【実施例1】
【0024】
図1〜
図3に示す本発明の第1実施例は、ハゼ組み式の折板屋根30上に太陽電池パネル1を敷設した外装構造であって、太陽電池パネル1には、枠体11に
図2(a)に拡大して示す外設部材2を取り付けた構造である。
【0025】
前記折板屋根30は、山部と谷部とを構成する外装材3Aと、図示しない下地材に固定されて前記外装材3を保持する保持部材3Bとからなる。この折板屋根30を構成する外装材3Aは、略平坦状の平板部31の左右に傾斜状に立ち上がる立ち上がり部32,32を有し、各立ち上がり部32の外側へ載置部33が形成され、該載置部33の外側を略鉛直状に起立させて起立部34としたものであり、隣接する外装材3,3の当該部分を重合させてカシメてハゼ部としたものであり、外側に位置する重合部35と内側に位置する被重合部35'とした構成である。
【0026】
この折板屋根30には、
図1(b)に示す左右分割型の(持出金具の)本体4Aと略ハット型の連結枠体4Bと上向きの縦ボルト4Cとを一体化してなる持出金具4が取り付けられ、さらにその上面には、
図2(b)に示す断面略低ハット状の受け金具5が取り付けられている。この受け金具5に支持させるように太陽電池パネル1が敷設され、その流れ方向の端縁の上面を押さえ部材6で押さえ保持している。
【0027】
前記持出金具4を構成する本体4Aは、
図1(b)に示すように上端に略平坦状の受けフランジ41が設けられ、その下方に通孔を有する縦片部分を介して外方へ膨出状の包持部42が設けられ、さらにその他方に着座部43が設けられている。
そして、この本体4Aと連結枠体4Bと縦ボルト4Cとは、係合状に組み合わされ、その着座部43を折板屋根30の載置部33上に受支させると共に、その包持部42がハゼ部35,35'を覆うように配置した状態で前記縦片部分に設けた通孔に連結具44を締着することにより一体化され、折板屋根30上に太陽電池パネル1を敷設するための基準面を構成する。
【0028】
前記受け金具5は、
図2(b)に示すように前後の端縁が前記持出金具4の受けフランジ41に沿わせる受支部51,51であり、その間に隆状に形成された固定受部52が形成され、該固定受部52の略中央には、前記持出金具4の縦ボルト4Cが挿通する孔521が形成され、その左右端を折曲した折り曲げ部522、522が前方及び後方に設けられている。
この受け金具5は、後述する太陽電池パネル1の敷設を容易にするものであって、受支部51.51と固定受部52の端縁(折り曲げ部522)が、太陽電池パネル1,1の端縁を係止する位置規制作用を果たす。
【0029】
前記太陽電池パネル1は、太陽電池セルをガラス等に積層させてモジュール化し、周縁に枠体(フレーム)11を配して敷設したものである。この枠体11は、上端に略コ字状の保持部分111を有し、該保持部分から下方へ沿在する縦片状の側壁部112を有し、下端には前記受け金具5の受支部51上に沿わせる着地部分が形成され、この下端(着地部分)が前記受け金具5の受支部51上に支持される状態で敷設されている。
【0030】
前記押さえ部材6は、
図2(c)に拡大して示すように前後の上方へ折曲されたフランジ状の端縁が太陽電池パネル1の端縁を上方から押さえる押さえ部61,61であり、その間に略平坦状の平板部62が形成され、該平板部62の略中央には、前記持出金具4の縦ボルト4Cが挿通する孔621が形成されている。さらに、この平板部62の左右の側縁を下方へ折曲し、下端が前記受け金具5の固定受部52に着座する受片部622,622が形成されている。また、一方(図面手前側)の押さえ部61の左右に、傾斜状の起立片である取付部63,63が設けられている。
【0031】
この第1実施例の外設部材2は、
図2(a)に拡大して示すように取付状態において、前記太陽電池パネル1の枠体11より上方に延出する起立部21と、枠体11の側壁部112に沿う略垂直な縦片状の垂下部22と、からなる。この垂下部22は、複数箇所(4箇所)に形成され、各垂下部22には、ビス2bを取り付ける取付孔221が形成されている。
そして、
図1(a)に示すように前記垂下部22を前記枠体11の側壁部112に沿わせた状態で側方からビス2bを取り付けて一体化することができる。
【0032】
このような構成の外設部材2は、平板状の金属板材を加工原料として極めて簡単な加工で作成することができる。
即ちこの外設部材2は、金属板材の下端から上方に向かって切り込みを複数箇所に形成し、この切り込みに挟まれる部分を略直角に折り曲げて横片部23とし、折り曲げない部分を垂下部22とする。また、切り込み端の上方を傾斜状に折曲すると共にその上端近傍を略水平状に折り曲げて起立部21としたものである。
【0033】
これらの各部材からなる外装構造の施工手順を以下に説明する。
まず、ハゼ組み式の折板屋根30上に、前記構成の持出金具4を一体状に取り付ける。この持出金具4の取付は、予め本体4Aと連結枠体4Bと縦ボルト4Cとを一体状に組んだ状態で、前記折板屋根30に形成されたハゼ部35,35'の左右から本体4Aを組み付けることで半ば自動的に一体化され、縦ボルト4Cが持出金具4に立設されるものとなる。
次に、折板屋根30に取り付けた持出金具4の縦ボルト4Cに、前記構成の受け金具5を挿通させて配置する。
続いて、配置させた受け金具5の受支部51,51に、前記太陽電池パネル1,1の棟端(下面)、軒端(下面)を支持させて敷設する。
なお、前述のように受け金具5は、受支部51.51と固定受部52との間に折り曲げ部522を設けたので、該折り曲げ部(位置規制部)522に太陽電池パネル61端縁を押し当てるように敷設することにより、位置規制が果たされる。
その後、前記構成の押さえ部材6を、平板部62に設けた孔621に、前記持出金具4の縦ボルト4Cを挿通させ、ナット4Dで固定する。その際、押さえ部61を敷設した太陽電池パネル1,1の端縁(上面)に沿在するように保持させて固定する。
そして、前記外設部材2の垂下部22を、敷設した太陽電池パネル1の棟側の枠体11の側壁部112に沿わせると共に横片部23を太陽電池パネルの1の枠体11の上面に沿わせ、この状態で、
図1(a)に図示するように側方(棟側)からビス2bを取り付けることにより一体化した。
【0034】
なお、この外装構造は、前述のように太陽電池パネル1の敷設後に外設部材2を取り付けたが、太陽電池パネル1の配設以前に、ほぼ同様の手順で外設部材2を一体化させた状態で太陽電池パネル1を敷設するようにしてもよい。
【0035】
このように本発明の外設部材2は、枠体11の側壁部112に沿わせて取り付ける垂下部22と枠体11より上方に延出する起立部21とを有するので、設置後又は設置前の太陽電池パネル1の側方から沿わせると共に容易に取り付けして一体化することができる。そのため、太陽電池パネル1を敷設した新設屋根には勿論のこと、太陽電池パネル1を敷設してなる既設屋根にも容易に適用できる。
また、外設部材2の取付けは、垂下部22を、枠体11の支持部111にではなく側壁部112に取り付けるため、共に縦片状の垂下部22と側壁部112との固定(接合)であるため、太陽電池モジュール1の支持や保持に影響を与えることがなく取り付けることができる。また、外設部材2の起立部21は、雪止め具として作用させることができ、太陽電池パネル1の裏面空間12内の空気を排出する作用も果たすので、太陽電池パネル1の裏面空間12内の排熱が円滑に行え、太陽電池セル10の発電効率の低下を抑制することができる。
【0036】
また、この第1実施例の外設部材2は、縦片状に形成した垂下部22を縦片状の側壁部112に接面状に沿わせ、ビス止めして一体化したので、安定に太陽電池パネル1に取り付けられる。
【0037】
さらに、この第1実施例の外設部材2は、太陽電池パネル1の上面に延設される横片部23を有するので、太陽電池パネル1の枠体11の側壁部112に接面状に沿わせる垂下部22に加え、太陽電池パネル1の上面にこの横片部23が沿うため、より安定に外設部材2を取り付けることができる。
【0038】
図4(a)〜(f)、及び
図5(a)〜(e)には、枠体11X,11Yの側壁部112への外設部材2の垂下部22の取付態様のバリエーションを示す。なお、
図4における枠体11X、
図5における枠体11Y、及び側壁部112は、それぞれ各態様において一部構成が異なるが、取付態様に関与する部位を強調して説明するため、同一符号にて表記している。
【0039】
図4(a)〜(f)に示す各態様において、外設部材2A〜2Fにおける起立部21'(21")は略垂直状である点で共通し、特に
図4(a)〜(d)の態様は、垂下部に設けた嵌合部22a〜22dを枠体11Xの側壁部112に設けた嵌合受部11a〜11dに嵌合させて取り付ける点でも共通する。
【0040】
図4(a)に示す態様は、枠体11に側方へ突出する膨出部として嵌合受部11aが設けられ、それと嵌合する嵌合部22aは側方が開放する溝状部として形成されている。なお、この態様における垂下部は、前記起立部21'の下方に位置して前記嵌合部22aを含む部分を指す。
【0041】
図4(b)に示す態様は、枠体11Xに側方へ突出状に側方が開放する溝状部が嵌合受部11bとして設けられ、それと嵌合する嵌合部22bは側方へ突出する膨出部として形成されている。なお、この態様における垂下部は、前記起立部21'の下方に位置して前記嵌合部22bを含む部分を指す。
【0042】
図4(c)に示す態様は、枠体11Xに側方へ突出状に上方が開放する溝状部として嵌合受部11cが設けられ、それと嵌合する嵌合部22aは下方へ突出する膨出部として形成されている。なお、この態様における垂下部は、前記起立部21'の下方に位置して前記嵌合部22cを含む全ての部分を指す。
【0043】
図4(d)に示す態様は、枠体11Xに側方へ突出状に所定幅の溝状部分である嵌合受部11dが設けられ、それと嵌合する嵌合部22dは、下端と中段突状部とで形成される所定幅の嵌め込み部分である。なお、この態様における垂下部は、前記起立部21'の下方に位置して前記嵌合部22dを含む全ての部分を指す。
【0044】
図4(e)に示す態様は、外設部材2Eの垂下部22e自体は略垂直な縦片状に形成される点では前記第1実施例と同様であるが、枠体11Xの側壁部112には、側方が開放する溝状部11fが形成され、該溝状部11fにボルト2cが保持され、前記枠体11Xの側壁部112に前記垂下部22eを沿わせた状態で前記ボルト2cにナット2dを締め付けて固定した構成である。
【0045】
図4(f)に示す態様は、枠体11Xの上端に側方へ突出状に所定幅の溝状部が嵌合受部11fとして設けられ、それと嵌合する嵌合部22fは側方へ突出する膨出部として形成されている点では前記
図4(b)と同様である。この態様では、起立部21"が略L字状であり、押さえ部材6'の押さえ部61で支持部111を押さえると共にその先端に形成した押さえ片611にて前記略L字状の起立部21"も押さえ保持する。
【0046】
図5(a)〜(e)に示す各態様において、隣接する太陽電池パネル1,1間には、戦線で示す押さえ部材6が起立状のボルト6bにナット6cを締め付けて固定される構成であるが、この構成については、特に説明を省略する。
【0047】
図5(a)に示す態様は、垂下部22の上端及び下端に横片部23,24が設けられ、枠体11Yを上下から保持できる構造であり、
図5(b)に示す態様は、これら横片部23,24が形成されない構成であるが、何れも略垂直な縦片状である垂下部22を枠体11Yの側壁部112に接面状に沿わせてビス止め(ビス2b)する構成である。また、これらの態様は、外設部材2G,2Hの起立部21g,21iが外側に傾斜する傾斜片状である点でも共通する。
図5(c)に示す態様も、外設部材2Iの垂下部22を枠体11Yの側壁部112に対してビス止めする点については共通するが、この外設部材2Iの起立部21iは、外側への傾斜状であり、弧状(曲面状)に成形された例である。
【0048】
図5(d)に示す態様は、枠体11Zに側方へ向く嵌合溝11jが形成され、該嵌合溝11jに外設部材2Jの垂下部に形成した嵌合凸部22jを嵌合させて取り付ける構成である。なお、この態様における垂下部は、基端が太く先端が細く形成された起立部22jの下方に位置して前記嵌合凸部22jを含む全ての部分を指す。
【0049】
図5(e)に示す態様は、枠体11"に側方へ隆出する隆出部が形成され、該隆出部の上面及び側面に沿うように略L字状に垂下部22kが形成され、上方からビス打ちして取り付けられる構成である。なお、この態様における側壁部112"は、支持部111の下方に位置して前記隆起部を含む全ての部分を指し、垂下部22kは、前述のように略L字状を指す。
【0050】
図5(f)は、三つの態様を例示として示した。まず、左端及び右端の態様に示すように枠体11を構成する支持部111は、コ字状でもよいし、中央の態様に示すように逆L字状でもよく、その場合、図示しない太陽電池パネル1の端縁を載置状に支持させればよい。また、これらの三つの態様では、何れも垂下部112を何れも略鉛直な縦片状に成形したが、前述した
図4や
図5の態様のようにどのように形成してもよい。さらに、左端及び中央の態様では、垂下部112の下端に横片部114を設け、太陽電池モジュール10以外の電気的設備等を支持する部分としてもよい。