(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
氷点下の環境を作り出すことが可能な試験室と、降雪用噴霧ノズルとを有し、試験室内の気温を氷点下に維持した状態で降雪用噴霧ノズルから試験室内に水を噴霧し、試験室内で水滴を氷結して試験室内に疑似的に降雪させる環境試験装置において、
前記降雪用噴霧ノズルは、水を噴霧するノズル本体と、ノズル本体の周囲を覆いノズル本体との間に空気流路を構成する外装部材とを有し、
試験室内に降雪させる際には、ノズル本体から水を噴霧すると共に、前記空気流路に空気を通過させて空気流路内の空気を置換し、当該通過させる空気は、その温度が氷点よりも高く、その露点は試験室内の空気の露点よりも低いものであり、
試験室内の空気を循環させる送風機を有し、当該送風機の空気吐出口からの空気が試験室内に導入されるものであり、降雪用噴霧ノズルの空気流路を通過した空気についても試験室内に導入され、前記降雪用噴霧ノズルの空気流路から試験室内に導入される空気の流速は、少なくとも送風機の空気吐出口の流速よりも遅いことを特徴とする環境試験装置。
氷点下の環境を作り出すことが可能な試験室と、降雪用噴霧ノズルとを有し、試験室内の気温を氷点下に維持した状態で降雪用噴霧ノズルから試験室内に水を噴霧し、試験室内で水滴を氷結して試験室内に疑似的に降雪させる環境試験装置において、
前記降雪用噴霧ノズルは、一流体ノズル又は二流体ノズルであって水を拡散して噴霧するノズル本体と、前記一流体ノズル又は二流体ノズルたるノズル本体の周囲を覆いノズル本体との間に空気流路を構成する外装部材とを有し、当該外装部材は開口端が試験室内に開き、
試験室内に降雪させる際には、ノズル本体から水を噴霧すると共に、前記空気流路に空気を置換することができる程度の遅い速度で空気を通過させて空気流路内の空気を置換し、当該通過させる空気は、その温度が氷点よりも高く、その露点は試験室内の空気の露点よりも低いものであることを特徴とする環境試験装置。
氷点下の環境を作り出すことが可能な試験室と、降雪用噴霧ノズルとを有し、試験室内の気温を氷点下に維持した状態で降雪用噴霧ノズルから試験室内に水を噴霧し、試験室内で水滴を氷結して試験室内に疑似的に降雪させる環境試験装置において、
前記降雪用噴霧ノズルは、一流体ノズル又は二流体ノズルであって水を拡散して噴霧するノズル本体と、前記一流体ノズル又は二流体ノズルたるノズル本体の周囲を覆いノズル本体との間に空気流路を構成する外装部材とを有し、当該外装部材は開口端が試験室内に開き、
試験室内に降雪させる際には、ノズル本体から水を噴霧すると共に、前記空気流路に空気を通過させて空気流路内の空気を置換し、当該通過させる空気は、その温度が氷点よりも高く、その露点は試験室内の空気の露点よりも低いものであり、
前記空気流路から吐出される空気の流速が0.8m/sec乃至1.2m/secであることを特徴とする環境試験装置。
氷点下の環境を作り出すことが可能な試験室と、降雪用噴霧ノズルとを有し、試験室内の気温を氷点下に維持した状態で降雪用噴霧ノズルから試験室内に水を噴霧し、試験室内で水滴を氷結して試験室内に疑似的に降雪させる環境試験装置において、
前記降雪用噴霧ノズルは、一流体ノズル又は二流体ノズルであって水を拡散して噴霧するノズル本体と、前記一流体ノズル又は二流体ノズルたるノズル本体の周囲を覆いノズル本体との間に空気流路を構成する外装部材とを有し、
試験室内に降雪させる際には、ノズル本体から水を噴霧すると共に、前記空気流路に空気を通過させて空気流路内の空気を置換し、当該通過させる空気は、その温度が氷点よりも高く、その露点は試験室内の空気の露点よりも低いものであり、
前記試験室は温度調整された空気が空気供給口から導入されるものであり、降雪用噴霧ノズルの空気流路を通過した空気についても試験室内に導入され、前記降雪用噴霧ノズルの空気流路から試験室内に導入される空気の流速は、前記空気供給口から試験室内に導入される空気の流速と同等か遅いことを特徴とする環境試験装置。
氷点下の環境を作り出すことが可能な試験室と、降雪用噴霧ノズルとを有し、試験室内の気温を氷点下に維持した状態で降雪用噴霧ノズルから試験室内に水を噴霧し、試験室内で水滴を氷結して試験室内に疑似的に降雪させる環境試験装置において、
前記降雪用噴霧ノズルは、一流体ノズルであって先端に水を拡散して噴霧する噴霧開口を有し水だけが供給されて水を微細な水滴にして噴霧開口から吐出して拡散させるノズル本体と、前記一流体ノズルたるノズル本体の周囲を覆いノズル本体との間に空気流路を構成する外装部材とを有し、当該外装部材は開口端が試験室内に開き、
試験室内に降雪させる際には、ノズル本体から水を噴霧すると共に、前記空気流路に空気を通過させて空気流路内の空気を置換し、当該通過させる空気は、その温度が噴霧される水の温度よりも高く、その露点は試験室内の空気の露点よりも低いものであり、
前記噴霧開口の位置は、外装部材の実質的な開口端の位置よりも内側の位置にあることを特徴とする環境試験装置。
試験室内の空気を循環させる送風機を有し、当該送風機の空気吐出口から空気が吐出され、所定の空気経路を経て試験室内に空気が導入されるものであり、降雪用噴霧ノズルの空気流路を通過した空気についても試験室内に導入され、前記降雪用噴霧ノズルの空気流路から試験室内に導入される空気の流速は、少なくとも送風機の空気吐出口の流速よりも遅いことを特徴とする請求項2乃至5のいずれかに記載の環境試験装置。
外装部材は開口端が試験室内に開いていて、ノズル本体は、水を噴霧する噴霧開口を有し、前記噴霧開口の位置は、外装部材の実質的な開口端の位置またはこれよりも内側の位置にあることを特徴とする請求項1、2、3、4、6のいずれかに記載の環境試験装置。
外装部材は開口端が試験室内に開いていて、ノズル本体は、水を所定の拡散角度をもって噴霧するものであり、外装部材の開口端の位置は拡散された水が当たらない場所にあることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の環境試験装置。
少なくともノズル本体は、直接的にあるいは他の部材を介し、試験室の外側から一時締結要素によって試験室に固定されており、一時締結要素を取り外すことによって少なくともノズル本体を試験室の外側に抜き出すことが可能であることを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載の環境試験装置。
外装部材は一部または全部を取り外すかあるいは開くことが可能であり、少なくともノズル本体を、試験室内に露出させることが可能であることを特徴とする請求項1乃至9のいずれかに記載の環境試験装置。
氷点下に維持された空間に水を噴霧し、水滴を氷結して疑似的な降雪現象を発生させる降雪用噴霧ノズルにおいて、一流体ノズル又は二流体ノズルであって水を拡散して噴霧するノズル本体と、前記一流体ノズル又は二流体ノズルたるノズル本体の周囲を覆いノズル本体との間に空気流路を構成する外装部材とを有し、当該外装部材はノズル本体の噴霧開口と同じ方向に開口し、
降雪現象を発生させる際には、ノズル本体から水を噴霧すると共に、前記空気流路に、氷点よりも温度が高く試験室内の空気よりも低い露点の空気を通過させて空気流路内の空気を置換し、且つ噴霧開口を含むノズル本体の先端近傍を空気流路を通過する空気雰囲気とし、
前記空気流路から吐出される空気の流速が0.8m/sec乃至1.2m/secであることを特徴とする降雪用噴霧ノズル。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、水を噴霧して氷結させる方法は、水を噴霧するノズルが凍りついて詰まることがあるという問題がある。
即ちノズルから噴霧される水は、液体状態でなければならない。しかしながらノズルは、氷点下の環境に水を噴霧するものであるから、低温の空気に晒されることとなり、ノズル内の水が凍結してノズルが詰まったり、ノズルから噴霧した水がノズルそのものに凍結したりして、噴霧に支障が生じることがある。
【0006】
この対策として、ノズルの側部にヒータを巻き付け、さらにヒータの周囲を保温材で覆う方法が考えられる。
即ちノズルの凍結を防止するためにノズルの側部にヒータを巻き付ける。そしてヒータから発生する熱が試験室の環境に影響を及ぼすことを避けるため、ヒータの周囲を保温材で覆う。
ノズルの側部にヒータを巻き付ける場合には、前記した様に試験室の環境を乱すことを防ぐ必要から断熱材が必須である。そのため、ノズルはヒータと断熱材によって覆われた状態となる。
【0007】
ところで人工的に降雪させるたるめに行う噴霧は、細かい水滴を噴霧するものであることが必要であるから、ノズルの噴霧開口(噴霧孔)は小さい孔である。そのためノズルの噴霧開口に異物が詰まりやすく、そのつど取り替えや清掃を行う必要がある。
【0008】
またノズルの噴霧開口そのものや、噴霧開口の近傍にはヒータを取り付けることができない。そのためノズルの噴霧開口の近傍につらら状の氷塊ができ、これが成長してノズルの噴霧開口を塞いでしまうことがある。また噴霧開口を封鎖するまでには至らないにしても、噴霧パターンを変えてしまう懸念がある。
またノズルから水が勢い良く噴霧されている場合には噴霧開口が凍結することは少ないが、噴霧を停止したり中断した際にノズルから垂れた水が凍結したり、ノズルに残った水が凍結する場合がある。そしてこの氷塊が成長し、ノズルの噴霧開口を塞いでしまうことがある。
即ち試験条件によっては、間欠的に降雪させる場合があり、試験中にノズルからの噴霧を中断する場合がある。この様な場合には、中断中にノズルから水が垂れ下がり、つららができてしまうことがある。
【0009】
この様にノズルの噴霧開口に異物が詰まったり、ノズルの噴霧開口が凍結して目詰まりし、噴霧できなくなると、作業者が試験室内に入り、噴射孔の目詰まりを解消するメンテナンス作業を実施しなければならない。
ここで長時間に渡って連続的に試験を行っている際に、ノズルの目詰まりが生じた場合、目詰まり解消作業は、非常に厄介なものとなる。
【0010】
即ち長時間に渡って連続的に試験を行っている場合は、試験の継続性を確保する必要があるから、環境試験装置を停止することができない。そのため作業者は、極寒の環境下でノズルの交換や清掃等を行わなければならない。
また前記した様に、ノズルはヒータと断熱材によって覆われているから、周囲の断熱材を外し、さらにヒータを外した上でノズルのメンテナンスを実施しなければならない。そのためノズルのメンテナンスは、細かい手作業を強いられ、面倒な作業である。
【0011】
さらに、ノズルのメンテナンスは高所作業である。
即ち人工的に降雪を行わしめるためには、噴霧された水が、落下中に氷結して擬似雪が形成されなければならない。そのため試験室は、相当の落下しろを確保する必要があり、現実の試験室の天井は、床面から4〜5メートルの高さがある。前述のノズルのメンテナンス作業は、この様な高所で実施しなければならず、危険を伴う。
【0012】
この様に、ノズルのメンテナンス作業は、積雪が溶けない様に氷点下に保たれた状態で行う必要があるため低温環境下の作業であり、且つ高所作業であり、且つ細かい手作業である。そのためノズルをメンテナンスする作業者の作業環境は非常に厳しく、且つ面倒な作業である。
【0013】
そこで本発明は、着氷を防止する機能を備えた降雪用噴霧ノズルを開発することを課題とするものである。またかかる降雪用噴霧ノズルを備えた環境試験装置を開発することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題を解決するための請求項1に記載の発明は、氷点下の環境を作り出すことが可能な試験室と、降雪用噴霧ノズルとを有し、試験室内の気温を氷点下に維持した状態で降雪用噴霧ノズルから試験室内に水を噴霧し、試験室内で水滴を氷結して試験室内に疑似的に降雪させる環境試験装置において、前記降雪用噴霧ノズルは、水を噴霧するノズル本体と、ノズル本体の周囲を覆いノズル本体との間に空気流路を構成する外装部材とを有し、試験室内に降雪させる際には、ノズル本体から水を噴霧すると共に、前記空気流路に空気
を通過させて空気流路内の空気を置換し、当該通過させる空気は、その温度が
氷点よりも高く、その露点は試験室内の空気の露点よりも低いものであ
り、試験室内の空気を循環させる送風機を有し、当該送風機の空気吐出口からの空気が試験室内に導入されるものであり、降雪用噴霧ノズルの空気流路を通過した空気についても試験室内に導入され、前記降雪用噴霧ノズルの空気流路から試験室内に導入される空気の流速は、少なくとも送風機の空気吐出口の流速よりも遅いことを特徴とする環境試験装置である。
【0015】
請求項1に記載の発明では、降雪用噴霧ノズルが、水を噴霧するノズル本体と、ノズル本体の周囲を覆いノズル本体との間に空気流路を構成する外装部材とを有するので、ノズル本体の周囲に環状の空気層を形成することができる。
また、試験室内に降雪させる際には、ノズル本体から水を噴霧すると共に、前記空気流路に空気を低速で通過させて空気流路内の空気を置換するので、ノズル本体の周囲の空気が入れ替わっている。
そして通過させる空気の温度が噴霧される水の温度よりも高いので、降雪用噴霧ノズルの水の噴射部位が凍結しにくい。
なお通過させる空気の露点を試験室内の空気の露点よりも低くすれば、通過する空気は絶対湿度が低く、結露しにくい。そのためノズル本体に着氷しにくい。
「露点は試験室内の空気の露点よりも低い(空気)」という要件は、乾燥空気や窒素等であることを要しない。
通常のコンプレッサで圧縮された空気は、大気中の水蒸気がある程度凝縮してドレン水となって排除されているから、「露点は試験室内の空気の露点よりも低い」ことが多い。そのためこの様な場合にはコンプレッサで圧縮された空気を減圧して使用することが可能である。ただし試験室内の空気の絶対湿度が低い場合には、除湿装置を通過させた空気や窒素を使用し、この空気(窒素)を空気流路に供給する必要がある。
空気流路を通過する空気の流速は、外装部材から空気が冷やされて空気流路内の温度がマイナス温度にならない程度に空気流路内の空気を置換し得る速度であり、低いほうが望ましい。
【0016】
請求項
1に記載の発明は、試験室内の空気を循環させる送風機を有し、当該送風機の空気吐出口から空気が吐出され、所定の空気経路を経て試験室内に空気が導入されるものであり、降雪用噴霧ノズルの空気流路を通過した空気についても試験室内に導入され、前記降雪用噴霧ノズルの空気流路から試験室内に導入される空気の流速は、少なくとも送風機の空気吐出口の流速よりも遅いことも特徴とする。
【0017】
請求項1に記載の発明では、試験室内の空気を循環させる送風機を有し、当該送風機の空気吐出口から空気が吐出され、所定の空気経路を経て試験室内に空気が導入されるので、試験室内の空気が所定の空気経路を経て循環しながら入れ替わる。
本発明は、空気流路を流れる空気の流速について、基準の一つを示すものである。本発明では、降雪用噴霧ノズルの空気流路から試験室内に導入される空気の流速は、少なくとも送風機の空気吐出口の流速よりも遅いので、降雪用噴霧ノズルから噴霧された水滴の拡散を阻害しにくい。そのため、降雪用噴霧ノズルから噴霧された水滴は、試験室内で氷結して擬似雪となり、直下に落下し易い。よって、本発明によると、試験室内に均等に積雪させることができる。
【0018】
請求項2に記載の発明は、氷点下の環境を作り出すことが可能な試験室と、降雪用噴霧ノズルとを有し、試験室内の気温を氷点下に維持した状態で降雪用噴霧ノズルから試験室内に水を噴霧し、試験室内で水滴を氷結して試験室内に疑似的に降雪させる環境試験装置において、前記降雪用噴霧ノズルは、一流体ノズル又は二流体ノズルであって水を拡散して噴霧するノズル本体と、前記一流体ノズル又は二流体ノズルたるノズル本体の周囲を覆いノズル本体との間に空気流路を構成する外装部材とを有し、当該外装部材は開口端が試験室内に開き、試験室内に降雪させる際には、ノズル本体から水を噴霧すると共に、前記空気流路に空気を置換することができる程度の遅い速度で空気を通過させて空気流路内の空気を置換し、当該通過させる空気は、その温度が氷点よりも高く、その露点は試験室内の空気の露点よりも低いものであることを特徴とする環境試験装置である。
【0019】
請求項3に記載の発明は、氷点下の環境を作り出すことが可能な試験室と、降雪用噴霧ノズルとを有し、試験室内の気温を氷点下に維持した状態で降雪用噴霧ノズルから試験室内に水を噴霧し、試験室内で水滴を氷結して試験室内に疑似的に降雪させる環境試験装置において、前記降雪用噴霧ノズルは、一流体ノズル又は二流体ノズルであって水を拡散して噴霧するノズル本体と、前記一流体ノズル又は二流体ノズルたるノズル本体の周囲を覆いノズル本体との間に空気流路を構成する外装部材とを有し、当該外装部材は開口端が試験室内に開き、試験室内に降雪させる際には、ノズル本体から水を噴霧すると共に、前記空気流路に空気を通過させて空気流路内の空気を置換し、当該通過させる空気は、その温度が氷点よりも高く、その露点は試験室内の空気の露点よりも低いものであり、前記空気流路から吐出される空気の流速が0.8m/sec乃至1.2m/secであることを特徴とする環境試験装置である。
【0020】
請求項4に記載の発明は、氷点下の環境を作り出すことが可能な試験室と、降雪用噴霧ノズルとを有し、試験室内の気温を氷点下に維持した状態で降雪用噴霧ノズルから試験室内に水を噴霧し、試験室内で水滴を氷結して試験室内に疑似的に降雪させる環境試験装置において、前記降雪用噴霧ノズルは、一流体ノズル又は二流体ノズルであって水を拡散して噴霧するノズル本体と、前記一流体ノズル又は二流体ノズルたるノズル本体の周囲を覆いノズル本体との間に空気流路を構成する外装部材とを有し、試験室内に降雪させる際には、ノズル本体から水を噴霧すると共に、前記空気流路に空気を通過させて空気流路内の空気を置換し、当該通過させる空気は、その温度が氷点よりも高く、その露点は試験室内の空気の露点よりも低いものであり、前記試験室は温度調整された空気が空気供給口から導入されるものであり、降雪用噴霧ノズルの空気流路を通過した空気についても試験室内に導入され、前記降雪用噴霧ノズルの空気流路から試験室内に導入される空気の流速は、前記空気供給口から試験室内に導入される空気の流速と同等か遅いことを特徴とする環境試験装置である。
【0021】
請求項5に記載の発明は、氷点下の環境を作り出すことが可能な試験室と、降雪用噴霧ノズルとを有し、試験室内の気温を氷点下に維持した状態で降雪用噴霧ノズルから試験室内に水を噴霧し、試験室内で水滴を氷結して試験室内に疑似的に降雪させる環境試験装置において、前記降雪用噴霧ノズルは、一流体ノズルであって先端に水を拡散して噴霧する噴霧開口を有し水だけが供給されて水を微細な水滴にして噴霧開口から吐出して拡散させるノズル本体と、前記一流体ノズルたるノズル本体の周囲を覆いノズル本体との間に空気流路を構成する外装部材とを有し、当該外装部材は開口端が試験室内に開き、試験室内に降雪させる際には、ノズル本体から水を噴霧すると共に、前記空気流路に空気を通過させて空気流路内の空気を置換し、当該通過させる空気は、その温度が噴霧される水の温度よりも高く、その露点は試験室内の空気の露点よりも低いものであ
り、前記噴霧開口の位置は、外装部材の実質的な開口端の位置よりも内側の位置にあることを特徴とする環境試験装置である。
【0022】
請求項6に記載の発明は、試験室内の空気を循環させる送風機を有し、当該送風機の空気吐出口から空気が吐出され、所定の空気経路を経て試験室内に空気が導入されるものであり、降雪用噴霧ノズルの空気流路を通過した空気についても試験室内に導入され、前記降雪用噴霧ノズルの空気流路から試験室内に導入される空気の流速は、少なくとも送風機の空気吐出口の流速よりも遅いことを特徴とする請求項2乃至5のいずれかに記載の環境試験装置である。
【0023】
請求項7に記載の発明は、外装部材は開口端が試験室内に開いていて、ノズル本体は、水を噴霧する噴霧開口を有し、前記噴霧開口の位置は、外装部材の実質的な開口端の位置またはこれよりも内側の位置にあることを特徴とする請求項
1、2、3、4、6のいずれかに記載の環境試験装置である。
【0024】
請求項
7に記載の発明では、外装部材は開口端が試験室内に開いていて降雪用噴霧ノズルの空気流路を通過した空気が試験室内に導入されるので、空気流路内の空気は、円滑に置換される。
また、ノズル本体は、水を噴霧する噴霧開口を有し、この噴霧開口から水を噴霧することができる。前記噴霧開口の位置は、外装部材の実質的な開口端の位置またはこれよりも内側の位置にあるので、噴霧開口が、空気流路内を通過する空気で包まれ易い。この空気流路内を通過する空気は、ノズルから噴霧される水よりも温度が高いので、噴霧開口の温度低下を阻止することができる。そのため、ノズルの噴霧開口が氷結するのを防止することができる。
【0025】
請求項
8に記載の発明は、外装部材は開口端が試験室内に開いていて、ノズル本体は、水を所定の拡散角度をもって噴霧するものであり、外装部材の開口端の位置は拡散された水が当たらない場所にあることを特徴とする請求項1乃至
7のいずれかに記載の環境試験装置である。
【0026】
請求項
8に記載の発明では、外装部材は開口端が試験室内に開いていて降雪用噴霧ノズルの空気流路を通過した空気が試験室内に導入されるので、空気流路内の空気は、円滑に置換される。
またノズル本体は、水を所定の拡散角度をもって噴霧するものであり、外装部材の開口端の位置は拡散された水が当たらない場所にあるので、拡散された水の進路が変更されず、試験室内に円滑に導入される。
【0027】
請求項
9に記載の発明は、少なくともノズル本体は、直接的にあるいは他の部材を介し、試験室の外側から一時締結要素によって試験室に固定されており、一時締結要素を取り外すことによって少なくともノズル本体を試験室の外側に抜き出すことが可能であることを特徴とする請求項1乃至
8のいずれかに記載の環境試験装置である。
【0028】
ここで「一時締結要素」とは、被締結物を取り外すことができる様に結合する機械構成要素の総称であり、ネジ、クランプ、ピン等を含む。またシャコ万力等の装置も本発明の「一時締結要素」に含まれる。
請求項
9に記載の発明では、少なくともノズル本体は、直接的にあるいは他の部材を介し、試験室の外側から一時締結要素によって試験室に固定されており、一時締結要素を取り外すことによって少なくともノズル本体を試験室の外側に抜き出すことが可能であるので、試験室の外側からノズル本体を容易に着脱することができる。
よって、ノズル本体のメンテナンスを容易に実施することができる。
【0029】
請求項
10に記載の発明は、外装部材は一部または全部を取り外すかあるいは開くことが可能であり、少なくともノズル本体を、試験室内に露出させることが可能であることを特徴とする請求項1乃至
9のいずれかに記載の環境試験装置である。
【0030】
請求項
10に記載の発明では、外装部材は一部または全部を取り外すかあるいは開くことが可能であり、少なくともノズル本体を、試験室内に露出させることが可能であるので、露出したノズル本体のメンテナンスを実施し易い。
【0031】
請求項
11に記載の発明は、氷点下に維持された空間に水を噴霧し、水滴を氷結して疑似的な降雪現象を発生させる降雪用噴霧ノズルにおいて、
一流体ノズル又は二流体ノズルであって水を
拡散して噴霧するノズル本体と、
前記一流体ノズル又は二流体ノズルたるノズル本体の周囲を覆いノズル本体との間に空気流路を構成する外装部材とを有し、
当該外装部材はノズル本体の噴霧開口と同じ方向に開口し、降雪現象を発生させる際には、ノズル本体から水を噴霧すると共に、前記空気流路に、
氷点よりも温度が高く試験室内の空気よりも低い露点の空気を
当該空気流路内の空気を置換することができる程度の遅い速度で通過させて空気流路内の空気を置換し、
且つ噴霧開口を含むノズル本体の先端近傍を空気流路を通過する空気雰囲気とすることができることを特徴とする降雪用噴霧ノズルである。
【0032】
請求項12に記載の発明は、氷点下に維持された空間に水を噴霧し、水滴を氷結して疑似的な降雪現象を発生させる降雪用噴霧ノズルにおいて、一流体ノズル又は二流体ノズルであって水を拡散して噴霧するノズル本体と、前記一流体ノズル又は二流体ノズルたるノズル本体の周囲を覆いノズル本体との間に空気流路を構成する外装部材とを有し、当該外装部材はノズル本体の噴霧開口と同じ方向に開口し、降雪現象を発生させる際には、ノズル本体から水を噴霧すると共に、前記空気流路に、氷点よりも温度が高く試験室内の空気よりも低い露点の空気を通過させて空気流路内の空気を置換し、且つ噴霧開口を含むノズル本体の先端近傍を空気流路を通過する空気雰囲気とし、前記空気流路から吐出される空気の流速が0.8m/sec乃至1.2m/secであることを特徴とする降雪用噴霧ノズルである。
【0033】
請求項
11,12に記載の発明では、水を噴霧するノズル本体と、ノズル本体の周囲を覆いノズル本体との間に空気流路を構成する外装部材とを有するので、ノズル本体の周囲に環状の空気層を形成することができる。
また降雪現象を発生させる際には、ノズル本体から水を噴霧すると共に、前記空気流路に、噴霧される水の温度よりも温度が高く外気の露点よりも低い露点の空気を低速で通過させて空気流路内の空気を置換するので、ノズル本体から噴霧された水の移動を妨げることがなく、噴霧された水が良好に氷結して落下し、均等に蓄積される。
さらに、ノズル本体の凍結を防止することが可能であるので、安定的にノズル本体から水を噴霧し続けることができる。
【発明の効果】
【0034】
本発明の降雪用噴霧ノズルは、ノズル本体の周囲の空気流路の空気が、低速で通過して置換されるので、ノズル本体の周囲には比較的高温の空気が存在し、ノズル本体は着氷しにくい。そのため、本発明の降雪用噴霧ノズルは、長時間に渡って安定して噴霧を続行することができる。
本発明の環境試験装置は、降雪用噴霧ノズルによって噴霧された水を氷結させて擬似雪を生成することができる。また、ノズル本体の周囲の空気流路の空気が、低速で通過するので、ノズル本体から噴射される水の拡散に影響を及ぼしにくく、試験室内に広範囲に渡ってほぼ均等に積雪させることができる。さらに、ノズル本体の周囲の空気流路の空気の露点を試験室内の気体の露点よりも低くすることにより、空気流路を流れる空気に起因する着氷が起こりにくくなる。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、本発明の本実施形態に係る環境試験装置について説明する。
本実施形態の環境試験装置1を概念的に表示すると
図1の様であり、試験室2(人工気候室)を中心とし、これに空調設備3と、降雪用噴霧ノズル11が設けられ、さらに降雪用噴霧ノズル11に空気を供給する空気供給系統52と、降雪用噴霧ノズル11に水を供給する水供給系統53を有している。
【0037】
試験室2は
図1、
図2の様に、断熱素材からなる層を有する側壁5、天井6、床面7によって略密閉された空間である。床面7から天井6までの高さは、例えば3〜6m程度である。また、
図2に示す側壁5の水平長さは、例えば4〜10m程度である。即ち試験室2は、縦横の長さが4〜10m程度であり、高さが3〜6m程度の試験空間である。
【0038】
環境試験装置1には、試験室2内の空気を空調設備3を経由して循環させる経路があり、試験室2には、
図1に示す様に空気吸入口8と空気供給口9が設けられている。
図1に示す様に、空気吸入口8は側壁5の下部にあり、空気供給口9は側壁5の上部にある。
空気吸入口8及び空気供給口9は、側壁5に設けられた孔である。空気供給口9は、実際には、
図2に示す様に四方の側壁5の上部の複数箇所に分散させて設けられている。また空気供給口9は、実際には小孔の集合であると言え、各孔から導入される空気の流速は低い。
【0039】
図1に示す様に、試験室2の天井6には、複数のノズル取付け孔10が設けられている。各ノズル取付け孔10は、等間隔に設けられており、例えば1m
2 (平方メートル)あたりに1〜4個の割合で配置されている。
後記する様に、天井6に設けられたノズル取付け孔10には、降雪用噴霧ノズル11が装着される。
ノズル取付け孔10の周囲には、複数のねじ穴10a(
図4)が設けられている。ねじ穴10aは、天井6の上面側に設けられている。ねじ穴10aは、ノズル取付け孔10の周囲に等間隔に設けられている。
【0040】
床面7には、必要に応じて、様々な試験対象の装置、物品等が配置されるが、
図1、
図2では、その描写は省略している。
【0041】
環境試験装置1の空調設備3は、
図1、
図2に示す様に、空調機12、ダクト13及び送風機28を有している。
空調機12は、試験室2内を所定の温度、湿度に調整する機能を有する装置である。即ち空調機12は、図示しない冷却器、加熱器、除湿器、加湿器を有する。
【0042】
図1に示す様に、ダクト13は、供給側ダクト13aと吸入側ダクト13bとで構成されている。吸入側ダクト13bは、試験室2の空気吸入口8と空調機12とを接続する空気流路を形成する。供給側ダクト13aは、空調機12と試験室2の空気供給口9とを接続する空気流路を形成する。即ち、試験室2と空調機12は、供給側ダクト13a、吸入側ダクト13bを介して環状に接続されている。
供給側ダクト13aは、実際には
図2に示す様に試験室2の側壁5の上部に沿ってのびる帯状の空間を形成し、この帯状の空間と、各供給口(小孔)9とが連通している。
【0043】
図1に示す様に、供給側ダクト13aに送風機28が設けられている。送風機28を駆動すると、試験室2内の空気が、空気吸入口8から吸入側ダクト13bを経由して空調機12に送られ、空調機12内で所定温度(例えば摂氏マイナス20度〜マイナス40度)に調整される。調整された空気は、送風機28の吐出口28aから吐出され、供給側ダクト13a及び空気供給口9を介して試験室2内に戻る。即ち、空調機12で所定の温度に調整された空気は、送風機28によって供給側ダクト13aを介して各空気供給口9から試験室2内に供給される。
【0044】
送風機28の吐出口28aにおける風速は早い。これに対して試験室2内には、四方の複数箇所の各空気供給口9から空気が供給されるので、各空気供給口9から試験室2内に流入する空気の流入速度は比較的遅く、1m/sec〜2m/sec程度であり、降雪用噴霧ノズル11からの水が各空気供給口9から流入する空気によってかき乱されることはない。
【0045】
次に降雪用噴霧ノズル11について説明する。降雪用噴霧ノズル11は、
図1、
図3,4,5に示す様に二重管構造となっており、
図4の様に、外郭管60と、芯管61によって構成されている。なお外郭管60は外装部材として機能する。
芯管61は、外郭管60の内部に挿入される部材であり、ノズル本体17と液体供給管18によって構成されている。
また外側を構成する外郭管(外装部材)60は、室外側外装部材26、挿入筒46、室内側外装部材27によって構成されている。
【0046】
芯管61を構成するノズル本体17は、公知の一流体ノズルであり、先端に水を噴霧する噴霧開口17aを有している。即ちノズル本体17には液体だけが供給され、噴霧開口17aから吐出する際に微細な水滴となって拡散する。
本実施形態で採用するノズル本体17では、供給された水が噴霧開口17aから所定角度範囲(例えば、70〜100度)で噴霧される。
また本実施形態で採用するノズル本体17は、ねじ込み式のノズルであり、ノズル本体17の噴霧開口17aとは反対側の端部にはねじ部17cが設けられている。ねじ部17cは管用ネジである。
【0047】
芯管61を構成する液体供給管18は直管である。液体供給管18の一端には、先端側ねじ部18aが設けられており、液体供給管18他端には基端側ねじ部18bが設けられている。先端側ねじ部18a及び基端側ねじ部18bは、いずれも管用ネジである。
先端側ねじ部18aには、前記したノズル本体17が取り付けられている。ノズル本体17は、管用ネジによって液体供給管18に取り付けられているから、所定のレンチを使用することによって、液体供給管18から取り外すことができる。
液体供給管18の基端側ねじ部18b寄りの位置には、外向きのフランジ部29が設けられている。フランジ部29は、液体供給管18の側壁に一体固着されている。フランジ部29には、等間隔に複数の孔29aが設けられている。
この様に芯管61(
図4)は、直線状の管体の先端にノズル本体17が管用ネジで固定され、管体の外側にフランジ部29が設けられた構造をしている。
【0048】
次に降雪用噴霧ノズル11の外郭を構成する外郭管60について説明する。降雪用噴霧ノズル11の外側を構成する外郭管60は、前記した様に室外側外装部材26、挿入筒46、室内側外装部材27によって構成されている。
室外側外装部材26は、
図5の様に筒状の本体部55を有し、その一端に外向きのフランジ部35が設けられ、他端側には蓋部材37が取り付けられたものである。
本体部55には、分岐管45が設けられている。分岐管45は、本体部55の側面に設けられており、本体部55の内外を連通するものである。
外向きのフランジ部35には、等間隔に孔35aが設けられている。孔35aは、前記した試験室2のノズル取付け孔10の周囲に設けられたねじ穴10aに対応した位置に設けられている。
【0049】
蓋部材37は、本体部55に外嵌可能な直径を有する筒状の部材であり、一端に内向きのフランジ部38を有する。フランジ部38の内側には小径孔38aが形成されている。この小径孔38aは、ノズル本体17及び液体供給管18が通過可能な大きさ(直径)を有する孔である。また蓋部材37のフランジ部38には、円周上に等間隔にねじ孔39が設けられている。
説明を容易にするため、
図5では、蓋部材37を本体部55から分離して図示しているが、実際には、蓋部材37は溶接等の手段によって本体部55に一体不可分に取り付けられている。
従って室外側外装部材26は、
図1,3,4,5,6の取付け姿勢を基準として、下端側が大きく開口し、上端側は蓋部材37の内向きのフランジ部38によって開口が絞られた管であって本体部55の側面に分岐岐管45が設けられた部材である。
【0050】
挿入筒46は、両端が開口した筒状の本体部47を有し、端部に上端フランジ部48と、下端フランジ部42とが設けられたものである。
図5においては説明を容易にするために、下端フランジ部42を本体部47から分離して図示しているが、実際には、両者はネジ等によって一体的に結合される。
上端フランジ部48には、孔48aが等間隔に4個設けられている。下端フランジ部42には、ネジ孔56が等間隔に4個設けられている。
【0051】
室内側外装部材27は、両端が開口した筒状の部材であり、一端に外向きのフランジ部41がある。室内側外装部材27の内径は、室外側外装部材26の筒部分の内径と一致しているのが好ましいが、必ずしも一致している必要はない。
室内側外装部材27のフランジ部41には、円周上の等間隔に孔41aが設けられている。
外郭管60は、前記した室外側外装部材26、挿入筒46、室内側外装部材27の三者がネジ49,50で締結されたものである。
より詳細には室外側外装部材26のフランジ部35と、挿入筒46のフランジ部48とが合致され、それぞれの孔35a,48aにねじ49が挿通されて室外側外装部材26のフランジ部35と挿入筒46とが一体化されている。
なお、後記する様に挿入筒46は、試験室2の天井6のノズル取付け孔10内に挿入されており、フランジ部35,48の孔35a,48aに挿通されたねじ49は、天井6のノズル取付け孔10の周囲に設けられたねじ穴10aに係合している。
室外側外装部材26のフランジ部35と、挿入筒46のフランジ部48との間には、図示しないパッキンやオーリングが介在されていて気密性が確保されている。
【0052】
また挿入筒46のフランジ部42と、室内側外装部材27のフランジ部41とが合致され、それぞれの孔41aとネジ孔56にねじ50が挿通されて挿入筒46と、室内側外装部材27とが一体化されている。
挿入筒46のフランジ部42と、室内側外装部材27のフランジ部41との間にも、図示しないパッキンやオーリングが介在されていて気密性が確保されている。
【0053】
降雪用噴霧ノズル11は、
図1,3,4,5,6の取付け姿勢を基準として外郭管60の上から芯管61を挿入し、芯管61のフランジ部29よりも下側(ノズル本体17側)の部分を外郭管60の中に配したものである。
即ち外郭管60の蓋部材37の小径孔38aから芯管61のノズル本体17側を挿通させ、芯管61のフランジ部29と外郭管60のフランジ部38を合致させ、フランジ部29の孔29aとフランジ部38のねじ孔39にねじ40を連通させてフランジ部38,29同士を締結したものである。より詳細には、外郭管60の上端にあるフランジ部38の上面に、芯管61のフランジ部29を載置し、ねじ40によってフランジ部38,29同士を締結することによって芯管61が外郭管60に固定されている。
なおフランジ部38,29同士の間には、図示しないパッキンやオーリングが介在されていて気密性が確保されている。
【0054】
一体に組み立てられた降雪用噴霧ノズル11は、
図4の様に二重管構造となっており、外郭管60の中に芯管61が挿通されたものである。芯管61は外郭管60の中心線上にあり、芯管61と外郭管60とは同心状である。外郭管60の内径は、芯管61の外径よりも大きく、両者の間に空気流路43たる空隙が存在する。
【0055】
降雪用噴霧ノズル11の芯管61の最先端(ノズル本体17の噴霧開口17aの近傍)は、外郭管60の端面(室内側外装部材27の端部27a)と同一の位置にあるか、僅かに奥の位置にある。逆に言えば、ノズル本体17の噴霧開口17aは、外郭管60から突出しない。
【0056】
本実施形態の降雪用噴霧ノズル11は、
図1,3,4,5,6の取付け姿勢を基準として、芯管61を外郭管60から上に引き抜くことができる。
即ち芯管61は、蓋部材37の小径孔38aから外郭管60の中に挿入されたものであり、フランジ部29とフランジ部38とのフランジ接合によって外郭管60に取り付けられたものであるから、ねじ40を外してフランジ部29,38を分割することによって芯管61と外郭管60の機械的係合が解ける。また外郭管60の上端にあるフランジ部38の上面に、芯管61のフランジ部29が載置された状態であるから、芯管61を外郭管60から引き離す際に障害となる部材は無い。
【0057】
また本実施形態の降雪用噴霧ノズル11は、
図1,3,4,5,6の取付け姿勢を基準として、外郭管60の室内側外装部材27を他の部分から取り外し、芯管61の先端部分を露出させることができる。
即ち室内側外装部材27は、他の部材に対してフランジ接合されているから、ねじ(一時締結要素)50を外すことにより、取り外すことができる。
【0058】
環境試験装置1の説明に戻ると、降雪用噴霧ノズル11は、
図4の様に、試験室2の天井6に設けられたノズル取付け孔10に装着されている。
即ち試験室2に設けられたノズル取付け孔10に、外郭管60が挿入されている。より具体的には、外郭管60の挿入筒46が、試験室2に設けられたノズル取付け孔10内にあり、挿入筒46の両端に設けられた上端フランジ部48と、下端フランジ部42との間で試験室2の天井6の壁が挟まれている。
そして挿入筒46の上端フランジ部48の孔48a及び室外側外装部材26のフランジ部35の孔35aとに挿通されたねじ49によって、挿入筒46の上端フランジ部48が試験室2の天井6に固定されている。
試験室2の天井6に取付けられた状態の降雪用噴霧ノズル11は、中間部たる挿入筒46が天井6の壁内にあり、降雪用噴霧ノズル11の室外側外装部材26は試験室2の外にある。より正確には、降雪用噴霧ノズル11の室外側外装部材26は、試験室2の天井裏に相当する位置にある。従って、降雪用噴霧ノズル11の芯管61と、外郭管60とを機械的に接合するフランジ部29,38及びねじ40は、試験室2の外であって、天井裏に相当する位置にある。
【0059】
また降雪用噴霧ノズル11の室内側外装部材27は、試験室2の天井6の面から垂直方向下に垂下されている。
即ち降雪用噴霧ノズル11の室内側外装部材27は、試験室2の天井6の面から試験室2内に向かって突出している。
そのため降雪用噴霧ノズル11のノズル本体17は、試験室2の中にある。
【0060】
本実施形態の環境試験装置1では、降雪用噴霧ノズル11に水供給系統53と、空気供給系統52とが接続されている。
【0061】
水供給系統53は、
図1に示す様に、水タンク63等の水源に接続された共通管20と、分岐管21a、21b、21cを有している。各分岐管21a、21b、21cは、共通管20を主管として分岐した配管である。共通管20には、ポンプ14と、元栓である開閉弁22が設けられている。各分岐管21a、21b、21cには、各々開閉弁23a、23b、23cが設けられている。また、分岐管21a、21b、21cの先端(下端)には、管継ぎ手65が設けられている。そして管継ぎ手65を介して降雪用噴霧ノズル11の芯管61が接続されている。
図1では、3つの分岐管21a、21b、21cを描写しているが、分岐管の数は、実際には後述の降雪用噴霧ノズル11の数だけ設けられている。また分岐管21a、21b、21cの一部または全部は、チューブであってもよい。
【0062】
共通管20では、水がポンプ14で加圧され、共通管20の開閉弁22及び各分岐管21a〜21cの各開閉弁23a〜23cを開くと、水が、共通管20、各分岐管21a〜21cを流れる。そして高圧の水は、降雪用噴霧ノズル11内に導入され、芯管61を流れてノズル本体17の噴霧開口17aから試験室2内に噴霧される。
降雪用噴霧ノズル11内に導入される水の温度は、図示しない冷却器によって、凍結する温度に近い温度に調整されている。例えば、液体が水の場合には、摂氏1〜5度(より好ましくは摂氏2〜3度)に調整されている。
【0063】
またノズル本体17から噴射された水は、所定角度範囲(例えば、70〜100度)に拡散されるが、本実施形態では、ノズル本体17の噴霧開口17aは、外郭管60の端面と同一の位置にあるか、僅かに奥の位置にあるから、噴霧された水が、外郭管60にかからない。即ち本実施形態では、180度未満の角度で水が噴霧され、且つノズル本体17の噴霧開口17aは、外郭管60の端部と同等の位置にあるから、噴霧された水は外郭管60にかからない。
【0064】
空気供給系統52は、
図1に示す様に、加圧された空気を降雪用噴霧ノズル11に供給するものであり、気体供給源たるコンプレッサ66及び空気タンク67を基端とするものである。
なお一般の工場や研究所では、屋外に大型のコンプレッサ66及び空気タンク67が置かれ、建屋内に配管が設けられていていたるところに空気栓が設置されている。空気供給系統52の内、気体供給源たるコンプレッサ66及び空気タンク67は、降雪用噴霧ノズル11専用のものではなく、工場や研究室で共用するものである場合が多い。もちろんコンプレッサ66及び空気タンク67は、降雪用噴霧ノズル11専用のものであってもよい。
コンプレッサ66で加圧された空気は、空気タンク67に蓄積されるが、この際に圧縮されて温度上昇した空気が自然放冷し、空気中の水蒸気が凝縮してドレン水68が発生する。そのため空気タンク67から供給される空気は、外気に比べて露点が低い。
【0065】
空気供給系統52の内で、
図1に示す共通管30以降は、降雪用噴霧ノズル11に専用のものである。
本実施形態では、空気供給系統52には共通管30と、分岐管31a、31b、31cとを有している。各分岐管31a、31b、31cは、共通管30が分岐した配管である。
共通管30は、前記した様に空気タンク67から空気の供給を受けるものであり、開閉弁32及び減圧弁44が設けられている。開閉弁32は電磁弁である。さらに各分岐管31a、31b、31cには、各々開閉弁33a、33b、33cが設けられている。開閉弁33a、33b、33cは手動弁であり、常時開かれている。なお開閉弁33a、33b、33cは降雪用噴霧ノズル11をメンテナンスする際にのみ手動で閉じられる。
図1では、3つの分岐管31a、31b、31cを描写しているが、分岐管の数は、実際には後述の降雪用噴霧ノズル11の数だけ設けられている。
【0066】
共通管30の各分岐管31a〜31cの各開閉弁33a〜33cが開かれていることを前提として、電磁弁たる開閉弁32を開くと、空気タンク67から供給された空気が、共通管30、各分岐管31a〜31cを流れる。共通管30では、減圧弁44で減圧され、減圧後の空気が各分岐管31a〜31cに供給される。
図1に示す様に各分岐管31a、31b、31cは、降雪用噴霧ノズル11の分岐管45に接続されている。
空気は、分岐管45から空気流路43を流れ、外郭管60の先端から試験室2内に流れ込む。即ち分岐管45から降雪用噴霧ノズル11内に導入された空気は、外郭管60と芯管61の間の空気流路43を流れ、先端から試験室2内に放出される。
【0067】
空気流路43を流れる空気の温度は、図示しない加熱装置又は冷却装置により、摂氏12度〜18度(より好ましくは、摂氏14度〜16度)に調整されている。また、気体供給源から供給される空気の露点は、前記した様に外気よりも低い。
空気流路43を流れる空気の流速は、空気流路43内の空気を置換することができる程度の速度であり、遅い速度である。
【0068】
本実施形態では、水供給系統53から加圧された水が、降雪用噴霧ノズル11内に導入され、ノズル本体17の噴霧開口17aから試験室2内に噴射される。降雪用噴霧ノズル11内に導入される水は、凍結する直前の温度に冷却されており、且つ試験室2内は、低温環境であるから、噴霧された水は、氷結して雪状となり、降下して積もる。
【0069】
またノズル本体17から噴射された水は、所定角度範囲(例えば、70〜100度)に拡散されるが、本実施形態では、ノズル本体17の噴霧開口17aは、外郭管60の端面と同一の位置にあるか、僅かに奥の位置にあるから、噴霧された水が、外郭管60にかからない。即ち本実施形態では、180度未満の角度で水が噴霧され、且つノズル本体17の噴霧開口17aは、外郭管60の端部と同等の位置にあるから、噴霧された水は外郭管60にかからない。
【0070】
また外郭管60と芯管61の間に形成された空気流路43に空気が流れ、当該空気が、液体供給管18の一部とノズル本体17の周囲を流れる。
ここでノズル本体17の等の周囲を流れる空気の温度は、少なくともノズル本体17を通過する水の温度よりも高く、且つ氷点よりも高い。そのためノズル本体17は、周囲を流れる空気から熱を受け、保温される。
また且つノズル本体17の噴霧開口17aは、外郭管60の端部と同等の位置にあるから、ノズル本体17の先端近傍についても、比較的高温の雰囲気に包まれる。そのため、ノズル本体17の凍結が阻止される。
またノズル本体17の周囲を通過して試験室2に導入される空気は、少量であるから試験室内の環境に与える影響は小さい。また空気の流速が低いので、ノズル本体17から噴射される水のパターンを乱すこともない。
【0071】
この様に構成された環境試験装置1では、試験室2の内部からノズル本体17を取り外すことができる。即ち、室内側外装部材27を取り外すことにより、試験室2内に露出したノズル本体17が操作可能になる。具体的にはねじ50を外し、室内側外装部材27を天井6から取り外す。その結果、
図9の様に、ノズル本体17が試験室2の内部の露出する。
従って、ノズル本体17に不具合が生じた場合には、試験室2側からノズル本体17に触れることができ、ノズル本体17を取り替える等の作業を実施することができる。
即ちノズル本体17を回転させ、液体供給管18との螺合を解除することにより、
図6(c)に示す様に、ノズル本体17を取り外すことができる。
【0072】
また、試験室2の外側からノズル本体17を取り外すこともできる。この場合には、試験室2の天井裏に相当する場所に作業者が移動し、降雪用噴霧ノズル11の芯管61と、外郭管60とを機械的に接合するフランジ部29,38のねじ40を外して、フランジ部29,38を分離する。
その結果、芯管61と外郭管60の機械的係合が解除され、芯管61だけを上に引き抜くことができる。即ちねじ40を外し、蓋部材37のフランジ部38と液体供給管18のフランジ部29の固定を解除すると共に、分岐管21a(又は21b、21c)に対する液体供給管18の螺合を解除する。その結果、
図6(b)に示す様に、芯管61を上に抜き出すことができ、ノズル本体17は、液体供給管18と一体の状態で取り外すことができる。
【0073】
ノズル本体17を液体供給管18と共に試験室2の外側から取り外すことができるので、作業者は摂氏マイナス数十度という試験室2内に入る必要がない。また、高さ数メートルの試験室2内の天井6でのノズル本体17の着脱作業が無用である。即ち、危険を冒してノズル本体17のみを着脱する必要はなく、試験室2の外側から安全にノズル本体17を液体供給管18と共に着脱することができる。
【0074】
次に、環境試験装置1の動作について説明する。
【0075】
本実施形態の環境試験装置1を使用して積雪状態を再現する際には、空調機12によって試験室2内の温度を、摂氏マイナス20〜50度に調整する。即ち、送風機28を駆動し、空気吸入口8、吸入側ダクト13bを介して試験室2内の空気を吸引し、空調機12内に導入する。空調機12内に導入された空気は、所定の温度及び湿度に調整された後、送風機28の吐出口28aから吐出され、供給側ダクト13aと複数の空気供給口9を介して試験室2内に供給される。
【0076】
送風機28の吐出口28aから吐出される際の空気の流速は早く、供給側ダクト13a,吸入側ダクト13b内の流速はそれよりも遅い。そして多数の孔たる空気供給口9から試験室2内への空気の流入速度はさらに遅い。空気供給口9から吐出される空気の流速は、送風機28の吐出口28aから吐出される際の流速よりも遅い1m/sec〜2m/secであり、試験室2内の空気がかき乱されることはない。即ち、供給側ダクト13a,吸入側ダクト13b内の流路断面積よりも、空気供給口9の流路面積の総和の方がはるかに大きく、試験室2内への空気の流入速度は非常に遅い。そのため、試験室2内の空気がかき乱されることはない。
【0077】
また空調機12の作動によって、試験室2内の温度が液体凍結温度(氷点下)になる前に、空気供給系統52から降雪用噴霧ノズル11の空気流路43に空気を供給する。即ちコンプレッサ66が起動しており、開閉弁33a〜33cが開かれていることを前提として、電磁弁たる開閉弁32を開く。空気供給系統52から供給される空気は、予め摂氏12度〜18度の温度で且つ、露点が試験室2内の空気の露点よりも低くなる様に絶対湿度が調整されている。その結果、温度調整された空気が、気体供給源から共通管30、分岐管31a〜31cを介して降雪用噴霧ノズル11の空気流路43に供給される。
【0078】
よって、摂氏12度〜18度に温度調整されていて芯管61を通過する水よりも温度が高く、且つ露点が低い空気が、ノズル本体17の周囲に供給されることとなる。そのため、試験室2内が液体凍結温度(氷点下)であっても、試験室2内に突出したノズル本体17の噴霧開口17aは周囲の空気流路43の空気雰囲気に包まれて保温され、凍結しない。
【0079】
またノズル本体17の周囲の空気は、空気流路43に連続的に供給される空気によって、わずかずつ試験室2側に押し出され、置換される。即ち、ノズル本体17の周囲の空気は、絶えず入れ替わる。そのため、ノズル本体17の周囲の空気が、試験室2内の低温の空気によって冷却されても、摂氏12度〜18度の温度の空気が空気流路43に連続的に供給されるので、摂氏12度〜18度の温度の空気が常時ノズル本体17(噴霧開口17a)の周囲に存在する。よって、ノズル本体17(噴霧開口17a)は凍結しない。
【0080】
このときの空気流路43内を移動する空気の流速は、非常に遅く、ノズル本体17周辺の吹き出し断面における流速(吹き出し口の風速)は、0.8m/sec〜1.2m/secとすることができ、より好ましくは0.9m/sec〜1.1m/secであり、最適値は1m/secである。本実施形態では、降雪用噴霧ノズル11から吹き出される空気の速度は、空気供給口9から試験室2内に導入される空気の速度よりも遅い。
本実施形態では、気体供給源から共通管30に設けられた減圧弁44によって、供給される空気の圧力が減圧され、空気流路43に供給される空気の流速が制御される。
【0081】
この空気流路43内を移動し、降雪用噴霧ノズル11から吹き出される空気の流速(0.8m/sec〜1.2m/sec)は、多数の空気供給口9から試験室2内に導入される際の流速1m/sec〜2m/secよりも遅い。よって、空気流路43から試験室2に流入する空気流によって、試験室2内の空気がかき乱されることはない。またノズル本体17から噴射された水の拡散パターンに与える影響も小さい。
【0082】
試験室2内の空気の温度及び湿度が、予め設定された所定の温度及び湿度に達し、擬似降雪のための環境が整うと、各分岐管21a〜21cに設けられた開閉弁23a〜23cが開かれていることを前提として共通管20の開閉弁22を開く。またポンプ14を駆動する。その結果、水供給系統53の共通管20、分岐管21a〜21cを介して降雪用噴霧ノズル11に水が供給される。この水供給系統53から供給される水は、図示しない冷却器及び加熱器によって、予め凍結温度に近い所定温度に調整されている。具体的には、水の温度は、摂氏1度〜5度(好ましくは摂氏2度〜3度)に調整されている。
【0083】
降雪用噴霧ノズル11に供給された水は、液体供給管18を通過し、
図7に示す様に、ノズル本体17の噴霧開口17aから試験室2内に噴射される。噴射された水は、所定範囲に拡がって床面7に向かって落下する。凍結温度に近い温度で試験室2内に噴射された霧状の水は、落下中に速やかに凍結して擬似雪を形成する。
【0084】
噴霧開口17aからの水の噴射角度は、70〜100度とすることができるが、80度〜90度であるのが好ましい。即ち、噴射角度が狭すぎると、降雪範囲が狭くなり、広範囲に渡って降雪させるために、多数の降雪用噴霧ノズル11が必要になり、逆に噴射角度が広すぎると、空気流路43から流入する空気の影響を受け易くなる。空気流路43から試験室2内に流入する空気の流速が非常に遅いとはいえ、噴霧角度が広すぎると、空気流路43から流入する空気の流れによって進路が妨げられる。
【0085】
また、噴霧された水の温度が低過ぎると、水が共通管20や分岐管21a〜21c内で凍結する恐れがあり、逆に高過ぎると、試験室2内で擬似雪が形成されるまで温度低下しにくい。即ち、高さ数メートルの天井6から噴射(噴霧)された水滴が、床面7に到達するまでの間に、擬似雪が形成される程度まで温度低下しにくい。
また、噴霧される水の粒子径は、0.5〜1.2mm程度であるのが好ましい。
即ち、粒子径が大き過ぎると、凍結して擬似雪が形成される前に床面に到達してしまい、逆に水の粒子径が小さ過ぎると、空調機12による空気の吸入と供給の影響を受けてしまい、たとえ凍結しても空調機12に吸い込まれ易くなり、適切に床面7に降雪しない。
【0086】
以上説明した実施形態では、一時締結要素の例としてねじ40,50を例示したが、これに代わって、クランプやシャコ万力、ピン等を採用することもできる。
また前記した実施形態では、分割するべき部位をフランジ結合したが、ねじ込み方式を採用してもよい。
図10は、挿入筒70と、室内側外装部材71との間の結合にねじ込み方式を採用した例を示す。
【0087】
また上記した実施形態の降雪用噴霧ノズル11は、外郭管60が3つの部材によって構成され、外郭管60が、3分割可能な構造である。本構成は、降雪用噴霧ノズル11の試験室2に対する取付けが簡単であり、推奨される。しかしながら本発明は、この構成に限定されるものではなく、例えば
図12に示す降雪用噴霧ノズル80の様に、二つの部材によって構成されたものであってもよい。もちろん3以上の部材によって構成されていてもよい。
図12に示す降雪用噴霧ノズル80の構造説明は、先の実施形態の降雪用噴霧ノズル11と同一の部材に同一の番号を付すことによって省略する。
【0088】
また以上説明した実施形態では、室内側外装部材27,71が完全に分離可能な構造を採用したが、
図11の様に、ヒンジ72によって開閉することができる構造のものであってもよい。
以上説明した実施形態では、ノズル本体17に一流体ノズルを使用したが、二流体ノズルを使用してもよい。
また本発明の環境試験装置1は、降雪用噴霧ノズル11に断熱材やヒータを設ける必要はないが、断熱材やヒータを設けることを否定するものではない。
以上説明した実施形態では、空気供給系統52から降雪用噴霧ノズル11に供給されてノズル本体17の周囲に至る空気と、水供給系統53から降雪用噴霧ノズル11に供給されてノズル本体17の周囲に至る水の双方を温度調節した。本構成は推奨される構成であるが、空気と水のいずれか一方だけを温度調節してもよい。さらに前記空気の温度が水の温度よりも高いことが明らかであれば、空気と水の双方とも温度調節をしなくてもよい。要するに、現実に空気流路43を通過する空気の温度が現実に噴霧される水の温度よりも高いものであればよい。
【0089】
前記した実施形態では、試験室2内に降雪させる際に、常時、空気流路43に空気を低速で通過させて空気流路43内の空気を常時置換したが、空気置換は間欠的でもよい。即ち空気流路43内の温度が下がり過ぎない程度に空気置換を間欠運転してもよい。
また、配管内の水を停止時に排水し、水を流す直前に、空気流路43に空気を流すものでもよい。
【0090】
降雪用噴霧ノズル11の空気流路43を流れる空気の流速は、可能な限り低速であることが望ましい。本実施形態では、試験室2内の空気を空調設備3を介して循環させる空調経路があり、降雪用噴霧ノズル11の空気流路43を流れる空気の流速は、空調経路のいずれの部位を流れる空気の流速よりも遅い。
この流速設定は、最も推奨されるものではあるが、必須ではない。即ち環境試験装置1は用途が多岐にわたり、空調設備3を介して試験室2内に導入する空気の流速や、試験室2内から空調設備3に至る空気の流速が極端に小さくなる様に設計される場合もある。
この様な場合には、降雪用噴霧ノズル11の空気流路43を流れる空気の流速が、空調設備3を介して試験室2内に導入する空気の流速と同等になる場合もある。
常識的に、空調経路における空気の流速は、送風機28の近傍が最も速い。そのため降雪用噴霧ノズル11の空気流路43を流れる空気の流速は、送風機28の空気吐出口28aの流速よりも遅いことが望ましい。
また常識的に、空調経路のダクト内の流速は送風機28の空気吐出口28aの流速に次いで速い。そのため降雪用噴霧ノズル11の空気流路43を流れる空気の流速は、ダクト内の流速よりも遅いことが望ましい。
【0091】
前記した実施形態では、ノズル本体17は、液体供給管18を介して試験室2に取り付けられているが、例えばノズル本体自体に取付けフランジや取付けネジ孔を設け、試験室2の外側からネジ等の一時締結要素によって試験室2に固定し、一時締結要素を取り外すことによってノズル本体17を試験室2の外側に抜き出す構成を採用することもできる。