(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1絶縁層が、天然ゴム、EPDM、ABS樹脂、PTFEのいずれかからなる、ことを特徴とする請求項3〜5のいずれか一項に記載の非接触電力伝送システムに用いる伝送シート。
前記第1絶縁層が、天然ゴム、EPDM、ABS樹脂、PTFEのいずれかからなる、ことを特徴とする請求項8又は9のいずれかに記載の非接触電力伝送システムに用いる伝送ユニット。
前記電極と前記機能性複合材料層との間に第2絶縁層を備える、ことを特徴とする請求項7〜10のいずれか一項に記載の非接触電力伝送システムに用いる伝送ユニット。
前記第2絶縁層が、天然ゴム、EPDM、ABS樹脂、PTFE、シアノアクリル酸エチルなどのシアノアクリレート系接着剤のいずれかからなる、ことを特徴とする請求項11又は12のいずれかに記載の非接触電力伝送システムに用いる伝送ユニット。
前記第1絶縁層が、天然ゴム、EPDM、ABS樹脂、PTFEのいずれかからなる、ことを特徴とする請求項15に記載の非接触電力伝送システムに用いる伝送ユニット。
前記電極と前記機能性複合材料層との間に第2絶縁層を備える、ことを特徴とする請求項15又は16のいずれかに記載の非接触電力伝送システムに用いる伝送ユニット。
前記第2絶縁層が、天然ゴム、EPDM、ABS樹脂、PTFE、シアノアクリル酸エチルなどのシアノアクリレート系接着剤のいずれかからなる、ことを特徴とする請求項17に記載の非接触電力伝送システムに用いる伝送ユニット。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を適用した伝送シート、伝送ユニット、及び、それらを備えた非接触電力伝送システム、一例として電界結合方式の非接触電力伝送システムについて、図面を用いてその構成を説明する。なお、以下の説明で用いる図面は、特徴をわかりやすくするために便宜上特徴となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率などは実際と同じであるとは限らない。また、以下の説明において例示される材料、寸法等は一例であって、本発明はそれらに限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲で適宜変更して実施することが可能である。
【0011】
≪伝送シート≫
本発明において「伝送シート」とは、送信電極と受信電極とを近接させることにより電力伝送を行う非接触電力伝送システムに用いる伝送ユニットを構成する部材であって、電極以外の部分を構成する部材である。なお、「伝送シート」における“シート”は一般に用いられ得る形状を示す表現として用いているに過ぎず、薄く拡がった形状に限定されない。
【0012】
本発明の伝送シートは、送信側、受信側のいずれの伝送ユニットにおいても用いることができる。また、共振を取り入れた直列共振型回路、並列共振型回路を用いるものや共振を用いないアクティブキャパシタ型回路を用いるもの等、いずれのタイプの電界結合方式、あるいはその他の非接触電力伝送システムの伝送ユニットにおいても用いることができる。また、非接触電力伝送システムについて特に制限はなく、携帯電話等の携帯機器の分野、自動車等の輸送機器の分野等のあらゆる分野の非接触電力伝送システムの伝送ユニットにおいても用いることができる。
また、本発明の伝送シートは用いられる非接触電力伝送システムに適した形状で用いることができる。
また、本発明の伝送シートは本発明の効果を損なわない範囲で、他の層を備える態様で用いることができる。
【0013】
本発明の伝送シートは、高分子材料を基材とする複合材料を備えるため、金属やセラミックス等と比べて柔軟性、可撓性が高い。
そのため、送信電極又は受信電極が当該伝送シートを電極上に備える構成とすると、電極の表面に凹凸や歪みが存在していたとしても当該伝送シートはその形状に合致するように変形するので、当該伝送シートと電極との密着性が高くなり、その結果、接触抵抗が小さくなる。
さらに、当該伝送シートを電極上に備えた構成では、電力伝送時に相手方の例えば絶縁層で被覆された電極と接触(密着)させたときに、相手方の電極の面形状に合致するように変形することができ、その結果、接合容量の低下を防ぐことができる。
例えば、むき出しの硬い金属電極上にテーブルマット等を載せてその上に携帯電話を置いて給電を行う電界結合方式の非接触電力伝送システムにおいて、携帯電話の背面が曲面である場合、金属電極及びテーブルマット(送信電極側)と携帯電話(受信電極側)とが広い面接触ではなく、点接触状になってしまう。静電容量を高くするためには接触(密着)面が広いことが重要なので、このような接触(密着)状態は望ましくない。これに対して、本発明の伝送シートを用いれば、伝送シートの変形によって広い接触(密着)面積を確保することができ、その結果、高い接合容量を得ることができる。さらに、本発明の伝送シートは安価で成型加工性に優れている。
【0014】
(伝送シート(第1の実施形態))
本発明の第1の実施形態の伝送シートは、導電性フィラーの添加量が高分子材料の100質量部に対して90質量部以下であり、導電率が10S/m以上であって、高分子材料中に導電性フィラーが分散されてなる機能性複合層を用いるものである。
【0015】
また、当該伝送シートを含む電極側又は相手方の電極側が、絶縁層(誘電体層)を備えるのが好ましい。
【0016】
第1の実施形態の伝送シートは、その上に筐体のような低誘電性絶縁層を備える場合でも接合容量が高く、高出力を可能とする。
【0017】
第1の実施形態の伝送シートの厚さは0.1〜10mmであることが好ましい。この範囲であれば、自立膜としての強度が得られ、また良好な密着性が得られるからであり、さらに、伝送装置の体積が大きくならず、且つ重くならずに済むからである。
【0018】
第1の実施形態の伝送シートは、高分子材料の種類や架橋されているか否か、導電性フィラーの種類、導電性フィラーのモルフォルジーやその濃度、無機フィラーの有無等の作製条件等によって、伝送シートの特性を調整、制御することができる。また、公知の方法によって調整、制御してもよい。
顧客の要求に合わせて、この伝送シートを含む伝送ユニットの構成(例えば、電極に直接、伝送シートを備えるのか、その間に絶縁層を備えるのか、伝送シートの上に保護膜を備えるのか、等)に適した特性(比誘電率、及び、誘電正接)を有する、伝送シートとすることができる。
第1の実施形態の伝送シートは以下に記述する機能性複合材料Aを用いて作製することができる。
【0019】
[機能性複合材料A]
機能性複合材料Aは、導電性が10S/m以上であるように、導電性フィラーの添加量を高分子材料の100質量部に対して90質量部以下の範囲で選択されて、高分子材料中に導電性フィラーが分散されてなる複合材料である。
【0020】
機能性複合材料Aは、高分子材料と導電性フィラーとを含み、一般的にパーコレーション理論に基づくメカニズムによって導電性フィラーの充填量(濃度、添加量)を多くすると導電率が増大し、その量がパーコレーション閾値を超えると急激に導電率が増大する材料を用いることができる。
【0021】
機能性複合材料Aは、高分子材料中に導電性フィラーが分散されてなる材料であるが、導電性フィラーは通常、所定量集まって集合体で存在するので、高分子材料中に導電性フィラーが分散されてなる材料とは主には、高分子材料中に導電性フィラーの集合体が分散されてなる材料であるが、公知の方法で導電性フィラーを単体で高分子材料中に分散されたものも含まれる。例えば、カーボンナノチューブが単体で高分子材料中に分散されてなる複合材料も含まれる。
【0022】
<機能性複合材料Aの製造方法>
機能性複合材料Aの製造方法には特に制限はなく、高分子材料からなるマトリクス中に、導電性フィラーを含有させて得ることができる。
【0023】
[高分子材料]
高分子材料としては特に制限はないが、ポリイミド、シリコーン樹脂、フッ素ポリマー、ポリウレタン、アクリル樹脂、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、エポキシ樹脂、ナイロン、スチレン−アクリロニトリル共重合体、ポリスチレン、ポリ乳酸、種々のエンジニアリングプラスチック、天然ゴム(NR)、合成ゴムなどが好ましく、天然ゴムおよび合成ゴムであることがより好ましい。合成ゴムの例としては、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、スチレン・ブタジエンゴム、エチレン・プロピレンゴム(EPDM)、クロロプレンゴム、アクリルゴム、クロロスルホン化ポリエチレンゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴム、ブチルゴム(IIR)、ニトリルゴム(NBR)、フッ素ゴム、エチレン酢酸ビニルゴム、およびエピクロロヒドリンゴム(ECO)が挙げられ、好ましくはエチレン・プロピレンゴム、ブチルゴムおよびニトリルゴムである。加えて、導電性高分子、例えばポリピロール、ポリチオフェン、ポリアニリン、およびこれらの誘導体などを用いることができる。これら高分子材料は1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。高分子材料として、天然ゴム、ブチルゴムおよびニトリルゴムなど炭素−炭素二重結合を有するゴムや、エポキシ樹脂などの硬化性樹脂を用いる場合、得られる複合材料の機械特性などの観点から、高分子材料が架橋されていることが好ましい。架橋の方法には特に制限はなく、周知の方法を用いることができる。
【0024】
[導電性フィラー]
導電性フィラーとしては例えば、金、銀、銅、アルミなどの金属粒子(紛体を含む)および繊維状物、炭素材料、導電性セラミックなどが挙げられ、好ましくは炭素材料と金属材料である。炭素材料の例としては、黒鉛、アセチレンブラックおよびケッチェンブラックなどの導電性カーボンブラック;フラーレン;カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー、カーボンナノホーン、グラフェンおよび気相成長炭素繊維などの炭素繊維が挙げられ、好ましくは炭素繊維である。金属材料としては、導電性を有する金属材料をすべて使用できる。
【0025】
[その他の成分]
機能性複合材料Aは、上述の高分子材料および導電性フィラーのほか、各種添加剤(顔料、安定剤、可塑剤など)、架橋剤、架橋助剤、架橋促進剤、および無機フィラーを含んでもよい。無機フィラーを添加する場合、得られる複合材料の、機械特性や重量の観点から、その含有量は高分子材料100質量部あたり0〜200質量部とすることが好ましい。また加工性、機械特性、対候性などを改善する目的で適宜公知の添加剤を含有してもよい。
【0026】
(無機フィラー)
無機フィラーには特に制限はなく、例えばチタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸カルシウム、酸化チタン、絶縁性カーボンなどを挙げることができる。
【0027】
無機フィラーの粒径および添加量は、用いる高分子材料、導電性フィラーおよび無機フィラーの種類や、導電性フィラーの量によっても異なる。例えば高分子材料として天然ゴムまたはニトリルゴムを用い、導電性フィラーとして、高分子材料に対して2〜4質量部の炭素繊維を用い、無機フィラーとして酸化チタンを用いる場合、無機フィラーの粒径は、好ましくは5nm〜100nm、より好ましくは10〜20nmであり、添加量は、高分子材料100質量部に対し、好ましくは0.5〜200質量部、より好ましくは1〜100質量部である。
【0028】
(架橋)
架橋の条件には特に制限はなく、適宜、選択することができる。
【0029】
例えば、天然ゴム、ニトリルゴム、ブチルゴムなど、炭素−炭素二重結合を有する高分子材料を用いる場合、硫黄、硫黄化合物、有機過酸化物、アミン化合物、金属酸化物などの架橋剤、好ましくは硫黄または有機過酸化物を用いて加熱により架橋することができる。
【0030】
架橋剤として硫黄を用いる場合、その添加量は、好ましくは高分子材料100質量部に対し1〜4質量部である。また必要に応じて、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、ステアリン酸およびアミン類などの架橋助剤や、チアゾール類、チウラムジスルフィド類などの架橋促進剤を用いることができる。
【0031】
架橋剤として用いることのできる有機過酸化物には特に制限はなく、例として、ジクミルペルオキシド(DCP)、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキサンなどのジアルキルペルオキサイド類;1,1−ビス(t−ブチルペルオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ヘキシルペルオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサンなどのペルオキシケタール類;などが挙げられる。好ましくはジクミルペルオキシド、1,1−ビス(t−ブチルペルオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサンである。有機過酸化物を用いる場合、その添加量は好ましくは高分子材料100質量部に対し、0.5〜3質量部である。
【0032】
(導電性フィラーの添加)
高分子材料からなるマトリクスに導電性フィラーを含有させる方法には特に制限はなく、公知の方法を用いることができる。
【0033】
例えば、あらかじめ秤量した高分子材料、導電性フィラーおよび必要に応じて他の成分を剪断や伸長を組み合わせた混練であり高分子組成物を混練する一般的な方法として知られているバンバリーミキサー、ニーダー、ロールなどのバッチ式混練法や単軸混練装置、二軸混練装置などの連続式混練法を用いることができる。
【0034】
また、湿式法を用いることもできる。すなわち、あらかじめ高分子材料を3〜20質量%となるように溶媒に溶解または分散する。高分子材料が溶解も分散もしにくい場合には、凍結粉砕などの方法で高分子材料を予め微粒子状にしておいてもよい。高分子材料として互いに相溶しない2種以上の高分子材料を組み合わせて用いる場合は、一つの液に全ての高分子材料を溶解または分散させておいても、2種類の高分子材料液を別々に調製したのち、混合してもよい。高分子材料として架橋されたものを用いる場合は、架橋剤および必要に応じて架橋助剤、架橋促進剤を高分子材料と合わせて溶解または分散しておく。
【0035】
一方、高分子材料を溶解または分散したのと同じ溶媒に、導電性フィラーを分散媒100質量部に対し、炭素繊維90質量%以下となるように分散させる。
【0036】
次いで、高分子材料の液に、導電性フィラーを分散した液を加え、フィラーを分散させたのち、混合物から溶媒を除去する。
【0037】
機能性複合材料に無機フィラーを含有させる場合は、導電性フィラーの分散液と同じ溶媒に、無機フィラーを90質量%以下になるように分散させたものを調整し、高分子材料の液に加える。
【0038】
液中にフィラーを分散させる方法としては特に制限はなく、ホモジナイザーを用いる方法などが挙げられる。
【0039】
(その他の工程)
機能性複合材料は、適宜成形して用いることができる。成形の方法にはとくに制限はなく、例えば、射出成形、ブロー成形(吹込成形)、真空成形、押出成形(多層シート成形含む)、発泡成形、圧縮成形やその他粉末、反応射出、注型、真空圧空、スタンピング、一体発泡、カレンダ成形、積層成形などがあり、本実施例では主に圧縮成形を多用した。
【0040】
複合材料中の高分子材料を架橋させる場合、溶媒を除去した後に架橋を行う。架橋の方法としては光架橋や熱架橋が挙げられ、好ましくは熱架橋である。熱架橋を行う場合、その温度や時間には特に制限はなく、用いる高分子材料の種類に応じて適宜選択することができる。例えば天然ゴム、ブチルゴム、ニトリルゴムなどの炭素−炭素二重結合を有するゴムを架橋する場合、好ましくは110〜150℃で15〜30分間である。熱架橋は、成形工程と同時に行うことができる。
【0041】
[機能性複合材料の機能]
機能性複合材料Aは、高分子材料をマトリクスとすることができるため、種々の物性を付与することができる。例えばゴムなどのエラストマを高分子材料として用いた場合には柔軟性を有する。そのため、これら特性を必要とする様々な用途、例えば、電磁波を送受信する際の電極間に配置される誘電体層として、効率的な電磁波の送受を可能にする用途に、広く効果が望める。例えば、特開2010−16592に記載されているような、電波伝達媒体との間に挿入するインターフェースとして、あるいは電磁誘導、電磁共鳴、磁界共鳴といったワイヤレス給電を行うに際しての電磁界の安定化、出力制御に寄与する効果が望める。
【0042】
(伝送シート(第2の実施形態))
本発明の第2の実施形態の伝送シートは、第1の実施形態における機能性複合材料層と、第1絶縁層とを順に備えるものである。第1絶縁層は、機能性複合材料層の両面に設けてもよい。機能性複合材料層は、導電性フィラーの添加量が高分子材料の100質量部に対して90質量部以下であり、導電率が10S/m以上であって、高分子材料中に導電性フィラーが分散されてなるものである。
【0043】
機能性複合材料層の厚さは0.1〜10mmであることが好ましい。この範囲であれば、自立膜としての強度が得られ、また良好な密着性が得られるからであり、さらに、伝送装置の体積が大きくならず、且つ重くならずに済む共に、接合容量の低下を招きにくく、十分な伝送能力が得られやすいからからである。
【0044】
第1絶縁層の材料としては、絶縁性を有し(体積固有抵抗率が1×10
10Ω・cm以上、好ましくは10
12Ω・cm以上、さらに好ましくは10
14Ω・cm以上、10
10Ω・cm未満の場合には誘電損失が大きくなる)、密着性を阻害しない高分子材料であれば特に制限はなく、例えば、ポリイミド、シリコーン樹脂、フッ素ポリマー、ポリウレタン、アクリル樹脂、ポリカーボネート、ポリエチレン・ポリプロピレンなどのポリオレフィン樹脂、ポリエステル、エポキシ樹脂、ナイロン、スチレン−アクリロニトリル共重合体、ポリスチレン、塩化ビニル、ポリ乳酸、種々のエンジニアリングプラスチック、天然ゴム(NR)、合成ゴムなどが好ましい。合成ゴムの例としては、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、スチレン・ブタジエンゴム、エチレン・プロピレンゴム(EPDM)、クロロプレンゴム、アクリルゴム、クロロスルホン化ポリエチレンゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴム、ブチルゴム(IIR)、ニトリルゴム(NBR)、フッ素ゴム、エチレン酢酸ビニルゴム、およびエピクロロヒドリンゴム(ECO)が挙げられる。好ましくは、天然ゴム、EPDM、ポリエチレン、ポリプロピレン、ABS樹脂、ナイロン、PET、PTFE、ポリイミド、塩化ビニル、ポリスチレンを用いることができる。
第1絶縁層の形成方法として、絶縁性材料の自立膜を用いる他、絶縁層形成用の高分子材料を溶媒に溶解または分散した液を、機能性複合材料層に塗布し、溶媒を除去する方法などが考えられるが、方法に特に制限はなく、公知の方法を用いることができる。塗布の方法の例としては、バーコーターによる方法やスピンコーター、スクリーン印刷などが挙げられる。
別に、シート成形機や多層押し出し機などで絶縁層成形用高分子材料を溶媒を用いずそのまま一度に積層する方法によっても良い。
第1絶縁層の厚さは5μm〜5mmであることが好ましい。この範囲であれば、絶縁層の強度が保て、さらに接合容量の低下を招きにくく、十分な伝送能力が得られやすいからである。
【0045】
第2の実施形態の伝送シートは、第1絶縁層を組み合わせることによって、及び、高分子材料の種類や架橋されているか否か、導電性フィラーの種類、導電性フィラーのモルフォルジーやその濃度、無機フィラーの有無等の作製条件によって、伝送シートの特性、目的とする伝送周波数における比誘電率、及び、誘電正接を調整、制御することができる。
【0046】
伝送シートが、例えば、導電性エラストマと絶縁性エラストマからなる場合は、伸縮性や柔軟性をもち、湾曲させることができる。
【0047】
≪伝送ユニット≫
本発明において「伝送ユニット」とは、送信電極と受信電極とを近接させることにより電力伝送を行う非接触電力伝送システムに用いる伝送ユニットであって、電極と伝送シートとからなる部材である。なお、「伝送ユニット」の形状は限定しない。
【0048】
本発明の伝送ユニットは、送信側、受信側のいずれの伝送ユニットとしても用いることができる。また、共振を取り入れた直列共振型回路、並列共振型回路を用いるものや共振を用いないアクティブキャパシタ型回路を用いるもの等、いずれのタイプの電界結合方式、あるいはその他の非接触電力伝送システムの伝送ユニットにおいても用いることができる。また、非接触電力伝送システムについて特に制限はなく、携帯電話等の携帯機器の分野、自動車等の輸送機器の分野等のあらゆる分野の非接触電力伝送システムの伝送ユニットにおいても用いることができる。
また、本発明の伝送ユニットは用いられる非接触電力伝送システムに適した形状で用いることができる。
また、本発明の伝送ユニットは本発明の効果を損なわない範囲で、他の層を備える態様で用いることができる。
【0049】
(伝送ユニット(第1の実施形態))
図1に、本発明の第1の実施形態である伝送ユニットの概略模式図を示す。
本発明の一実施形態である伝送ユニット100は、送信電極と受信電極とを近接させることにより電力伝送を行う非接触電力伝送システムに用いる伝送ユニットであって、電極1と、機能性複合材料層2とを順に備える。
機能性複合材料層2には、高分子材料中に導電性フィラーが分散されてなり、前記導電性フィラーの添加量が前記高分子材料の100質量部に対して90質量部以下であり、導電率が10S/m以上であるものを用いることができる。一般的に導電性フィラーの種類により、その最適添加量は異なる。
【0050】
図1に示す伝送ユニット100が電極1上に備える機能性複合材料層2は高分子材料を基材とする複合材料からなるため、金属やセラミックス等と比べて柔軟性、可撓性が高い。そのため、電極1の表面に凹凸や歪みが存在していたとしても機能性複合材料層2はその形状に合致するように変形するので、機能性複合材料層2と電極1との密着性が高くなり、その結果、接触抵抗が小さくなる。
さらに、電力伝送時に相手方の例えば絶縁層で被覆された電極と接触(密着)させたときに、相手方の電極の面形状に合致するように変形することができ、その結果、接合容量の低下を防ぐことができる。
例えば、むき出しの硬い金属電極上にテーブルマット等を載せてその上に携帯電話を置いて給電を行う電界結合方式の非接触電力伝送システムにおいて、携帯電話の背面が曲面である場合、金属電極及びテーブルマット(送信電極側)と携帯電話(受信電極側)とが広い面接触ではなく、点接触状になってしまう。静電容量を高くするためには接触(密着)面が広いことが重要なので、このような接触(密着)状態は望ましくない。これに対して、本発明の伝送ユニットを用いれば、機能性複合材料層2の変形によって広い接触(密着)面積を確保することができ、その結果、高い接合容量を得ることができる。
【0051】
機能性複合材料層2の厚さは、0.1〜10mmであることが好ましい。この範囲であれば、自立膜としての強度が得られ、また良好な密着性が得られるからであり、さらに、伝送装置の体積が大きくならず、且つ重くならずに済むと共に、接合容量の低下を招きにくく、十分な伝送能力が得られやすいからである。
【0052】
電極1の形状についても特に制限はない。
【0053】
電極1の材料としては導電性を有する材料であれば、特に制限なく用いることができる。具体的には例えば、銅、アルミ、鉄などの金属の他、ITO等の透明電極、金属箔、各種金属を蒸着したフィルムを用いることができる。
例えばまた、電極の材料として、高分子材料を基材として導電性付与剤(導電性フィラー)が含有され、導電性とされた材料を用いることができる。かかる材料は柔軟性を備えているため、柔軟性が要求される電極に用いることができる。また、機能性複合材料層も柔軟性を有するため、かかる材料からなる電極と組み合わせて、伝送ユニット全体を柔軟性を有するものとすることができる。
【0054】
<第1絶縁層>
第1の実施形態である伝送ユニットは、機能性複合材料層2上に第1絶縁層を備えてもよい。
実際の非接触電力伝送システムにおいては、使用時の耐久性向上等を目的として機能性複合材料層上に保護フィルムを備えるのが好ましく、第1絶縁層はその保護フィルムとしての機能を有する。
また、第1絶縁層はそれ自体、結合コンデンサの誘電体層としての機能を有する。
第1絶縁層は筐体をモデル化したものとも言える。
【0055】
この保護フィルムによる容量性の低下という問題を解決するために、例えば50μm以下程度の極薄膜を送信電極の表面に直接コートして、そこに受信電極を密着させるという手法が考えられる。しかし、従来の電極は硬いため、曲面同士を密着させることが困難(密着させるための位置決めが困難)であるから、極端に密着性が低下し、その結果、出力が低下する。これに対して、本発明の伝送ユニットでは、電極上に柔軟な機能性複合材料層を備え、その機能性複合材料層上に保護フィルム(第1絶縁層)を備えることができるため、密着性低下が避けられる。
【0056】
第1絶縁層を備えた構成の場合には、結合コンデンサの誘電体層としての機能は第1絶縁層が担うことができる。
【0057】
第1絶縁層の材料としては、絶縁性を有し(体積固有抵抗率が1×10
10Ω・cm以上、好ましくは10
12Ω・cm以上、さらに好ましくは10
14Ω・cm以上、10
10Ω・cm未満の場合には誘電損失が大きくなる)、密着性を阻害しない高分子材料であれば特に制限はなく、例えば、ポリイミド、シリコーン樹脂、フッ素ポリマー、ポリウレタン、アクリル樹脂、ポリカーボネート、ポリエチレン・ポリプロピレンなどのポリオレフィン樹脂、ポリエステル、エポキシ樹脂、ナイロン、スチレン−アクリロニトリル共重合体、ポリスチレン、塩化ビニル、ポリ乳酸、種々のエンジニアリングプラスチック、天然ゴム(NR)、合成ゴムなどが好ましい。合成ゴムの例としては、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、スチレン・ブタジエンゴム、エチレン・プロピレンゴム(EPDM)、クロロプレンゴム、アクリルゴム、クロロスルホン化ポリエチレンゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴム、ブチルゴム(IIR)、ニトリルゴム(NBR)、フッ素ゴム、エチレン酢酸ビニルゴム、およびエピクロロヒドリンゴム(ECO)が挙げられる。好ましくは、天然ゴム、EPDM、ポリエチレン、ポリプロピレン、ABS樹脂、ナイロン、PET、PTFE、ポリイミド、塩化ビニル、ポリスチレンを用いることができる。
第1絶縁層の厚さは、5μm〜5mmであることが好ましい。この範囲であれば、絶縁層の強度が保て、さらに接合容量の低下を招きにくく、十分な伝送能力が得られやすいからである。
【0058】
<第2絶縁層>
第1の実施形態である伝送ユニットは、電極と伝送シートとの間に第2絶縁層を備えてもよい。
この第2絶縁層は誘電体層としての機能を担うことができる。 第1絶縁層及び/又は第2絶縁層を備えた構成の場合には、誘電体層としての機能を第1絶縁層及び/又は第2絶縁層が担うことができる。
【0059】
第2絶縁層の材料としては、絶縁性を有し(体積固有抵抗率が1×10
10Ω・cm以上、好ましくは10
12Ω・cm以上、さらに好ましくは10
14Ω・cm以上、10
10Ω・cm未満の場合には誘電損失が大きくなる)、密着性を阻害しない高分子材料であれば特に制限はなく、例えば、ポリイミド、シリコーン樹脂、フッ素ポリマー、ポリウレタン、アクリル樹脂、ポリカーボネート、ポリエチレン・ポリプロピレンなどのポリオレフィン樹脂、ポリエステル、エポキシ樹脂、ナイロン、スチレン−アクリロニトリル共重合体、ポリスチレン、塩化ビニル、ポリ乳酸、種々のエンジニアリングプラスチック、天然ゴム(NR)、合成ゴムなどが好ましい。合成ゴムの例としては、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、スチレン・ブタジエンゴム、エチレン・プロピレンゴム(EPDM)、クロロプレンゴム、アクリルゴム、クロロスルホン化ポリエチレンゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴム、ブチルゴム(IIR)、ニトリルゴム(NBR)、フッ素ゴム、エチレン酢酸ビニルゴム、およびエピクロロヒドリンゴム(ECO)が挙げられる。好ましくは、天然ゴム、EPDM、ポリエチレン、ポリプロピレン、ABS樹脂、ナイロン、PET、PTFE、ポリイミド、塩化ビニル、ポリスチレンを用いることができる。また、シアノアクリル酸エチルなどのシアノアクリレート系接着剤を用いることができる。
接着剤としては例えば、シアノアクリル酸エチルなどのシアノアクリレート系接着剤、または、エポキシ樹脂系、シリコーン系、スチレン−ブタジエンゴム溶液系、水性高分子−イソシアネート系接着剤などの接着剤が挙げられる。電極の表面処理により酸化皮膜などの表面層を形成することによって第2絶縁層を付与することも可能である。
第2絶縁層の厚さは、5μm〜5mmであることが好ましい。この範囲であれば、絶縁層の強度が保て、さらに接合容量の低下を招きにくく、十分な伝送能力が得られやすいからである。
【0060】
(伝送ユニット(第2の実施形態))
図2に、本発明の第2の実施形態である伝送ユニットの例の概略模式図の一例を示す。
第2の実施形態の伝送ユニット200は、送信電極と受信電極とを近接させることにより電力伝送を行う非接触電力伝送システムに用いる伝送ユニットであって、電極1と、機能性複合材料層2と、第1絶縁層3とを順に備える。
機能性複合材料層2には、高分子材料及び導電性フィラーを含む機能性複合材料Aを用いることもできる。
【0061】
機能性複合材料層を構成する複合材料が本発明の効果を損なわない範囲で、上述の高分子材料および導電性フィラーのほか、架橋剤、架橋助剤、架橋促進剤、および無機フィラーを含んでもよい。
【0062】
電極1は、第1の実施形態の伝送ユニットのものと同様のものを用いることができる。
【0063】
図3に示す、SUSからなる電極1上に機能性複合材料層2とPTFE膜(第1絶縁層)3と銅からなる電極21とを順に備えた構成に対して、交流測定をした時の静電容量の結果を
図4に示す。ここで、SUS電極1と機能性複合材料層2と第1絶縁層3とからなる構成は電界結合方式等の非接触電力伝送システムにおいて一方の伝送ユニット300に相当する。
なお、伝送ユニット300のうち、機能性複合材料層2は本発明の第1の実施形態の「伝送シート」に相当し、また、機能性複合材料層2及びPTFE膜(第1絶縁層)3は本発明の第2の実施形態の「伝送シート」に相当する。
【0064】
機能性複合材料層は、高分子材料として天然ゴム(NR):ニトリルゴム(NBR)=7:3の高分子材料と、導電性フィラーとしてVGCF−X(登録商標、昭和電工株式会社製)を10phr(高分子材料の100質量に対して10質量部)と、無機フィラーとしてTiO
2を4phr(高分子材料の100質量に対して4質量部)と、架橋剤としてジクミルペルオキシド(DCP)を1phr(高分子材料の100質量に対して1質量部)とを混練し、圧延し、圧縮成型して厚さ約2mmの機能性複合材料層を形成した。
この機能性複合材料層について、5cm角のシートを切り抜き、4探針法(株式会社三菱化学アナリティック製「ロレスタGP」(商品名))により、温度25℃、湿度60%RHの下で導電性を測定したところ、導電率は16.6S/mであった。
第1絶縁層はPTFE(比誘電率2.2)からなり、厚さは200μmであった。
SUS電極は厚さ2mm、銅電極は1mmであった。
サイズは、SUS電極は13cm×13cm、それ以外の層、電極は10cm×10cmであった。
測定は、LCR測定装置を用いて、1V印加、交流周波数6.78MHzで行った。
比較のために、機能性複合材料層に替えて、銅板の場合についても行った。また、チタン酸バリウム(TiBaO
3)層の場合について計算によって得られた結果を示した。
【0065】
機能性複合材料層の場合に、静電容量は5.7nFであったのに対して、銅層の場合は1.1nFであった。チタン酸バリウム(TiBaO
3)層の場合は1.0nFであった。
【0066】
低誘電率絶縁層であるPTFE膜(200μm)を積層することによって、チタン酸バリウムの高い比誘電率は損なわれ、高容量化を生かした高効率電界結合方式等の非接触電力伝送システム用の材料としての有用性は失われることがわかる。
チタン酸バリウムは比誘電率4000であるが、200μmのPTFE膜(比誘電率2.2)を被覆した場合には、PTFE膜とチタン酸バリウム層からなるコンデンサの静電容量は1/180に低下してしまう。これは、比誘電率に換算すると誘電率4000の材料を用いたはずが、誘電率2に低下することを意味している。
また、金属電極に第1絶縁層(PTFE膜)を挟んだ構成で、200μm厚の低誘電率絶縁層では大きな容量は期待できない。更に、200μm以下の薄膜の低誘電率絶縁層を用いれば、容量は増す可能性はあるが、200μm以下の薄膜を表面コートするのは、強度の観点及び受信機側電極との密着性の観点から実用的ではない。
これに対して、本発明の伝送ユニットを構成する機能性複合材料層を用いれば、低誘電率絶縁層であるPTFE膜と組み合わせても金属層やチタン酸バリウム層のように誘電率が低下せず、かつ、高柔軟性材料なので相手方の電極と密着性が高いため、高出力を実現できる。
図4に示した結果は、本発明の第1の実施形態の伝送シートを用いて作製した伝送ユニットを用いれば、その表面に筐体を備える電界結合方式等の非接触電力伝送システムにおいて高出力を実現できることを示している。
【0067】
図5(a)は、
図4で静電容量を示した電極構成と比較すると、第1絶縁層(PTFE膜)の層厚以外は同じ構成(SUS電極/機能性複合材料層/PTFE膜/銅電極)について、PTFE膜の層厚と機能性複合材料層及びPTFE膜の誘電性(比誘電率及び誘電正接)の交流周波数特性との関係について測定した結果を示す。
図5(a)に結果を示す構成においても
図4の場合と同様に、伝送ユニットのうち、機能性複合材料層の部分は本発明の第1の実施形態の「伝送シート」に相当し、また、機能性複合材料層及びPTFE膜(第1絶縁層)の部分は本発明の第2の実施形態の「伝送シート」に相当するものであり、この機能性複合材料層の導電率は16.6S/mである。
PTFE膜の層厚を0.05〜0.3mmの範囲で0.05mmずつ変えた構成について測定した。
図5(b)は、
図5(a)を得た構成においてその機能性複合材料層を銅層に置き換えた構成について
図5(a)と同様な測定を行った結果を示す。
【0068】
図5(a)から、機能性複合材料層及び第1絶縁層(PTFE膜)の誘電性(比誘電率及び誘電正接)の周波数特性は、第1絶縁層(PTFE膜)の層厚に依存することがわかる。
このことを利用して、第1絶縁層(PTFE膜)の層厚について適切な層厚を選択することにより、使用周波数に求められる誘電性(比誘電率及び誘電正接)を満たす構成を得ることが可能となる。
第1絶縁層(PTFE膜)を備えた構成を用いることにより、第1絶縁層(PTFE膜)の層厚によって、伝送ユニットの誘電性(比誘電率及び誘電正接)を制御することが可能となる。
【0069】
また、
図5(a)は、第1絶縁層の膜厚によって共振周波数ピークがシフトすることを示している。従って、第1絶縁層の膜厚を調整することにより、所望の共振周波数に合わせることが可能となる。
【0070】
また、
図5(b)と比較すると、機能性複合材料層を用いた場合は、銅層を用いた場合よりも、第1絶縁層の膜厚依存性が格段に大きい(膜厚の変化に対する誘電性、共振周波数の変化が大きい)。そのため、本発明の伝送ユニットでは、第1絶縁層の膜厚による制御が非常に容易であり、高精度で所望の特性を有する伝送ユニットを作製することができる。
このように、第1絶縁層の膜厚を制御することで周波数特性を容易に制御できるというのはこれまでにない全く新しい知見である。
機能性複合材料に比べ、導電性が非常に高い銅層を用いた場合、共振周波数をとることが難しい。
【0071】
電界結合方式等の非接触電力伝送システムにおいては、5MHzを越すような高い周波数領域において、接合容量が高く、加工性も高い伝送材料はこれまでなかった。
図5(a)に示す通り、本発明の伝送シート又は伝送ユニットを用いる結合コンデンサでは、5MHzを越すような高い周波数領域において高い接合容量を有する。また、本発明の伝送シート又は伝送ユニットは一般的な高分子の各種成型加工法も活用することができるので加工性が高い。
【0072】
本発明の伝送ユニットや伝送シートのように柔軟な複合材料を用いれば、密着性が向上して接触面積が大きくなり、結果、給電(伝送)効率が向上する。
【0073】
図6は、
図3で示した構成と同じ構成(SUS電極/機能性複合材料層/第1絶縁層(PTFE膜)/銅電極)について、バイアス電圧と機能性複合材料層及びPTFE膜の誘電性(比誘電率及び誘電正接)との関係を交流周波数0.1MHz、3MHz及び5MHzについて測定した結果を示す。
図6に結果を示す構成においても
図4の場合と同様に、伝送ユニットのうち、機能性複合材料層の部分は本発明の第1の実施形態の「伝送シート」に相当し、また、機能性複合材料層及びPTFE膜(第1絶縁層)の部分は本発明の第2の実施形態の「伝送シート」に相当するものであり、この機能性複合材料層の導電率は16.6S/mである。
【0074】
セラミクス系の誘電体は印加電圧に依存してその誘電性(比誘電率及び誘電正接)が大きく変化する場合が多く、印加電圧と容量を決めてからそれらに合うセラミックス系の誘電体を探してくる必要があった。また、共鳴のマッチングの手間がかかることが多かった。
【0075】
これに対して、本発明の伝送ユニット(本発明の伝送シートと第1絶縁層との組み合わせ)では、その誘電性(比誘電率及び誘電正接)が印加するバイアス電圧に対してほとんど変化しない。
従って、セラミクス系の誘電体のように、印加電圧と容量を決めてからそれらに合う材料を探してくる必要がなく、また、共鳴のマッチングも容易である。
ここで、機能性複合材料層に替えて、銅層を用いた場合も、誘電性(比誘電率及び誘電正接)は印加電圧に対してほとんど変化しない結果になると思われるが、銅層の場合には硬いために、相手方の電極との密着性が悪いという問題がある。
【0076】
図7は、機能性複合材料層について、高分子材料としてNRと、導電性フィラーとしてVGCF−X(登録商標、昭和電工株式会社製)を12phr(高分子材料NRの100質量に対して12質量部)と、架橋剤としてジクミルパーオキサイド(DCP)を2phrとを混練し、圧縮成型した厚さ約2mmの機能性複合材料層を用いて、
図7で示した測定結果と同様の結果を示すものである。
この機能性複合材料層について、5cm角のシートを切り抜き、4探針法(株式会社三菱化学アナリティック製「ロレスタGP」(商品名))により、温度25℃、湿度60%RHの下で導電性を測定したところ、導電率は27.5S/mであった。
この機能性複合材料層を用いた場合についても、
図7で示した構成と同様に、その誘電性(比誘電率及び誘電正接)が印加するバイアス電圧に対してほとんど変化しないことがわかった。
図7の構成と同様に、セラミクス系の誘電体のように、印加電圧と容量を決めてからそれらに合う材料を探してくる必要がなく、また、共鳴のマッチングも容易である。
【0077】
<第2絶縁層>
第2の実施形態である伝送ユニットは、電極と伝送シートとの間に第2絶縁層を備えてもよい。
この第2絶縁層は誘電体層としての機能を担うことができる。 第1絶縁層及び/又は第2絶縁層を備えた構成の場合には、誘電体層としての機能を第1絶縁層及び/又は第2絶縁層が担うことができる。
【0078】
第2絶縁層の材料としては、絶縁性を有し(体積固有抵抗率が1×10
10Ω・cm以上、好ましくは10
12Ω・cm以上、さらに好ましくは10
14Ω・cm以上、10
10Ω・cm未満の場合には誘電損失が大きくなる)、密着性を阻害しない高分子材料であれば特に制限はなく、例えば、ポリイミド、シリコーン樹脂、フッ素ポリマー、ポリウレタン、アクリル樹脂、ポリカーボネート、ポリエチレン・ポリプロピレンなどのポリオレフィン樹脂、ポリエステル、エポキシ樹脂、ナイロン、スチレン−アクリロニトリル共重合体、ポリスチレン、塩化ビニル、ポリ乳酸、種々のエンジニアリングプラスチック、天然ゴム(NR)、合成ゴムなどが好ましい。合成ゴムの例としては、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、スチレン・ブタジエンゴム、エチレン・プロピレンゴム(EPDM)、クロロプレンゴム、アクリルゴム、クロロスルホン化ポリエチレンゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴム、ブチルゴム(IIR)、ニトリルゴム(NBR)、フッ素ゴム、エチレン酢酸ビニルゴム、およびエピクロロヒドリンゴム(ECO)が挙げられる。好ましくは、天然ゴム、EPDM、ポリエチレン、ポリプロピレン、ABS樹脂、ナイロン、PET、PTFE、ポリイミド、塩化ビニル、ポリスチレンを用いることができる。また、シアノアクリル酸エチルなどのシアノアクリレート系接着剤を用いることができる。
接着剤としては例えば、シアノアクリル酸エチルなどのシアノアクリレート系接着剤、または、エポキシ樹脂系、シリコーン系、スチレン−ブタジエンゴム溶液系、水性高分子−イソシアネート系接着剤などの接着剤が挙げられる。電極の表面処理により酸化皮膜などの表面層を形成することによって第2絶縁層を付与することも可能である。
第2絶縁層の厚さは、5μm〜5mmであることが好ましい。5μm未満の場合は絶縁層の強度が低下し、5mmを超える場合は接合容量が低下し、伝送能力が低下する。
【0079】
本発明の伝送シート又は伝送ユニットを用いた非接触電力伝送システムにおける送信側構成と受信側構成の組み合わせは例えば、
図8に示すように、送信側構成として電極/機能性複合材料層、電極/機能性複合材料層/第1絶縁層/、電極/第2絶縁層/機能性複合材料層、電極/第2絶縁層/機能性複合材料層/第1絶縁層、の4種類、受信側構成が電極のみ、電極/第2絶縁層、電極/機能性複合材料層、電極/機能性複合材料層/第1絶縁層/、電極/第2絶縁層/機能性複合材料層、電極/第2絶縁層/機能性複合材料層/第1絶縁層、の6種類とすると、24種類の組み合わせが可能であるが、組み合わせはこれらに限定されるものではない。
【0080】
本発明の伝送シート、および伝送ユニットの特性(比誘電率、誘電正接等)は、導電性フィラーの添加量、導電性フィラーの集合体の制御その他の明細書に記載した方法、及び/又は、公知の方法により、調整、制御することができる。
【実施例】
【0081】
以下、実施例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明は以下の実施例にのみ制限されるものではない。
【0082】
実施例および比較例には以下の材料を用いた。
天然ゴム(NR)(加藤産商(株)、商品名SMR−CV−60)
ブチルゴム(JSR(株)製、商品名BUTYL268)
ニトリルゴム(NBR)(日本ゼオン(株)製、商品名ND4050)
気相成長炭素繊維(昭和電工(株)製、商品名VGCF(登録商標)−X、平均繊維径10−15nm、平均繊維長3μm)
ジクミルペルオキシド(試薬特級)
酸化チタン(昭和タイタニウム(株)製、商品名スーパータイタニア(登録商標)F−6、換算粒径15nm)
トルエン(試薬特級)
酢酸ブチル(試薬特級)
【0083】
(実施例1)
SUSからなる電極上に、本発明の伝送シートを構成する複合材料からなる層(機能性複合材料層)と、銅からなる電極とを順に備えた構成に、交流電圧を印加して誘電性(比誘電率及び誘電正接)を測定した結果を表1及び表2に示す。表中の厚さ(mm)は機能性複合材料層の層厚を示す。
【0084】
本発明の伝送シートを構成する機能性複合材料層としては、高分子材料として天然ゴム(NR):ニトリルゴム(NBR)=7:3の高分子材料と、導電性フィラーとしてVGCF−X(登録商標、昭和電工株式会社製)と、無機フィラーとしてTiO
2を4phrと、架橋剤としてジクミルパーオキサイド(DCP)を1phrとを混練し、圧延し、圧縮成型して厚さ約0.9mmの層とした。VGCF−Xの添加量を8phr及び10phrとして機能性複合材料層を作製した。なお、参考例として、VGCF−Xの添加量を1phr、2phr、4phr、6phrとして機能性複合材料層を作製した場合についても表1及び表2に示した。
SUS電極は厚さ2mm、銅電極は1mmであった。
サイズは、SUS電極は13cm×13cm、それ以外の層、電極は10cm×10cmであった。機能性複合材料層の膜面積は10cmx10cmであった。
測定は、LCR測定装置を用いて、印加電圧1V、交流周波数100Hz、1kHz、10kHz、600kHz、及び、1MHzで行った。
【0085】
【表1】
【表2】
【0086】
表1、2から、導電性フィラーの分散状態の変化と共に、比誘電率と誘電正接が変化していることがわかる。導電性フィラーの濃度と周波数特性の間に一定の規則性が認められ、比誘電率に関しては、濃度依存的に高く、周波数依存的に低下する傾向があった。誘電正接に関しては、高周波数になるほど上昇した。
5cm角のシートを切り抜き、4探針法(株式会社三菱化学アナリティック製「ロレスタGP」(商品名))により、温度25℃、湿度60%RHの下で導電性を測定したところ、VGCF−Xの添加量8および10phrの導電率は、それぞれ、10.2および16.6S/mであった。
【0087】
(実施例2)
本発明の伝送シートを構成する機能性複合材料層を次の方法で作製した。天然ゴム(NR):ニトリルゴム(NBR)=7:3の高分子材料と、導電性フィラーとしてVGCF−X(登録商標、昭和電工株式会社製)をバンバリーミキサーにて混練り後、6インチロールでシートを作製した。VGCF−Xの添加量は8phr、10phr、12phr、及び15phrとした。架橋剤としてジクミルパーオキサイド(DCP)2phrを混練し、150℃20分の条件で圧縮成型して12cm×24cm×2mmtの成型品を得た。
5cm角のシートを切り抜き、導電率を測定した。測定は4探針法(株式会社三菱化学アナリティック製「ロレスタGP」(商品名))により、温度25℃、湿度60%RHの下で行った。
VGCF−Xの添加量8、10、12、15phrの導電率は、それぞれ、12.3、17.2、27.5、39.5S/mであった。
【0088】
本発明の伝送ユニット又は伝送シートでは本発明の複合材料のかかる特性を利用して、非接触電力伝送システムに適した導電性フィラーの添加量を選択して、効率的な電力伝送を行うことが可能となる。
【0089】
(実施例3)
表1及び表2のVGCF−X(導電性フィラー)10phrの場合の機能性複合材料層を用い、
図8で示した伝送ユニットの組み合わせBOについて、出力のピーク電圧及びその時の周波数を測定した。
送信側構成の機能性複合材料層の上に厚さ15μmのポリイミド膜層(第1絶縁層)を用い、機能性複合材料層を2個のコンデンサのそれぞれに分割されたものとした。
【0090】
具体的には、
図9に示すように、発信器12に接続された発信コイル13と、送信側電極14aおよび受信側電極14bからなる2組の金属電極14と、デジタルオシロスコープ16に接続された受信コイル15とを電界結合を形成するように接続し、送受伝送シートが結合した誘電体17として、伝送シートを該金属電極の間にはさんだ。なお、発信機12、発信コイル13、送信側電極14a、受信側電極14b、受信コイル5はそれぞれ、接地11に接続した。発信機12から40Vで送信を行い、受信コイル15の二次側の電圧を、デジタルオシロスコープ16(負荷抵抗200Ω)で測定した。
この時、ピーク電圧及びピーク周波数はそれぞれ、15.4V、1070kHzであった。
最高出力の目安として、機能性複合材料層及びポリイミド膜層に替えて、銅シート(厚さ:2mm)を挿入した構成について測定した結果、ピーク電圧及びピーク周波数はそれぞれ15.5V、980Hzであった。
【0091】
VGCF−X濃度が10phrの機能性複合材料層をBOの構成として用いた場合、銅シートを用いた場合と同等の出力に達した。BOの構成ではポリイミド層を有するので、銅シートを挿入した場合とは異なり、感電や漏電のおそれがない。さらに、機能性複合材料が柔らかいため、製品化された際に、受信側との密着性が向上し、その結果、高い出力が安定して得られるという特徴を有する。
【0092】
(比較例1)
次に、比較のために、BOの系において、機能性複合材料層に替えて銅シート(厚さ: 2mm)を用いた構成について、ピーク電圧及びピーク周波数を測定した。それぞれ、12.07V、997Hzであった。機能性複合材料層がVGCF−X濃度10phrのときの方が高い出力が得られることがわかった。
【0093】
(比較例2、比較例3、実施例4)
次に、一方の電極が第1絶縁層及び第2絶縁層を備えた構成(「CO」)について、機能性複合材料の替わりに、PTFE層を備えた構成、及び、銅シートを備えた構成とピーク電圧、ピーク周波数及び静電容量について比較した。
具体的には、SUS電極/PTFE0.1mm/PTFE1.0mm/PTFE0.1mm/銅電極の結合コンデンサ構成(比較例2)、SUS電極/PTFE0.1mm/銅シート1.0mm/PTFE0.1mm/銅電極の結合コンデンサ構成(比較例3)、SUS電極/PTFE0.1mm/機能性複合材料(10phr)シート1.0mm/PTFE0.1mm/銅電極の結合コンデンサ構成(実施例4)を用いた。
比較例2はそれぞれ、1.31V、997kHz、62pF、比較例3はそれぞれ、6.4V、1070kHz、210pF、実施例4はそれぞれ、8.5V、1070kHz、320pFであった。
以上の通り、実施例4の構成は、比較例2及び比較例3のいずれよりも高い出力が得られ、静電容量も高かった。
【0094】
(実施例5−1〜5−8)
表3に、本発明の伝送ユニットの組み合わせを、
図8のBO,CO,BB,CB,CCとした場合の伝送システムの出力結果を示す。
【表3】
【0095】
表3に示した導電率は、4探針法(株式会社三菱化学アナリティック製「ロレスタGP」(商品名))により、温度25℃、湿度60%RHの下で測定した。
出力の測定は、
図9に摸式的に示した回路を用いて行った。出力測定時の負荷抵抗は50Ωであった。発信機12から6.78MHz、40Vで送信を行い、受信側コイル15の二次側の電圧を、デジタルオシロスコープ16で測定した。
電極は表面をニッケルメッキした厚さ1mmの銅板を用いた。
電極、および伝送シートの面積は50mm×50mmとした。測定は、送信用電極上に伝送シートを載せ、その上から荷重1kgの受電電極で挟み、荷重1kgの条件で測定した。
伝送ユニットに用いた第1絶縁層及び第2絶縁層は、0.14mm厚のHI−PS(PSジャパン社製「PSJポリスチレン(商品名)H0103」(MFR:2.6g/10min))である。
【0096】
実施例5−1の機能性複合材料層は次のように作製した。合成ゴム(EPDM(エチレン−プロピレン−ジエンゴム);デュポン・ダウ・エラストマーズ社製「ノーデルIP4725P」(商品名))と導電性フィラー(昭和電工株式会社製「VGCF(登録商標)−X」)から成る材料を、ブラベンダー社製プラスチコーダを用いて180℃で混練した。架橋剤としてジクミルペルオキシド2phrを添加して、100℃で6インチの2本ロールで混練し、圧延し、圧縮成形(150℃,20分)して厚さ2mmのシート状とした。
実施例5−2〜5−4の機能性複合材料層は次のように作製した。熱可塑性の樹脂(サンアロマー社製「キャタロイQ300F」(商品名))と導電性フィラー(「VGCF(登録商標)−X」)から成る材料を、ブラベンダー社製プラスチコーダを用いて230℃で混練した。230℃で圧縮成形して厚さ1mm、2mm、および3mmのシート状とした。
実施例5−5の機能性複合材料層は次のように作製した。高密度ポリエチレン(日本ポリエチレン株式会社製「ノバテックHD」(商品名)HY331 (MFR:1.0g/10min、密度0.0951g/cm))と導電性フィラー(ライオン株式会社製「ケッチェンブラック」(登録商標)EC)を東芝機械株式会社製スクリュー径38mmの同方向2軸押出機(吐出樹脂温度235℃、吐出量10kg/hr)で混練し、ペレタイズ(ペレット状に)した。200℃で圧縮成型し、厚さ2mmのシート状とした。
実施例5−6〜5−8の機能性複合材料層は、市販の導電性ゴムとして信越化学株式会社製ECシリーズの導電性ゴムである。
【0097】
(比較例4−1〜4−4)
比較例4−1は、機能性複合材料層として、実施例5−1の機能性複合材料層に替えて、熱可塑性樹脂としてサンアロマー社製のポリプロピレン「PC480A」(商品名)を230℃で圧縮成形して厚さ2mmのシート状としたものを用いたものである。
また、比較例4−2は、実施例5−2の機能性複合材料層に替えて、熱可塑性樹脂としてサンアロマー社製「キャタロイQ300F」(商品名)を230℃で圧縮成形して厚さ2mmのシート状としたものを用いたものである。
また、比較例4−3は、機能性複合材料層として、合成ゴム(EPDM(エチレン−プロピレン−ジエンゴム);デュポン・ダウ・エラストマーズ社製「ノーデルIP4725P」(商品名))と、導電性フィラー(昭和電工株式会社製「VGCF(登録商標)−X」2phrとを用いて、実施例5−1と同様に混練し、成形して厚さ2mmのシート状としたものを用いたものである。
また、比較例4−4は、機能性複合材料層として、実施例5−5の導電性フィラーを、「バルカンXC72」(商品名)(キャボット社製)に変更したものを用いたものである。
比較例4−1〜4−3については、ロレスタ測定では、測定範囲外であった。
【0098】
表3に示した通り、導電率が10S/m以上の機能性複合材料層を用いた伝送ユニットの組み合わせを
図8のBO,CO,BB,CB,CCとした実施例5−1〜5−8のいずれの系においても、高い出力が得られた。一方、導電率が10S/m未満の材料層を用いた比較例4−1〜4−4では、実施例5−1〜5−8に比べて1/3〜1/40程度の出力しか得られなかった。
【0099】
(実施例6−1〜6−8)
表4に、実施例5―1〜5―8で用いた伝送シートを備えた伝送ユニットの組み合わせを
図8のCOとした伝送システムについて、LED点灯によって評価した結果を示す。
より具体的には、伝送ユニットの組み合わせを
図8のCOとした伝送システムについて、
図10に摸式的に示した回路を用い、3.5VのLEDを10個配置して、LEDの点灯の様子によって伝送システムを評価した。
電極は表面をニッケルメッキした厚さ1mmで60mm×60mmの銅板を用いた。
また、伝送シートの面積は50mm×50mmとし、第1及び第2絶縁層としては、0.14mm厚のHI−PS(PSジャパン社製「PSJポリスチレン(商品名)H0103」(MFR:2.6g/10min))を用いて、実施例5と同様に荷重1kgの条件で実施した。
評価実験は、発信機から6.78MHz、5W(40V)で送信を行い、伝送システムを介して点灯させて行った。
【表4】
【0100】
表4に示したLED点灯評価は以下の基準にて判断した。
◎ ; LED10個が明るく光った
○ ; LED10個が点灯したが◎に比べて暗い
△ ; LEDが不安定に点灯している
× ; LEDが点灯しない
【0101】
(比較例5―1〜5−4)
表4の比較例5―1〜5−4は、実施例6―1〜6―8と同様の基準でLED点灯評価を行った結果を示すものである。
【0102】
表4に示した通り、導電率が10S/m以上の各機能性複合材料を用いた場合である実施例6―1〜6―8については、LED10個を明るく点灯させるほど安定して高い電力を受信することができた。一方、導電率が10S/m未満である比較例5―1〜5−4については、実施例6―1〜6―8と同じ電力を送信したにもかかわらず、LED10個を点灯させることができない程度の電力しか受信できなかった。