【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 「ウォールエクステリアカタログ2013−2014」三協立山株式会社 2013年3月1日発行 第442ページ,第490ページにより公開。
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
デッキ材と前桁と大引と桁材側金具と大引側金具とを備え、大引側金具は、大引に固定してあるとともに、桁材側金具を載せる載置部を有し、デッキ材は、大引の上に固定してあるとともに、大引側金具の上側に配置してあり、前桁は、桁材側金具のみに固定してあり、桁材側金具は、大引側金具に対して前桁の長手方向にスライド自在に係合しており、大引側金具の外周方向に抜けなくする抜け止め部と、大引側金具の載置部に載る被載置部とが設けてあることを特徴とするデッキ。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記のものでは、前桁や側桁が大引の間隔をあけた複数箇所に固定してあることにより、前桁や側桁が熱伸びすると、前桁や側桁を固定している各々の固定箇所において前桁や側桁の長手方向への熱伸びが規制される。これにより、前桁や側桁は、大引の外周側にでこぼことした歪な状態に変形し、デッキの外観の体裁を損なうとともに前桁や側桁が熱伸びにより外れる問題点があった。本発明は、上記課題を鑑みてなされたものであり、外観の体裁が良好で、且つ前桁や側桁が外れないデッキを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明のうち請求項1記載の発明は、デッキ材と前桁と大引と桁材側金具と大引側金具とを備え、大引側金具は、大引に固定してあるとともに、桁材側金具を載せる載置部を有し、デッキ材は、大引の上に固定してあるとともに、大引側金具の上側に配置してあり
、前桁
は、桁材側金具のみに固定してあ
り、桁材側金具は、大引側金具に対して前桁の長手方向にスライド自在に係合しており
、大引側金具の外周方向に抜けなくする抜け止め部と、大引側金具の載置部に載る被載置部とが設けてあることを特徴とする。
【0005】
本発明のうち請求項2記載の発明は、デッキ材と前桁と桁材側金具とデッキ材側金具とを備え、デッキ材側金具は、デッキ材に固定してあるとともに、桁材側金具を載せる載置部を有しており
、前桁
は、桁材側金具のみに固定してあり、
桁材側金具は、デッキ材側金具に対して前桁の長手方向にスライド自在に係合しており
、デッキ材側金具の外周方向に抜けなくする抜け止め部と、デッキ材側金具の載置部に載る被載置部を有していることを特徴とする。
【0006】
本発明のうち請求項3記載の発明は、デッキ材と側桁と大引と桁材側金具と大引側金具を備え、デッキ材と側桁は同一の素材で成形されており、側桁は、デッキ材の側面
及び桁材側金具
のみに固定してあり、桁材側金具は、大引側金具に対して側桁の長手方向にスライド自在に係合しており、大引側金具の外周方向に抜けなくする抜け止め部を有していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明のうち請求項1記載の発明によれば、桁材側金具の被載置部が大引側金具の載置部に載置してあるとともに、桁材側金具と大引側金具が前桁の長手方向にスライド自在に係合してあることから、前桁が長手方向に熱伸びしたときに、これに追従して前桁に固定してある桁材側金具が大引側金具と係合したままスライドする。これにより、前桁は熱伸びを妨げられないことから大引の外周側にでこぼこに波打つことがなく、外観意匠性を維持することができる。さらに、前桁が外周側に変形しないことから桁材側金具から外れない構造となる。
【0008】
本発明のうち請求項2記載の発明によれば、桁材側金具の被載置部がデッキ材側金具の載置部に載置してあるとともに、デッキ材側金具と桁材側金具が前桁の長手方向にスライド自在に係合している。これにより、デッキ材と桁材を固定するタイプのデッキにおいても、前桁の熱伸びに追従して桁材側金具がデッキ材側金具と係合したまま桁材の長手方向にスライドする。したがって、前桁が熱伸びを妨げられないことから、デッキの外周側にでこぼこに波打つことがなくデッキの外観意匠性が維持される。さらに、前桁が外周側に変形しないことから桁材側金具から外れない構造となる。
【0009】
本発明のうち請求項3記載の発明によれば、同一の素材により成形したデッキ材と側桁を固定し、さらに、桁材側金具と大引側金具を側桁の長手方向にスライド自在に係合してある。これにより、デッキ材と側桁が熱伸びしたときに、桁材側金具と大引側金具が側桁の長手方向にスライド自在に係合してあることで、これに追従して桁材側金具が大引側金具に係合したままスライドする。したがって、側桁が熱伸びを妨げられないことから、側桁が外周側にでこぼこに波打つことなくデッキの外観意匠性が維持される。さらに、側桁が外周側に変形しないことから桁材側金具から外れない構造となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1(a)(b)】(a)は、本発明の第一実施形態のデッキの縦断面図であり、(b)は、桁材側金具と大引側金具の取付箇所を拡大した縦断面図である。
【
図2(a)(b)(c)】上記第一実施形態のデッキの一部を拡大した施工手順を示す縦断面図である。
【
図3(a)(b)】(a)は、本発明の第二実施形態のデッキの縦断面図であり、(b)は、桁材側金具とデッキ材側金具の取付箇所を拡大した縦断面図である。
【
図4(a)(b)(c)】上記第二実施形態のデッキの施工手順を示す一部を拡大した縦断面図である。
【
図5(a)(b)】(a)は、本発明の第三実施形態のデッキの縦断面図であり、(b)は、桁材側金具と大引側金具の取付箇所を拡大した縦断面図である。
【
図6(a)(b)(c)】上記第三実施形態のデッキの施工手順を示す一部を拡大した縦断面図である。
【
図7(a)(b)】本発明の第四実施形態のデッキであり、(a)は、桁材側金具と大引き側金具の取付箇所を拡大した縦断面図であり、(b)は、桁材側金具を大引側金具に取り付けるときの施工の状態を拡大した斜視図である。
【
図8(a)(b)】本発明の第五実施形態のデッキであり、(a)は、桁材側金具とデッキ材側金具の取付箇所を拡大した縦断面図であり、(b)は、桁材側金具とデッキ材側金具に取り付けるときの施工の状態を拡大した斜視図である。
【
図9(a)(b)】(a)は、前桁と側桁の突き合わせ箇所を拡大して示す横断面図であり、(b)は、本発明の第一〜第三実施形態のデッキの全体を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、図面に基づいて本発明によるデッキの第一実施形態について説明する。
本実施によるデッキは、
図1(a)と
図9(b)のように、間隔をあけて複数立設する脚6と、各脚6の上部に固定する大引3と、大引3の外周側部に固定してある大引側金具5と、前桁2と、桁材側金具4と、デッキ材1とから構成されている。また、前桁2と側桁20の突き合わせ箇所となるコーナー部は、
図9(a)(b)のように、カバー材30が固定具11で固定して取り付けてあり、前桁2と側桁20の突き合わせ箇所を隠蔽している。
【0012】
デッキ材1は、本発明の第一〜第五実施形態に共通するものが使用されており、
図5(a)と
図9(a)(b)のように、所定幅を有する略矩形の中空形材からなる長尺材であり、対向する側桁20間の大引上部22の上に、側桁20と平行して間隔をあけて複数配設してある。また、デッキ材1の下端部には、デッキ材1の両側下部からデッキ材1の配列方向に向けて突出した鍔部1bが設けてあるとともに、鍔部1bの上面から大引上部22に押圧する押さえ部材10が設けてあり、デッキ材1を大引上部22の上に固定している。
【0013】
前桁2は、
図1(a)のように、本実施によるデッキのデッキ外周側を囲む桁材(前桁2,側桁20)のうちのデッキ外周側の正面側に取り付けられるものである。また、前桁2は、縦断面して縦長略矩形状をなしている。また、前桁2の上部には、デッキ内周側に向けて突出したケーシング部2aが設けてあり、このケーシング部2aで前桁2とデッキ材1との隙間を隠蔽する。さらに、前桁2の内周側には、凹部2bが設けてあり、この凹部2bに桁材側金具4を沿わせることで、桁材側金具4が凹部2bに嵌り込んで位置決めされる。これにより、前桁2と桁材側金具4を固定具11で固定するときに固定しやすくなる。
【0014】
桁材側金具4は、
図1(b)のように、前桁2の内周面に沿って配置する縦長形状のものである。また、桁材側金具4の上下方向の中間部には、上下方向に間隔をあけて上側係合片12と下側係合片13を有している。上側係合片12と下側係合片13は、桁材側金具4からデッキ内周側に向けて突出し、また、それぞれが弾性を有している。さらに、上側係合片12と下側係合片13の突出先端部には、抜け止め部7が設けてある。また、上側係合片12の上部には被載置部8が設けてあり、この被載置部8は、デッキ内周側に向けて突出するとともに下向きの鉤状をなしている。
【0015】
大引側金具5は、上片5aと下片5bと縦片5cとからなり、デッキ外周側が開放した略コ字型をなしている。また、上片5aと下片5bのデッキ内周側には、上記した桁材側金具4の上側係合片12と下側係合片13がそれぞれ係合する上側被係合部14と下側被係合部15が設けてある。さらに、上側被係合部14と下側被係合部15は、上側係合片12と下側係合片13が係合したときに、各々の突出先端部に設けてある抜け止め部8が上側被係合部14と下側被係合部15のデッキ内周側部に引っ掛かることで、桁材側金具4が大引側金具5のデッキ外周側に抜けないようになっている。また、上側被係合部14の上部には、上記した桁材側金具4に設けてある被載置部8を載せる載置部16が設けてあり、この載置部16は、デッキ外周側に向けて突出した上向きの鉤状をなしている。これにより、大引側金具5と桁材側金具4がスライド自在に係合するとともに、載置部16は、桁材側金具4の被載置部8を載せたときに桁材側金具4を大引側金具5の側に誘導することができる。
【0016】
上記のように形成される桁材側金具4を大引側金具5に取り付けるときは、
図2(a)〜(c)に示すような施工手順で行われる。
第一の手順として、
図2(a)のように、大引3の外周側部に大引側金具5を固定部材11aで固定する。
第二の手順として、
図2(b)のように、桁材側金具4の被載置部8を大引側金具5の載置部16に載せ、桁材側金具4を大引側金具5のある側に押し込むことにより、桁材側金具4を大引側金具5に取り付ける。このときに、上側係合片12と下側係合片13が弾性変形し、その突出先端部にある抜け止め部7が上側被係合部14と下側被係合部15をそれぞれ乗り越え、さらに、上側係合片12と下側係合片13が弾性復帰し、それぞれの抜け止め部7が上側被係合部14と下側被係合部15にそれぞれ係合する。さらに、上側係合片12と下側係合片13の抜け止め部7が上側被係合部14と下側被係合部15の内周側に引っ掛かることで、桁材側金具4が大引側金具5の外周方向に抜けない状態となる。
第三の手順として、
図2(c)のように、大引側金具5に取り付けた桁材側金具4の外周部に前桁2を沿わせ、さらに、前桁2と桁材側金具4とを外周側から固定具11で固定する。
第四の手順として、
図2(c)のように、デッキ材1を大引3に載置して固定することにより、デッキが完成する(
図1(a)(b)参照)。
【0017】
上記のように本実施によるデッキを形成することにより、以下に示す作用、効果を奏する。上側係合片12と上側被係合部14、下側係合片13と下側被係合部15、被載置部8と載置部16のすべてが、大引側金具5に対して桁材側金具4が前桁2の長手方向にスライド自在に係合することにより、前桁2が長手方向に熱伸びして桁材側金具4が追従して移動しても、桁材側金具4は、大引側金具5から前桁2の長手方向にスライドする。これにより、前桁2の長手方向の熱伸びが固定箇所によって妨げられないので、前桁2が大引3の外周方向に波打つようにでこぼこに変形せず、したがって、デッキの外観意匠性が保たれる。そして、前述のように前桁2が大引3のデッキ外周方向に変形しないことから、前桁2と桁材側金具4の固定具11による固定が前桁2の変形により外れず、これにより、前桁2が外れない構造となる。また、桁材側金具4の被載置部8が大引側金具5の載置部16に載ることにより、施工後の前桁2の荷重を安定して支えることができる。さらに、上側係合片12と下側係合片13のそれぞれの抜け止め部7が上側被係合部14と下側被係合部15のデッキ内周側部に引っ掛かることにより、桁材側金具4が大引側金具5に対して前桁2の長手方向にスライド自在な状態となりつつも、大引3の外周方向に抜けない構造となる。また、桁材側金具4と大引側金具5がそれぞれ対向する位置にあり、下向き鉤状の被載置部8を上向き鉤状の載置部16に載せることで桁材側金具4の上側係合片12と下側係合片13それぞれと係合する上側被係合部14と下側被係合部15に対向するので、被載置部8を載置部16に載せるだけで桁材側金具4と大引側金具5の位置合わせができるとともに、施工後、桁材側金具に外周方向の強い力がかかり、桁材側金具4の上側係合片12と下側係合片13と大引側金具5の上側被係合部14と下側被係合部15の係合が外れたとしても、被載置部8を載置部16が引っかかり脱落を防止できる。尚、前桁2と桁材側金具4を固定する固定具11は、デッキ材1の中空部や大引側金具5の中空部に突出しており、桁材側金具4と大引側金具5のスライドを妨げない位置に設けられているように形成してある。
【0018】
本発明のデッキの第二実施形態は、
図3(a)のように、デッキ材1と、デッキ材側金具9と、前桁2と、桁材側金具24とから構成しており、デッキ材側金具9と桁材側金具24はスライド自在に係合している。デッキ材側金具9は、
図3(b)のように、上片9aと下片9bと縦片9cとからなる外周側が開放した略コ字型をなしている。さらに、上片9aと下片9bのそれぞれの内周側には、上側被係合部14と下側被係合部15が設けてある。また、縦片9cの上下方向の中間部には、デッキ外周側に向けて突出する載置部26が設けてある。桁材側金具24は、上記第一実施形態の桁材側金具4と略同じ構造をなすものであるが、相違する構成として、上側係合片12と下側係合片13の間に、デッキ内周側に向けて突出した被載置部18が設けてある。これにより、桁材側金具24をデッキ材側金具9に取り付けたときに、前述の被載置部18がデッキ材側金具9の載置部26に載る構造となる。また、デッキ材側金具9の上片9aの上部には、デッキ材1の鍔部1bに引っ掛けることのできる鉤状をなす取付部19が設けてある。また、取付部19を鍔部に引っ掛けるとともに、固定部材11aで固定することにより、デッキ材側金具9は、デッキ長手方向の外周側端部の下部に固定される。
【0019】
上記のように形成される桁材側金具24をデッキ材側金具9に取り付けるときは、
図4(a)〜(c)に示すような施工手順で行われる。
第一の手順として、
図4(a)のように、デッキ材1の長手方向端部にデッキ材側金具9の取付部19を取り付ける。
第二の手順として、
図4(b)のように、桁材側金具24の被載置部18をデッキ材側金具9の載置部26に載せ、桁材側金具24をデッキ内周側に向けて押し込むことにより、桁材側金具24をデッキ材側金具9に取り付ける。このときに、上側係合片12と下側係合片13が弾性変形し、それぞれの抜け止め部7が上側被係合部14と下側被係合部15をそれぞれ乗り越える。さらに、上側係合片12と下側係合片13が弾性復帰し、それぞれの抜け止め部7が上側被係合部14と下側被係合部15にそれぞれ係合する。さらに、抜け止め部7が上側被係合部14と下側被係合部15のデッキ内周側部に引っ掛かることで、桁材側金具24がデッキ材側金具9のデッキ外周方向に抜けない状態となる。
第三の手順として、
図4(c)のように、桁材2を桁材側金具24の外周側に沿わせ、さらに、桁材2の外周側から固定具11で固定することにより、デッキが完成する(
図3(a)(b)参照)。
【0020】
上記のように本実施によるデッキを形成することにより、以下に示す作用、効果を奏する。上側係合片12と上側被係合部14、下側係合片13と下側被係合部15、被載置部18と載置部26のすべてが、デッキ材側金具9に対して桁材側金具24が前桁2の長手方向にスライド自在に係合することにより、前桁2が長手方向に熱伸びして桁材側金具24が追従して移動しても、桁材側金具24は、デッキ材側金具5から前桁2の長手方向にスライドする。これにより、前桁2の長手方向への熱伸びが、前桁2とデッキ1との固定箇所で妨げられないので、前桁2がデッキ外周方向に波打つようにでこぼこに変形しない。したがって、デッキ材1が長手方向に熱伸びしてもデッキの外観意匠性が保たれることになる。そして、前述のように前桁2が大引3のデッキ外周方向にでこぼこに変形しないことから、前桁2と桁材側金具24の固定具11による固定が前桁2の変形により外れず、このことから、前桁2がデッキから外れない構造となる。また、桁材側金具4の被載置部18がデッキ材側金具9の載置部26に載ることにより、施工後の前桁2の荷重を安定して支えることができる。さらに、上側係合片12と下側係合片13のそれぞれの抜け止め部7が上側被係合部14と下側被係合部15のデッキ内周側部に引っ掛かることにより、桁材側金具24がデッキ材側金具9に対して前桁2の長手方向にスライド自在な状態となりつつも、大引3のデッキ外周方向に抜けない構造となる。また、桁材側金具24とデッキ材側金具9がそれぞれ対向する位置にあり、下向き鉤状の被載置部18を上向き鉤状の載置部26に載せることで桁材側金具4の抜け止め部7に係合する上側被係合部14と下側被係合部15に対向するので、被載置部18を載置部26に載せるだけで桁材側金具24とデッキ材側金具9の位置合わせができるとともに、施工後、桁材側金具に外周方向の強い力がかかり、桁材側金具4の抜け止め部7と大引側金具5の上側被係合部14と下側被係合部15の係合が外れたとしても、被載置部18を載置部26が引っかかり脱落を防止できる。また、桁材側金具24とデッキ材側金具9がそれぞれ対応する位置にあり、その位置で桁材側金具24をデッキ材側金具9に押し込んで取り付けるものであることから、施工時、位置あわせ等の調整をすることなく前桁2を取り付けることができる。尚、前桁2と桁材側金具24を固定する固定具11は、デッキ材1の中空部や大引5の中空部に突出しており、桁材側金具24とデッキ材側金具9のスライドを妨げないように形成してある。
【0021】
本発明のデッキの第三実施形態として、
図5(a)のように、デッキ材1と、大引側金具25と、側桁20と、桁材側金具34とから構成しており、桁材側金具34と大引側金具25がスライド自在に係合している。大引側金具25は、
図5(b)のように、上片25aと下片25bと縦片25cとからなり、デッキ外周側が開放した略コ字型をなしている。また、大引側金具25は、大引3のデッキ外周側部に固定具11で固定してある。また、大引側金具25を構成する上片25aと下片25bのそれぞれの内周側には、上側被係合部14と下側被係合部15が設けてある。また、大引側金具25を構成する下片25bのデッキ外周側端部には、上向きの鉤状をなす載置部36が設けてある。さらに、上片25aのデッキ外周側端部にはデッキ保持部21が設けてあり、デッキ保持部21は、上片25aから略垂直に上方へ延びて先端部がデッキ内周側に屈曲した形状をなしている。また、デッキ保持部21は、デッキ材1の鍔部1bに鉤状の部分を引っ掛けて大引上部22との間に挟むことで、大引側金具25の大引3に対する保持と、デッキ材1と大引上部22との保持を両立させるものである。桁材側金具34は、上記第一実施形態と略同じ構造をなすものであるが、相違する構成として、上側係合片12のデッキ外周側部には、ストッパー片44が設けてある。このストッパー片44は、桁材側金具34が押し込まれたときにデッキ内周方向にそれ以上の移動を規制するものである。また、桁材側金具34の下側係合片13のデッキ外周側部には、下向き鉤状をなす被載置部45が設けてある。また、被載置部45は、ストッパー片44と略同一形状をなしており、桁材側金具34のデッキ内周側へのそれ以上の移動を規制する機能も兼ね備えている。
【0022】
上記のように形成される桁材側金具34を大引側金具25に取り付けるときは、
図6(a)〜(c)に示すような施工手順で行われる。第一の手順として、
図6(a)のように、大引側金具25のデッキ保持部21をデッキ材1の鍔部1bに引っ掛け、さらに、大引側金具25の上片25aを大引上部22の長手方向端部の下端面に挿し入れる。これにより、大引側金具25がデッキ材1と大引3を挟み込むかたちとなるので、デッキ材1を大引上部22に固定するとともに、大引側金具25を大引3に対して位置決めし、さらに、大引側金具25の下方から固定具11で大引3に固定する。第二の手順として、桁材側金具34のストッパー片44と被載置部45を、大引側金具25に対して長手方向の一端部から挿入し、桁材側金具34が大引側金具25と位置があうようにスライドする。第三の手順として、桁材側金具34をデッキ内周側に押し込むことにより、桁材側金具4の下側のストッパー片44が大引側金具25の載置部36に載る桁材側金具34の被載置部45に案内されてデッキ内周方向に摺動する。このときに、上側係合片12と下側係合片13が弾性変形し、その突出先端部に設けてある抜け止め部7が上側被係合部14と下側被係合部15をそれぞれ乗り越える。さらに、上側係合片12と下側係合片13が弾性復帰し、抜け止め部7が上側被係合部14と下側被係合部15のデッキ内周側部にそれぞれ係合する。このときに、上側係合片12と下側係合片13のそれぞれの抜け止め部7が上側被係合部14と下側被係合部15のデッキ内周側部に引っ掛かることで、桁材側金具4が大引側金具25のデッキ外周方向に抜けない構造となる。第四の手順として、側桁20のデッキ内周側に桁材側金具34を固定具11でデッキ外周側から固定する。
【0023】
上記のように本実施によるデッキを形成することにより、以下に示す作用、効果を奏する。上側係合片12と上側被係合部14、下側係合片13と下側被係合部15、被載置部45と載置部36のすべてが、大引側金具25に対して桁材側金具34が側桁20の長手方向にスライド自在に係合する。このことから、側桁20が長手方向に熱伸びして桁材側金具34が追従して移動しても、桁材側金具34は、大引側金具25から側桁20の長手方向にスライドする。これにより、側桁20の長手方向への熱伸びが側桁20とデッキ1との固定箇所で妨げられないので、側桁20がデッキ外周方向に波打つようにでこぼこに変形しない。したがって、デッキ材1が長手方向に熱伸びしてもデッキの外観意匠性が保たれる。また、前述のように、側桁20がデッキ外周方向に変形しないことから、側桁20と桁材側金具34の固定具11による固定が側桁20の変形により外れず、このことから、側桁20が外れない構造となる。また、桁材側金具34の被載置部45が大引側金具25の載置部36に載ることにより、側桁20の荷重を安定して支えることができる。さらに、上側係合片12と下側係合片13のそれぞれの抜け止め部7が上側被係合部14と下側被係合部15のデッキ内周側部に引っ掛かることにより、桁材側金具34がデッキ材側金具9に対して側桁20の長手方向にスライド自在な状態となりつつも、大引3のデッキ外周方向に抜けない構造となる。尚、側桁20と桁材側金具34を固定する固定具11は、デッキ材1の中空部や大引側金具25の中空部に突出しており、桁材側金具34と大引側金具25のスライドを妨げないように形成してある。
【0024】
本発明のデッキの第四実施形態として、
図7(a)のように、デッキ材1と、桁材側金具46と、前桁2と、大引側金具50とから構成しており、上記の第一実施形態とは桁材側金具46と大引側金具50の構成のみが相違している。本実施による桁材側金具46は、縦片47と、縦片47の内周側の上下に間隔をあけて上側係合片(抜け止め部)48と下側係合片(抜け止め部兼被載置部)49を有している。また、上側係合片48と下側係合片49は、デッキ内周側に向けて突出するとともに先端が下向きの鉤状をなしている。大引側金具50は、上片51と下片52と被固定片53と縦片54とからなり、上片51と下片52と縦片54でデッキ外周側が開放した略コ字型をなすとともに、被固定片53は、上片51と下片52の間に設けてある。上片51と下片52の外周側には、上側被係合片51aと下側被係合片(載置部)52aを有しており、上側被係合片51aと下側被係合片52aは、デッキ外周側に向けて突出するとともに先端が上向きの鉤状をなしている。被固定片53は、外周側が下向きに屈曲している。尚、符号55は、浮き上がり防止片であり、大引側金具50に当接して桁材側金具46の浮き上がりを規制し、前桁2及び桁材側金具46の大引側金具50からの脱落を防ぐものである。
【0025】
上記のように形成した桁材側金具46と大引側金具50を取り付けるときには、
図7(b)のように、大引側金具50に対して桁材側金具46をスライドして取り付ける。このときに、桁材側金具46の下側係合片49は、大引側金具50の下側被係合片52aに載置された状態でスライドする。さらに、所定の位置までスライドしたときには、上側被係合片51aと上側係合片48、下側被係合片52aと下側係合片49が係合するので、桁材側金具46が大引側金具50から外周側に抜けない抜け止め構造となる。また、大引側金具50の被固定片53は、外周側の下向きに屈曲した箇所が桁材側金具46の内周側部に当接する。その当接箇所に桁材側金具46の外周側から固定部材11aで固定する。さらに、桁材側金具46の外周側に前桁2を固定具11で固定する。尚、大引側金具50の長手方向中央に係合する桁材側金具46のみを桁材側金具46の外周側から固定部材11aで固定してある。これにより、前桁2の熱伸びが妨げられなくなるので、前桁2がデッキ外周側に波打つようにでこぼこに変形しない。
【0026】
本発明のデッキの第五実施形態は、
図8(a)のように、デッキ材1と、デッキ材側金具62と、前桁2と、桁材側金具64とから構成している。上記の第二実施形態とはデッキ材側金具62と桁材側金具64の構成のみが相違している。デッキ材側金具62は、上片62aと下片62bと被固定片62cと縦片62dとからなる外周側が開放した略コ字型をなすとともに、被固定片62cは、上片62aと下片62bの間に設けてある。上片62aの内周側には、下向きに突出した上側被係合片63aが設けてあり、下片62bの内周側には、上向きに突出した下側被係合片63bが設けてあるとともに、下側被係合片63bの外周側には、桁材側金具64を載せる載置部70を有している。桁材側金具64は、縦片65と、上側係合片(抜け止め部)66と、下側係合片(抜け止め部)67とから構成している。縦片65は、上下方向の中間部65aがデッキ内周側に突出するように屈曲しており、中間部65aがデッキ材側金具62の上片62aと下片62bと縦片62dで囲まれる内周側に入り込むとともに、中間部65aの下端部には桁材側金具64の載置部70に載る被載置部71を有している。上側係合片66は、縦片65の中間部65aの内周側部に設けてあり、縦片65の内周側部からデッキ内周側に突出するとともに、先端が上向きの鉤状をなしている。また、下側係合片67は、縦片65の中間部65aから下向きに突出している。このように形成した桁材側金具64の下側係合片67は、デッキ材側金具62の下側被係合片63bに係合してデッキ外周側に抜け出し不能になるとともに、デッキ内周側に突出する桁材側金具64の縦片65の中間部65aがデッキ材側金具62の下片62bの内周側に載置される。さらに、桁材側金具64の上側係合片66とデッキ材側金具62の上側被係合片63aが係合してデッキ外周側に抜け出し不能になる。
【0027】
上記のように形成したデッキ材側金具62と桁材側金具64を取り付けるときは、
図8(b)のように、デッキ材側金具62に対して桁材側金具64をスライドして取り付ける。このときに、桁材側金具64の被載置部71は、デッキ材側金具62の載置部70に載置された状態でスライドする。上側被係合片63aと上側係合片66、下側被係合片63bと下側係合片67が係合するので、桁材側金具64がデッキ材側金具62から外周側に抜けない抜け止め構造となる。さらに、桁材側金具64の縦片65中間部65a内周側部がデッキ材側金具62の被固定片62cに当接し、その当接箇所に縦片65中間部65aの外周側から固定部材11aで固定することにより、桁材側金具64をデッキ材側金具62に固定できる。尚、桁材側金具64とデッキ材側金具62の固定は、デッキ材側金具62の長手方向中央に係合する桁材側金具64のみを桁材側金具64の外周側から固定部材11aで固定してある。これにより、他の桁材側金具64がデッキ材側金具62にスライド自在となるため、前桁2の熱伸びに対応できるので、前桁2がデッキ外周側に波打つようにでこぼこに変形しない。
【0028】
本発明のデッキは、桁材側金具4,24,34,46,64と大引側金具5,25,50またはデッキ材側金具9,62が前桁2または側桁20の長手方向にスライド自在に係合する。また、桁材側金具4,24,34,46,64を大引側金具5,25,50またはデッキ材側金具9,62に取り付けたときに、桁材側金具4,24,34,46,64が大引側金具5,25,50またはデッキ材側金具9,62のデッキ外周方向に外れず、さらに、桁材側金具4,24,34,46,64が大引側金具5,25,50またはデッキ材側金具9,62に載せる状態となるものであればよい。このことから、桁材側金具4,24,34,46,64の上側係合片12や下側係合片13の形状や数、さらに、前述の桁材側金具4,24,34,46,64に対応する大引側金具5,25,50及びデッキ材側金具9,62の上側被係合部14及び下側被係合部15については、その形状や数を限定しない。上記の第一〜第五実施形態では、大引側金具5,25,50を大引3に取り付けてから、または、デッキ材側金具9,62をデッキ材1に取り付けてから、桁材側金具4,24,34,46,64を取り付けているが、あらかじめ大引側金具5,25,50またはデッキ材側金具9,62に桁材側金具を取り付けた後に大引3またはデッキ材1に固定してもよい。さらに、載置部16,26,36,52a,70と被載置部8,18,45,49,71は、桁材側金具4,24,34,46,64を大引側金具5,25,50またはデッキ材金具9,62にスライド自在に載せることができる形状や大きさであればよい。