(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6118101
(24)【登録日】2017年3月31日
(45)【発行日】2017年4月19日
(54)【発明の名称】化粧用具の製法およびそれによって得られる化粧用具
(51)【国際特許分類】
A45D 34/04 20060101AFI20170410BHJP
【FI】
A45D34/04 510A
A45D34/04 510Z
A45D34/04 510D
【請求項の数】5
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2012-279350(P2012-279350)
(22)【出願日】2012年12月21日
(65)【公開番号】特開2014-121444(P2014-121444A)
(43)【公開日】2014年7月3日
【審査請求日】2015年10月29日
(73)【特許権者】
【識別番号】000158781
【氏名又は名称】紀伊産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079382
【弁理士】
【氏名又は名称】西藤 征彦
(74)【代理人】
【識別番号】100123928
【弁理士】
【氏名又は名称】井▲崎▼ 愛佳
(74)【代理人】
【識別番号】100136308
【弁理士】
【氏名又は名称】西藤 優子
(72)【発明者】
【氏名】水真 珠紀
(72)【発明者】
【氏名】百合 宏哲
【審査官】
山内 康明
(56)【参考文献】
【文献】
実開昭64−040406(JP,U)
【文献】
特開平10−234466(JP,A)
【文献】
登録実用新案第3120903(JP,U)
【文献】
特開2006−271477(JP,A)
【文献】
特開2007−007242(JP,A)
【文献】
特開2005−014264(JP,A)
【文献】
特開平09−286043(JP,A)
【文献】
特開平09−051815(JP,A)
【文献】
実開平01−101407(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A45D 34/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
略棒状の把持部と、上記把持部の少なくとも片端から把持部の延長方向に延びる化粧のための作用部とが、一体成形品で構成されており、上記把持部が相対的に硬度の高いエラストマーによって形成され、上記作用部が相対的に硬度の低いエラストマーによって形成された化粧用具を製造する方法であって、全体の外形を賦形しうる金型を準備し、上記金型の把持部賦形用空間に把持部成形用エラストマー材料を供給するとともに、上記金型の作用部賦形用空間に作用部成形用エラストマー材料を供給した後、上記金型内で両者を硬化させて一体成形するようにしたことを特徴とする化粧用具の製法。
【請求項2】
上記把持部成形用エラストマー材料および作用部成形用エラストマー材料として、互いに硬度の異なるシリコーンゴムとなる2種類のシリコーンゴム材料を用いるようにした請求項1記載の化粧用具の製法。
【請求項3】
略棒状の把持部と、上記把持部の少なくとも片端から把持部の延長方向に延びる化粧のための作用部とが、その境界部において互いの形成成分が一体不可分となった一体成形品で構成されており、上記把持部が相対的に硬度の高いエラストマーによって形成され、上記作用部が相対的に硬度の低いエラストマーによって形成されていることを特徴とする化粧用具。
【請求項4】
上記把持部および作用部が、互いに硬度の異なるシリコーンゴムによって形成されている請求項3記載の化粧用具。
【請求項5】
上記化粧用具がメイクアップ用の化粧チップであり、上記把持部がデュロA硬度80〜100°の硬さに設定され、上記作用部がデュロA硬度5〜80°の硬さに設定されている請求項3または4記載の化粧用具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使い勝手のよい化粧用
具の製法
およびそれによって得られる化粧用具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
リップカラーやアイカラー、ファンデーション等のメイクアップ化粧料を収容するコンパクト容器には、化粧料だけでなく、小型の化粧チップや化粧ブラシ等の化粧用具を併せて収容するようにしたものが多く用いられている。
【0003】
このような化粧用具として、例えば
図6に示すような、小さな棒状の把持部1の先端に、丸いスポンジ部2を取り付けた化粧チップがよく知られている(例えば、下記の特許文献1を参照)。
【0004】
また、最近では、例えば
図7(a)およびその断面図である
図7(b)に示すように、中空軸からなる把持部3の一端側に、略円錐形のゴムチップ4を取り付け、他端側にマスカラ用ブラシ等の塗布具5を取り付けた化粧用具が提案されている(例えば、下記の特許文献2を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実用新案登録第3081830号公報
【特許文献2】実用新案登録第3118751号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記
図6に示す化粧チップは、スポンジ部2がせっかく柔軟であるにもかかわらず、その取り付けのために、固いプラスチック製の把持部1の一部1a′がスポンジ部2の内側に深く入り込んでいるため、肌への感触が固く、その固い部分がひっかかって化粧料を薄く延ばす動作がしにくいという問題がある。また、その製造工程において、把持部1にスポンジ部2を取り付ける作業が必要であるため、製造に手間を要し、コストがかかるという問題もある。
【0007】
また、上記
図7(a)、(b)に示す化粧用具は、ゴムチップ4が比較的柔軟に肌に沿うものの、その根元部が、把持部3の開口に入り込んで全周が固定されているため、動きが制限され、やはり使い勝手が悪いという問題がある。そして、製造に手間を要し、コストがかかる点では、
図6のものを上回っている。
【0008】
さらに、軽薄短小が好まれる昨今の技術動向を背景に、コンパクト容器のさらなる薄型化が望まれているが、上記のような化粧用具の構造では、プラスチック製の把持部1、3の厚みがネックとなって、画期的な薄型容器を実現することができないという問題もある。
【0009】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、肌への使い勝手に優れ、しかも全体をごく薄い構造にすることのできる、全く新しい化粧用
具の製法
とそれによって得られる化粧用具の提供を、その目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的を達成するため、本発明は、略棒状の把持部と、
上記把持部の少なくとも片
端から把持部の延長方向に延びる化粧のための作用部とが、一体成形品で構成されており、上記把持部が相対的に硬度の高いエラストマーによって形成され、上記作用部が相対的に硬度の低いエラストマーによって形成され
た化粧用具を
製造する方法であって、全体の外形を賦形しうる金型を準備し、上記金型の把持部賦形用空間に把持部成形用エラストマー材料を供給するとともに、上記金型の作用部賦形用空間に作用部成形用エラストマー材料を供給した後、上記金型内で両者を硬化させて一体成形するようにした化粧用具の製法を第1の要旨とする。
【0011】
また、本発明は、そのなかでも、特に、上記把持部
成形用エラストマー材料および作用部
成形用エラストマー材料として、互いに硬度の異なるシリコーンゴム
となる2種類のシリコーンゴム材料を用いるようにした化粧用具
の製法を第2の要旨
とする。
【0012】
そして、本発明は、
略棒状の把持部と、上記把持部の少なくとも片端から把持部の延長方向に延びる化粧のための作用部とが、その境界部において互いの形成成分が一体不可分となった一体成形品で構成されており、上記把持部が相対的に硬度の高いエラストマーによって形成され、上記作用部が相対的に硬度の低いエラストマーによって形成されている化粧用
具を第
3の要旨とする。
【0013】
また、本発明は、そのなかでも、特に、上記把持
部および作用部
が、互いに硬度の異なるシリコーンゴム
によって形成されている化粧用
具を第
4の要旨と
し、それらのなかでも、特に、上記化粧用具がメイクアップ用の化粧チップであり、上記把持部がデュロA硬度80〜100°の硬さに設定され、上記作用部がデュロA硬度5〜80°の硬さに設定されている化粧用具を第5の要旨とする。
【発明の効果】
【0014】
すなわち、本発明の
製法によって得られる化粧用具は、略棒状の把持部と、化粧のための作用部とが、硬度の異なるエラストマーを組み合わせた
ものであって、その境界部において互いの形成成分が一体不可分となった一体成形品で構成されており、従来のように、把持部に対して作用部が嵌合や接着等によって連結されていないため、作用部の柔軟性が、把持部との境界端面となる部分まで確保されている。したがって、作用部全体を肌等に効果的に作用させることができ、肌に密着しやすいエラストマーで形成されていることと相俟って、非常に使い勝手がよいものとなる。なお、本発明において、「略棒状」とは、いわゆる「丸棒状」や「角棒状」だけでなく、厚みの薄い平板状のものも含む趣旨である。
【0015】
また、本発明の製法
によって得られる化粧用具は、エラストマーからなる一体成形品であることから、全体を、例えば厚み3mm以下の平たい板状に成形することができる。したがって、超薄型のコンパクト容器(例えば厚み6mm以下)への収容が可能となり、携帯や保管に嵩張らない、優れたコンパクト容器の商品化を実現することができる。
【0016】
しかも、上記化粧用具は、把持部と作用部とを別々に作って両者を連結する、という手間が不要で、金型成形によって簡単に得ることができるため、手間とコストを大幅に低減することができるという利点を有する。
【0017】
そして、本発明
によって得られる化粧用具のなかでも、特に、上記把持部および作用部が、互いに硬度の異なるシリコーンゴムによって形成されている化粧用具は、とりわけ把持部と作用部との境界における接合強度が高く、また肌への感触にも優れたものとなる。
【0018】
また、本発明
によって得られる化粧用具のなかでも、特に、上記化粧用具がメイクアップ用の化粧チップであり、上記把持部がデュロA硬度80〜100°の硬さに設定され、上記作用部がデュロA硬度5〜80°の硬さに設定されている化粧用具は、肌に、アイカラーやリップカラー等のメイクアップ化粧料を塗布する際、化粧料を肌に伸ばす動作をスムーズに行うことができ、非常に使い勝手がよいものとなる。
【0019】
さらに、本発明の製法によれば、
上記化粧用具を、
単一の金型を用いた一体成形により、簡単かつ低コストで製造することができる。そして、用いる成形材料であるエラストマーの色や硬さの組み合わせによって、さまざまなデザインの、さまざまな使い勝手の化粧用具を、短い納期で提供することができるという利点を有する。
【0020】
そして、上記製法のなかでも、特に、上記把持部成形用エラストマー材料および作用部成形用エラストマー材料として、互いに硬度の異なるシリコーンゴムとなる2種類のシリコーンゴム材料を用いるようにすると、とりわけ把持部と作用部との境界における接合強度が高くなり、また肌への感触にも優れた化粧用具を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明の化粧用具の一実施の形態を示す外観斜視図である。
【
図2】(a)は上記一実施の形態の平面図、(b)
はその正面図である。
【
図3】本発明の他の実施の形態を示す平面図である。
【
図4】本発明のさらに他の実施の形態を示す斜視図であ
る。
【
図5】(a)、(b)、(c)はいずれも本発明の実施の形態における作用部の変形例の説明図である。
【
図7】(a)、(b)はともに従来の化粧用具の他の例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
つぎに、本発明の実施の形態を、図面にもとづいて詳しく説明する。ただし、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではない。
【0023】
図1は、本発明の一実施の形態を示す外観斜視図であり、
図2(a)はその平面図、
図2(b)はその正面図である。この化粧用具は、全体がシリコーンゴムからなる一体成形品によって構成されており、薄板状の把持部10と、その両端からそれぞれ延びる、先端が丸いヘラ状の第1のチップ部11と第2のチップ部12からなる作用部とを備えている。そして、全体に、第1のチップ部11のある側の幅が太く、第2のチップ部12のある側に向かって、徐々に幅が狭くなっている。
【0024】
上記把持部10は、デュロA硬度(新JIS K6250に従う、以下同じ)が90°の、可撓性はあるものの比較的硬いシリコーンゴムによって形成されており、その厚み〔
図2(b)においてTで示す)は3mmに設定されている。また、上記把持部10の両側に、作用部として設けられた第1のチップ部11と第2のチップ部12〔
図2(a)において斜線部で示す〕とは、ともに、デュロA硬度が10°の、柔軟なシリコーンゴムによって形成されており、その厚み〔
図2(b)においてT′で示す〕は2mmに設定されている。また、長手方向、幅方向の寸法は、
図2(a)に示すとおりである(単位はmm)。
【0025】
上記化粧用具は、例えば、つぎのようにして得ることができる。すなわち、まず、上記化粧用具の全体形状を賦形しうる金型を準備し、この金型の把持部賦形用空間内に、把持部10を成形するためのシリコーンゴム材料を供給するとともに、その両側のチップ部賦形用空間に、第1のチップ部11と第2のチップ部12とを成形するためのシリコーンゴム材料を供給する。そして、これらを金型内で硬化させることにより全体を一体成形し、脱型することにより、
図1に示す化粧用具を得ることができる。
【0026】
なお、上記把持部10と、作用部であるチップ部11、12は、シリコーンゴムの硬度こそ異なるが、同一のシリコーンゴムをベースとする同一系統のゴム材料で成形されるため、硬化して一体不可分となり、全体として一体成形品となる。
【0027】
このようにして得られた化粧用具は、把持部10と、チップ部11、12とが、硬度の異なるシリコーンゴムからなる一体成形品で構成されているため、チップ部11、12の柔軟性が、把持部10との境界端面となる部分まで確保されている。しかも、把持部10も含め、全体が薄肉の板状で、板面垂直方向に、チップ部11、12は抵抗なく柔軟に撓み、把持部10は力をかけるとわずかに撓むようになっている。
【0028】
したがって、上記把持部10を指先で持ち、第1のチップ部11もしくは第2のチップ部12の片面にメイクアップ化粧料を付着させて肌に当て、肌に沿って移動させると、上記チップ部11もしくは12が、肌に密着しやすい柔軟なシリコーンゴムで形成されていることと相俟って、ごく軽い感触で、化粧料を薄く伸ばすことができ、使い勝手がよい。そして、第1のチップ部11と第2のチップ部12とは、それぞれ幅が異なっているため、比較的広く化粧料を塗布したい場合には第1のチップ部11を用い、比較的狭い幅で化粧料を塗布したい場合には第2のチップ部12を用いる、というように使い分けることができる。
【0029】
しかも、上記化粧用具は、全体がシリコーンゴムの一体成形品であり、従来のように、複数のパーツを連結したものではないため、そのまま強く洗っても、チップ部分が外れて壊れるようなことがない。したがって、繰り返し洗浄することにより清浄な状態に戻すことができ、長期にわたって気持ちよく化粧に供することができる。
【0030】
また、上記化粧用具は、全体を、例えば厚み3mm以下、といったごく薄い、平たい板状に成形することができるため、超薄型のコンパクト容器(例えば厚み6mm以下)への収容が可能となり、携帯や保管に嵩張らない、優れたコンパクト容器の商品化を実現することができる。
【0031】
しかも、上記化粧用具は、把持部10とチップ部11、12とを別々に作って両者を連結する、という手間が不要で、金型による一体成形によって簡単に得ることができるため、手間とコストを大幅に低減することができるという利点を有する。
【0032】
なお、上記化粧用具の成形方法は、上記の方法に限らず、成形材料の種類や形状、要求される生産性等に応じて、適宜の成形方法を選択することができる。
【0033】
また、上記の例では、把持部10を、デュロA硬度90°のシリコーンゴムで形成し、作用部であるチップ部11、12を、デュロA硬度10°のシリコーンゴムで形成したが、用いる材料は、シリコーンゴムに限らず、合成ゴム、天然ゴム、熱可塑性エラストマー等、各種のエラストマーがあげられる。なかでも、肌に作用させる際の感触等を考慮すれば、シリコーンゴムやブチルゴムが好適である。
【0034】
そして、把持部10を指で持って化粧に供する、という作業性を考慮すれば、把持部10とチップ部11、12では、把持部10の方が相対的に高い硬度であることが必要であり、硬度の異なる2種類の材料を一体成形品として得るには、把持部10とチップ部11、12とを、同一系統のエラストマーで形成することが好適である。ただし、互いに異なるエラストマーを用いる場合であっても、少なくとも片方の材料に、他方の材料との接着性に優れた接着成分を含有させておけば、前記の製法によって一体成形品を得ることができる。
【0035】
上記把持部10の硬度と、作用部であるチップ部11、12の硬度は、その用途や形状にもよるが、例えば上記の例のように、この化粧用具をメイクアップ用の化粧チップとして用いる場合には、把持部10のデュロA硬度を80〜100°とし、作用部(チップ部11、12)のデュロA硬度を5〜80°に設定することが好適である。ただし、前述のとおり、把持部10の方が、作用部であるチップ部11、12より相対的に高い硬度であることが必要である。すなわち、硬度を上記の範囲に設定すると、把持部10が持ちやすく、しかも作用部の方が把持部10に比べて柔軟で、メイクアップ化粧料を肌に伸ばす動作をスムーズに行うことができるため、非常に使い勝手がよいものとなるからである。
【0036】
なお、上記の例は、把持部10と、チップ部11、12の境界を、平面視で直線となるよう設定したが〔
図2(a)参照〕、金型内に、把持部10用のエラストマー材料を供給する段階において、このエラストマー材料を意図的に多く供給して、両側の、チップ部賦形用空間にはみ出させることにより、例えば
図3に示すように、その境界を、平面視で円弧状となるようにしてもよい。
【0037】
このようにすると、柔軟なチップ部11、12の領域を、
図3に斜線で示すように狭くすることができるため、
図1に示す形状の化粧用具を賦形する場合と同じ金型を用いながら、目元や唇の周囲を細い線で縁取るようなメイクアップを行うのに適した化粧用具を得ることができる。
【0038】
また、上記の例では、把持部10の両側にチップ部11、12を設けたが、必ずしも両側に設ける必要はなく、
図4に示すように、把持部10の片側にのみチップ部11′を設けるようにしてもよい。
【0039】
そして、本発明の化粧用具は、上記の例以外に、例えば
図5(a)に示すように、把持部10の片側を平たい幅広部にして、この部分に多数の切り目30を入れることにより、ブラシ部31としたものであってもよい。この化粧用具によれば、比較的広い面積に化粧料をはたくようにして塗布することができるため、フェイスカラーやハイライトを塗布するための化粧ブラシとして用いるのに好適である。この場合、上記ブラシ部31が「作用部」であり、前記の例と同様にして、金型成形によって把持部10とブラシ部31となる部分とを一体成形した後、切り目30を入れることによってこの形状のものを得ることができる。
【0040】
また、例えば
図5(b)に示すように、把持部10を丸棒状とし、その片側に、長手方向に延びる軸部32と、その周面に小突起33が規則的に形成された凹凸ブラシ部34を設けた形状にすることができる。この化粧用具によれば、上記凹凸ブラシ部34を用いてマスカラを塗布するのに好適である。このものも、前記の例と同様にして、金型成形によって上記把持部10と凹凸ブラシ部34(「作用部」に相当)の一体成形品を得ることができる。
【0041】
さらに、例えば
図5(c)に示すように、把持部10を丸棒状とし、その片側に、半紡錘形のチップ部35を設けた形状にすることができる。この化粧用具によれば、上記チップ部35の先端を用いて目元にアイラインを入れる場合や唇の周囲を細い線で縁取るようなメイクアップを行うのに好適である。このものも、前記の例と同様にして、金型成形によって上記把持部10とチップ部35(「作用部」に相当)の一体成形品を得ることができる。
【0042】
また、本発明の化粧用具には、肌に影響を及ぼさない範囲で、抗菌剤を含有させることができる。その場合は、把持部10とチップ部11、12等の作用部を一体成形する際に、それぞれの成形材料に、抗菌剤を含有させておくことが好ましい。このような抗菌剤としては、肌に接しても悪影響を及ぼさないものであることが必要であり、例えば、銀、亜鉛、銅やこれらのイオンが好適である。また、カテキンやユーカリ、ヒノキチオール等の天然由来のものも好適に用いられる。
【0043】
さらに、本発明の化粧用具は、その成形材料に、予め顔料等の着色剤を含有させることによって、さまざまな色や色模様を付与させることができるため、カラフルなデザインを付与して、化粧を楽しめるようにすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明は、肌への使い勝手に優れ、しかも全体をごく薄い構造にすることのできる化粧用具
の製法と、その製法
によって得られる化粧用具に好適に用いられる。
【符号の説明】
【0045】
10 把持部
11 第1のチップ部
12 第2のチップ部