(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記シームレスベルトの周長方向各部位における重量のばらつきの振れ幅が、周長方向全長の平均重量の10%以下であることを特徴とする請求項1または2に記載のシームレスベルト。
【背景技術】
【0002】
ベルトコンベアの搬送ベルトには、帯状のベルトを継目で無端状に継いだ継ぎベルトと、継目のない無端帯状のシームレスベルトが用いられている。継目のないシームレスベルトは、継目の段差に起因する振動や引掛かり等が発生せず、搬送物が食品等の軽量物であっても安定して搬送することができる。
【0003】
このシームレスベルトの芯体には、通常、袋織等により無端状に織製された引裂強度の高い織布が用いられている(例えば、特許文献1、2参照)。特許文献1に記載されたものでは、織製前の糸または織製後の織布に、樹脂またはゴムによるコーティング処理やラミネート加工を施している。また、特許文献2に記載されたものでは、無端状の織布の外周面と内周面に接着剤を積層した接着層を形成し、場合によっては、外周面接着層の外面側に樹脂のカバー層を形成している。
【0004】
ここで、ベルトコンベア用のシームレスベルトは、コンベアの用途等で決まる仕様によって、無端状の周長や材質が様々である。このため、上記芯体に織布を用いたシームレスベルトは、周長や材質が変わる毎に、織機にセットする多数本の糸のセット形態や糸の種類を変更する必要があり、特に多品種少量生産の場合は、製織準備作業に手間がかかって製造コストが高くなる問題がある。また、コンベアの用途によっては、搬送物の秤量を搬送ベルトに載せた状態で行う場合があるが、芯体に織布を用いたシームレスベルトは、周長方向で周期的に重さの異なる部分があるので、搬送物の秤量値にばらつきを発生させる外乱となる問題もある。
【0005】
これらの問題に対して、無端状の横編布を用いて芯体が3層構造であるシームレスベルトが提案されている(例えば、特許文献3参照)。特許文献3に記載されたシームレスベルトでは、無端状横編布を伸長状態で樹脂加工した1層構造の芯体と、第1の無端状横編布を伸長状態で樹脂加工したのち、その外周側を周長方向に延びる巻糸で被覆して樹脂加工し、さらにその外周側を伸長状態の第2の無端状横編布で被覆して樹脂加工した3層構造の芯体としている。
【0006】
特許文献3に記載された横編布を芯体に用いたシームレスベルトは、周長や糸の種類の変更が容易で、かつ周長方向で重さのばらつきを抑えることができる。しかしながら、芯体を横編布のみで形成した1層構造のシームレスベルトは、横編布は織布に較べて引裂強度が低いので、周長方向の引裂強度を十分に確保できない問題がある。また、芯体を第1および第2の横編布とその中間の巻糸で形成した3層構造のシームレスベルトは、引裂強度は確保できるものの、曲げ剛性が高くなり過ぎて、小径のプーリや搬送テーブルの端に設けられるナイフエッジ部に沿って小さな曲率半径で屈曲する屈曲性を十分に確保できなくなる問題がある。
【0007】
そこで、この問題に対して、無端状の横編布を用いて芯体が2層構造であるシームレスベルトが提案されている(例えば、特許文献4参照)。特許文献4に記載されたシームレスベルトでは、無端帯状の横編布の外周面に、巻糸を周長方向へベルト幅方向に一定ピッチで巻き付け、巻糸を接着層で横編布に接着した2層構造の芯体としている。
【0008】
特許文献4に記載されたシームレスベルトは芯体が横編布と巻糸で形成された2層構造であるため、芯体を横編布のみで形成した1層構造のシームレスベルトと比べると十分な周長方向の引裂強度を有する。さらに、屈曲性について確認したところ、芯体が3層構造のシームレスベルトよりも優れていることが確認された。しかし、この芯体が2層構造のシームレスベルトは、成形時にベルトが反りやすいという問題がある。また、巻糸を無端帯状の横編布上に巻き付ける際に2軸の成形機を用いると、成形時に巻糸が伸びることで左右に張力差が生じ、巻糸を均等の間隔(巻ピッチ)で巻きつけることができなくなり、結果、ベルト走行時の片寄り(走行方向に向かって左右いずれかへの片寄り)、蛇行(走行方向に向かって左右への揺れ動き)などの問題が生じた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、上記のような課題を解決するものであり、周長や糸の種類の変更が容易で、ベルト周長方向で重さのばらつきを抑えつつ、屈曲性を確保すると共に、ベルトの反りを防止することができるシームレスベルト、シームレスベルトの芯体の製造方法、並びに、シームレスベルトの芯体の製造方法に用いられる成形機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、本発明のシームレスベルトは、ベルトコンベアの搬送ベルトに使用され、継目のない無端帯状の芯体を有するシームレスベルトであって、前記芯体を、経糸と緯糸を交差させて空隙を有するように織られた無端帯状の
織布からなる内周側の布帛と、前記布帛の外周面にベルト幅方向に一定ピッチでベルト周長方向に巻き付けた巻糸と、前記巻糸上に被覆した前記
織布からなる外周側の布帛とを積層した3層構造で形成し、
前記空隙を介して前記
布帛の内周面と外周面を接着層で覆い、前記接着層で覆
われた前記芯体の外周面をカバー層で被覆したことを特徴とする。
【0012】
本発明のシームレスベルトによれば、布帛と巻糸と布帛を積層した3層構造の芯体でシームレスベルトを形成することにより、織布(布帛)のみの1層構造で芯体を形成するよりも周長方向の重さのばらつきを低く抑えることができると共に、編布と巻糸の2層構造で形成した場合にベルト成型時に生じるベルトの反りを防止することができる。また、編布ではなく織布で3層構造の芯体を構成することにより、曲げ剛性が高くなることがなく、屈曲性を十分に確保することができる。また、接着層を形成することにより、芯体への水や油等の湿潤を防止しつつ、外周面側では巻糸のずれを防止し、カバー層を強固に固着させ、内周面側ではプーリなどとの接触による布帛の磨滅を防止することができる。更に、カバー層を設けたことにより、シームレスベルトの搬送面を平滑にするとともに、搬送物との間の適度な摩擦係数を確保することができる。以上により、周長や糸の種類の変更が容易で、かつ周長方向で重さのばらつきを抑えつつ、屈曲性を確保すると共に、ベルトの反りを防止することができるシームレスベルトを提供することができる。尚、本発明のシームレスベルトの芯体は3層構造であるため、十分な周長方向の引裂強度を有する。
【0013】
上記シームレスベルトにおいて、前記布帛は、空隙率が70〜90%であることが好ましい。
空隙率が70〜90%となるように布帛を構成することにより、曲げ剛性を低くして、屈曲性を確保することができる。ここで、空隙率とは、布帛の単位面積当たりのすきまの割合を百分率で表したものである。
【0014】
上記シームレスベルトにおいて、前記シームレスベルトの周長方向各部位における重量のばらつきの振れ幅が、周長方向全長の平均重量の10%以下であることが好ましい。
ばらつきの振れ幅が10%を超えると、搬送物の秤量値に無視できない誤差が生じるからである。
尚、ばらつきの振れ幅は、周長方向全長の平均重量の3%以下であることがより好ましい。ばらつきの振れ幅が3%以下であると、周長方向の重さのばらつきにより、ベルト走行時にベルトが片寄ったり、蛇行したりするのを防止することができるからである。
【0015】
上記シームレスベルトにおいて、前記布帛を、1本当たりの糸番手が5〜60番手の紡績糸で製織することが好ましい。
布帛を、1本当たりの糸番手が5〜60番手の紡績糸で製織することにより、屈曲性がより好適なベルトとすることができるとともに、必要な厚みを確保することができる。
【0016】
上記シームレスベルトにおいて、前記巻糸は、フィラメント糸であることが好ましい。
巻糸をフィラメント糸とすることにより、ベルト周長方向の引裂強度と屈曲性とをより向上させることができる。
【0017】
また、本発明に係るシームレスベルトの芯体の製造方法は、上記シームレスベルトの芯体の製造方法であって、支持体の両端部に平行に配置され
て、前記支持体に回転可能に保持された2本のロール間に前記
内周側の布帛を巻回させる工程と、
前記2本のロールを同じ方向に回転させながら、前記内周側の布帛の外周面に接着剤を塗布する工程と、前記2本のロールの軸に平行する前記2本のロール間の中央
を軸として配置された駆動軸により前記支持体を回転させながら、張力を付与した前記巻糸を、前記内周側の布帛の外周面にベルト幅方向に一定ピッチでベルト周長方向に巻き付ける工程と、前記巻糸が巻き付けられた前記
内周側の布帛の外周面に前記
外周側の布帛を巻回させ
、前記空隙を介して前記布帛の内周面と外周面に前記接着剤で覆われた接着層を形成する工程と、を備えることを特徴とする。
【0018】
本発明のシームレスベルトの芯体の製造方法によれば、2本のロール間に巻回された布帛に1軸回転により巻糸を巻き付けてシームレスベルトの芯体を製造しているため、2本のロールを同方向に回転させて2本のロール間に巻回された布帛に巻糸を巻き付ける2軸回転と比較して、巻きピッチのむらや、張力のむらが生じず、巻糸を一定ピッチで均等に巻き付けることができ、ベルト走行時にベルトが片寄ったり、蛇行したりするのを防止することができる。
【0019】
上記シームレスベルトの芯体の製造方法において、前記2本のロール間の長さは可変であることが好ましい。
2本のロール間の長さ(即ち、2本のロールを両端部に支持する支持体の長さ)を可変とすることにより、シームレスベルトの周長の変更が可能になる。
【0020】
また、本発明に係る成形機は、上記シームレスベルトの芯体の製造方法に用いられる成形機であって、平行に配置され、回転可能に構成された2本のロールと、前記2本のロールを両端部に保持しつつ、前記2本のロール間の長さを伸長可能に構成された支持体と、前記2本のロールの軸と平行する前記2本のロール間の中央を軸として、前記支持体を回転可能に設置された駆動軸と、前記2本のロールに隣接して前記2本のロールの軸と平行に移動可能に設置され、前記2本のロールに前記巻糸に張力を付与しつつ給糸する給糸装置と、を備えることを特徴とする。
【0021】
本発明の成形機によれば、1軸回転により巻糸を巻き付ける成形機を実現して、巻きピッチのむらや、張力のむらが生じず、巻糸を一定ピッチで均等に巻き付けて、ベルト走行時にベルトが片寄ったり、蛇行したりするのを防止するシームレスベルトを成形することができる。
【発明の効果】
【0022】
以上の説明に述べたように、本発明によれば、周長や糸の種類の変更が容易で、ベルト周長方向で重さのばらつきを抑えつつ、屈曲性を確保すると共に、ベルトの反りを防止することができるシームレスベルト、シームレスベルトの芯体の製造方法、並びに、シームレスベルトの芯体の製造方法に用いられる成形機を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0024】
次に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0025】
[シームレスベルト]
まず、本実施形態に係るシームレスベルトについて説明する。
【0026】
図1に、本実施形態に係るシームレスベルト1を使用したベルトコンベア10を示す。このベルトコンベア10は、例えば、食品を搬送するものであり、図示は省略するが、搬送される食品をシームレスベルト1に載せた状態で秤量するようになっている。無端帯状のシームレスベルト1は、1つの駆動プーリ11と複数の従動プーリ12に巻回されており、搬送面13を形成する部位のシームレスベルト1の下面側には複数の支持ローラ14が搬送方向に配列されている。
【0027】
尚、本発明に係るシームレスベルト1は食品の搬送用に限定されることはなく、電気部品や機械部品等の搬送に使用することもできる。
【0028】
図2に、本実施形態に係るシームレスベルト1を示す。
図2に示すシームレスベルト1は、図の上面側が外周側、下面側が内周側となり、図に垂直な方向がベルト周長方向となり、図に平行な方向がベルト幅方向となる。
【0029】
シームレスベルト1は、芯体2と、接着層3と、カバー層4とから形成される。
【0030】
芯体2は、シームレスベルト1の内周側から外周側へ順に、布帛2aと、巻糸2bと、布帛2aとが積層された3層構造として形成されている。
【0031】
布帛2aは、経糸と緯糸を交差させて空隙を有するように織られた無端帯状の
織布からなる布帛である。布帛2aは、
図3に示すように、経糸5aと緯糸5bが略直交してかつその空隙率が70〜90%のネット状の布帛(例えば、寒冷紗)を無端状にジョイントしたものである。即ち、布帛2aは、単位面積当たりの経糸5aと緯糸5bの面積を除いた空隙の面積が70〜90%となるように、経糸5aと緯糸5bが略直交して織られて形成される。
【0032】
布帛2aは、経糸、緯糸ともに、1本当たりの糸番手が5〜60番手の紡績糸で製織することが好ましい。屈曲性がより好適なベルトとすることができるとともに、必要な厚みを確保することができるからである。具体的には、経糸と緯糸の織糸には、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリビニル系、ポリアクリル系、ポリエチレン系、ポリプロピレン系、ポリウレタン系、ポリフルオルカーボン系、含フッ素系等の合成繊維糸や、ガラス、セラミック、岩石、炭素、金属等の無機質繊維糸や、カバーヤーン等の化学繊維糸や、綿、麻、絹等の天然繊維糸を用いることができ、適宜の周長に容易に製織することができる。
【0033】
巻糸2bは、シームレスベルト1の内周側の布帛2aの外周面に、適宜の張力を付与してベルト周長方向へ螺旋状に、ベルト幅方向に一定ピッチで巻き付けられている。なお、本実施形態では、一定ピッチで巻き付けられた巻糸2b間に少し間隔が開けられているが、この間隔は密に詰めてもよい。
【0034】
巻糸2bは、マルチフィラメント糸であることが好ましい。ベルト周長方向の引裂強度と屈曲性とをより向上させることができるからである。また、巻糸2bには、500〜1500番手程度の太さのものを用いるのが好ましい。尚、巻糸2bは布帛2aの織糸と同素材のものとしてもよい。
【0035】
布帛2aの外周面と内周面は、接着剤Gの糊引き処理によって
空隙を介して形成された接着層3で覆われている。接着層3を形成する接着剤Gは、ポリエーテル系ポリウレタン、ポリエステル系ポリウレタン、ポリカーボネート系ポリウレタン等のポリウレタン系接着剤で形成し、その目付量を200〜300g/m2の範囲とすることが好ましい。目付量が200g/m2未満では巻糸を前記布帛に接着する接着力が低下し、300g/m2を超えると、接着層の厚みが厚くなって屈曲性が低下するからである。
【0036】
また、接着層Gを主剤と硬化剤とからなる2液性接着剤で形成し、主剤100質量部に対する硬化剤の配合量を0.5〜10質量部とすることが好ましい。屈曲性がより好適なベルトとすることができるからである。
【0037】
接着層3で覆われた芯体2の外周面は、カバー層4で被覆されている。カバー層4は、ポリウレタン系、ポリオレフィン系、ポリ塩化ビニル系等の熱可塑性エラストマで形成されている。これにより、水や油を多用する食品の搬送ラインのベルトコンベアに好適なものとすることができる。カバー層4は、熱プレスにより、接着層3で覆われた芯体2の外周面に熱融着される。尚、カバー層4の厚さは、屈曲性が低下しない程度で形成されることが好ましい。
【0038】
[シームレスベルトの製造方法]
次に、
図4に基づいて、本実施形態に係るシームレスベルトの製造方法について、本実施形態に係るシームレスベルトの芯体の製造方法も含めて説明する。
【0039】
まず、本実施形態に係るシームレスベルト1を製造する方法に含まれる本実施形態に係るシームレスベルト1の芯体2を製造する方法について説明する。
図4(a)に示すように、図示しない支持体の両端部に平行に配置した2本のロール21間に無端帯状の布帛2a(内周側の布帛2a)を巻回する。ここで、2本のロール21間の長さが可変であるように支持体が構成される。
【0040】
次に、
図4(b)に示すように、各ロール21を同じ方向に回転させながら、ブレード22に載せた接着剤Gを、布帛2aの外周面側から糊引き処理で塗布する。布帛2aの外周面側から糊引き処理で塗布される接着剤Gは、布帛2aの外周面を覆うとともに、布帛2aの空隙から裏側にはみ出して内周面も覆う接着層3を形成する。
【0041】
次に、
図4(c)に示すように、2本のロール21の軸に平行する2本のロール21間の中央に回転可能に配置された駆動軸31により、2本のロール21を両端部に支持する支持体を、駆動軸31を中心に回転させながら、布帛2aの外周面に周長方向へベルト幅方向に一定ピッチで、張力を付与した巻糸2bを螺旋状に巻き付ける。このように、
図4(c)の工程において、1軸回転により巻糸を巻き付けることにより、巻きピッチのむらや、張力のむらが生じず、巻糸を一定ピッチで均等に巻き付けて、ベルト走行時にベルトが片寄ったり、蛇行したりするのを防止することができる。
【0042】
そして、
図4(d)に示すように、巻糸2bが巻き付けられた布帛2aの外周面に布帛2aを巻回させる。この際、布帛2a上に糊引きされて布帛2aの外周面を覆う接着剤Gが、巻糸2bの間からはみ出して、巻回した布帛2aの内周面を覆う接着層3を形成する。尚、接着剤Gの量が巻回した布帛2aの内周面を覆う接着層3を形成するのに十分でない場合は、
図4(d)の工程の前に、
図4(b)の工程と同様に、各ロール21を同じ方向に回転させながら、ブレード22に載せた接着剤Gを、巻糸2bが巻き付けられた布帛2aの外周面側から糊引き処理で塗布する工程を行っても良い。
【0043】
以上の
図4(a)〜(d)の工程により、シームレスベルト1の芯体2が製造される。
【0044】
以下に引き続いて本実施形態に係るシームレスベルト1を製造する方法について説明する。
こののち、
図4(e)に示すように、各ロール21を同じ方向に回転させながら、熱プレス盤23によって、芯体2の布帛2a上に糊引きされていた接着剤Gが周長方向に順次熱融着され、ベルト成形体5が形成される。尚、ベルト成形体5は、各ロール21から取り外されて所定の製品幅に幅切りされ、再度、各ロール21に巻回される。
【0045】
最後に、
図4(f)に示すように、幅切りされたベルト成形体5は、各ロール21を同じ方向に回転させながら、熱プレス盤23によって、その外周面にカバー層4となる熱可塑性エラストマシート6が周長方向に順次熱融着され、
図2に示したように、外周面をカバー層4で被覆されたシームレスベルト1が製造される。
【0046】
以上の
図4(a)〜(f)の工程により、シームレスベルト1が製造される。
【0047】
[シームレスベルトの芯体の製造方法に用いられる成形機]
次に、
図5〜7に基づいて、本実施形態に係るシームレスベルトの芯体の製造方法に用いられる成形機について説明する。
【0048】
図5及び
図6に示すように成形機30は、平行に配置され、支持体32に対して回転可能に保持された2本のロール21と、2本のロール21を両端部に保持しつつ、2本のロール21間の長さを伸長可能に構成された支持体32と、2本のロール21の軸と平行する2本のロール21間の中央を軸として、支持体32を回転可能に設置された駆動軸31と、2本のロール21に隣接して2本のロール21の軸と平行に移動可能に設置され、2本のロール21に巻糸2bに張力を付与しつつ給糸する給糸装置40と、を備える。
【0049】
図5に示すように、支持体32は、本体部32cと、本体部32cの両端に接続された2つの伸長部32bと、2つ伸長部32bのそれぞれの両端に接続された2つのロール保持部32aとから構成される。
【0050】
本体部32cは、2本のロール21の軸と平行して2本のロール21間の中央に設置された駆動軸31により、駆動軸31を中心に回転可能に構成される。本体部32cは、ベルト幅方向に複数(本実施形態では4本)の補強部材を備えた長方形の枠体で構成される。
【0051】
伸長部32bは、本体部32cとロール保持部32aとに接続されて、ベルト周長方向に伸縮自在に構成されている。伸長部32bは、製造するシームレスベルト1の周長から決定された軸離に合わせて伸縮される。また、2つの伸長部32bは、それぞれ、同じ長さになるように調整される。本体部32cに備えられた駆動部31から2本のロール21へのそれぞれの長さを同じにして、巻糸2bの張力のむらや巻ピッチのむらが生じるのを防止するためである。
【0052】
2つのロール保持部32aの両端には、2本のロール21が回転可能に平行に保持される。2本のロール21は、図示しないモータに接続されて、モータにより回転するように構成されていても良い。
【0053】
駆動軸31は、筐体33の上面に固定して設置される。駆動軸31は、モータ31aに接続されて、モータ31aにより回転するように構成される。筐体33は、その高さが、駆動軸31に設置された支持体32の長さよりも長く構成される。筐体3の上面に設置された駆動軸31により、支持体32が回転できるようにするためである。
【0054】
給糸装置40は、
図6に示すように、巻糸2bに張力を付与するテンション装置43と、テンション装置43により張力が付与された巻糸2bを2本のロール21に給糸するスピニングアーム41と、スピニングアーム41を2本のロール21の軸と平行に移動可能に構成するスライドレール42とを備える。
【0055】
テンション装置43は、図示しない巻糸2bに所定の一定張力を付与してスピニングアーム41に巻糸2bを供給する。
【0056】
スピニングアーム41は、
図7に示すように、駆動軸31により回転する支持体32の両端に配置された2本のロール21に隣接して設置される。そして、スピニングアーム41は、駆動軸31により回転される支持体32の両端に設けられた2つのロール21に対して、巻糸2bを巻き付けてスピニング動作が行われるように構成される。
【0057】
スライドレール42は、
図6に示すように、スピニングアーム41が、2本のロール21の軸と平行に移動するように、2本のロール21と平行に設置される。そして、スライドレール42上をスピニングアーム41が設定したスピニングピッチで移動するように、サーボモータにより制御する。
【0058】
以上の1つの駆動軸31で回転させて巻糸2bを巻き付ける1軸の成形機30により、張力や巻きピッチのばらつきを低減し、均等に巻糸2bを巻き付けることができ、安定したスピニング動作を実現することができる。そして、1軸の成形機30を用いて1軸回転により巻糸を巻き付けることにより、巻きピッチのむらや、張力のむらが生じず、巻糸を一定ピッチで均等に巻き付けて、ベルト走行時にベルトが片寄ったり、蛇行したりするのを防止することができる。
【実施例】
【0059】
(シームレスベルト)
本実施例では、20番手のポリエステル紡績糸を織糸とした寒冷紗を布帛2aとし、560デシテックスのポリエステルマルチフィラメントを巻糸2bとして、上記本実施形態に係るシームレスベルトの芯体の製造方法により、巻きピッチ間隔が1.0mmで芯体2を形成し、厚さ0.3mmの熱可塑性ポリウレタンシートでカバー層4を形成した実施例1〜3のシームレスベルトを用意した。また、接着層3を形成する接着剤Gには、いずれも主剤をポリエーテル系ポリウレタン、硬化剤をポリイソシアネート化合物とした2液性のものを用い、実施例1のシームレスベルトは硬化剤の配合量を2質量部、実施例2のシームレスベルトは硬化剤の配合量を5質量部、実施例3のシームレスベルトは硬化剤の配合量を10質量部とした。
【0060】
また、比較例として、220デシテックスのマルチフィラメント糸を編糸とした横編布で芯体を形成し、巻糸のない1層構造としたシームレスベルト(比較例1)、比較例1と同じ横編布の上に巻糸を巻いて芯体を2層構造としたシームレスベルト(比較例2)、比較例1と同じ横編布の間に巻糸を挟みこんで芯体を3層構造としたシームレスベルト(比較例3)、経糸を1100デシテックスのポリエステルマルチフィラメント糸、緯糸を660デシテックスのポリエステルマルチフィラメント糸として織製した織布で芯体を形成したシームレスベルト(比較例4)を用意した。なお、比較例1〜4のシームレスベルトにも、実施例1と同様に、同じ種類の接着剤Gで接着層を形成するとともに、同じ熱可塑性ポリウレタンシートでカバー層を形成した。
【0061】
更に、参考例として、実施例1〜3に対応して、20番手のポリエステル紡績糸を織糸とした寒冷紗を布帛2aとし、560デシテックスのポリエステルマルチフィラメントを巻糸2bとして、従来技術の2軸の成形機を用いて、巻きピッチ間隔が1.0mmで芯体2を形成し、厚さ0.3mmの熱可塑性ポリウレタンシートでカバー層4を形成した参考例1〜3のシームレスベルトを用意した。また、接着層3を形成する接着剤Gには、いずれも主剤をポリエーテル系ポリウレタン、硬化剤をポリイソシアネート化合物とした2液性のものを用い、参考例1のシームレスベルトは硬化剤の配合量を2質量部、参考例2のシームレスベルトは硬化剤の配合量を5質量部、参考例3のシームレスベルトは硬化剤の配合量を10質量部とした。
【0062】
尚、実施例、比較例、参考例の各シームレスベルトの寸法は、いずれも幅100mm、周長1500mmとした。
【0063】
そして、実施例、比較例、参考例の各シームレスベルトについて、ベルト厚を測定すると共に、下記のベルト反り試験、重量測定試験、耐久走行試験を行った。
【0064】
(ベルト反り試験)
ベルト反り試験では、実施例、比較例、参考例の各シームレスベルトについて、シームレスベルトの内周面が接地するように平らな場所に置き、接地面からのシームレスベルトのベルト幅方向の端部の高さを測定し、その最大値をベルト反りとした。
【0065】
(重量測定試験)
重量測定試験では、
図8に示すように、実施例、比較例、参考例の各シームレスベルトについて、周長方向の複数個所で周長方向に長さ3mmのサンプルSを切り出し、各サンプルSの重量を測定した。重量のばらつきの振れ幅(%)は、測定した各サンプルSの重量の最大値と最小値の差を、全サンプルSの重量の平均値で除すことにより求めた。
【0066】
(耐久走行試験)
耐久走行試験では、
図9に示すように、実施例、比較例、参考例の各シームレスベルトについて、1つの駆動プーリ51と4つの従動プーリ52a、52b、52c、52dを備える試験用ベルトコンベア50を用い、巻回されたシームレスベルト1に従動プーリ52dでベルト張力を付与した。ここで、駆動プーリ31の直径は30mm、従動プーリ32a、32dの直径は20mm、従動プーリ32b、32cの直径は25mmとした。試験される各シームレスベルト1のベルト張力は4.0kN/m、走行速度は100m/minとした。そして、実施例、比較例の各シームレスベルトについて、それぞれのプーリで200万回屈曲されるまで走行した。ここで、ベルトコンベア30は駆動プーリと従動プーリを合わせて5つのプーリを備えているので、シームレスベルト1は1回の周回で5回屈曲され、40万回の周回で200万回屈曲される。また、参考例の各シームレスベルトについては、走行させて蛇行が発生するかどうかを観察した。
【0067】
実施例、比較例、参考例の各シームレスベルトの芯体及び接着剤の構成と、ベルト厚の測定結果と、ベルト反り試験、重量測定試験、及び、耐久走行試験の結果を表1に示す。
【0068】
【表1】
【0069】
表1に示す結果から、ベルト反り測定試験では、芯体が2層構造である比較例2のシームレスベルトは、ベルト反りが8.0mmと非常に大きい。これに対して、実施例1〜3、比較例1、3、4、参考例1〜3のシームレスベルトでは、ベルト反りがほとんど見られなかった。
【0070】
また、重量測定試験の結果では、芯体に織布を用いた比較例4のシームレスベルトは、ばらつきの振れ幅が44%と非常に大きい。これに対して、芯体に寒冷紗を用いた実施例1〜3及び参考例1〜3、横編布を用いた比較例1〜3のシームレスベルトは、ばらつきの振れ幅が10%以下と小さくなっている。
【0071】
また、耐久走行試験の結果では、実施例1〜3および比較例2、4のシームレスベルトは、200万回の屈曲回数まで異常が発生せず、十分な耐久性を備えている。
【0072】
また、耐久走行試験の結果では、参考例1〜3のシームレスベルトは蛇行が発生している。尚、参考例1〜3のシームレスベルトは、蛇行が発生しているが、搬送ベルトの使用に支障が出ない程度の範囲内であった。
[考察]
上述の試験より、以下のことが明らかになった。
【0073】
ベルト反り試験では、ベルト反りが、2層構造である比較例2のシームレスベルトが大きく、3層構造の実施例1〜3、比較例3、及び参考例1〜3のシームレスベルト、及び、1層構造である比較例1、4のシームレスベルトは低いことが明らかとなった。これは2層構造のシームレスベルトは、張力を付与して巻き付けた巻糸より横編布が引っ張られてしまうためだと考えられる。
【0074】
重力測定試験では、比較例4のシームレスベルトが特に大きく、搬送物の秤量値に無視できない誤差が生じているのに対して、実施例1〜3、比較例1〜3、参考例1〜3のシームレスベルトが10%以下であり、搬送物の秤量値に無視できない誤差が生じにくいことが明らかになった。これは、比較例4のように、織布のみを用いた1層構造のシームレスベルトは、周長方向で周期的に重さの異なる部分があるからである。また、比較例1〜3のように、編布で芯体が形成されているシームレスベルトは、周長方向で周期的に重さの異なる部分が少ないと考えられるからである。また、実施例1〜3及び参考例1〜3のように、織布である布帛と巻糸と布帛を積層して芯体を形成した3層構造のシームレスベルトが、布帛と巻糸と布帛を積層することによって、周長方向で周期的に重さの異なる部分が相殺されて、ベルト周長方向で重さのばらつきを低減できているからであると考えられる。
【0075】
また、重力測定試験では、特に、実施例1〜3のシームレスベルトが3%以下であり、参考例1〜3のシームレスベルトよりも特に小さいことが明らかになった。これは、1軸の成形機で巻糸を巻き付けて芯体を形成する方が、2軸の成形機で巻糸を巻き付けて芯体を形成するよりも、ベルト周長方向で重さのばらつきをより低減できているからであると考えられる。
【0076】
耐久走行試験では、実施例1〜3および比較例2、4のシームレスベルトは、200万回の屈曲回数まで異常が発生せず、十分な耐久性を備えているのに対して、比較例1、3のシームレスベルトは、十分な耐久性を備えていないことが明らかになった。これは、比較例1のように、横編布のみを用いた1層構造のシームレスベルトに破断が発生してしまうのは、横編布は織布に較べて引裂強度が低いので、周長方向の引裂強度を十分に確保できないためであると考えられる。また、比較例3のように、芯体を横編布と巻糸と横編布を積層して形成した3層構造のシームレスベルトに亀裂が発生してしまうのは、引裂強度は確保できるものの、曲げ剛性が高くなり過ぎて、小径のプーリに沿って小さな曲率半径で屈曲する屈曲性を十分に確保できないためであると考えられる。
【0077】
更に、耐久走行試験では、実施例1〜3のシームレスベルトが蛇行していないのに対して、参考例1〜3のシームレスベルトが蛇行していることが明らかになった。これは、1軸の成形機で巻糸を巻き付けて芯体を形成したシームレスベルトの方が、2軸の成形機で巻糸を巻き付けて芯体を形成したシームレスベルトよりも、張力や巻きピッチのばらつきを低減し、均等に巻糸2bを巻き付けることができており、ベルト周長方向で重さのばらつきをより低減できているためであると考えられる。
【0078】
以上より、1軸の成形機を用いて、布帛と巻糸と布帛を積層して芯体を形成した3層構造のシームレスベルトが、周長や糸の種類の変更が容易で、周長方向で重さのばらつきを抑えつつ、屈曲性を確保すると共に、ベルトの反りを防止できることが明らかとなった。
【0079】
以上、本発明の実施形態について図面に基づいて説明したが、具体的な構成は、これらの実施形態及び実施例に限定されるものでないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態及び実施例の説明だけではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。