特許第6118847号(P6118847)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6118847
(24)【登録日】2017年3月31日
(45)【発行日】2017年4月19日
(54)【発明の名称】プレート式熱交換器
(51)【国際特許分類】
   F28F 3/04 20060101AFI20170410BHJP
   F28D 9/02 20060101ALI20170410BHJP
【FI】
   F28F3/04 A
   F28D9/02
【請求項の数】8
【全頁数】29
(21)【出願番号】特願2015-134550(P2015-134550)
(22)【出願日】2015年7月3日
(65)【公開番号】特開2017-15349(P2017-15349A)
(43)【公開日】2017年1月19日
【審査請求日】2015年7月3日
(73)【特許権者】
【識別番号】000152480
【氏名又は名称】株式会社日阪製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100074332
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 昇
(74)【代理人】
【識別番号】100114432
【弁理士】
【氏名又は名称】中谷 寛昭
(72)【発明者】
【氏名】伊賀 祐志
(72)【発明者】
【氏名】山口 要
【審査官】 庭月野 恭
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−326074(JP,A)
【文献】 特開平10−122782(JP,A)
【文献】 特開2013−213611(JP,A)
【文献】 特開2006−162154(JP,A)
【文献】 特表2005−514576(JP,A)
【文献】 特開平10−288480(JP,A)
【文献】 特開昭61−122493(JP,A)
【文献】 国際公開第2010/090557(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F28F 3/00,3/04
F28D 9/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれが一方向に重ね合わされるプレート本体を有する複数の伝熱プレートを備え、各伝熱プレートのプレート本体は、主伝熱領域と、第一方向における主伝熱領域の両側で該主伝熱領域と連続する一対の端部領域とを有し、主伝熱領域は、当該主伝熱領域の第一方向に延びる縦中心線に対して所定角度で傾斜した複数の凹条及び凸条を両面に有し、一対の端部領域のそれぞれは、第一方向及び該第一方向と直交する第二方向のそれぞれと直交する第三方向に貫通した第一開口と、第一開口に対して第二方向に間隔をあけて配置され、且つ第三方向に貫通した第二開口とを有し、隣り合う伝熱プレート間がシールされることで、隣り合う伝熱プレートのそれぞれの一対の第一開口を内部で開放させ且つプレート本体の何れか一方の端部領域によって画定された領域で第二方向の流路幅が該一方の端部領域の有する第一開口側から該一方の端部領域と主伝熱領域との境界に向かうにつれて拡大し、プレート本体の主伝熱領域によって画定された領域で第二方向の流路幅が最大になるとともに、プレート本体の何れか他方の端部領域によって画定された領域で第二方向の流路幅が該他方の端部領域と主伝熱領域との境界側から該他方の端部領域の有する第一開口に向かうにつれて縮小する第一流路と、隣り合う伝熱プレートのそれぞれの一対の第二開口を内部で開放させ且つプレート本体の何れか一方の端部領域によって画定された領域で第二方向の流路幅が該一方の端部領域の有する第二開口側から該一方の端部領域と主伝熱領域との境界に向かうにつれて拡大し、プレート本体の主伝熱領域によって画定された領域で第二方向の流路幅が最大になるとともに、プレート本体の何れか他方の端部領域によって画定された領域で第二方向の流路幅が該他方の端部領域と主伝熱領域との境界側から該他方の端部領域の有する第二開口に向かうにつれて縮小する第二流路とが、伝熱プレートのプレート本体を境にして一方向で交互に形成され、且つ、各伝熱プレートの一方向に連なった第一開口によって第一流路のみと連通する第一流入路及び第一流出路が形成されるとともに、各伝熱プレートの一方向に連なった第二開口によって第二流路のみと連通する第二流入路及び第二流出路が形成されたプレート式熱交換器において、隣り合う伝熱プレートのうちの少なくとも何れか一方の伝熱プレートは、少なくともプレート本体の第一流入路を構成する第一開口の存在する一方の端部領域のうちの第一流路を画定する領域に第一開口の近傍から主伝熱領域との境界に向けて並列に配置され且つそれぞれが該並列方向と交差する方向に延びる複数の第一凸部を含む第一凸部群であって、前記並列方向と交差する方向に間隔をあけて並ぶ以上の第一凸部群を備えるとともに、少なくともプレート本体の第一流出路を構成する第一開口の存在する他方の端部領域のうちの第一流路を画定する領域に第一開口の近傍から主伝熱領域との境界に向けて並列に配置され且つそれぞれが該並列方向と交差する方向に延びる複数の第一凸部を含む第一凸部群であって、前記並列方向と交差する方向に間隔をあけて並ぶ以上の第一凸部群を備えることを特徴とするプレート式熱交換器。
【請求項2】
第一凸部群における複数の第一凸部のそれぞれは、主伝熱領域のうちの第一流路を画定する領域にある凹条又は凸条の延びる方向と同方向に延びている請求項1に記載のプレート式熱交換器。
【請求項3】
第一凸部群における複数の第一凸部のうちの少なくとも一部の第一凸部は、主伝熱領域のうちの第一流路を画定する領域にある凸条の延長線上に配置されている請求項2に記載のプレート式熱交換器。
【請求項4】
第一凸部群における複数の第一凸部のそれぞれは、長手方向の両端部を並列方向に整列させて配置されている請求項1乃至3の何れか1項に記載のプレート式熱交換器。
【請求項5】
隣り合う伝熱プレートのうちの少なくとも何れか一方の伝熱プレートは、少なくともプレート本体の第二流入路を構成する第二開口の存在する何れか一方の端部領域のうちの第二流路を画定する領域に第二開口の近傍から主伝熱領域との境界に向けて並列に配置され且つそれぞれが該並列方向と交差する方向に延びる複数の第二凸部を含む第二凸部群であって、前記並列方向と交差する方向に間隔をあけて並ぶ以上の第二凸部群をさらに備えている請求項1乃至4の何れか1項に記載のプレート式熱交換器。
【請求項6】
第二凸部群における複数の第二凸部のそれぞれは、主伝熱領域のうちの第二流路を画定する領域にある凹条又は凸条の延びる方向と同方向に延びている請求項5に記載のプレート式熱交換器。
【請求項7】
第二凸部群における複数の第二凸部のうちの少なくとも一部の第二凸部は、主伝熱領域のうちの第二流路を画定する領域にある凸条の延長線上に配置されている請求項6に記載のプレート式熱交換器。
【請求項8】
第二凸部群における複数の第二凸部のそれぞれは、長手方向の両端部を並列方向に整列させて配置されている請求項5乃至7の何れか1項に記載のプレート式熱交換器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第一流体と第二流体とを熱交換させる熱交換器に関する。より詳しくは、本発明は、第一流体を流通させる第一流路と第二流体を流通させる第二流路とを区画するプレート本体を有する伝熱プレートであって、プレート本体を一方向に重ね合わせて配置された複数の伝熱プレートを備え、第一流路と第二流路とがプレート本体を挟んで一方向で交互に形成されたプレート式熱交換器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、第一流体と第二流体とを熱交換させる熱交換器の一つとして、図13に示す如く、第一流体Xを流通させる第一流路Paと第二流体Yを流通させる第二流路Pbとを区画するプレート本体50を有する伝熱プレート5であって、該プレート本体50を一方向に重ね合わせて配置された複数の伝熱プレート5…を備えたプレート式熱交換器Eが提供されている。
【0003】
この種のプレート式熱交換器Eにおいて、伝熱プレート5のプレート本体50は、第一面Saと該第一面Saの反対面である第二面Sbとを有する。また、プレート本体50は、図14に示す如く、第一面Sa及び第二面Sbを含む主伝熱領域Aaと、第一面Sa及び第二面Sbを含み且つ第一方向における主伝熱領域Aaの両側で該主伝熱領域Aaと連続する一対の端部領域Ab,Abとを有する。
【0004】
主伝熱領域Aaは、第一面Sa及び第二面Sbのそれぞれに複数の凹条51…及び凸条52…を有する。なお、図14において、凹条51の底を二点鎖線で表現し、凸条52の頂部を実線で表現している。複数の凹条51…及び凸条52…は、第一方向と直交する第二方向における主伝熱領域Aaの両端部から当該主伝熱領域Aaの第一方向に延びる中心線(以下、縦中心線という)CLに向けて延びている。凹条51…及び凸条52…は、縦中心線CLに対して所定角度で傾斜している。
【0005】
一対の端部領域Ab,Abのそれぞれは、第一方向及び第二方向と直交する第三方向(厚み方向)に貫通した第一開口53と、第一開口53に対して第二方向に間隔をあけて配置され、且つ第三方向に貫通した第二開口54とを有する。また、一対の端部領域Ab,Abのそれぞれは、主伝熱領域Aaと同様に、第一面Sa及び第二面Sbのそれぞれに複数の凹条51…及び凸条52…を有する。端部領域Ab,Ab内にある凹条51…及び凸条52…は、端部領域Ab,Abと主伝熱領域Aaとの境界から第一開口53,53及び第二開口54,54の近傍との間に複数配置される。なお、端部領域Ab,Ab内の凹条51…及び凸条52…は、主伝熱領域Aaの凹条51…及び凸条52…と同様の規則性をもって配置される。
【0006】
各伝熱プレート5…は、図13に示す如く、自身のプレート本体50の第一面Saを一方向の一方側で隣り合う伝熱プレート5のプレート本体50の第二面Sbと対向させ、自身のプレート本体50の第二面Sbを一方向の他方側で隣り合う伝熱プレート5…のプレート本体50の第一面Saと対向させる。
【0007】
そして、この種にプレート式熱交換器Eにおいて、隣り合う伝熱プレート5,5間にガスケットが介装されたり、隣り合う伝熱プレート5,5同士がロウ付けされたりすることで、隣り合う伝熱プレート5,5間がシールされる。
【0008】
これにより、この種のプレート式熱交換器Eにおいて、図13図15(a)及び図15(b)に示す如く、隣り合う伝熱プレート5,5のそれぞれの一対の第一開口53,53を内部で開放させた第一流路Paと、隣り合う伝熱プレート5,5のそれぞれの一対の第二開口54,54を内部で開放させた第二流路Pbとが、伝熱プレート5のプレート本体50を挟んで一方向で交互に形成されている。また、複数の伝熱プレート5…の一方向に連なった第一開口53,53によって、第一流路Paのみと連通して第一流路Paに第一流体Xを流出入させる第一流入路Pc及び第一流出路Pdが形成されるとともに、複数の伝熱プレート5…の一方向に連なった第二開口54,54によって、第二流路Pbのみと連通して第二流路Pbに第二流体Yを流出入させる第二流入路Pe及び第二流出路Pfが形成されている。
【0009】
これにより、この種のプレート式熱交換器Eは、図15(a)に示す如く、第一流入路Pcに供給された第一流体Xが第一流路Paを流通した上で第一流出路Pdに排出されるとともに、図15(b)に示す如く、第二流入路Peに供給された第二流体Yが第二流路Pbを流通した上で第二流出路Pfに排出されるようになっている。
【0010】
そして、この種のプレート式熱交換器Eは、第一流路Paを流通する第一流体Xと第二流路Pbを流通する第二流体Yとを伝熱プレート5…(プレート本体50)を介して熱交換させるようになっている。
【0011】
ところで、この種のプレート式熱交換器Eにおいて、第一流路Paにおけるプレート本体50の端部領域Abによって画定される領域は、第二方向で第二開口54と間隔をあけて配置されることでプレート本体50の第二方向の幅の半分以下となる第一開口53の開口幅を基準に形成されるため、第一流路Paは、プレート本体50の端部領域Abによって画定される領域における第二方向の流路幅と、プレート本体50の主伝熱領域Aaによって画定される領域における第二方向の流路幅とに大きな相違がある。すなわち、第一流路Paは、最上流域と中流域との流路断面積の変化が非常に大きい形態となる。
【0012】
そのため、この種のプレート式熱交換器Eにおいて、第一流路Paにおける第一流入路Pc近傍での第一流体Xの圧力損失が大きくなる。その上、この種のプレート式熱交換器Eにおいて、凹条51…及び凸条52…が端部領域Ab内の第一流入路Pcとなる第一開口53近傍まで配置されているため、第一流入路Pc近傍での第一流体Xの流通抵抗が非常に大きい。
【0013】
その結果、この種のプレート式熱交換器Eは、第一流体Xを流通させるためのエネルギー(例えば、第一流体Xを供給するポンプの駆動エネルギー)の消費を大きくしてしまうといった問題がある。
【0014】
そこで、図16に示す如く、プレート本体50における第一面Sa上で第一開口53近傍から端部領域Abと主伝熱領域Aaとの境界に向けて延び且つ端部領域Ab内での流路形態に応じて横並びに配置された複数のガイド凸部55…を有する伝熱プレート5を備えたプレート式熱交換器Eが提供されている(例えば、特許文献1参照)。
【0015】
かかるプレート式熱交換器Eにおいて、第一流入路Pc(第一開口53)からの第一流体Xは、第一流路Pa内で隣り合う伝熱プレート5,5のうちの少なくとも何れか一方の伝熱プレート5の複数のガイド凸部55…間を通ってプレート本体50の主伝熱領域Aaによって画定された領域に到達し、当該領域を通過した第一流体Xは、第一流出路Pd(第一開口53)に排出される。
【0016】
このように、上記構成のプレート式熱交換器Eは、第一流路Pa内の第一流入路Pc近傍で第一流体Xがガイド凸部55…間を通るため、第一流体Xがガイド凸部55…によって主伝熱領域Aaによって画定された領域にまで誘導されることになる。これにより、上記構成のプレート式熱交換器Eは、第一流入路Pc近傍における第一流体Xの流通抵抗を低減し、第一流体Xの供給に必要なエネルギーの無駄な消費を低減できるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0017】
【特許文献1】特開平6−241672号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
しかしながら、上記構成のプレート式熱交換器Eは、第一流路Paにおける第一流入路Pc近傍での流通抵抗を低減し、エネルギーの無駄な消費を抑えることができる反面、第一流路Paにおける第一流入路Pc近傍での第一流体Xの熱交換性能が低下するといった問題がある。
【0019】
具体的に説明すると、この種のプレート式熱交換器Eは、一般的に、第一流路Pa内で第一流体Xの流れを乱流にすることで伝熱効率を高めている。
【0020】
しかし、端部領域Ab,Abに配置されたガイド凸部55…は、第一流体Xの流れ方向に乗って延びているため、第一流体Xの流れが乱流にならない。
【0021】
そのため、上記構成のプレート式熱交換器Eにおいて、第一流路Paにおける第一流入路Pc及び第一流出路Pd近傍での熱交換性能が低くなってしまい、結果として全体の熱交換性能が低くなってしまうといった問題がある。
【0022】
そこで、本発明は、第一流体の伝熱効率を高効率にしつつ、少なくとも第一流体の供給に使用されるエネルギーの無駄な消費を抑えることのできるプレート式熱交換器を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0023】
本発明に係るプレート式熱交換器は、それぞれが一方向に重ね合わされるプレート本体を有する複数の伝熱プレートを備え、各伝熱プレートのプレート本体は、主伝熱領域と、第一方向における主伝熱領域の両側で該主伝熱領域と連続する一対の端部領域とを有し、主伝熱領域は、当該主伝熱領域の第一方向に延びる縦中心線に対して所定角度で傾斜した複数の凹条及び凸条を両面に有し、一対の端部領域のそれぞれは、第一方向及び該第一方向と直交する第二方向のそれぞれと直交する第三方向に貫通した第一開口と、第一開口に対して第二方向に間隔をあけて配置され、且つ第三方向に貫通した第二開口とを有し、隣り合う伝熱プレート間がシールされることで、隣り合う伝熱プレートのそれぞれの一対の第一開口を内部で開放させ且つプレート本体の何れか一方の端部領域によって画定された領域で第二方向の流路幅が該一方の端部領域の有する第一開口側から該一方の端部領域と主伝熱領域との境界に向かうにつれて拡大し、プレート本体の主伝熱領域によって画定された領域で第二方向の流路幅が最大になるとともに、プレート本体の何れか他方の端部領域によって画定された領域で第二方向の流路幅が該他方の端部領域と主伝熱領域との境界側から該他方の端部領域の有する第一開口に向かうにつれて縮小する第一流路と、隣り合う伝熱プレートのそれぞれの一対の第二開口を内部で開放させ且つプレート本体の何れか一方の端部領域によって画定された領域で第二方向の流路幅が該一方の端部領域の有する第二開口側から該一方の端部領域と主伝熱領域との境界に向かうにつれて拡大し、プレート本体の主伝熱領域によって画定された領域で第二方向の流路幅が最大になるとともに、プレート本体の何れか他方の端部領域によって画定された領域で第二方向の流路幅が該他方の端部領域と主伝熱領域との境界側から該他方の端部領域の有する第二開口に向かうにつれて縮小する第二流路とが、伝熱プレートのプレート本体を境にして一方向で交互に形成され、且つ、各伝熱プレートの一方向に連なった第一開口によって第一流路のみと連通する第一流入路及び第一流出路が形成されるとともに、各伝熱プレートの一方向に連なった第二開口によって第二流路のみと連通する第二流入路及び第二流出路が形成されたプレート式熱交換器において、隣り合う伝熱プレートのうちの少なくとも何れか一方の伝熱プレートは、少なくともプレート本体の第一流入路を構成する第一開口の存在する一方の端部領域のうちの第一流路を画定する領域に第一開口の近傍から主伝熱領域との境界に向けて並列に配置され且つそれぞれが該並列方向と交差する方向に延びる複数の第一凸部を含む第一凸部群であって、前記並列方向と交差する方向に間隔をあけて並ぶ以上の第一凸部群を備えるとともに、少なくともプレート本体の第一流出路を構成する第一開口の存在する他方の端部領域のうちの第一流路を画定する領域に第一開口の近傍から主伝熱領域との境界に向けて並列に配置され且つそれぞれが該並列方向と交差する方向に延びる複数の第一凸部を含む第一凸部群であって、前記並列方向と交差する方向に間隔をあけて並ぶ以上の第一凸部群を備えることを特徴とする。
【0024】
上記構成のプレート式熱交換器によれば、第一流路の第一流入路近傍に二以上ある第一凸部群が配置される。該二以上ある第一凸部群の間には、第一流体の流通抵抗となる第一凸部のない領域が形成される。すなわち、第一流入路近傍から主伝熱領域までの間に、二以上の第一凸部群によって形成される溝状の部分が形成される。従って、第一流入路(第一開口)から第一流路に流入した第一流体は、第一凸部群の存在する領域及び第一凸部群のない領域(溝状の部分)を通過する。このとき、第一凸部群の存在する領域を流通する第一流体は、第一開口の近傍から主伝熱領域との境界に向けて並列に配置され且つそれぞれが該並列方向と交差する方向に延びる複数の第一凸部(第一流体の流通方向と交差する方向に延びる第一凸部)の存在により、乱流で流通するが、第一凸部群間を流通する第一流体は、第一凸部による流通抵抗を受けることなく流通する。すなわち、第一凸部群の存在する領域を流通する第一流体は、第二流体との熱交換効率を高めた上で流通し、第一凸部群間を流通する第一流体は、第一開口(第一流入路及び第一流出路)近傍での大きな抵抗を受けることなく流通する。
【0025】
これにより、本発明に係るプレート式熱交換器において、第一流体と第二流体との伝熱効率が高効率となる上に、第一流体を供給するためのエネルギーの無駄な消費が抑えられる。
【0026】
この場合、第一凸部群における複数の第一凸部のそれぞれは、主伝熱領域のうちの第一流路を画定する領域にある凹条又は凸条の延びる方向と同方向に延びていてもよい。このようにすれば、第一流路内での第一流体の乱流状態が均一化され、第一流路全域での熱交換性能が均一化される。
【0027】
また、第一凸部群における複数の第一凸部のうちの少なくとも一部の第一凸部は、主伝熱領域のうちの第一流路を画定する領域にある凸条の延長線上に配置されてもよい。このようにすれば、主伝熱領域の凸条と第一凸部群を構成する第一凸部とが直線的に配置されるとともに、主伝熱領域の凹条と第一凸部群を構成する第一凸部同士の間とが直線的に配置されるため、端部領域と主伝熱領域との境界付近で第一流体の流れに大きな変化が生じることがなく、第一流体の流通性能が良好となる。
【0028】
さらに、第一凸部群における複数の第一凸部のそれぞれは、長手方向の両端部を並列方向に整列させて配置されてもよい。このようにすれば、第一凸部群の幅(第一凸部の並列方向と直交する方向の幅)が、一定又は略一定になる。これに伴い、第一凸部群間に形成される溝状の部分が全長に亘って一定又は略一定の幅になる。従って、端部領域内での第一流体の流通性能が良好となる。
【0029】
また、本発明の一態様として、隣り合う伝熱プレートのうちの少なくとも何れか一方の伝熱プレートは、少なくともプレート本体の第二流入路を構成する第二開口の存在する何れか一方の端部領域のうちの第二流路を画定する領域に第二開口の近傍から主伝熱領域との境界に向けて並列に配置され且つそれぞれが該並列方向と交差する方向に延びる複数の第二凸部を含む第二凸部群であって、前記並列方向と交差する方向に間隔をあけて並ぶ以上の第二凸部群をさらに備えてもよい。
【0030】
上記構成によれば、第二流路の第二流入路近傍に二以上ある第二凸部群が配置される。該二以上ある第二凸部群の間には、第二流体の流通抵抗となる第二凸部のない領域が形成される。すなわち、第二流入路近傍から主伝熱領域までの間に、二以上の第二凸部群によって形成される溝状の部分が形成される。従って、第二流入路(第二開口)から第二流路に流入した第二流体は、第二凸部群の存在する領域及び第二凸部群のない領域(溝状の部分)を通過する。このとき、第二凸部群の存在する領域を流通する第二流体は、第二開口の近傍から主伝熱領域との境界に向けて並列に配置され且つそれぞれが該並列方向と交差する方向に延びる複数の第二凸部(第二流体の流通方向と交差する方向に延びる第二凸部)の存在により、乱流状態で流通するが、第二凸部群間を流通する第二流体は、第二凸部による流通抵抗を受けることなく流通する。すなわち、第二凸部群の存在する領域を流通する第二流体は、第一流体との熱交換効率を高めた上で流通し、第二凸部群間を流通する第二流体は、第二開口(第二流入路)近傍での大きな抵抗を受けることなく流通する。
【0031】
これにより、上記構成によれば、第一流体と第二流体との伝熱効率がさらに高効率となる上に、第一流体を供給するためのエネルギーに加え、第二流体を供給するためのエネルギーの無駄な消費も抑えられる。
【0032】
この場合、第二凸部群における複数の第二凸部のそれぞれは、主伝熱領域のうちの第二流路を画定する領域にある凹条又は凸条の延びる方向と同方向に延びていてもよい。このようにすれば、第二流路内での第二流体の乱流状態が均一化され、第二流路全域での熱交換性能が均一化される。
【0033】
また、第二凸部群における複数の第二凸部のうちの少なくとも一部の第二凸部は、主伝熱領域のうちの第二流路を画定する領域にある凸条の延長線上に配置されてもよい。このようにすれば、主伝熱領域の凸条と第二凸部群を構成する第二凸部とが直線的に配置されるとともに、主伝熱領域の凹条と第二凸部群を構成する第二凸部同士の間とが直線的に配置されるため、端部領域と主伝熱領域との境界付近で第二流体の流れに大きな変化が生じることがなく、第二流体の流通性能が良好となる。
【0034】
さらに、第二凸部群における複数の第二凸部のそれぞれは、長手方向の両端部を並列方向に整列させて配置されてもよい。このようにすれば、第二凸部群の幅(第二凸部の並列方向と直交する方向の幅)が、一定又は略一定になる。これに伴い、第二凸部群間に形成される溝状の部分が全長に亘って一定又は略一定の幅になる。従って、端部領域内での第二流体の流通性能が良好となる。
【発明の効果】
【0035】
以上のように、本発明によれば、第一流体の伝熱効率を高効率にしつつ、少なくとも第一流体の供給に使用されるエネルギーの無駄な消費を抑えることができるという優れた効果を奏し得る。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図1図1は、本発明の一実施形態に係るプレート式熱交換器の全体斜視図である。
図2図2は、同実施形態に係るプレート式熱交換器の分解斜視図である。
図3図3は、同実施形態に係るプレート式熱交換器の第一伝熱プレートの正面図である。
図4図4は、同実施形態に係るプレート式熱交換器の第一伝熱プレートの背面図である。
図5図5は、同実施形態に係るプレート式熱交換器の第二伝熱プレートの正面図である。
図6図6は、同実施形態に係るプレート式熱交換器の第二伝熱プレートの背面図である。
図7図7は、同実施形態に係るプレート式熱交換器の第一流路の説明図である。
図8図8は、同実施形態に係るプレート式熱交換器の第二流路の説明図である。
図9図9は、同実施形態に係るプレート式熱交換器の部分断面図であって、図9(a)は、第一伝熱プレートの第一凸部の長手方向に沿った断面図であり、図9(b)は、第二伝熱プレートの第二凸部の長手方向に沿った断面図である。
図10図10は、同実施形態に係るプレート式熱交換器の部分断面図であって、図10(a)は、第一伝熱プレートの凸条に沿った断面図であり、図10(b)は、第二伝熱プレートの凸条に沿った断面図である。
図11図11は、本発明の他実施形態に係るプレート式熱交換器の第一伝熱プレートの正面図である。
図12図12は、本発明の別の実施形態に係るプレート式熱交換器の流路形態に関する説明図であって、図12(a)は、第一流路の説明図であり、図12(b)は、第二流路の説明図である。
図13図13は、従来のプレート式熱交換器の分解斜視図である。
図14図14は、従来のプレート式熱交換器の伝熱プレートの正面図である。
図15図15は、図13に図示したプレート式熱交換器の流路形態に関する説明図であって、図15(a)は、第一流路の説明図であり、図15(b)は、第二流路の説明図である。
図16図16は、別の従来のプレート式熱交換器の第一流路の流路形態に関する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下、本発明の一実施形態について、添付図面を参照して説明する。
【0038】
図1に示す如く、プレート式熱交換器HEは、複数の伝熱プレート1…,2…を備える。複数の伝熱プレート1…,2…のそれぞれは、図2に示す如く、一方向に重ね合わされるプレート本体10,20を有する。
【0039】
本実施形態において、プレート式熱交換器HEは、二種類の伝熱プレート1,2を備え、種類を異にする伝熱プレート1,2が一方向で交互に重ね合わされている。
【0040】
二種類の伝熱プレート1,2のうちの一方の伝熱プレート(以下、第一伝熱プレートという)1は、第一面Sa1と該第一面Sa1に対して反対側を向く第二面Sb1を有するプレート本体10と、プレート本体10の外周から第二面Sb1側に延出した環状の嵌合部11を備える。
【0041】
第一伝熱プレート1において、プレート本体10は、図3及び図4に示す如く、主伝熱領域Aa1と、第一方向における主伝熱領域Aa1の両側で該主伝熱領域Aa1と連続する一対の端部領域Ab1,Ab1とを有する。
【0042】
第一伝熱プレート1の主伝熱領域Aa1は、当該主伝熱領域Aa1の第一方向に延びる縦中心線CLに対して所定角度で傾斜した複数の凹条12a…及び凸条12b…を両面(第一面Sa1及び第二面Sb1)に有する。第一伝熱プレート1において、凹条12a…及び凸条12b…は、これらが延びる長手方向と直交する方向で交互に配置されている。なお、図3及び図4において、主伝熱領域Aa1内に配置される凹条12a及び凸条12bに関し、凹条12a(底)を二点鎖線で表現するとともに、凸条12b(頂部)を実線で表現している。
【0043】
第一伝熱プレート1…の主伝熱領域Aa1の凹条12a…及び凸条12b…は、プレート本体10の第一面Sa1側から見て第一方向と直交する第二方向の一端から他端に向けて先下りに傾斜している(図3参照)。
【0044】
第一伝熱プレート1は、金属プレートをプレス成形したものであり、第一面Sa1にある凸条12b…は、第二面Sb1で凹条12a…を構成し、第一面Sa1にある凹条12a…は、第二面Sb1で凸条12b…を構成している。従って、第一伝熱プレート1の主伝熱領域Aa1の凹条12a…及び凸条12b…は、プレート本体10の第二面Sb1側から見ても第二方向の一端から他端に向けて先下りに傾斜している(図4参照)。
【0045】
なお、第一伝熱プレート1において、主伝熱領域Aa1内の凹条12a…及び凸条12b…は、縦中心線CLを境にした第二方向の一端側の半分の領域と、第二方向の他端側の半分の領域とで鏡像関係となるように配置されることもあるが、本実施形態では、縦中心線CLを境にした第二方向の一端側の半分の領域にある凹条12a…及び凸条12b…と、第二方向の他端側の半分の領域にある凹条12a…及び凸条12b…とが直線的に連続して形成されている。
【0046】
第一伝熱プレート1において、一対の端部領域Ab1,Ab1のそれぞれは、第一方向及び第二方向と直交する第三方向に貫通した第一開口13,14と、第一開口13,14に対して第二方向に間隔をあけて配置され、且つ第三方向に貫通した第二開口15,16とを有する。
【0047】
一対の端部領域Ab1,Ab1のうちの一方の端部領域Ab1において、第一開口13は、縦中心線CLを境にした第二方向におけるプレート本体10の他端側の領域内に配置され、第二開口15は、縦中心線CLを境にした第二方向におけるプレート本体10の一端側の領域内に配置されている。
【0048】
これに対し、一対の端部領域Ab1,Ab1のうちの他方の端部領域Ab1において、第一開口14は、縦中心線CLを境にした第二方向におけるプレート本体10の一端側の領域内に配置され、第二開口16は、縦中心線CLを境にした第二方向におけるプレート本体10の他端側の領域内に配置されている。
【0049】
第一伝熱プレート1…における一対の端部領域Ab1,Ab1のそれぞれにおいて、第一開口13,14の周囲の領域は、第一面Sa1側から見て、同一領域内にある第二開口15,16の周囲の領域よりも奥側に窪み、第一伝熱プレート1…の第二開口15,16の周囲の領域は、第一面Sa1側から見て、同一領域内にある第一開口13,14の周囲の領域よりも手前側に突出している。これに伴い、第一伝熱プレート1…における一対の端部領域Ab1,Ab1のそれぞれにおいて、第一開口13,14の周囲の領域は、第二面Sb1側から見て、同一領域内にある第二開口15,16の周囲の領域よりも手前側に突出し、第一伝熱プレート1…の第二開口15,16の周囲の領域は、第二面Sb1側から見て、同一領域内にある第一開口13,14の周囲の領域よりも奥側に窪んでいる。なお、図3及び図4においては、端部領域Ab1,Ab1内の凹凸関係を明示するために、手前側に突出している領域にドットを付している。
【0050】
第一伝熱プレート1における第一面Sa1側の第二開口15,16の周囲の領域(図3においてドットを付した領域)は、主伝熱領域Aa1の第一面Sa1上にある凸条12b…の頂部と同レベルに高さ設定され、第二面Sb1側の第一開口13,14の周囲の領域(図4においてドットを付した領域)は、主伝熱領域Aa1の第二面Sb1上にある凸条12b…の頂部と同レベルに高さ設定されている。
【0051】
二種類の伝熱プレート1,2のうちの他方の伝熱プレート(以下、第二伝熱プレートという)2は、図5及び図6に示す如く、第一伝熱プレート1と同様に、第一面Sa2と該第一面Sa2に対して反対側を向く第二面Sb2を有するプレート本体20と、プレート本体20の外周から第二面Sb2側に延出した環状の嵌合部21を備える。
【0052】
第二伝熱プレート2において、プレート本体20は、主伝熱領域Aa2と、第一方向における主伝熱領域Aa2の両側で該主伝熱領域Aa2と連続する一対の端部領域Ab2,Ab2とを有する。
【0053】
第二伝熱プレート2の主伝熱領域Aa2は、当該主伝熱領域Aa2の第一方向に延びる縦中心線CLに対して所定角度で傾斜した複数の凹条22a…及び凸条22b…を両面(第一面Sa2及び第二面Sb2)に有する。第二伝熱プレート2において、凹条22a…及び凸条22b…は、これらが延びる長手方向と直交する方向で交互に配置されている。なお、図5及び図6において、図3及び図4と同様に、主伝熱領域Aa2内に配置される凹条22a及び凸条22bに関し、凹条22a(底)を二点鎖線で表現するとともに、凸条22b(頂部)を実線で表現している。
【0054】
第二伝熱プレート2の主伝熱領域Aa2の凹条22a…及び凸条22b…は、プレート本体20の第一面Sa2側から見て第一方向と直交する第二方向の他端から一端に向けて先下りに傾斜している(図5参照)。第二伝熱プレート2…の主伝熱領域Aa2の凹条22a…及び凸条22b…は、プレート本体20の第一面Sa2側から見て第一伝熱プレート1の主伝熱領域Aa1の凹条12a…及び凸条12b…に対して逆勾配で傾斜している(図3及び図5参照)。
【0055】
第二伝熱プレート2は、金属プレートをプレス成形したものであり、第一面Sa2にある凸条22b…は、第二面Sb2で凹条22a…を構成し、第一面Sa2にある凹条22a…は、第二面Sb2で凸条22b…を構成している。従って、第二伝熱プレート2の主伝熱領域Aa2の凹条22a…及び凸条22b…は、プレート本体20の第二面Sb2側から見ても第二方向の他端から一端に向けて先下りに傾斜している(図6参照)。すなわち、第一伝熱プレート1及び第二伝熱プレート2は、互いのプレート本体10,20を一方向に重ね合わせたときに、互いに交差衝合する凸条12b…,22b…を有する。
【0056】
なお、第二伝熱プレート2…においても、主伝熱領域Aa2内の凹条22a…及び凸条22b…は、縦中心線CLを境にした第二方向の一端側の半分の領域と、第二方向の他端側の半分の領域とで鏡像関係となるように配置されることもあるが、本実施形態では、縦中心線CLを境にした第二方向の一端側の半分の領域にある凹条22a…及び凸条22b…と、第二方向の他端側の半分の領域にある凹条22a…及び凸条22b…とが直線的に連続して形成されている。
【0057】
第二伝熱プレート2…において、一対の端部領域Ab2,Ab2のそれぞれは、第一方向及び第二方向と直交する第三方向に貫通した第一開口23,24と、第一開口23,24に対して第二方向に間隔をあけて配置され、且つ第三方向に貫通した第二開口25,26とを有する。
【0058】
一対の端部領域Ab2,Ab2のうちの一方の端部領域Ab2において、第一開口23は、縦中心線CLを境にした第二方向におけるプレート本体20の他端側の領域内に配置され、第二開口25は、縦中心線CLを境にした第二方向におけるプレート本体20の一端側の領域内に配置されている。
【0059】
これに対し、一対の端部領域Ab2,Ab2のうちの他方の端部領域Ab2において、第一開口24は、縦中心線CLを境にした第二方向におけるプレート本体20の一端側の領域内に配置され、第二開口26は、縦中心線CLを境にした第二方向におけるプレート本体20の他端側の領域内に配置されている。
【0060】
第二伝熱プレート2における一対の端部領域Ab2,Ab2のそれぞれにおいて、第二開口25,26の周囲の領域は、第一面Sa2側から見て、同一領域内にある第一開口23,24の周囲の領域よりも奥側に窪み、第二伝熱プレート2の第一開口23,24の周囲の領域は、第一面Sa2側から見て、同一領域内にある第二開口25,26の周囲の領域よりも手前側に突出している。これに伴い、第二伝熱プレート2における一対の端部領域Ab2,Ab2のそれぞれにおいて、第二開口25,26の周囲の領域は、第二面Sb2側から見て、同一領域内にある第一開口23,24の周囲の領域よりも手前側に突出し、第二伝熱プレート2の第一開口23,24の周囲の領域は、第二面Sb2側から見て、同一領域内にある第二開口25,26の周囲の領域よりも奥側に窪んでいる。なお、図5及び図6においては、端部領域Ab2,Ab2内の凹凸関係を明示するために、手前側に突出している領域にドットを付している。
【0061】
第二伝熱プレート2における第一面Sa2側の第一開口23,24の周囲の領域(図5においてドットを付した領域)は、主伝熱領域Aa2の第一面Sa2上にある凸条22b…の頂部と同レベルに高さ設定され、第二面Sb2側の第二開口25,26の周囲の領域(図6においてドットを付した領域)は、主伝熱領域Aa2の第二面Sb2上にある凸条22b…の頂部と同レベルに高さ設定されている。
【0062】
このように、第一伝熱プレート1及び第二伝熱プレート2は、プレート本体10,20における凹条12a…,22a…及び凸条12b…,22b…の傾斜態様及び第一開口13,14,23,24及び第二開口15,16,25,26の周囲の凹凸関係を除き、共通した基本構成を有している。
【0063】
そして、第一伝熱プレート1及び第二伝熱プレート2は、図2に示す如く、第一伝熱プレート1におけるプレート本体10の第二面Sb1に第二伝熱プレート2におけるプレート本体20の第一面Sa2を対向させるとともに、第一伝熱プレート1におけるプレート本体10の第一面Sa1に第二伝熱プレート2におけるプレート本体20の第二面Sb2を対向させた状態で、一方向に交互に重ね合わされる。
【0064】
この状態において、第一伝熱プレート1の嵌合部11と第二伝熱プレート2との嵌合部21とが密接状態で嵌合される(図1参照)。
【0065】
また、第一伝熱プレート1のプレート本体10の第一面Sa1のうちの第二開口15,16の周囲(第一面Sa1側に突出した部位:図3においてドットを付した領域)と、第二伝熱プレート2のプレート本体20の第二面Sb2のうちの第二開口25,26の周囲(第二面Sb2側に突出した部位;図6においてドットを付した領域)とが密接し、第一伝熱プレート1のプレート本体10の第二面Sb1のうちの第一開口13,14の周囲(第二面Sb1側に突出した部位:図4においてドットを付した領域)と、第二伝熱プレート2のプレート本体20の第一面Sa2のうちの第一開口23,24の周囲(第一面Sa2側に突出した部位:図5においてドットを付した領域)とが密接する。
【0066】
また、第一伝熱プレート1のプレート本体10の主伝熱領域Aa1の第一面Sa1上にある凸条12b……と、第二伝熱プレート2のプレート本体20の主伝熱領域Aa2の第二面Sb2上にある凸条22b…とが交差衝合し、第一伝熱プレート1のプレート本体10の主伝熱領域Aa1の第二面Sb1上にある凸条12b…と、第二伝熱プレート2のプレート本体20の主伝熱領域Aa2の第一面Sa2上にある凸条22b…とが交差衝合する。
【0067】
これに伴い、第一伝熱プレート1及び第二伝熱プレート2は、ロウ付けにより、互いに密接する部位同士、及び互いに交差衝合する部位(交差点)同士が接合される。すなわち、隣り合う第一伝熱プレート1と第二伝熱プレート2との密接部位がロウ付けによりシールされる。
【0068】
これにより、本実施形態に係るプレート式熱交換器HEにおいて、図7及び図8に示す如く、隣り合う伝熱プレート1,2(第一伝熱プレート1及び第二伝熱プレート2)のそれぞれの一対の第一開口13,14,23,24を内部で開放させ且つプレート本体10,20の主伝熱領域Aa1,Aa2(第一伝熱プレート1及び第二伝熱プレート2の主伝熱領域Aa1,Aa2)によって画定された領域で第二方向の流路幅が最大になる第一流路P1と、隣り合う伝熱プレート1,2(第一伝熱プレート1及び第二伝熱プレート2)のそれぞれの一対の第二開口15,16,25,26を内部で開放させ且つプレート本体10,20の主伝熱領域Aa1,Aa2(第一伝熱プレート1及び第二伝熱プレート2の主伝熱領域Aa1,Aa2)によって画定された領域で第二方向の流路幅が最大になる第二流路P2とが、伝熱プレート1,2(第一伝熱プレート1及び第二伝熱プレート2)のプレート本体10,20を境にして一方向で交互に形成される。また、各伝熱プレート1…,2…(第一伝熱プレート1…及び第二伝熱プレート2…)の一方向に連なった第一開口13,14,23,24によって第一流路P1のみと連通する第一流入路Px1及び第一流出路Px2が形成されるとともに、各伝熱プレート1…,2…(第一伝熱プレート1…及び第二伝熱プレート2…)の一方向に連なった第二開口15,16,25,26によって第二流路P2のみと連通する第二流入路Py1及び第二流出路Py2が形成される。
【0069】
本実施形態においては、第一伝熱プレート1…及び第二伝熱プレート2…の一方の端部領域Ab1,Ab2にある第一開口13,23が一方向に連なることで第一流入路Px1が形成され、第一伝熱プレート1…及び第二伝熱プレート2…の他方の端部領域Ab1,Ab2にある第一開口14,24が一方向に連なることで第一流出路Px2が形成される。これに対し、第一伝熱プレート1…及び第二伝熱プレート2…の一方の端部領域Ab1,Ab2にある第二開口15,25が一方向に連なることで第二流出路Py2が形成され、第一伝熱プレート1…及び第二伝熱プレート2…の他方の端部領域Ab1,Ab2にある第二開口16,26が一方向に連なることで第二流入路Py1が形成される。
【0070】
そして、本実施形態においては、一方の第一開口13,23と他方の第一開口14,24とが、縦中心線CLを境とした異なる領域に配置されるため、第一流路P1は、図7に示す如く、プレート本体10,20の対角方向に第一流体Xを流通させる斜行流路とされる。また、一方の第二開口15,25と他方の第二開口16,26とが、縦中心線CLを境とした異なる領域に配置されるため、第二流路P2は、図8に示す如く、プレート本体10,20の対角方向に第一流体Xを流通させる斜行流路とされる。すなわち、第一流路P1及び第二流路P2は、第三方向から見て第一流体Xの流れと第二流体Yの流れとが交差するように構成されている。
【0071】
そして、本実施形態にプレート式熱交換器HEにおいて、上述の如く、第一流路P1、第二流路P2、第一流入路Px1、第一流出路Px2、第二流入路Py1、及び第二流出路Py2が形成されることを前提に、第一伝熱プレート1…には第一流路P1内での第一流体Xの流通を促進させる特徴的な構成が設けられ、第二伝熱プレート2…には第二流路P2内での第二流体Yの流通を促進させる特徴的な構成が設けられている。
【0072】
具体的に説明すると、第一伝熱プレート1は、図3に示す如く、少なくともプレート本体10の第一流入路Px1を構成する第一開口13の存在する端部領域Ab1のうちの第一流路P1を画定する領域に第一開口13の近傍から主伝熱領域Aa1との境界に向けて並列に配置され且つそれぞれが該並列方向と交差する方向に延びる複数の第一凸部17a…を含む第一凸部群17であって、第二方向に間隔をあけて配置された二以上の第一凸部群17…を備える。
【0073】
本実施形態に係る第一伝熱プレート1は、プレート本体10の第一流入路Px1を構成する第一開口13の存在する一方の端部領域Ab1のうちの第一流路P1を画定する領域であって、第一開口13と主伝熱領域Aa1との間の領域に二以上の第一凸部群17…を備えるとともに、プレート本体10の第一流出路Px2を構成する第一開口14の存在する他方の端部領域Ab1のうちの第一流路P1を画定する領域であって、第一開口14と主伝熱領域Aa1との間の領域に二以上の第一凸部群17…を備える。
【0074】
一方の端部領域Ab1内で第一凸部群17…を構成する複数の第一凸部17a…の頂部は、主伝熱領域Aa1の凸条12b…の頂部と同レベルに設定されている。第一凸部群17…を構成する第一凸部17a,17a同士の間は、主伝熱領域Aa1の凹条12aの底部と同レベルに設定されている。すなわち、第一凸部17a,17a同士の間は、主伝熱領域Aa1内の凹条12aと同様の態様に形成される。なお、図3において、第一凸部群17を構成する第一凸部17a,17a同士の間(最も低い部分)を凹条12aの底と同様に、二点鎖線で表現し、第一凸部17aの頂部を凸条12bと同様に実線で表現している。
【0075】
本実施形態において、一方の端部領域Ab1内にある第一凸部群17における複数の第一凸部17a…のそれぞれは、主伝熱領域Aa1のうちの第一流路P1を画定する領域にある凹条12a又は凸条12bの延びる方向と同方向に延びている。さらに、一方の端部領域Ab1内にある第一凸部群17における複数の第一凸部17a…のうちの少なくとも一部の第一凸部17aは、主伝熱領域Aa1のうちの第一流路P1を画定する領域にある凸条12b…の延長線上に配置されている。
【0076】
本実施形態において、一方の端部領域Ab1内にある第一凸部群17における複数の第一凸部17a…のそれぞれは、長手方向の両端部を並列方向に整列させて配置されている。これにより、第一凸部群17の幅(第一凸部17a…の並列方向と直交する方向の幅)が、一定又は略一定になっている。これに伴い、一方の端部領域Ab1内にある第一凸部群17,17間には、第一開口13近傍から該一方の端部領域Ab1と主伝熱領域Aa1との境界近傍に向けて延びる溝状部18…が、全長に亘って一定又は略一定の幅で形成される。
【0077】
本実施形態において、第一流路P1のうちの一方の端部領域Ab1によって画定される領域は、一方の第一開口13(第一流入路Px1)から該一方の端部領域Ab1と主伝熱領域Aa1との境界に向かうにつれて第二方向に拡大する。二以上の第一凸部群17…は、第一流路P1における第二方向に拡大する領域内に配置される。
【0078】
本実施形態において、一方の端部領域Ab1内にある二以上の第一凸部群17…は、主伝熱領域Aa1内の凹条12a及び凸条12bの延びる方向と同方向に間隔をあけて配置される。すなわち、第一凸部群17を構成する複数の第一凸部17a…は、縦中心線CLと交差する方向であって、第一開口13のあるプレート本体10における第二方向の他端から一端に向け先下りする方向に列をなしている。本実施形態において、一方の端部領域Ab1内で第一凸部群17を構成する複数の第一凸部17a…の列方向は、主伝熱領域Aa1内の凹条12a及び凸条12bの延びる方向に対し、縦中心線CLを基準にして対称にされている。これに伴い、一方の端部領域Ab1内で第一凸部群17を構成する第一凸部17aは、主伝熱領域Aa1内の凸条12bの延びる方向と同方向で長手になる。これに伴い、第一凸部17a,17a間は、主伝熱領域Aa1内の凹条12aの延びる方向と同方向で長手に延びた凹部(溝部)となっている。
【0079】
これに伴い、一方の端部領域Ab1内にある第一凸部群17…間に形成される溝状部18…についても、縦中心線CLと交差する方向であって、プレート本体10における第二方向の他端から一端に向け先下りする方向に延びている。すなわち、溝状部18は、主伝熱領域Aa1内の凹条12aに対して逆勾配をなして形成される。
【0080】
溝状部18…の底は、主伝熱領域Aa1内の凹条12a…の底部と同レベルに設定される。本実施形態において、溝状部18…内には、長手方向に間隔をあけて配置された複数の中段部19…であって、それぞれが第一凸部17aの頂部と溝状部18の底部との中間位置に頂部を有する複数の中段部19…が設けられている。本実施形態において、各中段部19は、隣り合う列(第一凸部群17…)の第一凸部17a…同士を繋いでいる。なお、図3において、一方の端部領域Ab1の中段部19の頂部は、第一凸部17aの頂部と同様に実線で表現されている。
【0081】
他方の端部領域Ab1内にある第一凸部群17…は、一方の端部領域Ab1内にある第一凸部群17…と共通した構成を有する。より具体的に説明すると、他方の端部領域Ab1内で第一凸部群17を構成する複数の第一凸部17a…の頂部は、主伝熱領域Aa1の凸条12b…の頂部と同レベルに設定されている。第一凸部群17を構成する第一凸部17a,17a同士の間は、主伝熱領域Aa1の凹条12a…の底部と同レベルに設定されている。すなわち、第一凸部群17を構成する第一凸部17a,17a同士の間は、主伝熱領域Aa1内の凹条12a…と同様の態様に形成される。
【0082】
本実施形態において、他方の端部領域Ab1内にある第一凸部群17における複数の第一凸部17a…のそれぞれは、主伝熱領域Aa1のうちの第一流路P1を画定する領域にある凹条12a…又は凸条12b…の延びる方向と同方向に延びている。さらに、他方の端部領域Ab1内にある第一凸部群17における複数の第一凸部17a…のうちの少なくとも一部の第一凸部17a…は、主伝熱領域Aa1のうちの第一流路P1を画定する領域にある凸条12b…の延長線上に配置されている。
【0083】
本実施形態において、他方の端部領域Ab1内にある第一凸部群17における複数の第一凸部17a…のそれぞれは、長手方向の両端部を並列方向に整列させて配置されている。これにより、第一凸部群17の幅(第一凸部17a…の並列方向と直交する方向の幅)が、一定又は略一定になっている。これに伴い、他方の端部領域Ab1内にある第一凸部群17,17間には、第一開口13近傍から該他方の端部領域Ab1と主伝熱領域Aa1との境界近傍に向けて延びる溝状部18…が、全長に亘って一定又は略一定の幅で形成される。
【0084】
本実施形態において、第一流路P1のうちの他方の端部領域Ab1によって画定される領域は、該他方の端部領域Ab1と主伝熱領域Aa1との境界から他方の第一開口14(第一流出路Px2)に向かうにつれて第二方向に縮小している。二以上の第一凸部群17…は、第一流路P1における第二方向に縮小する領域内に配置される。
【0085】
本実施形態において、他方の端部領域Ab1内にある二以上の第一凸部群17…は、主伝熱領域Aa1内の凹条12a及び凸条12bの延びる方向と同方向に間隔をあけて配置される。すなわち、第一凸部群17を構成する複数の第一凸部17a…は、縦中心線CLと交差する方向であって、第一開口13のあるプレート本体10における第二方向の他端から一端に向け先下りする方向に列をなしている。本実施形態において、他方の端部領域Ab1内で第一凸部群17を構成する複数の第一凸部17a…の列方向は、主伝熱領域Aa1内の凹条12a及び凸条12bの延びる方向に対し、縦中心線CLを基準にして対称にされている。これに伴い、他方の端部領域Ab1内で第一凸部群17を構成する第一凸部17aは、主伝熱領域Aa1内の凸条12bの延びる方向と同方向で長手になる。これに伴い、第一凸部17a,17a間は、主伝熱領域Aa1内の凹条12aの延びる方向と同方向で長手に延びた凹部(溝部)となっている。
【0086】
これに伴い、他方の端部領域Ab1内にある第一凸部群17…間に形成される溝状部18…についても、縦中心線CLと交差する方向であって、プレート本体10における第二方向の他端から一端に向け先下りする方向に延びている。すなわち、溝状部18は、主伝熱領域Aa1内の凹条12aに対して逆勾配をなして形成される。
【0087】
溝状部18…の底は、主伝熱領域Aa1内の凹条12a…の底部と同レベルに設定される。本実施形態において、溝状部18…内には、長手方向に間隔をあけて配置された複数の中段部19…であって、それぞれが第一凸部17aの頂部と溝状部18の底部との中間位置に頂部を有する複数の中段部19…が設けられている。本実施形態において、各中段部19は、隣り合う列(第一凸部群17…)の第一凸部17a…同士を繋いでいる。なお、図3において、他方の端部領域Ab1内の中段部19の頂部も第一凸部17aの頂部と同様に実線で表現されている。
【0088】
本実施形態において、第一伝熱プレート1は、金属プレートをプレス成形したものであるため、上述の如く、プレート本体10の第一面Sa1に複数の第一凸部17aを含む第一凸部群17が二以上形成されることにより、プレート本体10の一対の端部領域Ab1,Ab2のそれぞれの第二面Sb1においては、第一凸部17aと対応する凹部、第一凸部17a,17a間に対応する凸部、第一凸部群17,17間の溝状部18と対応する凸部が形成される。
【0089】
第二伝熱プレート2は、図5に示す如く、少なくともプレート本体20の第二流入路Py1を構成する第二開口26の存在する端部領域Ab2のうちの第二流路P2を画定する領域に第二開口26の近傍から主伝熱領域Aa2との境界に向けて並列に配置され且つそれぞれが該並列方向と交差する方向に延びる複数の第二凸部27a…を含む第二凸部群27であって、第二方向に間隔をあけて配置された二以上の第二凸部群27…を備える。
【0090】
本実施形態に係る第二伝熱プレート2は、プレート本体20の第二流入路Py1を構成する第二開口26の存在する他方の端部領域Ab2のうちの第二流路P2を画定する領域であって、第二開口26と主伝熱領域Aa2との間の領域に二以上の第二凸部群27…を備えるとともに、プレート本体20の第二流出路Py2を構成する第二開口25の存在する一方の端部領域Ab2のうちの第二流路P2を画定する領域であって、第二開口25と主伝熱領域Aa2との間の領域に二以上の第二凸部群27…を備える。
【0091】
他方の端部領域Ab2内で第二凸部群27…を構成する複数の第二凸部27a…の頂部は、主伝熱領域Aa2の凸条22b…の頂部と同レベルに設定されている。第二凸部群27…を構成する第二凸部27a,27a同士の間は、主伝熱領域Aa2の凹条22aの底部と同レベルに設定されている。すなわち、第二凸部27a,27a同士の間は、主伝熱領域Aa2内の凹条22aと同様の態様に形成される。なお、図5において、第二凸部群27を構成する第二凸部27a,27a同士の間(最も低い部分)を凹条22aの底と同様に、二点鎖線で表現し、第二凸部27aの頂部を凸条22bと同様に実線で表現している。
【0092】
本実施形態において、他方の端部領域Ab2内にある第二凸部群27における複数の第二凸部27a…のそれぞれは、主伝熱領域Aa2のうちの第二流路P2を画定する領域にある凹条22a又は凸条22bの延びる方向と同方向に延びている。さらに、他方の端部領域Ab2内にある第二凸部群27における複数の第二凸部27a…のうちの少なくとも一部の第二凸部27aは、主伝熱領域Aa2のうちの第二流路P2を画定する領域にある凸条22b…の延長線上に配置されている。
【0093】
本実施形態において、他方の端部領域Ab2内にある第二凸部群27における複数の第二凸部27a…のそれぞれは、長手方向の両端部を並列方向に整列させて配置されている。これにより、第二凸部群27の幅(第二凸部27a…の並列方向と直交する方向の幅)が、一定又は略一定になっている。これに伴い、他方の端部領域Ab2内にある第二凸部群27,27間には、第二開口26近傍から該他方の端部領域Ab2と主伝熱領域Aa2との境界近傍に向けて延びる溝状部28…が、全長に亘って一定又は略一定の幅で形成される。
【0094】
本実施形態において、第二流路P2のうちの他方の端部領域Ab2によって画定される領域は、一方の第二開口26(第二流入路Py1)から該他方の端部領域Ab2と主伝熱領域Aa2との境界に向かうにつれて第二方向に拡大する。二以上の第二凸部群27…は、第二流路P2における第二方向に拡大する領域内に配置される。
【0095】
本実施形態において、他方の端部領域Ab2内にある二以上の第二凸部群27…は、主伝熱領域Aa2内の凹条22a及び凸条22bの延びる方向と同方向に間隔をあけて配置される。すなわち、第二凸部群27を構成する複数の第二凸部27a…は、縦中心線CLと交差する方向であって、第二開口26のあるプレート本体20における第二方向の一端から他端に向け先下りする方向に列をなしている。本実施形態において、他方の端部領域Ab2内で第二凸部群27を構成する複数の第二凸部27a…の列方向は、主伝熱領域Aa2内の凹条22a及び凸条22bの延びる方向に対し、縦中心線CLを基準にして対称にされている。これに伴い、他方の端部領域Ab2内で第二凸部群27を構成する第二凸部27aは、主伝熱領域Aa2内の凸条22bの延びる方向と同方向で長手になる。これに伴い、第二凸部27a,27a間は、主伝熱領域Aa2内の凹条22aの延びる方向と同方向で長手に延びた凹部(溝部)となっている。
【0096】
これに伴い、他方の端部領域Ab2内にある第二凸部群27…間に形成される溝状部28…についても、縦中心線CLと交差する方向であって、プレート本体20における第二方向の一端から他端に向け先下りする方向に延びている。すなわち、溝状部28は、主伝熱領域Aa2内の凹条22aに対して逆勾配をなして形成される。
【0097】
溝状部28…の底は、主伝熱領域Aa2内の凹条22a…の底部と同レベルに設定される。本実施形態において、溝状部28…内には、長手方向に間隔をあけて配置された複数の中段部29…であって、それぞれが第二凸部27aの頂部と溝状部28の底部との中間位置に頂部を有する複数の中段部29…が設けられている。本実施形態において、各中段部29は、隣り合う列(第二凸部群27…)の第二凸部27a…同士を繋いでいる。なお、図5において、他方の端部領域Ab2の中段部29の頂部は、第二凸部27aの頂部と同様に実線で表現されている。
【0098】
一方の端部領域Ab2内にある第二凸部群27…は、他方の端部領域Ab2内にある第二凸部群27…と共通した構成を有する。より具体的に説明すると、一方の端部領域Ab2内で第二凸部群27を構成する複数の第二凸部27a…の頂部は、主伝熱領域Aa2の凸条22b…の頂部と同レベルに設定されている。第二凸部群27を構成する第二凸部27a,27a同士の間は、主伝熱領域Aa2の凹条22a…の底部と同レベルに設定されている。すなわち、第二凸部群27を構成する第二凸部27a,27a同士の間は、主伝熱領域Aa2内の凹条22a…と同様の態様に形成される。
【0099】
本実施形態において、一方の端部領域Ab2内にある第二凸部群27における複数の第二凸部27a…のそれぞれは、主伝熱領域Aa2のうちの第二流路P2を画定する領域にある凹条22a…又は凸条22b…の延びる方向と同方向に延びている。さらに、一方の端部領域Ab2内にある第二凸部群27における複数の第二凸部27a…のうちの少なくとも一部の第二凸部27a…は、主伝熱領域Aa2のうちの第二流路P2を画定する領域にある凸条22b…の延長線上に配置されている。
【0100】
本実施形態において、一方の端部領域Ab2内にある第二凸部群27における複数の第二凸部27a…のそれぞれは、長手方向の両端部を並列方向に整列させて配置されている。これにより、第二凸部群27の幅(第二凸部27a…の並列方向と直交する方向の幅)が、一定又は略一定になっている。これに伴い、一方の端部領域Ab2内にある第二凸部群27,27間には、他方の第二開口25近傍から一方の端部領域Ab2と主伝熱領域Aa2,Aa2との境界近傍に向けて延びる溝状部28…が、全長に亘って一定又は略一定の幅で形成される。
【0101】
本実施形態において、第二流路P2のうちの一方の端部領域Ab2によって画定される領域は、該一方の端部領域Ab2と主伝熱領域Aa2との境界から他方の第二開口25(第二流出路Py2)に向かうにつれて第二方向に縮小している。二以上の第二凸部群27…は、第二流路P2における第二方向に縮小する領域内に配置される。
【0102】
本実施形態において、一方の端部領域Ab2内にある二以上の第二凸部群27…は、主伝熱領域Aa2内の凹条22a及び凸条22bの延びる方向と同方向に間隔をあけて配置される。すなわち、第二凸部群27を構成する複数の第二凸部27a…は、縦中心線CLと交差する方向であって、第二開口26のあるプレート本体20における第二方向の他端から一端に向け先下りする方向に列をなしている。本実施形態において、一方の端部領域Ab2内で第二凸部群27を構成する複数の第二凸部27a…の列方向は、主伝熱領域Aa2内の凹条22a及び凸条22bの延びる方向に対し、縦中心線CLを基準にして対称にされている。これに伴い、一方の端部領域Ab2内で第二凸部群27を構成する第二凸部27aは、主伝熱領域Aa2内の凸条22bの延びる方向と同方向で長手になる。また、第二凸部27a,27a間は、主伝熱領域Aa2内の凹条22aの延びる方向と同方向で長手に延びた凹部(溝部)となる。
【0103】
これに伴い、一方の端部領域Ab2内にある第二凸部群27…間に形成される溝状部28…についても、縦中心線CLと交差する方向であって、第二開口26のあるプレート本体20における第二方向の他端から一端に向け先下りする方向に延びている。すなわち、溝状部28は、主伝熱領域Aa2内の凹条22aに対して逆勾配をなして形成される。
【0104】
溝状部28…の底は、主伝熱領域Aa2内の凹条22a…の底部と同レベルに設定される。本実施形態において、溝状部28…内には、長手方向に間隔をあけて配置された複数の中段部29…であって、それぞれが第二凸部27aの頂部と溝状部28の底部との中間位置に頂部を有する複数の中段部29…が設けられている。本実施形態において、各中段部29は、隣り合う列(第二凸部群27…)の第二凸部27a…同士を繋いでいる。なお、図5において、一方の端部領域Ab2内の中段部29の頂部も第二凸部27aの頂部と同様に実線で表現されている。
【0105】
本実施形態において、第二伝熱プレート2は、金属プレートをプレス成形したものであるため、上述の如く、プレート本体20の第一面Sa1に複数の第二凸部27aを含む第二凸部群27が二以上形成されることにより、プレート本体20の一対の端部領域Ab2,Ab2のそれぞれの第二面Sb1においては、第二凸部27aと対応する凹部が形成され、第二凸部27a,27a間に対応する凸部が形成される。
【0106】
そして、上記構成の第一伝熱プレート1と第二伝熱プレート2とが重ね合わされることで第一流路P1及び第二流路P2が形成される。
【0107】
このように、第一流路P1及び第二流路P2が形成されるにあたり、第一伝熱プレート1及び第二伝熱プレート2におけるプレート本体10,20の端部領域Ab1,Ab2において、図9(a)及び図9(b)に示す如く、第一伝熱プレート1の第一凸部群17を構成する第一凸部17aが、第二伝熱プレート2におけるプレート本体20の第二面Sb2(第二凸部群27を構成する第二凸部27a,27aの間の部位)と交差衝合し、第二伝熱プレート2の第二凸部群27を構成する第二凸部27aが、第一伝熱プレート1におけるプレート本体10の第二面Sb1(第一凸部群17を構成する第一凸部17a,17aの間の部位)と交差衝合する。
【0108】
これに伴い、第一伝熱プレート1の溝状部18は、第二伝熱プレート2の第二凸部27aと同方向に延び、第二伝熱プレート2の溝状部28は、第一伝熱プレート1の第一凸部17aと同方向に延びた状態となる。この状態において、本実施形態では、第一伝熱プレート1の溝状部18が、第二伝熱プレート2の第二凸部27aと一方向で重なる配置となり、第二伝熱プレート2の溝状部28が、第一伝熱プレート1の第一凸部17aと一方向で重なる配置となる。
【0109】
これにより、第一流路P1において、溝状部18と第二凸部27aの裏側の凹部とにより、第一流入路Px1から下流側(主伝熱領域Aa1,Aa2によって画定される領域)に向けて延びる管路状の流路が形成され、上流側(主伝熱領域Aa1,Aa2によって画定される領域)から第一流出路Px2に向けて延びる管路状の流路が形成される。
【0110】
また、第二流路P2において、溝状部28と第一凸部17aの裏側の凹部とにより、第二流入路Py1から下流側(主伝熱領域Aa1,Aa2によって画定される領域)に向けて延びる管路状の流路が形成され、上流側(主伝熱領域Aa1,Aa2によって画定される領域)から第二流出路Py2に向けて延びる管路状の流路が形成される。
【0111】
また、隣り合う第一伝熱プレート1及び第二伝熱プレート2のプレート本体10,20における主伝熱領域Aa1,Aa2においては、図10(a)及び図10(b)に示す如く、第一伝熱プレート1におけるプレート本体10の第一面Sa1の凸条12bと、第二伝熱プレート2におけるプレート本体20の第二面Sb2の凸条22bとが交差衝合し、第二伝熱プレート2におけるプレート本体20の第一面Sa2の凸条22bと、第一伝熱プレート1におけるプレート本体10の第二面Sb1の凸条12bとが交差衝合する。
【0112】
以上のように、本実施形態に係るプレート式熱交換器HEは、それぞれが一方向に重ね合わされるプレート本体10,20を有する複数の伝熱プレート1…,2…を備え、各伝熱プレート1…,2…のプレート本体10,20は、主伝熱領域Aa1,Aa2と、第一方向における主伝熱領域Aa1,Aa2の両側で該主伝熱領域Aa1,Aa2と連続する一対の端部領域Ab1,Ab1,Ab2,Ab2とを有し、主伝熱領域Aa1,Aa2は、当該主伝熱領域Aa1,Aa2の第一方向に延びる縦中心線CLに対して所定角度で傾斜した複数の凹条12a…,22a…及び凸条12b…,22b…を両面に有し、一対の端部領域Ab1,Ab1,Ab2,Ab2のそれぞれは、第一方向及び第二方向と直交する第三方向に貫通した第一開口13,14,23,24と、第一開口13,14,23,24に対して第二方向に間隔をあけて配置され、且つ第三方向に貫通した第二開口15,16,25,26とを有し、隣り合う伝熱プレート1,2間がシールされることで、隣り合う伝熱プレート1…,2…のそれぞれの一対の第一開口13,14,23,24を内部で開放させ且つプレート本体10,20の主伝熱領域Aa1,Aa2によって画定された領域で第二方向の流路幅が最大になる第一流路P1と、隣り合う伝熱プレート1,2のそれぞれの一対の第二開口15,16,25,26を内部で開放させ且つプレート本体10,20の主伝熱領域Aa1,Aa2によって画定された領域で第二方向の流路幅が最大になる第二流路P2とが、伝熱プレート1…,2…のプレート本体10,20を境にして一方向で交互に形成されるとともに、各伝熱プレート1…,2…の一方向に連なった第一開口13,14,23,24によって第一流路P1のみと連通する第一流入路Px1及び第一流出路Px2が形成されるとともに、各伝熱プレート1…,2…の一方向に連なった第二開口15,16,25,26によって第二流路P2のみと連通する第二流入路Py1及び第二流出路Py2が形成されたプレート式熱交換器HEにおいて、隣り合う伝熱プレート1,2のうちの一方の伝熱プレート(第一伝熱プレート)1は、プレート本体10の第一流入路Px1を構成する第一開口13の存在する一方の端部領域Ab1のうちの第一流路P1を画定する領域に第一開口13の近傍から主伝熱領域Aa1との境界に向けて並列に配置され且つそれぞれが該並列方向と交差する方向に延びる複数の第一凸部17a…を含む第一凸部群17…であって、第二方向に間隔をあけて配置された二以上の第一凸部群17…を備える。
【0113】
これにより、第一流路P1の第一流入路Px1近傍に二以上ある第一凸部群17…が配置される。該二以上ある第一凸部群17…の間には、第一流体Xの流通抵抗となる第一凸部17a…のない領域が形成される。すなわち、第一流入路Px1近傍から主伝熱領域Aa1,Aa2までの間に、二以上の第一凸部群17…によって形成される溝状部18が形成される。
【0114】
従って、第一流入路Px1(第一開口13,23)から第一流路P1に流入した第一流体Xは、第一凸部群17…の存在する領域及び第一凸部群17…のない領域(溝状部18)を通過する。このとき、第一凸部群17…の存在する領域を流通する第一流体Xは、第一開口13の近傍から主伝熱領域Aa1との境界に向けて並列に配置され且つそれぞれが該並列方向と交差する方向に延びる複数の第一凸部17a…(第一流体Xの流通方向と交差する方向に延びる第一凸部17a…)の存在により、乱流で流通するが、第一凸部群17…間を流通する第一流体Xは、第一凸部17a…による流通抵抗を受けることなく流通する。すなわち、第一凸部群17…の存在する領域を流通する第一流体Xは、第二流体Yとの熱交換効率を高めた上で流通し、第一凸部群17…間を流通する第一流体Xは、第一開口13(第一流入路Px1)近傍での大きな抵抗を受けることなく流通する。
【0115】
これにより、第一流体Xと第二流体Yとの伝熱効率が高効率となる上に、第一流体Xを供給するためのエネルギーの無駄な消費が抑えられる。
【0116】
本実施形態において、隣り合う伝熱プレート1,2のうちの一方の伝熱プレート(第一伝熱プレート)1は、プレート本体10の第一流出路Px2を構成する第一開口14の存在する他方の端部領域Ab1のうちの第一流路P1を画定する領域に第一開口14の近傍から主伝熱領域Aa1との境界に向けて並列に配置され且つそれぞれが該並列方向と交差する方向に延びる複数の第一凸部17a…を含む第一凸部群17…であって、第二方向に間隔をあけて配置された二以上の第一凸部群17…を備える。
【0117】
これにより、第一流路P1の第一流出路Px2近傍にも二以上ある第一凸部群17…が配置される。該二以上ある第一凸部群17…の間には、第一流体Xの流通抵抗となる第一凸部17a…のない領域が形成される。すなわち、端部領域Ab1と主伝熱領域Aa1との境界から第一流入路Px1近傍までの間に、二以上の第一凸部群17…によって形成される溝状部18が形成される。
【0118】
従って、第一流路P1の主伝熱領域Aa1によって画定された領域を通過した第一流体Xは、第一凸部群17…の存在する領域及び第一凸部群17…のない領域(溝状部18)を通過する。このとき、第一凸部群17…の存在する領域を流通する第一流体Xは、第一開口14の近傍から主伝熱領域Aa1との境界に向けて並列に配置され且つそれぞれが該並列方向と交差する方向に延びる複数の第一凸部17a…(第一流体Xの流通方向と交差する方向に延びる第一凸部17a…)の存在により、乱流で流通するが、第一凸部群17…間を流通する第一流体Xは、第一凸部17a…による流通抵抗を受けることなく流通する。すなわち、第一凸部群17…の存在する領域を流通する第一流体Xは、第二流体Yとの熱交換効率を高めた上で流通し、第一凸部群17…間を流通する第一流体Xは、第一開口14(第一流出路Px2)近傍での大きな抵抗を受けることなく流通する。
【0119】
これにより、第一流体Xと第二流体Yとの伝熱効率がさらに高効率となる上に、第一流体Xを供給するためのエネルギーの無駄な消費がさらに抑えられる。
【0120】
本実施形態において、第一凸部群17,17間(溝状部18内)に中段部19…が設けられているため、第一凸部群17,17間(溝状部18内)を通過する第一流体Xの流れが変化するため、これによっても熱交換性能が高められる。
【0121】
また、本実施形態において、第一凸部群17における複数の第一凸部17a…のそれぞれは、主伝熱領域Aa1のうちの第一流路P1を画定する領域にある凹条12a…又は凸条12b…の延びる方向と同方向に延びているため、第一流路P1内での第一流体Xの乱流状態が均一化され、第一流路P1全域での熱交換性能が均一化される。
【0122】
また、第一凸部群17における複数の第一凸部17a…のうちの少なくとも一部の第一凸部17a…は、主伝熱領域Aa1のうちの第一流路P1を画定する領域にある凸条12b…の延長線上に配置されているため、主伝熱領域Aa1の凸条12b…と第一凸部群17を構成する第一凸部17a…とが直線的に配置されるとともに、主伝熱領域Aa1の凹条12a…と第一凸部群17を構成する第一凸部17a,17a同士の間とが直線的に配置される。これにより、端部領域Ab1と主伝熱領域Aa1との境界付近で第一流体Xの流れに大きな変化が生じることがなく、第一流体Xの流通性能が良好となる。
【0123】
さらに、第一凸部群17における複数の第一凸部17a…のそれぞれは、長手方向の両端部を並列方向に整列させて配置されているため、第一凸部群17の幅(第一凸部17aの並列方向と直交する方向の幅)が、一定又は略一定になる。これに伴い、第一凸部群17,17間に形成される溝状部18が全長に亘って一定又は略一定の幅になる。従って、端部領域Ab1内での第一流体Xの流通性能が良好となる。
【0124】
また、本実施形態に係るプレート式熱交換器HEにおいては、隣り合う伝熱プレート1,2のうちの他方の伝熱プレート(第二伝熱プレート)2は、少なくともプレート本体20の第二流入路Py1を構成する第二開口26の存在する他方の端部領域Ab2のうちの第二流路P2を画定する領域に第二開口26の近傍から主伝熱領域Aa2との境界に向けて並列に配置され且つそれぞれが該並列方向と交差する方向に延びる複数の第二凸部27a…を含む第二凸部群27であって、第二方向に間隔をあけて配置された二以上の第二凸部群27をさらに備えている。
【0125】
これにより、第二流路P2の第二流入路Py1近傍に二以上ある第二凸部群27が配置される。該二以上ある第二凸部群27,27の間には、第二流体Yの流通抵抗となる第二凸部27a…のない領域が形成される。すなわち、第二流入路Py1近傍から主伝熱領域Aa1,Aa2までの間に、二以上の第二凸部群27によって形成される溝状部28が形成される。
【0126】
従って、第二流入路Py1(第二開口26)から第二流路P2に流入した第二流体Yは、第二凸部群27の存在する領域及び第二凸部群27のない領域(溝状部28)を通過する。このとき、第二凸部群27の存在する領域を流通する第二流体Yは、第二開口26の近傍から主伝熱領域Aa2との境界に向けて並列に配置され且つそれぞれが該並列方向と交差する方向に延びる複数の第二凸部27a…(第二流体Yの流通方向と交差する方向に延びる第二凸部27a…)の存在により、乱流状態で流通するが、第二凸部群27,27間を流通する第二流体Yは、第二凸部27a…による流通抵抗を受けることなく流通する。すなわち、第二凸部群27の存在する領域を流通する第二流体Yは、第一流体Xとの熱交換効率を高めた上で流通し、第二凸部群27,27(溝状部28)間を流通する第二流体Yは、第二開口26(第二流入路Py1)近傍での大きな抵抗を受けることなく流通する。
【0127】
従って、第一流体Xと第二流体Yとの伝熱効率がさらに高効率となる上に、第一流体Xを供給するためのエネルギーに加え、第二流体Yを供給するためのエネルギーの無駄な消費も抑えられる。
【0128】
さらに、本実施形態に係るプレート式熱交換器HEにおいては、隣り合う伝熱プレート1,2のうちの他方の伝熱プレート(第二伝熱プレート)2は、プレート本体20の第二流出路Py2を構成する第二開口25の存在する一方の端部領域Ab2のうちの第二流路P2を画定する領域に第二開口25の近傍から主伝熱領域Aa2との境界に向けて並列に配置され且つそれぞれが該並列方向と交差する方向に延びる複数の第二凸部27a…を含む第二凸部群27であって、第二方向に間隔をあけて配置された二以上の第二凸部群27をさらに備えている。
【0129】
これにより、第二流路P2の第二流出路Py2近傍に二以上ある第二凸部群27が配置される。該二以上ある第二凸部群27,27の間には、第二流体Yの流通抵抗となる第二凸部27a…のない領域が形成される。すなわち、主伝熱領域Aa1,Aa2から第二流入路Py1近傍までの間に、二以上の第二凸部群27によって形成される溝状部28が形成される。
【0130】
従って、第二流路P2の主伝熱領域Aa2によって画定された領域を通過した第二流体Yは、第二凸部群27の存在する領域及び第二凸部群27のない領域(溝状部28)を通過する。このとき、第二凸部群27の存在する領域を流通する第二流体Yは、第二開口25の近傍から主伝熱領域Aa2との境界に向けて並列に配置され且つそれぞれが該並列方向と交差する方向に延びる複数の第二凸部27a…(第二流体Yの流通方向と交差する方向に延びる第二凸部27a…)の存在により、乱流状態で流通するが、第二凸部群27,27間を流通する第二流体Yは、第二凸部27a…による流通抵抗を受けることなく流通する。すなわち、第二凸部群27の存在する領域を流通する第二流体Yは、第一流体Xとの熱交換効率を高めた上で流通し、第二凸部群27,27間(溝状部28)を流通する第二流体Yは、第二開口25(第二流出路Py2)近傍での大きな抵抗を受けることなく流通する。
【0131】
従って、第一流体Xと第二流体Yとの伝熱効率がさらに高効率となる上に、第一流体Xを供給するためのエネルギーに加え、第二流体Yを供給するためのエネルギーの無駄な消費がさらに抑えられる。
【0132】
本実施形態において、第二凸部群27,27間(溝状部28内)に中段部29が設けられているため、第二凸部群27,27(溝状部28)間を通過する第二流体Yの流れが変化するため、これによっても熱交換性能が高められる。
【0133】
また、第二凸部群27における複数の第二凸部27a…のそれぞれは、主伝熱領域Aa2のうちの第二流路P2を画定する領域にある凹条22a…又は凸条22b…の延びる方向と同方向に延びているため、第二流路P2内での第二流体Yの乱流状態が均一化され、第二流路P2全域での熱交換性能が均一化される。
【0134】
さらに、第二凸部群27における複数の第二凸部27a…のうちの少なくとも一部の第二凸部27a…は、主伝熱領域Aa2のうちの第二流路P2を画定する領域にある22b…の延長線上に配置されているため、主伝熱領域Aa2の凸条22b…と第二凸部群27を構成する第二凸部27a…とが直線的に配置されるとともに、主伝熱領域Aa2の凹条22a…と第二凸部群27を構成する第二凸部27a,27a同士の間(溝状部28)とが直線的に配置される。これにより、端部領域Ab2と主伝熱領域Aa2との境界付近で第二流体Yの流れに大きな変化が生じることがなく、第二流体Yの流通性能が良好となる。
【0135】
さらに、第二凸部群27における複数の第二凸部27a…のそれぞれは、長手方向の両端部を並列方向に整列させて配置されているため、第二凸部群27の幅(第二凸部27aの並列方向と直交する方向の幅)が、一定又は略一定になる。これに伴い、第二凸部群27間に形成される溝状部28が全長に亘って一定又は略一定の幅になる。従って、端部領域Ab2内での第二流体Yの流通性能が良好となる。
【0136】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、適宜変更を加え得ることは勿論である。
【0137】
例えば、上記実施形態において、隣り合う伝熱プレート1,2(第一伝熱プレート1及び第二伝熱プレート2)の間をロウ付けでシールすることで、第一流路P1や第二流路P2等が形成されたが、これに限定されない。例えば、隣り合う伝熱プレート1,2間に流路形態に応じたガスケットを介装することで伝熱プレート1,2間がシールされ、第一流路P1や第二流路P2等が形成されてもよい。この場合、隣り合う伝熱プレート1,2間をガスケットで塞ぐために、隣り合う伝熱プレート1,2同士を密接させる必要がない。従って、伝熱プレート1,2は、嵌合部11,21を備えることなく、プレート本体10,20のみで構成されてもよく、プレート本体10,20における第一開口13,14,23,24の周囲、及び第二開口15,16,25,26の周囲を凹凸させる必要もない。
【0138】
上記実施形態において、伝熱プレート1,2がプレート本体10,20の外周から延出した嵌合部11,21を備えることで、伝熱プレート1,2を重ね合わせるに際して方向性が定まったため、二種類の伝熱プレート1,2が重ね合わされたが、これに限定されない。例えば、一種類の伝熱プレート1…が複数重ね合わされてもよい。この場合、伝熱プレート1は、プレート本体10のみで構成され、一つおきにプレート本体10を180°反転、或いは、面に沿って180°回転させて重ね合わせるようにしてもよい。但し、主伝熱領域Aa1の凸条12b…は、上記の通り伝熱プレート1…を一つおきに180°反転、或いは、面に沿って180°回転させることで、隣り合う伝熱プレート1の凸条12b…と交差衝合するように配置されることは勿論である。
【0139】
上記実施形態において、隣り合う伝熱プレート1,2のうちの一方の伝熱プレート(第一伝熱プレート)1が、他方の端部領域Ab1内にも二以上の第一凸部群17…を備えたが、これに限定されない。例えば、隣り合う伝熱プレート1,2のうちの一方の伝熱プレート(第一伝熱プレート)1は、エネルギーの損失に大きな影響を与える第一流入路Px1(一方の第一開口13)のある一方の端部領域Ab1内のみに二以上の第一凸部群17…を備えてもよい。なお、エネルギーの損失の改善をさらに図るためには、上記実施形態と同様にすることが好ましいことは、言うまでもない。
【0140】
上記実施形態において、隣り合う伝熱プレート1,2のうちの他方の伝熱プレート(第二伝熱プレート)2が、一対の端部領域Ab1,Ab1のそれぞれに二以上の第二凸部群27を備えたが、これに限定されない。例えば、隣り合う伝熱プレート1,2のうちの他方の伝熱プレート(第二伝熱プレート)2は、一対の端部領域Ab2,Ab2のそれぞれに二以上の第一凸部群17…を備えていないものであってもよい。すなわち、第一流体X及び第二流体Yのうちの一方である第一流体Xが、エネルギーの損失に大きな影響を与える粘度等の特性を有するものである場合には、一方の伝熱プレート1における第一流路P1を画定する領域(少なくとも一方の端部領域Ab1の第一面Sa1)のみに第一凸部群17…が設けられ、他方の伝熱プレート2における第二流路P2を画定する領域であって、一対の端部領域Ab,2Ab2内にある領域には、凹凸を設けない、或いは、主伝熱領域Aa2と同様の凹条22a…及び凸条22b…を設けるようにしてもよい。
【0141】
上記実施形態において、隣り合う伝熱プレート1,2のうちの他方の伝熱プレート(第二伝熱プレート)2…が、一対の端部領域Ab2,Ab2のそれぞれに二以上の第二凸部群27を備えたが、これに限定されない。例えば、隣り合う伝熱プレート1…,2…のうちの他方の伝熱プレート(第二伝熱プレート)2に第二凸部群27を設ける場合、他方の伝熱プレート(第二伝熱プレート)2は、エネルギーの損失に大きな影響を与える第二流入路Py1(他方の第二開口26)のある他方の端部領域Ab2内のみに二以上の第二凸部群27…を備えてもよい。なお、エネルギーの損失の改善をさらに図るためには、上記実施形態と同様にすることが好ましいことは、言うまでもない。
【0142】
上記実施形態において、隣り合う伝熱プレート1,2のうちの一方の伝熱プレート(第一伝熱プレート)1が、プレート本体10の第一面Sa1のうちの第一流路P1を画定する領域に第一凸部群17…のみを備えたが、これに限定されない。例えば、隣り合う伝熱プレート1,2のうちの一方の伝熱プレート(第一伝熱プレート)1は、第一面Sa1に設けられる第一凸部群17…に加え、プレート本体10の第二面Sb1のうちの第二流路P2を画定する領域に第二凸部群27を備えてもよい。
【0143】
この場合、第一面Sa1の反対側の第二面Sb1に設けられる第二凸部群27の第二凸部27a…は、第一面Sa1上の第一凸部群17…を構成する複数の第一凸部17a…の配置及び形態を考慮して(第一凸部17a…を躱して)配置されればよい。また、隣り合う伝熱プレート1,2のうちの他方の伝熱プレート(第二伝熱プレート)2が、プレート本体20の第一面Sa2のうちの第二流路P2を画定する領域に第二凸部群27のみを備えたが、これに限定されない。例えば、隣り合う伝熱プレート1,2のうちの他方の伝熱プレート(第二伝熱プレート)2は、第一面Sa2に設けられる第二凸部群27に加え、プレート本体20の第二面Sb2のうちの第一流路P1を画定する領域に第一凸部群17…を備えてもよい。この場合、第一面Sa2の反対側の第二面Sb2に設けられる第一凸部群17の第一凸部17a…は、第一面Sa2上の第二凸部群27を構成する複数の第二凸部27a…の配置及び形態を考慮して(第二凸部27a…を躱して)配置される。
【0144】
上記実施形態において、第一流路P1が第一流入路Px1からプレート本体10の主伝熱領域Aa1に向かうにつれて第二方向に拡大するように形成されるに伴い、二以上の第一凸部群17…が縦中心線CLに対して交差する列をなしたが、これに限定されない。例えば、図11に示す如く、第一流路P1の第一流入路Px1からプレート本体10の主伝熱領域Aa1に至るまでの領域が第二方向で一定又は略一定の流路幅にされる場合には、二以上の第一凸部群17…が第二方向で等間隔に整列して配置されればよい。この点、他方の端部領域Ab1内に第一凸部群17…を設ける場合も同様である。さらに、隣り合う伝熱プレート1,2のうちの他方の伝熱プレート2に対して第二凸部群27を設ける場合も同様である。
【0145】
上記実施形態において、各伝熱プレート1…,2…のプレート本体10,20の主伝熱領域Aa1,Aa2に設けられる凹条12a…,22a…及び凸条12b…,22b…が、第二方向におけるプレート本体10,20の一端から他端まで連続して直線状に形成されたが、これに限定されない。例えば、凹条12a…,22a…及び凸条12b…,22b…が縦中心線CLに対して傾斜することを前提に、図11に示す如く、プレート本体10,20の縦中心線CLを境とした第二方向の一端側の領域における凹条12a…,22a…及び凸条12b…,22b…と、プレート本体10,20の縦中心線CLを境とした第二方向の他端側の領域における凹条12a…,22a…及び凸条12b…,22b…とが、縦中心線CLを対称軸として対称的に配置されてもよい。
【0146】
上記実施形態において、図7及び図8に示す如く、プレート本体10,20の第二方向の他端側に配置された一方の第一開口13,23によって第一流入路Px1を形成するとともに、プレート本体10,20の第二方向の一端側に配置された他方の第一開口14,24によって第一流出路Px2を形成することで、第一流路P1が斜行流路にされるとともに、プレート本体10,20の第二方向の他端側に配置された他方の第二開口16,26によって第二流入路Py1を形成するとともに、プレート本体10,20の第二方向の一端側に配置された一方の第二開口15,25によって第二流出路Py2を形成することで、第二流路P2が斜行流路にされたが、これに限定されない。例えば、図12(a)及び図12(b)に示す如く、プレート本体10,20の第二方向の他端側に配置された一方の第一開口によって第一流入路Px1を形成するとともに、プレート本体10,20の第二方向の他端側に配置された他方の第一開口によって第一流出路Px2を形成することで、第一流路P1を台形流路にするとともに、プレート本体10,20の第二方向の一端側に配置された他方の第二開口によって第二流入路Py1を形成するとともに、プレート本体10,20の第二方向の一端側に配置された一方の第二開口によって第二流出路Py2を形成することで、第二流路P2を台形流路にしたものであってもよい。
【0147】
上記実施形態において、第一凸部群17,17の間に中段部19…が設けられたが、これに限定されない。例えば、第一凸部群17,17の間(溝状部18)に中段部19…が設けられることなく、第一凸部群17,17間(溝状部18)が長手方向の全長に亘って同一又は略同一の深さに設定されてもよい。この点、第二凸部群27間においても同様である。
【符号の説明】
【0148】
1…第一伝熱プレート(伝熱プレート)、2…第二伝熱プレート(伝熱プレート)、10…プレート本体、11…嵌合部、12a…凹条、12b…凸条、13,14…第一開口、15,16…第二開口、17…第一凸部群、17a…第一凸部、18…溝状部、19…中段部、20…プレート本体、21…嵌合部、22a…凹条、22b…凸条、23,24…第一開口、25,26…第二開口、27…第二凸部群、27a…第二凸部、28…溝状部、29…中段部、Aa1…主伝熱領域、Aa2…主伝熱領域、Ab1…端部領域、Ab2…端部領域、CL…縦中心線、HE…プレート式熱交換器、P1…第一流路、P2…第二流路、Px1…第一流入路、Px2…第一流出路、Py1…第二流入路、Py2…第二流出路、Sa1…第一面、Sa2…第一面、Sb1…第二面、Sb2…第二面、X…第一流体、Y…第二流体
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