(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
縦方向に延びる軸線を中心とした円筒状または円錐状をなして固定される内濾過体と、この内濾過体と同軸の円筒状または円錐状をなして上記内濾過体の外側に間隔をあけて固定される外濾過体と、上記軸線回りに捩れる螺旋状をなして上記内濾過体と外濾過体との間に収容され、該軸線を中心に回転させられるリボンスクリューとを備え、
上記内濾過体は、外周面が上記軸線を中心とした円筒面状をなす内円筒部を備えた内濾過支持体を介して、上記軸線方向の上端側から吊り下げられて支持されることにより固定されるとともに、該内濾過体の内周の空間は下方に開放されており、
上記リボンスクリューは、内周面が上記軸線を中心とした円筒面状をなして上記内円筒部の外周に摺動可能に嵌合される外円筒部を備えたスクリュー支持体を介して、上記軸線回りに回転自在に該軸線方向の上端側から吊り下げられて支持されていることを特徴とする縦型スクリュープレス式濾過装置。
上記内濾過体の外周面は、上記内濾過支持体の内円筒部の外周面と等しい外径の上記軸線を中心とした円筒面状をなしていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の縦型スクリュープレス式濾過装置。
上記内濾過体と外濾過体との間には、複数条の上記リボンスクリューが上記軸線回りに間隔をあけて上記スクリュー支持体に支持されて一体に回転可能に収容されていることを特徴とする請求項1から請求項3のうちいずれか一項に記載の縦型スクリュープレス式濾過装置。
上記リボンスクリューは、上記軸線方向に対向する部分が連結部材によって連結されていることを特徴とする請求項1から請求項4のうちいずれか一項に記載の縦型スクリュープレス式濾過装置。
上記内濾過体と外濾過体の下端部は、環状部材によって同軸に連結されていることを特徴とする請求項1から請求項5のうちいずれか一項に記載の縦型スクリュープレス式濾過装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、この特許文献1に記載された縦型スクリュープレス式濾過装置では、濾過内筒は、機台に下方から挿通されて取り付けられた排水管に下端が接続されて固定されるとともに、リボンスクリューも、上記機台の下部に軸受けを介して支持されて回転駆動される駆動輪の上面に取り付けられており、上記排水管はこの駆動輪の内周部に回転しないように挿通されて濾過内筒の下端に接続されている。また、リボンスクリューの上部には、このリボンスクリューと同期して回転し、かつリボンスクリューの羽根部と分離して接離移動自在に脱水プラグが取り付けられている。
【0005】
しかしながら、このようにリボンスクリューが、機台の下部に軸受けを介して回転駆動される駆動輪の上面に取り付けられて支持されていると、この駆動輪をさらに支持するために機台にある程度の大きさが必要となり、濾過された被処理物が排出される上記環状空間の上端の位置が高くならざるを得ない。特に、特許文献1に記載されているように濾過内筒の下端が接続される排水管が上記駆動輪の内周部に挿通されて濾過内筒が支持されていると、排水管の下端は濾過内筒の下端からより低い位置に配設されることになり、相対的に環状空間はさらに高い位置に配設されることになる。
【0006】
このため、濾過内筒や濾過外筒、あるいはリボンスクリューの組み立てやメンテナンス等を行う場合にも高所での作業となり、作業性が損なわれることが避けられない。さらに、濾過後の固形分をコンベア等によって搬送して回収するような場合でも、上記環状空間の上端位置が高いために当該コンベア等も高所に配設しなければならず、設備コストが嵩むとともに、濾過装置が設置される建屋の高さの制限等によってはこのようなコンベアを設置することができなくなるおそれもある。また、環状空間の下端で回転するリボンスクリューと回転しない濾過内筒とを支持しようとすると、複雑な支持構造や互いの支持構造の間に被処理物が入り込まないような複雑なシール構造も必要となる。
【0007】
その一方で、この特許文献1に記載された縦型スクリュープレス式濾過装置では、上述のように脱水プラグをリボンスクリューと同期回転可能かつ羽根部と分離して接離移動自在とするために、リボンスクリューの上部は、その羽根部の上端に設けた軸部が上記脱水プラグのボス部にボールスプラインにより連結されているだけである。このため、リボンスクリューと濾過内筒や濾過外筒との位置調整が困難となって十分な同心度を得ることができなくなるとともに、組み立ても容易ではなくなって組み立て精度の悪化を招くおそれがあり、さらにリボンスクリューの上部における支持剛性も不十分となるおそれもある。
【0008】
本発明は、このような背景の下になされたもので、リボンスクリューが収容される濾過のための空間が高くなるのを抑えることができて、組み立てやメンテナンス等の作業性の向上を図るとともに、濾過された被処理物を搬送、回収するためのコンベア等も比較的低い位置に配設可能であり、さらにはリボンスクリューの同心度や組み立て精度、上部における支持剛性も十分に確保することが可能な縦型スクリュープレス式濾過装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決して、このような目的を達成するために、本発明は、縦方向に延びる軸線を中心とした円筒状または円錐状をなして固定される内濾過体と、この内濾過体と同軸の円筒状または円錐状をなして上記内濾過体の外側に間隔をあけて固定される外濾過体と、上記軸線回りに捩れる螺旋状をなして上記内濾過体と外濾過体との間に収容され、該軸線を中心に回転させられるリボンスクリューとを備え、上記内濾過体は、外周面が上記軸線を中心とした円筒面状をなす内円筒部を備えた内濾過支持体を介して、上記軸線方向の上端側から吊り下げられて支持されることにより固定されるとともに、
該内濾過体の内周の空間は下方に開放されており、上記リボンスクリューは、内周面が上記軸線を中心とした円筒面状をなして上記内円筒部の外周に摺動可能に嵌合される外円筒部を備えたスクリュー支持体を介して、上記軸線回りに回転自在に該軸線方向の上端側から吊り下げられて支持されていることを特徴とする。
【0010】
このように構成された縦型スクリュープレス式濾過装置では、内濾過体は外周面が上記軸線を中心とした円筒面状をなす内円筒部を備えた内濾過支持体を介して、またリボンスクリューも内周面が上記軸線を中心とした円筒面状をなす外円筒部を備えたスクリュー支持体を介して、ともに軸線方向の上端側から吊り下げられて支持されているので、内濾過体とリボンスクリューの下方にこれらを支持するための複雑な支持構造やシール構造を設ける必要が無くなり、リボンスクリューが収容される濾過空間の高さおよび装置全体の高さを低く抑えることができる。
【0011】
このため、これら内濾過体やリボンスクリューの組み立て、メンテナンス等を容易に行うことができるとともに、上記濾過空間の上端位置から濾過後の被処理物を排出してコンベア等により搬送、回収する場合でも、該コンベアの位置を低くして比較的簡略かつ低コストで設置を可能とすることができる。その一方で、リボンスクリューの上部では、スクリュー支持体の外円筒部の内周面が、内濾過支持体の内円筒部の外周に摺動可能に嵌合されて支持されるので、リボンスクリューと内濾過体との位置調整も容易となって同心度および組み立て精度が向上するとともに、リボンスクリューの支持剛性も十分に確保することができる。
【0012】
さらに、このリボンスクリューを、上記スクリュー支持体を介して回転駆動することにより、特許文献1に記載された駆動輪のような回転駆動手段をリボンスクリューの下方に設ける必要もなくなって、濾過空間の高さ高さを一層確実に低く抑えることができる。また、リボンスクリューは、スクリュー支持体の外円筒部が内濾過支持体の内円筒部に摺動しつつ回転させられるので、支持剛性が確保されることと相俟って回転トルクに対して高い強度を得ることができ、効率よく回転駆動力をリボンスクリューに伝達することができる。
【0013】
さらにまた、上記内濾過体の外周面を、上記内濾過支持体の内円筒部の外周面と等しい外径の上記軸線を中心とした円筒面状とすることにより、内濾過支持体を介して吊り下げられた内濾過体を、この内濾過支持体ごと引き上げてリボンスクリューおよびスクリュー支持体の内周から抜き出すことができ、内濾過体のメンテナンスを容易に行うことが可能となる。
【0014】
一方、上記内濾過体と外濾過体との間には、複数条の上記リボンスクリューを上記軸線回りに間隔をあけて上記スクリュー支持体に支持して一体に回転可能に収容することにより、リボンスクリューの回転による被処理物の搬送の際に作用する回転トルクをこれら複数条のリボンスクリューに分散させて、リボンスクリューの変形等を抑制することができる。特に、これら複数条のリボンスクリューを等間隔に配設すれば、回転トルクを均等に分散させて一層確実な変形等の防止を図ることができる。
【0015】
また、こうして複数条のリボンスクリューを収容することにより、各リボンスクリューのリードは変化させずにリボンスクリュー間のピッチを狭めることができるので、被処理物の充填率を高めることができる。さらに、リボンスクリューの回転による内外濾過体の濾過面の掻き取り回数が増えるため、濾過面の詰まりを防いで濾過速度の向上を図るとともに、均一な濾過を促して被処理物の含水率のばらつきを抑えることができる。
【0016】
なお、このように複数条のリボンスクリューを間隔をあけて一体に回転可能に収容する場合や、1条のリボンスクリューを収容した場合でも、該リボンスクリューの上記軸線方向に対向する部分を連結部材によって連結することにより、強度を向上させてリボンスクリューの変形を一層確実に防止することができる。また、上述のようにリボンスクリューを吊り下げて支持する場合には、連結部材には引っ張り応力が作用することになるので、比較的細い連結部材でも強度を確保することができ、リボンスクリューによる被処理物の円滑な搬送が妨げられることもない。
【0017】
さらに、上記内濾過体と外濾過体の下端部を、環状部材によって同軸に連結することにより、例えば外濾過体も内濾過体と同様に上記軸線方向の上端側から吊り下げて支持した場合に、内外濾過体を軸線方向の全長に亙って確実に該軸線を中心として配設することが可能となり、組み立て精度の向上を図ることができるとともに、こうして吊り下げられた内外濾過体の下端を同軸となるように支持する必要もなくなる。また、環状部材によって上記濾過空間の下端を密閉することにより、被処理物が上記濾過空間から漏れ出ないように複雑なシール構造を要することもなくなる。
【0018】
そして、さらに本発明では、リボンスクリューもスクリュー支持体を介して軸線回りに回転自在に該軸線方向の上端側から吊り下げられて支持されており、こうして内濾過体と外濾過体の下端部を環状部材によって同軸に連結しても、環状部材にリボンスクリューが干渉するのを避けることができる。特に上述のようにスクリュー支持体を介してリボンスクリューを回転駆動する場合には、その回転駆動手段が環状部材や内外濾過体と干渉するのも避けることができ、やはり複雑なシール構造等を要することがない。
【発明の効果】
【0019】
以上説明したように、本発明によれば、リボンスクリューが収容される濾過空間および濾過装置全体の高さを低く抑えることができ、内濾過体やリボンスクリューの組み立て、メンテナンス等の作業性の向上を図ることができるとともに、濾過空間の上端から濾過後の被処理物を排出してコンベア等により搬送、回収する場合でも、比較的容易に低コストで該コンベアを設置することが可能となる。また、リボンスクリューと内濾過体との位置調整が容易になって同心度および組み立て精度が向上するとともに、リボンスクリューの支持剛性も十分に確保することができ、安定した濾過を促すことが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1ないし
図4は、本発明の一実施形態を示すものである。本実施形態において、内濾過体1と外濾過体2とは、
図1および
図2に示すように鉛直縦方向に延びる軸線Oを中心としたいずれも円筒状をなしており、ただし軸線Oに対する径方向内側に配設される内濾過体1の外径よりも、この内濾過体1の外側に配設される外濾過体2の内径は大きくされて、これら内外濾過体1、2の間にはやはり軸線Oを中心とした円筒状の濾過空間Sが形成される。
【0022】
これら内濾過体1と外濾過体2とは、上記軸線O方向に分割される複数(本実施形態では2つずつ)の内濾過構成体1Aおよび外濾過構成体2Aによってそれぞれ構成されている。これらの内外濾過構成体1A、2Aは、ともにパンチングメタルのような孔開き金属板により円筒状に形成された本体に金網等の濾材が貼着されたものであって、それぞれ互いに同形同大に形成されている。なお、内外濾過構成体1A、2Aとしてはパンチングメタル以外にもウェッジワイヤーや金網等のスクリーン、濾布等を用いることもできる。
【0023】
また、これら内外濾過構成体1A、2Aの本体の軸線O方向の両端と必要に応じてその間には、内濾過構成体1Aにおいては内周側に突出するように、また外濾過構成体2Aにおいては外周側に突出するように、それぞれ円環板状のフランジ部が設けられている。また、内外濾過構成体1A、2Aの内外周面には、軸線Oを含む平面に沿って両端のフランジ部間に亙って延びる板状のリブ部が設けられている。
【0024】
このうち外濾過体2は、複数の外濾過構成体2Aが同軸に上下に積み重ねられて、上側の外濾過構成体2Aの下端のフランジ部と下側の外濾過構成体2Aの上端のフランジ部とが突き合わせられ、これらのフランジ部がボルト止め等によって連結されることにより一体化されて構成されている。そして、さらにこの外濾過体2は、最上段の外濾過構成体2Aの上端のフランジ部が、所定の高さに水平に敷設された基板3にやはりボルト止め等によって接合されることにより、軸線O方向の上端側からこの基板3に吊り下げられて支持され、該基板3に固定される。
【0025】
ここで、この基板3は、例えば軸線Oを中心とした正方形の板材の中央部に同じく軸線Oを中心とした円形の貫通孔が排出孔3Aとして開けられたものであって、排出孔3Aの内径は外濾過体2の内径と略等しくされ、外濾過体2の上端は基板3の下面においてこの排出孔3Aの周縁に接合されている。さらに、基板3は、その下面の4隅に図示されない支柱等が接合されることにより、上述のように所定の高さに支持される。
【0026】
また、基板3の上面には、やはり軸線Oを中心とした円筒状の縦壁4Aが立設され、この縦壁4Aには排出口4Bが開口させられているとともに、縦壁4Aの上部は蓋体4Cによって覆われている。基板3上のこれら縦壁4Aと蓋体4Cによって囲まれた部分は、上記排出孔3Aに連通して濾過された被処理物(濾過ケーキ)が排出されるケーキ排出室4とされる。
【0027】
なお、このケーキ排出室4の底面には、軸線Oを中心とした円環板状のターンテーブル4Dが、基板3上の排出孔3Aの外周から縦壁4Aの内側に亙って配設されて、該軸線O回りに回転自在に支持されている。このターンテーブル4Dの下面部は上面部よりも一段小径とされて、この下面部の外周面には軸線Oを中心として周回するようにギアが形成されており、このギアに噛合する駆動ギアを備えたモータおよび減速器等のテーブル回転手段4Eによってターンテーブル4Dは軸線O回りに回転可能とされる。
【0028】
また、縦壁4Aの排出口4Bのターンテーブル4D回転方向側の縁部からターンテーブル4D上に向けては図示されない掻き取り板が延びている。従って、排出孔3Aからケーキ排出室4の上記ターンテーブル4D上に排出された濾過ケーキは、ターンテーブル4Dの回転に伴い排出口4Bに向けて搬送され、上記掻き取り板により掻き取られながら掻き取り板に沿って移動して排出口4Bから排出される。
【0029】
なお、基板3上の排出孔3Aの周囲には、排出孔3Aと等しい内径で、ターンテーブル4Dの内径よりも僅かに小さな外径を有する軸線Oを中心とした円環状のシール部材3Bが取り付けられている。このシール部材3Bの上面部と内周部の交差稜線部には面取りが施されるとともに、この面取りされた部分よりも外周側のシール部材3Bの上面部はターンテーブル4Dの上面部と軸線O方向における高さが略等しくされている。
【0030】
さらに、上記蓋体4Cの上部には、ケーキ排出室4と同様に縦壁5Aと蓋体5Bとからなるギア室5が設けられており、このギア室5の蓋体5Bとケーキ排出室4の蓋体4Cには、軸線Oを中心とした円形孔がそれぞれ形成されている。そして、上記複数の内濾過構成体1Aによって構成される内濾過体1は、内濾過支持体6を介してギア室5の蓋体5Bに取り付けられ、軸線O方向の上端側から吊り下げられて支持されることにより固定されている。
【0031】
ここで、上記内濾過支持体6は、外周面が軸線Oを中心とした円筒面状をなす内円筒部6Aを備えていて、特に本実施形態では内濾過支持体6の外周面全体がこのような円筒状をなしており、この内濾過支持体6(内円筒部6A)の外径は内濾過体1の外径と等しくされている。なお、蓋体5Bに形成された上記円形孔の内径は、内濾過支持体6の外径よりも僅かに大きくされるとともに、蓋体4Cに形成された円形孔の内径は、蓋体5Bの円形孔の内径よりもさらに一回り大きくされて、ただし排出孔3Aの内径よりは小さくされている。また、内濾過支持体6の内周部にも、軸線O方向の両端と必要に応じてその中央部に内濾過構成体1Aと同じくフランジ部が形成されている。
【0032】
さらに、内濾過体1も外濾過体2と同様に、複数の内濾過構成体1Aが同軸に上下に積み重ねられて、上側の内濾過構成体1Aの下端のフランジ部と下側の内濾過構成体1Aの上端のフランジ部とが突き合わせられることにより構成される。また、上記内濾過支持体6も、その下端のフランジ部が、このように内濾過体1を構成した複数の内濾過構成体1Aのうち最上端の内濾過構成体1Aの上端のフランジ部に突き合わされることにより、内濾過体1と同軸に配設される。
【0033】
さらにまた、このように同軸に配設された内濾過体1と内濾過支持体6には、内濾過支持体6の上端のフランジ部に上端側から内濾過支持フランジ7Aが突き合わされるとともに、内濾過体1の最下端の内濾過構成体1Aの下端のフランジ部には下端側から内濾過支持リング7Bが突き合わされる。内濾過支持フランジ7Aは、内濾過体1および内濾過支持体6の外径と等しい外径でこれらのフランジ部の内径と略等しい内径の筒状部と、この筒状部の外周面上端から外周側に広がるフランジ部とを有し、この内濾過支持フランジ7Aのフランジ部の外径は、ギア室5の蓋体5Bの円形孔の内径よりも大きくされている。また、内濾過支持リング7Bは、内濾過体1および内濾過支持体6と等しい外径と、これらのフランジ部と略等しい内径とを有する断面方形のリング状とされている。
【0034】
さらに、これら内濾過支持フランジ7Aおよび内濾過支持リング7Bと、その間に挟まれた内濾過体1および内濾過支持体6は、内濾過支持フランジ7Aから内濾過支持リング7Bに亙って内濾過体1の内濾過構成体1Aと内濾過支持体6の各フランジ部に軸線Oに平行に挿通された吊りボルト7Cが、内濾過支持リング7Bにねじ込まれるとともに、内濾過支持フランジ7Aには上端側からねじ込まれたナットによって締結されることにより一体化される。本実施形態では、周方向に等間隔をあけて複数本の吊りボルト7Cが挿通されている。
【0035】
そして、このように内濾過支持フランジ7A、内濾過支持体6、および内濾過支持リング7Bと同軸に一体化された内濾過体1は、下端の内濾過支持リング7Bから蓋体5B、4Cの円形孔および上記排出孔3A内を通して軸線Oと同軸に外濾過体2の内周に間隔をあけて挿入され、内濾過支持フランジ7Aのフランジ部がギア室5の蓋体5B上面に当接してボルト止めされることにより、上述のように軸線O方向の上端側から吊り下げられて固定される。なお、こうして吊り下げられて支持された内濾過体1の上下端の軸線O方向の高さは、同じく吊り下げられて支持された外濾過体2の上下端の高さと略等しくされ、さらに内濾過支持フランジ7Aの内周上端部は蓋体7Dによって覆われている。
【0036】
また、これら内濾過体1と外濾過体2の下端部は、環状部材8によって同軸に連結されている。環状部材8は、内径が内濾過支持リング7Bの内径と等しくされるとともに外径は外濾過体2の内径と略等しくされた円環板部8Aと、この円環板部8Aの外周縁から軸線O方向に上方に延びる円筒部8Bとから一体に構成されており、円環板部8Aの上面内周部と円筒部8Bの上端部とが内濾過支持リング7Bの下端面と外濾過体2の最下端の外濾過構成体2Aの下端フランジ部とにそれぞれボルト止め等によって接合されることにより、内濾過体1と外濾過体2の下端部を同軸かつ液密に連結する。
【0037】
さらに、この環状部材8の上記円環板部8Aには、上記濾過空間Sに濾過される被処理物を供給する被処理物供給管9が接続されている。この被処理物供給管9は、円環板部8Aに開口して軸線Oに平行に下方に延びた後に軸線Oに垂直な平面に沿って外周側に延びるように配設されており、本実施形態では該被処理物供給管9を介して上記濾過空間Sの下側から被処理物が圧送されて該濾過空間Sに供給される。なお、円環板部8Aには複数の被処理物供給管9が例えば周方向に等間隔に接続されていてもよく、本実施形態では2本の被処理物供給管9が軸線Oを間にして互いに反対側に接続されている。
【0038】
また、基板3から吊り下げられた外濾過体2の外周側と下側の空間は、この外濾過体2から間隔をあけて該外濾過体2を取り囲むように基板3の下面に設けられた有底の四角筒状のケーシング10によって覆われている。被処理物供給管9は、このケーシング10内で下方に延びた後に外周側に延び、その端部はケーシング10の壁面外側に開口するように接続されて、この端部から被処理物が上述のように圧送されて供給される。
【0039】
なお、内濾過体1の内周の空間は内濾過支持リング7Bおよび環状部材8の内周部を介してケーシング10内の下方に開放されているとともに、ケーシング10の底面は上記四角筒の1つの角部に向けて下方に傾斜していて、この角部に交差する壁面の一方の下端部には濾液排出孔10Aが設けられている。また、上述のように複数の被処理物供給管9を環状部材8に接続した場合には、これらの被処理物供給管9が軸線Oに平行に下方に延びた後に例えば軸線Oに垂直な1つの平面上で1本に統合されてケーシング10の壁面に開口していてもよい。
【0040】
一方、上記濾過空間Sには軸線O回りに捩れるリボンスクリュー11が該軸線Oを中心に回転可能に収容されている。このリボンスクリュー11は、
図1に示すように軸線Oに沿った断面が該軸線Oに垂直に延びるような板状材が、軸線O方向の上端側に向かうに従い回転方向の後方側に向けて螺旋状に捩られるように形成されたものであり、本実施形態では
図3に示すように複数条(2条)のリボンスクリュー11が濾過空間Sに収容されていて、これらのリボンスクリュー11は互いに同形同大で等しいリードとされるとともに周方向に等間隔をあけて一体に回転可能に配設されている。
【0041】
また、こうして軸線O回りに捩れたリボンスクリュー11は、該軸線O方向に対向する部分が連結部材11Aによって連結されている。従って、2条のリボンスクリュー11が周方向に等間隔に配設された本実施形態では、これらのリボンスクリュー11同士の軸線O方向に対向する部分同士が連結部材11Aによって連結され、周方向には等間隔をあけた複数箇所(例えば4箇所)が連結されている。
【0042】
この連結部材11Aは、軸線Oに平行に延びる板状の部材であって、
図1に示すようにその厚さの方向を軸線Oに対する径方向に向けて、この径方向におけるリボンスクリュー11の幅の中央部を連結するように該リボンスクリュー11に接合されている。ただし、連結部材11Aは、リボンスクリュー11の軸線O方向の上部ではこうして幅の中央部を連結する一方、下部では
図3に示すようにリボンスクリュー11の内周縁と外周縁とをそれぞれ連結していてもよく、またリボンスクリュー11の軸線O方向全長に亙ってその内外周縁を連結していてもよい。
【0043】
さらに、これらのリボンスクリュー11および連結部材11Aの下端縁は、軸線Oに垂直な円環板部11Bに接合されており、この円環板部11Bとリボンスクリュー11の内径は内濾過体1の外周面に、外径は外濾過体2の内周面に、それぞれ摺接可能な大きさとされている。ただし、円環板部11Bには、その内外周縁と間隔をあけるとともにリボンスクリュー11および連結部材11Aとの接合部を避けるようにして複数の貫通孔11Cが周方向に間隔をあけて形成されており、上記被処理物供給管9から供給された被処理物がこれらの貫通孔11Cを通って濾過空間Sに供給されてリボンスクリュー11上に乗り上げ可能とされている。
【0044】
そして、これらのリボンスクリュー11の上端部にはスクリュー支持体12が取り付けられており、リボンスクリュー11も、このスクリュー支持体12を介して、内外濾過体1、2と同様に軸線O方向の上端側から吊り下げられて軸線O回りに回転自在に支持されている。このスクリュー支持体12は、リボンスクリュー11の内径と等しい内径で内濾過支持体6の内円筒部6Aの外周に摺動可能に外嵌される軸線Oを中心とした円筒状の外円筒部12Aを備えており、この外円筒部12Aの下端部外周がリボンスクリュー11の上端部内周に、周方向にある程度の長さ(例えば、1つのリボンスクリュー11について(周方向の全周の長さ/リボンスクリュー11の条数)分の長さ)をもってリボンスクリュー11の捩れに沿って接合されることにより、スクリュー支持体12はリボンスクリュー11と一体に回転可能に取り付けられている。
【0045】
なお、スクリュー支持体12の外周面と基板3の排出孔3A上面に取り付けられたシール部材3Bとの間には、圧搾リング3Cが備えられている。この圧搾リング3Cは、スクリュー支持体12の外周面が摺接して回転可能な内径の軸線Oを中心とした円筒面状をなす内周面と、軸線Oに垂直な平坦面をなす上面と、外周側に向かうに従い上方に向かうように傾斜した軸線Oを中心とする円錐台面状をなす外周面とを有し、この外周面の傾斜はシール部材3Bの面取りされた部分の傾斜と等しくされるとともに、その外径は面取り部分の外径と略等しくされている。このような圧搾リング3Cは、図示されないアームを介して同じく図示されないシリンダー装置に連結されて、回転はせずに軸線O方向に上下動可能に支持され、排出孔3Aから排出される濾過ケーキを圧搾することにより、その含水率を調整する。
【0046】
さらに、スクリュー支持体12の上記外円筒部12Aの上端部外周にはフランジ部12Bが設けられるとともに、このフランジ部12Bには
図1に示すように断面方形円環状のギア支持リング12Cおよび円環平板状のギア支持板12Dを介してピニオンギア12Eが取り付けられている。ギア支持リング12Cとギア支持板12Dは外円筒部12Aと等しい内径を有し、フランジ部12Bの上にギア支持リング12Cが、その上にギア支持板12Dが同軸に重ねられて固定されている。また、ギア支持リング12Cの外径はフランジ部12Bより僅かに大きく、ケーキ排出室4の蓋体4Cの円形孔に摺接して嵌合可能な大きさとされていて、この円形孔の内周面には図示されないシール部材がギア支持リング12Cの外周面との間に介装されている。
【0047】
さらにまた、上記ピニオンギア12Eは、ギア支持リング12Cの外径よりも大きく、ギア支持板12Dの外径よりは小さな内径と、ギア支持板12Dの外径よりも大きな外径を有する円環状とされ、これらギア支持リング12Cおよびギア支持板12Dと同軸に、ギア支持板12Dの外周部下面に取り付けられていて、その外周面に歯車が形成されている。従って、ギア支持板12D下面のギア支持リング12C外周とピニオンギア12E内周との間には、断面方形をなす環状の間隙部が形成されることになる。
【0048】
一方、ギア室5内における上記蓋体4Cの上面には、蓋体4Cの円形孔に上述のように上記ギア支持リング12Cを嵌合させて挿入した際に、ギア支持板12D下面の上記間隙部に収容されるように、円環状の軸受け5Cが配設されている。この軸受け5Cは、内径がギア支持リング12Cの外径よりも大きく、外径はピニオンギア12Eの内周面に嵌合可能な大きさとされ、その外周面にはボールベアリング等のベアリングがピニオンギア12Eの内周面との間に介装されるように配設されて、ピニオンギア12Eを軸線O回りに回転自在に支持している。なお、こうして支持された状態で、ピニオンギア12E下面と蓋体4C上面との間および軸受け5C上面とギア支持板12Dの下面との間には僅かな隙間があけられる。
【0049】
従って、こうして軸受け5Cに支持されることにより、外円筒部12A、フランジ部12B、ギア支持リング12C、ギア支持板12D、およびピニオンギア12Eよりなるスクリュー支持体12を介して、リボンスクリュー11は上述のように軸線O方向の上端側から吊り下げられて軸線O回りに回転自在に支持される。さらに、ギア室5内にはピニオンギア12Eと噛合する駆動ギア5Dが配設されるとともに、ギア室5の蓋体5Bにはモータおよび減速器等からなるスクリュー回転手段5Eが設けられて駆動ギア5Dに連結されており、このスクリュー回転手段5Eによって駆動ギア5Dを回転することにより、スクリュー支持体12を介してリボンスクリュー11が軸線O回りに回転駆動される。
【0050】
また、上記内濾過体1の内周には該内濾過体1を洗浄する内周洗浄管13が軸線O方向に延びるように挿通されるとともに、上記外濾過体2の外周には該外濾過体2を洗浄する外周洗浄管14がやはり軸線O方向に延びるように配設されている。これら内周洗浄管13と外周洗浄管14とは、内外濾過体1、2の軸線O方向における下端側において連結されて軸線O回りに一体に回転可能とされている。
【0051】
本実施形態では、1本の内周洗浄管13がケーシング10の底面から軸線Oに沿って挿通されていて、このケーシング10底面への挿通部分において内周洗浄管13は軸受け13Aにより軸線O回りに回転自在かつ液密に支持されている。また、軸受け13Aよりも下方のケーシング10外において内周洗浄管13にはピニオンギア13Bが取り付けられており、このピニオンギア13Bに噛合する駆動ギアを備えたモータおよび減速器等からなる洗浄管回転手段13Cにより、内周洗浄管13は所定の回転範囲内において往復回転可能とされる。
【0052】
さらに、上記ピニオンギア13Bよりも下方において、内周洗浄管13の下端には図示されないスイベルジョイントを介して洗浄液供給管が接続されており、内周洗浄管13の回転に関わらずに洗浄水等の洗浄液が内周洗浄管13に供給可能とされている。また、内周洗浄管13の上端は、内濾過支持フランジ7Aの内周上端部を覆う蓋体7Dの下面中央部に軸線O回りに回転自在に支持されている。
【0053】
この内周洗浄管13には、上述のように洗浄液供給管から供給された洗浄液を内濾過体1内周の濾過面に向けて拡散噴出するノズル13Dが設けられている。本実施形態では、軸線O方向に向けて等間隔をあけて複数のノズル13Dが、軸線Oに対する1つの半径方向と、これとは反対向きの他の1つの半径方向に洗浄液を噴出するように交互に配設されて、内周洗浄管13の回転により内濾過体1内周の濾過面全体に亙って洗浄液を供給可能に設けられている。なお、このうち最上端の内濾過構成体1Aの上端フランジ部よりも軸線O方向において上方では、内周洗浄管13が分割されて液密に連結されるなどして、洗浄液が供給されないように構成されていてもよい。
【0054】
一方、外周洗浄管14は、内濾過体1と外濾過体2の軸線O方向における下端側のケーシング10内において内周洗浄管13に連結されて内周洗浄管13と一体回転可能とされており、内周洗浄管13との連結部から軸線Oに対する半径方向に延びた後に該半径方向における外濾過体2の外周側で直角に曲折して軸線Oに平行に上方に延びるL字状とされている。なお、外周洗浄管14の上端は基板3の下面より下方に位置して液密に封止されている。
【0055】
また、外周洗浄管14は、内周洗浄管13との連結部において該内周洗浄管13に連通しており、上記洗浄液供給管から供給された洗浄液が内周洗浄管13から分岐して外周洗浄管14にも供給される。この外周洗浄管14の軸線Oに平行に延びる部分にも、該洗浄液を外濾過体2の外周面に向けて拡散噴出するノズル14Aが、軸線O方向に等間隔をあけて複数(例えば内周洗浄管13のノズル13Dと同数)設けられている。
【0056】
さらに、外周洗浄管14は、軸線O方向において上記被処理物供給管9が環状部材8から下方に延びる範囲内で内周洗浄管13に連結されている。また、上述のように複数(2本)の被処理物供給管9が周方向に等間隔に接続された本実施形態では、
図1に示すように外周洗浄管14も周方向に等間隔に複数本(被処理物供給管9と同数の2本)が内周洗浄管13に接続されており、これらの外周洗浄管14が被処理物供給管9と干渉しない回転範囲内で内周洗浄管13と一体に回転することにより、外濾過体2の外周面全体に亙って洗浄液が供給可能とされている。
【0057】
このような縦型スクリュープレス式濾過装置では、例えば汚泥等の被処理物が、上述のように被処理物供給管9を圧送されてリボンスクリュー11下端の円環板部11Bに形成された貫通孔11Cを通り濾過空間Sに下方から供給され、リボンスクリュー11の回転に伴って上方に搬送されつつ、内外濾過体1、2の濾材を介して液分(濾液)が除去されて濾過される。除去された濾液は、内濾過体1の内周と外濾過体2の外周を伝わってケーシング10の底面に滴下し、濾液排出孔10Aから排出される。また、濾過空間Sを上方に搬送された濾過ケーキは、圧搾リング3Cによって含水率が調整されつつ排出孔3Aからケーキ排出室4のターンテーブル4D上に排出されて外周側に押し出され、ターンテーブル4Dの回転に伴い上述のように掻き取り板により掻き取られながら掻き取り板に沿って移動して排出口4Bから排出される。
【0058】
そして、上記構成の縦型スクリュープレス式濾過装置では、内濾過体1は外周面が軸線Oを中心とした円筒面状をなす内円筒部6Aを備えた内濾過支持体6を介して軸線O方向上端側から吊り下げられて支持されるとともに、リボンスクリュー11も内周面が軸線Oを中心とした円筒面状をなす外円筒部12Aを備えたスクリュー支持体12を介して軸線O方向上端側から吊り下げられて支持されているので、これら内濾過体1とリボンスクリュー11の下方にこれらを支持するための複雑な支持構造やシール構造を設ける必要が無くなり、リボンスクリュー11が収容される濾過空間Sの高さおよび装置全体の高さを低く抑えることができる。
【0059】
例えば、本実施形態ではケーシング10の下方から上述のように内周洗浄管13が挿通されているが、特許文献1に記載された縦型スクリュープレス式濾過装置のようにこのような洗浄管を設けることを考慮しなければ、濾過空間Sの下方には被処理物供給管9のスペースと濾液排出のためのスペースを確保すればよく、内外濾過体の重量やこれらに作用する被処理物の重量を機台で支持する必要がない。このため、濾過ケーキが排出される濾過空間Sの上端までの高さを低くすることができるとともに、これに伴い濾過装置自体の高さも低く抑えることができる。特に、本実施形態では、外濾過体2も軸線O方向上端側から吊り下げられて支持されているので、濾過空間Sや装置全体の高さを一層確実に低く抑えることができる。
【0060】
従って、内外濾過体1、2を組み付ける際や、その間の濾過空間Sにリボンスクリュー11を収容する際などの当該濾過装置の組み立てやそのメンテナンスが高所での作業となるのを避けることができて、作業性の向上を図ることが可能となる。また、例えば濾過空間Sからケーキ排出室4を介して排出口4Bから排出された濾過ケーキをコンベア等によって搬送して回収する場合でも、濾過空間Sの上端の高さを低く抑えることができるのに伴い上記コンベア等も低位置に配設することができ、このようなコンベアを設ける際の設置コストを削減するとともに、濾過装置が配設される建屋に高さ制限があるような場合でも対応することが可能となる。
【0061】
さらに、リボンスクリュー11を吊り下げ支持するスクリュー支持体12の外円筒部12Aは、内濾過体1を支持する内濾過支持体6の内円筒部6Aの外周に摺動可能に嵌合されており、これら内外円筒部6A、12Aの嵌合によって内濾過体1とリボンスクリュー11との位置調整が容易となり、これら内濾過体1とリボンスクリュー11の同心度や組み立て精度の向上を図ることができる。特に、本実施形態では、内濾過支持体6の全体が内円筒部6Aとされるとともに、スクリュー支持体12も全体が内円筒部6Aに外嵌する外円筒部12Aとされ、さらにスクリュー支持体12のフランジ部12Bからギア支持リング12C、ギア支持板12Dも外円筒部12Aと等しい内径を有しているので、一層高い同軸性を確保することができる。また、こうして内外円筒部6A、12Aが嵌合することにより、リボンスクリュー11の上部における支持剛性も十分に確保することができ、リボンスクリュー11を円滑に回転自在として安定した濾過を促すことができる。
【0062】
さらにまた、本実施形態では、リボンスクリュー11が、このスクリュー支持体12に連結されたギア支持リング12C、ギア支持板12D、およびピニオンギア12Eを介してスクリュー回転手段5Eに連結されて、やはり上端側から軸線O回りに回転駆動させられる。このため、濾過空間Sに収容されるリボンスクリュー11の下方に回転駆動手段を設けなる必要もなく、やはり該濾過空間Sの高さをさらに確実に抑えることができる。しかも、スクリュー支持体12は、その外円筒部12Aが内濾過支持体6の内円筒部6A外周に摺動しつつ回転駆動させられるので、支持剛性が確保されることと相俟ってスクリュー回転手段5Eによる回転トルクに対して高い強度を得ることができ、効率的に回転駆動力をリボンスクリュー11に伝達するとともに、内濾過体1との間の高い同軸性を維持したままリボンスクリュー11を回転させることができる。このため、確実にリボンスクリュー11によって被処理物を搬送しつつ内濾過体1によって濾過することが可能となる。
【0063】
また、リボンスクリュー11の上端部内周は、その捩れに沿って周方向に上述のようなある程度の長さでスクリュー支持体12の外円筒部12A下端に接合されて支持されており、このスクリュー支持体12に、スクリュー回転手段5Eによって回転駆動させられるピニオンギア12Eが上記ギア支持リング12Cおよびギア支持板12Dを介して連結されていて、回転駆動力もスクリュー支持体12を介してこのように接合されたリボンスクリュー11に伝達されるので、リボンスクリュー11に無理な捩れの力が作用することも少ない。しかも、これらギア支持リング12C、ギア支持板12D、およびピニオンギア12Eは、スクリュー支持体12の上端部に連結されているので、スクリュー支持体12の周囲に形成されるケーキ排出室4に十分なスペースを確保することができ、円滑な濾過ケーキの排出を図ることができる。
【0064】
さらに、内濾過支持体6によって支持される内濾過体1の外周面は、該内濾過支持体6の上記内円筒部6Aの外周面と等しい外径の軸線Oを中心とした円筒面状をなしている。従って、例えば内濾過体1のメンテナンスを行う場合は、最下端の内濾過構成体1Aのフランジ部に突き合わされた内濾過支持リング7Bと環状部材8の円環板部8Aとのボルト止め等による接合を解くとともに、内濾過支持体6の上端に取り付けられた内濾過支持フランジ7Aのフランジ部とギア室5の蓋体5Bとのボルト止め等による接合を解くことにより、内濾過支持体6ごと内濾過体1をリボンスクリュー11およびスクリュー支持体12の内周から引き抜くことができ、容易にメンテナンスを行うことが可能となる。
【0065】
また、本実施形態では、上記濾過空間Sに複数条のリボンスクリュー11が軸線O回りに間隔をあけて一体回転可能に収容されており、被処理物を搬送する際に作用する回転トルクをこれら複数条のリボンスクリュー11に分散させることができて、リボンスクリュー11を厚くしたりせずとも変形等を防止することができる。しかも、各リボンスクリュー11のリードは変化させることなく軸線O方向のピッチを狭めることができるため、濾過空間Sへの被処理物の充填率を高くすることができる。
【0066】
さらに、こうして複数条のリボンスクリュー11を濾過空間Sに収容することにより、1回転当たりにリボンスクリュー11の内外周縁が内外濾過体1、2の濾過面を掻き取る回数が増えるので、濾過面の詰まりを防いで濾過速度を高めることができ、結果的に均一な濾過を促して濾過ケーキの含水率のばらつきを抑え、処理能力の向上を図ることができる。従って、処理能力を等しくすれば濾過空間Sを一層低く抑えることができる。特に、これらの効果は、本実施形態のように複数条のリボンスクリュー11を周方向に等間隔に配置した場合に有効である。
【0067】
さらにまた、本実施形態では、リボンスクリュー11の軸線O方向に対向する部分が連結部材11Aによって連結されており、該リボンスクリュー11の取付強度を向上させて変形等を一層確実に防止することができる。特に、上述のようにリボンスクリュー11が吊り下げられて支持されている場合は、連結部材11Aには引っ張り応力が作用することになるので、圧縮応力が作用する場合に比べて細い連結部材11Aでも強度を確保することができ、連結部材11Aによって被処理物の搬送が妨げられるのを防ぐこともできる。なお、本実施形態では複数条のリボンスクリュー11を連結部材11Aによって連結しているが、1条のリボンスクリューを濾過空間Sに収容した場合でも同様の効果を得ることができる。
【0068】
また、本実施形態では、このように軸線O方向の上端側から吊り下げられて支持された内濾過体1と、同じく吊り下げられて支持された外濾過体2の下端部が環状部材8によって同軸に連結されているので、こうして吊り下げられていても内外濾過体1、2を軸線O方向の全長に亙って該軸線Oと同軸となるように位置調整することができ、組み立て精度の向上を図ることができるとともに、このような同軸性を確保するために内外濾過体1、2の下端を支持する必要もなくなり、より確実に濾過空間Sおよび装置全体の高さを抑えることが可能となる。さらに、本実施形態のように濾過空間Sの下方から被処理物を供給する場合でも、この環状部材8によって該濾過空間Sの下端を密封して被処理物の漏出を防ぐことができるので、漏出防止のための複雑なシール構造などを要することもない。
【0069】
そして、上記構成の縦型スクリュープレス式濾過装置では、上述のようにリボンスクリュー11もスクリュー支持体12を介して軸線O回りに回転自在に吊り下げられて支持されているので、こうして内外濾過体1、2の下端部を環状部材8によって連結しても、この環状部材8にリボンスクリュー11が干渉するのを避けることができる。また、本実施形態のように、このスクリュー支持体12を介してリボンスクリュー11を回転駆動する場合には、そのスクリュー回転手段5Eが環状部材8と干渉するのも避けることができ、やはり複雑なシール構造等を要することがない。
【0070】
一方、本実施形態では、上記内濾過体1が、軸線O方向の上端側から該内濾過体1の内周に挿通される吊りボルト7Cによって吊り下げられて支持されることにより固定されている。このため、該吊りボルト7Cの上端締結部の軸線Oとの位置を適正に設定することによって内濾過体1を確実かつ容易に軸線Oに同軸に配置することができ、組み立て精度の一層の向上を図ることができる。また、上述のように内濾過体1のメンテナンスを行う場合でも、この吊りボルト7Cを介して内濾過体1を吊り上げて引き抜くことができるので、メンテナンス性も一層向上する。
【0071】
また、内濾過体1の上端に配置される該内濾過体1と等しい外径の内濾過支持体6も、この吊りボルト7Cによって内濾過体1と一体に吊り下げられて支持されている。このため、この内濾過支持体6も内濾過体1と同様に軸線Oに対して確実に同軸配置することができ、組み立て精度の向上と内濾過体1の吊り下げ構造の簡略化を図るとともに、上述のようにこの内濾過支持体6にスクリュー支持体12を外嵌した場合でも、このスクリュー支持体12やリボンスクリュー11を正確に軸線O回りに回転自在に支持することができる。
【0072】
さらにまた、内濾過体1は、本実施形態では軸線O方向に分割される複数の内濾過構成体1Aによって構成されており、これらの内濾過構成体1Aが上記吊りボルト7Cによって一体に吊り下げられて支持されているので、これらの内濾過構成体1Aも精度よく同軸に支持して内濾過体1を構成することが可能となる。さらに、これらの内濾過構成体1Aにより構成された内濾過体1と上記内濾過支持体6が、周方向の1箇所についてはそれぞれのフランジ部に内濾過支持フランジ7Aから挿通された1本の吊りボルト7Cが内濾過支持リング7Bにねじ込まれることによって一体化されていて、例えばフランジ部ごとにボルトとナットで締結する場合のように微小なずれが軸線O方向に亙って順次積み重なって軸線Oに対する径方向に大きなずれを生じるようなこともない。
【0073】
また、このように内濾過体1が軸線O方向に分割される複数の内濾過構成体1Aによって構成されることにより、個々の内濾過構成体1Aの軸線O方向の長さは短くすることができ、内濾過構成体1Aおよび内濾過体1を容易に製造することが可能となる。さらに、一部の内濾過構成体1Aに損傷等が生じたような場合でも、内濾過体1全体を交換することなく、その部分だけを交換することもできる。
【0074】
さらにまた、少なくとも一部の内濾過構成体1Aの濾材の開孔の大きさや開孔率を他と異なるものにするなど、異なる機能の内濾過構成体1Aを組み合わせることもでき、例えば被処理物供給管9側では開孔の大きさや開孔率が大きい内濾過構成体1Aによって濾液を速やかに除去する一方、濾過ケーキの排出孔3A側では開孔の大きさや開孔率を小さくして濾過ケーキの圧搾を図ることもできる。なお、これらの効果は、内濾過体1と同様に軸線O方向に分割される複数の外濾過構成体2Aによって構成された外濾過体2でも得ることができる。
【0075】
一方、本実施形態では、内濾過体1の内周に該内濾過体1を洗浄する内周洗浄管13が軸線O方向に延びるように挿通されるとともに、外濾過体2の外周には該外濾過体2を洗浄する外周洗浄管14が同様に軸線O方向に延びるように配設されており、これら内周洗浄管13と外周洗浄管14とが、内外濾過体1、2の軸線O方向における下端側において連結されて該軸線O回りに一体に回転可能とされている。
【0076】
このため、上端側から吊り下げられて固定された内外濾過体1、2の濾過面を、回転する内外周洗浄管13、14によって少ない洗浄液量で満遍なく洗浄して内外濾過体1、2の濾過面の詰まりを解消することができ、洗浄液を供給するポンプ等の設備も小さくできる。さらに、1つの洗浄管回転手段13Cによって内外周洗浄管13、14を回転させて内外濾過体1、2の濾過面全体を洗浄することができるので、効率的である。
【0077】
また、これら内周洗浄管13と外周洗浄管14とは、内濾過体1と外濾過体2の軸線O方向における下端側において互いに連通させられており、内周洗浄管13に供給された洗浄液が分岐して外周洗浄管14にも供給されることにより、外濾過体2の濾過面を洗浄する。このため、洗浄液を供給する上記ポンプ等も1つで済むため効率的であるとともに、スイベルジョイント等の装置構造も簡略化することができ、またメンテナンス性にも優れている。
【0078】
なお、本実施形態では、被処理物供給管9により濾過空間Sの下方から被処理物を供給してリボンスクリュー11により上方に搬送しつつ濾過し、濾過空間Sの上端の排出孔3Aから濾過ケーキを排出するようにしているが、逆に濾過空間Sの上方から被処理物を供給してリボンスクリュー11により下方に搬送しつつ濾過し、こうして濾過された濾過ケーキを濾過空間Sの下端から排出するようにしてもよい。また、被処理物供給管9を、本実施形態のように環状部材8に接続するのに代えて、外濾過体2の例えば下端部に接続して濾過空間Sに開口させてもよく、この場合にはリボンスクリュー11の円環板部11Bに貫通孔11Cを形成する必要がなくなる。
【0079】
さらに、本実施形態では、内濾過体1と外濾過体2が軸線Oを中心とした一定外内径の円筒状とされ、これに伴いリボンスクリュー11もその内外径が一定とされているが、例えば軸線Oに直交する断面における内外濾過体1、2の濾過面とリボンスクリュー11とにより囲まれる部分の断面積が被処理物の供給側から濾過ケーキの排出側に向けて小さくなるように、内外濾過体1、2の少なくとも一方を、軸線Oを中心とした円錐状あるいは多段の円筒状に形成し、これに併せてリボンスクリュー11の内外径も変化するようにしてもよい。また、リボンスクリュー11のリードも軸線O方向に向けて変化するようにしてもよい。