特許第6118170号(P6118170)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6118170
(24)【登録日】2017年3月31日
(45)【発行日】2017年4月19日
(54)【発明の名称】多層セラミック基板およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H05K 3/46 20060101AFI20170410BHJP
   H05K 1/02 20060101ALI20170410BHJP
【FI】
   H05K3/46 H
   H05K3/46 N
   H05K1/02 M
【請求項の数】4
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2013-99772(P2013-99772)
(22)【出願日】2013年5月10日
(65)【公開番号】特開2014-220438(P2014-220438A)
(43)【公開日】2014年11月20日
【審査請求日】2016年3月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004547
【氏名又は名称】日本特殊陶業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098615
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 学
(72)【発明者】
【氏名】宮路 隆幸
(72)【発明者】
【氏名】西村 貞浩
【審査官】 小林 大介
(56)【参考文献】
【文献】 特開平05−102342(JP,A)
【文献】 特表2008−532326(JP,A)
【文献】 米国特許第6541712(US,B1)
【文献】 特開平11−346057(JP,A)
【文献】 特開2011−040662(JP,A)
【文献】 特開平06−291463(JP,A)
【文献】 特開2007−266196(JP,A)
【文献】 特開2004−165247(JP,A)
【文献】 特開2002−353626(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 1/02
H05K 3/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のセラミック層が積層された基板本体と、
上記基板本体において、隣接する複数のセラミック層を厚み方向に沿って同軸状に貫通する複数の連続ビア導体と、を備えた多層セラミック基板であって、
上記連続ビア導体の少なくとも1つは、該連続ビア導体において隣接する上記複数のセラミック層間に位置するセラミック系の絶縁層により絶縁されていると共に、かかる絶縁層は、隣接する上記セラミック層間に形成された配線層内の隙間、あるいは、複数の配線層同士間の間隙に位置している、
ことを特徴とする多層セラミック基板。
【請求項2】
前記基板本体は、該基板本体の表面の中央側に開口するキャビティを有し、隣接する複数の前記セラミック層は、該キャビティの底面と側面とを形成するものであり、前記絶縁層の周辺部の一部は、上記キャビティの側面と面一状であるか、あるいは該キャビティの底面側に延在し且つ当該キャビティ内に露出している、
ことを特徴とする請求項1に記載の多層セラミック基板。
【請求項3】
複数のセラミック層が積層された基板本体と、該基板本体において、隣接する複数のセラミック層を厚み方向に沿って同軸状に貫通する複数の連続ビア導体と、を備えた多層セラミック基板の製造方法であって、
複数のセラミックグリーンシートに複数のビアホールを形成する工程と、
上記グリーンシートごとのビアホールに導電性ペーストを充填して未焼成の単位ビア導体を形成する工程と、
上記グリーンシートの表面および裏面の少なくとも一方に導電性ペーストを印刷して、未焼成で内部に隙間を有する配線層、あるいは未焼成で隣接する複数の配線層を形成する工程と、
少なくとも1つの上記グリーンシートの表面および裏面の少なくとも一方において、上記単位ビア導体の端面が露出する位置およびその周囲に、セラミック系の絶縁ペーストを配置して未焼成の絶縁層を形成する工程と、
複数の上記グリーンシートを、該グリーンシートごとの上記単位ビア導体が軸方向に沿って同軸状に連続するように積層する工程と、を含み、
上記絶縁層を形成する工程において、上記未焼成の絶縁層は、上記配線層内の隙間、あるいは上記複数の配線層同士間の間隙に形成される、
ことを特徴とする多層セラミック基板の製造方法。
【請求項4】
前記複数のグリーンシートは、前記基板本体の表面の中央側に開口するキャビティの底面と、該キャビティの側面とを構成するものであり、
上記複数のグリーンシート間に形成される前記未焼成の絶縁層の周辺部の一部は、前記積層工程において、上記キャビティの側面と面一状であるか、あるいは該キャビティの底面に延在し且つ当該キャビティ内に露出している、
ことを特徴とする請求項3に記載の多層セラミック基板の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のセラミック層を厚み方向に沿って同軸状に貫通する複数の連続ビア導体を有する多層セラミック基板およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、セラミック層を貫通するビア導体を有するセラミック基板の製造工程においては、表面および裏面の少なくとも一方に配線層が予め形成されたグリーンシートに対し、専用の金型に配設された複数本のポンチにより、複数のビアホールを所要の位置ごとに穿孔している。ところで、異なるパターンのビア導体を含むセラミック基板を製造するたびに、専用の金型を用意していると、金型コストおよび得られるセラミック基板のコストが上昇する、という問題点があった。
前記問題点を解決し、可及的にビアホール穿孔用の金型を共通化し、コストダウンを図り、保守管理を容易にするべく、共通化した金型における複数のポンチによりグリーンシートに複数のビアホールを穿孔し、該ビアホール内ごとに導体ペーストを充填して穴埋めした後、上下層の配線層同士の導通が不要となる位置ごとの導体ペーストを選択し、該導体ペーストの上下端の露出面を、グリーンシートの表面または裏面に形成する絶縁層により被覆して、非導通状態とする多層配線セラミック基板の製造方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
前記多層配線セラミック基板の製造方法では、複数のビアホール内に充填された導体ペーストを有するグリーンシートの表面または裏面の少なくとも一方に、上下層の配線層同士の導通が不要となる位置の導体ペーストの露出面を覆い、且つかかる導通が必要となる位置ごとの導体ペーストの端面を露出させるように、上記グリーンシートの表面または裏面のほぼ全面に前記絶縁層を形成している。
しかし、上記のように、グリーンシートのほぼ全面にわたり絶縁層を形成した場合、得られる多層配線セラミック基板全体の厚みが増加し、薄肉化ないし小型化の要請に逆行すると共に、前記導通が必要な導体ペーストの露出する端面ごとに開口する多孔状の前記絶縁層を、上記グリーンシートの表面または裏面のほぼ全面に形成することは、その製造工程が煩雑化する、という問題点があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−291463号公報(第1〜6頁、図1〜6)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、背景技術で説明した問題点を解決し、複数のセラミック層を厚み方向に沿って同軸状に貫通する連続ビア導体を複数個有し、導通が不要な連続ビア導体のみを絶縁し、且つ基板本体の寸法および形状が正確な多層セラミック基板、および該多層セラミック基板を比較的低コストにより確実に得られる製造方法を提供する、ことを課題とする。
【課題を解決するための手段および発明の効果】
【0006】
本発明は、前記課題を解決するため、厚み方向に隣接するセラミック層ごとを貫通する単位ビア導体同士の接続部付近で且つ前記セラミック層間に位置する配線層内の隙間などに絶縁層を形成する、ことに着想して成されたものである。
即ち、本発明の多層セラミック基板(請求項1)は、複数のセラミック層が積層された基板本体と、該基板本体において、隣接する複数のセラミック層を厚み方向に沿って同軸状に貫通する複数の連続ビア導体と、を備えた多層セラミック基板であって、上記連続ビア導体の少なくとも1つは、該連続ビア導体において隣接する上記複数のセラミック層間に位置するセラミック系の絶縁層により絶縁されていると共に、かかる絶縁層は、隣接する上記セラミック層間に形成された配線層内の隙間、あるいは、複数の配線層同士間の間隙に位置している、ことを特徴とする。
【0007】
これによれば、複数のセラミック層を同軸状に貫通する複数の前記連続ビア導体のうち、導通が不要な連続ビア導体は、該ビア導体が貫通する配線層内の隙間、あるいは隣接する複数(2以上)の配線層間の隙間に形成されたセラミック系の絶縁層によって、電気的に絶縁されている。しかも、上記絶縁層は、厚み方向で隣接する2層のセラミック層間に配設された配線層の内側に位置する隙間、あるいは同じセラミック層間に隣接する複数の配線層同士間の隙間に形成されている。そのため、共通の金型によって複数の連続ビア導体が複数のセラミック層の厚み方向に沿って形成され、これらのうち導通が不要な連続ビア導体は、前記絶縁層により絶縁されていると共に、該絶縁層は、前記何れかの隙間に形成されているので、基板本体の表面や裏面に凹みなどの悪影響が生じにくくされている。
従って、複数のセラミック層を厚み方向に沿って同軸状に貫通する連続ビア導体を複数個有し、導通が不要な連続ビア導体のみを絶縁していると共に、基板本体の寸法および形状が正確な多層セラミック基板となっている。
【0008】
尚、前記セラミックは、例えば、アルミナ、ムライト、窒化アルミニウムなどの高温焼成セラミックのほか、低温焼成セラミックの一種であるガラスーセラミックも含む。
また、前記絶縁層は、前記セラミックと同じか、該セラミックと第1成分が同じである同種のセラミック、あるいは、第1成分が異なる異種のセラミックであるほか、これらのセラミックを主成分として含有するものも含まれる。
更に、前記連続ビア導体が複数のセラミック層を同軸状に貫通するとは、隣接するセラミック層間において、個々の単位ビア導体の軸心がズレていたとしても、互いに接触し且つ電気的導通が可能であることを指す。
また、前記連続ビア導体、単位ビア導体、および配線層は、例えば、W、Mo、Cu、Agなどや、これらの何れかをベース(第1成分)とする合金からなる。
【0009】
更に、前記連続ビア導体には、複数のセラミック層に同軸状に形成された複数のスルーホールの内壁面に沿って形成された円筒形状の連続スルーホール導体を含み、該連続スルーホール導体は、外径および内径が同じか同等である複数の単位スルーホール導体を同軸状に接続したものである。
また、前記配線層内に位置する隙間は、平面視で、円形、長円形、楕円形、四角形以上の正多角形あるいは変形多角形を呈する。
更に、前記複数の配線層間とは、同じセラミック層間に位置し且つ互いに離れて隣接する複数(2つ)の配線層同士間の上記セラミック層間で、且つ平面視で近接する複数の配線層間に位置する帯状ないし異形状などを呈する領域である。
また、前記セラミック層と絶縁層とは、異なる組成のセラミックからなる場合は基より、同じセラミックからなる場合でも、密度などが相違しているので、前記基板本体の断面において両者を区別して視認することが可能である。
加えて、前記絶縁層は、平面視で絶縁すべき連続ビア導体の直径の少なくとも2倍、望ましくは3倍以上の直径、短径、あるいは一辺の長さなどを有している。
【0010】
また、本発明には、前記基板本体は、該基板本体の表面の中央側に開口するキャビティを有し、隣接する複数の前記セラミック層は、該キャビティの底面と側面とを形成するものであり、前記絶縁層の周辺部の一部は、上記キャビティの側面と面一状であるか、あるいは該キャビティの底面側に延在し且つ当該キャビティ内に露出している、多層セラミック基板(請求項2)も含まれる。
これによれば、上記キャビティの底面と側面とを形成し且つ厚み方向で隣接する2層のセラミック層間であって、該セラミック層間で隣接する複数の配線層間の隙間に位置し、且つ少なくとも上記2層のセラミック層を厚み方向で同軸状に貫通する連続ビア導体の中間に、セラミック系の前記絶縁層が形成されている。しかも、該絶縁層におけるキャビティ側の周辺部、あるいは該周辺部の一部は、上記キャビティの側面と面一状(ほぼ面一)であるか、あるいは該キャビティの底面側に延在し且つ当該キャビティ内に露出している。従って、複数の連続ビア導体のうち、導通が不要な連続ビア導体を絶縁できると共に、製造時での積層工程およびこれに続く圧着工程において、キャビティを囲む上層側のグリーンシートがキャビティ側に傾いて倒れ込む事態が抑制されているので、所要の形状および寸法のキャビティを含む基板本体を有する多層セラミック基板とされている。
尚、前記面一状とは、前記周辺部の一部が前記キャビティの側面よりも該側面の奥側に100μm以下の範囲(例えば、数10μm程度)で位置していることも含んでいる。
【0011】
一方、本発明による多層セラミック基板の製造方法(請求項3)は、複数のセラミック層が積層された基板本体と、該基板本体において、隣接する複数のセラミック層を厚み方向に沿って同軸状に貫通する複数の連続ビア導体と、を備えた多層セラミック基板の製造方法であって、複数のセラミックグリーンシートに複数のビアホールを形成する工程と、該グリーンシートごとのビアホールに導電性ペーストを充填して未焼成の単位ビア導体を形成する工程と、上記グリーンシートの表面および裏面の少なくとも一方に導電性ペーストを印刷して、未焼成で内部に隙間を有する配線層、あるいは未焼成で隣接する複数の配線層を形成する工程と、少なくとも1つの上記グリーンシートの表面および裏面の少なくとも一方において、上記単位ビア導体の端面が露出する位置およびその周囲に、セラミック系の絶縁ペーストを配置して未焼成の絶縁層を形成する工程と、複数の上記グリーンシートを、該グリーンシートごとの上記単位ビア導体が軸方向に沿って同軸状に連続するように積層する工程と、を含み、上記絶縁層を形成する工程において、上記未焼成の絶縁層は、上記配線層内の隙間、あるいは上記複数の配線層同士間の間隙に形成される、ことを特徴とする。
【0012】
これによれば、共通の金型によって複数のグリーンシートを同軸状に貫通するように形成された複数の前記単位ビア導体のうち、導通が不要となる複数の単位ビア導体は、該複数の単位ビア導体が貫通する配線層内の隙間、あるいは隣接する複数(2以上)の配線層間の隙間に形成されたセラミック系の絶縁層により、電気的に絶縁される。しかも、上記絶縁層は、厚み方向で隣接する2層のグリーンシート間に配設された配線層の内側に位置する隙間、あるいは同じグリーンシート間で隣接する複数の配線層同士間の隙間に形成される。そのため、焼成後に得られる複数の連続ビア導体が、積層後における複数のセラミック層の厚み方向に沿って形成され、これらのうち、導通が不要となる連続ビア導体は、前記絶縁層により絶縁されると共に、該絶縁層は、前記何れかの隙間に形成されるので、積層後および焼成後の基板本体における表面や裏面に凹みなどが生じる事態を皆無にすることができる。
従って、比較的低コストによって、複数の連続ビアを含む基板本体の寸法および形状が正確な多層セラミック基板を確実に製造することが可能となる。
【0013】
尚、前記セラミックグリーンシートは、前記セラミックの粉末にバインダ樹脂や溶剤などを混合したセラミックスラリをシート状に成形したものである。
また、前記積層工程の後には、積層された複数のセラミックグリーンシートの積層体を前記連続ビア導体や配線層などと同時に焼成する工程と、その後に外部に露出する表・裏面端子の表面にメッキ層を被覆するメッキ工程とが行われる。
更に、前記製造方法には、前記複数のグリーンシートを平面視で縦横に隣接する複数の基板領域を併有する製品領域と、その外周側に位置する耳部とからなるものとした多数個取りの形態も含まれる。
【0014】
また、本発明には、前記複数のグリーンシートは、前記基板本体の表面の中央側に開口するキャビティの底面と、該キャビティの側面とを構成するものであり、上記複数のグリーンシート間に形成される前記未焼成の絶縁層の周辺部の一部は、前記積層工程において、上記キャビティの側面と面一状であるか、あるいは該キャビティの底面に延在し且つ当該キャビティ内に露出している、多層セラミック基板の製造方法(請求項4)も含まれる。
これによれば、上記キャビティの底面と側面とを形成し且つ厚み方向で隣接する2層のグリーンシート間であって、該グリーンシート間で隣接する複数の配線層間の隙間に位置し、且つ少なくとも上記2層のグリーンシートを厚み方向で同軸状に貫通する連続ビア導体の中間に、セラミック系の前記絶縁層が形成される。しかも、該絶縁層におけるキャビティ側の周辺部、あるいは該周辺部の一部は、上記キャビティの側面と面一状か、あるいは該キャビティの底面側に延在し且つ当該キャビティ内に露出している。従って、複数の連続ビア導体のうち、導通が不要な連続ビア導体を絶縁できると共に、前記積層工程とこれに続く圧着工程で、キャビティを囲む上層側のグリーンシートが当該キャビティ側に傾く事態(倒れ込み)が抑制されるので、所要の形状および寸法のキャビティを含む基板本体を有する多層セラミック基板を、比較的低コストで確実に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明による第1の多層セラミック基板を示す垂直断面図。
図2】(A)は図1中のA−A線の矢視に沿った部分断面図、(B)は図1中のB−B線の矢視に沿った部分断面図、(C)は(B)の変形形態を示す断面図。
図3】第1の多層セラミック基板を得るための一製造工程を示す概略断面図。
図4図3に続く製造工程の概略を示す断面図。
図5図4に続く製造工程の概略を示す断面図。
図6図5に続く製造工程の概略を示す断面図。
図7図6に続く製造工程の概略を示す断面図。
図8図7に続く製造工程の概略を示す断面図。
図9】本発明による第2の多層セラミック基板を示す垂直断面図。
図10図9中のX−X線の矢視に沿った水平断面図。
図11】第2の多層セラミック基板を得るための一製造工程を示す概略断面図。
図12図11に続く製造工程の概略を示す断面図。
図13図12に続く製造工程の概略を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下において、本発明を実施するための形態について説明する。
図1は、本発明による第1の多層セラミック基板1aを示す垂直断面図、図2(A)は、図1中のA−A線の矢視に沿った部分断面図、図2(B)は、図1中のB−B線の矢視に沿った部分断面図、図2(C)は、(B)の変形形態である。
第1の多層セラミック基板1aは、図1に示すように、複数のセラミック層3〜5が積層され且つ表面6および裏面7を有する基板本体2aと、該基板本体2aの表面6と裏面7との間を同軸状に貫通する複数の連続ビア導体12と、セラミック層4,5間に形成された所定のパターンを有する複数の配線層13とを備えている。更に、基板本体2aの表面6には、連続ビア導体12ごとの上端部に個別に接続された表面端子14が形成され、該基板本体2aの裏面7には、連続ビア導体12ごとの下端部に個別に接続された裏面端子15が形成されている。
尚、前記セラミック層3〜5は、例えば、アルミナを主成分とするセラミックからなる。また、前記連続ビア導体12、配線層13、表面および裏面端子14,15は、例えば、W、Mo、Cu、あるいはAgなどからなる。
【0017】
図1に示すように、5個(複数)の前記連続ビア導体12は、セラミック層3〜5を厚み方向に沿って同軸状に貫通するように、前記基板本体2a内に形成されている。こられのうち、図1で左右の両端に位置する2個の連続ビア導体12は、セラミック層4,5間に形成された配線層13と接続されている。また、図1で中央に位置する連続ビア導体12は、基板本体2aを構成するセラミック層3〜5を単独で且つ直線状に貫通している。
更に、図1で左右から2番目ごとに位置する2個の連続ビア導体12は、第1の多層セラミック基板1aでは、導通が不要なものである。そのため、該2個の連続ビア導体12は、これらがセラミック層4,5間と交差するに位置ごとに形成されたセラミック系の絶縁層20によって絶縁されている。該絶縁層20も、セラミック層3〜5と同様のアルミナを主成分とするセラミックからなる。
【0018】
即ち、図1中のA−A線の矢視に沿った部分断面図の図2(A)に示すように、図1で左から2番目に位置する連続ビア導体12は、セラミック層4,5間に位置する前記配線層13内に開設された平面視が円形の隙間13s内に形成された絶縁層20によって絶縁されている。該絶縁層20の直径は、上記連続ビア導体12の直径の約3倍である。
一方、図1中のB−B線の矢視に沿った部分断面図の図2(B)に示すように、図1で右から2番目に位置する連続ビア導体12は、セラミック層4,5間において隣接する2つの配線層13間における隙間13g内に形成された絶縁層20によって絶縁されている。上記隙間13gは、図示のように、絶縁された連続ビア導体12における上下の端面付近では、該連続ビア導体12の直径の約3倍とした円形状の部分と、隣接する2つの配線層13間において、該配線層13同士の絶縁に必要な最小限の幅を有する帯状の部分とからなる。
尚、上記隙間13gに位置する絶縁層20は、図2(C)に示すように、当該隙間13g内において、隣接する2つの配線層13同士間で、且つ絶縁すべき連続ビア導体12の付近に位置する円形滋養の部分だけに形成しても良い。
【0019】
以上のような第1の多層セラミック基板1aによれば、複数のセラミック層3〜5を同軸状に貫通する複数の前記連続ビア導体12のうち、導通が不要な連続ビア導体12は、該ビア導体12が貫通する配線層13内の隙間13s、あるいは隣接する2つの配線層13間の隙間13gに形成された前記絶縁層20によって絶縁されている。しかも、上記絶縁層20は、厚み方向で隣接する2層のセラミック層4,5間に配設された配線層13内に位置する隙間13s、あるいは同じセラミック層4,5間で隣接する2つの配線層13間の隙間13gに形成されている。そのため、共通の金型によって複数の連続ビア導体12が複数のセラミック層3〜5の厚み方向に沿って形成され、これらのうち導通が不要な連続ビア導体12は、前記絶縁層20により絶縁されていると共に、該絶縁層20は、前記隙間13s,13gに形成されているので、基板本体2aの表面6や裏面7に凹みなどの悪影響が生じくくされている。
従って、複数のセラミック層3〜5を厚み方向に沿って同軸状に貫通する複数の連続ビア導体12を有し、導通が不要な連続ビア導体12のみが絶縁されており、基板本体の寸法および形状が正確な多層セラミック基板1aとされている。
【0020】
以下において、前記多層セラミック基板1aの製造方法について説明する。
予め、アルミナ粉末、バインダ樹脂、および溶剤などを適量ずつ配合し、得られたセラミックスラリをドクターブレード法によってシート状に成形することによって、図3に示すように、3枚のグリーンシートg3〜g5を用意した。
次に、図4に示すように、上記グリーンシートg3〜g5における所定の位置ごとに、図示しない複数のポンチを併有する打ち抜き用の金型によって、内径が共通する複数のビアホール12hを平面視でほぼ等間隔にして形成した。
次いで、上記グリーンシートg3〜g5におけるビアホール12h内ごとに、WあるいはMo粉末を含む導電性ペーストを充填することにより、図5に示すように、未焼成である複数の単位ビア導体12uを形成した。図示のように、かかる複数の単位ビア導体12uは、上記グリーンシートg3〜g5の厚み方向において、互いに同軸状となる位置ごとに形成された。
【0021】
更に、図5中で最下層に位置するグリーンシートg5の表面に、上記同様の導電性ペーストをスクリーン印刷することにより、図示のように、平面視が円形である隙間13sを内側に有する未焼成の配線層13と、隙間13gを挟んで隣接する未焼成で且つ2つの配線層13とを形成した。図5中で示すように、上記隙間13sの中心部には、グリーンシートg5に形成した1つの単位ビア導体12uの上端面が露出していた。また、上記隙間13g内における平面視が円形状の部分の中心部には、別の単位ビア導体12uの上端面が露出していた。
次に、図6に示すように、上記配線層13内に位置する隙間13s内と、隣接する2つの配線層13間に挟まれた上記隙間13g内とに対し、所定パターンを有するスクリーン(図示せず)およびスキージ29を用いて、アルミナ(セラミック)粉末を含む絶縁ペースト20pを充填することにより、それぞれ未焼成の絶縁層20を形成した。
【0022】
次いで、前記複数の単位ビア導体12uが形成されたグリーンシートg3,g4と、上記同様の単位ビア導体12u、絶縁層20、および複数の前記配線層13が形成されたグリーンシート5を、グリーンシートg3〜g5ごとの単位ビア導体12uが、互いに軸方向に沿って接触するように積層し、更に圧着した。
その結果、図7に示すように、グリーンシートg3〜g5からなる未焼成の基板本体2aと、図7で中央に位置し且つグリーンシートg3〜g5間を同軸状に貫通する3個の単位ビア導体12uと、グリーンシートg4,g5間で且つ図7で左端または右端に位置する上下の各単位ビア導体12uに接続された3つの配線層13と、を含む未焼成の積層体24が得られた。該積層体24では、図7で左側の配線層13内の隙間13sに位置する絶縁層20より、図7で左から2番目に位置する上下の単位ビア導体12uが絶縁されていた。更に、図7で右側において隣接する2つの配線層13間の隙間13gに位置する絶縁層20より、図示7右から2番目に位置する上下の単位ビア導体12uが絶縁されていた。
【0023】
更に、図8に示すように、前記積層体24における基板本体2aの表面6に露出する単位ビア導体12uごとの上に、前記同様の導電性ペーストをスクリーン印刷して、未焼成である複数の表面端子14を形成すると共に、上記基板本体2aの裏面7に露出する単位ビア導体12uごとの上に、上記同様の導電性ペーストをスクリーン印刷して、未焼成である複数の裏面端子15を形成した。
そして、上記積層体24を脱脂および焼成した後、電解Niメッキ液および電解Auメッキ液に順次浸漬して、上記基板本体2aの外部に露出する各表面端子14および各裏面端子15の表面に、下地側のNiメッキ膜と表層側のAuメッキ膜とからなるメッキ層(図示せず)を被覆した。その結果、前記図1図2(A),(B)で示した第1の多層セラミック基板1aが得られた。
尚、前記焼成工程では、グリーンシートg3〜g5がセラミック層3〜5に焼成され、同軸状に接触していた複数ずつの単位ビア導体12uは、複数の連続ビア導体12となり、その一部は、焼成された絶縁層22により絶縁されていた。
また、以上のような多層セラミック基板1aの製造方法は、多数個取りの形態によって行っても良い。
【0024】
以上のような第1の多層セラミック基板1aの製造方法によれば、共通の金型によって複数のグリーンシートg3〜g5を同軸状に貫通するように形成された複数の単位ビア導体12uのうち、導通が不要な複数の単位ビア導体12uは、該複数のビア導体12uが貫通する配線層13内の隙間13s、あるいは隣接する2つの配線層13間の隙間13gに形成された前記絶縁層20によって電気的に絶縁された。しかも、上記絶縁層20は、厚み方向で隣接するグリーンシートg4,g5間に配設された配線層13内に位置する隙間13s、およびグリーンシートg4,g5間に隣接する2つの配線層13間の隙間13gに形成された。そのため、同軸状である複数の連続ビア導体12が、積層後における複数のグリーンシートg3〜g5の厚み方向に沿って形成され、これらのうち、導通が不要な連続ビア導体12は、前記絶縁層20により絶縁され、該絶縁層20は、前記隙間13s,13gの一方に形成されたので、積層後および焼成後における基板本体2aの表面6や裏面7に凹みなどが生じる事態を皆無にすることができた。
従って、比較的低コストによって、複数の連続ビア導体12を含む基板本体2aの寸法および形状が正確な多層セラミック基板1aを確実に製造できた。
【0025】
図9は、本発明による第2の多層セラミック基板1bを示す垂直断面図、図10は、図9中のX−X線の矢視に沿った水平断面図である。
上記多層セラミック基板1bは、図9,10に示すように、前記同様である複数のセラミック層8〜10を積層してなり表面6bおよび裏面7を有する基板本体2bと、該基板本体2bの表面6bにおける中央側に開口したキャビティ16と、該キャビティ16を囲む上記セラミック層8〜10を厚み方向に同軸状に貫通する複数の連続ビア導体12と、を備えている。上層および中層セラミック層8,9は、上記キャビティ16を内設するため、平面視で四角枠形状を呈し、該キャビティ16は、平面視がほぼ正方形でセラミック層10の表面の一部である底面17と、該底面17の四辺から垂直に立設した4つの側面18とを備えている。上記連続ビア導体12ごとの上・下端には、基板本体2bの表面6bに設けた表面端子14と、裏面7に設けた裏面端子15とが個別に接続されている。
【0026】
また、図9,10に示すように、キャビティ16の底面17と基板本体2bの裏面7との間には、複数のビア導体21が貫通しており、該ビア導体21ごとの上端部である上記キャビティ16の底面17には、同数の内部端子19が形成されている。該内部端子19上には、追って該キャビティ16内に実装される図示しない電子部品が搭載される。上記ビア導体21ごとの下端には、基板本体2bの裏面7に設けた裏面端子15が個別に接続されている。
更に、図9,10に示すように、中層のセラミック層9と下層のセラミック層10との間には、平面視が角形状である複数の配線層23が互いに離れて形成され、隣接する配線層23同士間に位置する平面視が角形状の隙間23gごとには、前記同様である複数の絶縁層22が個別に形成されている。
【0027】
図10において、四隅に位置する配線層23内には、円形の隙間23sが形成され、該隙間23sに配置された絶縁層22が、当該隙間23sの中心部に接する連続ビア導体12を絶縁している。また、図10において、四辺に位置する複数の配線層23の上・下面には、連続ビア導体12が個別に接続されている。
一方、図10において、四辺に位置する複数の配線層23同士の隙間23gごとには、角形状の絶縁層22が形成され、該絶縁層22により、上下の連続ビア導体12を絶縁している。かかる絶縁層22におけるキャビティ16側の周辺部22aは、図9,10に示すように、キャビティ16の側面18と面一であるか、あるいは該キャビティ16の底面17側に延在し、且つ該キャビティ16内に露出している。
尚、上記周辺部22aの一部は、キャビティ16側の辺の一部でも良い。また、該周辺部22aは、100μm以下の範囲内でキャビティ16の側面18よりも該側面18の奥側に僅かに下がって位置する面一状(ほぼ面一)であっても良い。
【0028】
以上のような第2の多層セラミック基板1bによれば、前記キャビティ16の底面17と側面18とを形成し且つ厚み方向で隣接するセラミック層9,10間であり、且つ該セラミック層9,10間で隣接する複数の配線層23間の隙間23gに位置し、且つ複数のセラミック層8〜10を厚み方向で同軸状に貫通する複数の連続ビア導体12における何れかの中間に、前記絶縁層22が形成されている。しかも、該絶縁層22におけるキャビティ16側の周辺部22a、あるいは該周辺部22aの一部は、上記キャビティ16の側面18と面一であるか、該キャビティ16の底面17側に延在し且つ当該キャビティ16内に露出している。しかも、前記配線層23内の隙間23sに設けた絶縁層22によって、キャビティ16の開口部を囲む基板本体2bの表面6bにも、凹みなどが生じていない。
従って、複数の連続ビア導体12のうち、導通が不要な連続ビア導体12を絶縁できると共に、製造時での積層および圧着工程において、キャビティ16を囲む上層側のグリーンシートがキャビティ側に傾いて倒れ込む事態が抑制されているので、所要の形状および寸法のキャビティ16を含む基板本体2bを有する多層セラミック基板1bとされている。
【0029】
以下において、前記多層セラミック基板1bの製造方法について説明する。
予め、前記同様の方法により、3枚のグリーンシートg8〜g10を用意した。これらのうち、上層側となるグリーンシートg8,g9の中央部に対し、断面角形のポンチと該断面と相似形の抜き孔を有するダイとによる打ち抜き加工を行った。その結果、図11に示すように、下層側の平坦なグリーンシート10のほかに、平面視が角形の貫通孔18hを有するグリーンシートg8,g9が得られた。
次に、図11中の右側に示すように、グリーンシートg8〜g10における所定の位置ごとに、前記同様の複数のポンチを併有する打ち抜き用の金型によって、複数のビアホール12hを形成した。次いで、図11中の左側に示すように、ビアホール12hごと内に、前記同様の導電性ペーストを充填して、未焼成の単位ビア導体12uを個別に形成した。
【0030】
更に、下層側のグリーンシートg10における表面の周辺部に沿って、前記同様の導電性ペーストをスクリーン印刷することで、複数の配線層23を形成した後、図12に示すように、隣接する配線層23同士間の隙間23gごとに、前記同様の絶縁ペーストからなる未焼成の絶縁層22を上記同様にして印刷した。この際、該絶縁層22におけるグリーンシートg10の中心側と周辺側との幅w2は、中・上層側のグリーンシートg8,g9の幅w1よりも大きく形成された。
次に、前記複数の単位ビア導体12uが形成されたグリーンシートg8,g9と、上記同様の単位ビア導体12u、絶縁層22、および複数の前記配線層23が形成されたグリーンシート10を、グリーンシートg8〜g10ごとの単位ビア導体12uが、互いに軸方向に沿って接触するように積層し、更に圧着した。
【0031】
その結果、図13に示すように、グリーンシートg8〜10が積層されてなり、表面6bおよび裏面7と該表面6bに開口するキャビティ16とを有する未焼成の基板本体2bと、前記キャビティ16の底面17と基板本体2bの裏面7との間を貫通する複数のビア導体21と、上記基板本体2bの周辺部を同軸状に貫通する未焼成で複数ずつで且つ複数組の単位ビア導体12uと、これらのうち、絶縁すべき単位ビア導体12u同士間で且つグリーンシートg9,g10間に形成された未焼成の絶縁層22と、を備えた未焼成の積層体26が得られた。
上記積層体26において、複数の配線層23のうち、一部の配線層23の上・下面には、単位ビア導体12uが同軸状に接続されており、残部の配線層23では、該配線層23内に位置する隙間23s内に形成された未焼成の絶縁層22によって、該絶縁層22の中心部における上・下面に同軸状に接する上下の単位ビア導体12uが絶縁されていた。
【0032】
しかも、前記積層および圧着工程では、予め、前記絶縁層22の幅w2を上・中層のグリーンシートg8,g9の幅w1よりも大きく設定したので、キャビティ16を囲む上記グリーンシートg8,g9が当該キャビティ16側に傾く所謂「倒れ込み」現象を確実に防ぐこともできた。
更に、図13に示すように、前記ビア導体21の上・下端に内部端子19と裏面端子15とを個別に接続すると共に、同軸状である複数の単位ビア導体12uの上・下端ごとに、表面端子14と裏面端子15とを個別に接続した。
そして、上記積層体26を脱脂および焼成した後、電解Niメッキ液および電解Auメッキ液に順次浸漬して、上記基板本体2bの外部に露出する各表面端子14、各裏面端子15、および各内部端子19との表面に、下地側のNiメッキ膜と表層側のAuメッキ膜とからなるメッキ層(図示せず)を被覆した。その結果、前記図9図10で示した第1の多層セラミック基板1bが得られた。
【0033】
尚、前記焼成時でも、予め、前記絶縁層22の幅w2を上・中層のグリーンシートg8,g9の幅w1よりも大きく設定してあったので、焼成後の絶縁層22におけるキャビティ16側の周辺部22aは、該キャビティ16の底面17側に延在しているか、少なくとも当該キャビティ16の側面18と面一状であった。
また、前記焼成工程では、グリーンシートg8〜g10がセラミック層8〜10となると共に、同軸状に接触していた複数ずつの単位ビア導体12uは、複数の連続ビア導体12となり、その一部は、焼成された絶縁層22により絶縁されていた。
更に、以上のような多層セラミック基板1bの製造方法は、多数個取りの形態によって行っても良い。
【0034】
以上のような第2の多層セラミック基板1bの製造方法によれば、前記キャビティ16の底面17と側面18とを形成し且つ厚み方向で隣接するグリーンシートg9,g10間で隣接する複数の配線層23同士間の隙間23gに位置し、且つのグリーンシートg8〜g10を厚み方向で同軸状に貫通する複数の単位ビア導体12uの中間に、前記絶縁層22を形成された。しかも、該絶縁層22におけるキャビティ16側の周辺部22a、あるいは該周辺部22aの一部は、上記キャビティ16の側面18と面一か、あるいは該キャビティ16の底面17側に延在し且つ当該キャビティ16内に露出した。しかも、前記配線層23内の隙間23sに設けた絶縁層22によって、キャビティ16の開口部を囲む基板本体2bの表面6bにも、凹みなどが生じなかった。
従って、複数の連続ビア導体12のうち、導通が不要な連続ビア導体12を絶縁できると共に、積層工程、圧着工程、および焼成工程で、キャビティ16を囲む上層側のグリーンシートg8,g9が当該キャビティ16側に傾く事態を抑制できたので、所要の形状および寸法のキャビティ16を含む基板本体2bを有する多層セラミック基板1bを、比較的低コストで確実に製造することができた。
【0035】
本発明は、以上において説明した各形態に限定されるものではない。
例えば、前記セラミック層のセラミックは、前記アルミナに限らず、ムライトや窒化アルミニウムなどの高温焼成セラミックとしたり、ガラス−セラミックなどの低温焼成セラミックとしても良い。後者の場合、前記連続ビア導体や配線層などの導体には、CuあるいはAgが適用される。
また、前基板本体を構成するセラミック層の数は、少なくとも2層であるが、4層以上としても良い。これらに応じて、前記グリーンシートの数も定められる。
更に、前記基板本体内に複数の導通しない前記連続ビア導体が併設されている場合、これらの連続ビア導体を絶縁する前記絶縁層は、異なる位置のセラミック層間ごとに位置する前記隙間に形成しても良い。
加えて、前記キャビティは、1個の基板本体に2つ以上を併設しても良く、例えば、基板本体の同じ表面に2つのキャビティを開口させた形態や、同じ基板本体の表面と裏面とに厚み方向で対称に2つのキャビティを併設しても良い。
【産業上の利用可能性】
【0036】
本発明によれば、複数のセラミック層を厚み方向に沿って同軸状に貫通する複数の連続ビア導体を有し、導通が不要な連続ビア導体のみを絶縁し、且つ基板本体の寸法および形状が正確な多層セラミック基板、および該多層セラミック基板を比較的低コストによって確実に得られる製造方法を提供するできる。
【符号の説明】
【0037】
1a,1b……………………………多層セラミック基板
2a,2b……………………………基板本体
3〜5,8〜10……………………セラミック層
6b……………………………………表面
12……………………………………連続ビア導体
12h…………………………………ビアホール
12u…………………………………単位ビア導体
13,23……………………………配線層
13s,13g,23s,23g…隙間
16……………………………………キャビティ
17……………………………………底面
18……………………………………側面
20,22……………………………絶縁層(セラミック系の絶縁層)
20p…………………………………絶縁ペースト
22a…………………………………絶縁層の周辺部
g3〜g5,g8〜g10…………グリーンシート
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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