特許第6118600号(P6118600)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6118600-斜板式ピストンポンプモータ 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6118600
(24)【登録日】2017年3月31日
(45)【発行日】2017年4月19日
(54)【発明の名称】斜板式ピストンポンプモータ
(51)【国際特許分類】
   F04B 1/22 20060101AFI20170410BHJP
   F03C 1/253 20060101ALI20170410BHJP
【FI】
   F04B1/22
   F03C1/253
【請求項の数】3
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2013-56922(P2013-56922)
(22)【出願日】2013年3月19日
(65)【公開番号】特開2014-181625(P2014-181625A)
(43)【公開日】2014年9月29日
【審査請求日】2015年10月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000929
【氏名又は名称】KYB株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002468
【氏名又は名称】特許業務法人後藤特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100075513
【弁理士】
【氏名又は名称】後藤 政喜
(74)【代理人】
【識別番号】100120260
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 雅昭
(74)【代理人】
【識別番号】100137604
【弁理士】
【氏名又は名称】須藤 淳
(72)【発明者】
【氏名】野口 恵伸
【審査官】 所村 陽一
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−236873(JP,A)
【文献】 特開昭54−034102(JP,A)
【文献】 特開昭57−068569(JP,A)
【文献】 実開昭59−182677(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04B 1/22
F03C 1/253
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シャフトが嵌装され前記シャフトとともに回転するシリンダブロックと、
前記シリンダブロックに形成され前記シャフトの周方向に所定の間隔をもって配置される複数のシリンダと、
前記シリンダ内に摺動可能に挿入され前記シリンダの内部に容積室を画成するピストンと、
前記ピストンの先端に回動自在に連結されたシューと、
前記シャフトの回転に伴って前記シューが摺動する斜板と、
すべての前記シューを保持する円環状のリテーナと、
前記シャフトの外周に軸方向に摺動可能に装着され、前記リテーナの中心部を軸方向に押圧することで前記シューを前記斜板に押し付ける押圧部材と、
を備える斜板式ピストンポンプモータであって、
前記シャフトの外周面と前記シリンダブロックの内周面との隙間に一部が挿入される前記押圧部材の背面に画成され、内圧に応じて前記押圧部材を前記リテーナ側に摺動させる圧力室と、
前記容積室に作動流体を給排する給排通路に連通する流入口を前記シャフトの一端に有し、前記シャフトの軸方向に穿設される軸方向流路と、
前記軸方向流路から前記シャフトの径方向に穿設されて前記圧力室に開口し、前記シャフトの回転に伴って作動流体を前記圧力室へ導く径方向流路と、
を備えることを特徴とする斜板式ピストンポンプモータ。
【請求項2】
前記流入口は、前記容積室に作動流体を導入する吸込通路に連通される、
ことを特徴とする請求項1に記載の斜板式ピストンポンプモータ。
【請求項3】
前記押圧部材は外径が拡大した拡径部を有し、
前記拡径部と前記シリンダブロックとの間に設けられ、前記押圧部材を前記リテーナ側に付勢する付勢部材をさらに備える、
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の斜板式ピストンポンプモータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、斜板式ピストンポンプモータに関する。
【背景技術】
【0002】
斜板式ピストンポンプモータは、シリンダブロックに複数形成されるシリンダと、各シリンダ内に収装されるピストンと、ピストンの一端がシューを介して摺接する斜板と、を備える。シリンダブロックが回転すると、斜板に摺接するシューの傾きに応じてピストンが往復動し、ピストンの他端に画成される容積室が拡縮する。
【0003】
特許文献1には、シューを斜板に追従させる円板状のリテーナプレートと、リテーナプレートの中心部に摺接するリテーナホルダと、リテーナホルダをリテーナプレートに向けて押圧するスプリングと、を備えることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−107842号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
リテーナホルダを押圧するスプリングの押し付け力は、ピストンの引き抜き抵抗、シューに作用する遠心力、及び斜板とシューとの摺動摩擦力、によるシューの浮き上がりを防止できる程度の値に設定される。
【0006】
ポンプの回転速度にかかわらずシューの浮き上がりを防止するためには、高い押し付け力が要求される高速回転時に合わせてスプリングの押し付け力を設定する必要がある。しかし、この場合低速回転時にはスプリングの押し付け力が過大となりポンプ効率が低下する可能性がある。
【0007】
本発明は、このような技術的課題に鑑みてなされたものであり、高速回転時におけるシューの浮き上がりを防止しながら低速回転時におけるポンプ効率の低下を抑制可能な斜板式ピストンポンプモータを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、シャフトが嵌装されシャフトとともに回転するシリンダブロックと、シリンダブロックに形成されシャフトの周方向に所定の間隔をもって配置される複数のシリンダと、シリンダ内に摺動可能に挿入されシリンダの内部に容積室を画成するピストンと、ピストンの先端に回動自在に連結されたシューと、シャフトの回転に伴ってシューが摺動する斜板と、すべてのシューを保持する円環状のリテーナと、シャフトの外周に軸方向に摺動可能に装着され、リテーナの中心部を軸方向に押圧することでシューを斜板に押し付ける押圧部材と、を備える斜板式ピストンポンプモータであって、シャフトの外周面とシリンダブロックの内周面との隙間に一部が挿入される押圧部材の背面に画成され、内圧に応じて押圧部材をリテーナ側に摺動させる圧力室と、容積室に作動流体を給排する給排通路に連通する流入口をシャフトの一端に有し、シャフトの軸方向に穿設される軸方向流路と、軸方向流路からシャフトの径方向に穿設されて圧力室に開口し、シャフトの回転に伴って作動流体を圧力室へ導く径方向流路と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、シャフトの回転による遠心力によって径方向流路を通じて圧力室に作動流体が導かれるので、シャフトの回転速度に応じて圧力室の圧力を変化させることができる。よって、シューを斜板に押し付ける押し付け力がシャフトの回転速度に応じて変化するので、高速回転時に押し付け力を増大させてシューの浮き上がりを防止できるとともに低速回転時に押し付け力を低下させてポンプ効率の低下を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施形態に係る斜板式ピストンポンプモータの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。
【0012】
図1は、本実施形態における斜板式ピストンポンプモータ100の断面図である。
【0013】
斜板式ピストンポンプモータ100は、外部からの動力によりシャフト1が回転してピストン2が往復動することで、作動流体を供給可能なポンプとして機能し、また外部から供給される作動流体の流体圧によりピストン2が往復動してシャフト1が回転することで、回転駆動力を出力可能なモータとして機能する。作動流体は、水、油、水溶性代替液等である。
【0014】
以下の説明では、斜板式ピストンポンプモータ100をポンプとして機能させる場合について例示し、斜板式ピストンポンプモータ100を単に「ピストンポンプ100」と称する。
【0015】
ピストンポンプ100は、建設機械等の車両に搭載され、車両に搭載されたエンジン(図示せず)の動力によりシャフト1が回転駆動され、作動流体圧をアクチュエータ等に供給する。
【0016】
ピストンポンプ100は、有底筒状のケース3と、ケース3の開口端を閉塞して内部に収容室を画成するリアケース4と、ケース3及びリアケース4に回転自在に支持されるシャフト1と、シャフト1が嵌装されるシリンダブロック5と、を備える。
【0017】
ケース3は、シャフト1が貫通する貫通孔3aと、シャフト1の外周面に摺接してシャフト1を支持する軸受6と、を有する。
【0018】
リアケース4は、シャフト1の開口端に嵌合され、シャフト1の先端1aを収容する収容凹部4aと、収容凹部4a内でシャフト1の外周面に摺接してシャフト1を支持する軸受7と、を有する。リアケース4はさらに、後述する容積室9に吸い込まれる作動流体を導く吸込ポート4bと、容積室9から吐出される作動流体を導く吐出ポート4cと、を有する。
【0019】
シャフト1は、ケース3の軸受6とリアケース4の軸受7とによって回転自在に支持される棒状部材であり、エンジンの動力により回転駆動される。
【0020】
シリンダブロック5は、シャフト1が貫通する貫通孔5aを有し、貫通孔5aに嵌装されるシャフト1とスプライン結合される。これにより、シリンダブロック5はシャフト1とともに回転する。
【0021】
シリンダブロック5は、シリンダブロック5の一方側(図1における右側)に開口した複数のシリンダ8と、各シリンダ8内に摺動可能に挿入されるピストン2と、を有する。シリンダ8は、シャフト1の周方向に所定の間隔をもって複数配置される。ピストン2は、円柱状部材であり、先端がシリンダ8から外方へと延出し、後端がシリンダ8内で容積室9を画成する。
【0022】
ピストンポンプ100はさらに、ピストン2の先端に回動自在に連結されたシュー10と、シャフト1の回転に伴ってシュー10が摺動する斜板11と、すべてのシュー10を保持するリテーナとしての円環状のリテーナプレート12と、リテーナプレート12を軸方向に押圧する押圧部材としてのリテーナホルダ13と、を備える。
【0023】
シュー10は、各ピストン2の先端に形成される球面座2aを受容する受容部10aと、斜板11に摺動する円形の平板部10bと、を有する。受容部10aの内面は球面状に形成され、受容した球面座2aの外面と摺動する。これにより、シュー10は球面座2aに対してあらゆる方向に角度変位可能である。
【0024】
斜板11は、ケース3の内壁に固定され、シャフト1の軸に垂直な方向から傾斜した摺接面11aを有する。シュー10の平板部10bは、摺接面11aに対して面接触する。
【0025】
リテーナプレート12は、各ピストン2の球面座2aにそれぞれ連結されたすべてのシュー10を保持する。リテーナプレート12は、円環状の板状部材であり、周方向に所定の間隔をもって配置された複数の挿通穴(図示せず)を有する。リテーナプレート12は、各シュー10を各挿通穴に挿通させることですべてのシュー10を同一平面上に保持する。
【0026】
リテーナホルダ13は、シャフト1の外周に装着され、軸方向に摺動可能である。リテーナホルダ13は、リテーナプレート12の中心部を軸方向に押圧する押圧部13aと、外径が拡径された拡径部13bと、シャフト1の外周面とシリンダブロック5の内周面との隙間に挿入される背部13cと、を有する。拡径部13bとシリンダブロック5との間には、リテーナホルダ13をリテーナプレート12側に押し付ける付勢力を発揮する付勢部材としてのスプリング14が設けられる。
【0027】
エンジンの動力によりシャフト1が回転駆動され、シリンダブロック5が回転すると、各シュー10の平板部10bが斜板11に対して摺動し、各ピストン2が斜板11の傾斜角度に応じたストローク量でシリンダ8内を往復動する。各ピストン2の往復動により、各容積室9の容積が増減する。
【0028】
ケース3の開口端を閉塞するリアケース4には、シリンダブロック5の基端面5bが摺接するバルブプレート15が固定される。バルブプレート15には、リアケース4の吸込ポート4bに連通するとともに容積室9に連通する給排通路としての吸込孔15aと、リアケース4の吐出ポート4cに連通するとともに容積室9に連通する吐出孔15bと、が形成される。
【0029】
シリンダブロック5の回転により拡大する容積室9には吸込ポート4b及び吸込孔15aを通じて作動流体が導かれ、シリンダブロック5の回転により縮小する容積室9からは吐出孔15b及び吐出ポート4cを通じて作動流体が吐出される。このように、ピストンポンプ100では、シリンダブロック5の回転に伴って、作動流体の吸込と吐出とが連続的に行われる。
【0030】
シリンダブロック5の回転に伴って作動流体の吸込と吐出とを連続的に行うには、シュー10の平板部10bが斜板11に追従して摺動する必要がある。特に、シャフト1の回転速度が高い場合には、容積室9が拡大する領域におけるピストン2の引き抜き抵抗や、シュー10に作用する遠心力や、斜板11とシュー10との摺動摩擦力などによって、シュー10が斜板11から浮き上がる可能性がある。シュー10が斜板11から浮き上がると、容積室9の拡縮が不十分となり、吐出流量が低下してしまう。
【0031】
シャフト1の回転速度にかかわらずシュー10の浮き上がりを防止するためには、高い押し付け力が要求される高速回転時に合わせてリテーナホルダ13の押し付け力を設定する必要がある。しかし、この場合、低速回転時には押し付け力が過大となってポンプ効率が低下する可能性がある。
【0032】
そこで、本実施形態では、リテーナホルダ13の押し付け力を生じさせるスプリング14の付勢力を、シャフト1の低回転時に要求される程度の低い押し付け力とした。さらに、リテーナホルダ13の背部13cが挿入されるシャフト1の外周面とシリンダブロック5の内周面との隙間に、リテーナホルダ13を押し付ける力を発生させる圧力室16を設けた。
【0033】
圧力室16は、シャフト1の外周面と、シリンダブロック5の内周面と、リテーナホルダの背部13cの背面13dと、によって画成される。圧力室16は円環状の空間であり、リテーナホルダの背面13dとは反対側に、圧力の漏出を防止するシールリング17が嵌装される。
【0034】
圧力室16への作動流体圧の供給経路について説明する。
【0035】
シャフト1には、シャフト1の先端1aに流入口18aを有するようにシャフト1の軸方向に穿設される軸方向流路18と、軸方向流路18の最深部からシャフト1の径方向に穿設されて圧力室16に開口する径方向流路19と、が形成される。
【0036】
流入口18aは、バルブプレート15の吸込孔15aから径方向に延びるとともにリアケース4の軸受7において軸方向に延びるL字型の連通溝20に連通する。シャフト1の先端1aとリアケース4の収容凹部4aとの間には軸方向に隙間21が形成されるので、連通溝20と当該隙間21とを介して吸込孔15aの作動流体が流入口18aに導かれる。
【0037】
シャフト1が回転すると、遠心力によって径方向流路19内の作動流体が径方向外側に押し寄せられる。これにより、吸込孔15aの作動流体が連通溝20、流入口18a、軸方向流路18、径方向流路19を介して圧力室16へと導かれる。
【0038】
したがって、圧力室16の作動流体圧はシャフト1の回転速度に応じて変化し、シャフト1の回転速度が高いほど作動流体圧が高くなる。圧力室16の内圧が上昇するとリテーナホルダ13の背面13dが軸方向に押圧され、リテーナプレート12が斜板11側に押し付けられる。
【0039】
以上より、リテーナホルダ13は、シャフト1の回転速度が低い場合には主にスプリング14の付勢力によってリテーナプレート12を押圧し、シャフト1の回転速度が高い場合にはスプリング14の付勢力に加えて圧力室16の作動流体圧の作用によってリテーナプレート12を押圧する。
【0040】
斜板11に対するシュー10の押し付け力は、スプリング14の付勢力によって予め規定される値から、シャフト1の回転速度に応じて徐々に増大していくので、低速回転時には低い押し付け力によってポンプ効率の低下が抑制され、高速回転時には高い押し付け力によってシュー10の浮き上がりが防止される。
【0041】
以上の実施形態によれば、以下に示す効果を奏する。
【0042】
シャフト1の回転による遠心力によって導かれる圧力室16の作動流体圧によって、リテーナホルダ13がリテーナプレート12を押し付けるので、シャフト1の回転速度に応じて圧力室16の圧力を変化させて押し付け力を変化させることができる。よって、高速回転時に押し付け力を増大させてシュー10の斜板11からの浮き上がりを防止することができるとともに、低速回転時に押し付け力を低下させてシュー10と斜板11との摺動摩擦力によるポンプ効率の低下を抑制することができる。
【0043】
さらに、圧力室16に作動流体を導く軸方向流路18の流入口18aが連通溝20を介して吸込孔15aに連通されるので、容積室9へ導かれる作動流体の一部が圧力室16へ導かれる。よって、比較的低圧の作動流体圧が圧力室16に導かれるので、リテーナホルダ13の押し付け力が強くなり過ぎてポンプ効率が低下することを抑制することができる。
【0044】
さらに、圧力室16に加えてスプリング14によってリテーナホルダ13の押し付け力を発生させているので、シャフト1の回転速度が低く圧力室16の内圧が十分でない場合であってもスプリング14の付勢力によってリテーナホルダ13の押し付け力を確保することができる。
【0045】
さらに、スプリング14は低速回転時に必要な押し付け力に相当する付勢力を発揮できればよいので、スプリング14を小型化することができる。よって、スプリング14の収納スペースを小さくできる分だけシリンダブロック5をより小型化及び小径化することができ、ピストンポンプ100を軽量化することができる。
【0046】
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の適用例の一つを示したに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。
【0047】
例えば、上記実施形態では、流入口18aを容積室9に作動流体を導く吸込孔15aに連通させたが、容積室9から吐出される作動流体を導く吐出孔15bに連通させてもよい。
【0048】
さらに、上記実施形態では、連通溝20をバルブプレート15に形成したが、リアケース4に形成してもよい。この場合、リアケース4のバルブプレート15に接する面に溝を形成してもよいし、吸込ポート4bと流入口18aとを接続するポートを穿設してもよい。
【0049】
さらに、上記実施形態のスプリング14は、リテーナホルダ13の押し付け力を発揮できるその他の付勢部材に置き換えることが可能である。
【0050】
さらに、上記実施形態では、斜板11をケース3に固定したが、摺接面の傾斜角度を調整可能なようにケース3内に回動可能に配設してもよい。これにより、斜板11の傾斜角度に応じてピストンポンプ100の吐出容量を変化させることができる。
【0051】
さらに、上記実施形態では、圧力室16の作動流体を排出する通路を設けていないが、リテーナホルダ13の例えば外周面に絞り流路を形成し、圧力室16内の作動流体が絞り流路を通って排出される構造としてもよい。この場合、絞り流路をリテーナプレート12の振動、すなわちリテーナホルダ13の軸方向の振動を抑制するダンピングオリフィスとして機能させることができる。
【0052】
さらに、図1では、径方向流路19が上下に2本だけ図示されているが、軸方向流路18と圧力室16とを連通する構造であれば、径方向流路19は1本であってもよいし、放射状に3本以上形成されていてもよい。
【0053】
さらに、上記実施形態では、斜板式ピストンポンプモータ100をポンプとして機能させる場合について例示したが、回転駆動力を出力可能なモータとして機能させてもよい。この場合、容積室9が拡大する領域におけるピストン2の引き抜き抵抗は問題とならないが、シュー10に作用する遠心力や、斜板11とシュー10との摺動摩擦力によって、シュー10が斜板11から浮き上がる可能性がある。したがって、モータとして機能させる場合にも、高速回転時に押し付け力を増大させてシュー10の斜板11からの浮き上がりを防止することができるとともに、低速回転時に押し付け力を低下させてシュー10と斜板11との摺動摩擦力によるポンプ効率の低下を抑制することができる。
【符号の説明】
【0054】
1 シャフト
2 ピストン
5 シリンダブロック
8 シリンダ
9 容積室
10 シュー
11 斜板
12 リテーナプレート(リテーナ)
13 リテーナホルダ(押圧部材)
13b 拡径部
13d 背面
14 スプリング(付勢部材)
15a 吸込孔(給排通路)
16 圧力室
18 軸方向流路
18a 流入口
19 径方向流路
図1