特許第6118718号(P6118718)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6118718
(24)【登録日】2017年3月31日
(45)【発行日】2017年4月19日
(54)【発明の名称】スクロール式流体機械
(51)【国際特許分類】
   F04C 18/02 20060101AFI20170410BHJP
   F04C 29/00 20060101ALI20170410BHJP
   F04C 29/02 20060101ALI20170410BHJP
【FI】
   F04C18/02 311Y
   F04C29/00 G
   F04C29/02 311K
   F04C18/02 311E
【請求項の数】5
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2013-257301(P2013-257301)
(22)【出願日】2013年12月12日
(65)【公開番号】特開2015-113787(P2015-113787A)
(43)【公開日】2015年6月22日
【審査請求日】2016年2月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】502129933
【氏名又は名称】株式会社日立産機システム
(74)【代理人】
【識別番号】110001689
【氏名又は名称】青稜特許業務法人
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】山崎 俊平
【審査官】 山本 崇昭
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−227779(JP,A)
【文献】 特開2011−021623(JP,A)
【文献】 実開昭60−043137(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04C 2/00−2/077
F04C 18/00−18/077
F04C 23/00−29/12
F16C 19/00−19/56
F04C 33/30−33/66
F02B 33/00−41/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
渦巻状のラップ部が立設された固定スクロールと、
固定スクロールと対面する位置で旋回可能に設けられ前記固定スクロールのラップ部との間に複数の圧縮室を構成する渦巻状のラップ部が立設された旋回スクロールと、
前記旋回スクロールの自転を防止するクランク軸と、
該クランク軸を保持する組み合わせ軸受と、
該組み合わせ軸受を収める前記旋回スクロールに設けられた旋回スクロールハウジング部と、
旋回スクロールハウジング部内の前記組み合わせ軸受への予圧を付加する予圧付加用部材とを有し、
前記旋回スクロールハウジング部に、ハウジング部軸方向のハウジング部軸方向溝と、前記組み合わせ軸受の径方向のハウジング部径方向溝を設け、
前記予圧付加用部材に径方向の予圧付加用部材溝を設け、
前記ハウジング部軸方向溝と前記ハウジング部径方向溝と前記予圧付加用部材溝が連通した構造であり、
前記旋回スクロールハウジング部に、前記ハウジング部軸方向溝に対向した位置にグリース補給穴を設けたことを特徴とするスクロール式流体機械。
【請求項2】
請求項1に記載のスクロール式流体機械であって、
前記ハウジング部軸方向溝は、前記組み合わせ軸受の両端面位置をハウジング部軸方向に結ぶ溝であり、
前記ハウジング部径方向溝は、前記組み合わせ軸受の外輪の内外周位置を径方向に結ぶ溝であることを特徴とするスクロール式流体機械。
【請求項3】
請求項に記載のスクロール式流体機械であって、
前記ハウジング部軸方向溝と前記ハウジング部径方向溝と前記予圧付加用部材溝と前記グリース補給穴をそれぞれ複数設けたことを特徴とするスクロール式流体機械。
【請求項4】
請求項に記載のスクロール式流体機械であって、
前記旋回スクロールハウジング部に、さらに、前記複数のハウジング部軸方向溝を周方向に結ぶハウジング部周方向溝を設けたことを特徴とするスクロール式流体機械。
【請求項5】
請求項1からの何れか1項に記載のスクロール式流体機械であって、
前記ハウジング部軸方向溝と前記ハウジング部径方向溝と前記予圧付加用部材溝、または前記ハウジング部周方向溝のうち、一部または全てを、前記旋回スクロールハウジング部または前記予圧付加用部材に代えて前記組み合わせ軸受上に設けたことを特徴とするスクロール式流体機
械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば圧縮機に用いて好適なスクロール式流体機械に関する。
【背景技術】
【0002】
スクロール式流体機械の一つである空冷式オイルフリー圧縮機において、自転を防止するクランク機構は組合せ軸受により保持されており、これらの組合せ軸受は筒型のハウジングへ収められ、片側は予圧付加用の部材が押し付けられている。
【0003】
これらの軸受は定期的なグリースの補給が要求されるが、スクロール圧縮機においては予圧付加用の部材を取り外すことは再組立に対する信頼性と作業性の観点から困難である。そこで該当部分を分解することなくグリースを補充する方法が必要となり、特に組み合わせ軸受においては複数の軸受に均等にグリースを補充する構造が必要である。
【0004】
本技術分野の背景技術として、特許第4105850号公報(特許文献1)がある。この公報には、組み合わせ軸受の間にグリース補給用の部材(給油板)を設け、そこからグリースを補給する構造が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第4105850号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1においては、組み合わせ軸受の間にグリース補給用の部材(給油板)を設けているが、組み合わせ軸受を構成する個々の軸受は相互に高精度で構成する必要があるので、その間に追加される部材も、組み合わせ軸受と同程度の公差管理が必要である。また、このような構成の場合、組立が容易ではなく、信頼性の観点で実現性が低いという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、例えば特許請求の範囲に記載の構成を採用する。本願は上記課題を解決する手段を複数含んでいるが、その一例を挙げるならば、渦巻状のラップ部が立設された固定スクロールと、固定スクロールと対面する位置で旋回可能に設けられ前記固定スクロールのラップ部との間に複数の圧縮室を構成する渦巻状のラップ部が立設された旋回スクロールと、前記旋回スクロールの自転を防止するクランク軸と、該クランク軸を保持する組み合わせ軸受と、該組み合わせ軸受を収めるハウジング部と、該ハウジング部内の前記組み合わせ軸受への予圧を付加する予圧付加用部材とを有し、前記ハウジング部に、ハウジング部軸方向のハウジング部軸方向溝と、前記組み合わせ軸受の径方向のハウジング部径方向溝を設け、前記予圧付加用部材に径方向の予圧付加用部材溝を設け、前記ハウジング部軸方向溝と前記ハウジング部径方向溝と前記予圧付加用部材溝が連通する構造とした。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、安価な構成で、圧縮機を分解することなく組み合わせ軸受の複数の軸受に均等にグリースを補給することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施例1に係るスクロール圧縮機の全体構造を示す圧縮機断面図である。
図2】実施例1に関連する部分の図1の拡大図である。
図3】実施例1に関する主要部品の組み立て展開図をケーシング側斜めから見た図である。
図4】実施例1に関する主要部品の組み立て展開図を旋回スクロール側斜めから見た図である。
図5】実施例1におけるグリース補給経路を説明する図である。
図6】実施例2におけるハウジング部と予圧付加用部材の構成を示した図である。
図7】実施例3におけるハウジング部の構成を示した図である。
図8】実施例4に関する主要部品の組み立て展開図を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施例を図面を用いて説明する。
【実施例1】
【0011】
本実施例は、組み合わせ軸受を保持するハウジングと予圧付加用部材に、組み合わせ軸受の両端面間のグリース流通路を設けたことを特徴とする。
【0012】
図1は、本実施例に係るスクロール圧縮機の全体構造を示す圧縮機断面図である。図2は本実施例に関連する部分の図1の拡大図である。図1または図2において、旋回スクロール3はケーシング1に取り付けられた駆動軸保持軸受7、8により保持される駆動軸4によって旋回運動を行い、固定スクロール2との間に構成される圧縮室5を中心に向かうに従い縮小させることで圧縮を行う。この際ケーシング1に取り付けられたケーシング側組み合わせ軸受9と旋回スクロール3に取り付けられた旋回スクロール側組み合わせ軸受10に保持されたクランク軸6は旋回スクロール3の自転を防止する。
【0013】
旋回スクロール側組み合わせ軸受10は旋回スクロール3の筒状の旋回スクロールハウジング部3aに収められ、片側から旋回スクロール側組み合わせ軸受予圧付加用部材11が押し付けられている。旋回スクロールハウジング部3aには、旋回スクロール側組み合わせ軸受10の両端面位置を軸方向に結ぶハウジング部軸方向溝13、および旋回スクロール側組み合わせ軸受10の径方向にハウジング部径方向溝14が設けられている。また、旋回スクロール側組み合わせ軸受予圧付加用部材11には、詳細説明は後述するが、円周方向でハウジング部軸方向溝13と連通するように、組み合わせ軸受径方向に予圧付加用部材溝15が設けられている。
図3図4に、本実施例に関する主要部品の組み立て展開図として、旋回スクロール3、旋回スクロールハウジング部3a、旋回スクロール側組み合わせ軸受10、旋回スクロール側組み合わせ軸受予圧付加用部材11とクランク軸6の組み立て展開図を示す。図3は、ケーシング側斜めから見た図であり、図4は旋回スクロール側斜めから見た図である。
【0014】
図3に示すように、旋回スクロールハウジング部3aには、上記した、ハウジング部軸方向溝13およびハウジング部径方向溝14が設けてある。ここで、ハウジング部径方向溝14は、旋回スクロール側組み合わせ軸受10を構成する外輪の内外周位置を径方向に結ぶ溝であり、ハウジング部軸方向溝13と連通するように構成されている。
【0015】
また、図4に示すように、旋回スクロール側組み合わせ軸受予圧付加用部材11には、上記した、予圧付加用部材溝15が設けてあり、組み立て後は、組み合わせ軸受の径方向にハウジング部軸方向溝13と連通するように構成されている。
【0016】
本実施例におけるスクロール圧縮機はまず旋回スクロール3にクランク軸6と旋回スクロール側組み合わせ軸受10が旋回スクロール側組み合わせ軸受予圧付加用部材11によって締結され、その後クランク軸6がケーシング1にあらかじめ取り付けられたケーシング側組み合わせ軸受9へ締結され、この際、旋回スクロールの軸方向位置の調整を行う。
【0017】
図5に、本実施例によるグリース補給経路を説明する図を示す。図5に示すように、グリース補給穴16から組み合わせ軸受10へグリースを補充すると、グリースは前述のハウジング部軸方向溝13、ハウジング部径方向溝14および予圧付加用部材溝15を経由して旋回スクロール側組み合わせ軸受10の両端へ流れ込み、複数の軸受に対して均等にグリースを補充することが可能となる。従って、溝がなかった場合と比較して、前述の組立作業に関連する分解作業および再組立て作業を行うことなく旋回スクロール側組み合わせ軸受10の複数の軸受に対して均等にグリースを補充することが可能となる。よって、信頼性とメンテナンス性を向上することができる。
【0018】
なお、グリース補給穴16は、グリースを補充するとき以外は、蓋または栓で覆うことが望ましい。それにより、異物の混入を防ぐことが可能となる。
【0019】
また、グリース補給穴16は、図5に示すように、本実施例では、ハウジング部軸方向溝13に対向する穴としたが、これに限定されるものではなく、例えば、ハウジング部径方向溝14に対向する穴でも良く、ハウジング部軸方向溝13とハウジング部径方向溝14と予圧付加用部材溝15にグリースが流れ込む構造であれば良い。
【0020】
また、以上の実施例は、旋回スクロール側組み合わせ軸受10側の旋回スクロール3の旋回スクロールハウジング部3aと旋回スクロール側組み合わせ軸受予圧付加用部材11について説明したが、同様の構造を、ケーシング側組み合わせ軸受9側のケーシング1のハウジング部1aとケーシング側組み合わせ軸受予圧付加用部材12へ設けることで、ケーシング1へ保持されるケーシング側組み合わせ軸受9へのグリース補充の際にも同様の効果を得ることができる。
【0021】
以上説明したように、本実施例は、渦巻状のラップ部が立設された固定スクロールと、固定スクロールと対面する位置で旋回可能に設けられ前記固定スクロールのラップ部との間に複数の圧縮室を構成する渦巻状のラップ部が立設された旋回スクロールと、前記旋回スクロールの自転を防止するクランク軸と、該クランク軸を保持する組み合わせ軸受と、該組み合わせ軸受を収めるハウジング部と、該ハウジング部内の前記組み合わせ軸受への予圧を付加する予圧付加用部材とを有し、前記ハウジング部に、ハウジング部軸方向のハウジング部軸方向溝と、前記組み合わせ軸受の径方向のハウジング部径方向溝を設け、前記予圧付加用部材に径方向の予圧付加用部材溝を設け、前記ハウジング部軸方向溝と前記ハウジング部径方向溝と前記予圧付加用部材溝が連通した構造とした。また、前記ハウジング部軸方向溝は、前記組み合わせ軸受の両端面位置をハウジング部軸方向に結ぶ溝であり、前記ハウジング部径方向溝は、前記組み合わせ軸受の外輪の内外周位置を径方向に結ぶ溝である構造とした。これにより、圧縮機を分解することなく、簡単で安価な構成で、組み合わせ軸受の複数の軸受に均等にグリースを補給することができ、信頼性とメンテナンス性を向上することができる。
【実施例2】
【0022】
本実施例は、実施例1と同様のスクロール圧縮機において、前述のハウジング部軸方向溝13、ハウジング部径方向溝14、予圧付加用部材溝15およびグリース補給穴16を複数設けたことを特徴とする。
【0023】
図6は、本実施例におけるハウジング部と予圧付加用部材の構成を示した図である。図6において、左図は旋回スクロールハウジング部3aを示すが、旋回スクロールハウジング部3aは、旋回スクロール側組み合わせ軸受10の両端面位置を軸方向に結ぶハウジング部軸方向溝13および旋回スクロール側組み合わせ軸受10の径方向のハウジング部径方向溝14、さらにグリース補給穴16を複数設けている。また、右図は旋回スクロール側組み合わせ軸受予圧付加用部材11を示すが、軸受径方向の予圧付加用部材溝15を複数設けている。
【0024】
これにより、グリース補給作業状況に応じてもっとも作業が容易となるグリース補給穴からグリース補給作業を行うことができる。
【0025】
なお、以上の説明は、旋回スクロール側組み合わせ軸受10側の旋回スクロール3の旋回スクロールハウジング部3aと旋回スクロール側組み合わせ軸受予圧付加用部材11について説明したが、ケーシング側組み合わせ軸受9側のケーシング1のハウジング部1aとケーシング側組み合わせ軸受予圧付加用部材12へ同様の構成を設けることで、ケーシング1へ保持されるケーシング側組み合わせ軸受9へのグリース補充の際にも同様の効果を得ることができる。
【実施例3】
【0026】
本実施例は、実施例2と同様のスクロール圧縮機において、旋回スクロールハウジング部上に前述の複数のハウジング部軸方向溝13を周方向に結ぶハウジング部周方向溝17を設けたことを特徴とする。
【0027】
図7は、本実施例におけるハウジング部の構成を示した図である。図7において、旋回スクロールハウジング部3aには、旋回スクロール側組み合わせ軸受10の両端面位置を軸方向に結ぶハウジング部軸方向溝13を周方向に結ぶハウジング部周方向溝17が設けられている。
【0028】
これにより、ハウジング部軸方向溝13とハウジング部径方向溝14、さらに、組み立て後の旋回スクロール側組み合わせ軸受予圧付加用部材11に設けた予圧付加用部材溝15とハウジング部周方向溝17が連通する構造となるので、グリース補給穴16から流入したグリースはハウジング部軸方向溝13、ハウジング部径方向溝14、予圧付加用部材溝15、ハウジング部周方向溝17を経由して補給され、旋回スクロール側組み合わせ軸受10の複数の軸受に対して均等にグリースを補充する効果をさらに高めることができる。
【0029】
なお、以上の説明は、旋回スクロール側組み合わせ軸受10側の旋回スクロール3の旋回スクロールハウジング部3aと旋回スクロール側組み合わせ軸受予圧付加用部材11について説明したが、ケーシング側組み合わせ軸受9側のケーシング1のハウジング部1aとケーシング側組み合わせ軸受予圧付加用部材12へ同様の構成を設けることで、ケーシング1へ保持されるケーシング側組み合わせ軸受9へのグリース補充の際にも同様の効果を得ることができる。
【実施例4】
【0030】
本実施例は、実施例1と同様のスクロール圧縮機において、前述のハウジング部軸方向溝13の代わりに、旋回スクロール側組み合わせ軸受10の外周側に軸方向溝を設けたことを特徴とする。
【0031】
図8は、本実施例に関する主要部品の組み立て展開図を示した図である。図8に示すように、旋回スクロール3、旋回スクロールハウジング部3a、旋回スクロール側組み合わせ軸受10、旋回スクロール側組み合わせ軸受予圧付加用部材11とクランク軸6の組み立て展開図において、旋回スクロール側組み合わせ軸受10の両端面位置を軸方向に結ぶ溝として、前述のハウジング部軸方向溝13の代わりに、旋回スクロール側組み合わせ軸受10の外周側に組み合わせ軸受上軸方向溝18を設けている。この際、旋回スクロールハウジング部3aは旋回スクロール側組み合わせ軸受10の両端面位置を軸方向に結ぶ溝を設ける必要がない。
【0032】
これにより旋回スクロールハウジング部3aに加工を行うことが不要となり、強度を保ったまま同様の効果を得ることができる。
【0033】
また、実施例2や3と組み合わせて、前記ハウジング部径方向溝14と前記予圧付加用部材溝15、または前記ハウジング部周方向溝17のうち、一部または全てを、前記旋回スクロールハウジング部3aまたは前記旋回スクロール側組み合わせ軸受予圧付加用部材11に代えて前記旋回スクロール側組み合わせ軸受10上に設けることも可能である。これにより旋回スクロールハウジング部3aまたは前記旋回スクロール側組み合わせ軸受予圧付加用部材11の加工を減らすことが出来、さらには強度を保ったまま同様の効果を得ることができる。
【0034】
また、以上の説明は、旋回スクロール側組み合わせ軸受10側の旋回スクロール3の旋回スクロールハウジング部3aと旋回スクロール側組み合わせ軸受予圧付加用部材11について説明したが、ケーシング側組み合わせ軸受9側のケーシング1のハウジング部1aとケーシング側組み合わせ軸受予圧付加用部材12へ同様の構成を設けることで、ケーシング1へ保持されるケーシング側組み合わせ軸受9へのグリース補充の際にも同様の効果を得ることができる。
【0035】
以上説明したように、本実施例は、ハウジング部軸方向溝とハウジング部径方向溝と予圧付加用部材溝、またはハウジング部周方向溝のうち、一部または全てを、ハウジング部または予圧付加用部材に代えて組み合わせ軸受上に設けることで、ハウジング部または予圧付加用部材の加工を減らすことが出来、さらには強度を保ったまま同様の効果を得ることができる。
【0036】
また、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加、削除、置換をすることも可能である。
【符号の説明】
【0037】
1 ケーシング
1a ケーシングハウジング部
2 固定スクロール
3 旋回スクロール
3a 旋回スクロールハウジング部
4 駆動軸
5 圧縮室
6 クランク軸
7、8 駆動軸保持軸受
9 ケーシング側組み合わせ軸受
10 旋回スクロール側組み合わせ軸受
11 旋回スクロール側組み合わせ軸受予圧付加用部材
12 ケーシング側組み合わせ軸受予圧付加用部材
13 ハウジング部軸方向溝
14 ハウジング部径方向溝
15 予圧付加用部材溝
16 グリース補給穴
17 ハウジング部周方向溝
18 組み合わせ軸受上軸方向溝
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8