特許第6118462号(P6118462)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6118462品種認識コード化システム及びそれを用いたコード化方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6118462
(24)【登録日】2017年3月31日
(45)【発行日】2017年4月19日
(54)【発明の名称】品種認識コード化システム及びそれを用いたコード化方法
(51)【国際特許分類】
   C12Q 1/68 20060101AFI20170410BHJP
   C12M 1/00 20060101ALI20170410BHJP
   C12N 15/09 20060101ALN20170410BHJP
【FI】
   C12Q1/68 A
   C12M1/00 A
   !C12N15/00 A
【請求項の数】14
【全頁数】24
(21)【出願番号】特願2016-523610(P2016-523610)
(86)(22)【出願日】2013年10月30日
(65)【公表番号】特表2016-523100(P2016-523100A)
(43)【公表日】2016年8月8日
(86)【国際出願番号】KR2013009731
(87)【国際公開番号】WO2015046661
(87)【国際公開日】20150402
【審査請求日】2015年12月25日
(31)【優先権主張番号】10-2013-0114326
(32)【優先日】2013年9月26日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】599151282
【氏名又は名称】大韓民国農村振興庁
【氏名又は名称原語表記】REPUBLIC OF KOREA(MANAGEMENT RURAL DEVELOPMENT ADMINISTRATION)
(74)【代理人】
【識別番号】100115738
【弁理士】
【氏名又は名称】鷲頭 光宏
(74)【代理人】
【識別番号】100121681
【弁理士】
【氏名又は名称】緒方 和文
(74)【代理人】
【識別番号】100130982
【弁理士】
【氏名又は名称】黒瀬 泰之
(72)【発明者】
【氏名】キム ユルホ
(72)【発明者】
【氏名】パク ヒャンミ
(72)【発明者】
【氏名】ファン テヨン
(72)【発明者】
【氏名】キム スンイム
(72)【発明者】
【氏名】ペク ソンボム
(72)【発明者】
【氏名】クォン ヨンウプ
(72)【発明者】
【氏名】キム ウクファン
(72)【発明者】
【氏名】イム サンジョン
【審査官】 北村 悠美子
(56)【参考文献】
【文献】 韓国公開特許第10−2002−0095793(KR,A)
【文献】 国際公開第2013/023220(WO,A1)
【文献】 Theor Appl Genet,2013年 1月,Vol.126,p.231-239
【文献】 Plant Physiology,2004年,Vol.135,p.1198-1205
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12Q 1/68
C12N 15/00−15/90
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)染色体解読モジュール(100)が、標準遺伝体品種と対象品種の染色体を解読する段階、
(b)変異領域探索モジュール(200)が、前記解読された染色体において一塩基多様性(Single Nucleotide Variation)密集領域の分析により変異領域を探索する段階、
(c)増幅結果獲得モジュール(300)が、前記探索された変異領域においてindelマーカーを設定し、PCR(Polymerase chain reaction)で増幅して増幅結果を獲得する段階、及び
(d)コード化モジュール(400)が、前記増幅結果をコード化する段階を含み、
前記(c)段階において、
標準遺伝体品種の増幅結果のバンドサイズと対象品種の増幅結果のバンドサイズが同一である場合は増幅の結果が「a」であり、異なる場合は増幅結果が「b」であり、
前記(d)段階は、
(d1)増幅の結果が「a」である場合はデジタル信号「0」に変換して白色で表記し、増幅結果が「b」である場合はデジタル信号「1」に変換して黒色で表記する段階をさらに含む、
品種認識コード化の方法。
【請求項2】
前記(d1)段階の後、
(e)出力モジュール(500)は、前記コード化された結果を1次元表現または2次元表現で出力する段階をさらに含む、
請求項に記載の品種認識コード化の方法。
【請求項3】
前記(e)段階は、
前記対象品種の表現型を共に出力する段階をさらに含む、
請求項に記載の品種認識コード化の方法。
【請求項4】
前記対象品種は、二つ以上であり、
前記(e)段階は、
前記二つ以上の対象品種に対する二つ以上のコード化された結果を共に出力する段階であることを特徴とする、
請求項に記載の品種認識コード化方法。
【請求項5】
前記二つ以上のコード化された結果が2次元表現で出力され、その出力が母本または父本に相応する情報が系譜図として出力されることを特徴とする、
請求項に記載の品種認識コード化の方法。
【請求項6】
前記(e)段階は、
前記二つ以上のコード化された結果が2次元表現で出力され、その出力が前記二つ以上の2次元表現での差異点の領域が探索される段階、及び
前記探索された領域が白色と黒色以外の色で表現され、戻し交配品種と反復親品種が区分されて出力される段階をさらに含むことを特徴とする、
請求項に記載の品種認識コード化の方法。
【請求項7】
前記(e)段階は、
前記二つ以上のコード化された結果が2次元表現で出力され、その出力がヘテロ領域が探索される段階、及び
前記探索された領域が白色と黒色以外の色でさらに表現され、品種固定化の程度が識別されて出力される段階をさらに含むことを特徴とする、
請求項に記載の品種認識コード化の方法。
【請求項8】
標準遺伝体品種と対象品種の染色体を解読する染色体解読モジュール(100);
前記解読された染色体において、一塩基多様性の密集領域の分析により変異領域を探索する変異領域探索モジュール(200);
前記探索された変異領域においてindelマーカーを設定し、PCRで増幅して増幅結果を獲得する増幅結果獲得モジュール(300); 及び
前記増幅結果をコード化するコード化モジュール(400)を含み、
前記増幅の結果、獲得モジュール(300)は、標準遺伝体品種の増幅結果のバンドサイズと対象品種の増幅結果のバンドサイズが同一である場合は増幅の結果を「a」で、異なる場合を増幅の結果を「b」で獲得し、
前記コード化モジュール(400)は、増幅の結果が「a」である場合はデジタル信号「0」に変換して白色で表記し、増幅結果が「b」である場合はデジタル信号「1」に変換して黒色で表記することを特徴とする、
品種認識コード化システム。
【請求項9】
前記コード化モジュール(400)が、コード化した結果を1次元表現または2次元表現で出力する出力モジュール(500)をさらに含む、
請求項に記載の品種認識コード化システム。
【請求項10】
前記対象品種の表現型の入力を受けて前記出力モジュール(500)に伝送する表現型入力モジュール(510)をさらに含むことを特徴とする、
請求項に記載の品種認識コード化システム。
【請求項11】
前記出力モジュール(500)は、二つ以上のコード化された結果を共に出力することを特徴とする、
請求項に記載の品種認識コード化システム。
【請求項12】
前記出力モジュール(500)は、前記二つ以上のコード化された結果を2次元表現で出力し、その出力が母本または父本に相応する情報を系譜図として出力されることを特徴とする、
請求項11に記載の品種認識コード化システム。
【請求項13】
前記出力モジュール(500)は、前記二つ以上のコード化された結果を2次元表現で出力し、その出力が前記二つ以上の2次元表現での差異点の領域を探索し、白色と黒色以外の色で表現することを特徴とする、
請求項11に記載の品種認識コード化システム。
【請求項14】
前記出力モジュール(500)は、前記二つ以上のコード化された結果を2次元表現で出力し、その出力がヘテロ領域を探索し、白色と黒色以外の色でさらに表現することを特徴とする、
請求項11に記載の品種認識コード化システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、品種認識コード化システム及びそれを用いたコード化方法に関し、より具体的には、本発明は、品種の遺伝体内の変異領域特異indelマーカーを選抜し、その増幅結果をコード化して品種を判別するシステム及びそれを用いたコード化方法に関する。
【背景技術】
【0002】
最近、情報通信産業の発達により、ヒトを対象に、本人確認ができる生体認証技術開発に対する研究が活発に進められている。生体認証技術には、虹彩、指紋、DNAなど身体的特徴を利用する方法と、署名、音声、歩き方などの行動学的特性を利用する方法などがある。一方、作物の場合も知的財産権などの強化によって、開発された品種の権利を確保する手続きが重要になっており、ヒトの固有のIDのような品種認識技術の開発の必要性が切実となっている。
【0003】
作物品種の認識は、主に育種家の専門性と経験をもとに草型、葉の形、種実サイズなど植物体の形態的特性で品種を区別する方法が使用されているが、形態的特性の場合、気候変動などの環境的な変化に影響を多く受けるため、最近では、単純反復配列(simple sequence repeat、SSR)、配列タグ部位(sequence tagged sites、STS)などの環境の影響がないDNAマーカーを活用した品種判別技術が開発されている。しかし、これらのDNAマーカーを利用した品種判別方法は、戻し交配で育成された品種のように反復親の品種と遺伝子類似度が非常に高い場合、品種を区別しにくく、また、使用するマーカーの数が少なく、品種の認識技術として使用するのに限界があるという問題がある。
【0004】
このような問題を克服するために、最近、次世代の塩基配列分析(next generation sequencing、NGS)を活用し、遺伝子レベルで品種を区別する技術が開発されている。しかし、NGS技術を活用する技術は、コストと時間が多くかかるという欠点があり、一般の実験室レベルで実行可能な品種認識システムの開発が何よりも必要とされている。
【0005】
これに関連した従来の技術としては、特許文献1では、農作物に対する品種判別のためのコード化方法を開示しているが、前記技術は、稲品種判別のための2桁の数字コードを付与することに過ぎず、品種判別のためにindelマーカーを選抜し、その増幅結果をコード化するシステムは開示していない。従って、戻し交配品種のような遺伝的類似度が非常に高い品種の区別は依然として困難であるのが現状である。
【0006】
また、特許文献2では、マイクロサテライトプライマーセットを用いたレタス品種識別方法を開示しているが、品種判別のためにindelマーカーを選抜しながら、これをコード化して2次元等で表現するシステムは開示していない。従って、依然として品種を一目で判別することは容易ではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】大韓民国登録特許第10-042646号 明細書
【特許文献2】大韓民国公開特許第10-2013-001017号 明細書
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】Schmutz et al., 2010)
【非特許文献2】Goff et al., 2002
【非特許文献3】BWA algorithm(Li and Durbin、2009
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
そこで、本発明者らは、品種の区別のために効率的に用いられる分子マーカー及びそのコード化システムに関する研究を行い、戻し交配で育成された品種をも判別できるとともに、一般の実験室レベルで実行可能な品種認識システムの開発を試みた。
【0010】
従って、本発明の一つの目的は、品種認識コード化システムを提供することにある。
【0011】
具体的には、品種の遺伝体内の変異領域特異indelマーカーを選抜し、その増幅結果をコード化して品種を判別する。
【0012】
また、コード化された結果を1次元表現または2次元表現で出力する。
【0013】
また、前記品種認識コード化システムを品種育成系譜図に適用する。
【0014】
また、戻し交配で育成された品種に前記システムを適用し、遺伝的類似度が非常に高い品種も判別する。
【0015】
また、前記品種認識コード化システムにより品種固定化程度を究明する。
【0016】
一方、本発明の他の目的は、前記システムによる品種認識コード化方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
前記課題を解決するために、本発明は、(a)染色体解読モジュール(100)が標準遺伝体品種と対象品種の染色体を解読する段階、(b)変異領域探索モジュール(200)が前記解読された染色体において一塩基多様性(SNV)密集領域の分析により変異領域を探索する段階、(c)増幅の結果、獲得モジュール(300)が、前記探索された変異領域においてindelマーカーを設定し、PCRで増幅して増幅結果を獲得する段階、及び(d)コード化モジュール(400)が、前記増幅結果をコード化する段階を含む、品種認識コード化方法を提供する。
【0018】
好ましくは、前記(c)段階において、標準遺伝体品種の増幅結果のバンドサイズと対象品種の増幅結果のバンドサイズが同一である場合は増幅の結果が「a」であり、異なる場合は増幅結果が「b」であることを特徴とする。
【0019】
好ましくは、前記(d)段階は、(d1)増幅の結果が「a」である場合はデジタル信号「0」に変換して白色で表記し、増幅結果が「b」である場合はデジタル信号「1」に変換して黒色で表記する段階をさらに含むことを特徴とする。
【0020】
好ましくは、前記(d1)段階の後、(e)出力モジュール(500)が前記コード化された結果を1次元表現または2次元表現で出力する段階をさらに含む。
【0021】
好ましくは、前記(e)段階は、前記対象品種の表現型を共に出力する段階をさらに含む。
【0022】
好ましくは、前記対象品種は二つ以上であり、前記(e)段階は前記二つ以上の対象品種に対する二つ以上のコード化された結果を共に出力する段階であることを特徴とする。
【0023】
好ましくは、前記二つ以上のコード化された結果が2次元表現で出力され、その出力が母本または父本に相応する情報が系譜図として出力されることを特徴とする。
【0024】
好ましくは、前記二つ以上のコード化された結果が2次元表現で出力され、その出力が前記二つ以上の2次元表現での差異点領域を探索し、探索された領域が白色と黒色以、ヘテロ領域を探索し、探索された領域が白色と黒色以外の色でさらに表現され、品種固定化程度が識別されて出力されることを特徴とする。
【0025】
また、前記課題を解決するために、標準遺伝体品種と対象品種の染色体を解読する染色体解読モジュール(100); 前記解読された染色体において一塩基多様性(SNV)密集領域の分析により変異領域を探索する変異領域探索モジュール(200); 前記探索された変異領域においてindelマーカーを設定し、PCRで増幅して増幅結果を獲得する増幅結果獲得モジュール(300); 及び前記増幅結果をコード化するコード化モジュール(400)を含む、品種認識コード化システムを提供する。
【0026】
好ましくは、前記増幅結果獲得モジュール(300)は、標準遺伝体品種の増幅結果のバンドサイズと対象品種の増幅結果のバンドサイズが同一である場合は増幅の結果を「a」として、異なる場合は増幅の結果を「b 」として獲得することを特徴とする。
【0027】
好ましくは、前記コート化モジュール(400)は、増幅の結果が「a」である場合はデジタル信号「0」に変換して白色で表記し、増幅結果が「b」である場合はデジタル信号「1」に変換して黒色で表記することを特徴とする。
【0028】
好ましくは、前記コート化モジュール(400)がコード化された結果を1次元表現または2次元表現で出力する出力モジュール(500)をさらに含む。
【0029】
好ましくは、前記対象品種の表現型の入力を受けて前記出力モジュール(500)に伝送する表現型入力モジュール(510)をさらに含むことを特徴とする。
【0030】
好ましくは、前記出力モジュール(500)は、二つ以上のコード化された結果を共に出力することを特徴とする。
【0031】
好ましくは、前記出力モジュール(500)は、前記二つ以上のコード化された結果を2次元表現で出力し、その出力が母本または父本に相応する情報を系譜図として出力することを特徴とする。
【0032】
好ましくは、前記出力モジュール(500)は、前記二つ以上のコード化された結果を2次元表現で出力し、その出力が前記二つ以上の2次元表現での差異点を探索し、探索した領域を白色と黒色以外の色で表現することを特徴とする。
【0033】
好ましくは、前記出力モジュール(500)は、前記二つ以上のコード化された結果を2次元表現で出力し、その出力がヘテロ領域を探索し、探索した領域を白色と黒色以外の色でさらに表現することを特徴とする。
【発明の効果】
【0034】
本発明に係る品種認識コード化システムを開発することにより、一般の実験室レベルでも品種の判別を容易に行うことができ、国内の品種及び育成権者の保護とブランド化を促進することにより国内農業産業の競争力を高めることができる。
【0035】
また、本発明によると、遺伝子情報をデジタル信号に変換することにより、迅速かつ客観的に品種を判別することができる。
【0036】
また、本発明によると、前記品種の判別のための遺伝子情報を1次元表現だけでなく、2次元的にも表現することができ、染色体別のDMB特異パターンを一目で容易に理解することができる。
【0037】
また、本発明によると、各品種の草型、花色、毛茸色、種子の形、臍色などの表現型が入力することができ、これにより品種名だけでなく、前記品種に対する特性を一目で理解することができる。
【0038】
また、本発明によると、判別しようとする品種の母本または父本に相応する情報が系譜図として出力することも可能であるため、組換え程度などを容易に判別することができ、従って、より効果的に品種を判別することができる。
【0039】
また、本発明によると、戻し交配品種と反復親品種を区別することができるため、既存の分子マーカーを使用した品種判別の限界を克服し、遺伝的類似度が非常に高いため、二つの品種も判別することができる。
【0040】
また、本発明によると、ヘテロ領域がさらに表現され、品種固定化の程度を識別することができるので、分離育成系統の迅速な固定が可能になることにより、品種の均一性と安定性に寄与し得る。
【0041】
また、本発明によると、染色体レベルでのbin mapの作成が可能であるため、品種間類似度、集団構造(population structure)などの分析に効果的に使用することができ、新たに育成される品種の組換えパターン(reshuffling pattern)を究明することが可能であり、染色体レベルで変異領域(DMB)の変化を迅速に探索することができる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
図1】本発明に係る品種認識コード化システムの概念図である。
図2】本発明に係る品種認識コード化方法のフローチャートである。
図3】本発明に係る品種認識コード化システムの段階別開発過程を示した図である。
図4a】6つの大豆品種の1番染色体の解読により変異領域(DMB)特異indelマーカー3,061個を開発し、そのPCR増幅の結果を示した図である。
図4b】25個の稲品種の1番染色体の解読により開発した変異領域特異indelマーカー(矢印)を示した図である。IPはイルプム稲、NPは日本晴(標準遺伝体)、TEJは温帯稲、TRJは熱帯稲、AROは香り米を意味する。
図4c】稲品種の1番染色体の解読により開発した変異領域特異indelマーカーのPCR増幅の結果を示した図である。1次選抜された66種のマーカーを8品種にテストし、PCR増幅の結果が優れた10種のマーカーを選抜した。
図5a】7つの大豆品種の1番染色体におけるindelマーカーの増幅結果をコード化する過程を示した図である。
図5b】7つの稲品種の1番染色体におけるindelマーカーの増幅結果をコード化する過程を示した図である。
図6a】大豆品種「テプン」の1次元コード化及び2次元コード化を表示した図である。
図6b】稲品種「イルミ」の1次元コード化及び2次元コード化を表示した図である。
図7a】大豆品種育成系譜図に、本発明の品種認識コード化システムを適用した例を示した図である。
図7b】稲品種育成系譜図に、本発明の品種認識コード化システムを適用した例を示した図である。
図8a】本発明の品種認識コード化システムを適用し、戻し交配で育成された大豆品種と反復親大豆品種を比較した図である。Williams82と同様の領域は白色、異なる領域は黒色、導入遺伝子座領域と反復親品種と異なる領域は白色及び黒色以外の色で表示した。
図8b】本発明の品種認識コード化システムを適用して戻し交配で育成された稲品種(セイルミ)と反復親稲品種を比較した図である。ファヨン稲と同様の領域は白色、異なる領域は黒色、導入遺伝子座領域及び反復親品種と異なる領域は円形で表示した。
図9】本発明の品種認識コード化システムを突然変異品種に適用した例を示した図である。ファヨン稲と同様の領域は白色、異なる領域は黒色及びイルプムと異なる領域は円形で表示した。
図10a】本発明の品種認識コード化システムを活用して品種の遺伝的稲品種の遺伝的類似度を究明することを示した図である。類似0.68で12グループに区分された。
図10b】遺伝子類似度の高いG10グループ(稲)に、本発明の品種認識コード化システムを適用した例を示した図である。ファヨン稲と同様の領域は白色、異なる領域は黒色で表示した。
図10c】遺伝子類似度の高いG10グループ(稲)に、本発明の品種認識コード化システムを適用した例を示した図である。ファヨン稲と同様の領域は白色、異なる領域は黒色で表示した。
図11a】本発明の品種認識コード化システムを適用して大豆品種の固定化程度を究明した例を示した図である。Williams82と同様の領域は白色、異なる領域は黒色及びヘテロ領域は白色及び黒色以外の色で表示した。
図11b】遺伝子類似度の高いG12グループ(稲)に、本発明の品種認識コード化システムを適用した例を示した図である。ファヨン稲と同様の領域は白色、異なる領域は黒色及びヘテロ領域は白色及び黒色以外の色で表示した。
図12a】本発明の品種認識コード化システムを適用して147個の大豆品種に関する認識データを構築し、これを活用して染色体レベルのbin mapを作成した図である。Williams82と同様のPCRの結果とWilliams82と異なるPCRの結果は、それぞれ異なる色で表示された。
図12b】本発明の品種認識コード化システムを適用して282の稲品種の認識データを構築し、これを活用して染色体レベルのbin mapを作成した図である。ファヨン稲と同様のPCRの結果とファヨン稲と異なるPCRの結果は、それぞれ異なる色で表示された。
【発明を実施するための形態】
【0043】
本発明において、用語、「変異領域」とは、遺伝子または染色体の変化が起こった場所を意味し、本発明では、DMB(Dense mutation block)で表示することもある。即ち、品種間の遺伝子の差異が存在する領域を意味し、本発明では、一塩基多様性(SNV)が密集した領域を意味する。より具体的には、本発明では、標準遺伝体の遺伝体情報との差を示す一塩基多様性(SNV)の数が10kb当り4つ以上であるとき、これを変異領域と規定する。
【0044】
本発明において、用語「一塩基多様性(Single Nucleotide Variation)」とは、「SNP(single nucleotide polymorphism)」とも、これは、単一の塩基での多形性(polymorphism)を意味する。即ち、ある集団において、全ゲノム(genomome)にある一部の塩基が染色体毎に異なる場合が存在することをいい、通常、SNVは300〜1000個の塩基に一つ程度存在することが知られているが、これに制限されるものではない。
【0045】
本発明において、用語「indelマーカー」とは、DNAの塩基配列において一部の塩基が中間に挿入(insertion)されたり欠失(deletion)した変異を総称する。前記indelマーカーは、標準遺伝体と実験に使用された品種の遺伝体情報を比較分析する方法により標準遺伝体より挿入または欠失した領域を探索し、その情報に基づいてプライマーを作製する。従って、その増幅結果は、標準遺伝体と比較してバンドサイズが大きい場合(insertion)と小さい場合(deletion)の二つのタイプを示すことができる。
【0046】
本発明において、用語「標準遺伝体」とは、本発明の品種を判別するにおいて基準となる作物の品種の遺伝体を意味する。好ましくは、大豆の場合Williams82の遺伝体、稲の場合ファヨン稲の遺伝体となり得るが、これに制限されるものではない。
【0047】
本発明において、用語「戻し交配(backcross)」とは、両母系(parental line)間の交配から得られる植物が、その母系のいずれかと交配される過程を意味する。戻し交配に使用される母系は反復親(recurrent parent)と称される。反復的な戻し交配は、ゲノムがさらに同型接合性または近交性(inbred)になるようにし、反復親のゲノムとさらに類似するようにする。
【0048】
本発明において、用語「反復親品種」とは、数回に渡って戻し交配に提供される母系品種を意味する。
【0049】
本発明において、用語「ヘテロ領域」とは、品種育成の過程で、母系または父系に同型接合体(homozygote)化されず、一本鎖の母系と一本鎖の父系の染色体が同時に存在する領域を意味し、マーカーの増幅結果、母系の結果と父系の結果の両タイプがいずれも検出されたとき、前記領域をヘテロ領域と表現することができる。
【0050】
以下、図面を参照とし、本発明に係る品種認識コード化システム及びそれを用いた方法を説明する。
【0051】
まず、図1を参照し、本発明に係る品種認識コード化システムを概略的に説明する。
【0052】
本発明に係る品種認識コード化システムは、染色体解読モジュール(100)、変異領域探索モジュール(200)、増幅結果獲得モジュール(300)、コード化モジュール(400)及び出力モジュール(500)を含む。
【0053】
染色体解読モジュール(100)は、標準遺伝体品種と対象品種の染色体を解読する機能を果たす。染色体解読方法は、当業界において公知となった常法により行うことができる。
【0054】
本発明の一実施例では、染色体の解読のためのDNA抽出のために、当業界において知られている147個の大豆品種(表1)及び282個の稲品種(表2)をそれぞれ播種ボックスに播種した後、15日となった若い葉から組織を採取してSaghai Maroofら(1984)の方法で行った。-70℃で凍結保存した大豆の葉を乳鉢に入れてすぐに20mlの液体窒素で冷却しながら、粉末状態に粉砕した。この試料に5〜10mlのセチルトリメチルアンモニウム臭化物(cetyl trimethyl ammonium bromide、CTAB)を加えてさらに細かく粉砕した後、15mlの遠心分離チューブに入れた後、60℃の水槽に2時間以上振盪した。クロロホルム/ イソアミルアルコール(24:1)溶液10mlをそれぞれのサンプルに添加した後、手で裏返しながら混ぜた後、3200 rpm、4℃で15分程度遠心分離した。上澄み液を新たなチューブに移した後、10μl(10mg/ml)のRNase Aを入れておいた。30分後にイソプロパノールを2/3程度入れ、混ぜてDNAを沈殿させた。沈殿したペレットを取り出して70℃のエタノール、10 mMのNH4OAc 20mlに添加し、 その状態で一晩置いた後、DNA のペレットを乾かして10 mMのNH4OAc、0.25 MのEDTAを1ml添加した。抽出したDNAは、λDNA(100 ng/μl)と共に1%のアガロースゲルで確認し、20 ng/μlに定量して実験に使用した。
【0055】
その後、染色体の塩基配列の解読のために抽出された各品種DNAを対象にDNAライブラリを作製し、イルミナ(Illumina)社製ハイシック2000(HiSeq2000)の塩基配列シーケンサー(sequencer)で標準プロトコル(protocol)により各品種の塩基配列を解読した。その結果として生産された101-bpまたは104-bpの断片配列(read)を生物情報分析に使用した。生物情報解析のためのリファレンスゲノムとしては、大豆品種の場合Gmax109 soybean reference genome(非特許文献1 )を、稲の場合には、IRGSP build 4 rice reference genome(非特許文献2)をそれぞれ使用してBWA algorithm(非特許文献3 )ver.0.5.9.で分析した。
【0056】
【表1】
【0057】
【表2】
【0058】
変異領域探索モジュール(200)は、前記解読された染色体において一塩基多様性(SNV)密集領域の分析により変異領域を探索する。前記変異領域を探索する方法は、分析しようとする品種の塩基配列情報を10kbの単位で標準遺伝体と比較しながら、一塩基多様性(SNV)を検出する。このとき、標準遺伝体の遺伝体情報との差を示す一塩基多様性(SNV)の数が10kb当り4個以上であるとき、本発明では、これを変異領域(DMB)という。
【0059】
具体的には、すぐの隣に隣接する変異領域が90kbの間隔内にある場合は、これを合わせて一つの変異領域として表示することができる。また、変異領域以外の領域は、変異がない共通領域として表示し、隣接する共通領域が30kbの間隔内にあるとき、同一領域として表示することができる。前記のような内容は、容易な可視化のために、染色体上の表示をDMBは灰色のボックスで、共通領域は白色で表示することができ、これらに制限されるものではない。
【0060】
具体的には、本発明の一実施例では、大豆品種の遺伝体内の変異領域の探索のために、ベクウンコン、シンパルダルコン2号、シンギ、テプン、ファングムコンの5品種と標準遺伝体の品種であるWilliams82の全長遺伝体を解読した。前記解読遺伝体の情報に基づいて一塩基多様性(SNV)密集領域の分析により変異領域を探索した結果、20個の染色体を対象に分析したとき、計2,274個の変異領域が探索され、染色体別には3番染色体で最も多くの161個の変異領域が探索されたのに対し、14番染色体では65個と最も少なく探索された(表3)。そのうち、1番染色体の場合、6つの大豆品種の解読により112個の変異領域が探索されることを確認した(図4a)。
【0061】
また、稲品種の遺伝体内変異領域の探索のために、イルプム稲、温帯稲、熱帯稲、香り米などを含む24品種と標準遺伝体品種である日本晴の全長遺伝体を解読した。前記解読遺伝体の情報に基づいて一塩基多様性(SNV)密集領域の分析により変異領域を探索した結果、12個の染色体を対象に分析したとき、計2,797個の変異領域が探索され、染色体別には1番染色体で最も多くの335個の変異領域が検出されたのに対し、10番染色体では、181個と最も少なく探索された(表4)。
【0062】
増幅の結果、獲得モジュール(300)は、前記探索された変異領域においてindelマーカーを設定し、PCRで増幅して増幅結果を獲得する機能を果たす。
【0063】
本発明の一実施例では、変異領域特異indelマーカーを選抜するために、前記で分析された塩基配列に基づいて変異領域で5bp以上のindelを含む部分でprimer3プログラムを利用してデザインし、増幅産物の予想サイズは100〜150bp程度にして作製した。PCR反応の混合液(maxter mix)は10?で行い、その中には20ngのゲノムDNA、0.4 pmoleのそれぞれのプライマー及び5?のGoTaq Green Master Mix(Promega、Madison、WI、USA)で構成した。PCR増幅は、Biometra thermocycler(Biometra、Gottingen、Germany)を使用して初期変性(denaturation)を95℃で5分間行い、95℃で30秒間変性した後、48℃の温度で30秒間のアニーリングを行い、72℃で30秒間の増幅過程を、計34サイクルを繰り返し、72℃で10分間の最終的な増幅をし、4℃でPCR増幅反応を終結させた。増幅されたPCR産物は、3%のアガロースゲルにロードした後、150Vで60〜80分程度で行い、電気泳動が終わった後、臭化エチジウム(Ethidium bromide EtBr)で染色した後、UVを利用してバンドを確認した。
【0064】
前記過程により大豆品種の変異領域特異indelマーカー選抜のために遺伝体解読情報に基づいて最初73,327個のマーカーをデザインした。前記情報に基づいて染色体別に各20個のindelマーカーのプライマーを作製し、indelマーカーの特徴である2つのバンドタイプ(type)が正確に増幅される202個のマーカーを選抜した(表3)。その結果、染色体別に選抜されたマーカーの数は、最少8個から最大12個の分布を示し、選抜されたマーカーのPIC平均値は0.38を示した(表3)。
【0065】
【表3】
【0066】
また、稲品種の変異領域特異indelマーカーの選抜のために、遺伝体の解読情報に基づいて最初12,174個のマーカーをデザインした。この中で品種固有の変異領域を代表する595個のindelマーカーのプライマーを作製し、indelマーカーの特徴である2つのバンドタイプが正確に増幅される112個のマーカーを選抜した(表4)。その結果、染色体別に選抜されたマーカーの数は、最少8個から最大10個の分布を示し、選抜されたマーカーのPIC平均値は0.37を示した(表4)。
【0067】
【表4】
【0068】
一方、増幅の結果、獲得モジュール(300)は、標準遺伝体品種の増幅結果のバンドサイズと対象品種の増幅結果のバンドサイズが同一である場合は増幅の結果を「a」で、異なる場合は増幅の結果を「b」で獲得する。ここで、バンドサイズに応じて表示が異なってさえいればよく 、必ずしも「a」または「b」に制限されるものではない。
【0069】
それ以後、コート化モジュール(400)は、その増幅結果をコード化する機能を果たす。
【0070】
具体的には、コート化モジュール(400)は、増幅の結果が「a」である場合をデジタル信号「0」に変換して白色で表記し、増幅結果が「b」である場合はデジタル信号「1」に変換して黒色で表記する。このような白色と黒色の表記を使用してバーコードを生成することができる。また、デジタル信号「0」を黒色で、「1」を白色で表示することができ、その色に制限されない。
【0071】
バーコードは、1次元表現または2次元表現から選択することができる。
【0072】
1次元的に表現された例示が図6a及び図6bに示される。染色体1番からn番までを線形で連結したものである。2次元的に表現された例示も、図6a及び図6bに示される。2次元表現の場合、染色体別にDMB特異パターンを一目で容易に理解することができるという長所がある。
【0073】
本発明の他の実施例において、対象品種の表現型の入力を受けて出力モジュール(500)に伝送する表現型入力モジュール(510)をさらに含むことができる。各品種の草型、花色、毛茸色、種子の形、臍色などの表現型を入力することができ、これに制限されない。これにより品種名だけでなく、前記品種の表現型も共に表示され、前記品種の特性を一目で理解することができる。
【0074】
一方、出力モジュール(500)は、二つ以上のコード化された結果を共に出力することができる。
【0075】
例えば、図7a及び図7bのように、二つ以上のコード化された結果を2次元表現で出力し、その出力は母本または父本に相応する情報を系譜図として出力することができる。
【0076】
各品種は、固有の変異領域(DMB)のパターンを有しており、他の品種と明確に区別されるため、本発明の品種認識コード化システムは、非常に効果的に容易に品種を判別するのに使用することができる。
【0077】
本発明の一実施例において、ベクウンコンを母本とし、シンパルダルコン2号を父本として育成されたテプンとシンギの両品種に本発明のシステムを適用したとき、各染色体別の変異領域(DMB)由来が母本であるか、または父本であるかを正確に探索することができることを確認した。具体的には、1番染色体を対象に、シンギの場合、前半はシンパルダルコン2号から、後半はベクウンから固有の変異領域(DMB)が遺伝されたが、テプンの場合、それと反対の傾向を示しており、より多くの組換え(reshuffling)が起こったことが分かる(図7a)。
【0078】
また、ファヨン稲を母本とし、YR1360ACP222を父本として育成されたソビ稲とシンドンジン稲の両品種にこのシステムを適用したとき、各染色体別の固有領域の由来が母本であるか、または父本であるかを正確に探索することができた。具体的には、図7bの系譜図では、父本のデータがなかったにもかかわらず、黒色領域が父本に由来したことが分かる(図7b)。
【0079】
他の例では、出力モジュール(500)は、二つ以上のコード化された結果を2次元表現で出力し、その出力は前記二つ以上の2次元表現での差異を自動または手動で探索し、これを白色と黒色以外の色で表現することができる。
【0080】
また、戻し交配(backcross)で育成された品種を判別するために、本発明の品種認識コード化システムを適用することができる。既存の分子マーカーを使用した品種判別の限界は、戻し交配で育成された品種の場合、反復親として使用された品種と遺伝的類似度が非常に高く、両品種を区別することが困難であることにあった。
【0081】
本発明の一実施例では、大豆モザイクウイルス(soybean mosaic virus、SMV )抵抗性遺伝子であるRsv1をソウォンコンに導入するために、戻し交配の方法で育成されたシンファ、Rsv3が導入されたシンガン、そして反復親として使用されたソウォンコンに、本発明のコード化システムを適用して比較したとき、シンファとシンガンの両品種はソウォンコンと非常に遺伝的類似度が高く現れたが、固有の変異領域(DMB)のパターンで、各品種を明確に区別することができた(図8a)。
【0082】
また、導入遺伝子座が位置したDMBは、自動または手動で探索することができるが、白色または黒色以外の色で表現された図8に示された例示のように、前記DMBとソウォンコンに完全に置き換えられないDMBも、図でのように正確に探索され、このシステムが戻し交配育種の回復親遺伝子選抜(background selection)に効果的に使用することができることを確認した(図8a)。
【0083】
一方、戻し交配育成法で開発された稲品種のセイルミに本発明の品種認識コード化システムを適用した結果、遺伝的類似度の高い二つの品種(イルミ及びセイルミ)を確実に区別することができるだけでなく、導入遺伝子領域と反復親品種で完全に置換されない領域までも探索が可能であることを確認した(図8b)。
【0084】
また、突然変異品種を判別するために、本発明の品種認識コード化システムを適用することができる(図9)。
【0085】
本発明の一実施例では、イルプム稲に突然変異の誘起原であるN-メチル-N-ニトロン尿素(N-methyl-N-nitrosourea、MNU)を処理して育成したベクジンジュとソルゲンに、本発明の品種認識コード化システムを適用した結果、両品種でイルプム稲と差異を示す領域を正確に探索したことを確認した。具体的には、ベクジンジュは1、3、8、9番染色体のそれぞれ1箇所で差異を示し、ソルゲンは3、4番染色体の1箇所がイルプムと異なることが調査された。
【0086】
また、本発明の品種認識コード化システムの精度を把握するために、類似度0.68の値で282個の稲品種を12グループに分け(表2及び図10a)、このうち、G10グループ内で遺伝的類似度の高い品種を対象に、本発明のシステムを適用した結果、遺伝的類似度が0.997と非常に高いトンボとヨンヘの場合にもファヨン稲と差異がある位置(4番、8番染色体のそれぞれ1箇所)を正確に探索することにより、本発明のシステムの品種認識能力が非常に精密であることを確認した(図10b及び図10c)。また、G12グループ内で遺伝的類似度の高い品種を対象に適用したときにも同様に、遺伝的類似度の高いチュンウォン、チャンソン、チョンチョンの3品種、クンソム、ハンアルム、ハンアルム2号の3品種、及びカヤ、ヨンムン、サムガンの3品種の品種間に差がある位置を正確に探索したことを確認した(図11a)。
【0087】
これは、本発明の品種認識コード化システムが原品種と遺伝的類似度の高い品種の認識にも効果的に使用することができることを示唆する。
【0088】
他の例を挙げて、出力モジュール(500)は、図11a及び図11bで示されるように、二つ以上のコード化された結果を2次元表現で出力し、その出力はヘテロ領域を自動または手動で探索し、これを白色と黒色以外の色でさらに表現することができる。
【0089】
具体的には、品種固定化程度を究明するために、本発明の品種認識コード化システムを適用することができる。
【0090】
大豆を含めて交配育種方法で品種を開発する作物の場合、育成系統の固定化は、品種の均一性と安定性のために非常に重要な要素に該当する。
【0091】
本発明の一実施例では、本発明の品種認識コード化システムを147品種に適用したとき、チョンジャコン(14番染色体の3領域)とプンウォンコン(3、4、10、13番染色体の一領域)は、白色及び黒色以外の第3の色のヘテロ(hetero)を示し、完全に固定されていないことが表示されることを確認した(図11a)。
【0092】
また、本発明の品種認識コード化システムは、何番の染色体の如何なる領域がヘテロであるかを正確に探索することができ、分離育成系統の迅速な固定に適用することができる。具体的には、図11bで見られるように、8番染色体のRDMB_ID_08_29マーカーは、統一型稲品種で固有のヘテロ反応を示すことが確認できるところ、統一型品種の区分に有用に使用することができる(図11b)。
【0093】
また、本発明の品種認識コード化システムを活用し、染色体レベルでの染色体地図(bin map)を作成することができる(図12a及び図12b)。染色体レベルでのbin mapの作成は、品種間の類似度、集団構造(population structure)などの分析に効果的に使用することができ、新たに育成される品種の組換えパターン(reshuffling pattern)を究明することが可能であり、染色体レベルで変異領域(DMB)の変化を迅速に探索することができるという長所がある。
【0094】
次に、図2を参照し、本発明に係る品種認識コード化方法を説明する。
【0095】
まず、染色体解読モジュール(100)は、標準遺伝体品種と対象品種の染色体を解読する(S100)。
【0096】
その後、変異領域探索モジュール(200)が、前記解読された染色体において一塩基多様性(SNV)密集領域の分析により変異領域を探索する(S200)。具体的な探索方法は、システムで前述した通りである。ここで、標準遺伝体の品種が必要である。標準遺伝体品種として、好ましくは、大豆の場合はWilliams82を、稲の場合はファヨン稲を使用することができるが、これに制限されず、基準となる品種は、ユーザーが直接設定することにより、目的とする品種を使用することができる。
【0097】
例えば、テプンを基準品種とし、認証バーコードを開発しようとする新たな品種を比較品種として実験を行うとき、まず両品種を対象に開発されたindelマーカーでPCRを行い、その増幅結果を解読し、バンドサイズが同一である場合を「a」、異なる場合を「b」で示した後、既に確保された標準遺伝体の情報とテプンを比較し、標準遺伝体を基準に比較品種のデータを変換することによりコード化することができる。
【0098】
ここで、標準遺伝体品種の増幅結果のバンドサイズと対象品種の増幅結果のバンドサイズが同一である場合は増幅の結果が「a」であり、異なる場合は増幅結果が「b」である。ここで、バンドサイズに応じて表示が異なってさえいればよく、必ずしも「a」または「b」に制限されるものではない。
【0099】
その後、増幅の結果、獲得モジュール(300)が、前記探索された変異領域においてindelマーカーを設定し、PCRで増幅して増幅結果を獲得する(S300)。具体的な取得方法は、システムで前述した通りである。
【0100】
その後、コート化モジュール(400)が、前記増幅結果をコード化する(S400)。
【0101】
ここで、増幅の結果が「a」である場合はデジタル信号「0」に変換して白色で表記し、増幅結果が「b」である場合はデジタル信号「1」に変換して、黒色で表記する。また、反対に、デジタル信号「0」を黒色で、「1」を白色で表示することができ、その色に制限されない。
【0102】
これにより、出力モジュール(500)は、コード化された結果をバーコードとして表現することができる。
【0103】
また、ユーザーは、コード化された結果を1次元表現または2次元表現で選択的に出力することができる。
【0104】
また、ユーザーは、表現型入力モジュール(510)によって対象品種の表現型を入力することで、共に出力することができる(S500)。
【0105】
一方、コード化された結果は、単純なバーコードとしてのみ出力されることもできるが、一実施例において、二つ以上のコード化された結果が2次元表現で出力され、その出力は母本または父本に相応する情報が系譜図として出力することもできる。これにより組換え程度などを容易に判別することができ、従って、より効果的に品種を判別することができる。
【0106】
他の実施例において、出力モジュール(500)によって二つ以上のコード化された結果が2次元表現で出力され、その出力は前記二つ以上の2次元表現での差異が自動または手動で探索され、これは、白色と黒色以外の色で表現され、戻し交配品種と反復親品種を区別することができる。これにより既存の分子マーカーを使用した品種判別の限界を克服し、遺伝的類似度の非常に高い二つの品種も判別することができる。
【0107】
他の実施例において、出力モジュール(500)によって二つ以上のコード化された結果が2次元表現で出力され、その出力はヘテロ領域が自動または手動で探索され、これは、白色と黒色以外の色でさらに表現され、品種固定化の程度を識別することができる。これにより分離育成系統の迅速な固定が可能になることにより、品種の均一性と安定性に寄与することができる。
図1
図2
図3
図4a
図4b
図4c
図5a
図5b
図6a
図6b
図7a
図7b
図8a
図8b
図9
図10a
図10b
図10c
図11a
図11b
図12a
図12b