特許第6118650号(P6118650)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6118650
(24)【登録日】2017年3月31日
(45)【発行日】2017年4月19日
(54)【発明の名称】締付トルク測定装置
(51)【国際特許分類】
   B25B 23/14 20060101AFI20170410BHJP
   G01L 5/24 20060101ALI20170410BHJP
【FI】
   B25B23/14 640W
   G01L5/24
【請求項の数】3
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2013-120750(P2013-120750)
(22)【出願日】2013年6月7日
(65)【公開番号】特開2014-237189(P2014-237189A)
(43)【公開日】2014年12月18日
【審査請求日】2016年5月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】390005924
【氏名又は名称】株式会社ユタニ
(74)【代理人】
【識別番号】100084146
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 宏
(74)【代理人】
【識別番号】100081422
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 光雄
(74)【代理人】
【識別番号】100183232
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 敏行
(72)【発明者】
【氏名】油谷 敏美
【審査官】 亀田 貴志
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭47−040299(JP,A)
【文献】 特表2007−514559(JP,A)
【文献】 特開2004−239681(JP,A)
【文献】 特開昭61−122540(JP,A)
【文献】 特開平09−317736(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25B 23/00 − 23/14
G01L 5/24
B23P 19/06
DWPI(Thomson Innovation)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被捩り部材と、
上記被捩り部材に締結するネジ部を有する軸部と、頭部と、この頭部と軸部との間にある円柱部を有する測定用ボルトと、
上記軸部の外周と、上記円柱部の端面と、上記被捩り部材の壁面とによって形成されて、油が収容される油室と、
上記被捩り部材の壁面と上記円柱部の端面との間に設けられて、締付力に抗するバネ部材と
を備えることを特徴とする締付トルク測定装置
【請求項2】
被捩り部材と、
上記被捩り部材に締結するネジ部を有する軸部と、頭部と、この頭部と軸部との間にある円柱部を有すると測定用ボルトと、
上記被捩り部材に摺動自在に嵌合するバネ座部材と、
上記被捩り部材と上記バネ座部材との間に設けられて締付力に抗するバネ部材と、
上記軸部の外周と、上記円柱部の端面と、上記バネ座部材の壁面とによって形成されて、油が収容される油室と
を備えることを特徴とする締付トルク測定装置
【請求項3】
請求項1または2に記載の締付トルク測定装置において、
上記被捩り部材は、厚肉部と、その厚肉部よりも薄肉の薄肉部とを有し、
その薄肉部に歪みセンサを取り付けていることを特徴とする締付トルク測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、インパクトレンチ、ナットランナ等の締付工具の締付トルクを測定する締付トルク測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の締付トルク測定装置としては、特開2004−239681号公報(特許文献1)に記載のものがある。
【0003】
上記従来の締付トルク測定装置では、測定用ボルトを締付工具で締め付けると共に、この測定用ボルトの頭部の座面で皿バネを圧縮して、この皿バネの圧縮力に応じた測定用ボルトのトルクと、締付工具の締付トルクとが釣り合った時点で、測定用ボルトに固定された指針で測定用ボルトの回転角を読み取って、締付トルクを測定するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−239681号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来の締付トルク測定装置では、測定用ボルトの頭部の座面が外部に露出しているため、その座面の状態によって変化する座面の摩擦係数の変動の影響を受けて、正確に締付トルクを測定できないという問題がある。より詳しくは、上記従来の締付トルク測定装置では、測定用ボルトの頭部の座面が、錆、湿り、ゴミや油分による汚れ等のため、摩擦係数が変動するため、締付トルクを正確に測定できないという問題がある。
【0006】
そこで、この発明の課題は、測定用ボルトの座面の状態を常に略一定にして、その摩擦係数の変動がないようにして、正確に締付トルクを測定できる締付トルク測定装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、この発明の1つのアスペクトによる締付トルク測定装置は、
被捩り部材と、
上記被捩り部材に締結するネジ部を有する軸部と、頭部と、この頭部と軸部との間にある円柱部を有する測定用ボルトと、
上記軸部の外周と、上記円柱部の端面と、上記被捩り部材の壁面とによって形成されて、油が収容される油室と、
上記被捩り部材の壁面と上記円柱部の端面との間に設けられて、締付力に抗するバネ部材と
を備えることを特徴としている。
【0008】
上記構成によれば、上記測定用ボルトを締付工具で締め付けると、上記円柱部の端面は、バネ部材から力を受けて、上記円柱部の端面は測定用ボルトの座面として機能して、この端面の摩擦力等が締付工具の締付力と釣り合う。
【0009】
一方、上記円柱部の端面は、油室内に面し、油室内の油に接触している。したがって、この円柱部の端面は、錆、ゴミ、湿り等の影響を受けることなく、略一定の摩擦係数を有する。さらに、測定用ボルトの軸部のネジ部および被捩り部材のネジ穴も、油室からの油で潤滑されるから、測定用ボルトの軸部のネジ部および被捩り部材のネジ穴の摩擦係数も殆ど変動することがない。
【0010】
このように、上記測定用ボルトの座面として機能する円柱部の端面、測定用ボルトの軸部のネジ部および被捩り部材のネジ穴の摩擦係数が変動しないから、この締付トルク測定装置は、正確に締付工具の締付トルクを測定することができる。
【0011】
なお、上記被捩り部材と上記円柱部との間をシールするシール部材を設けるのが望ましい。
【0012】
また、この発明の別のアスペクトによる締付トルク測定装置は、
被捩り部材と、
上記被捩り部材に締結するネジ部を有する軸部と、頭部と、この頭部と軸部との間にある円柱部を有する測定用ボルトと、
上記被捩り部材に摺動自在に嵌合するバネ座部材と、
上記被捩り部材と上記バネ座部材との間に設けられて締付力に抗するバネ部材と、
上記軸部の外周と、上記円柱部の端面と、上記バネ座部材の壁面とによって形成されて、油が収容される油室と
を備えることを特徴としている。
【0013】
上記構成によれば、上記測定用ボルトを締付工具で締め付けると、上記円柱部の端面は、バネ部材から、バネ座部材を介して、力を受けて、上記円柱部の端面は測定用ボルトの座面として機能して、この端面の摩擦力等が締付工具の締付力と釣り合う。
【0014】
一方、上記円柱部の端面は、油室内に面していて、油室内の油に接触している。したがって、この円柱部の端面は、錆、ゴミ、湿り等の影響を受けることなく、略一定の摩擦係数を有する。さらに、測定用ボルトの軸部のネジ部および被捩り部材のネジ穴も、油室からの油で潤滑されるから、測定用ボルトの軸部のネジ部および被捩り部材のネジ穴の摩擦係数も殆ど変動することがない。
【0015】
このように、上記測定用ボルトの座面として機能する円柱部の端面、測定用ボルトの軸部のネジ部および被捩り部材のネジ穴の摩擦係数が変動しないから、この締付トルク測定装置は、正確に締付工具の締付トルクを測定することができる。
【0016】
また、上記被捩り部材と、その被捩り部材に摺動自在に嵌合するバネ座部材との間にバネ部材を設けていて、油室内にバネ部材を設けていないから、大きな寸法のバネ部材を使用して、適切なバネ力を付与できるという利点を有する。
【0017】
なお、上記油室内にバネ部材を設けてもよい。
【0018】
なお、上記バネ座部材の壁面と上記円柱部の端面との間にワッシャを設けるのが望ましく、そうすると、油室の容積を確保し易く、また、円柱部の端面に油がゆきわたり易くなる。
【0019】
なお、上記バネ座部材と上記円柱部との間をシールするシール部材を備えるのが望ましい。
【0020】
1実施形態では、
上記被捩り部材は、厚肉部と、その厚肉部よりも薄肉の薄肉部とを有し、
その薄肉部に歪みセンサを取り付けている。
【0021】
上記実施形態によれば、上記被捩り部材は、厚肉部よりも薄肉の薄肉部に、歪みセンサを取り付けているから、薄肉部を大きく歪ませて、歪みセンサで正確にトルクを検出することができる。
【発明の効果】
【0022】
この発明によれば、測定用ボルトの座面の状態を常に略一定にして、その摩擦係数の変動がないようにして、正確に締付トルクを測定できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】この発明の第1実施形態の締付トルク測定装置の断面図である。
図2】この発明の第2実施形態の締付トルク測定装置の断面図である。
【0024】
以下、この発明を図示の実施形態により詳細に説明する。
【0025】
(第1実施形態)
図1に示すように、この締付トルク測定装置は、被捩り部材10と測定用ボルト20とを有する。上記被捩り部材10は、第1の部分11と第2の部分12とをインローで嵌合して連結フランジ111,121を連結用ボルト13によって一体に固定してなる。上記第1の部分11には、取付フランジ112を設けて、図示しない台に取付用ボルト14で取り付けるようにしている。また、上記第1の部分11は、厚肉部115と、その厚肉部115よりも薄肉の薄肉部116とを有し、その薄肉部116に歪みセンサ60を取り付けている。また、上記第2の部分12には、ネジ穴122とそれに連なる穴123を設けている。
【0026】
一方、上記測定用ボルト20は、ネジ部201を有する軸部202と、頭部の一例としての6角頭部203と、この6角頭部203と軸部202との間にある円柱部205とを有し、この円柱部205の直径は軸部202の直径よりも大きくて、円柱部205の外径は6角頭部203の外接円よりも大きな直径を有する。尤も、円柱部205の外径は6角頭部203の外接円の直径以下であってもよい。上記測定用ボルト20のネジ部201は、被捩り部材10の第2の部分12のネジ穴122に螺合している。
【0027】
上記測定用ボルト20の円柱部205は、被捩り部材10の第2の部分12の穴123に回動自在に嵌合して、この円柱部205の端面206と、上記軸部202の外周と、上記穴の壁面207とによって、油室30を形成している。この油室30内には、ある程度の空間を空けて油を充填している。この油室30には、バネ部材の一例としての皿バネ40と、ワッシャ41を設けて、皿バネ40とワッシャ41を、測定用ボルト20の円柱部205の端面206と、被捩り部材10の壁面207つまり穴123の壁面207とによって圧縮するようにしている。こうすることによって、上記円柱部205の端面206、被捩り部材10の壁面207、皿バネ40およびワッシャ41が油室30内の油で潤滑されて、それらの摩擦係数が変動しないようにしている。
【0028】
上記油室30は、円柱部205の外周に設けたシール部材の一例としてのOリング51と、ネジ穴122に取り付けた栓53(例えば、PSネジ栓)によって、密封している。
【0029】
上記構成の締付トルク測定装置は次のように動作する。
【0030】
いま、上記締付トルク測定装置の被捩り部材10の取付フランジ112を取付用ボルト14で図示しない台に固定しているとする。
【0031】
まず、図示しない締結工具(例えば、インパクトレンチ、ナットランナ等)の駆動軸の先端の連結金具を、測定用ボルト20の6角頭部203に嵌合し、その締結工具を駆動する。
【0032】
そうすると、上記測定用ボルト20は、被捩り部材10のネジ穴122にねじ込まれて、皿バネ40およびワッシャ41を圧縮しつつ、被捩り部材10に締め付けられて、被捩り部材10に対して相対的に回転しなくなる。そして、さらに、測定用ボルト20が回転させられると、被捩り部材10の薄肉部116が捩られて、その捩り変位が歪みセンサ60で検出されて、締付トルクが検出される。この締付トルクは、測定用ボルト20の着座後の駆動軸の回転角、例えば、狭角(例えば、30度)、広角(例えば、300度)等と関連つけて測定される。上記回転角は、図示しない回転角度センサで検出される。なお、着座は締付トルクの急激な増大により検出される。
【0033】
この測定用ボルト20と被捩り部材10との締結による締付トルクの測定時において、上記円柱部205の端面206、被捩り部材10の壁面207、皿バネ40およびワッシャ41が油室30内の油によって潤滑されるから、円柱部205の端面206、被捩り部材10の壁面207、皿バネ40およびワッシャ41の夫々の摩擦係数は殆ど変動することがなく、さらに、測定用ボルト20の軸部202のネジ部201および被捩り部材10のネジ穴122も、油室30からの油で潤滑されるから、測定用ボルト20の軸部202のネジ部201および被捩り部材10のネジ穴122の摩擦係数も殆ど変動することがない。
【0034】
したがって、この締付トルク測定装置によれば、周囲環境の変化等があっても、締付トルクの測定値の変動がなくて、正確に締付トルクを測定することができる。
【0035】
また、この締付トルク測定装置によれば、被捩り部材10の薄肉部116に歪みセンサ60を設けて、薄肉部116の比較的大きな変位を歪みセンサ60で検出するので、正確に締付トルクを検出することができる。
【0036】
上記第1実施形態では、被捩り部材10と測定用ボルト20の円柱部205との間をシール部材の一例としてのOリング51でシールしているので、油室30から油が漏れないと言う利点を有する。
【0037】
尤も、油室30に充填する油として、グリース等の粘性の高い油を使用する場合は、シール部材を除去してもよく、あるいは、ラビリンスシール等を用いてもよい。
【0038】
上記第1実施形態では、被捩り部材10を第1の部分11と第2の部分12とから構成したが、被捩り部材10を継ぎ目の無い一体物(ワンピース)で構成して、盲ネジ穴を設けて、栓を除去するようにしてもよい。また、ワッシャは除去してもよい。
【0039】
(第2実施形態)
図2は、第2実施形態の締付トルク測定装置の断面図である。図2において、図1に示す第1実施形態の締付トルク測定装置の構成部と同一の構成部については、図1の構成部と同一参照番号を付して、それらの構成および作用の説明を省略し、異なる構成部のみについて、以下に説明する。
【0040】
図2に示すように、この締付トルク測定装置は、第1実施形態の測定用ボルト20と全く同じ構造の測定用ボルト20と、被捩り部材110と、バネ座部材50を有する。
【0041】
上記被捩り部材110は、第1の部分11と第2の部分32とをインローで嵌合して連結フランジ111,321を連結用ボルト13によって一体に固定してなる。上記第2の部分32には、貫通するネジ穴322を設け、ネジ穴322の一方の端を栓53で蓋をしている。
【0042】
上記バネ座部材50は、被捩り部材110の第2の部分32の外周の円筒面に、回動自在かつ軸方向に進退自在に嵌合している。上記被捩り部材110の第2の部分32の外周と、バネ座部材50との間は、シール部材の一例としてのOリング53でシールしている。上記バネ座部材50の外周部の一方の端部には、第1バネ座として機能するフランジ55を設けている。上記バネ座部材50の外周部の他方の端部と被捩り部材110の第2部分32との間には、第2バネ座として機能するリング52を設けている。上記第1バネ座として機能するフランジ55と、第2バネ座として機能するリング52との間に、バネ部材の一例としての皿バネ70を複数設けている。
【0043】
一方、上記バネ座部材50の中心には、測定用ボルト20の円柱部205が摺動自在に嵌合する大径の穴323と、測定用ボルト20の軸部202が貫通する小径の穴325を設けている。上記測定用ボルト20の円柱部205の外周とバネ座部材50の大径の穴323との間は、シール部材の一例としてのOリング51でシールしている。上記測定用ボルト20のネジ部201は、被捩り部材110の第2の部分32のネジ穴322に螺合している。
【0044】
上記測定用ボルト20の円柱部205の端面206と、軸部202の外周と、バネ座部材50の穴323の壁面とによって、油室80を形成している。この油室80内には、ある程度の空間を空けて油を充填している。この油室80には、ワッシャ44,45を設けている。
【0045】
こうすることによって、上記円柱部205の端面206、バネ座部材50の穴323の壁面およびワッシャ44,45が油室80内の油で潤滑されて、それらの摩擦係数が変動しないようにしている。
【0046】
上記構成の締付トルク測定装置は次のように動作する。
【0047】
まず、図示しない締結工具の駆動軸の先端の連結金具を、測定用ボルト20の6角頭部203に嵌合し、その締結工具を駆動する。
【0048】
そうすると、上記測定用ボルト20は、被捩り部材110のネジ穴322にねじ込まれて、皿バネ70およびワッシャ44,45を圧縮しつつ、被捩り部材110に締め付けられて、被捩り部材110に対して相対的に回転しなくなる。そして、さらに、測定用ボルト20が回転させられると、被捩り部材110の薄肉部116が捩られて、その捩り変位が歪みセンサ60で検出されて、締付トルクが検出される。この締付トルクは、測定用ボルト20の着座後の駆動軸の回転角と関連つけて測定される。上記回転角は、図示しない回転角度センサで検出される。なお、着座は締付トルクの急激な増大により検出される。
【0049】
この測定用ボルト20と被捩り部材110との締結による締付トルクの測定時において、上記円柱部205の端面206、バネ座部材50の穴323の壁面、ワッシャ44,45が油室80内の油によって潤滑されるから、円柱部205の端面206、バネ座部材50の穴323の壁面、ワッシャ44,45の夫々の摩擦係数は殆ど変動することがなく、さらに、測定用ボルト20の軸部202のネジ部201および被捩り部材110のネジ穴322も、油室80からの油で潤滑されるから、測定用ボルト20の軸部202のネジ部201および被捩り部材110のネジ穴322の摩擦係数も殆ど変動することがない。
【0050】
したがって、この締付トルク測定装置によれば、周囲環境の変化等があっても、締付トルクの測定値の変動がなくて、正確に締付トルクを測定することができる。
【0051】
また、この第2実施形態の締付トルク測定装置では、被捩り部材110と、その被捩り部材110に摺動自在に嵌合するバネ座部材50との間に皿バネ70を設けていて、油室80にバネ部材を設けていないから、大きな寸法のバネ部材を使用して、適切なバネ力を付与できるという利点を有する。
【0052】
尤も、油室内にもバネ部材を設けることも可能である。
【0053】
また、この第2実施形態の締付トルク測定装置によれば、被捩り部材110の薄肉部116に歪みセンサ60を設けて、薄肉部116の比較的大きな変位を歪みセンサ60で検出するので、正確に締付トルクを検出することができる。
【0054】
この第2実施形態では、バネ座部材50と測定用ボルト20の円柱部205との間をシール部材51でシールし、バネ座部材50と被捩り部材10の第2の部分32との間をシール部材53でシールしているので、油室80から油が漏れないと言う利点を有する。
【0055】
尤も、油室80に充填する油として、グリース等の粘性の高い油を使用する場合は、これらのシール部材を除去してもよく、あるいは、ラビリンスシール等を用いてもよい。
【0056】
上記第2実施形態では、被捩り部材110を第1の部分11と第2の部分32とから構成したが、被捩り部材110は継ぎ目の無い一体物(ワンピース)で構成して、底付きネジ穴を設けて、栓を除去するようにしてもよい。
【0057】
上記第2実施形態では、第2バネ座として機能するリング52を被捩り部材110と別体に設けたが、この第2バネ座を、被捩り部材110に一体に設けてもよい。
【0058】
また、上記第2実施形態では、バネ部材としての皿バネ70をバネ座部材50の外周に設けたが、皿バネ70をバネ座部材50の内周側に設けてもよい。
【0059】
上記第1および第2実施形態では、被捩り部材10,110に歪めセンサ60を設けたが、この歪みセンサ60を除去して、特許文献1のように、被捩り部材に指針を設けて、この指針から回転角を読んで、締付トルクを測定するようにしてもよい。
【0060】
また、上記第1および第2実施形態では、測定用ボルト20の頭部は、6角頭部203としていたが、4角頭部であってもよい。また、6角穴等を有する頭部であってもよい。この場合、6角穴等を有する円柱などの部分が頭部となる。
【符号の説明】
【0061】
10,110 被捩り部材
20 測定用ボルト
30,80 油室
40,70 バネ部材
50 バネ座部材
60 歪みセンサ
122,322 ネジ穴
201 ネジ部
202 軸部
203 頭部
205 円柱部
206 端面
207 壁面
図1
図2