特許第6118863号(P6118863)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6118863
(24)【登録日】2017年3月31日
(45)【発行日】2017年4月19日
(54)【発明の名称】展示会システム
(51)【国際特許分類】
   E04B 2/74 20060101AFI20170410BHJP
【FI】
   E04B2/74 541N
   E04B2/74 561H
【請求項の数】5
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2015-186820(P2015-186820)
(22)【出願日】2015年9月24日
(65)【公開番号】特開2017-61788(P2017-61788A)
(43)【公開日】2017年3月30日
【審査請求日】2015年9月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】503404648
【氏名又は名称】株式会社シミズオクト
(74)【代理人】
【識別番号】110001092
【氏名又は名称】特許業務法人サクラ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】宮山 然
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 太郎
(72)【発明者】
【氏名】松居 永樹
【審査官】 小野 郁磨
(56)【参考文献】
【文献】 特開平08−095511(JP,A)
【文献】 特開2003−193594(JP,A)
【文献】 特開2003−013525(JP,A)
【文献】 特開平11−280233(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B 2/74
G09F 15/00
E04F 13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベース壁面となるベースフレームと、
前記ベースフレームの外側に突出して固定され、上部、下部および側部終端部に溝部を設けたブラケットフレームと、
シート状をなし縁部に突起部を有し、前記ブラケットフレームを覆い、前記突起部を前記溝部に着脱自在に嵌合させることで前記ブラケットフレームに固定される展示面形成用のシート部材と
を具備する展示会システム。
【請求項2】
前記ブラケットフレームの側部終端部に前記ベースフレームのエンドポールと一体的に設けられ、前記溝部を垂直方向に設けた支柱をさらに具備する請求項1記載の展示会システム。
【請求項3】
前記ブラケットフレームを両端で支えるように設けられ、上部、下部に前記突起部を嵌合させるための切り欠き部を設けたコーナー角ポールをさらに具備する請求項1記載の展示会システム。
【請求項4】
展示面の基礎の骨組みとなるフレーム部と、
前記フレーム部の前記展示面の側の骨組みを少なくとも覆うように前記フレーム部に着脱自在に取り付けられた展示面形成用のシート部材とを備え、
前記フレーム部は、
端部に設けられた係止部と、長手方向に所定の幅のスリットを設けたレール部とを有するビームと、
筒部と、前記筒部の周囲に軸方向に設けられ、前記ビームの前記係止部を着脱自在に固定するためのスリット部と、前記スリット部に取り付けた前記ビームの前記レール部の延長線上の前記筒部に設けられ、前記レール部の前記スリットの幅で切り欠かれた切り欠き部とを有する結合部材とを備え、
前記展示面形成用のシート部材は、
前記レール部および前記切り欠き部に嵌合される突起部を縁部に備えることを特徴とする展示会システム。
【請求項5】
前記結合部材は、
前記筒部の一部に平坦に設けられた壁面部を備え、
前記スリット部は、
前記壁面部の一縁と第1のビームの側面が一致するように前記ビームを前記筒部に固定可能な第1のスリット部と、
前記壁面部の一縁と反対側の他縁と第2のビームの側面が一致するように前記ビームを前記筒部に固定可能な第2のスリット部とを備え、
前記筒部は、
前記第1および第2のスリット部を繋ぐ軸線上に切り欠き部を設けたことを特徴とする請求項4記載の展示会システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、展示会システムに関する。
【背景技術】
【0002】
展示会では、賃貸したスペースに展示装置を、限られた時間で施工し展示物を展示し、展示会終了後は、展示装置と展示物を短時間で解体、撤収する必要があることから、特に展示装置は、組み立て性、安全性および解体性の全てを満たすものが望まれる。
【0003】
従来の展示装置は、壁面に固定したピクチャーレールに木製の壁面パネルを架設してその壁面パネルを覆うように織物クロスを貼り付けて展示面を形成し、そこに絵画などの展示物を展示していた(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−088697号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の技術の場合、壁面パネルに隠れないピクチャーレールなどのフレーム部分や壁面の部分が露出してしまい、展示ブース全体としての見栄えが悪くなるという問題がある。また木製の壁面パネルを展示面の広さに応じた枚数分用意し一枚ずつ架設する必要があり、取り付けおよび取り外しの作業に時間がかかるという問題もある。
【0006】
本発明はこのような課題を解決するためになされたもので、組み立て性および解体性がよく、枠の部分を含むすべての面を展示面にすることができる見栄えのよい展示会システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の展示会システムは、ベース壁面となるベースフレームと、前記ベースフレームの外側に突出して固定され、上部、下部および側部終端部に溝部を設けたブラケットフレームと、シート状をなし縁部に突起部を有し、前記ブラケットフレームを覆い、前記突起部を前記溝部に着脱自在に嵌合させることで前記ブラケットフレームに固定される展示面形成用のシート部材とを備える。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、組み立て性および解体性がよく、枠の部分を含むすべての面を展示面にすることができる見栄えのよい展示会システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】一つの実施の形態の展示会システムの構成を示す図である。
図2】設置した状態の展示会システムを示す図である。
図3】フレーム部の詳細構成を示す図である。
図4】接合部材とビームとの結合関係を示す図である。
図5】接合部材とビームを結合した状態を示す図である。
図6】接合部にファブリックウォールの係合部を挿着する様子を示す図である。
図7】接合部にファブリックウォールを固定した状態を示す図である。
図8】フレーム部のコーナーおよびエンド部にファブリックウォールの係合部を挿着する様子を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して本発明の一つの実施の形態を詳細に説明する。図1は本発明の一つの実施の形態の展示会システムの構成を示す図である。
【0012】
図1に示すように、この実施形態の展示会システムは、ベース壁面となるベースフレーム1aと、このベースフレーム1aの外側(周囲)に突出して固定されたブラケットフレーム1bとを有するフレーム部1と、このフレーム部1の展示面側を少なくとも覆うようにブラケットフレーム1bに着脱自在に取り付けられたシート状の展示面形成用のシート部材としてのファブリックウォール3とを備える。ブラケットフレーム1bの上部、下部および側部終端部にはスリット41や切り欠き部32a、55(図3図7参照)などの溝部が設けられている。
【0013】
ファブリックウォール3は、透光性の布幕であり、幕面の縁部にシート固定用の突起部としてのシリコン製の嵌合部材31(図5参照)が幕面から垂直に突設されている。ファブリックウォール3は、スリット41(図5参照)および切り欠き部55(図5参照)に嵌合される嵌合部材31を端縁部に備える。
【0014】
すなわちファブリックウォール3は、シート状をなし縁部に嵌合部材31を有し、ブラケットフレーム1bを覆い、嵌合部材31を溝部(スリット41、切り欠き部32a、55など)に着脱自在に嵌合させることでブラケットフレーム1bに固定される。
【0015】
フレーム部1は、展示面を形成する上での基礎の骨組みとなる部分であり、図2に示すように、さまざまな長さの横方向の梁材としてのビーム40、縦方向の支持部材(支柱)としてのアップライドプロフィル33、ファブリックウォール3の側端を固定するためのエンドポール34、展示面の幅方向の端部を裏側から支えるためのコーナー角ポール32、ビーム40を結合するための結合部材50などを備えており、これらの部材を組み合わせて所定の高さおよび幅の展示面の骨組みを形成する。
【0016】
ここで、図3図4を参照して図2の符号Aの部分について詳細に説明する。
図3に示すように、ビーム40は、アルミニウム製の矩形の部材であり、両端部に係止部としてのロック機構43が設けられている。ビーム40の上部には長手方向に所定の幅のスリット41を設けた一対のレール部42が設けられている。
【0017】
このレール部42に他のビーム40のロック機構43をワンタッチで装着することで、レール部42の所望の位置にビーム40を直角に取り付け固定することかできる。スリット41にファブリックウォール3の嵌合部材31を挿入し勘合させることで固定することができる。
【0018】
ビーム40の側面には、ロック機構43のロックを解除するための解除機構44が設けられている。解除機構44は、所定のビット形状のドライバーで所定の方向に回すことでロックを解除可能である。
【0019】
結合部材50は、0°、45°、90°、135°、180°の5方向にビーム40を接続可能なビーム中継用の部材である。結合部材50は、筒部52、スリット部53および切り欠き部55を有する。この結合部材50の筒部52の一部には平坦に設けられた壁面部52aを備える。
【0020】
スリット部53は、筒部52の周囲の上記5つの方向に向けて軸方向に隙間を空けるように設けられている。スリット部53は、ビーム40をその側部のロック機構43にて着脱自在に固定する部位である。
【0021】
スリット部53は、0°方向の第1のスリット部と、180°方向の第2のスリット部とを有する。第1のスリット部は、壁面部52aの一縁と第1のビーム40の側面が一致するようにビーム40を筒部52に固定可能である。第2のスリット部は、壁面部52aの一縁とは反対側の他縁と第2のビームの40の側面が一致するようにビーム40を筒部52に固定可能である。切り欠き部55は、第1および第2のスリット部を繋ぐ軸線上に設けられている。
【0022】
この他、結合部材50は、0°、45°、90°、135°、180°、225°、270°、215°の8方向のもの、0°、90°、180°の3方向のもの、0°、90°の2方向のものなどがある。0°、90°の2方向のものは角部に使用される。5方向のものや8方向のものを角部に使用してもよい。
【0023】
切り欠き部55は、スリット部53に取り付けたビーム40のレール部42の延長線上の筒部52を、ビーム40のスリット41の幅で切り欠いて設けたものである。この例では、0°、180°の2方向の筒部52の位置にだけ切り欠き部55を設けたが、5方向全てに切り欠き部55を設けてもよい。
【0024】
図4に示すように、結合部材50に3つのビーム40を3方向から取り付けることで、3つのビーム40をT字状に結合することができる。この場合、0°と180°の方向に配置されるビーム40どうしのスリット41と結合部材50の切り欠き部55が一直線上に並ぶため、図5に示すように、ファブリックウォール3の嵌合部材31を直線的に勘合させることができる。この結果、図6に示すように、ファブリックウォール3をビーム40のレール部42の上に平らに固定することができる。
【0025】
また、図7に示すように、コーナー角ポール32はブラケットフレーム1bの一部であり、ビーム40を両端で支えるように設けられている。コーナー角ポール32の上部にはビーム40のスリット41と同じ間隔で切り欠き部32aが設けられている。コーナー角ポール32の下部にも上部と同様に切り欠き部32aが設けられている。
【0026】
このようにブラケットフレーム1bのコーナー部分についても、コーナー角ポール32に切り欠き部32aを設けることで、ファブリックウォール3の嵌合部材31を、上方から矢印B方向にビーム40のスリット41に挿入し嵌合させることができ、ファブリックウォール3をビーム40のレール部42の上に平らに固定することができる。
【0027】
また、ブラケットフレーム1bの側部終端部にはベースフレーム1aのエンドポール34と一体的に支柱35が設けられている。この支柱35にはスリット35aおよび切り欠き部35bなどの溝部が支柱35の軸方向(垂直方向)に設けられている。
【0028】
このようにブラケットフレーム1bの側部終端部についても結合部材50と同じ断面形状の支柱35をエンドポール34に溶接するなどして一体化し、ファブリックウォール3の側端部分の嵌合部材31を矢印C方向に支柱35のスリット35aに挿入および嵌合させることで、ファブリックウォール3にたるみなどが生じることなく、図8に示すように、展示面であるファブリックウォール3の前面をフラットなスクリーンにすることができる。
【0029】
展示面の活用については、ファブリックウォール3の裏側(ベースフレーム1aの側)のスペースに映写機を設置し、映写機から展示物の映像をファブリックウォール3に映写し、ファブリックウォール3の表側に透過した映像を前面の展示スペースから見られるように映し出すことで、映写機などを展示スペースに出すことなく、広い展示面に展示物を展示することができる。
【0030】
このようにこの実施形態の展示会システムによれば、ベースフレーム1aの外側にブラケットフレーム1bを突出させて設け、ブラケットフレーム1bをファブリックウォール3で覆い、その嵌合部材31をブラケットフレーム1bの溝部に嵌合させてブラケットフレーム1bにファブリックウォール3を固定することで、ベースフレーム1aやブラケットフレーム1bのフレーム構造を外側に露出させないような展示面を形成することができる。
【0031】
すなわち、展示面に対して直交する方向の面(ブラケットフレーム1bの側面側)または展示面と対向する方向の面(ブラケットフレーム1bの背面側または裏面側)に溝部を形成し、その溝部にファブリックウォール3の嵌合部材31を嵌合させることで、ブラケットフレーム1bの枠の部分を含む展示面側すべてをファブリックウォール3で覆えるようになり、展示面としての見栄えをよくすることができる。
【0032】
ブラケットフレーム1bの骨組みであるビーム40どうしを、切り欠き部55を設けた結合部材50で結合することで、ファブリックウォール3を固定する際に、嵌合部材31をスリット41および切り欠き部55で形成された溝部に嵌合させるだけで、ファブリックウォール3の端部がフレーム部1に平坦に固定できる。またファブリックウォール3でブラケットフレーム1b全体を覆えるようになる。さらにファブリックウォール3を取り外す際もファブリックウォール3の嵌合部材31を溝部から引き抜くことで簡単に取り外すことができる。
【0033】
この結果、組み立て性および解体性がよく、ブラケットフレーム1bの外枠の部分を含むすべての前面部分を展示面にすることができる見栄えのよい展示会システムを提供することができる。
【0034】
本発明の実施の形態を説明したが、この実施の形態は、例として示したものであり、この他の様々な形態で実施が可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、構成要素の省略、置き換え、変更を行うことができる。
【符号の説明】
【0035】
1…フレーム部、1a…ベースフレーム、1b…ブラケットフレーム、3…ファブリックウォール、31…嵌合部材、32…コーナー角ポール、33…アップライドプロフィル、34…エンドポール、35…支柱、35a…スリット、40…ビーム、41…スリット、42…レール部、43…ロック機構、44…解除機構、50…結合部材、52…筒部、53…スリット部、55…切り欠き部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8