(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
原子マグネトメータは、ラーモア周波数として知られる周波数を決定することによって磁場の強度を測定するデバイスである。ラーモア周波数は、磁場に応答して歳差運動するアルカリ原子の同相のスピンする外殻電子を含む族の磁気モーメントの周波数である。磁場強度Bは、式B=hv
L/γによって定義される。ここで、hはプランク定数、hv
Lはラーモア周波数、及びγは磁気回転比(例えば、
87Rbについては7Hz/nT、及びCsについては3.5Hz/nT)である。
【0003】
図1は、従来技術の原子マグネトメータ100の例を示すブロック図を示す。
図1に示すように、原子マグネトメータ100は、垂直キャビティ面発光レーザ(VCSEL)110、及びVCSEL110の上に位置する光学パッケージ112を含む。また、原子マグネトメータ100は、光学パッケージ112の上に位置する蒸気セル114、及び蒸気セル114の上に位置する光検知器116を含む。
【0004】
また、蒸気セル114は気体118を含み、気体118は、外殻に単一電子を有するアルカリ原子、及びアルカリ原子と蒸気セル114の内面との衝突を低減するバッファ原子を含む。例えば、蒸気セル気体は、一般的に、
85Rb原子、
87Rb原子、K、及びCs原子等のアルカリ原子、及びN
2等のバッファ原子を用いて実装される。また、原子マグネトメータ100は、蒸気セル114の下と上に位置する下側コイル120及び上側コイル122を随意的に含み得る。
【0005】
動作において、VCSEL110は光を出力し、この光は、光学パッケージ112によって減衰及び円偏光される。光学パッケージ112によって出力された円偏光された光は、その後、蒸気セル114に向けられる。VCSEL110によって出力された光は周波数に同調され、これは、円偏光されると、蒸気セル114内に含まれる気体118のアルカリ原子の外殻の単一電子によって吸収される。
【0006】
例えば、VCSEL110は794.8nmの波長で光を出力するように同調され得、この光は、円偏光された後、
87Rb原子の外殻の単一電子によって吸収される。或いは、VCSEL110は波長894.35nmの光を出力するように同調され得、この光は、円偏光された後、Cs原子の外殻の単一電子によって吸収される。
【0007】
アルカリ原子の外殻の単一電子が光エネルギーを吸収すると、電子がより高いエネルギー準位に遷移し、その後、外殻に関連する多くのエネルギー準位(超微細エネルギー準位内のゼーマンサブレベル)の1つに降下する。電子がどの状態となるのかが量子選択規則によって厳密に定義される。電子が右側の円偏光された光を吸収する場合、電子はより高いエネルギー準位まで上昇し、一方、電子の投射数Mは、+1だけ上がる。
【0008】
降下するときに、電子は光子をランダム方向に放射し、常に、外殻に関連する最高のエネルギー準位まで降下する。また、電子が降下するとき、電子の投射数Mは、−1、0、又は+1だけ、ランダムに変化する。
【0009】
従って、このような事象が同じ電子に多数発生する場合、電子がより高い状態に行く毎に電子の投射数Mは常に+1である。しかしながら、電子は基底状態まで降下するので、平均して、電子の投射数Mの変化はゼロである。その結果、電子は結果的に基底状態の最高のM準位に到達する。検討下の気体では、基底状態S
1/2及び上昇されたP
1/2(又はP
3/2)状態はいずれもM準位について同じ数を有する。従って、電子が基底状態の最高のM準位に到達すると、励起された状態ではそれより高いM準位が存在しないので、電子を上昇(pump)させることができない。
【0010】
光を再び再吸収するためには、基底状態のM準位における母数を下げ(depump)0なければならない。付加的なエネルギー(磁気的又は光学的)は、ラーモア周波数と呼ばれる周波数で電子に供給されなければならない。ラーモア周波数の付加的なエネルギーは、最高の基底状態M準位の電子をより低いM準位へ降下させ、このより低いM準位は、電子が再び光エネルギーを吸収することができる準位である、外殻に関連する。
【0011】
このように、蒸気セル114を通過して出て光検知器116に入る光子は、VCSEL110により出力され蒸気セル114内の気体118の外殻の電子によって吸収されなかった光を表す非吸収成分と、降下する電子によってランダムに放射された光子を表す発光成分とを含む。光検知器116は、これらの光子を検出し、非吸収成分及び発光成分の両方を有する出力信号を生成する。
【0012】
ラーモア周波数で付加的エネルギーを付加するための一般的なアプローチの2つは、Bell−Bloom(BB)技法及びM
X技法である。BB技法では、VCSEL110によって出力された光が、周波数帯域を横断してスイープされる周波数によって変調される。VCSEL110により出力された光がラーモア周波数で周波数変調されると、電子は、より低いエネルギー準位に降下し、光エネルギーを再び吸収し始め、これは、光検知器116によって受け取られる光の強度に認識可能なディップを発生させる。このように、受け取られる光の強度をディップさせた変調周波数を決定することによってラーモア周波数が決定され得る。
【0013】
M
X技法では、RF信号が下側コイル120及び上側コイル122に印加されて、VCSEL110によって放射される光の長軸に整合された交番磁場を生成し、RF信号の周波数は周波数帯域を横断してスイープされる。RF信号の周波数がラーモア周波数に等しくなると、電子は、より低いエネルギー準位に降下し、光エネルギーを再度吸収し始め、これは、光検知器116によって受け取られる光の強度に認識可能なディップを発生させる。このように、ラーモア周波数は、受け取られる光の強度をディップさせたRF周波数を決定することによって決定され得る。
【発明を実施するための形態】
【0031】
図2は、微細加工された原子マグネトメータ200の例を示す。
図2に示すように、原子マグネトメータ200は、変調された光を受け取り、受け取った光の大きさを表す光信号を生成する光検知ダイ210を含む。
【0032】
図2に更に示すように、光検知ダイ210は、
図2では反転されているが、半導体基板212、及び半導体基板212に接するフォトダイオード214を含む。
図2の例では、半導体基板212はp−単結晶シリコン等の従来の基板材料を用いて実装される。
【0033】
フォトダイオード214は、半導体基板212に接するp−ウェル220、及びp−ウェル220に接するn−領域222を含む。また、フォトダイオード214は、p−ウェル220に接するp+コンタクト領域224、及びn−領域222に接するn+コンタクト領域226を含む。また、フォトダイオード214は、表面再結合を低減するために、n−領域222に接する薄いp+表面領域228を随意的に含み得る。P−ウェル220は、p−半導体基板212のドーパント濃度よりも高いドーパント濃度を有する。
【0034】
また、光検知ダイ210は、半導体基板212の頂部表面内又は上に形成される多数の回路要素230を含む。回路要素230は、トランジスタ、レジスタ、キャパシタ、ダイオード、及び同様の回路デバイスを含む。簡略化のため、回路要素230を表すために1つのNMOSトランジスタ230のみが示されている。
【0035】
NMOSトランジスタ230は、p型チャネル230Cによって離間されたn型ソース230S及びn型ドレイン230D、チャネル230Cの上の半導体基板212の頂部表面に接するゲート酸化物層230X、及びチャネル230Cの上のゲート酸化物層230Xに接するゲート230Gを有する。回路要素230は電気的に接続されると電子回路230Eを形成し、電子回路230Eは、フォトダイオード214を制御し、且つフォトダイオード214から出力された信号を増幅して、光信号を生成する。
【0036】
光検知ダイ210は、半導体基板212の頂部表面と回路要素230とに接する相互接続構造232を更に含む。相互接続構造232は、非導電構造232N、及びコンタクト232Cを含む。コンタクト232Cは、非導電構造232Nを介して延びて、p+領域224と、n+領域226と、ソース230S、ドレイン230D、ゲート230G等の回路要素230の導電領域と電気的接続を作る。
【0037】
また、相互接続構造232は多数の金属−1構造232Mを含み、金属−1構造232Mは、非導電構造232N上に位置し、コンタクト232Cに接する。第1の実施形態において、金属−1構造232Mはボンドパッド構造(外部電気接続のための場所)としてのみ機能し得、そのため、隣接するダイ構造が、フォトダイオード214、及び電子回路230Eの回路要素230により要求される電気的相互接続の全てを提供する。
【0038】
或いは、第2の実施形態において、金属−1構造232Mは、ボンドパッド構造及びトレースとして機能し得る。例えば、ボンドパッド構造は電源及び接地のため、及び電子回路230Eへ信号を入力及び電子回路230Eから信号を出力するために用いられ得、トレースは、フォトダイオード214と、電子回路230Eの回路要素230とを電気的相互接続するために用いられ得る(相互接続構造232は単一の金属層を備えて示されているが、付加的な金属層も用いられ得る)。
【0039】
光検知ダイ210は、非導電構造232N及び金属−1構造232Mを覆うパッシベーション層234を随意的に更に含み得る。非導電性及び耐湿性であるパッシベーション層234は、金属−1構造232Mのパッドを露出させる多数の開口234Pを有する。
【0040】
図2に更に示すように、原子マグネトメータ200は、また、光を受け取り変調された光を生成する蒸気セルダイ240を含む。光検知ダイ210に取り付けられる蒸気セルダイ240は、フォトダイオード214に垂直に整合される蒸気キャビティ242、及び蒸気キャビティ242内に密閉されている気体244を有する。気体244は、アルカリ原子及びバッファ原子を含む。例えば、気体244は、
85Rb原子、
87Rb原子、又はCs原子等のアルカリ原子、及びN
2等のバッファ原子を用いて実装され得る。
【0041】
また、蒸気セルダイ240は透明構造246を有し、透明構造246は、頂部表面246Tと、底部表面246Bと、透明構造246の底部表面246Bから透明構造246内に延びる開口248とを有する。透明構造246の頂部表面246Tの一部は蒸気キャビティ242の底部表面を形成する。
【0042】
この例において、透明構造246は、ガラスを単結晶シリコンへの陽極接合に適するようにする、ナトリウムイオン等のイオン性不純物を有するガラスを用いて実装される。例えば、Corning Eagle XG(商標)又はPyrex(商標)ガラス製品、又はSchott Borofloat(商標)ガラス製品が用いられ得る。ガラスは非導電性である。蒸気キャビティ242の垂直直下に位置し、蒸気キャビティ242から離間して位置する開口248は、側壁面248S、及び透明構造246の頂部表面246Tの下に透明構造246の頂部表面246Tから離間して位置する頂部表面248Tを有する。
【0043】
蒸気セルダイ240は更に、開口248の頂部表面248Tに取り付けられる光学パッケージ250を含む。光学パッケージ250は、光学パッケージ250の角に配置される従来のグルー又はダイ取付け接着剤のドロップ250Gを用いて取り付けられ得る。光学パッケージ250は、光源から受け取られた光に応答して、円偏光された光を出力する。光学パッケージ250は、円偏光された光を出力する任意の配置を用いて実装され得る。
【0044】
図2の例において、光学パッケージ250は、入力光の強度を低減する減衰器250A、減衰器250Aから出力された光を線形偏光する線形偏光器250L、及び線形偏光器250Lから出力された光を円偏光する四分の一波長プレート円偏光器250Cを含む。
【0045】
光学パッケージ250は、Thorlabs社(www.thorlabs.com)又はCVI Melles Griot社(www.cvimellesgriot)等の多数の供給元から市販されており、これらは層及び外部の寸法について顧客指定の要件に合わせて光学パッケージを提供している(Thorlabs NE220Bは減衰器、Thorlabs LPVIS100は線形偏光器、及びCVI Melles Griot QWPO−895−15−4は円偏光器である)。
【0046】
蒸気セルダイ240は更に、透明構造246に取り付けられる蒸気セル構造251を有する。蒸気セル構造251は、基板252、及び基板252に接する加熱器254A及び254B等の多数の加熱器を有する。基板252は、この例では従来のp−単結晶シリコンを用いて実装され、蒸気キャビティ242の側壁面を形成するように基板252を貫通して延びる材料貫通開口252Pを有する。
【0047】
図2の例において、加熱器254A及び254Bは、各々、基板252に接するn+レジスタストリップとして実装され、n+ストリップを介して流れる電流によって生成される磁場を最小化するようにレイアウトされる。例えば、加熱器254A及び254Bは、蛇行(serpentine)パターンを形成するように、交互端が共に接続された長い平行なn+ストリップにレイアウトされ得る。
【0048】
動作において、蒸気キャビティ242内の気体244を加熱するように、電流が加熱器254A及び254Bを介して流れる。磁場が適切にキャンセルされる場合、電流は順次流れ得、或いは加熱が必要なときにオンにされ、加熱器254A及び254Bの電流によって提供される干渉を除去するためにオフにされ得る。
【0049】
また、蒸気セルダイ240は、基板252に接し、ウエハ貫通開口252Pの近傍に位置する、温度センサ256を有する。
図2の例において、温度センサ256は、基板252に接し、n+ストリップを介して流れる電流によって生成される磁場を最小化するようにレイアウトされる、n+レジスタストリップとして実装される。例えば、温度センサ256は、長いU形パターンを形成するように、一対の端部が共に接続された2つの長い平行なn+ストリップにレイアウトされ得る。
【0050】
動作において、電流が温度センサ256を介して流れ、蒸気キャビティ242の辺りの温度が変動すると、温度センサ256の抵抗が変動する。磁場が適切にキャンセルされる場合、電流は順次流れ得、或いは温度測定が必要なときにオンにされ、温度センサ256の電流によって提供される干渉を除去するためにオフにされ得る。温度センサ256は、実温度の数度の範囲まで正確であり得る。
【0051】
また、蒸気セルダイ240は、加熱器254A及び254Bのn+ストリップの端部、及び温度センサ256のn+ストリップの端部に接する、多数のボンドパッド構造258を有する。例えば、アルミニウムを用いて実装され得るボンドパッド構造258は、加熱器254A及び254B及び温度センサ256への外部電気接続のポイントを提供する。また、加熱器254A及び254Bのn+ストリップの端部、及びボンドパッド構造258の下に位置する温度センサ256のn+ストリップの端部は、随意的にケイ化され得る。
【0052】
また、蒸気セルダイ240は、蒸気セル構造251の基板252に接する透明構造260を有する。透明構造260は底部表面260Bを有し、その一部は、蒸気キャビティ242の頂部表面を形成する。この例において、透明構造260は、ガラスを単結晶シリコンへの陽極接合に適するようにするナトリウムイオン等のイオン性不純物を有するガラスを用いて実装される。例えば、Corning Eagle XG(商標)又はPyrex(商標)ガラス、又はSchott Borofloat(商標)ガラスが用いられ得る。
【0053】
また、蒸気セルダイ240は、透明構造260の頂部表面に接する多数の金属トレース262、及び透明構造260及び金属トレース262に接するパッシベーション層264を有する。非導電性及び耐湿性であるパッシベーション層264は、金属トレース262のボンドパッド領域を露出させる多数の開口264Pを有する。
【0054】
また、蒸気セルダイ240は、パッシベーション層264及び金属トレース262に接する多数のボンドパッド構造266と、パッシベーション層264及びボンドパッド構造266に接するパッシベーション層267とを含む。非導電性及び耐湿性であるパッシベーション層267は、ボンドパッド構造266の領域を露出させる多数の開口267Pを有する。パッシベーション層264及び267は随意的に省かれ得る。
【0055】
更に
図2に示すように、原子マグネトメータ200は更に、パッシベーション層234及び267に接する透明エポキシ268と、金属−1構造232Mをボンドパッド構造266に電気的に接続する多数の半田ボール269とを含む。金属−1構造232Mがパッドとしてのみ機能するとき、金属トレース262はフォトダイオード214及び電子回路230Eの回路要素230によって要求される電気的接続の全てを提供し、更に電子回路230Eのための外部アクセスのポイントを提供する。金属−1構造232Mがボンドパッド構造及びトレースとして機能するとき、金属トレース262はフリップチップ配向(orientation)に配置される電子回路230Eのための外部アクセスのポイントを提供する。
【0056】
図2に更に示されるように、原子マグネトメータ200は、蒸気セルダイ240への光出力を生成するベースダイ270を更に含む。蒸気セルダイ240に取り付けられるベースダイ270は、頂部表面270Tと、底部表面270Bと、光線Bを出力するレーザ光源を露出させるようにダイ270の頂部表面270Tからダイ270内に延びる光開口272とを有する。
【0057】
また、ベースダイ270の頂部表面270Tは、従来のグルー又はダイ取り付け接着剤の層273を用いて、蒸気セルダイ240の透明構造246に取り付けられる。レーザ光源によって出力される光線Bの長軸は、フォトダイオード214及び蒸気キャビティ242に垂直に整合される。
【0058】
図2に更に示されるように、ベースダイ270は、頂部表面274Tと、ベースダイ270の底部表面270Bに一致する底部表面274Bを有する半導体基板274とを含む。半導体基板274は、各々、半導体基板274の頂部表面274Tから半導体基板274へ延びる、VCSEL開口276及びダイ開口278を有する。
【0059】
VCSEL開口276は、底部表面276B及び側壁面276Sを有し、ダイ開口278は底部表面278B及び側壁面278Sを有する。
図2の例において、半導体基板274は、p型単結晶シリコン等の従来の基板材料を用いて実装される。
【0060】
また、ベースダイ270は、半導体基板274に接する加熱器280を含む。
図2の例において、加熱器280は、絶縁酸化物外側層280Iと、加熱器280を介して流れる電流によって生成される磁場を最小化するようにレイアウトされる非ドープポリシリコン280Lのストリップとを用いて実装される。例えば、加熱器280は、蛇行パターンを形成するように、交互端が共に接続された長い平行なストリップにレイアウトされ得る。
【0061】
図示されるように、加熱器280の頂部表面は、半導体基板274の頂部表面274Tと同じ平面Lにあり、加熱器280の底部表面は、半導体基板274の底部表面274Bから垂直に離間される。(加熱器280は、代替的に、加熱器254A及び254Bが実装されるように実装されてもよく、加熱器254A及び254Bは、代替的に、加熱器280が実装されるように実装されてもよい。)
【0062】
ベースダイ270は、半導体基板274の頂部表面274Tと同じ平面Lにある頂部表面を有する温度センサ282を更に含む。
図2の例において、温度センサ282は、p型ウェル282W及びn型領域282Rを有するダイオードを用いて実装される。また、ダイオードは、p型ウェル282Wに接するp+コンタクト領域282Pと、n型領域282Rに接するn+コンタクト領域282Nとを有する。ダイオードを通る電流はダイオードの温度に応答して変動する。(1つの温度センサ282のみ図示されているが、付加的な温度センサも用いられ得る)。
【0063】
図2に更に示すように、ベースダイ270は、接着剤層288によってVCSEL開口276の底部表面276Bに取り付けられる、従来の方式で製造された垂直キャビティ面発光レーザ(VCSEL)286を含む。接着剤層288は、例えば、従来の熱伝導グルー又はダイ取り付け接着剤を用いて実装され得る。VCSEL286は、Princeton Optronics社(www.princetonoptronics.com)又はM−Com社(www.m-com.com.tw/en)等の多数の供給元から市販されており、これらは、光周波数、同調範囲、電力定格、及び外部寸法について顧客指定要件に合うようにVCSELを提供している。VCSEL286は長軸Bを備える光を提供するレーザ光源である。
【0064】
ベースダイ270は、接着剤層292によってダイ開口278の底部表面278Bに取り付けられる集積回路290を付加的に有する。接着剤層292は、例えば、従来の熱伝導グルー又はダイ取り付け接着剤を用いて実装され得る。集積回路290は、1つ又は複数の電子回路を含む従来の方式で製造されたダイである。これらの電子回路は、加熱器254A、254B、及び280を介して流れる電流を制御し、温度センサ256及び282の出力を検出し、VCSEL286の動作を制御し、電子回路230Eによって出力された信号を処理して、原子マグネトメータを提供する。
【0065】
また、ベースダイ270は、半導体基板274の頂部表面に接する相互接続構造294を有する。相互接続構造294は、非導電構造294N及びコンタクト294Cを含む。コンタクト294Cは、加熱器280、温度センサ282、VCSEL286、及び集積回路290との電気的接続を作るように、非導電構造294Nを介して延びる。非導電構造294Nは、また、VCSEL286のレーザ出力を露出させるレーザ開口294Gを有する。
【0066】
また、相互接続構造294は、非導電構造294Nの上に位置しコンタクト294Cに接する、多数の金属−1構造294Mを含む。金属−1構造294Mは、パッド及びトレースとして機能する。例えば、パッドは、電源及び接地のため、及び集積回路290に信号を入力及び集積回路290から信号を出力するために用いられ得、トレースは、加熱器280、温度センサ282、VCSEL286、及び集積回路290を電気的相互接続するために用いられ得る。
【0067】
また、相互接続構造294は、非導電構造294N及び金属−1トレース294Mを覆うパッシベーション層294Pを含む。パッシベーション層294Pは、非導電性及び耐湿性であり、外部電気的接続のためのボンドパッド構造294Bを形成するように金属−1トレース294Mの一部を露出させる多数の開口と、VCSEL286のレーザ入力を露出させるレーザ開口294Zとを有する。(相互接続構造294は単一金属層を備えて図示されているが、付加的な金属層が用いられ得る。)
【0068】
図2に更に示されるように、原子マグネトメータ200は、光検知器ダイ210、蒸気セルダイ240、及びベースダイ270の間の、並びに外部世界との電気的接続を提供するように、ボンドパッド構造258、ボンドパッド構造266、及びボンドパッド構造294Bに接合される、多数のボンドワイヤ296を付加的に含む。
【0069】
原子マグネトメータ200の動作において、VCSEL286は、或る波長を有する光線Bを出力し、この波長は、光学パッケージ250によって円偏光された後、蒸気キャビティ242内に密閉されている気体244のアルカリ原子の外殻の単一電子によって吸収される。電子が光エネルギーを吸収するにつれて、電子は、より高いエネルギー準位へ上昇し、その後、ランダムな方向に光子を放射して降下する。
図2の例では、ラーモア周波数を識別するように、及び電子を再び光エネルギーを再吸収可能にさせるように光を周波数変調するために、Bell−Bloom(BB)技法が用いられる。
【0070】
この例において、蒸気キャビティ242を通って出る光は、フォトダイオード214によって検出される。フォトダイオード214は検出に応答して、測定された光信号を生成する。蒸気キャビティ242を通って出てフォトダイオード214に入る光子は、VCSEL286によって出力され、蒸気キャビティ242内の気体244のアルカリ原子の外殻の電子によって吸収されなかった光を表す非吸収成分と、降下する電子によってランダムに放射される光子を表す発光成分とを含む。発光成分のランダム性のために、発光成分は長期間では平均して等しくなる。
【0071】
フォトダイオード214に印加される電圧を制御する電子回路230Eは、測定された光信号をフォトダイオード214から受け取り、集積回路290への出力である増幅された光信号を生成する。電子が、より低いエネルギー準位に降下し、光エネルギーを再度吸収し始めと、その再吸収によって、増幅された光信号の強度に認識可能なディップが生じる。その後、集積回路290は、増幅された光信号にディップを発生させた変調周波数を決定することによってラーモア周波数を決定する。
【0072】
図3A〜
図3Fは、光検知器ダイを形成する方法の例を示す一連の断面図を示す。
図3Aに示すように、この方法は、従来のように形成されたp−単結晶シリコンウエハ310を用い、パターニングされたフォトレジスト層312をp−単結晶シリコンウエハ310の頂部表面上に従来の方式で形成することにより開始する。
【0073】
パターニングされたフォトレジスト層312が形成された後、単結晶シリコンウエハ310の露出された領域は、ボロン等のp型ドーパントを注入され、ウエハ310に多数のp−ウェル314を形成するようにドライブされる。ウエハ310は、同一ダイ領域の行及び列を有し、各々のダイ領域にp−ウェル314が形成される。簡略化のために、
図3A〜
図3Fには、1つのダイ領域のみが図示されている。
【0074】
P−ウェル314は、p−単結晶シリコンウエハ310のドーパント濃度より高いドーパント濃度を有する。p−ウェル314が形成されると、フォトレジスト層312が、アセトンを用いる等の従来の方式で除去される。その後、ウエハ310は、有機物を除去するように従来のピラニアエッチング等を用いて洗浄される。
【0075】
有機物を除去するようにウエハ310が洗浄された後、
図3Bに示すように、パターニングされたフォトレジスト層316がp−単結晶シリコンウエハ310上に従来の方式で形成される。パターニングされたフォトレジスト層316が形成された後、p−単結晶シリコンウエハ310の露出された領域は、リン等のn型材料を、より低い注入エネルギーで注入され、各p−ウェル314にn型領域318を形成するようにドライブされる。
【0076】
この例において、次にp型ドーパントがより低い注入エネルギーで注入され、表面再結合を低減するようにn型領域318の上に位置する薄いp+層320を形成するようにドライブされる。薄いp+層320が形成された後、パターニングされたフォトレジスト層316が、アセトンを用いる等の従来の方式で除去される。この後、ウエハ310は、有機物を除去するように従来のピラニアエッチング等を用いて洗浄される。
【0077】
有機物を除去するようにウエハ310が洗浄された後、
図3Cに示すように、各ダイ領域のp−単結晶シリコンウエハ310の頂部表面内及び上に多数のデバイス構造322が従来の方式で形成される。
図2の例において、デバイス構造322は、軽ドープn型ソース322S、軽ドープn型ドレイン322D、ソース322Sとドレイン322Dとの間に位置するp型チャネル322C、チャネル322Cの上のp−単結晶シリコンウエハ310の頂部表面に接するゲート酸化物層322X、及びチャネル322Cの上の酸化物層322Xに接するゲート322Gによって表されている。
【0078】
次に、
図3Dに示すように、パターニングされたフォトレジスト層324が、p−単結晶シリコンウエハ310に接するように従来の方式で形成される。パターニングされたフォトレジスト層324が形成された後、p−単結晶シリコンウエハ310の露出された領域は、リン等のn型ドーパントを注入され、各n型領域318にn+コンタクト領域326Nを形成するようにドライブされる。
【0079】
また、この注入は、各ダイ領域に形成される電子回路230E等の電子回路のNMOSトランジスタ等のn型回路要素を形成するために必要なn+領域を形成する。
図2の例において、この注入は、n+ソース326S及びn+ドレイン領域326Dを形成する。
【0080】
n+コンタクト領域326N、n+ソース領域326S、及びn+ドレイン領域326D等のn+領域が形成されると、パターニングされたフォトレジスト層324が、アセトンを用いる等の従来の方式で除去される。その後、ウエハ310は、有機物を除去するように従来のピラニアエッチング等を用いて洗浄される。
【0081】
有機物を除去するようにウエハ310が洗浄された後、
図3Eに示すように、p型単結晶シリコンウエハ310に接するように、パターニングされたフォトレジスト層330が従来の方式で形成される。パターニングされたフォトレジスト層330が形成された後、単結晶シリコンウエハ310の露出された領域は、ボロン等のp型ドーパントを注入され、各p−ウェル314にp+コンタクト領域332を形成するようにドライブされる。
【0082】
また、この注入は、各ダイ領域に形成される電子回路のPMOSトランジスタ等のp型回路要素を形成するために必要なp+領域を形成する。
図2の例において、トランジスタ、レジスタ、キャパシタ、ダイオード、及び同様の回路デバイスを含み得る電子回路は、NMOSトランジスタ334によって表されており、NMOSトランジスタ334は、n−ソース322S/n+ソース326S、n−ドレイン322D/n+ドレイン326D、p型チャネル322C、ゲート酸化物層322X、及びゲート322Gを含む。また、各ダイ領域には、p−ウェル314、n型領域318、薄いp+層320、n+コンタクト領域326N、及びp+コンタクト領域332がそのダイ領域のためのフォトダイオード214を形成する。
【0083】
p+コンタクト領域332を含む、電子回路のp+領域の形成に続き、パターニングされたフォトレジスト層330が、アセトンを用いる等の従来の方式で除去される。その後、ウエハ310は、有機物を除去するように従来のピラニアエッチング等を用いて洗浄される。
【0084】
有機物を除去するためにウエハ310が洗浄された後、
図3Fに示すように、相互接続構造336がウエハ310の頂部表面上に従来のように形成される。相互接続構造336は、(n+及びp+領域、及びポリシリコンゲートの随意的なケイ化の後)酸化物層336Xを堆積し、その後n+コンタクト領域326N、n+ソース326S、n+ドレイン領域326D、p+コンタクト領域332、及び接触されるべきn+及びp+領域、及び電子回路のデバイスのポリシリコンゲートを露出させるための開口を形成するようにマスク及びエッチステップを行なうことによって、従来のように形成され得る。これに続いて、金属層が堆積され、その後、酸化物層336Xの頂部表面から金属層を除去するように及び開口内にコンタクト336Cを形成するように平坦化される。
【0085】
金属コンタクト336Cが除去された後、金属層が堆積され、その後、多数の金属−1トレース336Mを形成するように、マスキング及びエッチングされる。これに続いて、酸化物層336X及び金属−1トレース336Mに接するようにパッシベーション層340が形成される。酸化物の層及び窒化物のオーバーレイ層を用いて実装され得るパッシベーション層340の領域が、金属−1トレース336Mのボンドパッド領域を露出させるように除去される。これに続いて、ウエハ310は、ダイ領域を分割して多数の光検知器ダイ342を形成するように従来の方式でダイシングされる。
【0086】
図4は、蒸気セルダイの形成方法の例を示すフローチャートである。
図4に示すように、この方法は、下側透明ウエハ、蒸気セルウエハ、及び上側透明ウエハを個別に形成することにより410で開始する。
【0087】
図5A及び
図5Bは下側透明ウエハを形成する方法の例を示す一連の断面図である。この方法は、厚み約1mmの透明ウエハ510を用いる。例えば、Corning EagleXG(商標)又はPyrex(商標)ガラス製品及びSchott Borofloat(商標)ガラス製品が用いられ得る。
【0088】
図5Aに示すように、この方法は、パターニングされたフォトレジスト層512を透明ウエハ510の頂部表面上に従来の方式で形成することにより開始する。この後、
図5Bに示すように、透明ウエハ510の露出された領域が、所定の時間期間、従来の方式でエッチングされて、透明ウエハ510に多数の光学開口514が形成される。
【0089】
ウエハ510は、同一ダイ領域(例えば、5mm平方)の行及び列を有し、各ダイ領域に光学開口514が形成される。簡略化のために、
図5A及び5Bには1つのダイ領域のみが示されている。この例において、各光学開口514は、幅が約250〜400ミクロンである。光学開口514が形成されると、パターニングされたフォトレジスト層512が、アセトンを用いる等の従来の方式で除去されて、下側透明ウエハ516が形成される。これに続いて、ウエハ516は、有機物を除去するように従来のピラニアエッチング等を用いて洗浄される(随意的に、マスキング及びエッチングステップを用いて光学開口514の角に浅いグルーチャネルがエッチングされ得る)。
【0090】
図6は下側透明ウエハ516を示す平面図を示す。
図6に示すように、下側透明ウエハ516は行及び列に配置される多数のダイ領域610と、各々が各ダイ領域610の中央に配置される多数の光学開口514とを有する。
【0091】
図7A〜
図7Fは、蒸気セルウエハを形成する方法の例を示す一連の断面図を示す。この例において、この方法は、従来のように形成された厚み約0.725〜1.00mmのp型単結晶シリコンウエハ710を用いる。ウエハ710は、同一ダイ領域(例えば、5mm平方)の行及び列を有する。簡略化のために、
図7A〜7Fには1つのダイ領域のみが図示されている。
【0092】
図7Aに示すように、この方法は、ウエハ710の頂部表面上に、パターニングされたフォトレジスト層716を従来の方式で形成することにより開始する。パターニングされたフォトレジスト層716が形成された後、
図7Bに示すように、ウエハ710の露出された領域にリン等のドーパントが注入されて、各ダイ領域に、n+抵抗性加熱器ストリップ720、n+抵抗性温度センサストリップ722、及びn+抵抗性加熱器ストリップ724が形成される。(n+ストリップ720、722、及び724の端部を随意的にケイ化してもよく、これは、酸化物の層を堆積し、酸化物をエッチングして端部を露出させ、端部をケイ化し、酸化物層を除去することによって行なう。)
【0093】
n+ストリップ720、722、及び724が形成されると、パターニングされたフォトレジスト層716が、従来の方式で除去される。例えば、パターニングされたフォトレジスト層716はアセトンを用いて除去され得る。これに続いて、ウエハ710は、有機物を除去するように従来のピラニアエッチング等を用いて洗浄される。
【0094】
パターニングされたフォトレジスト層716の除去に続いてウエハ710が洗浄された後、
図7Cに示すように、アルミニウム等の金属層730が、ウエハ710に接するように堆積される。この後、パターニングされたフォトレジスト層732が金属層730の頂部表面上に従来の方式で形成される。
【0095】
次に、
図7Dに示すように、金属層730の露出された領域がエッチングされて、各n+抵抗性加熱器ストリップ720、n+抵抗性温度センサストリップ722、及びn+抵抗性加熱器ストリップ724の端部に接し且つそれらの上に位置する、多数のボンドパッド構造734が形成される。ボンドパッド構造734が形成されると、パターニングされたフォトレジスト層732が、アセトンを用いる等の従来の方式で除去される。この後、ウエハ710は、有機物を除去するように従来のピラニアエッチング等を用いて洗浄される。
【0096】
パターニングされたフォトレジスト層732の除去に続いてウエハ710が洗浄された後、
図7Eに示すように、ウエハ710、ストリップ722及び724、及びボンドパッド構造734の上に、ハードマスク736が従来の方式で形成される。例えば、ハードマスク736は、酸化物の層、窒化物の層、及びパターニングされたフォトレジスト層を順次堆積し、その後、酸化物/窒化物層に開口を形成するエッチングステップ、及びパターニングされたフォトレジスト層の除去を行なうことによって、形成され得る。
【0097】
ハードマスク736が形成された後、ウエハ710の底部表面は、ハンドルウエハ738に従来の方式で一時的に取り付けられる。例えば、ウエハ710をハンドルウエハ738に一時的に取り付けるために、後続の工程で容易に除去できるフォトレジスト材料の層を用い得る。
【0098】
これに続き、ウエハ710の露出された領域、及び下にあるハンドルウエハ738の一部が、Boschプロセス等の従来のディープ反応性イオンエッチング(DRIE)を用いてエッチングされて、各ダイ領域に蒸気セル開口740が形成される。ウエハ710を貫通して延びる各蒸気セル開口740は、実質的に垂直の側壁面を有する。この例において、各蒸気セル開口740は約1mmの幅を有する。
【0099】
ウエハ710に蒸気セル開口740を形成するためのDRIEの代替は、例えばKOH又はTMAH等を用いるウェットエッチングであろう。この場合、側壁は垂直ではなく54.7度傾斜している。また、各蒸気セル開口740の狭い部分は、ウエハ710の頂部にある。
【0100】
ウエハ710に蒸気セル開口740を形成するエッチングに続き、
図7Fに示すように、ハードマスク736及びハンドルウエハ738が従来の方式で除去されて、蒸気セルウエハ742が形成される。
【0101】
図8は、蒸気セルウエハ742を示す平面図を示す。
図8に示すように、蒸気セルウエハ742は、ウエハ516のダイ領域610に対応する行及び列に配置された多数のダイ領域810と、各々が各ダイ領域810の中心に配置される多数の蒸気セル開口740とを有する。
【0102】
図8に更に示すように、n+ストリップ720、722、及び724は、n+ストリップ720、722、及び724を介して流れる電流によって生成される磁場を最小化するようにレイアウトされる。例えば、n+ストリップ720、722、及び724は、各々、単一のn+ストリップ720、単一のn+ストリップ722、及び単一のn+ストリップ724を形成するように端部が共に接続された、長い平行なn+ストリップにレイアウトされ得る。
【0103】
図9A〜
図9Iは上側透明ウエハを形成する方法の例を示す一連の断面図を示す。この方法は、厚みが約300μmの従来のように形成された透明ウエハ910を用いる。例えば、透明ウエハ910は、Corning社製のPyrex(登録商標)等のガラスで実装され得る。ウエハ910は、同一ダイ領域(例えば、5mm平方)の行及び列を有する。簡略化のために、
図9A〜
図9Iには1つのダイ領域のみが示されている。
【0104】
図9Aに示すように、この方法は、透明ウエハ910の頂部表面に接するようにシード層920を従来の方式で形成することにより開始する。例えば、シード層920は、300Åのチタン、3000Åの銅、及び300Åのチタンを堆積することによって形成され得る。シード層920が形成されると、シード層920の頂部表面上にめっきモールド922が形成される。
【0105】
めっきモールド922の形成に続いて、
図9Bに示すように、頂部のチタン層が剥離され、銅が電気めっきされて、多数の金属−1トレース924が形成される。
図9Cに示すように、電気めっきの後、金属−1トレース924を露出させるように、めっきモールド922及び下にあるシード層920領域が除去される。
【0106】
金属−1トレース924が形成された後、
図9Dに示すように、透明ウエハ910の頂部表面及び金属−1トレース924に接するように、非導電層926が形成される。非導電層926は多くの方式で形成され得る。例えば、非導電層926は、酸化物の層及び窒化物のオーバーレイ層を用いて実装され得、それに続いて、金属−1トレース924のボンドパッド領域を露出させるようにマスキング及びエッチングが行なわれる。
【0107】
或いは、非導電層926を形成するために、SU−8(ネガティブフォトレジスト)等のポリマー層が、堆積され、或るパターンを備えて露出され、その後、硬化され得る。パターンは、金属−1トレース924のボンドパッド領域を露出させる開口を含む多数の開口を非導電層926に形成する。
【0108】
これに続き、
図9Eに示すように、非導電層926と金属−1トレース924のボンドパッド領域とに接するように、アルミニウム等の接合金属性層930が堆積される。次に、接合金属性層930の頂部表面上にパターニングされたフォトレジスト層932が従来の方式で形成される。
【0109】
パターニングされたフォトレジスト層932が形成された後、
図9Fに示すように、接合金属性層930の露出された領域が従来の方式でエッチングされて、非導電層926の頂部表面が露出され、多数のボンドパッド構造934が形成される。ボンドパッド構造934が形成された後、パターニングされたフォトレジスト層932が、アセトンを用いる等の従来の方式で除去される。これに続いて、非導電層926及びボンドパッド構造934は、有機物を除去するように従来のピラニアエッチング等を用いて洗浄される。
【0110】
パターニングされたフォトレジスト層932の除去に続く有機物を除去するための洗浄の後、
図9Gに示すように、非導電層926の頂部表面及びボンドパッド構造934に接するようにパッシベーション層936が形成される。パッシベーション層936は多くの方式で形成され得る。例えば、パッシベーション層936は、酸化物の層及び窒化物のオーバーレイ層を用いて実装され得、それに続いて、ボンドパッド構造934の領域を露出させるように、マスキング及びエッチングが行われる。
【0111】
或いは、パッシベーション層936を形成するために、SU−8等のポリマー層が、堆積され、或るパターンを備えて露出され、その後、硬化され得る。このパターンは、ボンドパッド構造934の領域を露出させる開口を含む多数の開口をパッシベーション層936に形成する。非導電層926及びパッシベーション層936は、耐湿性及び応力軽減等の多くの利点を提供し得るが、随意的に省くこともできる。
【0112】
パッシベーション層936が形成された後、
図9Hに示すように、パッシベーション層936及びボンドパッド構造934上にハードマスク937が従来の方式で形成される。例えば、ハードマスク937は、酸化物の層、窒化物の層、及びパターニングされたフォトレジスト層を順次堆積し、それに続いて、酸化物/窒化物層に開口を形成するエッチングステップ、及びパターニングされたフォトレジスト層の除去を行なうことによって、形成され得る。
【0113】
ハードマスク937が形成された後、ウエハ910の底部表面はハンドルウエハ938に従来の方式で一時的に取り付けられる。例えば、ウエハ910をハンドルウエハ938に一時的に取り付けるために、後続の工程で容易に除去できるフォトレジスト材料の層が用いられ得る。
【0114】
これに続き、透明ウエハ910の露出された領域がウェットエッチング又はサンドブラストプロセス等の従来の方式でエッチングされて、透明ウエハ910を貫通して延びる多数のウエハ貫通開口939が各ダイ領域に形成される。ウエハ貫通開口939は、ボンドワイヤスイープ(ボンドワイヤの角度取り付け)、及び最小のボンドパッド間水平間隔に適応するように、充分広くなければならない。
【0115】
ウエハ貫通開口939を形成するエッチングに続き、
図9Iに示すように、ハードマスク937及びハンドルウエハ938が従来の方式で除去されて、上側透明ウエハ940が形成される。(また、ハードマスク937の代わりに、厚いパターニングされたフォトレジスト層が代替として用いられ得る。)
【0116】
図10は上側透明ウエハ940を示す平面図を示す。
図10に示されるように、上側透明ウエハ940は多数の同一ダイ領域1010(例えば、5mm平方)を有し、多数の同一ダイ領域1010は、蒸気セルウエハ742のダイ領域810と、下側透明ウエハ516のダイ領域610とに対応する行及びに配置される。また、透明ウエハ910は、各ダイ領域1010の周囲の周りの多数のウエハ貫通開口939と、ボンドパッド構造934を露出させる多数のボンドパッド開口1012とを有する。
【0117】
再び
図4を参照すると、下側透明ウエハ、蒸気セルウエハ、及び上側透明ウエハが個別に形成された後、方法400は412に進み、中間ウエハを形成するように、下側透明ウエハを蒸気セルウエハに陽極接合する。陽極接合は、400℃及び1000V等の標準の温度及び電圧で、窒素ガス等の希ガス環境で、従来の方式で行なわれる。
【0118】
図11は中間ウエハ1100の例を示す断面図を示す。
図11に示すように、下側透明ウエハ516を蒸気セルウエハ742に陽極接合することから生じ得る中間ウエハ1100は、多数のダイ領域1110を有し、多数のダイ領域1110は、蒸気セルウエハ742のダイ領域810と、下側透明ウエハ516のダイ領域610とに対応する行及び列に配置される。簡略化のために、1つのダイ領域1110のみが
図11に示されている。
【0119】
更に
図11に示すように、中間ウエハ1100は、光学開口514に対応する多数の光学開口1112と、蒸気セル開口740に対応する、対応数の蒸気セル開口1114とを有する。各ダイ領域1110の光学開口1112及び蒸気セル開口1114は垂直に整列される。
【0120】
図4に戻ると、中間ウエハを形成するように下側透明ウエハが蒸気セルウエハに陽極接合された後、方法400は414に進み、紫外(UV)光によってアルカリ及びバリア原子に分解し得るセシウムアザイド(CsN
3)等の物質を中間ウエハの蒸気セル開口に置く。
【0121】
例えば、水性溶液を形成するようにセシウムアザイドを水に溶解し、測定された量(例えば、10μL)の溶液を中間ウエハの各蒸気セル開口に、室温で、例えば、マイクロピペットを用いて配し、その後、水を蒸発させ、セシウムアザイドの粉末を残すように中間ウエハを加熱することによって、セシウムアザイドが中間ウエハの蒸気セル開口に置かれ得る。
【0122】
その物質が中間ウエハの蒸気セル開口に置かれた後、方法400は416に進み、中間ウエハを上側透明ウエハに陽極接合して、その物質を備えた多数の蒸気キャビティと多数の光学開口とを有する積層されたウエハを形成する。セシウムアザイドは、400℃で不安定であり、350℃でガラスに拡散する。そのため、陽極接合は、例えば300℃等のより低い温度で、窒素ガス等の希ガス環境で、より長い接合時間を用いて、従来の方式で行なわれる。温度が低いと必要とする電圧は高くなる。しかしながら、ウエハが薄くなると必要とする電圧は低くなる。その結果、標準電圧の1000Vが使用可能である。
【0123】
図12は、積層されたウエハ1200を示す断面図を示す。
図12に示すように、上側透明ウエハ940を中間ウエハ1100に陽極接合することから生じ得る積層されたウエハ1200は多数のダイ領域1210を有し、多数のダイ領域1210は、中間ウエハ1100のダイ領域1110と透明ウエハ910のダイ領域1010とに対応する行及び列に配置される。簡略化のために、1つのダイ領域1210のみが
図12に示されている。
【0124】
図12に更に示すように、積層されたウエハ1200は、光学開口1112に対応する多数の光学開口1212と、蒸気セル開口1114を閉じることから生じる対応数の密閉された蒸気セルキャビティ1214とを有する。各ダイ領域1210の光学開口1212及び蒸気セルキャビティ1214は垂直に整列される。また、セシウムアザイド粉末等の物質1216が、各蒸気セルキャビティ1214内に密閉される。また、厚み175μmのダイの場合の、最小のボンドパッド間水平間隔Hは約375〜500μmである。
【0125】
再び
図4を参照すると、積層されたウエハを形成するように中間ウエハが上側透明ウエハに陽極接合された後、方法400は418に進み、積層されたウエハにUV光を約10時間又はそれ以上室温で照射し、それによってこの物質を、セシウム(アルカリ)及びバリア原子を有する気体に分解する。各キャビティ1214は照射の後、1立方センチメートル当たり約10
12−10
13のセシウム原子を有するべきである。
【0126】
窒素原子がバリア原子として用いられ、不充分な窒素原子が存在し、接合の間用いられる希ガスが窒素である場合、窒素原子の数を増加させるように圧力下で陽極接合が行なわれる。しかしながら、窒素原子が多すぎると信号を劣化させる(外部の電子によって吸収されるポイントを示す波長のライン幅を拡大する)ので、最大圧力が限定される。
【0127】
各蒸気キャビティ内に気体が形成された後、方法400は420に進み、従来のピックアンドプレース機を備えるシリンジを用いて各光学開口の各角にグルードロップを置く。これに続いて、方法400は422に進み、光学パッケージ250等の光学パッケージを、積層されたウエハの各光学開口に、従来のピックアンドプレース機を用いて配する。
【0128】
従来のピックアンドプレース機は、約200μmの最小ダイサイズのダイを処理し得、約50μmのダイ側壁に対する開口側壁の許容差を有し得る。光学パッケージが各光学開口に置かれ、グルードロップによって取り付けられた後、方法400は424に進み、多数の蒸気セルダイを形成するように積層されたウエハをダイシングする。
【0129】
図13は、蒸気セルダイ1300の例を示す断面図を示す。
図13に示すように、蒸気セルダイ1300は、ウエハソーが上側透明ウエハ940のボンドパッド開口914を介して通過するように、積層されたウエハ1200をダイシングすることによって形成される。その結果、
図13に更に示すように、ダイシングによってボンドパッド構造734が露出されて、ボンドパッド構造734を後続のワイヤ接合に使用できる。
図13に更に示すように、各蒸気セルダイ1300の蒸気セルキャビティ1214内に気体1310がある。
【0130】
図14A〜
図14Nは、ベースダイを形成する方法の例を示す一連の断面図を示す。
図14Aに示すように、この方法は、頂部表面1400T及び底部表面1400Bを有する従来のように形成されたp−単結晶シリコンウエハ1400を用いる。この例において、ウエハ1400は1方の側のみが研磨される。
【0131】
図14Aに更に示すように、この方法は、パターニングされたフォトレジスト層1410をウエハ1400の頂部側1400Tに従来の方式で形成することにより開始する。これに続き、
図14Bに示すように、ウエハ1400の露出された領域が、予め定めされた時間期間エッチングされて、多数のチャネル1412が形成される。ウエハ1400は、同一ダイ領域の行及び列を有し、各ダイ領域にチャネル1412が形成される。簡略化のために、
図14A〜
図14Nには1つのダイ領域のみが示されている。
【0132】
各チャネル1412は、チャネル1412内を流れる電流によって生成される磁場を最小化するようにレイアウトされる。例えば、各チャネル1412は、各々、蛇行パターンを形成するように、交互端が共に接続された長い平行なストリップにレイアウトされ得る。チャネル1412が形成されると、パターニングされたフォトレジスト層1410が、アセトンを用いる等の従来の方式で除去される。この後、ウエハ1400は、有機物を除去するように従来のピラニアエッチング等を用いて洗浄される。
【0133】
これに続いて、
図14Cに示すように、酸化物層414がウエハ1400の頂部表面1400T上にチャネル1412をライニングするように形成され、それに続いて、非ドープポリシリコン層1416の堆積が行なわれる。ポリシリコン層1416は、チャネル1412を充填する深さに堆積される。ポリシリコン層1416が形成されると、
図14Dに示すように、ウエハ1400の頂部表面が露出されるまでポリシリコン層1416が平坦化されて、加熱要素280を実装し得る加熱要素1422が形成される。
【0134】
次に、
図14Eに示すように、パターニングされたフォトレジスト層1424が、ウエハ1400の頂部表面1400T上、及び加熱要素1422上に形成される。パターニングされたフォトレジスト層1424が形成された後、p型ウエハ1400の露出された領域は、ボロン等のp型ドーパントを注入され、その後、p−ウェル1426を形成するようにドライブされる。P−ウェル1426は、p−ウエハ1400のドーパント濃度より高いドーパント濃度を有する。p−ウェル1426が形成されると、パターニングされたフォトレジスト層1424が、アセトンを用いる等の従来の方式で除去される。これに続いて、ウエハ1400は、有機物を除去するように従来のピラニアエッチング等を用いて洗浄される。
【0135】
有機物を除去するためにウエハ1400が洗浄された後、
図14Fに示すように、パターニングされたフォトレジスト層1428が、p−単結晶シリコンウエハ1400上に従来の方式で形成される。パターニングされたフォトレジスト層1428が形成された後、p−単結晶シリコンウエハ1400の露出された領域は、リン等のn型材料を、より低い注入エネルギーで注入され、各p−ウェル1426にn型領域1430を形成するようにドライブされる。
【0136】
この例において、次にn型ドーパントがより低い注入エネルギーで注入され、n型領域1430に接するn+コンタクト領域1432を形成するようにドライブされる。n+コンタクト領域1432が形成された後、パターニングされたフォトレジスト層1428が、アセトンを用いる等の従来の方式で除去される。これに続いて、ウエハ1400は、有機物を除去するように従来のピラニアエッチング等を用いて洗浄される。
【0137】
図14Gに示すように、有機物を除去するためにウエハ1400が洗浄された後、パターニングされたフォトレジスト層1433が、p−単結晶シリコンウエハ1400上に従来の方式で形成される。パターニングされたフォトレジスト層1433が形成された後、p−単結晶シリコンウエハ1400の露出された領域は、ボロン等のp型材料を注入され、p−ウェル1426に接するp+コンタクト領域1434、及び温度センサ282を実装する温度検知ダイオード1435を形成するようにドライブされる。パターニングされたフォトレジスト層1433は、その後、アセトンを用いる等の従来の方式で除去される。これに続き、ウエハ1400は、有機物を除去するように従来のピラニアエッチング等を用いて洗浄される。
【0138】
パターニングされたフォトレジスト層1433の除去の後、
図14Hに示すように、ウエハ1400の頂部表面1400T、加熱要素1422、及びダイオード1435上に、パターニングされたフォトレジスト層1436が従来の方式で形成される。パターニングされたフォトレジスト層1436が形成された後、第1の開口1440及び第2の開口1442を形成するように、p−ウエハ1400の露出された領域が、所定の時間期間エッチングされる。
【0139】
パターニングされたフォトレジスト層1436は、その後、アセトンを用いる等の従来の方式で除去される。これに続き、ウエハ1400は、有機物を除去するように従来のピラニアエッチング等を用いて洗浄される。第1及び第2の開口1440及び1442が異なる深さを必要とする場合、第1及び第2の開口1440及び1442は、同時に形成されるのではなく、別々のマスキング及びエッチングステップで形成され得る。
【0140】
これに続き、
図14Iに示すように、従来のピックアンドプレース機を備えるシリンジを用いて多数のグルードロップ1446が第1及び第2の開口1440及び1442に挿入される。これに続き、VCSEL286及び集積回路290が、それぞれ、開口1440及び開口1442内に従来のピックアンドプレース機を用いて配され、グルードロップ1446によってそれぞれ開口1440及び開口1442に取り付けられる。
【0141】
図14Jに示すように、VCSEL286及び集積回路290が、それぞれ、開口1440及び開口1442内に配され取り付けられた後、SU−8等のポリマー層が、ウエハ1400の頂部表面1400Tに接し、開口1440及び1442の残部を充填し、VCSEL286及び集積回路290の上に位置するように、形成される。
【0142】
ポリマー層は、その後、実質的に平坦な非導電構造1450を形成するように、或るパターンを備えて露出され、硬化される。このパターンは、多数の開口を非導電構造1450に形成し、この多数の開口は、加熱要素開口1452−1、温度センサダイオード開口1452−2、VCSEL286による光出力用のレーザ開口1452−3、VCSEL286の外部パッドを露出させる多数の第1の動作開口1452−4、及び集積回路290の外部パッドを露出させる多数の第2の動作開口1452−5を含む。
【0143】
非導電構造1450が形成された後、
図14Kに示すように、非導電構造1450と、加熱要素1422、n+コンタクト領域1432、p+コンタクト領域1434、VCSEL286の外部パッド、及び集積回路290の外部パッドの露出された領域とに接するように、シード層1460が堆積される。例えば、シード層1460は、300Åのチタン、3000Åの銅、及び300Åのチタンを堆積することによって形成され得る。シード層1460が形成されると、シード層1460の頂部表面上にめっきモールド1462が形成される。
【0144】
めっきモールド1462の形成に続き、
図14Lに示すように、頂部のチタン層が剥離され、銅が電気めっきされて、多数の金属−1トレース1464が形成される。電気めっきの後、
図14Mに示すように、金属−1トレース1464を露出させるように、めっきモールド1462及び下にあるシード層1460の領域が除去される。
【0145】
金属−1トレース1464が形成された後、
図14Nに示すように、パッシベーション層1466が、非導電構造1450及び金属−1トレース1464上に形成される。パッシベーション層1466は多くの方式で形成され得る。例えば、パッシベーション層1466は、酸化物の層及び窒化物のオーバーレイ層を用いて実装され得、その後、VCSEL286のレーザ光開口とボンドパッドとして機能する金属−1トレース1464の領域とを露出させるためにエッチングが行なわれる。
【0146】
或いは、パッシベーション層1466を形成するために、SU−8等のポリマー層が、堆積され、或るパターンを備えて露出され、その後、硬化される。このパターンは多数の開口をパッシベーション層1466に形成し、この多数の開口は、VCSEL286のレーザ光開口と、ボンドパッドとして機能する金属−1トレース1464の領域とを露出させる開口を含む。
【0147】
図14Nに示すように、パッシベーション層1466の形成によって、ベースウエハ1470が形成される。(随意的に、マスキング及びエッチングステップを用いてパッシベーション層1466の頂部表面に浅いグルーチャネルが形成され得る。)これに続き、ダイ領域を分離し、多数のベースダイ1472を形成するために、ベースウエハ1470が従来の方式でダイシングされる。
【0148】
図15A及び
図15Bは、微細加工された原子マグネトメータの形成方法の例を示す一連の断面図を示す。
図15Aに示すように、この方法は、グルー又はダイ取り付け材料等の接着剤1510のドロップをベースダイ1472の頂部表面1512上に置き、その後、従来のピックアンドプレース機を用いて蒸気セルダイ1300を接着剤1510上に置くことにより開始する。接着剤1510は、光学パッケージ250の直接下には置かれず、蒸気セルダイ1300をベースダイ1472に取り付ける。
図15Aに更に示すように、VCSEL286、光学パッケージ250、及び蒸気セルキャビティ1214は垂直に整列される。
【0149】
蒸気セルダイ1300がベースダイ1476に取り付けられた後、
図15Bに示すように、蒸気セルキャビティ1214の直上のパッシベーション層926上に透明エポキシ1514が置かれ、ボンドパッド構造934の露出された領域上に半田ボール1516が置かれる。透明材料がパッシベーション層340及び936に接し、且つ、n型領域318と蒸気セルキャビティ1214との間に垂直に位置することを確実にするために、粘性の高い透明エポキシ1514が用いられる。これに続き、フリップチップとして光検知器ダイ342が蒸気セルダイ1300に半田リフローによって取り付けられて、微細加工された原子マグネトメータ1520が形成される。
【0150】
微細加工された原子マグネトメータ1520は、その後、リードフレームのダイ取り付けパドルに取り付けられ、ボンドパッド構造294B、734、及び936の間、及び原子マグネトメータ1520とリードフレームとの間に、ボンドワイヤが付加される。リードフレームは、その後、ダイモールド内に置かれ、モールド化合物で封入される。モールド化合物は、また、光検知器ダイ342と蒸気セルダイ1300との間のスペースのためのアンダーフィルを提供する。
【0151】
図16は、下側透明ウエハを形成するための代替方法の例を示す断面図を示す。この方法は、厚み約200〜300μmの透明ウエハ1610を用いる。透明ウエハ1610は、頂部表面1610T及び底部表面1610Bを有し、例えば、Corning Eagle XG(商標)又はPyrex(商標)ガラス製品、又はSchott Borofloat(商標)ガラス製品を用いて実装され得る。
【0152】
図16に示すように、この方法は、従来の四分の一波長プレート材料の薄膜1612を堆積させ、その後、従来の偏光器材料の薄膜1614を堆積させることにより開始する。この後、下側透明ウエハ1620を形成するように、従来の線形減衰器材料の薄膜1616が堆積される。
【0153】
四分の一波長プレート層1612は、例えば、223.59nm、1117.94nm、又は2012.29nm(セシウムアザイドのための光(894.35nm)の四分の一波長に、セシウムアザイドのための光の波長の(ゼロを含む)整数を加えたたもの)の厚みを有する。底部表面1610Bは、その後、ウエハ516の代わりに、ウエハ742に陽極接合される。下側透明ウエハ1620の利点の1つは、光学開口を形成するために必要なマスキング及びエッチングステップ、及び光学パッケージを下側透明ウエハに取り付けるために必要なピックアンドプレースステップが省かれ得ることである。
【0154】
このように、微細加工された原子マグネトメータ及び微細加工された原子マグネトメータを形成する方法を説明してきたが、本発明の利点の1つは、従来の集積回路製造施設における原子マグネトメータの大量生産を可能する、原子マグネトメータの形成方法を本発明が提供することである。
【0155】
その結果、本発明を実装することで、原子マグネトメータのコストが著しく低減される。本発明のもう1つの利点は、原子マグネトメータのサイズの小型化である。このように、本発明は、従来のマグネトメータで可能であった用途に比べ更に多くの用途に原子マグネトメータが組み込まれることを可能にする。
【0156】
なお、上述の説明は本発明の例であり、本発明の実施においては本明細書に記載した発明の種々の代替物が用いられ得ることが理解されるべきであろう。従って、以下の請求項が本発明の範囲を定義すること、及び、それらの請求の範囲内の構造及び方法及びそれらの同等物が本発明の範囲に包含されることを意図している。