(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
電子地図により範囲に含まれるエリアにおけるナビゲート可能経路の区分を表す複数のベクトルを含む前記電子地図にわたり起点から目的地までの経路を生成するコンピュータを使用した方法であって、
1)前記電子地図により範囲に含まれるエリア内のベクトルにおける遅延を示す遅延データを取得すること、
2)起点から前記目的地までの経路の第1の部分が遅延を考慮に入れるために第1の経路指定方法が前記遅延データを使用するように、前記起点から所定の閾値まで前記第1の経路指定方法を使用して前記経路の前記第1の部分を算出すること、
3)前記目的地までの前記経路を更に算出するために第2の経路指定方法を使用して前記所定の閾値を超える前記目的地までの前記経路の第2の部分を算出し、前記第2の経路指定方法は、遅延データを使用しないで、最低コスト経路を決定するための経路指定加速データを使用すること、
を備え、
前記電子地図により範囲に含まれる前記エリアは複数の領域に分割され、
前記経路指定加速データは、それぞれの領域から他の領域のいずれかまでの経路を形成する複数のベクトルのうち最低コスト経路の一部を形成するベクトルを指定するものであり、かつ、前記経路指定加速データは予め生成される、方法。
遅延データが所定の走行時間内に移動可能な距離として考慮される前記所定の閾値を設定し、前記所定の走行時間は、距離が実際に予想される走行速度になりうる第1の走行速度で決定されうる請求項1または2に記載の方法。
前記遅延データが得られる前記エリアを判定するために、楕円を含む所定の形状を使用し、前記起点が前記楕円の第1の焦点にあるように前記楕円を配置できる請求項1乃至3のいずれか1項に記載の方法。
交通事象により例示される遅延により範囲に含まれるエリアの周囲に、矩形を含むモザイク状にできる形状を形成し、その後、遅延の周囲にモザイク状にできる形状が、前記楕円の周囲に形成される前記矩形と交差するかどうか、交差が発生するあらゆる事象に関連する遅延データを使用するかどうかを判定する請求項6に記載の方法。
電子地図により範囲に含まれるエリアのナビゲート可能経路の区分を表す複数のベクトルを含み且つアクセス可能である前記電子地図にわたり起点から目的地までの経路を生成するように構成されるナビゲーション装置であって、
1)前記電子地図により範囲に含まれるエリア内のベクトルにおける遅延を示す遅延データを取得し、
2)前記起点から前記目的地までの経路の第1の部分が前記遅延データにより識別される遅延を考慮に入れるために前記遅延データを使用する第1の経路指定方法を前記起点から所定の閾値まで使用して前記経路の前記第1の部分を算出し、
3)前記目的地までの前記経路を更に算出するために第2の経路指定方法を使用して前記所定の閾値を超える前記目的地までの前記経路の第2の部分を算出し、前記第2の経路指定方法は、遅延データを使用しないで、最低コスト経路を決定するための経路指定加速データを使用するように構成され、
前記電子地図により範囲に含まれる前記エリアは複数の領域に分割され、
前記経路指定加速データは、それぞれの領域から他の領域のいずれかまでの経路を形成する複数のベクトルのうち最低コスト経路の一部を形成するベクトルを指定するものであり、かつ、前記経路指定加速データは予め生成される、ナビゲーション装置。
電子地図により範囲に含まれるエリアにおいてナビゲート可能経路の区分を表す複数のベクトルを含む前記電子地図にわたり起点から目的地までの経路を生成するように構成されたシステムであって、
前記電子地図により範囲に含まれる前記エリア内のベクトルにおける遅延を示す遅延データを生成するように構成された少なくとも1つのサーバと、
前記電子地図により範囲に含まれるエリアの前記遅延データを受信し、
1)前記起点から前記目的地までの経路の第1の部分が前記遅延データにより識別される遅延を考慮に入れるために前記遅延データを使用する第1の経路指定方法を前記起点から所定の閾値まで使用して前記経路の前記第1の部分を算出し、
2)前記目的地までの前記経路を更に算出するために第2の経路指定方法を使用して前記所定の閾値を超える前記目的地までの前記経路の第2の部分を算出し、前記第2の経路指定方法は、遅延データを使用しないで、最低コスト経路を決定するための経路指定加速データを使用する、ように構成された少なくとも1つのナビゲーション装置と、を備え、
前記電子地図により範囲に含まれる前記エリアは複数の領域に分割され、
前記経路指定加速データは、それぞれの領域から他の領域のいずれかまでの経路を形成する複数のベクトルのうち最低コスト経路の一部を形成するベクトルを指定するものであり、かつ、前記経路指定加速データは予め生成される、システム。
【発明の概要】
【0008】
本発明の第1の態様によると、電子地図により範囲に含まれるエリアにおけるナビゲート可能経路の区分を表す複数のベクトルを含む電子地図にわたり起点から目的地までの経路を生成するコンピュータを使用した方法であって、
1)電子地図により範囲に含まれるエリア内のベクトルにおける遅延を示す遅延データを取得すること、
2)起点から目的地までの経路の第1の部分が遅延を考慮に入れるために第1の経路指定方法が遅延データを使用するように、起点から所定の閾値まで第1の経路指定方法を使用して経路の第1の部分を算出すること、
3)目的地までの経路を更に算出するために第2の経路指定方法を使用して所定の閾値を超える目的地までの経路の第2の部分を算出すること、
を備える方法が提供される。
【0009】
そのような方法は、乗り物の周囲の遅延を考慮に入れるために利点を有すると考えられるため、交通遅延を回避する経路を一般に生成する更に正確な経路を提供する可能性がある。しかし、方法は、遅延データを考慮に入れる従来の経路指定技術と比較すると、同一のハードウェア上で実行された時に経路を生成するのにかかる時間を短縮する。
【0010】
一般に遅延データは、事故等の交通事象に起因する遅延を示す。そのようなデータは遅延データと考えられてもよい。しかし、遅延データは、一般的に原因に関わらず遅延に関するデータを含む。遅延は、道路の閉鎖、天気、コンサート、博覧会等のイベント、スポーツイベント又は道路工事等の1つ又は複数の理由に起因することが当業者には理解されるだろう。
【0011】
電子地図のユーザが電子地図内の誤りを示し、それらを地図プロバイダにアップロードできることが既知である。従って、電子地図の精度は、ユーザコミュニティの動作により向上されてもよい。TomTom(登録商標)は、Map Share(登録商標)という登録商標の下でそのようなシステムを提供する。従って、そのような電子地図のユーザは、ユーザコミュニティにより通知された誤りを利用することを選択でき、そのような誤り又は誤りに対する修正はダウンロード可能であり且つ電子地図と共に使用可能である。本発明の本態様において、遅延データは、経路が生成されている電子地図内の誤りに対する修正を更に含んでもよい。
【0012】
方法は、経路データをその出力として生成してもよい。経路データは、電子地図にわたる経路の詳細を提供してもよい。
【0013】
一般に交通事象は、数十分の有限の期間を有することが既知である。調査により、殆どの場合に交通事象の期間は30分を超えないことが示された。従って、運転者が交通事象の場所に到着する時間までに交通事象が解消される可能性があるため、交通事象の期間中に走行できる距離を越えたところの交通事象を考慮することは保証されなくてもよい。
【0014】
従って、方法は、第1の経路指定方法が所定の走行時間内に移動可能な距離として使用される所定の閾値を設定してもよい。所定の走行時間は、約40分になるように選択されてもよい。あるいは、所定の走行時間は、約15分、20分、25分、30分、35分、45分、50分、60分又はそれ以上のうちのいずれかであってもよい。所定の閾値を設定する際、方法はその時間において予想される予想走行速度を考慮してもよい。すなわち、所定の閾値は、実際の走行条件(すなわち、実際の予想走行速度)で到達すると予想される起点からの距離に設定される。その時間において予想される予想走行速度は、第1の走行速度と考えられてもよい。
【0015】
所定の閾値は、電子地図が関連するエリアに従って変動してもよい。例えば所定の閾値は、そのエリアが都市であるか又は地方であるか等その国に従って変動してもよい。
【0016】
本発明の実施形態は、考慮される遅延データを起点の周囲のエリアに制限してもよい。そのような方法は、考慮されるデータ量を減少し、データの記憶容量、帯域幅の減少、処理の高速化等に関連する利点をもたらすため便利である。
【0017】
起点の周囲のエリアは、矩形又は正方形等のモザイク状にできる形状であってもよい。そのような形状は、本発明のいくつかの実施形態の交通事象との交点を単純にできるため利点を有する。
【0018】
モザイク状にできる形状を判定する前に、方法は、楕円又は円等の別の形状を判定してもよい。
【0019】
楕円が使用される場合、楕円の1つの焦点として起点を有してもよい。次に方法は、モザイク状にできる形状を楕円の周囲に適合させてもよい。
【0020】
方法は、第2の走行速度と考えられてもよい所定の時間で走行可能な距離に基づいて起点の周囲のエリアを設定してもよい。方法は、この判定を行うために設定速度を使用してもよく、その設定速度は、障害物のない道路を仮定して運転者が走行すると予想される速度であってもよい。すなわち、方法は最適な場合の走行条件と考えられてもよい条件に基づいてエリアのサイズを設定してもよい。
【0021】
従って、いくつかの実施形態は、方法が第1の経路指定方法から第2の経路指定方法へ切り替える時の所定閾値を判定するために実際の予想走行速度を使用してもよく、その一方で、遅延データが考慮される起点の周囲のエリアを判定するために最適な場合の走行速度を使用してもよい。そのような実施形態は、遅延データが入手可能であるエリア内に所定の閾値が常に存在するため便利であり、方法は考慮される遅延データの量を非常に減少している。
【0022】
上述したように、第1の走行速度は、一般に第2の走行速度以下である。いくつかの実施形態において、第1の走行速度は、現在の走行条件を仮定して予想される走行速度であり、第2の走行速度は、障害物のない走行条件を仮定して予想される走行速度である。
【0023】
所定の走行時間は、約40分になるように選択されてもよい。あるいは、所定の走行時間は、約15分、20分、25分、30分、35分、45分、50分、60分又はそれ以上のうちのいずれかであってもよい。所定の閾値の設定値が大きすぎると、一般に方法の利点を低下し且つ可能性として無効にする可能性があり、必要以上に多くの交通データ量が処理されることを意味するため、本発明の実施形態は、ほぼ全ての交通事象又はそれらの殆どの期間を範囲に含む最小値を有利に使用してもよい。
【0024】
方法は、所定の閾値を判定するために所定の形状の境界を使用してもよい。所定の形状は楕円であってもよい。楕円が使用される場合、乗り物の現在地である起点が楕円の第1の焦点になるように楕円が配置されてもよい。方法は、第2の焦点を通る第1の焦点から楕円の境界までの距離が所定の走行時間において乗り物が移動できる距離と同等であるように楕円寸法を構成してもよい。楕円が交通を考慮するために考慮されるべきであるベクトルを従来表す境界を提供するため、楕円を使用する実施形態は利点を有すると考えられ、経路が生成される可能性が低い側より多くの焦点が起点の前方に与えられてもよい。
【0025】
楕円の生成後、方法は、楕円の周囲の矩形等、モザイク状にできる形状を適合させてもよい。正方形等の他の形状が可能であってもよい。
【0026】
方法は、交通事象により範囲に含まれるエリアの周囲に例えば矩形であるモザイク状にできる形状を形成してもよく、その後方法は、交通事象の周囲の矩形が、遅延データが考慮される起点の周囲のエリアと交差するかを判定してもよい。方法は、交差が発生するあらゆる事象に関連する遅延データを利用してもよい。そのような方法は、遅延データが考慮されるべきかを判定する際に便利である。
【0027】
方法は、有向非周期グラフ(DAG)として電子地図を表してもよい。更に方法は、探索方法を使用して、電子地図を探索し且つ経路の第1の部分を算出してもよい。探索方法は、A
*方法等の最良優先探索方法であってもよい。別の実施形態において、探索方法は、ダイクストラ法、あるいはA
*方法の前のA1又はA2方法等の方法であってもよい。現在、A
*方法は、起点と目的地との間の最低コスト経路を判定することに対して最適な解決策を提供すると考えられ、従って遅延データを考慮しつつ経路を算出するのに使用可能であるため、経路の第1の部分を算出する好適な方法であると考えられている。
【0028】
方法は、経路の第2の部分を算出するために経路指定加速データを使用してもよい。一般に経路指定加速データは、経路が生成されている電子地図と関連付けられ、電子地図の他の部分までの最低コスト経路の一部を形成する電子地図のベクトルを示してもよい。そのような経路指定加速データの一例については、TomTom International BVの特許出願第PCT/EP2010/059947号(国際公開第WO2011/004029号)において詳細に説明され、その内容は参考として本明細書に取り入れられる。そのような経路指定加速データを使用する利点は、経路指定加速データが所定のコスト関数に従って最低コスト経路の一部を形成するベクトルを指定するため、非常に短い時間で経路が生成可能であることである。しかし、経路指定加速データは、事前に生成されるため、所定のベクトルに対するコスト関数(通常は、走行時間)を変更する交通事象等の変動する情報を考慮に入れない。起点からの距離における交通事象の影響は減少するため、所定の閾値を超えて遅延データを使用しないことが受け入れ可能であると考えられる。
【0029】
本発明のいくつかの実施形態は、元の経路を生成するために使用されたパラメータが変更されるべきである場合に経路を再度算出してもよい。例えば遅延データ、乗り物が生成された経路から逸れること、ユーザが経路を生成するのに使用されたパラメータを変更すること(例えば、生成した経路が高速道路を使用していた場合に高速道路を使用しないことをユーザが指示してもよいこと)、交通の構成が経路の周囲で変更されること又はユーザが経路に沿って遅延を経験すること(一般に予想走行よりも遅いことに起因する)等のうちのいずれが変更されてもよい。
【0030】
本発明の第2の態様によると、電子地図により範囲に含まれるエリアのナビゲート可能経路の区分を表す複数のベクトルを含み且つアクセス可能である電子地図にわたり起点から目的地までの経路を生成するように構成されるナビゲーション装置であって、
1)電子地図により範囲に含まれるエリア内のベクトルにおける遅延を示す遅延データを取得し、
2)起点から目的地までの経路の第1の部分が遅延データにより識別される遅延を考慮に入れるために遅延データを使用する第1の経路指定方法を起点から所定の閾値まで使用して経路の第1の部分を算出し、
3)目的地までの経路を更に算出するために第2の経路指定方法を使用して所定の閾値を超える目的地までの経路の第2の部分を算出するように構成される装置が提供される。
【0031】
ナビゲーション装置は、ポータブルナビゲーション装置(PND)であってもよい。しかし、ナビゲーション装置は、電子地図を処理し且つ電子地図にわたる経路を生成するように構成される他のあらゆる装置であってもよい。例えばナビゲーション
装置は、電話、PDA(パーソナルデジタルアシスタント)、iPad(登録商標)等のタブレットコンピュータ、インターネットにより例示されるワイドエリアネットワーク(WAN)等のネットワークを介してアクセス可能なサーバ、ノートブックコンピュータ、
ネットブックコンピュータ、PC及び/又はMAC、テレビ、あるいはゲームコンソール等のいずれであってもよい。
【0032】
本発明の第3の態様によると、電子地図により範囲に含まれるエリアにおいてナビゲート可能経路の区分を表す複数のベクトルを含む電子地図にわたり起点から目的地までの経路を生成するように構成されたシステムであって、
電子地図により範囲に含まれるエリア内のベクトルにおける遅延を示す遅延データを生成するように構成された少なくとも1つのサーバと、
遅延データを受信し、
1)起点から目的地までの経路の第1の部分が遅延データにより識別される遅延を考慮に入れるために遅延データを使用する第1の経路指定方法を起点から所定の閾値まで使用して経路の第1の部分を算出し、
2)目的地までの経路を更に算出するために第2の経路指定方法を使用して所定の閾値を超える目的地までの経路の第2の部分を算出するように構成された少なくとも1つのナビゲーション装置と、
を備えるシステムが提供される。
【0033】
本発明の第4の態様によると、少なくとも1つのコンピュータに読み込まれた時に本発明の第1の態様の方法をコンピュータに実行させる命令を含むコンピュータ可読媒体が提供される。
【0034】
本発明の第5の態様によると、少なくとも1つのコンピュータに読み込まれた時に本発明の第2の態様のナビゲーション装置としてコンピュータを実行させる命令を含むコンピュータ可読媒体が提供される。
【0035】
本発明の第6の態様によると、少なくとも1つのコンピュータに読み込まれた時に本発明の第3の態様のシステムの少なくとも一部としてコンピュータを実行させる命令を含むコンピュータ可読媒体が提供される。
【0036】
本発明の1つの態様に関連して説明したいずれの特徴も、必要な変更を加えて、本発明のあらゆる他の態様と共に使用されてもよい。
【0037】
本発明の上記態様のいずれかにおいて、コンピュータ可読媒体は、フロッピー(登録商標)ディスク、CD ROM、DVD ROM/RAM(−R/−RW及び+R/+RWを含む)、ハードドライブ、メモリ(USBメモリキー、SDカード、Memorystick?又はコンパクトフラッシュ(登録商標)カード等)、テープ、他のあらゆる形態の光磁気記憶装置、送信信号(インターネットダウンロード、FTP転送等を含む)、ワイヤ又は他のあらゆる適切な媒体のうちのいずれを含んでもよい。
【0038】
本発明の実施形態は、ソフトウェア、ファームウェア、ハードウェア又はそれらのあらゆる組み合わせで提供されてもよいことが当業者には理解されるだろう。
【発明を実施するための形態】
【0040】
図1は、連続した位置、速度、時間及びいくつかの例においては無数のユーザに対する方向情報を判定するために利用されてもよい衛星無線を使用したナビゲーションシステムである全地球測位システム(GPS)を概略的に示す。以前はNAVSTARとして既知であったGPSは、極めて正確な軌道で地球を周回する複数の衛星を含む。これらの正確な軌道に基づいて、GPS衛星は自身の場所をGPSデータとしていかなる数の受信ユニットにも中継できる。しかし、GLOSNASS、欧州のGalileo測位システム、COMPASS測位システム又はIRNSS(Indian Regional Navigation Satellite System)等の全地球測位システムが使用可能であることが理解されるだろう。
【0041】
特にGPSデータを受信できる装置がGPS衛星信号に対する無線周波数の走査を開始する場合、GPSシステムは実現される。GPS衛星から無線信号を受信すると、装置は、複数の異なる従来の方法のうちの1つを使用してその衛星の正確な場所を判定する。殆どの例において、装置は、少なくとも3つの異なる衛星信号を取得するまで信号の走査を継続する(尚、位置を判定する標準的な方法ではないが、2つの信号だけでも他の三角測量技術を使用して位置を判定できる)。幾何学的三角測量を実現すると、受信機は、3つの既知の位置を利用して、衛星に対する自身の2次元位置を判定する。これは、既知の方法で行われる。更に、第4の衛星信号を取得することにより、受信装置は、同一の幾何学計算によって既知の方法でその3次元位置を算出できる。位置及び速度データは、無数のユーザにより連続的にリアルタイムで更新可能である。
【0042】
図1に示すように、GPSシステム100は、地球104の周囲の軌道上にある複数の衛星102を備える。GPS受信機106は、多くの衛星102からスペクトル拡散GPS衛星データ信号108としてGPSデータを受信する。スペクトル拡散データ信号108は、各衛星102から連続的に送信され、送信された各スペクトル拡散データ信号108は、データストリームの発信元である特定の衛星102を特定する情報を含むデータストリームを含む。一般にGPS受信機106は、2次元位置を算出できるように少なくとも3つの衛星102からスペクトル拡散データ信号108を必要とする。第4のスペクトル拡散データ信号を受信することにより、GPS受信機106は既知の技術を使用して3次元位置を算出できる。よって、GPS受信機106は、得られた座標情報を提供する位置データを生成する。
【0043】
従って、GPSシステムにより、GPS受信機106を有する装置のユーザは数メートル内で地球上の自身の位置を判定できる。この情報を使用するために、ユーザの位置を示すことを可能にする電子地図に依存することが一般的になっている。そのような地図は、TeleAtlas(http://www.teleatlas.com)等のプロバイダにより例示される。当業者であれば、位置データはGPSシステムから生成される必要がなく、他のソースやソースとの組み合わせから同様に生成可能であることが理解されるだろう。
【0044】
そのような位置情報は、例えば移動電話を操作して得られる位置データ、料金所で受信したデータ、道路に埋め込まれた誘導ループから得られるデータ、ナンバープレート認識システムから得られるデータ、加速度計から得られるデータ、乗り物や他の適切なデータソース(あるいはデータソースとの組み合わせ)と関連づけられたものから生成できる。
【0045】
そのような電子地図は、GPSシステム(又は他の手段)を使用してユーザの位置を示すことを可能にするだけでなく、ユーザが移動等(経路指定の目的)のための経路を計画することを可能にする。この経路計画を行うために、電子地図はナビゲーション装置により処理され、これは一般的な演算装置により提供されてもよい。
【0046】
ナビゲーション装置の特定の例は、ポータブルナビゲーション装置(PND)と呼ぶ便利な衛星ナビゲーション装置(衛星ナビゲーション)を含む。しかし、本発明の教示はPNDに限定されず、一般に経路計画及びナビゲーション機能性を提供するために電子地図を処理するように構成されるいかなる種類の処理装置にも例外なく適用可能である。従って、本出願において、ナビゲーション装置は、PND、自動車等の乗り物、例えば経路計画及びナビゲーションソフトウェアを実行するポータブルパーソナルコンピュータ(PC)、移動電話又はパーソナルデジタルアシスタント(PDA)又はサーバであるポータブル計算リソース、あるいはネットワークを介してそのような機能性を提供する他の演算装置として実装されるか否かにかかわらず、どんな種類の経路計画及びナビゲーション装置も含むことを意図する(それらに限定されない)。
【0047】
PNDの形態のそのようなナビゲーション装置の一例を
図2に示す。尚、ナビゲーション装置200のブロック図は、ナビゲーション装置の全ての構成要素を含んでいるわけではなく、多くの構成要素の例を示しているにすぎない。ナビゲーション装置200は筐体(不図示)内に配置される。ナビゲーション装置200は、例えば上述したプロセッサ202を含む処理回路網を含む。プロセッサ202は、入力装置204及び例えば表示画面206である表示装置に結合される。ここで、入力装置204は単数で示されるが、入力装置204がキーボード装置、音声入力装置、タッチパネル及び/又は情報を入力するのに利用される他のあらゆる既知の入力装置を含む任意の数の入力装置を表すことは、当業者には理解されるべきである。同様に、表示画面206は、例えば液晶ディスプレイ(LCD)等のあらゆる種類の表示画面を含むことができる。
【0048】
ナビゲーション装置200において、プロセッサ202は、接続210を介して入力装置204に動作可能に接続されて入力装置204から入力情報を受信でき、各出力接続212を介して表示画面206及び出力装置208のうち少なくとも一方に動作可能に接続されて情報を出力する。ナビゲーション装置200は、例えば可聴出力装置(例えば、スピーカ)である出力装置208を含んでもよい。出力装置208がナビゲーション装置200のユーザに対して可聴情報を生成できるため、入力装置204は入力音声コマンドを受信するためのマイク及びソフトウェアを含むことができると同様に理解されるべきである。また、ナビゲーション装置200は、例えばオーディオ入出力装置等のあらゆる追加の入力装置204及び/又はあらゆる追加の出力装置を更に含むことができる。
【0049】
プロセッサ202は、接続216を介してメモリ214に動作可能に接続され、更に接続220を介して入出力(I/O)ポート218に対して情報を送受信するように更に構成される。この場合、I/Oポート218は、ナビゲーション装置200の外部のI/O装置222に接続可能である。外部I/O装置222は、例えばイヤホン等の外部リスニングデバイスを含んでもよいがこれに限定されない。I/O装置222への接続は、イヤホン又はヘッドホンへの接続及び/又は例えば移動電話への接続のためのハンズフリー動作及び/又は音声起動動作を行うカーステレオユニット等の他のあらゆる外部装置への有線又は無線接続であってもよい。ここで、例えばナビゲーション装置200とインターネット又は他のあらゆるネットワークとの間のデータ接続を確立するため、並びに/あるいは例えばインターネット又は他の何らかのネットワークを介してサーバとの接続を確立するために移動電話接続が使用できる。
【0050】
ナビゲーション装置200のメモリ214は、不揮発性メモリ(例えば、プログラムコードを格納する)の一部及び揮発性メモリ(例えば、プログラムコードが実行された時にデータを格納する)の一部を含む。ナビゲーション装置は、接続230を介してプロセッサ202と通信するポート228を更に含み、取り外し可能なメモリカード(一般に、カードと呼ばれる)が装置200に追加されるのを可能にする。説明している実施形態において、ポートは、SD(セキュアデジタル)カードが追加されるのを可能にするように構成される。他の実施形態において、ポートは他の形態のメモリが接続されるのを可能にしてもよい(コンパクトフラッシュ(CF)カード、Memory Stick(登録商標)、xDメモリカード、USB(Universal Serial Bus)フラッシュドライブ、MMC(マルチメディア)カード、SmartMedia(登録商標)カード又はマイクロドライブ等)。
【0051】
図2は、接続226を介するプロセッサ202とアンテナ/受信機224との間の動作可能接続をさらに示す。ここで、アンテナ/受信機224は、例えばGPSアンテナ/受信機であってもよいため、
図1のGPS受信機106として機能する。図中符号224で指定されたアンテナ及び受信機は図示するために概略的に組み合わされるが、アンテナ及び受信機は別個に配置された構成要素であってもよく、アンテナは例えばGPSパッチアンテナ又はヘリカルアンテナであってもよいことが理解されるべきである。
【0052】
更に、
図3のポータブル又はハンドヘルドナビゲーション装置200は、例えば自転車、オートバイ、自動車又は船等の乗り物に既知の方法で接続又は「ドッキング」される。そのようなナビゲーション装置200は、ポータブル又はハンドヘルドナビゲーションに使用するためにドッキングされた場所から取り外し可能である。実際には、他の実施形態において、装置200はユーザのナビゲーションを可能にするためにハンドヘルド装置となるように構成されてもよい。
【0053】
図3を参照すると、ナビゲーション装置200は、内蔵された入力及び表示装置206並びに
図2の他の構成要素(内部GPS受信機224、プロセッサ202、電源(不図示)、メモリシステム214等を含むがこれらに限定されない)を含むユニットであってもよい。
【0054】
ナビゲーション装置200は、吸着カップ254を使用して車両のダッシュボード/窓等に固定されてもよいアーム252上に位置してもよい。このアーム252は、ナビゲーション装置200がドッキングされるドッキングステーションの一例である。ナビゲーション装置200は、例えばナビゲーション装置200をアーム252に嵌合接続することによりドッキングステーションのアーム252にドッキングされるか又は接続される。ナビゲーション装置200は、アーム252を中心に回転可能であってもよい。ナビゲーション装置200とドッキングステーションとの間の接続を解放するために、例えばナビゲーション装置200上のボタン(不図示)が押下されてもよい。ドッキングステーションに対してナビゲーション装置200を結合及び分離する同様に適切な他の構成は当業者には既知である。
【0055】
図4を参照すると、プロセッサ202及びメモリ214は協働して、ナビゲーション装置200の機能ハードウェア構成要素280と装置により実行されるソフトウェアとの間のインタフェースとして機能するBIOS(基本入出力システム)282をサポートする。プロセッサ202は、メモリ214からオペレーティングシステム284をロードし、アプリケーションソフトウェア286(説明された経路計画及びナビゲーション機能性の一部又は全てを実現する)が実行可能な環境を提供する。アプリケーションソフトウェア286は、例えば地図閲覧、経路計画、ナビゲーション機能及び関連する他のあらゆる機能であるナビゲーション装置の中核機能をサポートするグラフィカルユーザインタフェース(GUI)を含む動作環境を提供する。この点に関して、アプリケーションソフトウェア286の一部はビュー生成モジュール288を含む。
【0056】
説明している実施形態において、ナビゲーション装置のプロセッサ202は、アンテナ224により受信されたGPSデータを受信し且つGPSデータが受信された時のタイムスタンプと共にGPSデータを時々格納してナビゲーション装置の一連の位置を構築するようにプログラムされる。そのように格納された各データレコードはGPSフィックスと考えられてもよい。すなわち、ナビゲーション装置の場所のフィックスであり、緯度、経度、タイムスタンプ及び精度レポートを含む。この一連の位置は測位データと考えられてもよい。
【0057】
電子地図は、一般に地理的エリアを範囲に含み、通常はGPSシステムから導出された位置データを使用して、経路案内アルゴリズムにより使用されるように特に設計されるデータを含む。例えば道路は、線、すなわちベクトル(例えば、道路の始点、終点、方向であり、道路全体は、各々が始点/終点方向パラメータにより一意に規定される数百ものベクトルから構成される)として記述され、ノードはそのようなベクトル間に存在する。電子地図は、そのような道路ベクトル(すなわち、複数のベクトル)、各ベクトルと関連付けられたデータ(制限速度、移動方向等)+地点情報(POI)+道路名+公園の境界や川の境界等の他の地理的特徴の集合であり、それらは全てベクトルに関して規定される。電子地図の特徴(例えば、道路ベクトル、POI等)は、一般的にGPS座標系に対応するか又は関連する座標系で規定され、GPSシステムを介して判定される装置の位置を電子地図に示された関連道路に配置することを可能にし、目的地までの最適な経路計画を可能にする。
【0058】
電子地図にわたる経路計画を可能にし且つ少なくとも2つの位置(起点及び目的地)の間を移動するのにユーザにより使用可能である経路指定方法は既知である。そのようなアルゴリズムは、ダイクストラ法及びそれを改善したA
*方法を含む。これらのアルゴリズムは当業者には周知である。
【0059】
ナビゲーション装置において一般に使用される経路指定方法の広範な適用性は、当業者には理解されるだろう。しかし、A
*等の方法が電子地図にわたる経路を算出するが、それら方法は所望の速度より遅い可能性がある。従って、経路指定加速データとして考えられるものは、電子地図又は少なくとも電子地図と関連して利用可能な電子ファイルに追加されてもよい。そのような経路指定加速データの一例については、TomTom International BVの特許出願第PCT/EP2010/059947号(国際公開第WO2011/0040291号)において詳細に説明され、その内容は参考として本明細書に取り入れられる。
【0060】
しかし、参照を容易にするために、特許出願第PCT/EP2010/059947号において概略を説明される方法について、
図5を参照して簡単に説明する。経路指定加速データを生成するために、電子地図は前処理される。地図データがウェブサイトで使用されるか又はPND等の装置において使用されるかに関係なく、通常は前処理は電子地図を提供するデータが使用される前に実行される。従って、前処理ステップは、サーバ側処理と呼ばれることが多い。
【0061】
前処理が特定の電子地図に対して実行されるため、生成される経路指定加速データは通常はその電子地図に対してのみ使用可能である。経路指定加速データが全く異なる電子地図に対して使用される場合、生成される経路は最低コスト経路にならないことが当業者には理解されるだろう。更に、電子地図内に記録される物理的な環境が経時変化するために電子地図の種々のバージョンが存在することが、当業者には理解されるだろう。従って、変化する環境を反映し且つ電子地図の以前のバージョンに対して訂正を行うために新しいバージョンが作成される。経路指定加速データが生成された時の電子地図以外の電子地図のバージョンに対して使用される場合、経路は最低コスト経路ではなくなる可能性がある。
【0062】
前処理は、電子地図のノード500(すなわち、ベクトル間の交点すなわちノードはベクトルにより接続される)を複数の領域に分割するため、あらゆる電子地図は例えばN個である既知の数の領域に分割される。
図5において点線で示される領域(N個の)は、各々が複数のノード500を含むように作成される。図中、A、B、C、D及びEで示す5つの領域が存在することが分かるだろう。従って、領域Aが3つのノード500を含み、領域Bが6つのノード500を含み、領域Cが6つのノード500を含み、領域Dが5つのノード500を含み、領域Eが6つのノードを含むことが分かるだろう。当然、一般的な電子地図は、更に多くの領域、ノード500及びベクトルを含む。
【0063】
次の前処理ステップとして、領域(例えば、502)内の各道路区分(すなわち、ベクトル)は、電子地図内の領域数(N)の各々までの最低コスト経路の一部であるかを判定するために処理され、ビットベクトルが生成される(最低コスト評価)。従って、領域A〜E内の各道路区分502に対するビットベクトルは、領域内のナビゲート可能区分毎に1ビットを含む。すなわち、ビットベクトルは、経路がビットにより現される領域までの最短経路の一部を形成するかに依存して0又は1に設定されるN−1ビット(当該領域を除いた各領域に対して1ビット)を含む。いくつかの実施形態は、ヘッダ等の更なる情報を提供するために追加のビットを追加してもよい。
【0064】
この意味で最低コスト経路が複数の種々のコスト基準に対して判定されることは、当業者には理解されるだろう。例えば最低コストは、最短距離、最短移動時間、最安(環境的な影響に関して)、最小の使用燃料、最小の生成CO2等の基準のうちいずれかに対して判断されてもよい。本実施形態において、最低コストは最短移動時間に対して判断される。
【0065】
本発明のいくつかの実施形態における経路指定加速データの格納方法の一例を
図6に示す。
図6の各行は、ベクトル(すなわち、道路区分)に対して生成されたビットベクトルを含み、各ビットベクトルは3つの列を含むことが分かる。最も左側の列600は、考慮中のベクトルの開始のノードの識別番号を含む。第2の列602は、考慮中のベクトルの終了のノードの識別番号を含む。第3の列604はそのベクトルのビットベクトルを含む。従って、各ベクトルは、各々がベクトルの端部である2つのノードにより識別されることが分かるだろう。本実施形態において、考慮中の電子地図内の各ノードは、識別番号を与えられることが理解されるだろう。
【0066】
本発明のいくつかの実施形態は、電子地図のユーザがその電子地図内の誤りを強調表示することを可能にしてもよい。特にユーザはブロックされているとして道路区分に印をつけることができ(すなわち、ベクトルがブロックされていることを示せる)、これは交通事象と同一の影響を交通の流れに与える。従って、ブロックされた道路区分を表すデータは、交通事象の詳細を示すデータと同様に考慮されてもよい。
【0067】
あるいは又はそれに加えて、実施形態は、道路のブロックが解除されたこと又は新しい道路ができたこと等をユーザが示せるようにしてもよい。これらのいずれも、電子地図内に新しいベクトルを作成するものと考えられてもよい。一般的に例えば
図6に示すような経路指定加速データが前処理により生成されるため、経路指定加速データが新しいベクトルを参照しないために経路指定加速データを利用する経路指定方法はそのような新しいベクトルを考慮しない。
【0068】
ナビゲーション装置は、起点ノードと行先ノードとの間(すなわち、起点と目的地との間)の経路を算出する時に
図6に例示した経路指定加速データを利用できる。特にA
*方法が処理されている時、電子地図の探索は、経路指定加速データにより識別されるような目的地までの最低コスト(所定の基準に従って)経路上の道路を規定する道路サブネットワークを考慮することのみに制約される。すなわち、その道路区分が目的地を含む所定のエリアまでの最低コスト経路の一部であることが前処理により先に判定されている。
【0069】
図7は、本発明の一実施形態において、
図6に例示した経路指定加速データ及びA
*探索方法が組み合わされる方法を例示する。
【0071】
道路ネットワークにおける交通状況は、道路を走行するのにかかる時間に対して多くの場合に深刻な影響を及ぼすことが既知である。従って、ナビゲーション装置は、起点と目的地との間の最低コスト経路を算出している時に交通(事故等を含む)による遅延を考慮に入れることが既知である。例えば最低コストを判定するために使用されている基準が移動時間である場合、経路は交通状況による影響を受けることが理解されるだろう。
【0072】
本発明の実施形態は、起点の周囲の所定の閾値を適用し、その所定閾値内の交通状況のみを考慮し、広範な地理的エリアにわたり交通を考慮する処理負荷を軽減する。
【0073】
電子地
図700の一部分を示す
図7を参照すると、遅延データが考慮されるエリアを強調表示する矩形Cの印がつけられ、矩形Cは楕円702を囲む。矩形は、楕円が生成されると、楕円に適合されるものと考えられてもよい。矩形Cは、楕円の周囲に適合する最小の矩形となるように構成されることが図から分かるだろう。外接矩形は、水平及び垂直に位置合わせされてもよい(すなわち、回転されない)。
【0074】
楕円の第1の焦点F1が起点(多くの場合、行程に対する乗り物の出発地)に位置付けられ且つ楕円の第2の焦点F2が第1の焦点F1と目的地706との間の直線704上に位置付けられるように、楕円702は位置付けられる。第1の焦点F1から楕円702(すなわち、楕円寸法)と直線704(すなわち、点708/楕円の境界)との交点までの距離は、最適な例と考えられる約40分で第2の走行速度で移動可能な距離に設定される。この意味において、最適な例とは、最速で(遅延なしで)走行でき、その結果として最長距離を移動できる状況を示す。例えば120km/hの速度では、結果として得られる距離は80kmである。実際には、40分で到達可能な距離はより短いが、外接エリアの目的は全ての可能な例(又は少なくともほぼ全ての例)を範囲に含むことである。
【0075】
この最適な例の距離は、
図7の距離Bで表される。第1の焦点F1から楕円702と線704との他方の交点までの距離は、約30km(すなわち、
図7の距離A)となる。距離30kmは、第1の経路指定方法により判定されるような最適な経路に属する起点F1の後方の環状線を範囲に含むように選択される。30km及び80kmの各々は、所定の閾値が使用されている電子地図に関連して見積もられる
。
【0076】
本発明の他の実施形態は、距離Aに対して異なる距離を使用してもよい。例えば距離Aは、実質的に10km、15km、20km、25km、35km、40km、45km又は50km等のうちのいずれであってもよい。Aに対する距離の選択は、電子地図により範囲に含まれるエリアに依存してもよく、例えば国毎に選択されてもよい。
【0077】
他の実施形態は、他の時間値(約10分、15分、20分、25分、30分、35分、45分、50分、60分、70分又はそれ以上のいずれかの値等)を使用してもよい。しかし、交通の問題が一般的に30分より短い期間を有し、この値に更に10分を加算することにより安全裕度を与えるため、40分が選択された。従って、所定の閾値が40分の移動時間と等しくなるように設定された状態では、所定の閾値を超えたところの交通の問題は、乗り物がその事象に到達する前に解消している可能性があるため、起点F1から目的地706までの経路指定から支障なく無視される。
【0078】
道路の閉鎖が通常はいかなる遅延も発生させず、探索処理において完全に回避される道路の範囲であるために、本発明のいくつかの実施形態はそれら道路の閉鎖を異なる方法で処理するように設定されてもよい。従って、本発明のいくつかの実施形態は、そのような閉鎖された道路を考慮しなくてもよい。
【0079】
遅延データは、既知のソースから取得され(すなわち、例えば交通情報サーバからの処理済みデータ
)、本発明の実施形態の次のステップは、以下に説明する所定の閾値を含む遅延データを利用することであり、これについては
図8を参照して更に説明する。一般に遅延データは、交通事象(すなわち、交通渋滞等)による遅延に関する情報を提供するが、いくつかの実施形態において、遅延データは、電子地図のベクトルにおいて何らかの理由により発生する遅延に関する情報を提供してもよい。遅延は、可能性として上述した最適な例の走行条件と比較してそのベクトルの平均速度の低下と考えられてもよい。所定のベクトルに対する最適な例の走行速度は、電子地図内に保持されてもよい。
【0080】
与えられる例において、4つの交通渋滞800、802、804、806が電子地
図700により範囲に含まれるエリア内に存在する。一般に対応する交通事象に関連付けられる全ての影響を受ける道路区分を含むことができる最小の矩形である外接矩形(例えば、808)は、交通事象の周囲に配置される。上述したように、交通事象という用語は、電子地図のユーザ(特定のナビゲーション装置のユーザであるか又はMap Share (登録商標)等の技術により識別された別のユーザであるかに関わらない)によりブロックされていると印をつけられた道路区分(すなわち、ベクトル)を含むことを意図する。交通事象は、所定の路線を部分的又は完全に範囲に含んでもよい。
【0081】
次に方法は、交通渋滞800〜806と関連付けられた外接矩形808のいずれかと矩形Cにより範囲に含まれるエリア(遅延データが取得される)との交点があるかを判定す
る。交点がある場合、交差した交通事象は、楕円の第1の焦点F1から目的地706までの行程に関して経路指定するために考慮される。従って、
図8の例において、交通渋滞800、802及び806は矩形cと交差するためそれら交通渋滞の全てが考慮され、交通渋滞804は矩形cの範囲外にあるため考慮されない。
【0082】
考慮されるべき交通が識別されると、方法は、起点(すなわち、楕円の焦点F1)から目的地706までの経路の算出に進むことができ、この算出は走行時間に基づく。
【0083】
従って、A
*探索は起点F1から開始され、走行時間は追跡される。A
*探索を使用することにより、所定の閾値まで使用される第1の経路指定方法が利用され、第1の経路指定方法は遅延データにより提供される遅延を考慮に入れる。ある地点までの合計の走行時間が40分(すなわち、所定の閾値)に到達すると、A
*方法論は単独で使用されなくなり、
図6に関連して説明した経路指定加速データが更に使用される。従って、第1の経路指定方法から第2の経路指定方法への遷移は、所定の走行時間内に移動できる距離において行われる
。
【0084】
経路指定加速データを含むためのA
*方法論からの遷移が走行時間に基づき、走行時間は走行条件により影響を受けるため、遷移が行われる起点F1からの固定の距離は存在しない。この距離は、
図9に示すような楕円900により表される。上述した矩形Cが最適な例の走行条件を利用して設定されたため、楕円900は矩形Cにより設定された距離よりかなり小さいことが分かるだろう。
【0085】
従って、
図9の楕円900は、実際の状況において所定の40分内に実際に到達可能な探索エリアであり、より大きい矩形Cは、遅延がないこと(考えられる可能な最大速度値)を仮定した時の楕円の外接矩形、すなわち遅延データが取得されるエリアである。この時間の間、乗り物は、上述した第2の速度より遅い第1の速度で移動していると仮定される。
【0086】
よって、矩形Cは、関連する交通事象を選択するために使用され、最適な例、すなわち遅延がない場合の可能な最大エリアを範囲に含むべきである。楕円900は、A
*経路指定から探索加速データを使用する経路指定への遷移を設定するために使用される。
【0087】
第1の走行速度及び/又は第2の走行速度は、経路に対して固定である必要はなく、一般に経路に沿うベクトル毎に変動することが当業者には理解されるだろう。
【0088】
A
*方法論から加速データの使用への遷移は、交通の予想できる範囲、すなわち交通が考慮されなくな
る予想できる範囲と考えられるところで行われる。
【0089】
上述したように、ユーザ(特定のナビゲーション装置のユーザであるか又はMap Share(登録商標)等の技術により識別された別のユーザであるかに関わらない)は、電子地図内に新しいベクトル(すなわち、以前は電子地図の一部ではなかったベクトル)が存在することを示せる。しかし、経路指定加速データが前処理により生成されるため、新しいベクトルは経路1004の第2の部分の生成において第2の経路指定方法により考慮されない。従って、新しいベクトルが電子地図に追加されることを可能にする本発明の実施形態は、新しいベクトルが地図の各領域までの経路指定加速データにより示されるような最低コスト経路の一部であることを反映するように経路指定加速データを修正してもよい。すなわち、新しい各ベクトルに対する全てのビットが、ベクトルが電子地図の各領域までの最低コスト経路の一部であったことを示す「1」に設定されるように、そのベクトルに対する行は設定される。これは実際には当てはならないことが当業者には理解され、また、このようにビットを設定することにより、第2の経路指定方法は経路1004の第2の部分を生成する時に新しいベクトルを考慮することになることが当業者には理解されるだろう。
【0090】
新しいベクトルを表すビットベクトルのビットを「1」に設定する方法は、経路指定加速データを利用するあらゆる方法及び所定の閾値の後に第2の経路指定方法を利用する実施形態に適用可能であることが当業者には理解されるだろう。例えば、当然、ほぼ全体の経路に対する探索加速データを利用して起点と目的地との間の経路を生成できる。
【0091】
図10は、起点F1から目的地706まで印をつけられた経路1000を示す。経路が交通を考慮して生成されたか(すなわち、経路の第1の部分1002と考えられる点線)又は加速データを使用して交通を考慮せずに生成されたか(すなわち、経路の第2の部分1004と考えられる破線以外の線)が線の特徴(すなわち、破線対破線以外)から分かる。非通行と通行との遷移は、経路と楕円900との交点1006 Tにおいて行われることが分かるだろう。遷移(1006/T)は交通の予想できる範囲と呼ばれてもよい。
【0092】
図11は、乗り物1100内に位置しているナビゲーション装置200の表示画面206上で行われる表示の一例を示す。上記から、交通(矩形1102により例示される)による遅延が交通の予想できる範囲1104までのみ表示されることが当業者には理解されるだろう。
【0093】
いくつかの実施形態において、
図11の例のように交通の予想できる範囲1104が交通事象1102と交差する場合、交通の予想できる範囲1104は交通事象1102の終了を超えた次の電子地図のノード、すなわちノード1106まで延長されてもよい。
【0094】
本発明のいくつかの実施形態は、ベクトルと関連付けられた速度データを有する電子地図を使用してもよい。特にいくつかの実施形態は、ベクトルと関連付けられた時間に依存する速度データを有する電子地図を使用してもよい。すなわち、道路の所定の区分の平均速度(電子地図のベクトルにより表される)は時間帯によって変動することが理解されるだろう。例えばラッシュアワーの交通は、午前3時の交通より非常に遅い。
【0095】
従って、行程に対する実際の移動時間(A)は、以下の式により与えられる。
【0096】
A=F+T+I
F=自由走行移動時間−最適な移動条件で移動する時間
T=移動の遅延−全ての交通遅延(特定の道路における交通遅延が(事象を仮定した場合の道路を移動する時間)−(自由走行条件下で道路を移動する時間)として規定されるわけではない)の合計
I=(時間に依存する速度データを仮定した場合の道路を移動する時間)−(自由走行速度下で経路を移動する時間)と規定される時間に依存する速度データ遅延による全ての遅延の合計
本発明のいくつかの実施形態において、上記式中のTは、交通の予想できる範囲1104まで、すなわちA
*経路指定と経路指定加速データを使用する経路指定との間の遷移地点までの交通遅延のみを含む。
【0097】
いくつかの実施形態において、電子地図のベクトルと関連付けられた速度データは、ベクトルにより表される道路区分に対する測定済速度値を含んでもよい。従って、そのような測定済速度データは、交通データ(すなわち、遅延データ)が所定のベクトルに対して入手可能でない限り、そのような速度データが入手可能である経路のベクトル(一般にほぼ全てのベクトルであってもよい)に対して考慮される履歴遅延と考えられるものを提供する。
【0098】
従来技術において既知であるようなナビゲーション装置200により、ユーザは表示画面206に経路の概要を表示できる。本発明のいくつかの実施形態により、ユーザはこのリスト内の交通遅延(すなわち、交通事象)を見れる。一般にこのリスト中の交通遅延は、交通の予想できる範囲1104まで表示される。しかし、交通の予想できる範囲1104において交通遅延の表示を停止することは実施例の選択であり、他の実施形態は交通の予想できる範囲1104を越えて交通遅延をリスト表示してもよいことが当業者には理解されるだろう。
【0099】
あるいは又はそれに加えて、実施形態は、交通遅延/事象の閲覧を可能にする事象表示等の表示を提供してもよい。そのようなビューは、交通の予想できる範囲1104までの事象だけでなくナビゲーション装置200が認識する全ての事象を示してもよい。ここでも、他の実施形態は、交通の予想できる範囲1104までの交通遅延を単にリスト表示してもよい。
【0100】
図12及び
図13は、乗り物1200が走行(すなわち、移動)した時に交通の予想できる範囲1104を再評価する方法を示す。
図12は、乗り物が位置1200aから位置1200b及び1200cを通って位置1200d(すなわち、目的地(706))まで移動すると、予想できる範囲が位置1104a、1104b、1104c及び1104dに存在することを示す。
【0101】
本発明のいくつかの実施形態は、この再評価を連続的には行わない(これはプロセッサが集中的に使用される間に可能である)が、乗り物1200が誘導されている経路内のノードを越えて移動する場合に交通の予想できる範囲を更新する。従って、
図12において、ノードが乗り物の位置1200a、1200b、1200c及び1200dにおいて示され、乗り物がノードを超えて移動すると交通の予想できる範囲1104の再計算を知らせることが分かるだろう。
【0102】
更に、交通事象は連続的に変化するため、交通事象は、乗り物が位置1200aと1200dとの間の移動する時に発生したり解消したりする可能性があることが理解されるだろう。従って、交通の更新は、乗り物が目的地706(すなわち、位置1200d)に向かって移動している間に受信されてもよい。本発明のいくつかの実施形態は、例えば交通の更新が受信された時に、交通の更新を使用して経路を更新するように構成されてもよい。
【0103】
交通の更新の到着時、経路は再計画されてもよい。経路は、多くの他の理由(例えば経路から逸れること、ユーザの変更等)のために再計画されてもよいことが当業者には理解されるだろう。しかし、更新の理由が何であっても、本発明のいくつかの実施形態は、焦点F1が乗り物の現在地に基づくように上述した楕円702を再度算出するように構成される。これを
図13に示す。
図13において、4回の再計算1300、1302、1304及び1306が示されることが分かる
。