。親水化剤としては、αオレフィンスルホン酸塩に代表される各種アルキルスルホン酸塩、アクリル酸塩、アクリル酸塩/アクリルアミド共重合体、エステルアミド、エステルアミドの塩、ポリエチレングリコール及びその誘導物、水溶性ポリエステル樹脂、各種シリコーン誘導物、各種糖類誘導物、及びこれらの混合物など、当業者公知の親水化剤による親水化処理を用いることができる。
【0043】
裏面シート32としては、液の透過を防ぎ透湿性を有していれば特に限定されないが、例えば疎水性の熱可塑性樹脂と、炭酸カルシウム等からなる微小な無機フィラー又は相溶性のない有機高分子等とを溶融混練してフィルムを形成し、該フィルムを一軸又は二軸延伸して得られる多孔性フィルムが挙げられる。前記熱可塑性樹脂としては、ポリオレフィンが挙げられる。該ポリオレフィンとしては、高〜低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン等が挙げられ、これらを単独で又は混合して用いることができる。
【0044】
吸収性コア33としては、親水性繊維と高吸水性ポリマー粒子との混合物、または、親水性繊維と高吸水性ポリマー粒子と熱可塑性合成樹脂繊維との混合物、または、複数の繊維シートの間に高吸水性ポリマー粒子が挟まれた吸水性シートであり、所要の厚みに圧縮されている。親水性繊維としては、親水性表面を有する繊維を用いることができ、例えばセルロース繊維や、合成繊維を必要に応じ界面活性剤等により親水化処理したものが挙げられる。吸収性コア33は、その型崩れやポリマー粒子の脱落を防ぐため、その全体がティッシュペーパーや親水性繊維不織布等の透液性シートに被覆されていてもよい。ポリマー粒子としては、デンプン系、セルロース系、合成ポリマー系のものを使用することができる。
【0045】
さらに本発明の別の実施形態として、着用者の腹側に配される腹側部、着用者の背側に配される背側部、及び該腹側部と背側部との間に位置する股下部を有する外装体を備え、別体の吸収性本体と組み合わせて用いられる吸収性本体保持カバーであって、前記外装体は、前記腹側部及び前記背側部に、着用者の胴回り方向に伸縮可能な伸縮性シートと非伸縮性シートを有し、前記伸縮性シートと前記非伸縮性シートとは、胴回り方向に連続し身丈方向に間隔をおいて複数条配設された接合部によって接合されている吸収本体保持カバーが挙げられる。この吸収性本体保持カバーは、上述のように外装体の腹側部又は背側部の伸長状態にした伸縮性シートと非伸縮性シートとが、胴回り方向に連続し身丈方向に間隔をおいて複数条配設された接合部によって接合されている点で前記実施形態1及び2のおむつと共有する。すなわち、本実施形態の吸収性本体保持カバーは例えば前記実施形態1及び2のおむつから吸収性本体を取り去った形態として説明することができる。すなわち、実施形態1及び2の外装体2及び9の構成を適用したものとすることができる。
【0046】
本実施形態の吸収性本体保持カバーは、吸収性本体を肌面側に配置して用いられる。ここで吸収性本体は、排泄される尿等を吸収するものであれば特に限定されないが、例えば尿とりパッド等の吸収パッドが挙げられる。吸収パッドは、例えば、液透過性の表面シート、液不透過性の防漏シート、及び両シート間に介在された液保持性の吸収体を具備し、平面視矩形状の縦長形状に形成されたものが挙げられる。そして、吸収パッドの長手方向の両側には、左右一対の立体ガードが形成されていることが好ましく、各立体ガードは、吸収パッドの長手方向の両側に、立体ガード弾性部材を有する立体ガード形成用のシート材を配設して形成されていることが好ましい。このような吸収パッドの身丈方向を着用者の背側から腹側にわたすようにして、該パッドの液透過シート側を着用者の肌に当接するよう配置し、これを覆うようにして本実施形態の吸収性本体保持カバーを着用することが好ましい。このような吸収性本体保持カバーとしては、テープ止めタイプであっても、パンツタイプであってもよい。また、脚周り部を着用者の大腿部まで延ばす、いわゆるボクサーブリーフタイプのものであってもよい。
【0047】
本発明の吸収性物品は、上記の実施形態のパンツ型使い捨ておむつのほか、展開型使い捨ておむつであってもよく、生理用ショーツ、ショーツ型ナプキン、失禁パンツなどの着用者の腹側に配される腹側部、着用者の背側に配される背側部を有する吸収性物品を含む概念である。また、上記の構成に用途や機能に合わせ他の部材を適宜組み込んでもよい。
【0048】
上述した実施形態に関し、本発明はさらに以下の吸収性物品及びその製造方法を開示する。
【0049】
<1>外装体とその肌面側に配される吸収性本体とを備え、前記外装体が、着用者の腹側に配される腹側部、着用者の背側に配される背側部、及び該腹側部と背側部との間に位置する股下部を有する吸収性物品であって、前記外装体は、前記腹側部及び前記背側部に、着用者の胴回り方向に伸縮可能な伸縮性シートと該伸縮性シートが伸長状態で接合された非伸縮性シートとを有し、前記伸縮性シートと前記非伸縮性シートとは、胴回り方向に連続し身丈方向に間隔をおいて複数条配設された帯状接合部によって接合されている吸収性物品。
【0050】
<2>前記吸収性本体は、その端部において前記外装体の前記腹側部及び前記背側部と胴回り方向に接合されており、前記吸収性本体と前記外装体との端部接合部と、前記外装体における前記伸縮性シートと前記非伸縮性シートとの帯状接合部とが、胴回り方向に沿って厚み方向で重なる配置とされている前記<1>に記載の吸収性物品。
<3>前記吸収性本体は内部に液保持性の吸収性コアを備え、該吸収性コアの一部が前記伸縮性シートと厚み方向で重なる配置とされており、該重なり部分で、前記吸収性コアは、坪量が低い部分、凹部及び部材を欠く空隙部の何れか1つ以上を
有する前記<1>又は<2>に記載の吸収性物品。
<4>前記坪量が低い部分、凹部又は前記空隙部が、前記伸縮性シートに重なる前記吸収性コアの端部に配されている前記<3>に記載の吸収性物品。
<5>前記坪量が低い部分、凹部又は前記空隙部の幅方向幅は、2mm以上、好ましくは3m以上である前記<3>又は<4>に記載の吸収性物品。
<6>前記坪量が低い部分、凹部又は前記空隙部の幅方向幅は、30mm以下であり、好ましくは20mm以下である<3>〜<5>のいずれか1項に記載の吸収性物品。
<7>前記吸収性コアは、親水性繊維と高吸水性ポリマー粒子との混合物、または、親水性繊維と高吸水性ポリマー粒子と熱可塑性合成樹脂繊維との混合物である前記<1>〜<6>のいずれか1に記載の吸収性物品。
<8>着用者の腹側に配される腹側部、着用者の背側に配される背側部、及び該腹側部と背側部との間に位置する股下部を有する外装体を備え、別体の吸収性本体と組み合わせて用いられる吸収性本体保持カバーであって、前記外装体は、前記腹側部及び前記背側部に、着用者の胴回り方向に伸縮可能な伸縮性シートと該伸縮性シートが伸長状態で接合された非伸縮性シートを有し、前記伸縮性シートと前記非伸縮性シートとは、胴回り方向に連続し身丈方向に間隔をおいて複数条配設された帯状接合部によって接合されている吸収本体保持カバー。
<9>前記外装体は、外側シートと内側シートとを積層してなり、前記内側シートは、前記非伸縮性シートを前記腹側部から前記股下部を介し前記背側部に亘る全面に配してなり、前記外側シートは、前記伸縮性シートがその全体を形成する前記<1>〜<8>のいずれか1に記載の吸収性物品又は吸収本体保持カバー。
<10>前記伸縮性シートと前記非伸縮性シートとが接合された接合領域と、該接合領域間の前記伸縮性シートと前記非伸縮性シートとが非接合とされた領域とを、前記外装体全体に亘って形成する前記<9>に記載の吸収性物品又は吸収本体保持カバー。
<11>前記外装体は、外側シートと内側シートとを積層してなり、前記内側シートは、前記非伸縮性シートを前記腹側部から前記股下部を介し前記背側部に亘る全面に配してなり、前記外側シートは、前記伸縮性シートを前記腹側部及び前記背側部とし、伸長状態の該伸縮性シートと前記股下部に配される非伸縮性の股下シートの端部とを一部重ね貼り合わせた複合シートからなり、前記貼り合わせ部分は、前記接合部間の、前記伸縮性シートと前記非伸縮性シートとが非接合とされた領域のうち最も股下部寄りにあるものよりもさらに股下部寄りに配されている前記<1>〜<8>記載の吸収性物品又は吸収本体保持カバー。
<12>前記貼り合わせ部は、胴回り部の両側縁をなすサイドシール部の下端線よりも股下部側にある<11>記載の吸収性物品又は吸収本体保持カバー。
<13>前記外装体はI字形の前記外層シートと前記腹側部及び前記背側部に分離した前記内層シートからなり、
該外層シートは、胴回り方向に伸縮可能な前記伸縮性シートと前記股下部なす非伸縮性の股下シートとからなり、
該伸縮性シートは幅方向に長い矩形であり、該股下シートは長手方向に長い矩形であり、
該伸縮性シートと該股下シートの端部とを一部重ね貼り合わせてI字形の該外層シートをなす前記<11>又は<12>に記載の吸収性物品又は吸収本体保持カバー。
<14>前記外側シートの前記腹側部及び前記背側部をなす前記伸縮性シートは、ウエスト開口部の開口端縁から肌当接面側へと折り返されて前記内側シートと接合された折り返し部を有する前記<1>〜<13>のいずれか1に記載の吸収性物品又は吸収本体保持カバー。
<15>前記折り返し部は、前記吸収性本体の端縁にまで伸びる前記<14>に記載の吸収性物品又は吸収本体保持カバー。
<16>前記帯状接合部は、前記折り返し部の下方に、配設されている前記<14>又は<15>に記載の吸収性物品又は吸収本体保持カバー。
<17>前記帯状接合部の幅方向長さは、5cm以上、好ましくは8cm以上である前記<1>〜<16>のいずれか1に記載の吸収性物品又は吸収本体保持カバー。
<18>各前記帯状接合部が前記腹側部及び前記背側部の全幅域より短く、各該帯状接合部がそれぞれ長手方向に一部重なって、全体として幅方向に接合の切れ目がないように配設されている前記<1>〜<17>のいずれか1に記載の吸収性物品又は吸収本体保持カバー。
<19>前記帯状接合部は、前記腹側部及び前記背側部を併せた胴回り部でその周方向に環状の接合帯をなしている前記<1>〜<17>のいずれか1に記載の吸収性物品又は吸収本体保持カバー。
<20>前記伸縮性シートは、幅方向においては、最大伸度が100%以上である前記<1>〜<19>のいずれか1に記載の吸収性物品又は吸収本体保持カバー。
<21>前記伸縮性シートは、幅方向においては、最伸長回復率が70%以上である前記<1>〜<20>のいずれか1に記載の吸収性物品又は吸収本体保持カバー。
<22>前記伸縮性シートは、長手方向においては、最大伸度が50%以下である前記<1>〜<21>のいずれか1に記載の吸収性物品又は吸収本体保持カバー。
<23>前記非伸縮性シートは、下記〔伸長回復率の測定方法〕により測定した伸長回復率(%)が20%以下である前記<1>〜<22>のいずれか1に記載の吸収性物品又は吸収本体保持カバー。
(伸長回復率の測定方法)
長さ50mm、幅25mmの伸縮性シートのサンプル片を用意し、引っ張り試験機(株式会社オリエンテックの「テンシロン」RTC−1210A)を用いて、チャック間隔K0にサンプル片を固定し、300mm/minの速度で100%伸長時の長さK2(K2=K0×2)まで伸長させた後、引張速度と同様の速度で戻し始めて応力が0になった時におけるサンプル片の長さを伸長回復後の長さK1とする。次式から100%伸長時の伸長回復率を算出する。
100%伸長時の伸長回復率(%)=〔(K2−K1)/(K2−K0)〕×100
<24>前記非伸縮性シートは、最大伸度が90%以下である前記<1>〜<23>のいずれか1に記載の吸収性物品又は吸収本体保持カバー。
<25>前記接合領域の身丈方向の長さ(H1)の前記非接合領域の長手方向の長さ(H2)に対する比(H1/H2)は、0.1以上、好ましくは0.2以上である前記<1>〜<24>のいずれか1に記載の吸収性物品又は吸収本体保持カバー。
<26>前記接合領域の身丈方向の長さ(H1)の前記非接合領域の長手方向の長さ(H2)に対する比(H1/H2)は、5以下、好ましくは3以下である前記<1>〜<25>のいずれか1に記載の吸収性物品又は吸収本体保持カバー。
<27>前記接合領域の面積(M1)の前記非接合領域の面積(M2)に対する比(M1/M2)は、0.05以上、好ましくは0.2以上である前記<1>〜<26>のいずれか1に記載の吸収性物品又は吸収本体保持カバー。
<28>前記接合領域の面積(M1)の前記非接合領域7の面積(M2)に対する比(M1/M2)は、10以下、好ましくは5以下である前記<1>〜<27>のいずれか1に記載の吸収性物品又は吸収本体保持カバー。
<29>前記接合領域の伸縮方向への剥離強度は5cN/25mm以上、好ましくは10cN/25mm以上である前記<1>〜<28>のいずれか1に記載の吸収性物品又は吸収本体保持カバー。
<30>前記伸縮性シートは、積層シートからなり、少なくともその非肌当接面側の層がエアスルー不織布から形成されている前記<1>〜<29>のいずれか1に記載の吸収性物品又は吸収本体保持カバー。
<31>前記伸縮性シートは、弾性繊維層の両面または片面に、伸長可能な繊維層が一体化されている前記<1>〜<30>のいずれか1に記載の吸収性物品又は吸収本体保持カバー。
<32>前記伸縮性シートは、ネット状の弾性シートの両面または片面に、伸長可能な繊維層が一体化されている前記<1>〜<30>のいずれか1に記載の吸収性物品又は吸収本体保持カバー。
<33>前記伸縮性シートは、弾性フィルムからなる弾性シートの両面または片面に、伸張可能な繊維層が一体化されている前記<1>〜<30>のいずれか1に記載の吸収性物品又は吸収本体保持カバー。
<34>前記伸縮性シートとしては、互いに交差せずに一方向に延びるように配列した多数の弾性フィラメントが、非伸長状態で、それらの全長にわたり、伸長可能な不織布に接合されてなる前記<1>〜<30>のいずれか1に記載の吸収性物品又は吸収本体保持カバー。
<35>前記<31>に記載の前記伸縮性シートは、弾性繊維層の少なくとも一面に、非弾性の非弾性繊維層が配され、両繊維層は、弾性繊維層の構成繊維が繊維形態を保った状態で、繊維交点の熱融着によって全面接合されており、非弾性繊維層の構成繊維の一部が弾性繊維層に入り込んだ状態、および弾性繊維層の構成繊維の一部が非弾性繊維層に入り込んだ状態のいずれかの状態または両方の状態になっている伸縮性不織布が挙げられる前記<31>に記載の吸収性物品又は吸収本体保持カバー。
<36>前記<31>〜<33>に記載の前記伸縮性シートは、弾性伸縮性を有する弾性層と非弾性の非弾性繊維層とを有し、前記両層が厚み方向に積層されて部分的に接合されている積層シートを、延伸させてなる前記<31>〜<33>のいずれか1に記載の吸収性物品又は吸収本体保持カバー。
<37>前記延伸は歯溝加工である前記<36>に記載の吸収性物品又は吸収本体保持カバー。
<38>前記<35>に記載の前記伸縮性不織布は、弾性繊維層と、非弾性繊維層との界面およびその近傍においては、弾性繊維層の構成繊維と、非弾性繊維層の構成繊維との交点が熱融着しており、全面で均一に接合されている前記<35>記載の吸収性物品又は吸収本体保持カバー。
【符号の説明】
【0051】
2,9 外装体
21,91 外側シート
22,92 伸縮性シート
23,93 股下シート
25,95 内側シート
26,96 非伸縮性シート
3 吸収性本体
31 表面シート
32 裏面シート
33 吸収性コア
5 帯状接合部
6 接合領域
7 非接合領域
10、20 パンツ型使い捨ておむつ
図1
図2
図3
図4
図5
図6