(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る微細気泡生成装置1を示す断面図である。微細気泡生成装置1は、微細気泡生成ノズル2と、加圧液生成部3と、加圧液流路4と、貯溜部5とを備える。加圧液流路4は、加圧液生成部3と微細気泡生成ノズル2とを接続する。微細気泡生成ノズル2の先端部は、貯溜部5の側壁部51に接続される。貯溜部5は、対象液91を貯溜する。加圧液生成部3は、気体を液体に加圧溶解させた加圧液71を生成し、加圧液流路4を介して加圧液71を微細気泡生成ノズル2に供給する。微細気泡生成ノズル2は、加圧液71から微細気泡を含む液体(以下、「微細気泡含有液73」という。)を生成し、貯溜部5に貯溜された対象液91に微細気泡含有液73を供給する。
【0020】
本実施の形態に係る微細気泡生成装置1では、加圧液生成部3により、水に空気を加圧溶解させた加圧液71が生成される。また、微細気泡生成ノズル2により、直径が1μm未満の空気の微細気泡(いわゆる、ナノバブル)を含む水である微細気泡含有液73が生成され、水である対象液91中に供給される。
図1では、図の理解を容易にするために、加圧液71や対象液91等の流体に破線にて平行斜線を付す(以下の類似の図においても同様)。なお、微細気泡生成装置1では、様々な種類の気体を様々な種類の液体に加圧溶解させた加圧液71が利用されてよい。
【0021】
加圧液生成部3は、混合ノズル31と、溶解流路部32と、ポンプ33とを備える。加圧液生成部3では、ポンプ33により混合ノズル31に圧送された液体(本実施の形態では、水)と、外部から吸引された気体(本実施の形態では、空気)とが、混合ノズル31により混合され、溶解流路部32内に向けて噴出される。溶解流路部32内は加圧されて大気圧よりも圧力が高い状態(以下、「加圧環境」という。)となっており、混合ノズル31から噴出された液体と気体とが混合された流体(以下、「混合流体72」という。)が、溶解流路部32内を加圧環境下にて流れる間に、気体が液体に加圧溶解して加圧液71が生成される。
【0022】
図2は、混合ノズル31を拡大して示す断面図である。混合ノズル31は、ポンプ33により圧送された液体が流入する液体流入口311と、気体が流入する気体流入口319と、液体流入口311から流入した液体および気体流入口319から流入した気体が混合された混合流体72(
図1参照)を噴出する混合流体噴出口312とを備える。液体流入口311、気体流入口319および混合流体噴出口312はそれぞれ略円形である。
【0023】
液体流入口311から混合流体噴出口312に向かうノズル流路310の流路断面、および、気体流入口319からノズル流路310に向かう気体流路3191の流路断面も略円形である。流路断面とは、ノズル流路310や気体流路3191等の流路の中心軸に垂直な断面、すなわち、流路を流れる流体の流れに垂直な断面を意味する。また、以下の説明では、流路断面の面積を「流路面積」という。ノズル流路310は、流路面積が流路の中間部で小さくなるベンチュリ管状である。
【0024】
混合ノズル31は、液体流入口311から混合流体噴出口312に向かって順に連続して配置される導入部313と、第1テーパ部314と、喉部315と、気体混合部316と、第2テーパ部317と、導出部318とを備える。混合ノズル31は、また、内部に気体流路3191が設けられた気体供給部3192を備える。
【0025】
導入部313では、流路面積は、ノズル流路310の中心軸J1方向の各位置においてほぼ一定である。第1テーパ部314では、液体の流れる方向に向かって(すなわち、下流側に向かって)流路面積が漸次減少する。喉部315では、流路面積はほぼ一定である。喉部315の流路面積は、ノズル流路310において最も小さい。なお、ノズル流路310では、喉部315において流路面積が僅かに変化する場合であっても、流路面積がおよそ最も小さい部分全体が喉部315と捉えられる。気体混合部316では、流路面積はほぼ一定であり、喉部315の流路面積よりも少し大きい。第2テーパ部317では、下流側に向かって流路面積が漸次増大する。導出部318では、流路面積はほぼ一定である。気体流路3191の流路面積もほぼ一定であり、気体流路3191は、ノズル流路310の気体混合部316に接続される。
【0026】
混合ノズル31では、液体流入口311からノズル流路310に流入した液体が、喉部315で加速されて静圧が低下し、喉部315および気体混合部316において、ノズル流路310内の圧力が大気圧よりも低くなる。これにより、気体流入口319から気体が吸引され、気体流路3191を通過して気体混合部316に流入し、液体と混合されて混合流体72(
図1参照)が生成される。混合流体72は、第2テーパ部317および導出部318において減速されて静圧が増大し、混合流体噴出口312を介して溶解流路部32内に噴出される。
【0027】
図1に示すように、溶解流路部32は、上下方向に積層される第1水平流路321と、第2水平流路322と、第3水平流路323と、第4水平流路324と、第5水平流路325とを備える。以下の説明では、第1水平流路321、第2水平流路322、第3水平流路323、第4水平流路324および第5水平流路325をまとめて指す場合、「水平流路321〜325」と呼ぶ。水平流路321〜325は、正確には、液体が流れる内部空間を形成する部位である。水平流路321〜325は、水平方向に延びる管路であり、水平流路321〜325の長手方向に垂直な断面は略矩形である。本実施の形態では、水平流路321〜325の幅は、約40mmである。
【0028】
第1水平流路321の上流側の端部(すなわち、
図1中の左側の端部)には、混合ノズル31が取り付けられており、混合ノズル31から噴出された後の混合流体72は、加圧環境下にて
図1中の右側に向かって流れる。本実施の形態では、混合ノズル31から噴出された直後の混合流体72は、第1水平流路321内の混合流体72の液面よりも上方から噴出し、第1水平流路321の下流側の壁面(すなわち、
図1中の右側の壁面)に衝突する前に、上記液面に直接衝突する。混合ノズル31から噴出された混合流体72を液面に直接衝突させるためには、第1水平流路321の長さを、混合ノズル31の混合流体噴出口312(
図2参照)の中心と第1水平流路321の下面との間の上下方向の距離の7.5倍よりも大きくすることが好ましい。
【0029】
加圧液生成部3では、混合ノズル31の混合流体噴出口312の一部または全体が、第1水平流路321内の混合流体72の液面よりも下側に位置してもよい。これにより、上述と同様に、第1水平流路321内において、混合ノズル31から噴出された直後の混合流体72が、第1水平流路321内を流れる混合流体72に直接衝突する。
【0030】
第1水平流路321の下流側の端部の下面には、略円形の開口321aが設けられており、第1水平流路321を流れる混合流体72は、第1水平流路321の下方に位置する第2水平流路322へと開口321aを介して落下する。なお、水平流路321〜325を流れる流体は、必ずしも気液混合状態であるとは限らないが、以下、単に、「混合流体72」と呼ぶ(他の実施の形態においても同様である。)。第2水平流路322では、第1水平流路321から落下した混合流体72が加圧環境下にて
図1中の右側から左側へと流れ、第2水平流路322の下流側の端部の下面に設けられた略円形の開口322aを介して、第2水平流路322の下方に位置する第3水平流路323へと落下する。第3水平流路323では、第2水平流路322から落下した混合流体72が加圧環境下にて
図1中の左側から右側へと流れ、第3水平流路323の下流側の端部の下面に設けられた略円形の開口323aを介して、第3水平流路323の下方に位置する第4水平流路324へと落下する。
図1に示すように、第1水平流路321〜第4水平流路324では、混合流体72は、気泡を含む液体の層と、その上方に位置する気体の層に分かれている。
【0031】
第4水平流路324では、第3水平流路323から落下した混合流体72が加圧環境下にて
図1中の右側から左側へと流れ、第4水平流路324の下流側の端部の下面に設けられた略円形の開口324aを介して、第4水平流路324の下方に位置する第5水平流路325へと流入(すなわち、落下)する。第5水平流路325では、第1水平流路321〜第4水平流路324とは異なり、気体の層は存在しておらず、第5水平流路325内に充満する液体内において、第5水平流路325の上面近傍に気泡が僅かに存在する状態となっている。第5水平流路325では、第4水平流路324から流入した混合流体72が加圧環境下にて
図1中の左側から右側へと流れる。
【0032】
加圧液生成部3では、溶解流路部32の水平流路321〜325を、段階的に緩急を繰り返しつつ上から下に流れ落ちる(すなわち、水平方向への流れと下方向への流れとを交互に繰り返しつつ流れる)混合流体72において、気体が液体に徐々に加圧溶解する。第5水平流路325においては、液体中に溶解している気体の濃度は、加圧環境下における当該気体の(飽和)溶解度の60%〜90%にほぼ等しい。そして、液体に溶解しなかった余剰な気体が、第5水平流路325内において、視認可能な大きさの気泡として存在している。上下に隣接する水平流路321〜325における混合流体72の流れの方向が逆向きであることにより、加圧液生成部3の小型が実現される。
【0033】
溶解流路部32は、第5水平流路325の下流側の上面から上方へと延びる余剰気体分離部326をさらに備え、余剰気体分離部326には混合流体72が充満している。余剰気体分離部326の上下方向に垂直な断面は略矩形であり、余剰気体分離部326の上端部は、圧力調整用の絞り部327を介して大気開放されている。第5水平流路325を流れる混合流体72の気泡は、余剰気体分離部326内を上昇して大気中に放出される。
【0034】
このように、混合流体72から余剰な気体が分離されることにより、少なくとも容易に視認できる大きさの気泡を実質的に含まない加圧液71が生成され、第5水平流路325の下流側の端部(すなわち、
図1中の右側の端部)に接続された加圧液流路4へと送出される。本実施の形態では、加圧液71には、大気圧下における気体の(飽和)溶解度の約2倍以上の気体が溶解している。溶解流路部32において水平流路321〜325を流れる混合流体72の液体は、生成途上の加圧液71と捉えることもできる。
【0035】
微細気泡生成装置1は、調整弁61と、圧力センサ62と、弁制御部63とをさらに備える。調整弁61は、加圧液流路4に設けられて加圧液流路4内の加圧液71の圧力を調整する。圧力センサ62は、第1水平流路321の上方に配置され、加圧液生成部3の溶解流路部32内の圧力を測定する。第1水平流路321の上方には、排気弁64も設けられる。微細気泡生成装置1では、圧力センサ62から出力された溶解流路部32内の圧力の測定値が、予め定められた所定の圧力(好ましくは、0.1MPa〜0.45MPa)となるように、弁制御部63により調整弁61が制御される。換言すれば、弁制御部63は、圧力センサ62からの出力に基づいて調整弁61を制御する。これにより、温度変化により混合流体72の粘度が変化しても、溶解流路部32内の圧力変化が低減される。なお、調整弁61は手動で操作されるものでもよい。溶解流路部32から加圧液流路4へと導かれた加圧液71は、微細気泡生成ノズル2に流入する。
【0036】
図3は、微細気泡生成ノズル2を拡大して示す断面図である。微細気泡生成ノズル2は、それぞれが略円筒状の第1ノズル部21、第2ノズル部22および第3ノズル部23が、加圧液流路4から貯溜部5に向かって(すなわち、上流から下流に向かって)順に連結されることにより形成される。第1ノズル部21の上流側の端部は、加圧液流路4の下流側の端部に取り付けられる取付部219である。取付部219の下流端が、加圧液流路4から加圧液71が流入するノズル入口201となる。第3ノズル部23の下流端は、貯溜部5内の対象液91(
図1参照)に向かって開口するノズル出口202である。ノズル入口201およびノズル出口202はそれぞれ略円形である。ノズル入口201からノズル出口202に至るノズル流路20の流路断面(すなわち、ノズル流路20の中心軸J2に垂直な断面)も略円形である。
【0037】
微細気泡生成ノズル2は、ノズル流路20の上流側から順に連続する導入部211と、第1テーパ部212と、第1喉部213と、第1拡大部221と、第2テーパ部222と、第2喉部223と、第2拡大部231と、第3テーパ部232と、第3喉部233と、第3拡大部234とを備える。導入部211と、第1テーパ部212と、第1喉部213とは、第1ノズル部21に形成される。第1拡大部221と、第2テーパ部222と、第2喉部223とは、第2ノズル部22に形成される。第2拡大部231と、第3テーパ部232と、第3喉部233と、第3拡大部234とは、第3ノズル部23に形成される。
【0038】
導入部211の内面は、ノズル流路20の中心軸J2を中心とする略円筒面であり、導入部211の流路面積はほぼ一定である。第1テーパ部212は、導入部211の下流端に接続する。第1テーパ部212の上流端における流路断面は、導入部211の下流端における流路断面と一致する。第1テーパ部212の内面は、中心軸J2を中心とする略円錐面の一部である。第1テーパ部212の流路面積は、ノズル流路20の上流から下流に向かって(すなわち、加圧液71の流れる方向に向かって)漸次減少する。中心軸J2を含む断面において、第1テーパ部212の内面の成す角度α1は、10°以上90°以下であることが好ましい。
【0039】
第1喉部213は、第1テーパ部212の下流端に接続する。第1喉部213の上流端における流路断面は、第1テーパ部212の下流端における流路断面と一致する。第1喉部213の内面は、中心軸J2を中心とする略円筒面であり、第1喉部213の流路面積はほぼ一定である。第1喉部213の流路面積は、第1ノズル部21において最も小さい。第1喉部213の中心軸J2が向く軸方向の長さは、好ましくは、第1喉部213の流路断面の直径の1.1倍以上10倍以下であり、より好ましくは、1.5倍以上2倍以下である。以下の説明では、流路の軸方向の長さを単に「長さ」といい、流路断面の直径を単に「直径」という。第1喉部213の下流端の開口は、第1テーパ部212から第1喉部213へと流入した流体を、噴流として下流側へと噴出する第1噴出口217である。なお、第1喉部213において流路面積が僅かに変化する場合であっても、第1ノズル部21において、流路面積がおよそ最も小さい部分全体が第1喉部213と捉えられる。
【0040】
第1拡大部221は、第1喉部213の第1噴出口217に接続され、第1喉部213から流路面積を拡大する。第1拡大部221の内面は、第1噴出口217のエッジから径方向外側(すなわち、中心軸J2を中心とする径方向の外側)に広がる略円環状の第1面221aと、第1面221aの外周縁から下流側に向かって中心軸J2に平行に広がる略円筒状の第2面221bとを有する。中心軸J2を含む断面において、第1拡大部221の第1面221aと中心軸J2との成す角度β1は、45°以上90°以下であることが好ましい。本実施の形態では、第1拡大部221の第1面221aと中心軸J2との成す角度β1は90°である。換言すれば、第1拡大部221の上流端における流路断面は、第1喉部213の第1噴出口217よりも大きく、当該流路断面の外周縁は、第1噴出口217のエッジから径方向外側に離間して第1噴出口217の周囲に位置する。
【0041】
第2テーパ部222は、第1拡大部221の下流端に接続する。第2テーパ部222の上流端における流路断面は、第1拡大部221の下流端における流路断面と一致する。第2テーパ部222の内面は、中心軸J2を中心とする略円錐面の一部である。第2テーパ部222の流路面積は、上流から下流に向かって漸次減少する。中心軸J2を含む断面において、第2テーパ部222の内面の成す角度α2は、10°以上90°以下であることが好ましい。
【0042】
第2喉部223は、第2テーパ部222の下流端に接続する。第2喉部223の上流端における流路断面は、第2テーパ部222の下流端における流路断面と一致する。第2喉部223の内面は、中心軸J2を中心とする略円筒面であり、第2喉部223の流路面積はほぼ一定である。第2喉部223の流路面積は、第2ノズル部22において最も小さい。第2喉部223の長さは、好ましくは、第2喉部223の直径の1.1倍以上10倍以下であり、より好ましくは、1.5倍以上2倍以下である。第2喉部223の下流端の開口は、第2テーパ部222から第2喉部223へと流入した流体を、噴流として下流側へと噴出する第2噴出口227である。なお、第2喉部223において流路面積が僅かに変化する場合であっても、第2ノズル部22において、流路面積がおよそ最も小さい部分全体が第2喉部223と捉えられる。
【0043】
第2拡大部231は、第2喉部223の第2噴出口227に接続され、第2喉部223から流路面積を拡大する。第2拡大部231の内面は、第2噴出口227のエッジから径方向外側に広がる略円環状の第1面231aと、第1面231aの外周縁から下流側に向かって中心軸J2に平行に広がる略円筒状の第2面231bとを有する。中心軸J2を含む断面において、第2拡大部231の第1面231aと中心軸J2との成す角度β2は、45°以上90°以下であることが好ましい。本実施の形態では、第2拡大部231の第1面231aと中心軸J2との成す角度β2は90°である。換言すれば、第2拡大部231の上流端における流路断面は、第2喉部223の第2噴出口227よりも大きく、当該流路断面の外周縁は、第2噴出口227のエッジから径方向外側に離間して第2噴出口227の周囲に位置する。
【0044】
第3テーパ部232は、第2拡大部231の下流端に接続する。第3テーパ部232の上流端における流路断面は、第2拡大部231の下流端における流路断面と一致する。第3テーパ部232の内面は、中心軸J2を中心とする略円錐面の一部である。第3テーパ部232の流路面積は、上流から下流に向かって漸次減少する。中心軸J2を含む断面において、第3テーパ部232の内面の成す角度α3は、10°以上90°以下であることが好ましい。
【0045】
第3喉部233は、第3テーパ部232の下流端に接続する。第3喉部233の上流端における流路断面は、第3テーパ部232の下流端における流路断面と一致する。第3喉部233の内面は、中心軸J2を中心とする略円筒面であり、第3喉部233の流路面積はほぼ一定である。第3喉部233の流路面積は、第3ノズル部23において最も小さい。第3喉部233の長さは、好ましくは、第3喉部233の直径の1.1倍以上10倍以下であり、より好ましくは、1.5倍以上2倍以下である。第3喉部233の下流端の開口は、第3テーパ部232から第3喉部233へと流入した流体を、噴流として下流側へと噴出する第3噴出口237である。なお、第3喉部233において流路面積が僅かに変化する場合であっても、第3ノズル部23において、流路面積がおよそ最も小さい部分全体が第3喉部233と捉えられる。好ましくは、第3喉部233の直径は、第2喉部223の直径以上であり、第2喉部223の直径は、第1喉部213の直径以上である。
【0046】
第3拡大部234は、第3喉部233の第3噴出口237に接続され、第3喉部233から流路面積を拡大する。第3拡大部234の下流端は、ノズル出口202である。第3拡大部234の内面は、第3噴出口237のエッジから径方向外側に広がる略円環状の第1面234aと、第1面234aの外周縁から下流側に向かって中心軸J2に平行に広がる略円筒状の第2面234bとを有する。中心軸J2を含む断面において、第3拡大部234の第1面234aと中心軸J2との成す角度β3は、45°以上90°以下であることが好ましい。本実施の形態では、第3拡大部234の第1面234aと中心軸J2との成す角度β3は90°である。換言すれば、第3拡大部234の上流端における流路断面は、第3喉部233の第3噴出口237よりも大きく、当該流路断面の外周縁は、第3噴出口237のエッジから径方向外側に離間して第3噴出口237の周囲に位置する。
【0047】
本実施の形態では、第1テーパ部212と、第2テーパ部222と、第3テーパ部232とは同形状である。また、第1拡大部221と第2拡大部231とは同形状である。第1拡大部221、第2拡大部231および第3拡大部234の直径はそれぞれ、第1喉部213の直径、第2喉部223の直径および第3喉部233の直径の約4倍〜約5倍である。第1喉部213、第2喉部223および第3喉部233の直径はそれぞれ、上流から下流に向かうに従って増大することが望ましく、さらに望ましくは増大率が7%以下で増大することが望ましい。ここで増大率とは(下流の喉部の直径−上流の喉部の直径)÷下流の喉部の直径×100(%)である。例えば、上流の喉部が第1喉部213とすると、下流の喉部は第2喉部223であり、上流の喉部が第2喉部223とすると、下流の喉部は第3喉部233である。
【0048】
微細気泡生成ノズル2では、ノズル入口201からノズル流路20に流入した加圧液71は、第1テーパ部212において徐々に加速されつつ第1喉部213へと流入する。第1喉部213における加圧液71の流速は、好ましくは秒速7m〜30mである。第1喉部213では、加圧液71の静圧が低下するため、加圧液71に溶解している気体が過飽和となって微細気泡として液中に析出する。微細気泡を含む液体、すなわち、微細気泡含有液73は、第1噴出口217から第1拡大部221に向けて噴流として噴出される。第1拡大部221に噴出された微細気泡含有液73中においても、微細気泡の析出は継続される。微細気泡は、第1噴出口217からの噴流により第1拡大部221内に生じる剪断力等により、さらに微細化される。
【0049】
第1拡大部221を流れる微細気泡含有液73は、第2テーパ部222において徐々に加速されつつ第2喉部223へと流入し、第2噴出口227から第2拡大部231に向けて噴流として噴出される。微細気泡含有液73中の微細気泡は、当該噴流により第2拡大部231内に生じる剪断力等により、さらに微細化される。
【0050】
第2拡大部231を流れる微細気泡含有液73は、第3テーパ部232において徐々に加速されつつ第3喉部233へと流入し、第3噴出口237から第3拡大部234に向けて噴流として噴出される。微細気泡含有液73中の微細気泡は、当該噴流により第3拡大部234内に生じる剪断力等により、さらに微細化される。微細気泡含有液73は、第3拡大部234を通過して、貯溜部5内の対象液91中へと拡散する。微細気泡生成ノズル2にて生成される微細気泡には、直径が1μm未満のいわゆるナノバブルが多く含まれる。
【0051】
微細気泡を含む対象液91は、図示省略の送出管を介して貯溜部5外に取り出され、様々な用途に使用される。対象液91は、例えば、半導体装置の洗浄に使用される。また、貯溜部5から取り出された対象液91を、加圧液生成部3のポンプ33へと戻し、加圧液生成部3、加圧液流路4および微細気泡生成ノズル2を介して貯溜部5へと循環させてもよい。これにより、貯溜部5における対象液91中の微細気泡の密度(すなわち、単位体積の対象液91中に存在する微細気泡の個数)を増大させることができる。
【0052】
微細気泡生成装置1では、微細気泡の生成を停止する際には、加圧液生成部3においてポンプ33の駆動が停止される。そして、ポンプ33から混合ノズル31への液体の流れが停止するまでの間に排気弁64が開放される。これにより、溶解流路部32内の加圧された気体が、排気弁64を介して外部へと放出される。その結果、溶解流路部32内の気体の膨張により液体が混合ノズル31およびポンプ33へと逆流することを防止することができる。
【0053】
図4は、微細気泡生成ノズル2の各部における圧力損失を説明するための図である。
図4に示すように、導入部211および第1テーパ部212における圧力損失をΔPa1とし、第1喉部213における圧力損失をΔPb1とする。また、第1拡大部221および第2テーパ部222における圧力損失をΔPa2とし、第2喉部223における圧力損失をΔPb2とする。第2拡大部231および第3テーパ部232における圧力損失をΔPa3とし、第3喉部233における圧力損失をΔPb3とする。第3拡大部234は、大気開放された貯溜部5内の対象液91に向かって開放される短い流路である。したがって、第3拡大部234における圧力損失は小さいため、ここでは無視する。ノズル出口202における圧力を基準(ゼロ)とした場合のノズル入口201における圧力である入口圧力P0は、数1のように表される。入口圧力P0は、圧力センサ62(
図1参照)からの出力に基づいて弁制御部63が調整弁61を制御することにより、自動的に所定の圧力となる。本実施の形態では、入口圧力P0は、約0.1MPa〜約0.5MPaである。
【0055】
数1中のΔPbiは、各喉部における圧力損失である。各喉部は短いため、各喉部における圧力損失ΔPbiは、摩擦による損失を無視し、動圧による損失のみと見なすことができる。したがって、ΔPbiは、各喉部における流速の二乗に比例する。
【0056】
上述のように、各拡大部では、各拡大部の上流端に接続する喉部から噴出された噴流により生じる剪断力等により、微細気泡の更なる微細化が行われる。各喉部から拡大部に噴出された噴流の状態はおよそ相似であり、各拡大部において生じる剪断応力は喉部からの噴流の流速に比例する。したがって、当該剪断応力に起因すると考えられる剪断力、すなわち、微細気泡をさらに微細化する力は、喉部からの噴流の流速に比例する。換言すれば、各喉部からの噴流において微細気泡をさらに微細化する力は、各喉部における圧力損失ΔPbiの平方根に比例する。このため、複数の喉部を設ける方が、喉部が1つである場合に比べて、気泡を微細化する力として圧力を有効に利用することができる。例えば、1つの喉部における圧力損失ΔPbiを200とすると、当該喉部にて気泡を微細化する力は14.4(=200の平方根)であるが、当該喉部に代えて2つの喉部を設けた場合、2つの喉部において気泡を微細化する力は、20(=100の平方根+100の平方根)となり、気泡を微細化する力が増大する。
【0057】
微細気泡生成ノズル2では、微細気泡に所定の剪断力以上の力が働くことにより、当該微細気泡がさらに微細化されると考えられる。ただし、喉部から噴出される微細気泡含有液73に含まれる全ての微細気泡が、1回の噴出で所望の大きさまで微細化される訳ではない。微細気泡生成ノズル2では、ノズル流路20に複数の喉部が設けられるため、各喉部における圧力損失ΔPbiは、喉部が1つのみ設けられる場合に比べて小さくなる。しかしながら、喉部からの噴流において微細気泡に働く剪断力は、上述のように、各喉部の圧力損失ΔPbiの平方根に比例するため、圧力損失ΔPbiがある程度小さくなっても、当該剪断力は、微細気泡をさらに微細化するに足る大きさ以上である。
【0058】
このため、微細気泡生成ノズル2では、ノズル流路20において複数の喉部を直列に配列し、微細気泡含有液73の噴出を複数回行うことにより、微細気泡含有液73中の微細気泡の更なる微細化を複数回行うことができる。その結果、微細気泡(ナノバブル)を安定して大量に生成することができる。ナノサイト社(NanoSight Limited)のLM10およびLM20による計測では、微細気泡生成ノズル2により、直径が約100nmを中心として1μm未満の範囲に分布するナノバブルが、1cm
3の対象液91中に約4億個生成される。なお、「微細気泡の直径」とは、上記測定装置にて測定される直径を指す。
【0059】
微細気泡生成ノズル2では、ノズル流路20の上流端であるノズル入口201から第1喉部213の第1噴出口217までにおける流体の圧力損失(=ΔPa1+ΔPb1)は、ノズル入口201における加圧液71の圧力である入口圧力P0の30%以上であることが好ましい。これにより、第1喉部213および第1拡大部221において、加圧液71から大量の微細気泡を析出させることができる。その結果、微細気泡生成ノズル2では、微細気泡をより安定して大量に生成することができる。ここで、第1テーパ部212、第1喉部213、第1噴出口217、第1拡大部221、第2テーパ部222、第2喉部223および第2噴出口227をそれぞれ、上流テーパ部、上流喉部、上流噴出口、拡大部、下流テーパ部、下流喉部および下流噴出口と捉えると、上流喉部(第1喉部213)は、ノズル流路20の最上流の喉部である。また、ノズル入口201から上流噴出口(第1噴出口217)までにおける流体の圧力損失は、上述のように、入口圧力P0の30%以上であることが好ましい。
【0060】
一方、第2テーパ部222、第2喉部223、第2噴出口227、第2拡大部231、第3テーパ部232、第3喉部233および第3噴出口237をそれぞれ、上流テーパ部、上流喉部、上流噴出口、拡大部、下流テーパ部、下流喉部および下流噴出口と捉えると、下流噴出口(第3噴出口237)は、ノズル流路20の最下流の噴出口であり、第3拡大部234は、下流噴出口に接続されて流路面積を拡大する他の拡大部である。第3拡大部234が設けられることにより、貯溜部5内における対象液91の流れが、第3噴出口237から噴出された直後の微細気泡含有液73に対して影響を与えることを抑制することができる。これにより、第3噴出口237からの噴出直後の微細気泡含有液73においても、微細気泡の更なる微細化が安定して行われるため、微細気泡をより安定して大量に生成することができる。
【0061】
上述のように、微細気泡生成ノズル2では、第1テーパ部212の内面が、ノズル流路20の中心軸J2を中心とする円錐面の一部であり、
図3に示すように、中心軸J2を含む断面において、第1テーパ部212の内面の成す角度α1が90°以下である。これにより、第1テーパ部212における加圧液71の圧力損失を抑制しつつ加圧液71を速やかに加速することができる。また、導入部211および第1喉部213の直径を維持しつつ微細気泡生成ノズル2の長さを短くするという観点からは、第1テーパ部212の内面の成す角度α1が10°以上であることが好ましい。
【0062】
第2テーパ部222においても同様に、第2テーパ部222の内面が中心軸J2を中心とする円錐面の一部であり、第2テーパ部222の内面の成す角度α2が、10°以上90°以下であることにより、第2テーパ部222の長さを短くすることができるとともに、第2テーパ部222における微細気泡含有液73の圧力損失を抑制しつつ微細気泡含有液73を速やかに加速することができる。第3テーパ部232においても同様に、第3テーパ部232の内面が中心軸J2を中心とする円錐面の一部であり、第3テーパ部232の内面の成す角度α3が、10°以上90°以下であることにより、第3テーパ部232の長さを短くすることができるとともに、第3テーパ部232における微細気泡含有液73の圧力損失を抑制しつつ微細気泡含有液73を速やかに加速することができる。
【0063】
微細気泡生成ノズル2では、上述のように、ノズル流路20の上流から下流に向かうに従って、複数の喉部の直径が漸次増大することにより、微細気泡をより安定して大量に生成することができる。また、第1喉部213、第2喉部223および第3喉部233の直径を全て約2.60mmにした場合も、微細気泡を安定して大量に生成することができる。以上のことから、微細気泡をより安定して大量に生成するためには、第3喉部233の直径は第2喉部223の直径以上であることが好ましく、第2喉部223の直径は第1喉部213の直径であることが好ましい。なお、微細気泡生成ノズル2では、第1喉部213の直径が第2喉部223の直径よりも僅かに大きい場合、および、第2喉部223の直径が第3喉部233の直径よりも僅かに大きい場合であっても、微細気泡を安定して大量に生成することができる。
【0064】
上述のように、第1喉部213の長さは、第1喉部213の直径の1.1倍以上である。これにより、第1喉部213における流れが安定し、第1喉部213および第1噴出口217から噴出された噴流中において、微細気泡が安定して大量に生成される。さらに、第1噴出口217からの噴流により生じる剪断力等により、微細気泡の更なる微細化が安定的に行われる。また、第2喉部223および第3喉部233の長さはそれぞれ、第2喉部223および第3喉部233の直径の1.1倍以上である。これにより、第2喉部223および第3喉部233における流れが安定し、第2噴出口227および第3噴出口237からそれぞれ噴出された噴流により、微細気泡の更なる微細化が安定的に行われる。その結果、微細気泡をより安定して大量に生成することができる。
【0065】
第1喉部213、第2喉部223および第3喉部233の長さはそれぞれ、第1喉部213、第2喉部223および第3喉部233の直径の10倍以下である。これにより、第1喉部213、第2喉部223および第3喉部233のそれぞれにおいて、流体に生じる抵抗が過剰に大きくなることを防止することができるとともに、第1喉部213、第2喉部223および第3喉部233の高精度な形成を容易とすることもできる。微細気泡をより一層安定して大量に生成するという観点からは、第1喉部213、第2喉部223および第3喉部233の長さはそれぞれ、第1喉部213、第2喉部223および第3喉部233の直径の1.5倍以上2倍以下であることが、さらに好ましい。
【0066】
微細気泡生成ノズル2では、中心軸J2を含む断面において、第1拡大部221の第1面221aと中心軸J2との成す角度β1、第2拡大部231の第1面231aと中心軸J2との成す角度β2、および、第3拡大部234の第1面234aと中心軸J2との成す角度β3がそれぞれ、90°である。これにより、各拡大部に向けて喉部の噴出口から噴出される噴流に対して、拡大部の内面が与える影響を低減することができる。その結果、微細気泡をより安定して大量に生成することができる。
【0067】
図5は、他の好ましい微細気泡生成ノズルを示す断面図である。
図5に示す微細気泡生成ノズル2aでは、第1拡大部221、第2拡大部231および第3拡大部234において、上述の角度β1、β2およびβ3がそれぞれ45°である。第1拡大部221の第1面221a、第2拡大部231の第1面231a、および、第3拡大部234の第1面234aはそれぞれ、中心軸J2を中心とする略円錐面の一部である。第1拡大部221の流路面積は、第1噴出口217から第1面221aと第2面221bとの境界まで漸次増大し、当該境界から第2面221bの下流端まで一定である。第2拡大部231および第3拡大部234の流路面積においても同様である。微細気泡生成ノズル2aにおいても、各拡大部に向けて喉部の噴出口から噴出される噴流に対して、拡大部の内面が与える影響を低減することができる。その結果、微細気泡をより安定して大量に生成することができる。これらのことから、上述の角度β1、β2およびβ3をそれぞれ、45°以上90°以下とすることにより、微細気泡をより安定して大量に生成することができる。
【0068】
図4に示す微細気泡生成ノズル2では、第1拡大部221と第2テーパ部222との合計長さ、すなわち、第1喉部213の下流端である第1噴出口217と第2喉部223の上流端との間の距離(以下、「喉部間距離」という。)L1は、第1拡大部221の直径の約4.6倍である。また、第2喉部223の第2噴出口227と第3喉部233の上流端との間の喉部間距離L2は、第2拡大部231の直径の約4.6倍である。
【0069】
図6は、
図3および
図4に示す微細気泡生成ノズル2において、第1拡大部221および第2拡大部231の長さを変更して、喉部間距離L1,L2を変更した場合に生成される微細気泡の密度を示す図である。
図6に示すように、喉部間距離L1,L2がそれぞれ拡大部の直径の約4.6倍である微細気泡生成ノズル2では、喉部間距離L1,L2がそれぞれ拡大部の直径の約3.2倍である場合、および、約6倍である場合に比べて、微細気泡をより安定して大量に生成することができる。微細気泡をより安定して大量に生成するという観点からは、喉部間距離L1は第1拡大部221の直径の3.5倍以上5.5倍以下であることが好ましく、喉部間距離L2は第2拡大部231の直径の3.5倍以上5.5倍以下であることが好ましい。
【0070】
微細気泡生成ノズル2は、上述のように、第1ノズル部21、第2ノズル部22および第3ノズル部23を連結することにより形成される。第1ノズル部21、第2ノズル部22および第3ノズル部23を個別に製造することにより、微細気泡生成ノズル2を容易かつ高精度に製造することができる。また、微細気泡生成ノズル2を第1ノズル部21、第2ノズル部22および第3ノズル部23に分解することにより、微細気泡生成ノズル2のメンテナンスを容易に行うことができる。
【0071】
図7は、本発明の第2の実施の形態に係る微細気泡生成装置の微細気泡生成ノズル2bを拡大して示す断面図である。第2の実施の形態に係る微細気泡生成装置は、
図3に示す微細気泡生成ノズル2に代えて、微細気泡生成ノズル2とは先端部の構造が異なる微細気泡生成ノズル2bを備える。また、貯溜部5の微細気泡生成ノズル2bが取り付けられる部位の形状が、
図1に示すものと異なる。その他の構成は、
図1に示す微細気泡生成装置1と同様であり、以下の説明では、対応する構成に同符号を付す。
【0072】
図7に示す微細気泡生成ノズル2bでは、
図3に示す微細気泡生成ノズル2から第3拡大部234が省略される。したがって、微細気泡生成ノズル2bの第3噴出口237は、ノズル流路20の最下流の噴出口であり、かつ、ノズル流路20の下流端であるノズル出口202となる。
【0073】
図7に示すように、貯溜部5の側壁部51には貫通孔530が設けられる。貫通孔530には、貯溜部5の外側から微細気泡生成ノズル2bの先端部が挿入され、微細気泡生成ノズル2bが側壁部51に取り付けられる。これにより、貯溜部5の側壁部51の内面52に、外側に向かって窪む穴部53が設けられる。穴部53の底面53aは、微細気泡生成ノズル2bの先端面である。微細気泡生成ノズル2bの第3噴出口237は、穴部53の底面53aの中央部に位置し、穴部53に接続される。穴部53の底面53aは、微細気泡生成ノズル2bの中心軸J2を中心とする略円環面であり、第3噴出口237のエッジから径方向外側に広がる。穴部53の内側面53bは、微細気泡生成ノズル2bの中心軸J2を中心とする略円筒面であり、中心軸J2に垂直な穴部53の断面は略円形である。
【0074】
穴部53は、第3噴出口237から貯溜部5の側壁部51の内面52に至る流路面積を、第3喉部233に比べて拡大する。すなわち、穴部53は、
図3に示す微細気泡生成ノズル2の第3拡大部234と同様の役割を果たす。貯溜部5に穴部53が設けられることにより、微細気泡生成ノズル2bに第3拡大部234を設けることなく、貯溜部5内における対象液91(
図1参照)の流れが、第3噴出口237から噴出された直後の微細気泡含有液73に対して影響を与えることを抑制することができる。これにより、第3噴出口237からの噴出直後の微細気泡含有液73においても、微細気泡の更なる微細化が安定して行われるため、微細気泡をより安定して大量に生成することができる。
【0075】
図8は、第3の実施の形態に係る微細気泡生成装置1aを示す断面図である。微細気泡生成装置1aでは、加圧液生成部3が、
図1に示す溶解流路部32とは構造が異なる溶解流路部32aを備える。その他の構成は、
図1に示す微細気泡生成装置1と同様であり、以下の説明では、対応する構成に同符号を付す。
【0076】
図8に示すように、溶解流路部32aは、上側から下側に向かって順に配列される第1水平流路321と、第2水平流路322と、第3水平流路323と、第4水平流路324と、第5水平流路325とを備える。水平流路321〜325は、アングル状に湾曲した接続流路320にて直列に接続される。水平流路および接続流路320の内面は、例えば、鏡面仕上げされている。
図9は、
図8中の矢印A−Aの位置における水平流路321〜325の縦断面を示す図である。水平流路321〜325の長手方向に垂直な断面は略円形である。
【0077】
図8に示すように、第1水平流路321の上流側の端部(すなわち、
図8中の左側の端部)には、
図1と同様に、混合流体72を噴出する混合ノズル31が取り付けられる。混合流体72は、第1水平流路321内の混合流体72の液面よりも上方にて混合ノズル31から噴出され、当該液面に直接衝突する。なお、混合ノズル31の混合流体噴出口312(
図2参照)の一部または全体が、第1水平流路321内の混合流体72の液面よりも下側に位置してもよい。これにより、混合ノズル31から噴出された直後の混合流体72が、第1水平流路321内を流れる混合流体72に直接衝突する。
【0078】
図8および
図9に示すように、第1水平流路321の下流側の端部の下部には、堰止部34が設けられる。第1水平流路321内において堰止部34が混合流体72の流れを妨げることにより、混合流体72が第1水平流路321内に滞留するようにして貯溜される。混合流体72は、堰止部34を越えるようにして溢れて、接続流路320内を落下して第2水平流路322の上流側の端部に流れ込む。
【0079】
第2水平流路322では、混合流体72が加圧環境下にて
図8中の右側から左側へと流れる。第2水平流路322においても、下流側の端部の下部に堰止部34が設けられる。第2水平流路321内において堰止部34が混合流体72の流れを妨げることにより、混合流体72が第2水平流路321内に滞留するようにして貯溜される。混合流体72は、堰止部34を越えて溢れ、接続流路320内を落下して第3水平流路322の上流側の端部に流れ込む。
【0080】
第3水平流路323および第4水平流路324においても、同様に、堰止部34が設けられ、混合流体72が貯溜される。このように、堰止部34は、水平流路の下部に固定されて当該下部を塞ぐ部位である。第3および第4水平流路323,324の端部では、混合流体72が次の水平流路に向かって落下する。第3水平流路323では、混合流体72が加圧環境下にて
図1中の左側から右側へと流れ、第4水平流路324では、混合流体72が加圧環境下にて右側から左側へと流れる。第1水平流路321〜第4水平流路324では、混合流体72は、気体に接しつつ気体の下方を流れる。
【0081】
第5水平流路325では、第1ないし第4水平流路321〜324とは異なり、堰止部34は設けられない。第5水平流路325内には気体の層は存在しておらず、第5水平流路325内に充満する液体内において、第5水平流路325の上面近傍に気泡が僅かに存在する状態となっている。第5水平流路325では、第4水平流路324から流入した混合流体72が加圧環境下にて
図1中の左側から右側へと流れる。第5水平流路325は、他の水平流路321〜324よりも長い。
【0082】
加圧液生成部3では、水平流路321〜325および接続流路320を、段階的に緩急を繰り返しつつ上から下に流れ落ちる(すなわち、水平方向への流れと下方向への流れとを交互に繰り返しつつ流れる)混合流体72において、気体が液体に徐々に加圧溶解する。第5水平流路325においては、液体中に溶解している気体の濃度は、加圧環境下における当該気体の(飽和)溶解度の60%〜90%にほぼ等しい。そして、液体に溶解しなかった余剰な気体が、第5水平流路325内において、視認可能な大きさの気泡として存在している。上下に隣接する水平流路における混合流体72の流れの方向が逆向きであることにより、加圧液生成部3の小型が実現される。
【0083】
図10は、水平流路の断面と共に堰止部34を拡大して示す図である。堰止部34は、上端341が水平かつ流路の伸びる方向に垂直な直線状であり、最下部に、水平流路に沿って堰止部34を貫通する微小貫通孔342を有する。上端341の上側は、堰止部34から溢れる混合流体72が流れる開口35である。溶解流路部32aを製造する際には、まず、水平流路の断面と同じ大きさの円板に、微小貫通孔342および半円状の開口35を形成した板部材が準備される。そして、各水平流路321〜324と接続流路320との間に上記板部材を挟むようにして溶接が行われる。
【0084】
堰止部34が設けられることにより、第1ないし第4水平流路321〜324では、混合流体72の温度や粘度が変化しても、液面の高さ、すなわち、水位がおよそ一定に維持される。これにより、第1ないし第4水平流路321〜324において気体と混合流体72との接触面積がおよそ一定に維持される。その結果、設計時に、加圧液71の生産能力を計算により容易に予測することができる。また、加圧液71の生産量を変化させても、単位体積当たり所望の量の気体が溶解した加圧液71を容易に得ることができる。
【0085】
特に、加圧液生成部3に、食品や薬品等のように衛生的な清潔さ(いわゆる、サニタリー特性)が求められる場合や、半導体処理等に用いられる超純水等の高度なクリーン度が求められる場合、流路を形成する管の断面は、鏡面加工が容易な円形であることが好ましく、サニタリー仕様の円形の管は容易に入手することができる。
【0086】
流路断面が円形の場合、
図11に示すように、液面が流路の中央から上下に離れるほど、液面の僅かな上下動により気液接触面積が大きく変動する。
図11では、水平流路の半径の大きさを「1」と表現し、気液接触面積増加率の絶対値が大きいほど、液面高さ変動に対する気液接触面積の変化が大きいことを示している。堰止部34が設けられない場合、加圧液71の生産量に依存して液面の高さが大きく変動する。したがって、水平流路の断面が円形である場合に、堰止部34が設けられることが特に好ましい。液面の高さが、
図11において、0.8〜1.2に維持されることが好ましい。また、堰止部34により気液接触面積が広く維持可能であることから、加圧液生成部3の小型化も実現される。
【0087】
さらに、流路断面が円形であることにより、流路の耐圧性能を向上することができる。これにより、管壁を薄くすることができる。なお、流路の内側面の断面が円形であれば、流路の外形は矩形等の他の形状であってもよい。
【0088】
堰止部34は、第1ないし第4水平流路321〜324内において、下流側の接続流路320との間に、すなわち、混合流体72が次の水平流路に向かう直前の位置に設けられるため、各水平流路内において気体と液体との接触面積を大きくすることができる。その結果、加圧液71の生産能力を向上することができる。
【0089】
堰止部34には、微小貫通孔342が設けられるため、加圧液71が生産される間、堰止部34にて堰止められた混合流体72の一部は、微小貫通孔342から次の水平流路へと流れ出す。微小貫通孔342から流れ出す混合流体72の量は少なく、堰止部34から混合流体72が溢れる状態は維持される。例えば、微小貫通孔342から流れ落ちる混合流体72の量は、堰止部34を越える混合流体72の1/5以下、より好ましくは1/10以下である。一方、微小貫通孔342が設けられることにより、加圧液71の生産を停止した後に、溶解流路部32a内に残留する液体を自然に加圧液流路4側、すなわち、溶解流路部32aの外部へと排出することができる。したがって、溶解流路部32aにサニタリー特性が求められる場合に、溶解流路部32aに微小貫通孔342が設けられることが特に好ましい。
【0090】
図8に示すように、溶解流路部32aは、第5水平流路325の下流側の上面から上方へと延びる余剰気体分離部326をさらに備え、余剰気体分離部326には混合流体72が充満している。余剰気体分離部326は、下部が2つの分かれてそれぞれ第5水平流路325に接続され、上部では1つに繋がっている。余剰気体分離部326の各管路も、断面は円形である。余剰気体分離部326の上端部は、絞り部327を介して大気開放されている。第5水平流路325を流れる混合流体72の気泡は、余剰気体分離部326内を上昇して余剰な混合流体72と共に放出される。余剰気体分離部326の下部が2つに分かれることにより、余剰気体の分離がより確実に行われる。なお、余剰気体分離部326の下部は、3つ以上に分かれていてもよいし、1つだけでもよい。
【0091】
このように、混合流体72から余剰な気体が分離されることにより、少なくとも容易に視認できる大きさの気泡を実質的に含まない加圧液71が生成され、第5水平流路325の下流側の端部(すなわち、
図1中の右側の端部)に接続された加圧液流路4へと送出される。本実施の形態では、加圧液71には、大気圧下における気体の(飽和)溶解度の約2倍以上の気体が溶解している。溶解流路部32aにおいて水平流路321〜325および接続流路320を流れる混合流体72は、生成途上の加圧液71と捉えることもできる。
【0092】
微細気泡生成装置1aは、
図1に示す微細気泡生成装置1と同様に、調整弁61と、圧力センサ62と、弁制御部63とをさらに備える。本実施の形態では、調整弁61として比例制御弁が利用されるが、調整弁61は、リリーフ弁、通常のバルブ、固定絞り等の他の種類の弁であってもよい。第1水平流路321の上方には、排気弁64も設けられる。微細気泡生成装置1aでは、圧力センサ62から出力された溶解流路部32a内の圧力の測定値が、予め定められた所定の圧力(好ましくは、0.1MPa〜0.45MPa)となるように、弁制御部63により調整弁61が制御される。溶解流路部32aから加圧液流路4へと導かれた加圧液71は、微細気泡生成ノズル2に流入する。
【0093】
図12は、堰止部の他の例を示す図である。
図12に示す堰止部34aは、水平流路内において、水平かつ流路の伸びる方向に垂直な方向に設けられた梁状の部材である。混合流体72は、堰止部34の上端341を越えて次の水平流路へと流れ落ちる。また、堰止部34の下端と水平流路の下部との間の隙間が、微小貫通孔342として機能する。
図12の堰止部34aの作用および効果は、
図10に示すものと同様である。
【0094】
図13は、溶解流路部32aの余剰気体分離部326以外の部位の他の例を示す図である。
図13の溶解流路部32aでは、堰止部34として、
図10に示すものから微小貫通孔342が省かれたものが設けられる。また、溶解流路部32aでは、微小貫通孔342に代えて、堰止部34の上流側に上下に並ぶ水平流路を繋ぐバイパス流路36が設けられる。すなわち、第1水平流路321の堰止部34の上流側に、第1水平流路321と第2水平流路322とを上下に繋ぐバイパス流路36が設けられ、第2水平流路322の堰止部34の上流側に、第2水平流路322と第3水平流路323とを上下に繋ぐバイパス流路36が設けられ、第3水平流路323と第4水平流路324との間、第4水平流路324と第5水平流路325との間にも同様にバイパス流路36が設けられる。上下に並ぶ水平流路は、接続流路320にて連絡するが、バイパス流路36は、これらの水平流路を別途連絡する微小流路である。微細気泡生成装置1aおよび溶解流路部32aの他の構造は、
図8に示すものと同様である。
【0095】
図13に示す溶解流路部32aにおいても、
図8と同様に、堰止部34が設けられることにより、第1ないし第4水平流路321〜324では、混合流体72の液面の高さがおよそ一定に維持される。これにより、気体と液体との接触面積がおよそ一定に維持される。その結果、単位体積当たり所望の量の気体が溶解した加圧液71を容易に得ることができる。また、混合流体72が次の水平流路に向かう直前の位置に堰止部34が設けられるため、各水平流路内において気体と液体との接触面積を大きくすることができる。
【0096】
堰止部34の上流側には、バイパス流路36が設けられるため、加圧液71が生産される間、堰止部34にて堰止められた混合流体72の一部は、バイパス流路36から次の水平流路へと流れ落ちる。バイパス流路36から流れ落ちる混合流体72の量は少なく、堰止部34から混合流体72が溢れる状態は維持される。バイパス流路36を流れ落ちる混合流体72の量は、堰止部34を越える混合流体72の1/5以下、より好ましくは1/10以下である。一方、バイパス流路36が設けられることにより、
図8の場合と同様に、加圧液71の生産を停止した後に、溶解流路部32a内に残留する液体を自然に加圧液流路4側へと流出させることができる。
【0097】
図8の堰止部34が有する
図10の微小貫通孔342、
図12の微小貫通孔342、および、
図13のバイパス流路36は、いずれも、堰止部34,34aよりも上流側の水平流路内の空間(すなわち、堰止部34,34aにより混合流体72が貯溜される空間の下部)と、堰止部34,34aよりも下流側の空間とを連絡し、上流側の水平流路内に貯溜される混合流体72の一部を、堰止部34,34aよりも下流側の空間へと導く連絡流路として機能する。このような機能を有する連絡流路は、
図10、
図12および
図13に示す構造により容易に実現することができるが、連絡流路はこれらの構造には限定されない。例えば、堰止部34により貯溜される混合流体72を接続流路320へと導く連絡流路が設けられてもよい。また、バイパス流路36は、堰止部34から上流側に離れて設けられてもよい。
【0098】
図14は、第4の実施の形態に係る微細気泡生成装置1bを示す断面図である。微細気泡生成装置1bでは、加圧液生成部3と微細気泡生成ノズル2との間にフィルタ8が配置される。その他の構成は、
図1に示す微細気泡生成装置1と同様であり、以下の説明では、対応する構成に同符号を付す。
【0099】
図14に示す微細気泡生成装置1bでは、加圧液71がフィルタ8を通過することにより、加圧液71中のパーティクルが除去される。パーティクルは、原水、ポンプ33、混合ノズル31、流路等から発生する。フィルタ8が除去可能なパーティクルの最小径(パーティクルを球体とみなした場合の最小径)は、加圧液71が微細気泡生成ノズル2を通過することにより生成される微細気泡の直径の最頻値、すなわち、最も個数が多い気泡の直径よりも小さい。具体的には、フィルタ8の通孔の平均幅が、微細気泡の直径の最頻値よりも小さい。換言すれば、フィルタ8が除去可能なパーティクルのサイズは、微細気泡の最頻サイズよりも小さい。ただし、フィルタ8が除去可能なパーティクルの最小径(サイズ)が、フィルタ8の製造者から提供されている場合は、その値を最小径とみなしてよい。
【0100】
微細気泡生成装置1bでは、フィルタ8を通過する時点では、加圧液71中に微細気泡は存在しない、または、存在する気泡の大部分がフィルタ8に捕獲されない非常に微小なものである。したがって、加圧液71中のパーティクルは、フィルタ8により除去されるが、加圧液71中に溶解している気体は、フィルタ8を通過する。そして、加圧液71が微細気泡生成ノズル2を通過することにより、加圧液71から大量の微細気泡が生成される。
【0101】
仮に、微細気泡を含む液体を生成した後に、フィルタを用いて当該液体からパーティクルを除去しようとすると、液体内の微細気泡がフィルタに捕獲されてしまい、フィルタにて大きな気泡が発生して微細気泡の数が減少したり、フィルタの処理流量が低下する等の現象が生じるおそれがある。微細気泡生成装置1bでは、微細気泡生成ノズル2よりも上流側において、加圧液71がフィルタ8を通過することにより、微細気泡を含み、かつ、パーティクルが除去された液体を生成することが実現される。
【0102】
微細気泡生成装置1bでは、溶解流路部32とフィルタ8との間の加圧液流路4上に、フィルタ8よりも通孔の平均幅が大きい補助フィルタが設けられてもよい。補助フィルタが除去可能なパーティクルの最小径は、フィルタ8が除去可能なパーティクルの最小径よりも大きいため、補助フィルタにより、加圧液71中の大きなパーティクルが除去され、フィルタ8により、十分に小さいパーティクルが除去される。その結果、フィルタ8の寿命を長くすることができる。目の細かいフィルタ8は高価であるため、上述のように補助フィルタを設けることにより、フィルタ8のランニングコストを低減することができる。
【0103】
例えば、補助フィルタは最小径が1000nm以上のパーティクルを除去し、フィルタ8は最小径が100nm以上のパーティクルを除去する。場合によっては、フィルタ8は、最小径が30nmや15nmのパーティクルを除去する。半導体装置の製造工程において、
図14に示す微細気泡生成装置1bをウエハの洗浄装置の洗浄液生成に使用する場合、半導体回路の最小線幅が19nmであれば、例えば、ナノバブルの直径の最頻値は100nm程度であり、フィルタ8により除去されるパーティクルの最小径は15nm程度である。
【0104】
図15は、本発明の第5の実施の形態に係る微細気泡生成装置の微細気泡生成ノズル2cを拡大して示す断面図である。
図16は、微細気泡生成ノズル2cを先端側(下流端側)から見た図である。第5の実施の形態に係る微細気泡生成装置は、
図3に示す微細気泡生成ノズル2に代えて、微細気泡生成ノズル2と異なる構造を有する微細気泡生成ノズル2cを備える。その他の構成は、
図1に示す微細気泡生成装置1と同様であり、以下の説明では、対応する構成に同符号を付す。
【0105】
図15および
図16に示すように、微細気泡生成ノズル2cは、中心軸J3を中心とする略円柱状である。微細気泡生成ノズル2cは、2つのノズル流路20と、第1分岐部251と、第2分岐部252と、第3分岐部253と、導出部26とを備える。2つのノズル流路20は同様の構造を有し、
図15に示すように、中心軸J3に平行に並列に配置される。各ノズル流路20は、
図3に示す微細気泡生成ノズル2のノズル流路20と同様に、上流側から順に連続する導入部211と、第1テーパ部212と、第1喉部213と、第1拡大部221と、第2テーパ部222と、第2喉部223と、第2拡大部231と、第3テーパ部232と、第3喉部233と、第3拡大部234とを備える。導入部211は、2つのノズル流路20により共有される。各テーパ部、各喉部および各拡大部の形状は、
図3に示すノズル流路20とほぼ同様である。
【0106】
導入部211の下流端には、2つの第1テーパ部212が接続する。2つの第1テーパ部212の間には、中心軸J3上に位置する第1分岐部251が配置される。本実施の形態では、第1分岐部251の外側面は、2つの第1テーパ部212の内側面である。加圧液流路4から導入部211へと導かれた加圧液71(
図1参照)は、第1分岐部251により、2つの第1テーパ部212に分岐する。換言すれば、第1分岐部251は、加圧液71を2つのノズル流路20に分岐させる。
【0107】
各第1テーパ部212に分岐した加圧液71は、第1喉部213の第1噴出口217から第1拡大部221へと噴出される。上述のように、第1喉部213および第1拡大部221では、加圧液71に溶解している気体が微細気泡として析出し、当該微細気泡は、噴流により生じる剪断力等によりさらに微細化される。2つの第1拡大部221は、下流部にて合流しており、各第1拡大部221を流れる微細気泡含有液73(
図1参照)は、第2テーパ部222に流入する前に合流する。
【0108】
2つの第2テーパ部222の間には、中心軸J3上に位置する第2分岐部252が配置される。微細気泡含有液73は、第2分岐部252により、2つの第2テーパ部222に分岐する。各第2テーパ部222に分岐した微細気泡含有液73は、第2喉部223の第2噴出口227から第2拡大部231へと噴出される。これにより、微細気泡含有液73中の微細気泡がさらに微細化される。2つの第2拡大部231は、第1拡大部221と同様に下流部にて合流しており、各第2拡大部231を流れる微細気泡含有液73は、第3テーパ部232に流入する前に合流する。
【0109】
2つの第3テーパ部232の間には、中心軸J3上に位置する第3分岐部253が配置される。微細気泡含有液73は、第3分岐部253により、2つの第3テーパ部232に分岐する。各第3テーパ部232に分岐した微細気泡含有液73は、第3喉部233の第3噴出口237から第3拡大部234へと噴出される。これにより、微細気泡含有液73中の微細気泡がさらに微細化される。2つの第3拡大部234の下流端は、導出部26に接続しており、各第3噴出口237から第3拡大部234へと噴出された微細気泡含有液73は、導出部26を介して貯溜部5内の対象液91(
図1参照)中に供給される。
【0110】
微細気泡生成ノズル2cでは、並列に配置される複数のノズル流路20を設けることにより、第1噴出口217、第2噴出口227および第3噴出口237の直径を大きくすることなく、あるいは、これらの直径の増大を抑制しつつ、対象液91に対する微細気泡含有液73の供給量を増大させることができる。これにより、微細気泡含有液73の噴出により微細気泡生成ノズル2cに加わる力の増大を抑制することができる。また、貯溜部5および微細気泡生成装置の大型化を抑制することができる。このように、微細気泡生成ノズル2cを利用することにより、微細気泡含有液73の流量の変更、すなわち、微細気泡の供給量の変更に容易に対応することができる。
【0111】
微細気泡生成ノズル2cでは、第1分岐部251よりも上流側において気体は加圧液71中に溶解しており、加圧液71中に均等に存在している。したがって、第1分岐部251により複数のノズル流路20に分岐する際に、気体がいずれかのノズル流路20に偏ってしまうことが防止される。その結果、複数のノズル流路20から噴出される微細気泡の量を均等とすることができる。また、複数の第1拡大部221の下流部、および、複数の第2拡大部231の下流部が合流しているため、複数のノズル流路20から噴出される微細気泡の量をさらに均等とすることができる。
【0112】
図1に示す微細気泡生成装置1では、加圧液流路4が2つの配管に分岐され、2つの配管の先端に設けられた2つの微細気泡生成ノズル2から、貯溜部5内の対象液91へと微細気泡含有液73が供給されてもよい。上述のように、加圧液流路4内の加圧液71では、気体は加圧液71中に溶解しており、加圧液71中に均等に存在している。したがって、加圧液流路4を複数の配管に分岐する際に、気体がいずれかの配管に偏ってしまうことが防止される。その結果、複数の微細気泡生成ノズル2から噴出される微細気泡の量を均等とすることができる。
【0113】
図17は、本発明の第6の実施の形態に係る微細気泡生成装置の微細気泡生成ノズル2dを拡大して示す断面図である。
図18は、微細気泡生成ノズル2dを先端側(下流端側)から見た図である。第6の実施の形態に係る微細気泡生成装置は、
図3に示す微細気泡生成ノズル2に代えて、微細気泡生成ノズル2と異なる構造を有する微細気泡生成ノズル2dを備える。その他の構成は、
図1に示す微細気泡生成装置1と同様であり、以下の説明では、対応する構成に同符号を付す。
【0114】
図17および
図18に示すように、微細気泡生成ノズル2dは、中心軸J3を中心とする略円柱状である。微細気泡生成ノズル2dは、7つのノズル流路20と、第1分岐部251と、第2分岐部252と、第3分岐部253と、導出部26とを備える。7つのノズル流路20は互いに同様の構造を有し、中心軸J3に平行に並列に配置される。具体的には、1つのノズル流路20が中心軸J3上に位置し、他の6つのノズル流路20が、中心軸J3上のノズル流路20の周囲に等角度間隔にて配列される。
【0115】
図17に示すように、各ノズル流路20は、
図3に示す微細気泡生成ノズル2のノズル流路20と同様に、上流側から順に連続する導入部211と、第1テーパ部212と、第1喉部213と、第1拡大部221と、第2テーパ部222と、第2喉部223と、第2拡大部231と、第3テーパ部232と、第3喉部233と、第3拡大部234とを備える。導入部211は、7つのノズル流路20により共有される。各テーパ部、各喉部および各拡大部の形状は、
図3に示すノズル流路20とほぼ同様である。
【0116】
導入部211の下流端には、7つの第1テーパ部212が接続する。7つの第1テーパ部212の間には第1分岐部251が配置される。また、7つの第2テーパ部222の間には第2分岐部252が配置され、7つの第3テーパ部232の間には第3分岐部253が配置される。7つの第1拡大部221、および、7つの第2拡大部231は、それぞれの下流部にて合流する。7つの第3拡大部234の下流端は、導出部26に接続する。
【0117】
微細気泡生成ノズル2dでは、加圧液流路4から導入部211へと導かれた加圧液71が、第1分岐部251により、7つのノズル流路20に分岐する。ノズル流路20では、加圧液71に溶解している気体が微細気泡として析出し、微細気泡の更なる微細化が行われる。そして、各ノズル流路20の第3噴出口237から第3拡大部234へと噴出された微細気泡含有液73が、導出部26を介して貯溜部5内の対象液91中に供給される。
【0118】
微細気泡生成ノズル2dでは、
図15に示す微細気泡生成ノズル2cと同様に、並列に配置される複数のノズル流路20を設けることにより、第1噴出口217、第2噴出口227および第3噴出口237の直径を大きくすることなく、あるいは、これらの直径の増大を抑制しつつ、対象液91に対する微細気泡含有液73の供給量を増大させることができる。これにより、微細気泡含有液73の噴出により微細気泡生成ノズル2dに加わる力の増大を抑制することができる。また、貯溜部5および微細気泡生成装置の大型化を抑制することができる。このように、微細気泡生成ノズル2dを利用することにより、微細気泡含有液73の流量の変更、すなわち、微細気泡の供給量の変更に容易に対応することができる。
【0119】
微細気泡生成ノズル2dでは、第1分岐部251よりも上流側において気体は加圧液71中に溶解しており、加圧液71中に均等に存在している。したがって、第1分岐部251により複数のノズル流路20に分岐する際に、気体がいずれかのノズル流路20に偏ってしまうことが防止される。その結果、複数のノズル流路20から噴出される微細気泡の量を均等とすることができる。また、複数の第1拡大部221の下流部、および、複数の第2拡大部231の下流部が合流しているため、複数のノズル流路20から噴出される微細気泡の量をさらに均等とすることができる。
【0120】
以上、本発明の実施の形態について説明してきたが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、様々な変更が可能である。
【0121】
本発明に関連する技術に係る微細気泡生成ノズルでは、第1テーパ部212、第2テーパ部222および第3テーパ部232の内面は、必ずしも略円錐面の一部である必要はなく、例えば、略円錐面よりも内側に凸状に膨らむ曲面や、略円錐面よりも外側に凹状に膨らむ曲面であってもよい。また、
本発明に係る微細気泡生成ノズルでは、図7に示す例とは異なる構造であっても、第3噴出口237から噴出された直後の微細気泡含有液73が、貯溜部5内における対象液91の流れの影響をあまり受けないように微細気泡生成ノズルが配置されるのであれば、微細気泡生成ノズルから第3拡大部234が省略されてよい。
【0122】
上述の微細気泡生成ノズルでは、ノズル流路20の流路断面は円形には限定されず、例えば、矩形であってもよい。流路断面が円形ではない場合、第1喉部213の長さは、好ましくは、第1喉部213の有効直径の1.1倍以上10倍以下(より好ましくは、1.5倍以上2倍以下)である。第2喉部223および第3喉部233においても同様である。これにより、流体に生じる抵抗が過剰に大きくなることを防止しつつ、微細気泡を安定して大量に生成することができる。また、好ましくは、第1喉部213の有効直径は、第2喉部223の有効直径以下であり、第2喉部223の有効直径は、第3喉部233の有効直径以下である。これにより、微細気泡をより安定して大量に生成することができる。
【0123】
図3に示す微細気泡生成ノズル2について、入口圧力P0やノズル流路20の各部の大きさ等に関する上記条件下では、3つの喉部を有する構造が、2つの喉部を有する構造、および、4つの喉部を有する構造よりも、微細気泡を安定して大量に生成することができる。微細気泡生成ノズルでは、入口圧力P0等の条件の変更に合わせて、ノズル流路20に直列に設けられる複数の喉部の個数が、様々に変更されてよい。例えば、第1テーパ部212と、第1喉部213と、第1拡大部221と、第2テーパ部222と、第2喉部223とを備え、第2喉部223の第2噴出口227から対象液91へと微細気泡含有液73を噴出する微細気泡生成ノズルが、微細気泡生成装置において利用されてもよい。
【0124】
加圧液生成部3では、混合ノズル31から供給される気体が、加圧液流路4に到達するまでに全て液体に溶解するのであれば、余剰気体分離部326は省略されてもよい。溶解流路部32,32aでは、5つの水平流路321〜325は、必ずしも上下方向に積層される必要はなく、各水平流路における混合流体の流れる方向が同じになるように、階段状に配置されてもよい。また、水平流路の数も5つには限定されず、様々に変更されてよい。ただし、混合ノズル31が取り付けられる水平流路から落下した混合流体が流れるもう1つの流路が設けられることにより、液体に加圧溶解する気体の量を増大させることができる。
【0125】
加圧液生成部は、上述の構造を有するものには限定されず、様々な構造を有するものが利用されてよい。例えば、加圧されたタンクの上部から液体を噴霧すると同時に気体を送り込み、タンク内にて加圧溶解が行われる加圧タンクが加圧液生成部として利用されてもよい。また、上記実施の形態では、混合ノズル31において、気体混合部316におけるノズル流路310内の圧力が大気圧よりも低くなることにより、気体流入口319から気体が吸引されるが、気体流入口319にボンベ等が接続されることにより、気体混合部316におけるノズル流路310内の圧力が大気圧以上の状態で、気体流入口319を介して気体混合部316に気体が供給されてもよい。
【0126】
上述の微細気泡生成装置は、直径が1μm以上1mm未満の微細気泡(いわゆる、マイクロバブル)の生成に利用されてもよい。この場合も、上記実施の形態と同様に、マイクロバブルを安定して大量に生成することができる。
【0127】
上記実施の形態および各変形例における構成は、相互に矛盾しない限り適宜組み合わされてよい。