【実施例】
【0065】
以下、実施例によって本発明の具体例を示すが、以下の実施例は本発明の例示にすぎず、本発明は以下の実施例のみに限定されない。なお、以下において、特記しない限り、「部」及び「%」は重量基準である。
【0066】
<複合樹脂粒子の平均粒子径>
ロータップ型篩振とう機(飯田製作所製)を用いて、篩目開き4.00mm、3.35mm、2.80mm、2.36mm、2.00mm、1.70mm、1.40mm、1.18mm、1.00mm、0.85mm、0.71mm、0.60mm、0.50mm、0.425mm、0.355mm、0.300mm、0.250mm、0.212mm及び0.180mmのJIS標準篩(JIS Z8801−1:2000)で試料約50gを10分間分級し、篩網上の試料重量を測定する。得られた結果から累積重量分布曲線を作成し、累積重量が50%となる粒子径(メディアン径)を平均粒子径とする。
【0067】
<異音防止用発泡性複合樹脂粒子の表面におけるステアリン酸亜鉛量>
前処理として、発泡性複合樹脂粒子0.03〜0.5gを50mL三角フラスコに精秤する。これに5N塩酸10mLを注加して10分間撹拌する。更に蒸留水20mLを注加して10分間撹拌する。次いで、No.7濾紙で濾過後、濾液をICP測定用試験液とした。試験液を下記条件にて測定し、検量線より試験液中の亜鉛濃度を求めた後で樹脂表面残存亜鉛量を次式より算出した。試験液中の亜鉛濃度が検量線の上限を超えている場合は、検量線の範囲内になるように試験液を蒸留水で希釈した。
樹脂表面残存亜鉛量(重量%)=試験液中亜鉛濃度(μg/mL)×30(mL)÷試料重量(g)÷10,000
更に、次式より換算ステアリン酸亜鉛量を得られた樹脂表面残存亜鉛量から分子量換算により算出した。
換算ステアリン酸亜鉛量(重量%)=樹脂表面残存亜鉛量(重量%)×(632.33/65.39)
【0068】
(ICP測定条件)
測定装置:島津製作所(株)製 マルチタイプICP発光分光分析装置 ICPE−9000
測定元素:Zn(213.856nm)
観測方向=軸方向,高周波出力=1.20kw,キャリアー流量=0.7L/min,プラズマ流量=10.0L/min,補助流量=0.6L/min,露光時間=30秒
検量線用標準液:米国SPEX社 XSTC−13(汎用混合標準溶液) 31元素混合(ベース5%HNO
3)−各約10mg/L
検量線作成方法:上記混合標準液を蒸留水で段階的に希釈調製して0ppm(BK)、0.2ppm、1ppm、2.5ppm、5ppm標準液を作成する。各濃度の標準液を上記条件にて測定し、Zn元素の波長のピーク強度を得る。濃度とピーク強度をプロットして最小二乗法により近似曲線(直線あるいは二次曲線)を求め、これを定量用の検量線とする。
なお、発泡時の結合防止などの目的で発泡性複合樹脂粒子の表面が処理されている場合には、処理に用いたステアリン酸亜鉛も合計して測定される。
【0069】
<予備発泡粒子、発泡成形体のステアリン酸亜鉛量>
前処理として、測定試料約0.03〜0.5gを坩堝に精秤して450℃×5hr灰化後、濃塩酸2mLで処理する。不溶分をNo.7濾紙で濾過後、50mLにメスアップしてICP測定用試験液とした。試験液を下記条件にて測定し、検量線より試験液中亜鉛濃度を求めた後で樹脂中亜鉛量を次式より算出した。試験液中の亜鉛濃度が検量線の上限を超える場合は、検量線の範囲内になるように試験液を蒸留水で希釈した。
樹脂中亜鉛量(重量%)=試験液中亜鉛濃度(μg/mL)×50(mL)÷試料重量(g)÷10,000
更に、次式より換算ステアリン酸亜鉛量を得られた樹脂中亜鉛量から分子量換算により算出した。
換算ステアリン酸亜鉛量(重量%)=樹脂中亜鉛量(重量%)×(632.33/65.39)
【0070】
(ICP測定条件)
測定装置:島津製作所(株)製 マルチタイプICP発光分光分析装置 ICPE−9000
測定元素:Zn(213.856nm)
観測方向=軸方向,高周波出力=1.20kw,キャリアー流量=0.7L/min,プラズマ流量=10.0L/min,補助流量=0.6L/min,露光時間=30秒
検量線用標準液:米国SPEX社 XSTC−13(汎用混合標準溶液) 31元素混合(ベース5%HNO
3)−各約10mg/L
検量線作成方法:上記混合標準液を蒸留水で段階的に希釈調製して0ppm(BK)、0.2ppm、1ppm、2.5ppm、5ppm標準液を作成する。各濃度の標準液を上記条件にて測定し、Zn元素の波長のピーク強度を得る。濃度とピーク強度をプロットして最小二乗法により近似曲線(直線あるいは二次曲線)を求め、これを定量用の検量線とする。
(灰化条件)
測定装置:電気炉 マッフル炉STR−15K(株式会社いすず製)
灰化条件:450℃×5hr(試料量=約0.03〜0.5g)
【0071】
<異音防止用発泡性複合樹脂粒子のポリエチレングリコール量>
測定試料0.1〜0.2gを50mLビーカーに精秤する。試薬特級トルエン10mLを添加後ホットプレートで加熱して試料を溶解させ、この溶液をメタノール約35mL中に滴下し、樹脂分の再沈殿操作を行う。滴下終了後室温(20〜25℃)で約1時間攪拌し、ポリエチレングリコールを十分溶出させNo.5A濾紙で濾過し、その濾液をメスフラスコに入れメタノールを加えて50mLに定容する。
定容液中のポリエチレングリコール濃度が、ピーク検出されないレベルの場合は、更にこの定容液をメスシリンダーで20mL採取し、減圧(50℃水恒温槽中で約240hPaまで減圧)下で濃縮後2mLメスフラスコを用いてメタノールで定容する。
次いで、定容液を非水系0.45μmクロマトディスクで濾過し、次の条件でHPLC測定する。また、検量線作成方法は以下の通りであり、ポリエチレングリコールの約10,000ppm中間標準液(メタノール溶液)を調製後、さらにメタノールで段階的に希釈して約10ppm、15ppm、30ppm、50ppm、100ppmの検量線作成用標準液を調整する。
各濃度の標準液を下記条件にて測定し、クロマトグラムピーク上の面積値を得る。サンプルの面積値を間に挟む3点の標準液を選び各濃度と面積値をプロットして最小二乗法により近似曲線(二次曲線)を求め、これを定量用の検量線とする。
【0072】
(測定条件)
測定装置 島津製作所製 液体クロマトグラフ装置 LC−10Avp
カラム TSKgel ODS−80TS QA 4.6×150(TOSOH社製)
試験数 1
測定条件 カラム温度:40℃
移動相:メタノール
移動相流量:0.7mL/分
ポンプ温度:室温(20〜25℃)
測定時間:8分
検出:蒸発光散乱
注入量:50μL
検出器 蒸発光散乱検出器 ELSD−2000(Altech社製)
Drift Tube temp. :60℃
GAS Flow:1.6mL/分
GAIN:1(Impactor=off)
なお、帯電防止などの目的で発泡性複合樹脂粒子の表面が処理されている場合には、処理に用いたポリエチレングリコールも合計して測定される。
【0073】
<異音防止用発泡性複合樹脂粒子、予備発泡粒子、発泡成形体のジイソブチルアジペート量>
測定試料約0.1〜0.2gを50mL三角フラスコに精秤する。これに試薬特級トルエン約10mLを注加して、ホットプレート上で加熱して溶解させる。100mLビーカーにメタノール約30〜35mLを入れ、この中に前記溶解液を滴下して再沈澱操作を実施する。1時間程度撹拌後にNo.5A濾紙で濾過後、濾液をメタノールで50mLに定容する。次いで、2mLメスフラスコに内部標準液ピレン20μL(1000ppm)を入れ、上記液でメスアップし、次の条件でGC/MS分析する。
得られたクロマトグラムのジイソブチルアジペートのピーク面積を、内部標準物質であるピレンのピーク面積に対する相対感度として予め作成したジイソブチルアジペート(6.15ppm、24.6ppm、61.5ppm)の検量線より定量した。さらに、試料重量と抽出液量から下記式にて含有量(重量%)を算出した。
ジイソブチルアジペート量(重量%)=試験液中濃度(μg/mL)×抽出液量50(mL)÷試料重量(g)÷10,000
【0074】
(測定条件)
測定装置:島津製作所製 ガスクロマトグラフ質量分析計 QP2010SE
カラム: ZB−5MS(0.25μm×0.25mmφ×30m、Phenomenex社製)
GCオーブン昇温条件:初期温度70℃(1min保持)
第1段階昇温速度 15℃/min(260℃まで0min保持)
第2段階昇温速度 10℃/min(300℃まで)
最終温度 300℃(3min保持)
キャリアーガス:ヘリウム
全流量・カラム流量:52mL/min・1.02mL/min
カラム入口圧:74.9kPa
検出器:1.00kV
注入口温度:300℃
インターフェース温度:260℃
イオン原温度:260℃
スプリット比:1/50 (内部標準法)
試験液注入:2μl(オートサンプラー使用)
測定モード:SIM法(M/Z=129、185、200、202)
内部標準液:ピレン
【0075】
<予備発泡粒子の密度及び発泡倍数>
予備発泡粒子の密度及び発泡倍数を次のように測定する。
約5gの予備発泡粒子の重量(a)を小数以下2位で秤量し、最小メモリ単位が5cm
3である500cm
3メスシリンダーに秤量した予備発泡粒子を入れる。次に、メスシリンダーの口に、その口径よりやや小さい円形の樹脂板であって、その中心に巾約1.5cm、長さ約30cmの棒状の樹脂板が直立して固定された押圧具を当てて、予備発泡粒子の体積(b)を読み取る。
得られた予備発泡粒子の重量(a)及び予備発泡粒子の体積(b)から、次式により
予備発泡粒子の密度(g/cm
3)=(a)/(b)、発泡倍数=密度の逆数=(b)/(a)
を求める。
【0076】
<発泡成形体の成形性>
複合樹脂粒子に含まれるポリオレフィン系樹脂がポリエチレン系樹脂である予備発泡粒子の場合、発泡倍数30倍の予備発泡粒子を常温(温度20±3℃、相対湿度50±5%)で24時間熟成させ、内寸300mm×400mm×30mm(厚さ)の直方体形状のキャビティを有する成形金型を備えた発泡ビーズ自動成型機(積水工機製作所社製、ACE−3SP)のキャビティ内に充填し、次の条件でスチーム加熱及び冷却した後に発泡成形体を金型から取り出し、発泡成形体を得た。
得られた発泡倍数30倍の発泡成形体を温度50℃で1日間乾燥した後、発泡成形体の外観を次の基準で評価する。
(成形条件)
金型加熱=5秒
一方加熱=10秒
逆一方加熱=5秒
両面加熱=15秒
水冷=10秒
設定蒸気圧=0.06MPa、0.07MPa、0.08MPa
【0077】
複合樹脂粒子に含まれるポリオレフィン系樹脂がポリプロピレン系樹脂である予備発泡粒子の場合、発泡倍数30倍の予備発泡粒子を常温(温度20±3℃、相対湿度50±5%)で24時間熟成させ、内寸300mm×400mm×30mm(厚さ)の直方体形状のキャビティを有する成形金型を備えた発泡ビーズ自動成型機(DABOジャパン社製、DPM−49S)のキャビティ内に充填し、次の条件でスチーム加熱及び冷却した後に発泡成形体を金型から取り出し、発泡成形体を得た。
得られた発泡倍数30倍の発泡成形体を温度50℃で1日間乾燥した後、発泡成形体の外観を次の基準で評価する。
(成形条件)
金型加熱=5秒
一方加熱=10秒
逆一方加熱=5秒
両面加熱=20秒
水冷=10秒
設定蒸気圧=0.21MPa、0.23MPa、0.25MPa
【0078】
(評価基準)
◎(優):成形体表面が十分に伸びかつ表面が溶融した予備発泡粒子が全くない(予備発泡粒子間の間隙が無く、成形体表面が非常に平滑で成形体外観が非常によい)
○(良):予備発泡粒子間の間隙が非常に少なく、成形体表面がほぼ平滑で成形体外観が良好である
×(不可):成形体表面の伸び不足或いは表面が溶融した予備発泡粒子が存在し、成形体表面に間隙が無数にあり、成形体外観が劣る
【0079】
<発泡成形体内部の融着>
所定の発泡倍数の発泡成形体から任意に300mm×100mm×30mm(厚さ)の表皮付き試験片を切り出し、長辺の中央部より100mm×30mm面が破断するように破断させ、破断面の粒子の個数を計測する。次に粒子の中央部より破断しているもの(融着しているもの)の個数を計測する。
上記の計測結果から下記式により発泡成形体内部の融着率を算出し、発泡成形体の融着性を次の基準で評価する。
融着率(%)=融着している粒子数/全粒子数×100
(評価基準)
◎(優):発泡成形体内部の融着率が80%以上
○(良):発泡成形体内部の融着率が60%以上80%未満
×(不可):発泡成形体内部の融着率が60%未満
【0080】
<発泡成形体の落球衝撃値>
JIS K7211:1976「硬質プラスチックの落錘衝撃試験方法通則」に記載の方法に準拠して落球衝撃強度を測定する。
得られた発泡倍数30倍の発泡成形体を温度50℃で1日間乾燥した後、この発泡成形体から40mm×215mm×20mm(厚さ)の試験片(6面とも表皮なし)を切り出した。試験片は、JIS K7100:1999の記号23/50、2級環境下で16時間状態調節したのち同環境下で測定を行なった。
次いで、支点間の間隔が150mmになるように試験片の両端をクランプで固定し、重さ321gの剛球を所定の高さから試験片の中央部に落下させて、試験片の破壊の有無を観察する。
試験片5個が全数破壊する最低の高さから全数破壊しない最高の高さまで5cm間隔で剛球の落下高さ(試験高さ)を変えて試験して、落球衝撃値(cm)、すなわち50%破壊高さを次の計算式により算出する。
H50=Hi+d[Σ(i・ni)/N±0.5]式中の記号は次のことを意味する。
H50:50%破壊高さ(cm)
Hi:高さ水準(i)が0のときの試験高さ(cm)であり、試験片が破壊することが予測される高さ
d:試験高さを上下させるときの高さ間隔(cm)
i:Hiのときを0とし,1つずつ増減する高さ水準(i=…−3、−2、−1、0、1、2、3…)
ni:各水準において破壊した(又は破壊しなかった)試験片の数で、いずれか多いほうのデータを使用(同数の場合はどちらを使用してもよい)
N:破壊した(又は破壊しなかった)試験片の総数(N=Σni)で、いずれか多いほうのデータを使用(同数の場合はどちらを使用してもよい)
±0.5:破壊したデータを使用するときは負の数、破壊しなかったデータを使用するときは正の数を採用
得られた落球衝撃値を次の基準で評価する。落球衝撃値が大きいほど発泡成形体の耐衝撃性が大きいことを示す。
◎(優):落球衝撃値が55cm以上
○(良):落球衝撃値が45cm以上55cm未満の範囲
×(不可):落球衝撃値が45cm未満
なお、複合樹脂粒子に含まれるポリオレフィン系樹脂がポリエチレン系樹脂である発泡成形体は、設定蒸気圧0.08MPaで型内成形した発泡成形体を使用し、複合樹脂粒子に含まれるポリオレフィン系樹脂がポリプロピレン系樹脂である発泡成形体は、設定蒸気圧0.25MPaで型内成形した発泡成形体を使用した。
【0081】
<発泡成形体の摩擦係数試験による最大点荷重>
JIS K7125:1999「プラスチック−フィルム及びシート−摩擦係数試験方法」に記載の方法に準拠して最大点荷重を測定する。
得られた発泡倍数30倍の発泡成形体を温度50℃で1日間乾燥した後、この発泡成形体から63mm×63mm×5mm(厚さ)の試験片を切り出した。試験片及び相手材料は、JIS K7100:1999の記号23/50、2級環境下で16時間状態調節したのち同環境下で測定を行なった。滑り相手材料は塗装鋼板(日新製鋼社製、商品名:月星GLカラーSELiOS/GLエナメル クリーン/ストロークリーム、厚み:0.27mm)とした。
次いで、試験片を200g滑り片に両面テープで張り付け、滑り相手材料の上を試験速度100mm/分、試験距離80mmとし、スプリングを使用せず、テンシロン万能試験機(オリエンテック社製、UCT−10T)を剥離試験モードとして測定した。この試験において、データ処理は万能試験機データ処理(UTPS−237Sソフトブレーン株式会社製)を用いた。滑り相手材料と接する試験片面(63mm×63mm)は表皮付きとした。試験片の数は3個とする。
なお、複合樹脂粒子に含まれるポリオレフィン系樹脂がポリエチレン系樹脂である発泡成形体は、設定蒸気圧0.08MPaで型内成形した発泡成形体を使用し、複合樹脂粒子に含まれるポリオレフィン系樹脂がポリプロピレン系樹脂である発泡成形体は、設定蒸気圧0.25MPaで型内成形した発泡成形体を使用した。
【0082】
<発泡成形体の異音防止性>
得られた発泡倍数30倍の発泡成形体から試験片50mm×50mm×30mm(厚さ)を切り出し、50mm×50mmの2面は表皮が有るものとした。
試験片は、温度20±3℃、相対湿度50±5%の恒温室内に24時間放置した。
その後、
図1の擦れ音評価装置を用いて試験片と塗装鋼板との擦れ音を騒音計により測定した。
滑り相手材料は塗装鋼板(日新製鋼社製、商品名:月星GLカラーSELiOS/GLエナメル クリーン/ストロークリーム、厚み:0.27mm)とした。
図1中、参照番号1は試験片を表す。参照番号2は騒音計を表す。参照番号3は塗装鋼板を表す。参照番号4はグリップを表す。参照番号5は手動式スライド台を表す。参照番号6はローラーを表す。参照番号7は荷重受台を表す。参照番号8は錘を表す。参照番号aは試験片1と騒音計2との距離を表す。参照番号bは手動式スライド台5のスライドストロークを表す。
【0083】
具体的な測定方法としては、まず、試験片1の表皮面(50mm×50mm面)の一方を両面テープで上下可動式の荷重受台7(自重2kg)に接着する。その後、荷重受台7に接着した試験片1が塗装鋼板3に接するまで下げ、密着させる。塗装鋼板3と手動式スライド台5は接着している。次いで、荷重受台7に10kgの錘8を載せる。試験片1からの距離aを10cmとして騒音計2(ケニス社製 デジタル騒音計390)を設置する。
騒音計2にて暗騒音を測定する。暗騒音とは試験片1と塗装鋼板3を擦る前のその雰囲気下(恒温室内)の騒音であり、暗騒音が38dB以下であることを確認し、その時の暗騒音を記録する。
続いて、グリップを持ちスライドストロークbを5cm、スライドスピードを10cm/secとして5往復させ、その間の擦れ音の最大値を記録し、暗騒音との差を算出する。
得られた擦れ音と暗騒音の差を次の基準で評価する。差が小さいほど擦れ音が発生していないことを示す。
◎(優):擦れ音と暗騒音の差が5dB以下
○(良):擦れ音と暗騒音の差が5dB超10dB以下
×(不可):擦れ音と暗騒音の差が10dB超
なお、複合樹脂粒子に含まれるポリオレフィン系樹脂がポリエチレン系樹脂である発泡成形体は、設定蒸気圧0.08MPaで型内成形した発泡成形体を使用し、複合樹脂粒子に含まれるポリオレフィン系樹脂がポリプロピレン系樹脂である発泡成形体は、設定蒸気圧0.25MPaで型内成形した発泡成形体を使用した。
【0084】
実施例1
(複合樹脂粒子の製造)
ポリエチレン系樹脂(PE)/ポリスチレン系樹脂(PS)=40/60の複合樹脂粒子の製造
エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂粒子(日本ポリエチレン社製、LV−115、酢酸ビニル含有量4.0重量%)を押出機内で加熱混合し、水中カット方式により、100粒あたり80mgとなるように造粒ペレット化した。造粒ペレット化したエチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂粒子14kgを攪拌機付100Lオートクレーブに入れ、水性媒体としての純水45kg、ピロリン酸マグネシウム315g及びドデシルベンゼンスルホン酸ソーダ1.6gを加え、攪拌下に懸濁させ、10分間保持し、その後60℃に昇温した。
次いで、この懸濁液中にジクミルパーオキサイド7.2gを溶解させたスチレンモノマー6.0kgを30分かけて滴下した。滴下後、30分60℃に保持し、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂粒子のペレットにスチレンモノマーを吸収させた。吸収後130℃に昇温し、この温度で2時間攪拌を続けた。その後、90℃の温度に下げ、この懸濁液中に、ドデシルベンゼンスルホン酸ソーダ11.4gを加えた後、重合開始剤としてのベンゾイルパーオキサイド39.9g、t−ブチルパーオキシベンゾエート3.2g及び架橋剤としてのジクミルパーオキサイド102.2gを溶解したスチレンモノマー5kgを1.5時間かけて滴下した。次いで、エチレンビスステアリン酸アミド105gを溶解したスチレンモノマー10kgを1.5時間かけて滴下した。この滴下終了後、90℃で1時間保持し、次いで143℃に昇温し、その温度で2.5時間保持して重合を完結させ、複合樹脂粒子を得た。その後、常温まで冷却し、複合樹脂粒子を取り出した。
なお、スチレンモノマーは、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂粒子100重量部に対して、150重量部使用した。
【0085】
(異音防止用発泡性複合樹脂粒子の製造)
上記のようにして得られた複合樹脂粒子15kg、ステアリン酸亜鉛(大日本化学工業社製、ダイワックスZF)150g、ジイソブチルアジペート(田岡化学工業社製、DI4A)75g及びポリエチレングリコール(三洋化成工業社製、PEG−300)30gを内容積50Lの耐圧回転混合機に入れ、回転/混合させつつ30分間保持後、発泡剤としてのブタン(ノルマルブタン/イソブタン=60/40〜70/30;ガス種A=コスモ石油社製、製品名コスモブタンシルバー)2250gを窒素加圧によって回転中の耐圧回転混合機に圧入した。次いで、耐圧回転混合機内部を60℃に昇温し、この温度で3時間回転/混合し、異音防止用発泡性複合樹脂粒子を得た。その後、常温まで冷却し、粒子を取り出した。
【0086】
(予備発泡粒子の製造)
次いで、スチームで予熱した常圧予備発泡機に異音防止用発泡性複合樹脂粒子を投入し、撹拌しながら約0.02MPaの設定でスチームを導入して、約2〜3分間で30倍の発泡倍数まで予備発泡させた。
【0087】
(発泡成形体の製造)
予備発泡後、常温で24時間熟成した発泡倍数30倍の予備発泡粒子を、内寸300mm×400mm×30mm(厚さ)の直方体形状のキャビティを有する成形金型を備えた発泡ビーズ自動成型機(積水工機製作所社製、ACE−3SP)のキャビティ内に充填し、次の条件でスチーム加熱及び冷却した後に発泡成形体を金型から取り出し、発泡成形体を得た。
(成形条件)
金型加熱=5秒
一方加熱=10秒
逆一方加熱=5秒
両面加熱=15秒
水冷=10秒
設定蒸気圧=0.06MPa、0.07MPa、0.08MPa
【0088】
実施例2
異音防止用発泡性複合樹脂粒子の製造において、ステアリン酸亜鉛90g、ジイソブチルアジペート30g、ポリエチレングリコール7.5gに変更したこと以外は実施例1と同様にして異音防止用発泡性複合樹脂粒子、予備発泡粒子、発泡成形体を得た。
【0089】
実施例3
異音防止用発泡性複合樹脂粒子の製造において、ステアリン酸亜鉛375g、ジイソブチルアジペート120g、ポリエチレングリコール75gに変更したこと以外は実施例1と同様にして異音防止用発泡性複合樹脂粒子、予備発泡粒子、発泡成形体を得た。
【0090】
実施例4
異音防止用発泡性複合樹脂粒子の製造において、ステアリン酸亜鉛150g、ジイソブチルアジペート75g、ポリエチレングリコール30g、流動パラフィン(松村石油社製、スモイルP−200)15gに変更したこと以外は実施例1と同様にして異音防止用発泡性複合樹脂粒子、予備発泡粒子、発泡成形体を得た。
【0091】
実施例5
異音防止用発泡性複合樹脂粒子の製造において、ステアリン酸亜鉛225g、ジイソブチルアジペート75g、ポリエチレングリコール30g、流動パラフィン45gに変更したこと以外は実施例1と同様にして異音防止用発泡性複合樹脂粒子、予備発泡粒子、発泡成形体を得た。
【0092】
実施例6
異音防止用発泡性複合樹脂粒子の製造において、ステアリン酸亜鉛300g、ジイソブチルアジペート120g、ポリエチレングリコール30g、流動パラフィン30gに変更し、発泡剤を、イソペンタンを97%以上含むペンタン(ガス種B=エスケイ産業社製、製品名イソペンタン)1800gに変更したこと以外は実施例1と同様にして異音防止用発泡性複合樹脂粒子、予備発泡粒子、発泡成形体を得た。
【0093】
実施例7
異音防止用発泡性複合樹脂粒子の製造において、ステアリン酸亜鉛150g、ジイソブチルアジペート45g、ポリエチレングリコール15g、流動パラフィン30g、パーフルオロポリエーテルエマルジョン(中京油脂社製、T−198、純分60重量%、粘度57mPa・s/25℃、pH=8.2/10倍希釈液)20gに変更したこと以外は実施例1と同様にして異音防止用発泡性複合樹脂粒子、予備発泡粒子、発泡成形体を得た。
【0094】
実施例8
異音防止用発泡性複合樹脂粒子の製造において、ステアリン酸亜鉛300g、ジイソブチルアジペート75g、ポリエチレングリコール15g、流動パラフィン30g、パーフルオロポリエーテルエマルジョン75gに変更したこと以外は実施例1と同様にして異音防止用発泡性複合樹脂粒子、予備発泡粒子、発泡成形体を得た。
【0095】
実施例9
異音防止用発泡性複合樹脂粒子の製造において、ステアリン酸亜鉛150g、ジイソブチルアジペート45g、ポリエチレングリコール15g、流動パラフィン30g、ラノリンエマルジョン(中京油脂社製、T−256、純分60重量%、粘度644mPa・s/25℃、pH=5.7/10倍希釈液)20gに変更したこと以外は実施例1と同様にして異音防止用発泡性複合樹脂粒子、予備発泡粒子、発泡成形体を得た。
【0096】
実施例10
異音防止用発泡性複合樹脂粒子の製造において、ステアリン酸亜鉛300g、ジイソブチルアジペート75g、ポリエチレングリコール15g、流動パラフィン30g、ラノリンエマルジョン75gに変更したこと以外は実施例1と同様にして異音防止用発泡性複合樹脂粒子、予備発泡粒子、発泡成形体を得た。
【0097】
実施例11
実施例1で得た複合樹脂粒子2kgを攪拌機付5Lオートクレーブに入れ、水性媒体としての純水2kg及びドデシルベンゼンスルホン酸ソーダ2gを加え、攪拌下に懸濁させ、10分間保持後、60℃に昇温した。次いでイソペンタンを97%以上含むペンタン(ガス種B=エスケイ産業社製、製品名イソペンタン)240gを加えた。その後、この温度で3時間攪拌を続けた。その後、15℃以下まで冷却し、粒子を取り出し、バスケット型遠心分離機にて1分間脱水することにして発泡性複合樹脂粒子を得た。この発泡性複合樹脂粒子とステアリン酸亜鉛30g、ジイソブチルアジペート4g、ポリエチレングリコール4g、流動パラフィン2gをポリエチレン製袋(大倉工業社製、No.15、0.03mm×300mm×450mm)に入れ、1分間混合し、異音防止用発泡性複合樹脂粒子を得た。その後、予備発泡粒子及び発泡成形体を実施例1と同様にして得た。
【0098】
実施例12
異音防止用発泡性複合樹脂粒子の製造において、ステアリン酸亜鉛40g、ジイソブチルアジペート6g、ポリエチレングリコール2g、流動パラフィン2g、パーフルオロポリエーテルエマルジョン10gに変更したこと以外は実施例11と同様にして異音防止用発泡性複合樹脂粒子、予備発泡粒子、発泡成形体を得た。
【0099】
実施例13
異音防止用発泡性複合樹脂粒子の製造において、発泡剤をペンタン(ノルマルペンタン/イソブタン=75/25〜85/15;ガス種C=コスモ石油社製、製品名ペンタン)1800gに変更したこと以外は実施例10と同様にして異音防止用発泡性複合樹脂粒子、予備発泡粒子、発泡成形体を得た。
【0100】
実施例14
(複合樹脂粒子の製造)
ポリエチレン系樹脂(PE)/ポリスチレン系樹脂(PS)=20/80の複合樹脂粒子の製造
直鎖状低密度ポリエチレン粒子(日本ポリエチレン社製、NF−444A)を押出機内で加熱混合し、水中カット方式により、100粒あたり40mgとなるように造粒ペレット化した。造粒ペレット化した直鎖状低密度ポリエチレン粒子7kgを攪拌機付100Lオートクレーブに入れ、水性媒体としての純水45kg、ピロリン酸マグネシウム315g、ドデシルベンゼンスルホン酸ソーダ1.6gを加え、攪拌下に懸濁させ、10分間保持し、その後60℃に昇温した。
次いで、この懸濁液中にジクミルパーオキサイド8.8gを溶解させたスチレンモノマー3.5kgを30分かけて滴下した。滴下後、30分60℃に保持し、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂粒子のペレットにスチレンモノマーを吸収させた。吸収後135℃に昇温し、この温度で2時間攪拌を続けた。その後、115℃の温度に下げ、この懸濁液中に、ドデシルベンゼンスルホン酸ソーダ11.4gを加えた後、重合開始剤としてのt−ブチルパーオキシベンゾエート98g、エチレンビスステアリン酸アミド350g、アクリル酸ブチル700gを溶解したスチレンモノマー23.8kgを4時間かけて滴下した。この滴下終了後、105℃で1時間保持し、次いで、140℃に昇温し、その温度で3時間保持して重合を完結させ、複合樹脂粒子を得た。その後、常温まで冷却し、複合樹脂粒子を取り出した。
なお、スチレン系モノマーは、直鎖状低密度ポリエチレン粒子100重量部に対して、400重量部使用した。
【0101】
(異音防止用発泡性複合樹脂粒子の製造)
上記のようにして得られた複合樹脂粒子2kgを攪拌機付5Lオートクレーブに入れ、水性媒体としての純水2kg、ドデシルベンゼンスルホン酸ソーダ2gを加え、攪拌下に懸濁させ、10分間保持後、60℃に昇温した。次いでイソペンタンを97%以上含むペンタン(ガス種B=エスケイ産業社製、製品名イソペンタン)240gを加えた。その後、この温度で3時間攪拌を続けた。その後、15℃以下まで冷却し、粒子を取り出し、バスケット型遠心分離機にて1分間脱水することにして発泡性複合樹脂粒子を得た。この発泡性複合樹脂粒子とステアリン酸亜鉛40g、ジイソブチルアジペート6g、ポリエチレングリコール2g、流動パラフィン2g、ラノリンエマルジョン10gをポリエチレン製袋(大倉工業社製、No.15、0.03mm×300mm×450mm)に入れ、1分間混合し、異音防止用発泡性複合樹脂粒子を得た。その後、予備発泡粒子、発泡成形体を実施例1と同様にして得た。
【0102】
実施例15
(複合樹脂粒子の製造)
ポリエチレン系樹脂(PE)/ポリスチレン系樹脂(PS)=40/60の複合樹脂粒子の製造
エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂粒子(日本ポリエチレン社製、LV−211、酢酸ビニル含有量6.0重量%)19.4kgとファーネスブラック(三菱化学社製、♯650B)600gを混合し、押出機内で加熱混合し、水中カット方式により、100粒あたり80mgとなるように造粒ペレット化した。
造粒ペレット化したカーボン(3重量%)含有エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂粒子14kgを攪拌機付100Lオートクレーブに入れ、水性媒体としての純水45kg、ピロリン酸マグネシウム315g及びドデシルベンゼンスルホン酸ソーダ1.6gを加え、攪拌下に懸濁させ、10分間保持し、その後60℃に昇温した。
次いで、この懸濁液中にジクミルパーオキサイド14gを溶解させたスチレンモノマー7.0kgを30分かけて滴下した。滴下後、60分60℃に保持し、カーボン(3重量%)含有エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂粒子のペレットにスチレンモノマーを吸収させた。吸収後135℃に昇温し、この温度で2時間攪拌を続けた。その後、125℃の温度に下げ、この懸濁液中に、ドデシルベンゼンスルホン酸ソーダ11.4gを加えた後、重合開始剤としてのジクミルパーオキサイド84g、エチレンビスステアリン酸アミド21g、を溶解したスチレンモノマー14kgを4時間かけて滴下した。この滴下終了後、125℃で1時間保持し、次いで140℃に昇温し、その温度で3時間保持して重合を完結させ、複合樹脂粒子を得た。その後、常温まで冷却し、複合樹脂粒子を取り出した。
なお、スチレンモノマーは、カーボン含有エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂粒子100重量部に対して、150重量部使用した。
【0103】
(異音防止用発泡性複合樹脂粒子の製造)
上記のようにして得られた複合樹脂粒子15kg、ステアリン酸亜鉛(大日本化学工業社製、ダイワックスZF)150g、ジイソブチルアジペート(田岡化学工業社製、DI4A)75g及びポリエチレングリコール(三洋化成工業社製、PEG−300)30gを内容積50Lの耐圧回転混合機に入れ、回転/混合させつつ30分間保持後、発泡剤としてのブタン(ノルマルブタン/イソブタン=60/40〜70/30;ガス種A=コスモ石油社製、製品名コスモブタンシルバー)2250gを窒素加圧によって回転中の耐圧回転混合機に圧入した。次いで、耐圧回転混合機内部を60℃に昇温し、この温度で3時間回転/混合し、異音防止用発泡性複合樹脂粒子を得た。その後、常温まで冷却し、粒子を取り出した。
その後、予備発泡粒子、発泡成形体を実施例1と同様にして得た。
【0104】
実施例16
ポリプロピレン系樹脂(PP)/ポリスチレン系樹脂(PS)=40/60の複合樹脂粒子の製造
ポリプロピレン系樹脂(プライムポリマー社製、F−744NP、融点:140℃)18.80kgと、ファーネスブラック(三菱化学社製、#900)1.2kgを混合し、押出機内で加熱混合し、水中カット方式により、100粒あたり80mgとなるように造粒ペレット化した。
造粒ペレット化したカーボン(6重量%)含有ポリプロピレン系樹脂粒子14kgを攪拌機付100Lオートクレーブに入れ、水性媒体としての純水45kg、ピロリン酸マグネシウム315g及びドデシルベンゼンスルホン酸ソーダ1.6gを加え、攪拌下に懸濁させ、10分間保持し、その後60℃に昇温した。
次いで、この懸濁液中にジクミルパーオキサイド12gを溶解させたスチレンモノマー6.0kgを30分かけて滴下した。滴下後、60分60℃に保持し、カーボン(6重量%)含有ポリプロピレン系樹脂粒子のペレットにスチレンモノマーを吸収させた。吸収後135℃に昇温し、この温度で2時間攪拌を続けた。その後、125℃の温度に下げ、この懸濁液中に、ドデシルベンゼンスルホン酸ソーダ11.4gを加えた後、重合開始剤としてのジクミルパーオキサイド63gを溶解したスチレンモノマー15kgを4時間かけて滴下した。この滴下終了後、125℃で1時間保持し、次いで140℃に昇温し、その温度で3時間保持して重合を完結させ、複合樹脂粒子を得た。その後、常温まで冷却し、複合樹脂粒子を取り出した。
なお、スチレンモノマーは、カーボン含有ポリプロピレン系樹脂粒子100重量部に対して、150重量部使用した。
【0105】
(異音防止用発泡性複合樹脂粒子の製造)
上記のようにして得られた複合樹脂粒子15kg、ステアリン酸亜鉛225g、ジイソブチルアジペート75g及びポリエチレングリコール30g、流動パラフィン45gを内容積50Lの耐圧回転混合機に入れ、回転/混合させつつ30分間保持後、発泡剤としてのブタン(ノルマルブタン/イソブタン=60/40〜70/30;ガス種A=コスモ石油社製、製品名コスモブタンシルバー)2250gを窒素加圧によって回転中の耐圧回転混合機に圧入した。次いで、耐圧回転混合機内部を70℃に昇温し、この温度で4時間回転/混合し、異音防止用発泡性複合樹脂粒子を得た。その後、常温まで冷却し、粒子を取り出した。
【0106】
(予備発泡粒子の製造)
次いで、スチームで予熱した予備発泡機に異音防止用発泡性複合樹脂粒子を投入し、撹拌しながら約0.04MPaの設定でスチームを導入して、約2〜3分間で30倍の発泡倍数まで予備発泡させた。
【0107】
(発泡成形体の製造)
予備発泡後、常温で24時間熟成した発泡倍数30倍の予備発泡粒子を、内寸300mm×400mm×30mm(厚さ)の直方体形状のキャビティを有する成形金型を備えた発泡ビーズ自動成型機(DABOジャパン社製、DPM−49S)のキャビティ内に充填し、次の条件でスチーム加熱及び冷却した後に発泡成形体を金型から取り出し、発泡成形体を得た。
(成形条件)
金型加熱=5秒
一方加熱=10秒
逆一方加熱=5秒
両面加熱=20秒
水冷=10秒
設定蒸気圧=0.21MPa、0.23MPa、0.25MPa
【0108】
比較例1
異音防止用発泡性複合樹脂粒子の製造において、ステアリン酸亜鉛を添加しなかったこと以外は実施例1と同様にして異音防止用発泡性複合樹脂粒子、予備発泡粒子、発泡成形体を得た。
【0109】
比較例2
異音防止用発泡性複合樹脂粒子の製造において、ステアリン酸マグネシウム(日本油脂社製、マグネシウムステアレート)300g、ジイソブチルアジペート120g、ポリエチレングリコール45gに変更したこと以外は実施例1と同様にして異音防止用発泡性複合樹脂粒子、予備発泡粒子、発泡成形体を得た。
【0110】
比較例3
異音防止用発泡性複合樹脂粒子の製造において、ステアリン酸亜鉛45g、ジイソブチルアジペート120g、ポリエチレングリコール30gに変更したこと以外は実施例1と同様にして異音防止用発泡性複合樹脂粒子、予備発泡粒子、発泡成形体を得た。
【0111】
比較例4
異音防止用発泡性複合樹脂粒子の製造において、ステアリン酸亜鉛750g、ジイソブチルアジペート120g、ポリエチレングリコール75gに変更したこと以外は実施例1と同様にして異音防止用発泡性複合樹脂粒子、予備発泡粒子、発泡成形体を得た。
【0112】
比較例5
異音防止用発泡性複合樹脂粒子の製造において、ジイソブチルアジペートを添加しなかったこと以外は実施例1と同様にして異音防止用発泡性複合樹脂粒子、予備発泡粒子、発泡成形体を得た。
【0113】
比較例6
異音防止用発泡性複合樹脂粒子の製造において、ステアリン酸アミド(日油社製、アルフローS−10)150g、エチレンビスステアリン酸アミド(花王社製、カオーワックスEB−FF)75gに変更したこと以外は実施例1と同様にして異音防止用発泡性複合樹脂粒子、予備発泡粒子、発泡成形体を得た。
【0114】
比較例7
異音防止用発泡性複合樹脂粒子の製造において、ステアリン酸モノグリセライドとパルミチン酸モノグリセライドの重量比7対3混合物(理研ビタミン社製、リケマールS−100)450gに変更したこと以外は実施例1と同様にして異音防止用発泡性複合樹脂粒子、予備発泡粒子、発泡成形体を得た。
【0115】
比較例8
異音防止用発泡性複合樹脂粒子の製造において、無水石膏(ノリタケカンパニーリミテド社製、D−101A)150gに変更したこと以外は実施例1と同様にして異音防止用発泡性複合樹脂粒子、予備発泡粒子、発泡成形体を得た。
【0116】
比較例9
異音防止用発泡性複合樹脂粒子の製造において、ステアリン酸亜鉛90g、ジイソブチルアジペート12g、ポリエチレングリコール7.5gに変更したこと以外は実施例1と同様にして異音防止用発泡性複合樹脂粒子、予備発泡粒子、発泡成形体を得た。
【0117】
比較例10
異音防止用発泡性複合樹脂粒子の製造において、ステアリン酸亜鉛375g、ジイソブチルアジペート225g、ポリエチレングリコール75gに変更したこと以外は実施例1と同様にして異音防止用発泡性複合樹脂粒子、予備発泡粒子、発泡成形体を得た。
【0118】
実施例1〜16及び比較例1〜10において得られた発泡成形体を用いて、各種物性を評価した。結果を下記の表1及び2に示す。
【0119】
なお、表1において、発泡剤「A」はノルマルブタン/イソブタン=60/40〜70/30のブタン(コスモ石油社製、製品名コスモブタンシルバー)であり、発泡剤「B」はイソペンタン97%以上含むペンタン(エスケイ産業社製、製品名イソペンタン)であり、発泡剤「C」はノルマルペンタン/イソペンタン=75/25〜85/15のペンタン(コスモ石油社製,製品名ペンタン)である。発泡剤の添加量は、発泡剤添加前の複合樹脂粒子を100重量%としたときの添加量(重量%)を示し、異音防止処理に用いる各成分の添加量は発泡性複合樹脂粒子を100重量%としたときの添加量(重量%)を示す。
【0120】
また、表2において、異音防止用発泡性複合樹脂粒子のステアリン酸亜鉛量、ジイソブチルアジペート量及びポリエチレングリコール量は異音防止用発泡性複合樹脂粒子を100重量%としたときの含有量(重量%)を示し、予備発泡粒子のステアリン酸亜鉛量及びジイソブチルアジペート量は予備発泡粒子を100重量%としたときの含有量(重量%)を示し、発泡成形体のステアリン酸亜鉛量及びジイソブチルアジペート量は発泡成形体を100重量%としたときの含有量(重量%)を示す。
【0121】
更に、表2の実施例16に限っては、発泡成形体の成形性及び融着性の蒸気圧「0.06MPa」、「0.07MPa」及び「0.08MPa」は、それぞれ「0.21MPa」、「0.23MPa」及び「0.25MPa」と読み替えるものとする。
また、表2の実施例16において、異音防止性の測定、摩擦係数試験による最大点荷重の測定、及び落球衝撃値の測定において用いられた発泡成形体は、蒸気圧を0.25MPaに設定して型内成形することにより製造したものである。
【0122】
【表1】
【0123】
【表2】
【0124】
表1及び2の結果は、本発明の発泡成形体が優れた異音防止性を有することを示す(実施例1〜16)。
一方、ステアリン酸亜鉛量が少ない場合(比較例3)又はステアリン酸亜鉛を含まない場合(比較例1、2及び6〜8)には、充分な異音防止性が得られ難いことを示す。また、ジイソブチルアジペートを含まない場合(比較例5〜8)、ジイソブチルアジペート量が少ない場合(比較例9)及びステアリン酸亜鉛量が多い場合(比較例4)には、十分な融着性が得られず、充分な落球衝撃値を得ることができなかった。
なお、比較例10において、発泡成形体を得るのに十分な予備発泡粒子を得ることができなかったのは、ジイソブチルアジペート量が多かったためであると考えられる。
上記の結果より、本発明の異音防止用発泡性ポリスチレン系樹脂粒子から得られる発泡成形体は、優れた融着性に加えて、優れた異音防止性を発揮することがわかる。