特許第6118860号(P6118860)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6118860埋め込み可能医療デバイスのためのバッテリ管理
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6118860
(24)【登録日】2017年3月31日
(45)【発行日】2017年4月19日
(54)【発明の名称】埋め込み可能医療デバイスのためのバッテリ管理
(51)【国際特許分類】
   A61N 1/08 20060101AFI20170410BHJP
   A61N 1/05 20060101ALI20170410BHJP
   A61F 9/007 20060101ALI20170410BHJP
   A61F 11/00 20060101ALI20170410BHJP
   A61N 1/36 20060101ALI20170410BHJP
【FI】
   A61N1/08
   A61N1/05
   A61F9/007 190A
   A61F11/00 315
   A61N1/36
【請求項の数】9
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2015-182532(P2015-182532)
(22)【出願日】2015年9月16日
(62)【分割の表示】特願2014-521623(P2014-521623)の分割
【原出願日】2012年6月8日
(65)【公開番号】特開2015-226845(P2015-226845A)
(43)【公開日】2015年12月17日
【審査請求日】2015年9月16日
(31)【優先権主張番号】61/509,701
(32)【優先日】2011年7月20日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】507213592
【氏名又は名称】ボストン サイエンティフィック ニューロモデュレイション コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103609
【弁理士】
【氏名又は名称】井野 砂里
(74)【代理人】
【識別番号】100095898
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 満
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(72)【発明者】
【氏名】パラモン ホルディ
(72)【発明者】
【氏名】マルンフェルト ゴラン エヌ
(72)【発明者】
【氏名】オザワ ロバート
(72)【発明者】
【氏名】フェルドマン エマニュエル
(72)【発明者】
【氏名】ピーターソン デイヴ
(72)【発明者】
【氏名】ヒ ユピン
【審査官】 寺澤 忠司
(56)【参考文献】
【文献】 特表2007−515983(JP,A)
【文献】 特開平06−031003(JP,A)
【文献】 特表2009−518144(JP,A)
【文献】 米国特許第06141583(US,A)
【文献】 特開平10−014139(JP,A)
【文献】 特開2008−006275(JP,A)
【文献】 特表2011−505967(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61N 1/00−1/44
A61F 9/007
A61F 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
埋め込み可能医療デバイスのための回路であって、
バッテリ端子ノードに電力を提供するための充電回路と、
前記バッテリ端子ノードと負荷電圧との間に並列に結合された第1及び第2の負荷スイッチを含む隔離回路と、
前記埋め込み可能医療デバイス内のアクティブ回路であって、前記負荷電圧が前記アクティブ回路のための電源電圧を含む、前記アクティブ回路と、
を含むことを特徴とする回路。
【請求項2】
前記第1の負荷スイッチは、第1の抵抗を有し、
前記第2の負荷スイッチは、該第1の抵抗よりも小さい第2の抵抗を有する、
ことを特徴とする請求項1に記載の回路。
【請求項3】
前記第1の負荷スイッチは、前記バッテリ端子ノードでの電圧が閾値未満に降下した場合に開かれ、
前記第2の負荷スイッチは、前記バッテリ端子ノードでの前記電圧が閾値未満に降下するか又は少なくとも1つの他の故障条件がアサートされるかのいずれかの場合に開かれる、
ことを特徴とする請求項1に記載の回路。
【請求項4】
前記第1の負荷スイッチは、第1の抵抗を有し、
前記第2の負荷スイッチは、該第1の抵抗よりも小さい第2の抵抗を有する、
ことを特徴とする請求項3に記載の回路。
【請求項5】
前記故障条件は、前記バッテリ端子ノードと前記負荷との間の過電流を含むことを特徴とする請求項3に記載の回路。
【請求項6】
前記故障条件は、前記バッテリ端子ノードと前記負荷との間の過電流と緊急停止条件とを含むことを特徴とする請求項3に記載の回路。
【請求項7】
前記緊急停止条件は、前記埋め込み可能医療デバイスの外部で発生された磁場を含むことを特徴とする請求項6に記載の回路。
【請求項8】
前記アクティブ回路は、前記埋め込み可能医療デバイスの複数の電極へ刺激を提供するように構成された刺激回路を含むことを特徴とする請求項1に記載の回路。
【請求項9】
前記アクティブ回路は、前記埋め込み可能医療デバイス内の他の回路のための電源電圧を生成するための1又はそれよりも多くの電圧調整器を含むことを特徴とする請求項1に記載の回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
〔関連出願への相互参照〕
この国際出願は、その全内容が引用により本明細書に組み込まれている2011年7月20日出願の米国特許仮出願番号第61/509,701号に対する優先権を主張するものである。
【0002】
本出願は、埋め込み可能医療デバイスの分野に関し、特に、バッテリを有する埋め込み可能医療デバイスのための管理回路に関する。
【背景技術】
【0003】
埋め込み可能神経刺激デバイスは、心不整脈を治療するペースメーカー、心細動を治療する除細動器、難聴を治療する蝸牛刺激器、視覚消失症を治療する網膜刺激器、協働四肢移動を生成する筋刺激器、慢性疼痛を治療する脊髄刺激器、移動及び精神的疾患を治療する大脳皮質及び脳深部刺激器、並びに尿失禁、睡眠時無呼吸、肩関節亜脱臼などを治療する他の神経刺激器のような様々な生物学的疾患の治療のために体神経及び組織に対して電気刺激を発生させて送出するデバイスである。以下に示す説明は、一般的に、米国特許第6,516,227号明細書に開示するような「脊髄刺激(SCS)」システムにおける本発明の使用に重点が置かれることになる。しかし、本発明は、あらゆる埋め込み可能神経刺激器において適用性を見出すことができる。
【0004】
図1A及び図1Bに示すように、SCSシステムは、典型的には、例えば、チタンのような導電材料で形成された生体適合性デバイスケース30を含む「埋め込み可能パルス発生器(IPG)」100を含む。ケース30は、典型的には、IPGが機能するのに必要な回路及びバッテリ26を保持するが、IPGはまた、外部RFエネルギによりかつバッテリなしに給電することができる。IPG100は、各々がいくつかの電極106を含むような1つ又はそれよりも多くの電極アレイを含む(2つのこのようなアレイ102及び104が示されている)。電極106は、各電極に結合した個々の電極リード112及び114も収容する可撓性本体108上に担持される。図示の実施形態において、E1−E16のラベル付きの16の電極がアレイ102上にあり、E17−E32のラベル付きの16の電極がアレイ104上にあるが、アレイ及び電極の数は、用途特定であり、従って、異なる場合がある。アレイ102、104は、例えば、エポキシを含むことができる非導電性ヘッダ材料36内に固定されたリードコネクタ38a及び38bを使用してIPG100に結合する。別の例では、IPG100は、8つの電極を各々が有する4つの電極アレイを支持する4つのリードコネクタを含むことができる。
【0005】
図2に示すように、IPG100は、典型的には、PCB16に装着されたマイクロプロセッサ、集積回路、及びコンデンサのような様々な電子構成要素20と共に、プリント基板(PCB)16を含む電子基板アセンブリを含む。使用されるバッテリの設計及びタイプに応じて、2つのコイル(より一般的にはアンテナ)、すなわち、外部コントローラ12との間でデータを送信/受信するのに使用するテレメトリコイル13と、外部充電器50を使用してIPGのバッテリ26を充電又は再充電するための充電コイル18とである2つのコイルをIPG100に存在させることができる。テレメトリコイル13は、図示のようにIPG100のヘッダ36内に装着され、フェライトコア13’に巻き付けることができる。しかし、テレメトリコイル13はまた、ケース30の内側に配置することができる。例えば、引用により本明細書に組み込まれている米国特許公開第2011/0112610号明細書を参照されたい。
【0006】
上述したように、手持ち式プログラマー又は臨床医のプログラマーのような外部コントローラ12は、無線でIPG100にデータを送信し、そこからデータを受信するのに使用される。例えば、外部コントローラ12は、プログラミングデータをIPG100に送信し、IPG100が患者に提供することになる治療を判断することができる。同様に、外部コントローラ12は、IPGのステータスに関して報告される様々なデータのようなIPG100からのデータの受信機として作用することができる。IPG100のような外部コントローラ12はまた、PCB70を収容し、その上に外部コントローラ12の作動を制御するための電子構成要素72が置かれる。コンピュータ、携帯電話、又は他の手持ち式電子デバイスのために使用するものに類似し、かつ例えば触れることができるボタン及びディスプレイを含むユーザインタフェース74は、患者又は臨床医が外部コントローラ12を作動させることを可能にする。外部コントローラ12との間のデータの通信は、コイル(アンテナ)17によって可能にされる。
【0007】
同じく典型的に手持ち式デバイスである外部充電器50は、IPG100に電力を無線で伝達するのに使用され、この電力は、IPGのバッテリ26を再充電するのに使用することができる。外部充電器50からの電力の伝達は、充電磁場を発生させるコイル(アンテナ)17’によって可能にされる。外部充電器50は、外部コントローラ12に類似する構成を有するとして描かれているが、実際には、それらは、当業者が認めるようにそれらの機能性に従って異なることになる。
【0008】
IPG100はまた、充電コイル18のインピーダンスを変調することにより、充電中に外部充電器50にデータを伝送して戻すことができる。このインピーダンスの変化は、外部充電器50内のコイル17’に反射して戻され、それは、反射を復調して、送信されたデータを回復する。IPG100から外部充電器50にデータを送信するこの手段は、「ロード・シフト・キーイング(LSK)」として公知であり、充電が完了して外部充電器を停止することができるか否かのようなIPG100内のバッテリ26の充電中に関連するデータを伝送するのに有用である。IPG100から外部充電器へのLSK通信は、2009年1月15日出願の米国特許出願番号第12/354,406号明細書、及び2009年11月11日出願の米国特許出願番号第12/616,178号明細書に更に説明されている。
【0009】
外部デバイス12及び50とIPG100の間の無線データテレメトリ及び電力伝達は、誘導結合及び特に誘導結合を通じて起こる。このような機能性を実施するために、IPG100と外部デバイス12及び50との両方は、対として一緒に作用するコイルを有する。外部コントローラ12の場合には、コイルの関連の対は、コントローラからのコイル17及びIPG100からのコイル13を含む。外部充電器50の場合には、コイルの関連の対は、充電器からのコイル17’及びIPG100からのコイル18を含む。公知のように、データ又は電力の誘導伝送は、経皮的に、すなわち、患者の組織25を通して行うことができ、特に医療埋め込み可能デバイスシステムにおいてそれを有用にする。データ又は電力の伝送中に、コイル17及び13又は17’及び18は、好ましくは、共線軸線に沿って平行である平面にあり、コイルは、互いにできるだけ近い。コイル17及び13の間のこのような向きは、一般的に、それらの間の結合を改善することになるが、理想的な向きからの逸脱でも、適切に信頼できるデータ又は電力伝達を依然としてもたらすことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】米国特許第6,516,227号明細書
【特許文献2】米国特許公開第2011/0112610号明細書
【特許文献3】米国特許出願番号第12/354,406号明細書
【特許文献4】米国特許出願番号第12/616,178号明細書
【特許文献5】米国特許出願番号第61/392,594号明細書
【特許文献6】米国特許出願番号第12/575,733号明細書
【特許文献7】米国特許出願番号第12/624,162号明細書
【特許文献8】米国特許出願番号第61/332,555号明細書
【特許文献9】米国特許出願番号第61/414,616号明細書
【特許文献10】米国特許仮出願番号第61/318,198号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の開示は、埋め込み可能医療デバイスのための改良されたバッテリ管理回路及び関連のバッテリ管理方式に関する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1A】埋め込み可能パルス発生器(IPG)及び従来技術により電極アレイがIPGに結合される方式を示す図である。
図1B】埋め込み可能パルス発生器(IPG)及び従来技術により電極アレイがIPGに結合される方式を示す図である。
図2】従来技術によるIPG、外部コントローラ、及び外部充電器を示す図である。
図3】IPGのための改良されたバッテリ管理回路を示す図である。
図4A】改良されたバッテリ管理回路における回路の一部を示す詳細図である。
図4B】改良されたバッテリ管理回路における回路の一部を示す詳細図である。
図5A】集積回路に実施され、かつIPGの他の構成要素に結合された時の改良されたバッテリ管理回路の1つの実施を示す図である。
図5B】集積回路に実施され、かつIPGの他の構成要素に結合された時の改良されたバッテリ管理回路の1つの実施を示す図である。
図6】改良されたバッテリ管理回路に使用される電流/電圧供給源を表す略回路図を示す図である。
図7図6の電源を制御し、かつバッテリの過充電を防ぐために他の態様を制御するためのIPG内のファームウエアの作動を示す図である。
図8】改良されたバッテリ管理回路の配置を含む集積回路のレイアウトを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図3は、「背景技術」で説明したIPG100のような埋め込み可能医療デバイスのための改良されたバッテリ管理回路200を示している。バッテリ管理回路200は、バッテリ26を充電するために制御された電流を発生させるための充電回路150と、IPG100の通常作動中にバッテリ26が給電する負荷160からバッテリ26を制御可能に接続又は切断することができる負荷隔離回路155とを含む。図示のように、バッテリ管理回路200は、充電回路150が、フロントエンド回路149(以下に説明する)とバッテリ26の正端子(Vbat)との間に介在し、かつ隔離回路155が、バッテリ26の正端子と負荷160の間に介在するように、充電回路150、負荷隔離回路、及びバッテリの間でT字形トポロジーを有する。後で詳しく説明するように、充電回路150及び隔離回路155をモニタかつ制御するのに、様々な回路134、142、144、146、及び156が使用される。
【0014】
外部充電器50のコンデンサ110は、そのコイル17’に結合してAC充電磁場を生成するためのL−C共振又は「タンク」回路を提供する。充電磁場は、IPG100のコイル18に電流を誘起し、コイル18は、同様にタンク回路を形成するためにコンデンサ114に結合する。IPGのタンク回路18/114によって生成されたAC電圧は、標準的な全波整流器回路116によって第1のDC電圧V1に変換され、V1は、コンデンサ118を通じて濾過される。ツェナーダイオード120は、恐らく5.5ボルトかそこらの安全なレベルにV1をクランプしておき、そのレベルは、使用される半導体処理及び設計規則に対する最大定格の十分下になるように選択される。
【0015】
V1は、ダイオード122を通過して第2のDC電圧Vdcを生成する。ダイオード122は、何らかの理由、例えば、フロントエンド回路149における短絡回路のためにV1が過度に低くなった場合に、バッテリ26から望ましくないドレインを防ぐことを意図される。このような状況におけるダイオード122は、Vbatが(特に)以下に説明する通常の充電経路を通じてドレインすることを防ぐと考えられる。
【0016】
多くの方法で実施可能であるが、一実施形態において、フロントエンド回路149及びバッテリ26は、個別のオフチップ構成要素を含むのが好ましく、バッテリ管理回路200は、図5Aに示されている集積回路(IC)300上に含まれる。IC300は、埋め込み可能医療デバイス内の他の機能を実行する他の回路ブロックを含むことができる。これらの回路ブロックの殆ど全てが、最終的には負荷隔離回路155を通じてバッテリ26によって給電され、従って、上述の一般的な負荷160の一部を含む。更に、IC300は、図5Bに示すようにマイクロコントローラ305のようなIPG100内の他の構成要素にそれ自体を結合することができ、マイクロコントローラ305及び他の構成要素は、バッテリ26によって給電され、従って、負荷160の一部を含む。IC300の様々な回路ブロック及び外部構成要素は、これらが通信することができるようにバス297によって結合することができる。バス297は、プロトコルに従ってバス297上で作動する様々なバス信号(アドレス/データ、書込/読取、アドルラッチ有効化など)を含む。IC300、その様々な回路ブロック、マイクロコントローラ305、バス297、バス通信プロトコル、及び図5A及び図5Bからの他の詳細は、その全内容が引用により本明細書に組み込まれている2010年10月13日出願の米国特許出願番号第61/392,594号明細書に説明されており、これらの図に関する更なる詳細は、本明細書では長々と説明しない。マイクロコントローラ305は、バッテリ管理回路200を含む同じIC300上に統合することができる。実際の実施では、負荷160は、IPG100における様々なブロック及び構成要素のための電源電圧を生成するための1つ又はそれよりも多くも電圧調整器を含む。
【0017】
Vdcにおいて、回路200は、通常充電経路とトリクル充電経路に分割される。トリクル充電経路は、パッシブ又は受動的であり、すなわち、ゲートされておらず充電磁場によって提供される以外の電力を必要としない。トリクル経路は、ノードVdcからバッテリ26まで電流制限抵抗器124及び1つ又はそれよりも多くのダイオード126を通じて進む。トリクル充電経路は、バッテリの電圧Vbatが通常の回路作動に必要な最小電圧よりも低い時に(例えば、2.5ボルト未満)、小充電電流Itrickleをバッテリ26に提供するのに使用される。特に、トリクル充電電流を発生させるために、Vdcは、ダイオード126両端の電圧降下とバッテリ26の電圧Vbatとの和よりも高くすべきである。典型的な条件の下で3つのダイオード126及び200オームの抵抗器124が使用されることを仮定して、抵抗器124及びダイオード126両端の降下は、約2.0ボルトになる(その大きさは、抵抗又はダイオードの数を変えることによって調節することができる)。従って、Vdcが約2.0V+Vbatよりも大きい場合に、トリクル充電電流はバッテリにパッシブ又は受動的に流れる。この条件が満たされずに、Vdcが十分に小さいこと又はVbatが十分に高いことを示す場合に、ダイオード126は、逆バイアスされ、バッテリ26がトリクル充電経路を通じて逆にドレインすることを防ぐ。
【0018】
それがパッシブであるので、トリクル充電経路は、バッテリ26が通常充電経路を通じて充電される場合でも、トリクル充電電流を生成することができる(以下に更に説明する)。しかし、Itrickle(通常は数ミリアンペアの程度)は、典型的にInormal(通常は数十ミリアンペアの程度)に比べて非常に小さいと考えられるので、そのような付加的な充電電流は、比較的に有意ではないと考えられる。
【0019】
通常充電経路は、Vdcからバッテリ26まで電流/電圧供給源130(図6に関して後で詳しく説明する)、充電電流感知抵抗器132、及び過電圧保護スイッチ136を通じて進む。充電電流感知抵抗器132は、相対的に小さく(例えば、1オーム)、この抵抗器両端の電圧降下は、充電電流検出回路134によってモニタされる。充電電流検出回路134は、充電電流Inormalを示すアナログ電圧出力CIを生成するための差動増幅器を含むことができる。このアナログ出力CIは、アナログ−デジタル(A/D)コンバータ310を使用してデジタル化することができ(図5Aを参照されたい)、いずれかの有用な目的のためにIPGにおけるコントローラ回路によって使用することができる。例えば、CIは、IPG100にログすることができ、充電性能の履歴記録を提供することができる。CIはまた、外部コントローラによって生成された充電磁場を調節する(又は終了させる)場合に使用するために、又はIPGに磁場を位置合せする場合に外部充電器50を助けるために外部充電器50に対してテレメトリすることができる。2009年10月8日出願の米国特許出願番号第12/575,733号明細書、2009年11月23日出願の第12/624,162号明細書、2010年5月7日出願の第61/332,555号明細書、及び2010年11月17日出願の第61/414,616号明細書などを参照されたい。あるいは、CIは、例えば、CIが閾値を超える場合に供給源130を無効にすることにより、充電を直接に制御するために使用することができる。しかし、充電回路150は、他の保護手段及びCI以外のデータに頼ることができ、抵抗器132及び充電電流検出器134は、従って、回路において単に任意的である。
【0020】
充電電流感知抵抗器132を通過した後、通常充電電流Inormalは、過電圧制御信号OVによって制御されるPMOS過電圧保護トランジスタ(スイッチ)136に進む。過電圧制御信号OVは、Vbatを最大許容電圧Vmax1と比較する過電圧検出器142によって生成されるデジタル信号を含む。Vmax1は、多くの異なる方法で設計者によってプログラムすることができるが、一実施形態において、IC300における一番上の金属層に形成された抵抗器を使用して配線接続される。Vmax1はまた、バッテリ26を充電するのに使用されるいずれの基準値からも独立した電圧基準値から導出される。Vmax1を設定するためのこのパッシブ又は受動的かつ独立した手段は、アクティブ較正信号よりも好ましく、その理由は、アクティブ較正信号は、機能しない可能性があり、Vmax1に対する不適切な(及び恐らく安全でない)値をもたらすからである。Vmax1が独立して設定されるので、バッテリ充電に潜在的に影響を与える障害は、Vmax1が提供する安全な機構に同様の影響を与えることはない。一実施形態において、Vmax1は、使用される特定のバッテリの化学的性質によって定義することができる約4.5ボルトとすることができる。
【0021】
Vbat>Vmax1である場合に、OV故障条件は、高にアサートされ、これはスイッチ136を切る。このような過電圧条件は、バッテリ26が十分に充電されていること、及び通常充電経路を通る更に別の充電が必要ないことを示唆する。スイッチ136を開くことは、過充電から生じる障害からバッテリ26を保護するために望ましい。スイッチ136を開くことに加えて、OVも、バッテリ26を意図的にドレインするように作用し、更に後で詳しく説明する放電回路144を作動するのに使用される。Vbat<Vmax1の場合に、OVは低であり、スイッチ136が閉じられ、通常充電経路を通るバッテリ26の充電の継続が可能になる。
【0022】
通常及びトリクル充電経路の間に接続されるのがダイオード128である。好ましい実施では、ダイオード128の数は、トリクル充電経路に現れるダイオード126の数に等しい。ダイオード128は、特にVbatが既に低い時に(例えば、1.0V未満)、バッテリ26から漏れがないようにすることを助ける。Vbatが低い時に、Pチャンネルトランジスタ136のゲートにそれをオフにするための適切な高電圧を提供することが困難である可能性があり、従って、このトランジスタは、中間状態にある場合がある。ダイオード126及び128をその正端子で接続し、その負端子を過電圧スイッチの両側に接続し、かつダイオードの同じ数を保証することにより、この構成は、供給源上の電位及びスイッチ136のドレインが同じであることを保証する。これは、このスイッチからの電流の流れ、及び従って低電圧でのバッテリでの不注意なドレインを阻止する。
【0023】
上述したように、隔離回路155は、バッテリ26の正端子(Vbat)とバッテリ26によって給電される負荷160との間に介在する。上述したように、負荷160は、IC300内の調整器及び他の回路ブロック、マイクロコントローラ305、又は他の構成要素のようなIPG100内のあらゆるアクティブ回路を含むことができる。Vloadは、実際にはこのような構成要素によって使用される電源電圧を含む。
【0024】
図示の例では、隔離回路155は、並列に接続した2つのPチャンネルトランジスタ(スイッチ)152及び154を含む。2つのトランジスタ152及び154は、その両端の抵抗、すなわち、バッテリ26から負荷160への抵抗を変えるために様々な大きさにすることが好ましい。スイッチ152及び154のいずれか又は両方は、以下に更に説明するようにその制御下にあるバッテリ26が現在充電されているか否かに関わらず、バッテリ26から負荷に電力を提供するために閉じることができる。バッテリ充電が行われていない時に、以下に説明する制御下にあるスイッチ152及び154は、一般的にIPG100の通常作動中に両方が閉じられると考えられる。
【0025】
スイッチ152及び154に跨がるのは過電流検出器156である。過電流検出器156は、バッテリ26と負荷160の間に流れる負荷電流Iloadを評価し、Iloadが閾値Imaxよりも上である時にデジタル過電流制御故障状態信号OIをアサートする。過電圧検出器142によって使用されるVmax1と同様に、Imaxは、多くの異なる方法でプログラムすることができるが、好ましい実施形態では、上述したような金属抵抗器を使用して設定される。当業者は、過電流検出器156がスイッチ152及び154の両側における電圧の差を感知することにより、及び次にスイッチの抵抗の既知の値によってその差を割算することによってIloadが推測されることを理解するであろう。(この抵抗は、スイッチ152、154、又はこの両方が閉じられているか否かに応じて変わることになるが、これはシステムによって既知であり、かつ補償される。)一実施形態におけるImaxは、400mAを含むことができる。
【0026】
隔離回路155におけるスイッチ152は、相対的に高い抵抗であり(例えば、約100オーム)、デジタル不足電圧制御故障状態信号UVによってゲートされる。不足電圧制御信号UVは、図4Aに更に詳しく示す不足電圧検出器146によって生成される。不足電圧検出器146は、UVを出力するのにパッシブ又は受動的に作用し(すなわち、いずれの制御信号も必要としない)、これは、この回路が低バッテリ電圧レベルで確実に機能すべきであるので好ましいことに注意されたい。Vbatが、約1.8ボルトとすることができる閾値Vmin未満である時に、不足電圧検出器146は、不足電圧制御信号UVを高にアサートする。通常は、Vbatが適切に高い時に、ダイオード170及び10Mオーム抵抗器172によって形成される電圧分割器は、Nチャンネルトランジスタ176のゲートでそれをオンにするために適切に高い電圧を形成する。これは、バッファ178を通じてUVを接地(低)にプルする。スイッチ152がPチャンネルトランジスタを含むので、UVに対するこの低値は、バッテリ26を負荷160に結合するスイッチ152を閉じる。対照的に、Vbatが低である時に(例えば、1.8V未満)、Nチャンネルトランジスタ176の入力の電圧は、そのトランジスタをオンにするほど十分には高くない。従って、UVは、20Mオーム抵抗器174を通じてVbatの適切なレベルまで浮遊し、従って、高である。UVを高にアサートすることで、負荷160からバッテリ26を切り離すスイッチ152を開く。要約すると、不足電圧検出器146は、Vbat>Vminである時にスイッチ152を閉じるが、Vbat<Vminの時にスイッチ152を開き、負荷160が既に低いバッテリ26を更にドレインしないようにする。これは、バッテリが急速に消耗しないようにするためにIPG100がストレージ(又は特定のストレージモード)に置かれている場合に特に有用である。
【0027】
図3を参照すると、隔離回路155におけるスイッチ154は、相対的に低い抵抗であり(例えば、0.5オーム)、リセット信号RSTによってゲートされる。RSTは、不足電圧制御信号UV、過電流制御信号OI、及びデジタル制御故障状態信号μをリードスイッチ151から受け取るORゲート153によって形成される。リードスイッチ151は、埋め込み可能医療デバイスの技術では公知であり、患者又は臨床医がIPG100の近くに緊急停止磁石を外部から位置決めした時に、緊急にIPG100を停止するのに使用される。リードスイッチ151の作動に関する更なる詳細は、例えば、2010年3月26日出願の米国特許仮出願番号第61/318,198号明細書に見出すことができる。ORゲート153により、故障状態μ、UV、又はOIのいずれかのアサートは、RSTを高にし、Pチャンネルスイッチ154をオフにすることになる。
【0028】
スイッチ152及び154は、体験される特定の条件に応じて負荷160からバッテリ26を選択的に切り離すために互いに機能する。不足電圧条件の場合(Vbat<VminかつUVがアサートされた時)、スイッチ152及び154の両方は開かれ、負荷160からバッテリ26を隔離し、負荷160が既に低のバッテリ26を更にドレインしないようにする。
【0029】
対照的に、過電流条件が存在する(oIがアサートされた)場合、又はリードスイッチ151が作動されている(μがアサートされた)が、不足電圧条件がない(UVがアサートされていない)場合に、バッテリ26を負荷160から切り離さなければならないことを示唆する妥当な懸念が存在する。例えば、OIがアサートされた場合に、負荷160は、多すぎる電流をドレインしており、バッテリ26を急速にドレインする場合があり、危険なレベルまでIPG100を過熱させる場合がある。μがアサートされた場合に、患者は、何らかの種類の未知の問題を受けており、これは、ここでもまた、IPG100の電源を実質的に切るためにバッテリを切り離さなくてはならいことを示す場合がある。
【0030】
OI又はμのアサートによって生じた懸念にも関わらず、マイクロコントローラ305(図5B)のようなIPG100におけるデジタル回路が適切な方式で機能し、かつ条件に対処することができるように、バッテリ26と負荷160の間のある程度の結合を維持することが依然として望ましい。例えば、OIがアサートされた場合に、IPG100における診断回路は、電力を評価し、かつ恐らくは過度負荷電流Iloadの原因を取り除くことを要求することになる。μがアサートされた場合に、IPGを上記に引用した61/318,198号出願の着目点である整然とした方式で停止することができるように、少なくとも短時間にわたってIPG100を給電し続けることが依然として必要である場合がある。いずれにせよ、IPG100におけるマイクロコントローラ305がそうでなければラッチされているリセットRSTを解除することを可能にするために、幾らかの電力を必要とする場合がある。
【0031】
低抵抗スイッチ154は、これらの条件の発生時に開かれるが、高抵抗スイッチ152は、依然として閉じている(ここでもまた不足電圧条件UVが存在しないことを仮定して)。これは、バッテリ26と負荷160の間の比較的高い抵抗結合を提供する。これはIloadを制限するが、基本的な機能、特に処理に関する機能、及び恐らくリセット条件RSTの解除を実行することをIPG100のデジタル回路に気付かせるために十分な電力を依然として提供する。
【0032】
上述したように、放電回路144は、過電圧条件中にバッテリ26を制御可能に放電するように作用する。放電回路144は、図4Bに詳しく示されており、トランジスタから形成された接地への制御可能な抵抗を含む。Pチャンネルトランジスタ180は、不足電圧信号UVによってゲートされ、Nチャンネルトランジスタ182は、過電圧信号OVによってゲートされる。トランジスタ184は、そのドレインに接続したそのゲートによってMOSダイオードとして配線される。OVがアサートされた時(すなわち、Vbat>Vmax1の時)、トランジスタ182及び184は導電する。不足電圧条件がないので、UVはアサートされず、これはまた、Pチャンネルトランジスタ180を導電させ、従って、バッテリから電荷を流すためにVbatと接地の間に抵抗を生成する。この方式でアクティブである時の放電回路144は、トリクル充電経路よりも多くの電流を引き出すことになり、パッシブトリクル充電経路をオフにできないのでこれは重要である。放電回路144がトリクル充電経路に比べて相対的に高い電流を引き出さなかった場合に、Vbatは、放電する努力にも関わらず増加し続けることになる。Vbatを接地に結合するためにアクティブである時に、トランジスタ180、182、及び184を通じた抵抗は約200オームである。ダイオード接続トランジスタ184は、OVトランジスタ182のドレインにおいて比較的公知である電圧を生じる。OV信号は調節され、従って、182のVgsは、184にわたる降下によって判断され、それによってある程度まで放電電流を調節するフィードバック機構を作成する。放電回路144は、不足電圧条件中に(すなわち、Vbat<Vminの時に)アクティブである必要はないが、それは、不足電圧信号UVを依然として受信して、放電回路がオフであり、かつ不足電圧条件中はバッテリ26を不注意にドレインしないことを保証し、不足電圧条件中に、UVは、高にアサートされ、これは、次に、接地からVbatが確実に分離されるようにトランジスタ180をオフにすることになる。
【0033】
図6は、通常充電経路における電流/電圧供給源回路130を更に詳しく示している。その名前が示す通り、供給源130は、下記に説明するように定電流又は定電圧のいずれかを充電中にバッテリ26に提供することができる。Vdc(図3を参照)は、供給源130のための電源を含み、Pチャンネルトランジスタ190及び191から構成される電流ミラーを給送する。基準トランジスタ190には、供給源コントローラ131によって提供される3つの制御信号Itrim[2:0]によって設定されるプログラマブル電流Itrimが提供される。供給源コントローラ131は、バッテリ管理回路ブロック200内に存在し、上記に示すバス信号297を受信する。従って、マイクロコントローラ305は、供給源コントローラ131を制御して適切な制御信号を供給源130に提供することができる。トランジスタ191は、M並列配線トランジスタのネットワークを含むのが好ましく、従って、Itrimを通常充電経路におけるM*Itrimの大きさに増幅するように作動する。1つの例では、Mは500に等しくなる。
【0034】
Vbatは、増幅器194を使用して充電中に評価され、これは、Vbatが4.0V又はその程度とすることができる閾値Vtを超えた時に供給源130の作動をバッテリ26の定電流充電から定電圧充電に変換するのに使用される。基準電圧Vrefは、増幅器194の非反転入力に提供され、一方、Vbatの電圧分割バージョン(Vtrim)は、反転入力に提供される。Vtrimは、5つの信号Vtrim[4:0]によって制御される可変抵抗器を使用してトリム可能であり、その同じItrim[2:0]は、供給源コントローラ131によって出力される。実際には、Vtrim[4:0]は、定電流と定電圧充電の間のスイッチングポイントの閾値Vtを調節する。Vbat<Vtであることを示すVtrim<Vrefの時に、増幅器194は、Pチャンネルトランジスタ193をオフにする。これにも関わらず、電流は、電流ミラーによりトランジスタ193を流れ、バッテリ26は、約M*Itrimの定電流で充電される。
【0035】
Vbat>Vtであることを示すVtrim>Vrefの時に、増幅器194は、トランジスタ193をオンにすることを開始する。しかし、Vbatが充電中に増加するので、トランジスタ193の供給源も増加する。これは、時間の経過と共にトランジスタ193のゲート対供給源電圧を下げ、時間の経過と共にそのトランジスタを遮断する傾向がある。実際には、これらの条件の下で、電流はバッテリのインピーダンスによって制限され、トランジスタ193は、本質的に、定電流ではなくバッテリを充電するために定電圧を提供する。定電圧を条件とする時に、経路を通る電流は、時間の経過と共に指数的に減少することになる。
【0036】
条件がバッテリ26の定電流又は定電圧充電のいずれかを可能にするのに適切である時に、供給源130は、供給源コントローラ131によって高にアサートされた充電有効化信号(Ch_en)によって有効にされる。有効にされた時に、Nチャンネルトランジスタ195はオンにされ、これは、基準電流Itrimが流れることを可能にする。無効にされた時に、トランジスタ195はオフである。従って、Ch_enが低である時に、電流は、通常充電経路を流れることができず(Inormal=0)、供給源130がバッテリ26を実質的に充電できなくする。
【0037】
図7は、更に別の制御及び過充電からの保護を提供するためにIPG100のファームウエアを使用することができる方法を示し、特に、このようなファームウエアが図6の電流/電圧供給源130の作動をどのように制御することができるかを示している。図7では、バッテリ電圧Vbatに対する第2の最大電圧Vmax2は、過電圧保護を提供するのに使用される。このような制御は、上述したように過電圧条件(oV)中にスイッチ136(図3)を開くためにVmax1によって提供されるハードウエア制御に加えられる。従って、好ましいIPG100では、2つの最大バッテリ電圧が、充電中の制御及び保護を提供するのに使用され、Vmax1は、バッテリに対する隔離を提供し、Vmax2は、ここで以下に説明するように制御の他の手段を提供する。
【0038】
図7は、過電圧制御に対して左から右にIPG100内の回路を通るデータフローを示している。バッテリ電圧Vbatは、IC300におけるA/Dブロック310によって最初にデジタル化され(図5Aを参照されたい)、そのデジタル化値は、次に、バス297によってマイクロコントローラ305に送信される。Vmax2の値は、予めIPG100回路にプログラムされ、図のようにマイクロコントローラ305に対してアクセス可能である。これに関して、Vmax2は、マイクロコントローラ自体内部のメモリにプログラムすることができ、又はマイクロコントローラの外側のレジスタ、例えば、バス297に結合されたEEPROMに存在することができる(図5A)。これにも関わらず、マイクロコントローラ305は、VbatをVmax2と比較し、それに応じて適切な指令をバス297を通じてIC300に出す。特に、指令は、バッテリ管理ブロック200内の供給源130に対する供給源コントローラ131に、及びテレメトリブロック360におけるLSKスイッチ362に送信される。
【0039】
Vbat<Vmax2である時に、過電圧条件は理解されず、充電が正常に起こる。供給源130が有効にされ、すなわち、Ch_en=1であり、これは、図6に関して上述したように、供給源130がバッテリ26に定電流又は定電圧充電のいずれかを提供することを可能にする。
【0040】
Vbat>Vmax2であるとマイクロコントローラ305が判断した場合に、バッテリ26を保護し、かつそれが更にプログラムされないように適切な手段が取られる。この状況では、供給源130は無効にされ、すなわち、Ch_enが0に設定され、供給源130がバッテリ26にいかなる電流も提供できないようにする。
【0041】
更に、信号LSKがトリガされ、充電磁場の生成を中断するために外部充電器50に場中断指令を送信する。この信号LSKは、固定された時間(例えば、10秒)にわたってアサートされた交流信号(010101...)を含むことができる。LSK信号は、トランジスタ362をトグルし、充電コイル18の終端が接地にトグルするようにする。これは、IPG100における充電コイル18と外部充電器50における充電コイル17’間の相互インダクタンスを変え、実際には外部充電器50で検出可能な反射を生成する。これらの反射を受信した時に、外部充電器50は、充電磁場の生成を中断することができ、従って、バッテリ26が更に過充電しないように保護する。
【0042】
交流信号に対する固定時間の後でかつ更に別の保護手段として、信号LSKは、別の固定された期間(例えば、5分)にわたって高にアサートすることができる。これは、場中断指令が外部充電器50によって受信されず、かつ作用されなかった場合に、IPG100の充電磁場を無効にするように機能する。LSKを高にアサートすることで、トランジスタ362をオンにし、IPGの充電コイル18の両端を接地する。充電コイル18の両端が接地され、DC電圧は、充電回路のフロントエンド149によって生成することができず、すなわち、充電磁場が外部充電器50によって提供されている場合でも、Vdcは、0に等しくなくてはならない。このようなDC電位なしでは、通常又はトリクル充電経路のいずれも電流をバッテリ26に提供することができない。
【0043】
別の実施形態において、Vbatに対する値も「負荷シフトキーイング」を通じて外部充電器50にテレメトリすることができ、それによって外部充電器50は、充電中に適切なステップを取ることができる。例えば、Vbatが特に低い場合に、外部充電器50は、充電処理を速めるために充電磁場の強度を上げることができる。外部充電器50はまた、Vbatが十分に大きい値に近づいた時に充電磁場の生成を中断することができる。例えば、外部充電器50は、閾値Vmax3によってプログラムすることができる。IPG100からテレメトリされたVbatがVmax3を超えた時に、外部充電器50は、バッテリ26が過充電にならないようにする更に別の手段として充電磁場の生成を停止することができる。
【0044】
図8は、IC300の平面図を示し、単に少数の他の回路ブロックに対するバッテリ管理回路200の配置を示している。バッテリ管理回路200は、IC300における専用エリアを提供され、バッテリ管理回路200の信頼性を改良するために保護手段が取られる。このような保護手段は、一般的には、バッテリ管理回路200をIC300上の回路の残りから隔離し、IC300の他の場所における信頼性の問題がバッテリ管理回路200における信頼性の問題を生じないようにすることを目的とする。
【0045】
最初に、バッテリ管理回路200への及びこれからの信号伝達が最少に維持される。図示のように、Vdc及びVbat(図3に関して上述)は、IC結合パッド330からバッテリ管理回路200に入る。当業者は、結合パッド330が、IC300をIPG100における他の個別の構成要素又は集積回路に電気的に接続するための接点を提供することを理解するであろう。Vloadは、バッテリ管理回路200を出て、上述したように、IC300における回路ブロックの残り、並びにマイクロコントローラ305(図5B)のようなIC300の外側の他の回路に対する電源を提供する。同様に、Vloadは、IC300内に広められ、その固有の結合パッド330を通じてIC300の外側にポートされる。
【0046】
バッテリ管理回路200内にポートするものは、Itrim、Vtrim、及びCh_enのような供給源コントローラ131によって得られる信号350である(図6を参照)。他の信号340も、上述の様々な過電圧及び不足電圧又は過電流及び不足電流条件を示す様々な割り込み信号のようにバッテリ管理回路200にポートされ、バッテリ管理回路200からポートすることができる。バッテリ管理回路ブロック200に及びそこからポートされる信号340及び350は、下にあるIC基板に対する絶縁を最大にするためにIC300の形成において使用される金属の上部レベルでそれを行うことが好ましいが、これは厳密には必要ない。
【0047】
バッテリ管理回路200と共に使用される第2の保護手段は、ブロックへの及びブロックからの信号340及び350のDC結合の阻止を含む。図示のように、減結合コンデンサが、バッテリ管理回路ブロック200に又はそこから流れる全ての信号と共に使用される。すなわち、ブロックへの及びブロックからの信号は、AC結合され(すなわち、直流的に絶縁される)、従って、バッテリ管理ブロック200とこのブロックの外側の回路との間のDC接続はなく、これは、外側からの障害がブロック内の作動に危険な影響を与えないようにするのに望ましい。例えば、ブロック200の外側の障害は、信号経路を通じてブロック200にDC電流を注入することはできない。これは、ブロック200の信頼性を改善し、ブロック内のDC電流を制御する重要度を考えた時に特に重要である。信号のこのようなAC結合は、個別のコンデンサの使用によって示されているが、このようなキャパシタンスは、MOSトランジスタの絶縁ゲートのような他の構造を含むことができる。従って、個別のコンデンサの代わりに、例えば、このような絶縁ゲートを利用するレベルシフターを使用することができる。
【0048】
バッテリ管理回路200を隔離するように設計された第3の保護手段は、IC300の基板における隔離エリア320の使用である。隔離エリア320は、少なくともIC300の製造に使用される最小ライン幅よりも1桁大きいとすることができる所定の幅Wのバッテリ管理回路200の周りの隔離のリングを含む。アクティブ構造は、隔離エリア320の下にあるIC基板には形成されない。幅Wは、バッテリ管理ブロック200と周囲の回路との間に通常の物理的間隔よりも大きな間隔を提供し、すなわち、IC設計規則よりも大きな物理的間隔は、それ以外の異なる回路ブロック間を示すことになる。このような物理的間隔は、ICの他の部分に対する機械的損傷(例えば、亀裂)が、バッテリ管理ブロック200に悪影響を及ぼさないようにするために特に好ましい。
【0049】
バッテリ管理回路200はまた、IC300とは別であるがそれに結合されたその独自の集積回路を含むことができることに注意すべきである。2つを分離することは、バッテリ管理回路200の作動に影響を与えるIC300の信頼性に関する上述の問題のいくつかを軽減すると考えられる。しかし、統合が、IC300上にバッテリ管理回路200を含むこと、及び説明する保護手段を利用することが好ましい。更に、SOI(シリコン・オン・インシュレータ)のような真に絶縁されたエリアを有する半導体処理は、同じ集積回路上でさえも完全な分離を実質的に可能にすることができる。
【0050】
本発明の開示は、医療インプラントにおけるバッテリの充電を実行又は実施することができるいくつかの異なる保護手段を提供するものであるが、全てのこのような手段を所定の応用に取る必要があるわけではないことを理解しなければならない。取られる手段は、設計者の選択及び冗長保護の望ましいレベルに依存することになる。
【0051】
本明細書で使用する「ダイオード」は、1つの方向の電流の流れを制限することができるあらゆるデバイスを含むものとして理解すべきであり、かつ従来的なダイオードのように作用するように配線されたトランジスタ(例えば、供給源又はドレインのうちの一方に接続されたゲートを有するMOSFET、又はコレクター又はエミッタのうちの一方にその基部が接続されたBJTトランジスタ)、又はあらゆる他の適切な整流デバイスを含むことができる。
【0052】
本発明の特定の実施形態を図示して説明したが、以上の説明は、本発明をこれらの実施形態に制限するものではないことを理解しなければならない。本発明の精神及び範囲から逸脱することなく様々な変形及び修正を行うことができることは当業者には明らかであろう。従って、本発明は、特許請求の範囲によって定められる本発明の精神及び範囲に入ると考えられる代替物、修正物、及び均等物を網羅するように意図している。
【0053】
以下に本発明の実施態様を記載する。
(実施態様1)埋め込み可能医療デバイスのための回路であって、
入力電圧を受け取るための及びバッテリを充電する電力を生成するための供給源を含む第1の充電経路と、
少なくとも1つの第1の1つのダイオードによって前記バッテリの端子ノードに結合し、前記入力電圧を受け取るための第2の充電経路と、
前記バッテリの端子ノードと前記埋め込み可能医療デバイス内の負荷との間に結合され、少なくとも不足電圧信号を受信した場合に開かれる少なくとも1つの負荷スイッチと、 を含むことを特徴とする回路。
(実施態様2)集積回路上に統合されたことを特徴とする実施態様1に記載の回路。
(実施態様3)前記供給源によって生成可能な前記電力は、定電流、又は定電圧、又は両方であることを特徴とする実施態様1に記載の回路。
(実施態様4)前記バッテリの端子ノードと前記負荷との間に並列に結合された第1及び第2の負荷スイッチが存在することを特徴とする実施態様1に記載の回路。
(実施態様5)前記第1の負荷スイッチは、前記不足電圧信号を受信した場合に開かれ、 前記第2の負荷スイッチは、前記不足電圧信号が受信されるか又は過電流信号が受信されるかのいずれかの場合に開かれる、ことを特徴とする実施態様4に記載の回路。
(実施態様6)前記少なくとも1つの負荷スイッチを通る電流が閾値を超えた場合に前記過電流信号をアサートするための過電流検出器を更に含むことを特徴とする実施態様5に記載の回路。
(実施態様7)前記第1の負荷スイッチの抵抗が、前記第2の負荷スイッチの抵抗よりも大きいことを特徴とする実施態様5に記載の回路。
(実施態様8)前記第2の負荷スイッチは、更に、磁場検出信号を受信した場合に開かれることを特徴とする実施態様5に記載の回路。
(実施態様9)前記第1及び第2の充電経路の間に少なくとも1つの第2のダイオードを更に含むことを特徴とする実施態様1に記載の回路。
(実施態様10)前記第1の充電経路は、前記生成された電力をバッテリ端子ノードにゲートするための過電圧スイッチを更に含み、
前記過電圧スイッチは、過電圧信号を受信した場合に開かれる、
ことを特徴とする実施態様1に記載の回路。
(実施態様11)前記少なくとも1つの第1のダイオード及び前記少なくとも1つの第2のダイオードは、それらの正端子で接続され、それらの負端子が、前記過電圧スイッチの両側に結合されている、ことを特徴とする実施態様10に記載の回路。
(実施態様12)第1のダイオードの数及び第2のダイオードの数が、同じであることを特徴とする実施態様11に記載の回路。
(実施態様13)前記第2の充電経路はパッシブであることを特徴とする実施態様1に記載の回路。
(実施態様14)前記入力電圧を生成するためのコイル及び整流器回路を更に含むことを特徴とする実施態様1に記載の回路。
(実施態様15)前記整流器回路と前記入力電圧との間にダイオードを更に含むことを特徴とする実施態様14に記載の回路。
(実施態様16)前記バッテリの端子ノードを受け入れるための及び該バッテリの端子ノードでの電圧が閾値未満に降下した時に前記不足電圧信号をアサートするための不足電圧検出器を更に含むことを特徴とする実施態様1に記載の回路。
(実施態様17)前記不足電圧検出器はパッシブであり、かつ前記不足電圧信号をアサートするいずれの制御信号も必要としないことを特徴とする実施態様1に記載の回路。
(実施態様18)前記バッテリの端子ノードを受け入れるための放電回路を更に含み、
前記放電回路は、過電圧信号を受信した時に前記バッテリの端子ノードを接地に結合するが、該放電回路は、不足電圧信号を受信した時に該バッテリ端子ノードを接地から切り離す、ことを特徴とする実施態様1に記載の回路。
【0054】
(実施態様19)埋め込み可能医療デバイスのための回路であって、
バッテリ端子ノードに電力を提供するための充電回路と、
前記バッテリ端子ノードと負荷との間に並列に結合された第1及び第2の負荷スイッチを含む隔離回路と、
を含むことを特徴とする回路。
(実施態様20)前記第1の負荷スイッチは、第1の抵抗を有し、前記第2の負荷スイッチは、該第1の抵抗よりも小さい第2の抵抗を有することを特徴とする実施態様19に記載の回路。
(実施態様21)前記第1の負荷スイッチは、前記バッテリ端子ノードでの電圧が閾値未満に降下した場合に開かれ、
前記第2の負荷スイッチは、前記バッテリ端子ノードでの前記電圧が閾値未満に降下するか又は少なくとも1つの他の故障条件がアサートされるかのいずれかの場合に開かれる、ことを特徴とする実施態様19に記載の回路。
(実施態様22)前記第1の負荷スイッチは、第1の抵抗を有し、前記第2の負荷スイッチは、該第1の抵抗よりも小さい第2の抵抗を有することを特徴とする実施態様21に記載の回路。
(実施態様23)前記故障条件は、前記バッテリ端子ノードと前記負荷との間の過電流を含むことを特徴とする実施態様21に記載の回路。
(実施態様24)前記故障条件は、前記バッテリ端子ノードと前記負荷との間の過電流と緊急停止条件とを含むことを特徴とする実施態様21に記載の回路。
(実施態様25)前記緊急停止条件は、前記埋め込み可能医療デバイスの外部で発生された磁場を含むことを特徴とする実施態様24に記載の回路。
【0055】
(実施態様26)埋め込み可能医療デバイスに使用可能な回路であって、
集積回路、を含み、
前記集積回路は、
前記集積回路上の出力に結合可能な複数の電極を刺激するための刺激回路と、
バッテリ端子に結合可能な前記集積回路からのバッテリ入力/出力と、
(i)バッテリを充電するための入力電圧を受け取り、かつ(ii)該バッテリから電源電圧を生成するためのバッテリ管理回路と、
前記電源電圧によって給電され、前記刺激回路を含む負荷と、
を含む、
ことを特徴とする回路。
(実施態様27)前記負荷は、前記集積回路上の他の回路を更に含むことを特徴とする実施態様26に記載の回路。
(実施態様28)前記負荷は、前記集積回路の負荷出力に結合可能な回路を更に含むことを特徴とする実施態様27に記載の回路。
(実施態様29)前記負荷出力に結合可能な前記回路は、マイクロコントローラを含むことを特徴とする実施態様28に記載の回路。
(実施態様30)前記入力電圧は、前記集積回路の入力に供給され、かつ前記バッテリを充電するための電力を生成するために使用されることを特徴とする実施態様26に記載の回路。
(実施態様31)前記入力は、前記入力電圧を生成するための整流器回路に結合可能であることを特徴とする実施態様30に記載の回路。
(実施態様32)前記バッテリ管理回路は、前記集積回路上の他の回路から隔離されていることを特徴とする実施態様26に記載の回路。
(実施態様33)前記バッテリ管理回路は、該バッテリ管理回路の周りの隔離リングによって隔離されていることを特徴とする実施態様32に記載の回路。
(実施態様34)前記集積回路の外側のバスに結合可能なバス入力/出力を更に含むことを特徴とする実施態様26に記載の回路。
(実施態様35)前記バス入力/出力は、前記バッテリを充電するための電力を生成するための前記バッテリ管理回路内の電源に少なくとも1つの制御信号を提供するための供給源コントローラに結合していることを特徴とする実施態様34に記載の回路。
(実施態様36)前記少なくとも1つの制御信号は、前記電源にAC結合されることを特徴とする実施態様35に記載の回路。
【符号の説明】
【0056】
17’、18 コイル
50 外部充電器
110 埋め込み可能パルス発生器
130 電流/電圧供給源
200 バッテリ管理回路
図1A
図1B
図2
図3
図4A
図4B
図5A
図5B
図6
図7
図8