(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の食器洗い機用液体洗浄剤は、(a)成分:一般式(a−1)で表される化合物と、(b)成分:陰イオン界面活性剤と、(c)成分:酸性多糖類と、を含有する。
【0013】
<(a)成分:一般式(a−1)で表される化合物>
(a)成分は、下記一般式(a−1)で表される化合物(アルキルアミドアミン)である。
【0014】
【化2】
[式中、R
1は、炭素数13〜21の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基又はアルケニル基を表す。R
2は、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基又は炭素数1〜4のヒドロキシアルキル基を表す。R
3は、炭素数1〜4のアルキレン基を表す。R
4及びR
5は、それぞれ水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表し、互いに同一でも異なっていてもよい。]
【0015】
前記式(a−1)中、R
1は、炭素数13〜21の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基、又は、炭素数13〜21の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルケニル基を表す。なかでも、R
1は、炭素数13〜21の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基が好ましい。
R
1におけるアルキル基及びアルケニル基の炭素数は、それぞれ13〜21であり、好ましくは炭素数が15〜21であり、より好ましくは炭素数が15〜19である。R
1の炭素数が下限値以上であると、泡立ちを抑える抑泡効果がより高まる。一方、R
1の炭素数が上限値以下であると、液体洗浄剤中で分離を生じにくくなり、液の均一性を維持しやすい。加えて、油汚れに対する洗浄力が高まる。
前記式(a−1)中、R
2は、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、又は、炭素数1〜4のヒドロキシアルキル基を表す。R
2におけるヒドロキシアルキル基中のヒドロキシ基の数は、1つでも2つ以上でもよい。なかでも、R
2としては、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基が好ましく、水素原子、メチル基がより好ましく、水素原子が特に好ましい。
R
3におけるアルキレン基の炭素数は、1〜4であり、好ましくは炭素数が1〜3であり、より好ましくは炭素数が2又は3であり、特に好ましくは炭素数が3である。
R
4及びR
5におけるアルキル基の炭素数は、それぞれ1〜4であり、好ましくは炭素数が1〜3であり、より好ましくは炭素数が1又は2であり、特に好ましくは炭素数が1である。なかでも、R
4及びR
5は、それぞれ炭素数1〜4のアルキル基が好ましく、互いに同一であることが好ましい。
【0016】
(a)成分の具体例としては、例えば、ミリスチン酸ジメチルアミノエチルアミド、ミリスチン酸ジエチルアミノエチルアミド、ミリスチン酸ジプロピルアミノエチルアミド、ミリスチン酸ジメチルアミノプロピルアミド、ミリスチン酸ジエチルアミノプロピルアミド、ミリスチン酸ジプロピルアミノプロピルアミド、パルミチン酸ジメチルアミノエチルアミド、パルミチン酸ジエチルアミノエチルアミド、パルミチン酸ジプロピルアミノエチルアミド、パルミチン酸ジメチルアミノプロピルアミド、パルミチン酸ジエチルアミノプロピルアミド、パルミチン酸ジプロピルアミノプロピルアミド、ステアリン酸ジメチルアミノエチルアミド、ステアリン酸ジエチルアミノエチルアミド、ステアリン酸ジプロピルアミノエチルアミド、ステアリン酸ジメチルアミノプロピルアミド、ステアリン酸ジエチルアミノプロピルアミド、ステアリン酸ジプロピルアミノプロピルアミド、アラキジン酸ジメチルアミノエチルアミド、アラキジン酸ジエチルアミノエチルアミド、アラキジン酸ジプロピルアミノエチルアミド、アラキジン酸ジメチルアミノプロピルアミド、アラキジン酸ジエチルアミノプロピルアミド、アラキジン酸ジプロピルアミノプロピルアミド、ベヘン酸ジメチルアミノエチルアミド、ベヘン酸ジエチルアミノエチルアミド、ベヘン酸ジプロピルアミノエチルアミド、ベヘン酸ジメチルアミノプロピルアミド、ベヘン酸ジエチルアミノプロピルアミド、ベヘン酸ジプロピルアミノプロピルアミド、ミリスチン酸ジメチルアミノエチルメチルアミド、パルミチン酸ジメチルアミノエチルメチルアミド、ステアリン酸ジメチルアミノエチルメチルアミド、アラキジン酸ジメチルアミノエチルメチルアミド、ベヘン酸ジメチルアミノエチルメチルアミド、ミリスチン酸ジメチルアミノプロピルメチルアミド、パルミチン酸ジメチルアミノプロピルメチルアミド、ステアリン酸ジメチルアミノプロピルメチルアミド、アラキジン酸ジメチルアミノプロピルメチルアミド、ベヘン酸ジメチルアミノプロピルメチルアミド等が挙げられる。
これらの中でも、抑泡効果がより得られやすいことから、ミリスチン酸ジメチルアミノプロピルアミド、パルミチン酸ジメチルアミノプロピルアミド、ステアリン酸ジメチルアミノプロピルアミド、ベヘン酸ジメチルアミノプロピルアミドがより好ましく、パルミチン酸ジメチルアミノプロピルアミド、ステアリン酸ジメチルアミノプロピルアミド、ベヘン酸ジメチルアミノプロピルアミドがさらに好ましく、パルミチン酸ジメチルアミノプロピルアミド、ステアリン酸ジメチルアミノプロピルアミドが特に好ましい。
【0017】
(a)成分は、1種単独で用いてもよく、2種以上を適宜組み合わせて用いてもよい。
食器洗い機用液体洗浄剤中、(a)成分の含有量は、該液体洗浄剤の全質量に対して0.01〜10質量%が好ましく、0.1〜5質量%がより好ましく、0.2〜4質量%がさらに好ましく、0.3〜3質量%が特に好ましい。
(a)成分の含有量が好ましい下限値以上であると、抑泡効果が高まる。一方、(a)成分の含有量が好ましい上限値以下であれば、油汚れに対する洗浄力が維持されやすい。
【0018】
<(b)成分:陰イオン界面活性剤>
(b)成分は陰イオン界面活性剤である。
(b)成分としては、例えば、スルホン酸塩タイプ、硫酸エステル塩タイプ、カルボン酸塩タイプ、リン酸エステル塩タイプが挙げられる。
スルホン酸塩タイプとしては、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキル硫酸塩、ポリオキシアルキレン硫酸塩、アルカンスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、α−スルホ脂肪酸塩、α−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩、アルキルスルホコハク酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩等が挙げられる。
硫酸エステル塩タイプとしては、アルキル硫酸エステル塩、アルケニル硫酸エステル塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシアルキレンアルケニルエーテル硫酸エステル塩等が挙げられる。
カルボン酸塩タイプとしては、アルキルエーテルカルボン酸塩、アミドエーテルカルボン酸塩、スルホコハク酸塩、アミノ酸系陰イオン界面活性剤等が挙げられる。
リン酸エステル塩タイプとしては、アルキルリン酸エステル塩、アルキルエーテルリン酸エステル塩等が挙げられる。
また、(b)成分は、炭素数8〜18のアルキル基を有するもの、又は、炭素数8〜18のアルケニル基を有するものが好ましく、なかでも炭素数8〜18のアルキル基を有するものがより好ましい。該アルキル基又は該アルケニル基は、直鎖状であっても分岐鎖状であってもよい。
(b)成分を構成する塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩;マグネシウム塩、カルシウム塩等のアルカリ土類金属塩;モノエタノールアミン塩(モノエタノールアンモニウム)、ジエタノールアミン塩(ジエタノールアンモニウム)、トリエタノールアミン塩(トリエタノールアンモニウム)等のアルカノールアミン塩;アンモニウム塩などが挙げられる。
【0019】
(b)成分は、1種単独で用いてもよく、2種以上を適宜組み合わせて用いてもよい。
上記のなかでも、(b)成分としては、油汚れに対する洗浄力が良好であり、低泡性を確保しやすいことから、スルホン酸塩タイプ、硫酸エステル塩タイプが好ましく、スルホン酸塩タイプが特に好ましい。
その中でも、特に油汚れに対する洗浄力が高まることから、アルカンスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキル硫酸塩、ポリオキシアルキレン硫酸塩及びジアルキルスルホコハク酸塩からなる群より選ばれる1以上が好ましく、アルカンスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩がより好ましく、アルカンスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩がさらに好ましく、アルカンスルホン酸塩、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩が特に好ましく、アルカンスルホン酸塩が最も好ましい。
【0020】
食器洗い機用液体洗浄剤中、(b)成分の含有量は、該液体洗浄剤の全質量に対して0.01〜10質量%が好ましく、0.2〜5質量%がより好ましく、0.3〜4質量%がさらに好ましく、0.4〜3質量%が特に好ましい。
(b)成分の含有量が好ましい下限値以上であると、油汚れに対する洗浄力が高まる。一方、(b)成分の含有量が好ましい上限値以下であれば、(a)成分による抑泡効果が得られやすくなる。
【0021】
本発明において「(a)成分/(b)成分で表される質量比」とは、食器洗い機用液体洗浄剤中の(b)成分の含有質量に対する、(a)成分の含有質量の割合を表す。
本発明の食器洗い機用液体洗浄剤において、(a)成分と(b)成分との混合比率は、(a)成分/(b)成分で表される質量比(以下「a/b比」ともいう。)が、0.5〜1.5であることが好ましく、より好ましくは0.6〜1.4であり、特に好ましくは0.7〜1.2である。
a/b比が好ましい範囲内にあると、経時に伴う分離等を抑制する効果が得られやすくなり、保存安定性に優れる。さらにa/b比が好ましい下限値以上であると、(a)成分による抑泡効果が発揮されやすくなる。一方、a/b比が好ましい上限値以下であると、油汚れに対する洗浄力が高まる。
【0022】
<(c)成分:酸性多糖類>
(c)成分は酸性多糖類である。
本発明の食器洗い機用液体洗浄剤は、(c)成分を含有することで、(a)成分の経時に伴う分離を抑制する効果等が得られ、液の均一性が維持されやすくなり、保存安定性に優れる。
「酸性多糖類」とは、2以上の単糖から構成され、かつ、水に溶解したときに無機カチオンと塩を形成し得る、酸性の官能基を有する糖類をいう。好ましくは、水に溶解する水溶性高分子であって、特に酸性側のpH領域で粘性を示したりゲル化したりする性質を有する増粘多糖類である。
(c)成分の構成単位となる単糖は、特に限定されず、例えば、グルコース、ガラクトース(D形、L形)、キシロース、マンノース、ラムノース、フコース、アラビノースなどの中性糖;グルロン酸、イズロン酸、マンヌロン酸、グルクロン酸、ガラクツロン酸などのウロン酸;グルコサミン、ガラクトサミンなどのアミノ糖等が挙げられる。
酸性の官能基としては、特に限定されず、例えば、−COOH(カルボキシ基)、−SO
3H(スルホ基)、−OSO
3H、−CH
2OSO
3H等が挙げられる。
(c)成分としては、例えば、キサンタンガム、ジェランガム、カラギーナン、ペクチン、大豆多糖類、アルギン酸、アラビアガム、カラヤガム、トラガントガム、ヒアルロン酸、アガロペクチン、ポルフィラン、フコイダン(硫酸化フカン)、アスコフィラン等が挙げられる。
【0023】
(c)成分は、1種単独で用いてもよく、2種以上を適宜組み合わせて用いてもよい。
上記のなかでも、(c)成分としては、経時に伴う分離を抑制する効果が高いことから、キサンタンガム、ジェランガム及びカラギーナンからなる群より選ばれる1以上を用いることが好ましく、キサンタンガム及びジェランガムからなる群より選ばれる1以上を用いることがより好ましい。
食器洗い機用液体洗浄剤中、(c)成分の含有量は、該液体洗浄剤の全質量に対して0.05〜1.2質量%が好ましく、0.1〜0.8質量%がより好ましく、0.2〜0.5質量%がさらに好ましい。
(c)成分の含有量が好ましい下限値以上であると、(a)成分の経時に伴う分離を抑制する効果が高まる。一方、(c)成分の含有量が好ましい上限値以下であれば、(c)成分自体の溶解性がより良好となる。また、粘度の増加が抑制される。
【0024】
本発明において「(a)成分/(c)成分で表される質量比」とは、食器洗い機用液体洗浄剤中の(c)成分の含有質量に対する、(a)成分の含有質量の割合を表す。
本発明の食器洗い機用液体洗浄剤において、(a)成分と(c)成分との混合比率は、(a)成分/(c)成分で表される質量比(以下「a/c比」ともいう。)が、0.4〜10であり、好ましくは1〜5であり、より好ましくは1〜4である。
a/c比が前記の好適な範囲にあると、経時に伴う分離等を抑制する効果が得られやすくなり、保存安定性に優れる。加えて、a/c比が下限値以上であると、油汚れに対する洗浄力が高まる。一方、a/c比が上限値以下であると、低泡性を確保しやすい。
【0025】
<溶媒>
本発明の食器洗い機用液体洗浄剤は、調製しやすさ、使用する際の水への溶解性等の観点から、水を含有する溶媒を用いることが好ましい。
食器洗い機用液体洗浄剤中、水の含有量は、該液体洗浄剤の全質量に対して50質量%以上が好ましく、70質量%以上がより好ましい。
溶媒としては、水以外に、水混和性有機溶媒を用いてもよい。
「水混和性有機溶媒」とは、25℃のイオン交換水1Lに50g以上溶解する有機溶媒をいう。
水混和性有機溶媒としては、水と混合した際に均一な溶液となるものであればよく、そのなかでも、炭素数2〜4の一価アルコール、炭素数2〜4の多価アルコール、グリコールエーテル等が挙げられる。
炭素数2〜4の1価アルコールとしては、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール等が挙げられる。
炭素数2〜4の多価アルコールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、グリセリン等が挙げられる。
グリコールエーテルとしては、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、プロピレングリコールモノフェニルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル等が挙げられる。
【0026】
<任意成分>
本発明の食器洗い機用液体洗浄剤には、本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じて、上述した(a)〜(c)成分及び溶媒以外の成分を任意に配合してもよい。
かかる任意に配合してもよい成分としては、特に限定されず、これまで食器を洗浄するための洗浄剤に配合されている成分が挙げられる。
たとえば、(a)成分及び(b)成分以外の界面活性剤、キレート剤、可溶化剤、酸化防止剤、pH調整剤、着色剤、酵素、香料等を用いることができる。
【0027】
(a)成分及び(b)成分以外の界面活性剤としては、特に制限はなく、例えば両性界面活性剤、非イオン界面活性剤などが挙げられる。
但し、食器洗い機においては、洗浄中の泡立ちを抑える必要がある。このため、食器洗い機用液体洗浄剤中、(a)成分及び(b)成分とこれら以外の界面活性剤との合計の含有量を、該液体洗浄剤の全質量に対して12質量%以下とすることが好ましく、8質量%以下とすることがより好ましい。
加えて、全界面活性剤中の(a)成分及び(b)成分の含有量は、全界面活性剤の合計の質量に対し、好ましくは50質量%以上であり、より好ましくは70質量%以上であり、100質量%であってもよい。(a)成分及び(b)成分の含有量が好ましい下限値以上であれば、食器洗い機により食器等の洗浄処理を行う際、泡立ちが低く保たれる。加えて、油汚れ等に対する洗浄力が高まる。
【0028】
(製造方法)
本発明の食器洗い機用液体洗浄剤は、従来公知の方法により製造できる。
食器洗い機用液体洗浄剤の製造方法としては、溶媒と、(a)〜(c)成分と、必要に応じて任意成分と、を混合することにより調製される。
食器洗い機用液体洗浄剤のpH(25℃)は、2〜8であり、好ましくは2〜7である。該液体洗浄剤のpH(25℃)が前記範囲内であると、(a)成分の経時に伴う分離を抑制する効果がより高まり、保存安定性に優れる。
本発明において、食器洗い機用液体洗浄剤のpH(25℃)は、JIS Z 8802:1984「pH測定方法」に準拠した方法により測定される値を示す。
本発明の食器洗い機用液体洗浄剤のpHを調整するためのpH調整剤としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等の無機塩基;モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N−メチルプロパノール、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、N−(β−アミノエチル)エタノールアミン、ジエチレントリアミン、モルホリン、N−エチルモルホリン等の有機塩基;塩酸、硫酸等の無機酸;クエン酸、シュウ酸等の有機酸などが挙げられる。液体洗浄剤の保存安定性とコスト面から、無機塩基のなかでは水酸化カリウム、水酸化ナトリウムが好ましく、有機塩基のなかではモノエタノールアミンが好ましい。
pH調整剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を適宜組み合わせて用いてもよい。
【0029】
食器洗い機用液体洗浄剤の粘度(25℃)は、好ましくは100〜50000mPa・sであり、より好ましくは300〜10000mPa・sである。
本発明において、食器洗い機用液体洗浄剤の粘度(25℃)は、医薬部外品原料規格2006一般試験法の粘度測定法第2法に準拠した方法により測定される値を示す。具体的には、たとえばビスメトロン粘度計を用い、ローターNo.2〜No.4、回転数:6rpm、120秒間条件下で測定される。
【0030】
(使用方法)
本発明の食器洗い機用液体洗浄剤は、食器洗い機の機種や、食器等の汚れの程度に応じて、その使用量等を変えて使用すればよい。
該液体洗浄剤を用いて食器洗い機により洗浄対象物を洗浄する方法としては、洗浄とすすぎの各工程をいずれも有する方法が挙げられる。
好ましい洗浄方法としては、たとえば、洗浄液を、好ましくは35〜60℃まで2〜3℃/minで昇温しながら、洗浄対象物を洗浄する工程(以下「洗浄工程」という。)と、洗浄後の洗浄対象物を、常温(好ましくは5〜30℃程度)の水道水ですすぐ工程(以下「すすぎ(1)工程」という。)と、常温の水道水を、好ましくは50〜80℃まで2〜3℃/minで昇温しながら、前記すすぎ(1)工程後の洗浄対象物をさらにすすぐ工程(以下「すすぎ(2)工程」という。)と、を有する方法が挙げられる。
洗浄工程においては、食器洗い機用液体洗浄剤の1回の使用量を、水道水約3リットルに対して3〜9gとすることが好ましい。
洗浄工程での洗浄時間は、3〜50分間とすることが好ましく、より好ましくは5〜30分間である。
すすぎ(1)工程でのすすぎ時間は、0.5〜10分間とすることが好ましく、より好ましくは1〜7分間である。
すすぎ(2)工程でのすすぎ時間は、3〜50分間とすることが好ましく、より好ましくは5〜30分間である。
【0031】
以上説明した本発明の食器洗い機用液体洗浄剤は、食器洗い機による洗浄の際、温度の影響の小さい(b)成分を用いることにより、標準コース(通常モード)よりも低温条件下で洗浄を行う「低温コース」や「ゆとりコース」等の節電モードが選択された場合でも、油汚れに対して優れた洗浄力を有する。加えて、(b)成分に(a)成分を組み合せて用いることにより、(b)成分の泡立ちが抑えられ、低泡性が確保される。
かかる効果が得られる理由は定かではないが、洗浄液中での(b)成分の配列を、(a)成分が崩してしまうことで、泡膜が不安定化されるため、と推察される。
(a)成分と(b)成分とを含有する液体組成物では、溶媒に(a)成分と(b)成分とを混合溶解した後、静置すると、経時に伴って該液体組成物中の(a)成分濃度が不均一となりやすい((a)成分の分離が生じやすい)。これに対し、単に、液体組成物の粘度を高くするだけでは、(a)成分の分離を抑えることはできない。本発明においては、pH2〜8の条件下、(a)成分及び(b)成分に、特定の高分子として酸性多糖類((c)成分)を所定の割合で組み合わせることにより、経時に伴う(a)成分の分離が抑制されて液体組成物の均一性が維持され、保存安定性に優れる。
【0032】
本発明に係る液体洗浄剤は、食器洗い機用として好適なものであり、特に、標準コース(通常モード)よりも低温条件下で洗浄を行う際、例えば、通常モードに比べて水温が10℃程度低い「低温コース」や「ゆとりコース」等の節電モードで食器等を洗う際に適した洗浄剤である。
【実施例】
【0033】
以下に実施例を用いて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0034】
<食器洗い機用液体洗浄剤の調製>
表1〜3に示す配合組成に従い、後述の製造方法(未配合の成分がある場合、その成分は配合しない。)により、各例の液体洗浄剤をそれぞれ調製した。
表中の配合量の単位は「質量%」であり、いずれの成分も純分換算量を示す。
表中、「適量」は、所定のpHに調整するために用いたpH調整剤の添加量を示す。
「バランス」は、各例の液体洗浄剤に含まれる全配合成分の合計の配合量(質量%)が100質量%となるように水が配合されていることを意味する。
「a/b比」は、(a)成分/(b)成分で表される質量比と同義であり、液体洗浄剤中の(b)成分の含有質量に対する、(a)成分の含有質量の割合を意味する。
「a/c比」は、(a)成分/(c)成分で表される質量比と同義であり、液体洗浄剤中の(c)成分の含有質量に対する、(a)成分の含有質量の割合を意味する。
以下に、表中に示した成分について説明する。
【0035】
・(a)成分
a−1:C14ジメチルアミノプロピルアミド(合成品);一般式(a−1)中のR
1=炭素数13の直鎖状のアルキル基、R
2=水素原子、R
3=プロピレン基((CH
2)
3)、R
4=メチル基、R
5=メチル基。
a−2:C18ジメチルアミノプロピルアミド(東邦化学株式会社製、商品名「カチナールMPAS」);一般式(a−1)中のR
1=炭素数15の直鎖状のアルキル基である分子(C16)と、R
1=炭素数17の直鎖状のアルキル基である分子(C18)と、の質量比でC16:C18=3:7の混合物。R
2=水素原子、R
3=プロピレン基((CH
2)
3)、R
4=メチル基、R
5=メチル基。
a−3:C22ジメチルアミノプロピルアミド(合成品);一般式(a−1)中のR
1=炭素数21の直鎖状のアルキル基、R
2=水素原子、R
3=プロピレン基((CH
2)
3)、R
4=メチル基、R
5=メチル基。
a−4:C18ジエチルアミノエチルアミド(日光ケミカルズ株式会社製、商品名「NIKKOL アミドアミンSV」);一般式(a−1)中のR
1=炭素数15の直鎖状のアルキル基である分子(C16)と、R
1=炭素数17の直鎖状のアルキル基である分子(C18)との混合物。R
2=水素原子、R
3=エチレン基、R
4=エチル基、R
5=エチル基。
a−5:C18ジエチルアミノプロピルアミド(合成品);一般式(a−1)中のR
1=炭素数17の直鎖状のアルキル基、R
2=水素原子、R
3=プロピレン基((CH
2)
3)、R
4=エチル基、R
5=エチル基。
【0036】
・(a)成分の比較成分[以下「(a’)成分」と表す。]
a’−1:C12ジメチルアミノプロピルアミド(合成品);一般式(a−1)中のR
1=炭素数11の直鎖状のアルキル基、R
2=水素原子、R
3=プロピレン基((CH
2)
3)、R
4=メチル基、R
5=メチル基。
【0037】
[(a)成分又は(a’)成分における合成品の合成方法]
a−1(C14ジメチルアミノプロピルアミド)の合成例:
容量3Lの四つ口フラスコ内に、ミリスチン酸メチル(分子量228.4)907.0g(3.97mol)と、ジメチルアミノプロピルアミン(DMAPA、分子量102.2)121.6g(1.19mol)とを仕込み、反応容器内を窒素で2回減圧置換した後、185℃へ昇温した。180℃到達時を反応開始として1.5時間熟成した後、DMAPA(分子量102.2)405.7g(3.97mol)を4時間かけて滴下した。滴下終了後、7時間熟成を行い、その後、195℃まで昇温し、過剰のDMAPAを減圧除去(2.4kPa到達後1hr処理)することで、ミリスチン酸(C14)ジメチルアミノプロピルアミド1183gを得た。
【0038】
前記のa−1の合成例におけるミリスチン酸メチルの代わりに、a−3の合成においてはベヘン酸メチル、a’−1の合成においてはラウリン酸メチルを用いた他は、a−1の合成例と同様にして合成を行い、炭素鎖長の異なるアルキルアミドアミンをそれぞれ得た。
【0039】
a−5の合成においては、前記のa−1の合成例におけるミリスチン酸メチルの代わりにステアリン酸メチルを、ジメチルアミノプロピルアミンの代わりにジエチルアミノプロピルアミンをそれぞれ用いた他は、a−1の合成例と同様にして合成を行い、ステアリン酸(C18)ジエチルアミノプロピルアミドを得た。
【0040】
・(b)成分
b−1:セカンダリーアルカンスルホン酸ナトリウム(クラリアントジャパン株式会社製、商品名「HOSTAPUR SAS 30A」)。
b−2:直鎖アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム;直鎖アルキルベンゼンスルホン酸(テイカ株式会社製、商品名「テイカパワーL121」)をNaOHで中和したもの。
b−3:ジアルキルスルホコハク酸塩(ライオン株式会社製、商品名「リパール835I」)。
b−4:アルキルエーテル硫酸エステル塩(ライオン株式会社製、商品名「サンノールLMT−1430」)。
b−5:α−オレフィンスルホン酸ナトリウム(ライオン株式会社製、商品名「リポランPB−800」)。
【0041】
・(b)成分の比較成分[以下「(b’)成分」と表す。]
b’−1:ポリオキシアルキレンアルキルエーテル(炭素数12のアルコールと炭素数13のアルコールとの混合物に、エチレンオキシド平均3モル及びプロピレンオキシド平均3モルがそれぞれ付加したもの)(ライオン株式会社製、商品名「NNAEP−3030」)。
【0042】
・(c)成分
c−1:キサンタンガム(三晶株式会社製、商品名「KELZAN T」)。
c−2:ジェランガム(三晶株式会社製、商品名「KELCO−CRETE DG」)。
c−3:カラギーナン(三晶株式会社製、商品名「GENUVISCO CF02」)。
【0043】
・(c)成分の比較成分[以下「(c’)成分」と表す。]
c’−1:アクリル系水溶性樹脂(住友精化株式会社製、商品名「Aqupec SER W−150」)。
c’−2:カチオン化グァガム(三晶株式会社製、商品名「JAGUAR−C−162」)。
c’−3:ヒドロキシプロピルメチルセルロース(三晶株式会社、商品名「NEOVISCO」)。
【0044】
・任意成分
pH調製剤:硫酸(関東化学株式会社製)、水酸化ナトリウム(鶴見曹達株式会社製)。
エタノール:醗酵アルコール95度(日本アルコール産業株式会社製)。
水:イオン交換水。
【0045】
[食器洗い機用液体洗浄剤の製造方法]
(実施例1〜34、比較例1〜11)
表1〜3の組成に従い、溶媒の水に、(a)成分又は(a’)成分と、(b)成分と、(c)成分又は(c’)成分と、pH調整剤と、を溶解することにより、各例の液体洗浄剤0.8kgをそれぞれ調製した。
具体的には、1Lビーカー(直径12cm)内に、水と、(c)成分又は(c’)成分と、の合計量として、液体洗浄剤全体の65質量%となるように、水(25℃)を投入した。次いで、前記1Lビーカーに、HEIDON FBL1200スリーワンモーター(新東科学株式会社製)の撹拌機に直径7.5cm、幅1.5cm、角度45度の4枚羽パドルを装備し、その後、内容物が飛び散らないように回転数400〜900rpmで調整しながら、(c)成分又は(c’)成分を添加し、未溶解分(ダマ)がなくなるまで撹拌を継続して高分子水溶液を得た。
別途、1Lビーカー(直径12cm)内に、40℃に加温したエタノールを投入し、次いで、(a)成分又は(a’)成分と、(b)成分又は(b’)成分と、を添加して混合液Aを得た。
次いで、この混合液Aを、前記高分子水溶液に、前記撹拌機の回転数を650rpmで撹拌しながら加えた。添加終了後、5分間撹拌し、混合液Bを得た。
この混合液Bを25℃まで冷却した後、pH調製剤によりpHを調整し、組成物全体が100質量%となるように残りの水を加え、前記撹拌機の回転数650rpmで1分間撹拌することにより液体洗浄剤を得た。
各例の液体洗浄剤のpHは、表に示すpH値となるように、pH調整剤(硫酸、水酸化ナトリウム)により調整した。組成物のpH(25℃)は、25℃に調整した液体洗浄剤を、ガラス電極式pHメーター(HM−30G、東亜ディーケーケー株式会社製)を用いて測定した。測定方法は、JIS Z 8802:1984「pH測定方法」に準拠して行った。
【0046】
<食器洗い機用液体洗浄剤の評価>
各例の液体洗浄剤について、以下に示す評価方法によって各評価を行い、その結果を表1〜3に併記した。
食器洗い機として、自動食器洗い乾燥機(パナソニック株式会社製、機種NP−40SX2)を用いた。各評価において、洗浄処理は、該自動食器洗い乾燥機に設定されている標準コース(節電モード又は通常モード)で運転することにより行った。
節電モードとは、通常モードと比較して、洗浄工程での水温が15℃低く設定されている。該標準コース(節電モード)の内容を以下に示す。
【0047】
標準コース(節電モード):
該自動食器洗い乾燥機に液体洗浄剤6g(水道水3Lに対し)を投入した後、約5℃の水道水を庫内に導入して調製される洗浄液を40℃まで2〜3℃/minで昇温しながら20分間洗浄を行い、該洗浄液を排水する。次いで、新たな水道水を導入し、すすぎ(2分間/回)と排水との繰返し3回を行う。排水後、新たな水道水を導入し、70℃まで2〜3℃/minで昇温しながらすすぎ1回(最終すすぎ)20分間を行い、排水後、温風を循環させながら食器等を乾燥する。
【0048】
標準コース(通常モード)は、上記標準コース(節電モード)において、洗浄液を55℃まで2〜3℃/minで昇温しながら20分間洗浄を行う他の操作は、上記標準コース(節電モード)と同様である。
【0049】
[低泡性の評価法]
前記自動食器洗い乾燥機に液体洗浄剤6gを投入し、前記標準コース(通常モード)にて運転を行った。
洗浄開始から水温が50℃に達した時点で運転を止めると同時に扉を開け、その15秒後に庫内の泡立ちを測定した。
その際、庫内の3箇所をランダムに選択し、物さしで該箇所の泡高(mm)をそれぞれ測定し、これらの平均値を求めた。この泡高が10mm以下であれば合格とした。
【0050】
[油汚れに対する洗浄力の評価]
油汚れとして、牛脂/ラード/バター/サラダ油=3/3/3/1(質量比)の混合油とレトルトカレー(ボンカレーゴールド21辛口)とを用いた。
前記混合油3g及び前記レトルトカレー6gをそれぞれ全体に付着させて汚染したポリプロピレン製弁当箱(縦110mm、横170mm、高さ35mm)を、前記自動食器洗い乾燥機に装填し、液体洗浄剤6gを投入して標準コース(節電モード)で洗浄処理を施した。
洗浄処理の後、ポリプロピレン製弁当箱の仕上がり具合を観察し、下記の評価基準に基づいて、油汚れに対する洗浄力を評価した。評価点が3点以上であれば合格とした。
(評価基準)
4点:油汚れが完全に除去されていた。
3点:若干油汚れが残っていたが、洗い直す必要がないレベルであった。
2点:油汚れが残っており、洗い直す必要があるレベルであった。
1点:油汚れがべっとりと残っていた。
【0051】
[保存安定性の評価]
各例の液体洗浄剤100gを、ガラス瓶(直径5cm、高さ9.5cm)に充填し、50℃恒温室に1ヶ月間保存した。
1ヶ月間保存の後、前記ガラス瓶の下部(底面から1cmの高さ)の液体洗浄剤1gをサンプリングし、これを試料とした。
該試料中の(a)成分又は(a’)成分の含有量を、HPLCを用いて下記アルキルアミドアミン定量法により計測した。
(a)成分又は(a’)成分は、組成物から分離すると、上方に浮いてくる。このため、前記ガラス瓶の下部をサンプリングし、HPLCにて計測した(a)成分又は(a’)成分の定量値が、所定の配合量よりも低い場合には、その例の液体洗浄剤は分離を生じていること、が分かる。
【0052】
HPLCを用いたアルキルアミドアミン定量法:
50℃恒温室に1ヶ月間保存した液体洗浄剤の約1gを精密に量り取り、メタノールに溶解させて、正確に50mLメスフラスコに定容した。この液を、液体クロマトグラフィー用フィルター(0.45μm)を用いてろ過し、このろ液を試料溶液とした。
別に、標準品として、純度既知の各アルキルアミドアミン(以下「標準アルキルアミドアミン」という。)純分0.25gを精密に量り取り、メタノールに溶解させて、正確に50mLメスフラスコに定容した。この液から1mLを正確に採取し、メタノールを加えて正確に50mLに定容し、標準アルキルアミドアミン溶液とした。
前記標準アルキルアミドアミン溶液及び前記試料溶液を、下記のHPLC条件により定量試験を行い、得られたクロマトグラムについて自動積分法によりピーク面積を算出し、下式よりアルキルアミドアミン量を算出した。
【0053】
アルキルアミドアミン量(質量%)
={標準アルキルアミドアミン純分量(g)×試料溶液におけるアミドアミンのピーク面積×1mL}/{試料採取量(g)×標準アルキルアミドアミン溶液におけるアミドアミンのピーク面積×50mL}×100
【0054】
HPLC条件:
検出器:紫外吸光光度計(測定波長:210nm)
カラム:内径約4.6mm、長さ約150mmのステンレス管に5μmの液体クロマトグラフ用多孔性シリカ系化学結合型強カチオン交換対を充填したもの
カラム温度:35度
移動相:メタノール/水/無水過塩素酸ナトリウム/モノクロロ酢酸(750mL/250mL/5g/2g)
流量:0.7mL/min
注入量:20μL
【0055】
算出したアルキルアミドアミン量を指標として、下記の評価基準に基づき、液体洗浄剤の保存安定性を評価した。評価点が3点以上であれば合格とした。
(評価基準)
上式から算出されたアルキルアミドアミン量が、
4点:保存前の液体洗浄剤における、所定の配合量の90%以上であった。
3点:保存前の液体洗浄剤における、所定の配合量の80%以上90%未満であった。
2点:保存前の液体洗浄剤における、所定の配合量の50%以上80%未満であった。
1点:保存前の液体洗浄剤における、所定の配合量の50%未満であった。
【0056】
【表1】
【0057】
【表2】
【0058】
【表3】
【0059】
表1〜3に示す結果から、本発明を適用した実施例1〜34の液体洗浄剤は、いずれも、低泡性を確保しつつ、油汚れに対して優れた洗浄力を有すること、加えて、保存安定性に優れていること、が分かる。