(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記電力量設定装置及び前記制御装置は、前記発電機から前記電気ヒータに供給する電力をチョッパ制御することを特徴とする請求項1記載のアスファルトフィニッシャ。
前記制御装置は、前記外気温度の上昇に伴い前記電気ヒータに供給する電力量が小さくなるよう前記電力量設定装置を制御することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載のアスファルトフィニッシャ。
前記制御装置は、前記外気温度と前記電気ヒータの制御値との関係を示すテーブルを有することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載のアスファルトフィニッシャ。
【発明を実施するための形態】
【0015】
次に、添付の図面を参照しながら、本発明の限定的でない例示の実施形態について説明する。
【0016】
なお、添付の全図面の中の記載で、同一又は対応する部材又は部品には、同一又は対応する参照符号を付し、重複する説明を適宜省略する。また、図面は、特に指定しない限り、部材もしくは部品間の相対比を示すことを目的としない。従って、具体的な寸法は、以下の限定的でない実施形態に照らし、当業者により決定することができる。
【0017】
また、以下説明する実施形態は、発明を限定するものではなく例示であって、実施形態に記述される全ての特徴やその組み合わせは、必ずしも発明の本質的なものであるとは限らない。
【0018】
図1は、本発明のある実施形態であるアスファルトフィニッシャ10の概略構成を示している。
図1(A)はアスファルトフィニッシャ10の一部断面として示した概略図、
図1(B)はアスファルトフィニッシャ10のスクリード装置24の概略構成を示す平面図である。
【0019】
アスファルトフィニッシャ10は、
図1(A)に示すように、走行本体部20とスクリード装置24とを有している。走行本体部20は、その前部にアスファルト加熱混合物(以下、「混合物」という)Kが積み込まれるホッパ21が設けられている。
【0020】
また、走行本体部20のホッパ21の後方の車体下部には、ホッパ21に積み込まれた混合物Kを搬送するコンベヤ22が設けられている。更に、走行本体部20のコンベヤ22の後方には、スクリュスプレッダ23が設けられている。スクリュスプレッダ23は、スクリュ軸の外周にスクリュ羽根を有し、コンベヤ22から路面上に落下した混合物Kを路面幅方向に撒き拡げる。
【0021】
スクリード装置24は、走行本体部20の後方に設けられている。このスクリード装置24は、撒き拡げられた混合物Kを敷き均して舗装面を平滑に仕上げる。
【0022】
走行本体部20は、一対の後輪25a,25b及び一対の前輪26a,26bによって走行し、スクリード装置24を牽引する。また、走行本体部20の運転席には、操作部27が設けられている。この操作部27には、舗装処理時にコンベア22及びスクリード装置24等を操作するための各種操作レバーや操作スイッチ等が装備されている。
【0023】
スクリード装置24は、
図1(B)に示すように、中央に配置され所定の舗装幅で混合物Kを敷き均すフロントスクリードプレート30と、このフロントスクリードプレート30の図中左側(図中矢印X1方向側)に配設される左スクリードプレート31と、図中右側(図中矢印X2方向側)に配設される右スクリードプレート32とを備えている。
【0024】
この左スクリードプレート31及び右スクリードプレート32は、フロントスクリードプレート30に対し、フロントスクリードプレート30の長手方向(図中矢印X1,X2方向)に移動可能な構成となっている。よって、各スクリードプレート30,31,32の幅方向の全体長さ(図中矢印X1,X2方向の長さ)は、左スクリードプレート31及び右スクリードプレート32が移動することにより調整可能な構成となっている。これにより、舗装幅を任意に設定することが可能となる。
【0025】
スクリード装置24は、舗装面を平滑に仕上げると共に混合物K等がスクリードプレート30,31,32に付着するのを防ぐため、スクリードプレート30,31,32を加熱する必要がある。本実施形態では、スクリードプレート30,31,32を加熱するのに電気加熱方式を用いている。このためスクリード装置24には、フロントスクリードプレート30を加熱する電気ヒータ40、左スクリードプレート31を加熱する電気ヒータ41、及び右スクリードプレート32を加熱する電気ヒータ42が設けられている。
【0026】
次に、スクリードプレート30,31,32に対する電気ヒータ40,41,42の取付け構造について説明する。なお、各スクリードプレート30,31,32に対する電気ヒータ40,41,42の取付け構造はほぼ等しいため、以下の説明では
図2及び
図3を用いてフロントスクリードプレート30に対する電気ヒータ40の取付け構造についてのみ説明し、他のスクリードプレート31,32に対する電気ヒータ41,42の取付け構造についての説明は省略する。
【0027】
図2に示されるように、フロントスクリードプレート30はスクリード装置24の下面部に配設されている。フロントスクリードプレート30の左側端部(図中、矢印X1方向側の端部)は、
図3に示されるように左側のフレーム33,35,36に支持されており、右スクリードプレート32の右端部(図中、矢印X2方向側の端部)は右側のフレーム34,35,36に支持されている。
【0028】
電気ヒータ40は、
図3に示されるように、第1ヒータ40Aと第2ヒータ40Bとにより構成されている。第1及び第2ヒータ40A,40Bへの通電は互いに独立に切替え可能な構成とされている。これにより、一方のヒータが故障しても他方のヒータで舗装工事を行えるため、フロントスクリードプレート30に対する冗長性が確保されている。
【0029】
後述するように、各電気ヒータ40,41,42には発電機47から電力供給がされる。この発電機47からの電力供給により各電気ヒータ40,41,42は発熱し、これにより各フロントスクリードプレート30,31,32は加熱される。
【0030】
次に、電気ヒータ40,41,42に対する加熱制御処理を行う電気ヒータの制御系について、
図4を用いて説明する。なお
図4においては、図示の便宜上、各電気ヒータ40,41,42を一つのヒータとして示している。また、後述する電磁比例弁45、油圧モータ46、及びヒータ温度調整装置55については、図示の便宜上
図4の2カ所に図示しているが、実際は一つの装置である。
【0031】
アスファルトフィニッシャ10は、主にスクリード装置24の各ヒータ40,41,42を制御するヒータ制御コントローラ50と、主に走行本体部20を制御する走行本体制御コントローラ51と、コンベア22を制御するコンベア制御コントローラ52とを有している。この各コントローラ50,51,52は、バスライン53により接続されており、互いにデータの授受を行いうる構成となっている。
【0032】
エンジン43は、油圧ポンプ44を駆動する。油圧ポンプ44が駆動することによりオイルタンクOT内のオイルは電磁比例弁45を介して油圧モータ46に供給され、油圧モータ46は駆動軸を回転させる。発電機47は油圧モータ46の駆動軸に接続されており、駆動軸が回転することにより発電機47は発電を行う。
【0033】
油圧センサ49は、油圧ポンプ44が油圧モータ46に供給するオイルの油圧を検出する。この油圧センサ49が検出したオイル油圧は、ヒータ制御コントローラ50に送信される。
【0034】
走行本体制御コントローラ51は、油圧モータ46の回転を制御する。また走行本体制御コントローラ51は、ヒータ制御コントローラ50から油圧センサ49が検出したオイル油圧の情報が送信される。そして、このオイル油圧が所定値以上になった時、走行本体制御コントローラ51は電磁比例弁45は閉弁し、油圧モータ46が過回転となることを防止している。
【0035】
発電機47は、ブレーカ48、ヒータ温度調整装置55を介してスクリード装置24に設けられた各電気ヒータ40,41,42に接続されている。よって各電気ヒータ40,41,42は、発電機47から供給される電力により加熱を行う。
【0036】
ブレーカ48は、電気ヒータ40,41,42に過剰電流が流れた場合、発電機47から各電気ヒータ40,41,42への電力供給を停止する。また、ヒータ温度調整装置55は、各電気ヒータ40,41,42への電極供給量を制御する。
【0037】
このヒータ温度調整装置55は、ヒータ制御コントローラ50に接続されている。よって、各電気ヒータ40,41,42の出力(加熱量)は、ヒータ制御コントローラ50により制御される。なお、説明の便宜上、ヒータ温度調整装置55の詳細については後述するものとする。
【0038】
ヒータ制御コントローラ50は、加熱温度センサ37,38,39、油圧センサ49、ヒータ温度調整装置55、モード切り換えスイッチ60、表示装置62、及び外気温度センサ70等が接続されている。
【0039】
加熱温度センサ37は、フロントスクリードプレート30の温度を測定するものである。この加熱温度センサ37で測定されたフロントスクリードプレート30の加熱温度データは、ヒータ制御コントローラ50に送信される。同様に、加熱温度センサ38で測定された左スクリードプレート31の加熱温度データ、及び加熱温度センサ39で測定された右スクリードプレート32の加熱温度データもヒータ制御コントローラ50に送信される。
【0040】
油圧センサ49は、前記のように油圧ポンプ44が油圧モータ46に供給するオイルの油圧を検出するものであり、ヒータ制御コントローラ50は油圧センサ49から送信される油圧データに基づき油圧モータ46を制御する。
【0041】
モード切り換えスイッチ60は、操作部27に設けられている。本実施形態に係るアスファルトフィニッシャ10は、舗装の施工を行うに際して少なくとも二つの制御モードを有している。その一つは準備モードであり、もう一つは施工モードである。この準備モードと施工モードは、アスファルトフィニッシャ10のオペレータ(運転者)がモード切り換えスイッチ60を操作することにより切り替えることができる。
【0042】
なお、本実施形態ではモード切り換えスイッチ60としてロータリスイッチを適用した例を示しているが、これに限定されるものではない。また、モード切り換えスイッチ60は、準備モードも施工モードも実施しない切り状態とすることもできる。なお、本実施形態では、モード切り換えスイッチ60は、切り状態位置を挟んで一方側に準備モード、他方側に施工モードを配置しているがこれに限られない。更に、他のモードを追加することもできる。
【0043】
ここで準備モードとは、外界の温度(環境温度)とほぼ等しくなっている各スクリードプレート30,31,32を、道路表面に対して舗設を行うのに適した所定温度(以下。この温度を所定加熱温度という)まで加熱するモードである。
【0044】
これに対して施工モードとは、準備モードを実施することにより所定加熱温度となった各スクリードプレート30,31,32が所定加熱温度を保持するよう(保温されるよう)制御を行うモードである。なお、所定加熱温度は、操作部27に設けられた加熱温度設定スイッチ(図示せず)で調整することが可能な構成となっている。
【0045】
表示装置62は、操作部27に配設されている。この表示装置62には、加熱温度センサ37,38,39で測定された各スクリードプレート30,31,32の温度、及び加熱設定スイッチで設定された所定加熱温度等の舗設処理を行うのに必要な各種情報が表示される。
【0046】
外気温度センサ70は、外気の温度を測定するセンサーである。外気温度センサ70で測定された外気温度データは、ヒータ制御コントローラ50に送信される。また外気温度センサ70の配設位置は、各種装置及び機器が発生する熱に影響を受けない位置に設定されている。
【0047】
一方、走行本体制御コントローラ51は、走行本体部20の駆動を制御するための各種装置及び機器が接続されている。
図4に示す例では、走行本体制御コントローラ51に接続される各種装置・機器の内、電気ヒータ40,41,42に電力供給及びその制御に用いられる電磁比例弁45、油圧モータ46、及び適温表示灯64のみを示している。
【0048】
走行本体制御コントローラ51は、発電機47が安定した電力を発生させるよう電磁比例弁45及び油圧モータ46を制御する。また適温表示灯64は、後述するように各スクリードプレート30,31,32が所定の温度とった時に走行本体制御コントローラ51により点灯される。
【0049】
なお、コンベア制御コントローラ52にも各装置・機器が接続されるが、前記した準備モード及び施工モードに直接関係するものがないため、
図4では図示を省略している。
【0050】
次に、ヒータ温度調整装置55について説明する。
【0051】
ヒータ温度調整装置55は、3台の電気ヒータ40,41,42に対応して、3個のソリッドステートリレー56,57,58(以下、SSRと略称する)により構成されている。発電機47で発電された電力は、3分岐されて各SSR56,57,58に供給される。
【0052】
SSR56は、フロントスクリードプレート30を加熱する電気ヒータ40に接続されている(以下、SSR56をフロントヒータ用SSR56という)。またSSR57は、左スクリードプレート31を加熱する電気ヒータ41に接続されている(以下、SSR57を左ヒータ用SSR57という)。またSSR58は、右スクリードプレート32を加熱する電気ヒータ42に接続されている(以下、SSR58を右ヒータ用SSR58という)。
【0053】
更に、各SSR56,57,58は、それぞれヒータ制御コントローラ50に接続されている。このヒータ制御コントローラ50及びヒータ温度調整装置55(SSR56,57,58)は、電気ヒータ40,41,42に供給する電力をチョッパ制御する。よって、電気ヒータ40,41,42の加熱量はヒータ制御コントローラ50及びヒータ温度調整装置55により制御され、これに伴い各スクリードプレート30,31,32の温度も制御される。
【0054】
次に、ヒータ制御コントローラ50が実施する各スクリードプレート30,31,32の温度制御処理について説明する。ヒータ制御コントローラ50は、準備モードと施工モードで異なる制御を実施する。
【0055】
先ず、ヒータ制御コントローラ50が準備モード時に実施する温度制御処理について説明する。なお以下の説明においては、操作部27に設けられた加熱温度設定スイッチにより加熱温度が予め120℃に設定されているものとして説明を行うものとする。
【0056】
なお以下の説明において、この加熱温度設定スイッチにより設定された温度を設定加熱温度というものとする。また、以下の説明では設定加熱温度が120℃に設定された例について説明するが、設定加熱温度は120℃に限定されるものではなく、混合物Kの種類等の種々の要員により適宜設定することが可能である。
【0057】
図5は、ヒータ制御コントローラ50が実施する準備モード時の温度制御処理(以下、単に準備モード時処理という)の一実施形態を示すフローチャートである。また
図7は、
図5に示す準備モード時処理を実施する際に用いるテーブル(以下、出力設定テーブルという)を示している。
【0058】
図5に示す準備モード時処理は、例えばエンジン43が始動することにより起動する。また、例えばモード切り換えスイッチ60が切り状態位置から準備モード等の他のモードに切り換えられたときに起動する。準備モード時処理が起動すると、ヒータ制御コントローラ50はステップ10(図では「ステップ」を「S」と略称している)において、モード切り換えスイッチ60が準備モードとなっているか否か(準備モードONとなっているか否か)を判断する。
【0059】
モード切り換えスイッチ60が準備モードになっていない場合(NO判断の場合)には、ステップ11以降の処理を行うことなく準備モード時処理を終了する。これに対し、ステップ10でモード切り換えスイッチ60が準備モードとなっている場合(YES判断の場合)には、処理はステップ11に進む。
【0060】
ステップ11では、ヒータ制御コントローラ50は外気温度センサ70から送られる外気温度データに基づき、現在の外気温度Tを求める。続くステップ12では、ステップ11で求められた外気温度Tが40℃以上であるか否かを判断する。
【0061】
ヒータ制御コントローラ50は、外気温度Tが40℃未満であると判断(NO判断)すると処理をステップ13に進める。ステップ13では、ヒータ制御コントローラ50は
図7に示す出力設定テーブルに基づき、各SSR56,57,58が電気ヒータ40,41,42に供給する電力量の設定を行う。
【0062】
前記したように、SSR56,57,58は電気ヒータ40,41,42に供給する電力量をチョッパ制御する。このためヒータ制御コントローラ50は、
図7に示す出力設定テーブルに基づき、電気ヒータ40,41,42に電圧印加する時間(ON時間)と電圧印加を行わない時間(OFF時間)の割合(DUTY値)を設定し、これにより電気ヒータ40,41,42に供給する電力量を設定する。
【0063】
図7に示す出力設定テーブルは、外気温度と、SSR56,57,58のDUTY値(これは各電気ヒータの制御値と等価)との関係を示すテーブルである。本実施形態では、
図7の出力設定テーブルに示されるように、外気温度センサ70の出力から求められる外気温度Tを40℃未満と40℃以上に区分している。
【0064】
アスファルトフィニッシャ10の始動前状態においては、各スクリードプレート30,31,32の温度は外気温度とほぼ等しい温度となっている。よって、40℃未満である各スクリードプレート30,31,32を設定加熱温度(120℃)まで上昇させるには、各スクリードプレート30,31,32を80℃以上加熱する必要がある。
【0065】
このため本実施形態では、各スクリードプレート30,31,32の温度(即ち、外気温度T)が40℃未満の低温である場合には、
図7に示すようにSSR56,57,58のDUTY値を100%に設定している。
【0066】
よってステップ13で外気温度Tが40℃未満であると判断された場合、ヒータ制御コントローラ50は
図7に示される出力設定テーブルに基づき、SSR56,57,58のDUTY値を100%に設定する。これにより、各電気ヒータ40,41,42は100%出力となり、各スクリードプレート30,31,32は各電気ヒータ40,41,42により設定加熱温度まで加熱される。
【0067】
一方、前記のように発電機47は、発電時に自己冷却を行う。しかしながら、外気温度Tが40℃未満と低い場合には、SSR56,57,58のDUTY値を100%とし、これに伴い発電機47の出力をフル出力(100%出力)としても、外気により発電機47は確実に自己冷却される。よって、外気温度Tが40℃未満の状態において発電機47の出力をフル出力としても、発電機47が発電限界を超えたり、また発電機47の寿命低下が発生したりするようなことはない。
【0068】
一方、ステップ12で外気温度Tが40℃以上であると判断(YES判断)された場合には、ヒータ制御コントローラ50は、処理をステップ14に進める。
【0069】
ステップ14においても、ヒータ制御コントローラ50は
図7に示す出力設定テーブルに基づき、各SSR56,57,58の制御を行う。このステップ14の処理を行う場合、外気温度Tが40℃以上であるため、アスファルトフィニッシャ10の始動前状態における各スクリードプレート30,31,32の温度は外気温度とほぼ等しく40℃以上の高い温度となっている。よって、前記したステップ13の場合に比べて少ない加熱量で各スクリードプレート30,31,32を設定加熱温度(120℃)まで上昇させることができる。
【0070】
このため本実施形態では、各スクリードプレート30,31,32の温度(即ち、外気温度T)が40℃以上である場合には、
図7に示すようにSSR56,57,58のDUTY値を80%に制限している。
【0071】
よってステップ14で外気温度Tが40℃以上であると判断された場合、ヒータ制御コントローラ50は
図7に示される出力設定テーブルに基づき、SSR56,57,58のDUTY値を80%に設定する。これにより、各電気ヒータ40,41,42は80%出力となり、この出力下で各スクリードプレート30,31,32は各電気ヒータ40,41,42により設定加熱温度まで加熱される。
【0072】
一方、ステップ14が実施される外気温度Tが40℃以上の高温雰囲気下においては、高温になるほど発電機47は自己冷却機能が低下し、発電出力も制限されてしまう。このような状態において発電機47をフル稼働させると、発電機47の破談出力は限界を超えた出力となり、発電機47の寿命低下等が発生してしまうことは前述した通りである。
【0073】
発電機から取り出せる発電量は外気温度Tによりその上限が決まっているため、高い外気温度で発電機の発電量を増大させるには、発電機そのものを大型化する必要がある。しかしながら、発電機を大型化した場合には、発電機の重量が増大すると共に走行本体部に大きな配設スペースが必要になってしまう。
【0074】
しかしながら、外気温度Tが高い場合には、各スクリードプレート30,31,32も外気温度Tに対応して高い温度となっている。このようにスクリードプレート30,31,32が高い温度を有している場合には、各電気ヒータ40,41,42の出力を必ずしも100%としなくても、各スクリードプレート30,31,32を設定加熱温度まで加熱することができる。
【0075】
そこで本実施形態では、外気温度Tに応じて電気ヒータ40,41,42の出力を可変する構成とした。具体的には、ヒータ制御コントローラ50は外気温度Tが低い時には電気ヒータ40,41,42の出力を100%出力とし、外気温度Tが高い時には電気ヒータ40,41,42の出力を80%出力に可変する。
【0076】
この構成とすることにより、発電機47の大型化を図ることなく、また発電機47が発電限界を超えることなく、電気ヒータ40,41,42で各スクリードプレート30,31,32を設定加熱温度まで確実に加熱することができる。また、発電機47が大型化することもなく、発電機47の軽量化及び配設スペースの小スペース化を図ることができる。更に、電気ヒータ40,41,42の出力が低減されるため、消費電力の削減を図ることができ、スクリードプレート30,31,32を設定加熱温度T
0まで加熱する際の効率を高めることができる。
【0077】
上記のステップ13或いはステップ14の処理が終了すると、処理はステップ15に進み、ヒータ制御コントローラ50は各スクリードプレート30,31,32の温度が設定加熱温度T
0になったか否かを判断する。具体的には、ヒータ制御コントローラ50は加熱温度センサ37,38,39から送られる加熱温度データに基づき、各スクリードプレート30,31,32が設定加熱温度まで加熱されたか否かを判断する。
【0078】
ステップ15で各スクリードプレート30,31,32が設定加熱温度まで加熱されていないと判断(NO判断)されると、ヒータ制御コントローラ50は処理をステップ11に戻す。ヒータ制御コントローラ50は、各スクリードプレート30,31,32が設定加熱温度T
0となるまで、ステップ11からステップ15の処理を繰り返し実施する。
【0079】
一方、ステップ15で各スクリードプレート30,31,32が設定加熱温度まで加熱されたと判断(YES判断)されると、処理はステップ16に進む。ステップ16では、ヒータ制御コントローラ50は操作部27に設けられた適温表示灯64を点灯させる。これにより、アスファルトフィニッシャ10のオペレータは各スクリードプレート30,31,32が設定加熱温度まで加熱されたことを認知することができる。
【0080】
本実施形態に係るアスファルトフィニッシャ10は、各スクリードプレート30,31,32が設定加熱温度T
0まで加熱された後も、オペレータがモード切り換えスイッチ60を切り換えない限り、準備モードを維持することができる。そこで、続くステップ17では、モード切り換えスイッチ60が準備モードを維持しているか否かが判断される。
【0081】
ステップ17でモード切り換えスイッチ60が準備モードを維持していると判断された場合(YES判断の場合)には、ヒータ制御コントローラ50は処理をステップ11に戻し、ステップ11〜ステップ17の処理を繰り返し実施する。
【0082】
一方、ステップ17でモード切り換えスイッチ60が切り換えられ、施工モード或いは切り状態とされた場合には、
図5に示す準備モード時処理を終了する。
【0083】
次に、ヒータ制御コントローラ50が実施する準備モード時処理の他実施形態について説明する。
【0084】
図6は、ヒータ制御コントローラ50が実施する準備モード時処理の他実施形態を示すフローチャートである。また
図8は、
図6に示す準備モード時処理を実施する際に用いる出力設定テーブルを示している。
【0085】
なお、
図6に示す準備モード時処理の他実施形態の説明において、
図5及び
図7を用いて説明した準備モード時処理と同一処理については適宜説明を省略するものとする。
【0086】
図6に示す準備モード時処理も、エンジン43の始動等により起動する。また、例えばモード切り換えスイッチ60が切り状態位置から準備モード等の他のモードに切り替えられたときに起動する。
図6に示す準備モード時処理のステップ20及びステップ21は、
図5に示した準備モード時処理のステップ10及びステップ11と同一の処理である。
【0087】
即ち、ステップ20においてヒータ制御コントローラ50はモード切り換えスイッチ60が準備モードとなっている(準備モードON)となっているか否かを判断し、モード切り換えスイッチ60が準備モードになっている場合(YES判断の場合)には、ステップ21において外気温度センサ70から送られる外気温度データに基づき、現在の外気温度Tを測定する。
【0088】
続くステップ22では、ヒータ制御コントローラ50はステップ21で求められた外気温度T、及び
図8に示す出力設定テーブルに基づき、各SSR56,57,58が電気ヒータ40,41,42に供給する電力量の設定を行う。
【0089】
前記した
図7に示した出力設定テーブルは、各SSR56,57,58のDUTY値を決定する際、外気温度40℃をしきい値とし、外気温度が40℃未満である場合にはDUTY値を100%とし、40℃以上である場合にはDUTY値を80%とした。
【0090】
これに対して
図8に示す本実施形態で用いる出力設定テーブルでは、しきい値となる外気温度を細分化している。具体的には、本実施形態ではしきい値となる外気温度を0℃未満(〜0℃と示す)、0℃以上20℃未満(0℃〜20℃と示す),20℃以上40℃未満(20℃〜40℃と示す),40℃以上60℃未満(40℃〜60℃と示す),60℃以上(60℃〜と示す)に設定している。
【0091】
外気温度Tが0℃未満である場合、各スクリードプレート30,31,32も約0℃未満となっている。このため、各スクリードプレート30,31,32を設定加熱温度(120℃)とするには、各スクリードプレート30,31,32を120℃以上(この温度を昇温温度ΔTという)昇温させる必要がある。なお、昇温温度ΔTは、(昇温温度ΔT)=(設定加熱温度T0)−(外気温度T)で示される。
【0092】
また、外気温度Tが低い場合には、前記のように発電機47の自己冷却機能は適正に働くため、発電機出力を制限する必要はない。このため、外気温度Tが0℃未満である場合には、各SSR56,57,58のDUTY値を100%に設定した。
【0093】
また、外気温度Tが0℃以上20℃未満である場合には、昇温温度ΔTは100℃以上120℃未満である。よって、外気温度Tが0℃以上20℃未満の場合は、昇温温度ΔT及び発電機47の自己冷却機能の能力を考慮して、各SSR56,57,58のDUTY値を外気温度が0℃の時よりも小さい90%に設定した。
【0094】
同様に、外気温度Tが20以上40℃未満である場合には各SSR56,57,58のDUTY値を80%に、外気温度Tが40以上60℃未満である場合には各SSR56,57,58のDUTY値を70%に、更に外気温度Tが60以上である場合には、各SSR56,57,58のDUTY値を60%に設定した。
【0095】
よって、例えばステップ21において外気温度Tが30℃であると判断された場合、ヒータ制御コントローラ50はステップ22で
図7に示される出力設定テーブルに基づき、SSR56,57,58のDUTY値を80%に設定する。これにより、各電気ヒータ40,41,42の出力は80%出力となり、各スクリードプレート30,31,32は各電気ヒータ40,41,42により設定加熱温度(T
0)まで加熱される。
【0096】
また、外気温度Tが他の温度であったとしても、ヒータ制御コントローラ50は
図7に示される出力設定テーブルに基づき、当該外気温度Tに対応したSSR56,57,58のDUTY値を設定し、各電気ヒータ40,41,42の出力はSSR56,57,58のDUTY値に対応した出力となる。
【0097】
図8に示す外気温度TとDUTY値との相関は、発電機47の自己冷却機能を考慮して決定されている。よって、外気温度T及び
図8に示す出力設定テーブルに基づき、SSR56,57,58のDUTY値を設定し、電気ヒータ40,41,42の出力制御を行うことにより、確実に各スクリードプレート30,31,32を設定加熱温度T
0に加熱することができると共に、発電機47が発電限界を超えたり、また発電機47の寿命低下が発生したりすることを防止することができる。
【0098】
更に本実施形態では、しきい値となる外気温度を
図5及び
図7を用いて説明した準備モード時処理に比べて細かく設定しているため、外気温度Tに即したより精度の高い準備モード時処理を行うことが可能となる。よって、本実施形態に係る準備モード時処理によれば、各スクリードプレート30,31,32の加熱を過不足のない最適な状態で行うことができ、効率の高い加熱処理を行うことができる。
【0099】
上記のステップ22の処理が終了すると、処理はステップ23に進む。ステップ23〜ステップ25の処理は、
図5に示したステップ15〜ステップ17の処理と同一処理である。
【0100】
即ち、ヒータ制御コントローラ50はステップ23において各スクリードプレート30,31,32の温度が設定加熱温度(120℃)になったか否かを判断し、設定加熱温度まで加熱されたと判断(YES判断)されると、処理はステップ24に進み操作部27に設けられた適温表示灯64を点灯させる。
【0101】
続くステップ24では、モード切り換えスイッチ60が準備モードを維持しているか否かを判断し、準備モードを維持していると判断された場合(YES判断の場合)には処理をステップ21に戻し、モード切り換えスイッチ60が準備モードから切り換えられた場合には、
図6に示す準備モード時処理を終了する。
【0102】
上記した各シリンダ10,20実施形態の準備モード時処理を実施することにより、各スクリードプレート30,31,32は設定加熱温度T
0に加熱され、スクリード装置24による舗装処理が可能になる。前記したように、各スクリードプレート30,31,32が設定加熱温度T
0に加熱された後も準備モードを続行することも可能であるが、通常は準備モードが終了すると、アスファルトフィニッシャ10のオペレータはモード切り換えスイッチ60を操作して施工モードに切り換え処理を行う。
【0103】
施工モード時に実施される施工モード時処理は、スクリードプレート30,31,32の温度を設定加熱温度(120℃)に保持する(保温する)ために実施される処理である。この施工モード時処理は、例えばフィードバック制御処理を用いて実施することができる。
【0104】
即ち、ヒータ制御コントローラ50が加熱温度センサ37,38,39の出力から各スクリードプレート30,31,32の温度を検知する構成とし、この検知温度が設定加熱温度に対して所定温度上昇或いは低下した際に、ヒータ温度調整装置55を制御して各電気ヒータ40,41,42を駆動或いは停止させる構成とすることができる。
【0105】
なお、施工モード時処理は上記のフィードバック制御処理に限定されるものではなく、他の温度を一定に保つ他の制御方法を採用してもよい。
【0106】
以上、本発明の好ましい実施形態について詳述したが、本発明は上記した特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能なものである。