(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
後述する明細書及び図面の記載から、少なくとも以下の事項が明らかとなる。
【0011】
フェルールを収容するハウジングと、前記ハウジングに対して移動可能なカップリングとを有し、前記ハウジングに対してカップリングを後側に移動させてラッチ状態を解除させる光コネクタ本体と、前記カップリングよりも後側に位置するプル操作部を有するプル部材と、を備え、前記プル部材は、前記カップリングの側面に配置される一対の側板部を有し、前記一対の側板部は、内面から内側に突出する内側突出部を有し、前記カップリングは、凹状の係合部を有し、前記プル部材の前記内側突出部が前記カップリングの前記係合部に係合した状態であり、前記プル部材の前記プル操作部を後側に引っ張ると、前記プル部材の内側突出部を介して前記カップリングが前記ハウジングに対して後側に移動することを特徴とする光コネクタが明らかとなる。
このような光コネクタによれば、カップリングの係合部が凹状である(外側に突出していない)のでプル部材を取り外しても邪魔にならない。よって、カップリングから外側に突出する部位を形成せずに済む。
【0012】
前記プル操作部は、前記光コネクタ本体の前記ハウジングよりも後側に配置されたブーツよりも後側に配置されることが望ましい。これにより、使用者の指がプル操作部まで届きやすくなり、光コネクタが高密度に実装されている状況下でも、光コネクタ本体をラッチ解除しやすくなる。
【0013】
前記プル部材は、前記プル操作部が設けられた本体部と、前記側板部及び前記内側突出部が設けられたアタッチメントとを有し、前記本体部は、前記アタッチメントを介して、前記カップリングの前記係合部と係合していることが望ましい。これにより、本体部と、アタッチメントとを別体に構成でき、プル部材の装着が容易である。
【0014】
前記本体部は、一対の側壁部を有し、前記一対の側壁部は、内側に突出するプッシュ部をそれぞれ有し、前記光コネクタ本体の前記ハウジングよりも後側に配置されたブーツに設けられた段差部の後側に前記プッシュ部が配置されることが望ましい。これにより、光コネクタ接続時に本体部を前側に押し込めば、プッシュ部によってブーツを後側から押すことができ、光コネクタを相手側の光コネクタやアダプタに接続できる。また、プル部材がプル部材としての機能だけでなくプッシュ部材としての機能を備えることになり、同じ部材を操作して光コネクタの着脱が可能になるため、光コネクタの着脱操作が分かりやすくなる。
【0015】
前記アタッチメントは、外側に突出する外側突出部を有し、前記本体部の前記側壁部は、前記外側突出部と係合する係合穴を有し、前記外側突出部を軸として前記本体部を回転させると、前記ブーツの前記段差部の後側に配置されていた前記プッシュ部から前記ブーツが外れることが望ましい。
【0016】
前記外側突出部は、前記係合穴には通らない頭部と、前記頭部と前記側板部との間に設けられ前記頭部より細く前記係合穴に挿通可能な首部とを有し、前記側壁部は、前記頭部を挿入可能な挿入穴と前記係合穴とを有する長穴を有し、前記プッシュ部が前記ブーツの前記段差部の後側に配置された状態では、前記外側突出部の前記首部が前記係合穴に挿通しており、前記プッシュ部が前記段差部に接触することによって、前記外側突出部が前記挿入穴に達するまで前記本体部を前記アタッチメントに対して移動させることはできず、前記外側突出部を軸として前記本体部を回転させて、前記プッシュ部から前記ブーツが外れると、前記外側突出部が前記挿入穴に達するまで前記本体部を前記アタッチメントに対して移動可能な状態になることが望ましい。これにより、本体部が誤って取り外されてしまうことを抑制でき、また、本体部を回転させることで、アタッチメントの外側突出部から本体部を外すことが可能になる。
【0017】
前記一対の側壁部には、傾斜面が形成されており、前記光コネクタ本体から延び出たケーブルが湾曲したときに、前記ケーブル又は前記ブーツが前記傾斜面に当接し、前記本体部が回転することが望ましい。これにより、ケーブルの湾曲時に本体部がケーブルから逃げることができ、ケーブルに過剰な負荷がかかることを抑制できる。
【0018】
前記一対の側壁部を内側に押圧すると、前記一対の側壁部が弾性変形し、前記プッシュ部の間隔が狭まることが望ましい。これにより、光コネクタ接続時にプッシュ部によってブーツを後側から押しやすくなる。
【0019】
===第1実施形態===
<全体構成>
図1A及び
図1Bは、本実施形態の光コネクタの全体構成を示す斜視図である。
図2は、本実施形態の光コネクタのプッシュプル部材20の分解図である。
図3は、カップリング14にアタッチメント20Bを取り付けた状態を示す斜視図である。
【0020】
以下の説明では、図に示すように各方向を定義する。すなわち、光ケーブルの長手方向(光軸方向)を「前後方向」とし、ハウジング12のフェルール11が設けられている側(光ファイバの先端側)を「前」、その逆側を「後」とする。また、プッシュプル部材20の一対の側壁部22が並ぶ方向を「左右方向」とし、後側から前側を見た時の右側を「右」、逆側を「左」とする。また、「前後方向」及び「左右方向」と直交する方向を「上下方向」とし、光ケーブルに対してプッシュプル部材20の連結部21の位置する側を「上」、逆側を「下」とする。
【0021】
本実施形態の光コネクタは、光コネクタ本体10(MPO光コネクタ)と、プッシュプル部材20(プル部材に相当)とを備えている。
【0022】
光コネクタ本体10は、JIS C5982などに制定されるMPO(Multifiber Push-On)光コネクタである。光コネクタ本体10は、
図2に示すように、フェルール11と、ハウジング12と、ブーツ13と、カップリング14とを備えている。
【0023】
フェルール11は、光伝送路である光ファイバの先端(前端)を保持する部材である。フェルール11は、ハウジング12内において、その先端の一部がハウジング12の先端から突き出るように、かつ、前後に移動が許容されるように設けられている。フェルール11には、複数の光ファイバ穴が設けられており、各光ファイバ穴には、それぞれ、光ファイバ(裸ファイバ)の先端が固定されている。
【0024】
ハウジング12は、フェルール11を後退可能に収容する部材である。また、ハウジング12の内部空間にはスプリング(不図示)が設けられており、ハウジング12の突起部(不図示)とフェルール11の鍔部(不図示)とが係合した状態で、スプリングの反発力によってフェルール11が前側に付勢されている。
【0025】
ブーツ13は、ハウジング12の後側に設けられている。また、ブーツ13は、前部13a、後部13b、段差部13cを有している。
【0026】
前部13aは、ブーツ13をハウジング12に固定するための固定部である。
【0027】
後部13bは、光ケーブルを保護する部位であり、ゴム等の柔軟性を有する素材で構成された弾性変形可能な部位である。
【0028】
段差部13cは、前部13aと後部13bとの間の部位であり、後側(後部13b側)から前側(前部13a側)に向かって広がる形状に設けられている。この段差部13cは、光コネクタの装着時に、プッシュプル部材20から押されることになる。
【0029】
カップリング14は、ハウジング12に外挿された筒状の部材であり、ハウジング12に対して前後方向にスライド可能に設けられている。そして、光コネクタの抜去時に、ハウジング12に対してカップリング14を後側にスライドさせてラッチ解除する。
【0030】
本実施形態のカップリング14には長穴15が設けられている。長穴15は、前後方向に沿って形成された穴であり、カップリング14の左右の側面に2つずつ設けられている。また、右側面及び左側面の2つの長穴15は、上下に並んで配置されている。この上下に並ぶ2つの長穴15は、カップリング14を前側に付勢するバネ17(
図3参照)を避ける位置に形成されている。
【0031】
長穴15は、挿入穴15aと、係合穴15bと、狭隘部15cとを有している。
【0032】
挿入穴15aは、アタッチメント20B(後述)をカップリング14に装着する際に、アタッチメント20Bの内側突出部26を挿入させる穴である。挿入穴15aは、長穴15の前側に配置されている。また、挿入穴15aは、長穴15の他の部位よりも大きめ(具体的には、アタッチメント20Bの内側突出部26の頭部16aが挿入可能な大きさ)に形成されている。
【0033】
係合穴15bは、アタッチメント20Bの内側突出部26が係合する穴(係合部)である。係合穴15bは、長穴15における後側に配置されている。また、係合穴15bは、挿入穴15aよりも小さく(具体的には、内側突出部26の首部26bは挿通可能であるが、頭部26aは通らない大きさに)形成されている。これにより、内側突出部26(換言するとアタッチメント20B)の抜けを防止することができる。本実施形態では、カップリング14の係合部(プッシュプル部材20のアタッチメント20Bの内側突出部26と係合する部位)が、カップリング14の側面から凹状(ここでは穴)に形成されているため、カップリング14の側面から外側に係合部が突出しなくて済む。
【0034】
狭隘部15cは、挿入穴15aと係合穴15bとの間に配置されている。狭隘部15cは、係合穴15bよりもさらに小さく(具体的には、外力を加えない限り、内側突出部26の首部26bが、挿入穴15aと係合穴15bとの間を移動することができない大きさに)形成されている。これにより、内側突出部26を係合穴15bに留めておくことができ、内側突出部26(アタッチメント20B)の抜けを防止することができる。
【0035】
プッシュプル部材20は、本体部20Aとアタッチメント20Bとを備えている。
【0036】
本体部20Aは、
図2に示すように上から見てU字形状に形成されている。本体部20Aは、連結部21と、一対の側壁部22とを有している。また、本体部20Aは、アタッチメント20Bを介してカップリング14と係合した状態で、回転可能に設けられている。
【0037】
連結部21は、一対の側壁部22を曲線的に連結する部位であり、プッシュプル部材20において後側に設けられている。また、連結部21の内面にはプル操作部21aが設けられている。プル操作部21aは、光コネクタの抜去時に操作する(引く)部位であり、
図1A、
図1Bに示すように、光コネクタのブーツ13よりも後側に配置されている。
【0038】
一対の側壁部22は、カップリング14の側面(右側面及び左側面)に配置されている。一対の側壁部22は、それぞれ、プッシュ操作部22aと、プッシュ部22bと、プル部22cと、長穴23と、傾斜面24とを有している。
【0039】
プッシュ操作部22aは、一対の側壁部22において内側に向かって湾曲した部位(湾曲部)である。このように湾曲していることにより、使用者が指で摘まみやすくなっている。このプッシュ操作部22aは、光コネクタの装着時に操作する(押す)部位である。
【0040】
プッシュ部22bは、ブーツ13の段差部13cを前側に押すための部位であり、プッシュ操作部22aよりも前側において、一対の側壁部22から内側に突出するように設けられている。プッシュ部22bは、ブーツ13の段差部13cの後側に位置する。プッシュ部22bの内面の形状は、ブーツ13の外形(段差部13cと後部13bとの境界部の外形)に適用するような形状である。左右一対のプッシュ部22bの下端同士の間隔は、ブーツ13の左右方向の幅(一対のプッシュ部22bに挟まれている部位の幅)よりも狭い。これにより、一対のプッシュ部22bの間からブーツ13が抜けにくくなる。
【0041】
プル部22cは、光コネクタ本体10のカップリング14を引くための部位であり、一対の側壁部22においてプッシュ部22bよりも前側に設けられている。なお、本実施形態では、アタッチメント20Bを介して間接的にカップリング14を引いている。
【0042】
長穴23は、プル部22cにおいて前後方向に長く形成されている。長穴23は、挿入穴23aと、係合穴23bと、狭隘部23cとを有している。
【0043】
挿入穴23aは、本体部20Aをアタッチメント20Bに装着する際にアタッチメント20Bの外側突出部27を挿入させる穴である。挿入穴23aは、長穴23の後側に配置されている。また、挿入穴23aは、大きめ(具体的には、アタッチメント20Bの外側突出部27の頭部27aを挿入可能な大きさ)に形成されている。
【0044】
係合穴23bは、アタッチメント20Bの外側突出部27に引っ掛かる穴であり、長穴23の前側に配置されている。係合穴23bは、挿入穴23aよりも小さく(具体的には、アタッチメント20Bの外側突出部27の首部27bは挿通可能であるが、頭部27aは通らない大きさに)形成されている。これにより、外側突出部27(アタッチメント20B)の抜けを防止できる。また、係合穴23bは、前後方向に長く形成されている。これにより、アタッチメント20Bの外側突出部27が前後方向に相対移動可能になっている(遊びがある)。
【0045】
狭隘部23cは、挿入穴23aと係合穴23bとの間に配置されている。狭隘部23cは、係合穴23bよりもさらに小さく(具体的には、外力を加えない限り、外側突出部27の首部27bが、挿入穴23aと係合穴23bとの間を移動できない大きさに)形成されている。これにより、外側突出部27を係合穴23bに留めておくことができ、外側突出部27(アタッチメント20B)の抜けを防止することができる。
【0046】
傾斜面24は、一対の側壁部22においてプッシュ操作部22aとプル操作部21aの間の下部に設けられた部位であり、後側に向かうにつれて側壁部22の上下方向の長さ(厚さ)が小さくなるような傾斜に形成されている。この傾斜面24は、光コネクタ本体10の後側から延び出たブーツ13の後部13bやケーブルが左右方向に湾曲したときに、プッシュプル部材20を上側に持ち上げる(回転させる)部位である。すなわち、ブーツ13の後部やケーブルが湾曲して、傾斜面24と当接すると、ブーツ13の後部やケーブルが、傾斜面24に沿って移動しつつ、プッシュプル部材20が上側に持ち上げられることになる。
【0047】
アタッチメント20Bは、カップリング14にプッシュプル部材20の本体部20Aを取り付けるための部材である。アタッチメント20Bは、カップリング14の左右の側部に1つずつ配置される。また、アタッチメント20Bは、側板部25と、内側突出部26と、外側突出部27とを有している。
【0048】
側板部25は、カップリング14の側部に取り付けられる部材である。側板部25の内面の形状は、カップリング14の側部の外形に適合するような形状である。
【0049】
内側突出部26は、カップリング14に係合するための部位である。内側突出部26は、側板部25の内面から内側に突出している。側板部25には2つの内側突出部26が上下に配置されている。この上下2つの内側突出部26は、カップリング14の側面の上下2つの長穴15に対応している。なお、このように内側突出部26を上下2つ設けているのは、カップリング14を前側に付勢するバネ17(
図3参照)を避けるためであり、また、光コネクタ抜去時(プル時)のバランスを保つためである。内側突出部26は、頭部26aと首部26bを有している。
【0050】
頭部26aは、内側突出部26の端部(内側の端部)である。頭部26aは、カップリング14の挿入穴15aに挿入可能である(つまり、頭部26aは、カップリング14の挿入穴15aよりも小さい)。また、頭部26aは、カップリング14の係合穴15bには挿入できない(つまり、頭部26aは、カップリング14の係合穴15bよりも大きい)。
【0051】
首部26bは、頭部26aと側板部25との間の部位である。首部26bは、頭部26aよりも細い(小さい)。これにより、首部26bはカップリング14の係合穴15bにも挿通可能である。
【0052】
外側突出部27は、プッシュプル部材20の本体部20Aに係合するための部位である。外側突出部27は、側板部25の外面から外側に突出している。また、外側突出部27は、頭部27aと首部27bを有している。
【0053】
頭部27aは、外側突出部の端部(外側端部)である。頭部27aは、本体部20Aの挿入穴23aに挿入可能である(つまり、頭部27aは、本体部20Aの挿入穴23aよりも小さい)。また、頭部27aは、本体部20Aの係合穴23bには挿入できない(つまり、頭部27aは、本体部20Aの係合穴23bよりも大きい)。
【0054】
首部27bは、頭部27aと側板部25との間の部位である。首部27bは、頭部27aよりも細い(小さい)。これにより、首部27bは、本体部20Aの係合穴23bにも挿通可能である。
【0055】
<プッシュプル部材の着脱方法>
・アタッチメント20Bの装着方法について
図4A〜
図4Cは、アタッチメント20Bの装着方法の説明図である。なお、図では、光コネクタ本体10のカップリング14の両側面(左側面及び右側面)に、アタッチメント20Bを同時に装着しているが、左右別々に装着してもよい。
【0056】
まず、使用者は、
図4Aに示すように、アタッチメント20Bの内側突出部26の頭部26aの位置を、カップリング14の長穴15(ここでは挿入穴15a)に合わせる。そして、アタッチメント20Bの内側突出部26の頭部26aをカップリング14の挿入穴15aに挿入させる。
【0057】
次に、使用者は、
図4Bに示すように、カップリング14に対してアタッチメント20Bを後側に相対移動させる。これにより、
図4Cに示すように、アタッチメント20Bの内側突出部26の首部26bがカップリング14の長穴15の挿入穴15aから狭隘部15cを通って係合穴15bに移動する。係合穴15bは内側突出部26の頭部26aは通らない大きさであり、また、首部26bの前側には狭隘部15cがあるため、内側突出部26(アタッチメント20B)の抜けを防止できる。こうして、光コネクタ本体10のカップリング14にアタッチメント20Bが装着される。
【0058】
・本体部20Aの装着方法について
図5A〜
図5Dは、本体部20Aの装着方法の説明図である。なお、本体部20Aの装着は、アタッチメント20Bの装着(
図4A〜
図4C)後に行う。
【0059】
まず、使用者は、
図5Aに示すように、本体部20Aをアタッチメント20Bの装着後の光コネクタ本体10上に配置する。このとき、図のように本体部20Aの前端が下を向くように本体部20Aを斜めに配置する。このように本体部20Aを斜めに配置する理由は、次に本体部20Aの長穴23にアタッチメント20Bの外側突出部27を挿入させる際に、本体部20Aのプッシュ部22bがブーツ13に接触して邪魔になることを避けるためである。
【0060】
次に、使用者は、
図5Bに示すように、本体部20Aの一対の側壁部22のプル部22cを外側に開きつつ、アタッチメント20Bの外側突出部27の頭部27aをプル部22cの長穴23の挿入穴23aに挿入させる。なお、この段階で本体部20Aの連結部21を下側に押し下げて外側突起部27を軸にして本体部20Aを回転させると、本体部20Aのプッシュ部22bがブーツ13の前部13aに接触してしまい、プッシュ部22bをブーツ13の段差部13cの後側に配置させることができない。
【0061】
本体部20Aの長穴23にアタッチメント20Bの外側突出部27を挿入させた後、使用者は、
図5Bの矢印に示すように、本体部20Aを長穴23に沿った方向(ここでは後方の斜め上)に引く。すると、
図5Cに示すように、アタッチメント20Bの外側突出部27(首部27b)が、本体部20Aの長穴23の挿入穴23aから狭隘部23cを通って係合穴23bに移動する。
【0062】
次に、使用者は、
図5Cの矢印に示すように、本体部20Aの連結部21を下側に押し下げて、外側突起部27を軸にして本体部20Aを回転させる。これにより、本体部20Aのプッシュ部22bがブーツ13の段差部13cの後側に配置される。なお、
図5Bの矢印に示すように本体部20Aを斜め後方に引いた後に、
図5Cの矢印に示すように本体部20Aの連結部21を下側に押し下げているため、本体部20Aのプッシュ部22bがブーツ13の前部13aにぶつからずに、本体部20Aのプッシュ部22bをブーツ13の段差部13cの後側に配置させることができる。
【0063】
なお、左右一対のプッシュ部22bの下端同士の間隔がブーツ13の左右方向の幅よりも狭いため、
図5Cの状態から
図5Dの状態に移行する際に、プッシュ部22bの下端がブーツ13に接触し、ブーツ13の外形に沿って一対のプッシュ部22の間隔が外側に広がるように一対の側壁部22が弾性変形し、プッシュ部22bの下端がブーツ13の下側に回り込んだ後に、側壁部22が元の形状に戻る。これにより、
図5Dの状態では、一対のプッシュ部22bの間からブーツ13が抜けにくくなる。また、
図5Cに示す段階で側壁部22の長穴23近傍の部位がアタッチメント20Bの外側突出部27の頭部27aによって押さえられているため、
図5Cの状態から
図5Dの状態に移行する際に、一対のプッシュ部22bの間隔が外側に広がるように一対の側壁部22が弾性変形しても、本体部20Aがアタッチメント20Bから外れずに済む。
こうして、
図5Dに示すように、光コネクタに本体部20Aが装着される。
【0064】
・プッシュプル部材20の取り外し方について
プッシュプル部材20の取り外しは、装着時と逆の手順で行う。
【0065】
まず、使用者は、
図5Dの状態から本体部20Aの後側(例えば連結部21)を上側に持ち上げて、外側突起部27を軸にして本体部20Aを回転させる(
図5C参照)。これにより、一対のプッシュ部22bの間からブーツ13が外れ、本体部20Bが、アタッチメント20Bに対して長穴23に沿った方向に移動可能な状態になる。次に、使用者は、本体部20Aを長穴23に沿った方向(ここでは前方の斜め下)に向けて押す。これにより、アタッチメント20Bの外側突出部27(首部27b)が係合穴23bから狭隘部23cを通って挿入穴23aに移動する(
図5B参照)。その後、使用者は、本体部20Aの一対の側壁部22のプル部22cを外側に開き、プル部22cの長穴23の挿入穴23aからアタッチメント20Bの外側突出部27(頭部27a)を外す。これにより、本体部20Aが光コネクタ(アタッチメント20B)から取り外される(
図5A)。
【0066】
なお、本実施形態では、
図5Dの状態(プッシュ部22bがブーツ13の段差部13cの後側に配置された状態)では、本体部20Aをアタッチメント20Bに対して前側に移動させようとしても、アタッチメント20Bの外側突出部27が長穴23の挿入穴23aに達する前に、本体部20Aのプッシュ部22bがブーツ13の段差部13cと接触するため、本体部20Aを取り外すことはできない。また、本実施形態では、
図5Dの状態では、本体部20Aの一対の側壁部22のプル部22cを外側に開こうとしても、側壁部22の長穴23近傍の部位がアタッチメント20Bの外側突出部27の頭部27aによって押さえられているため、プル部22cの長穴23からアタッチメント20Bの外側突出部27(頭部27a)を外すことはできない。このため、本実施形態では、本体部20Aが誤って取り外されてしまうことを抑制できる。
【0067】
次に、使用者は、
図4Cの状態から、カップリング14に対してアタッチメント20Bを前側に相対移動させる。これにより、
図4Bに示すように、アタッチメント20Bの内側突出部26の首部26bがカップリング14の長穴15の係合穴15bから狭隘部15cを通って挿入穴15aに移動する。その後、アタッチメント20Bの内側突出部26の首部26bを挿入穴15aから引き抜く。これにより、
図4Aに示すように、アタッチメント20Bが光コネクタのカップリング14から取り外される。
【0068】
なお、本実施形態では、
図4Cに示す状態でカップリング14からアタッチメント20Bを左右外側に引き抜こうとしても、アタッチメント20Bの内側突出部26の頭部26aが引っ掛かるため、カップリング14からアタッチメント20Bを外すことはできない。このため、本実施形態では、アタッチメント20B(若しくはプッシュプル部材20)が誤ってカップリングから取り外されてしまうことを抑制できる。
【0069】
<プッシュプル部材20の使用方法>
・光コネクタの装着時(プッシュ時)
図6A及び
図6Bは、光コネクタの装着方法の説明図である。
使用者は、光コネクタにプッシュプル部材20を取り付けた状態で、例えば、親指と人差し指でプッシュ操作部22a(側壁部22の湾曲部)を摘まむ(
図6A参照)。このとき、親指と人差し指に力を入れると、プッシュ操作部22aが内側に押圧され、本体部20Aの一対の側壁部22が内側に変形し、一対のプッシュ部22bが互いに接近する。これにより、プッシュ部22bがブーツ13の段差部13cを後側から押しやすくなる。
【0070】
そして、使用者は、プッシュ操作部22aを持ちながら(摘まみながら)、光コネクタをアダプタに向かって前方に押し込む(
図6B参照)。なお、光コネクタ本体10に対して、プッシュプル部材20の本体部20Aが若干前側に移動することは許容されている。これは、本体部20Aの係合穴23bが前後方向に長く、遊びがあるためである。プッシュ操作部22aを持ちながら、光コネクタを押すことで、プッシュ部22bがブーツ13の段差部13cと接触し、ブーツ13を介して光コネクタ本体10を前方に押すことが可能となる。こうして、光コネクタ本体10がアダプタに装着される。このように、本実施形態では、ブーツ13よりも後側にプッシュ操作部22a(湾曲部)を設けているので、光コネクタを押し込む際に、摘まみやすく、押しやすい。よって、光コネクタを容易に装着することができる。
【0071】
・光コネクタの抜去時(プル時)
使用者は、例えば、人差し指をプル操作部21a(連結部21の内面)に引っ掛けて、本体部20Aを後側に引く。すると、本体部20Aの係合穴23bの前縁がアタッチメント20Bの外側突出部27(首部27b)と係合し、アタッチメント20Bが後側に引かれる。さらに、アタッチメント20Bの内側突出部26(首部26b)が、カップリング14の係合穴15bの後縁と係合し、カップリング14が後側に引かれる。これにより、カップリング14がハウジング12に対して後側にスライドし、光コネクタのラッチが解除される。このように、本実施形態では、光コネクタを抜去するとき、プル操作部21aを引っ張ればいいので、光コネクタを指で摘まむ必要がなく、容易に抜去することができる。また、プル操作部21aは、一対の側壁部22を連結する部位(連結部21)に設けられているので、左右に力を均等に加えることができる(力が偏らない)。
【0072】
また、仮に、プッシュプル部材20を設けていない場合、光コネクタの装着時にはブーツ13を摘まみながら前側に押すことになり、光コネクタの抜去時にはカップリング14を摘まみながら後側に引っ張ることになる。すなわち、光コネクタの装着時と抜去時で操作部が異なる。これに対し、プッシュプル部材20を設けた場合、光コネクタの装着時及び抜去時ともにプッシュプル部材20で操作することができる。
【0073】
<小括>
本実施形態の光コネクタは、ハウジング12及びカップリング14を有する光コネクタ本体10と、カップリング14よりも後側に位置するプル操作部21aを有するプッシュプル部材20(プル部材に相当)とを備えている。プッシュプル部材20(本体部20A及びアタッチメント20Bから構成)は、カップリング14の側面に配置される一対の側板部25を有し、この一対の側板部25は内側突出部26を有している。カップリング14は凹状の係合部である係合穴15bを有しており、プッシュプル部材20の内側突出部26がカップリング14の係合穴15bに係合した状態になっている。これにより、プッシュプル部材20のプル操作部21aを後側に引っ張ると、内側突出部26を介してカップリング14がハウジング12に対して後側に移動し、これにより光コネクタ本体10をラッチ解除できる。本実施形態によれば、カップリング14の側面に外側へ突出する部位を形成せずに済む。
【0074】
また、本実施形態では、プル操作部21aがブーツ13よりも後側に配置されている。これにより、使用者の指がプル操作部21aまで届きやすくなる。このため、仮に光コネクタが高密度に実装されている状況下でも、プル操作部21aを引っ張って光コネクタ本体10をラッチ解除しやすくなる。
【0075】
また、本実施形態では、プッシュプル部材20が本体部20Aとアタッチメント20Bとから構成されており、本体部20Aは、アタッチメント20Bを介してカップリング14の係合部(係合穴15b)と係合している。つまり、本実施形態では、プル操作部21aが設けられた本体部20Aと、側板部25及び内側突出部26が設けられたアタッチメント20Bとを別体に構成でき、プッシュプル部材20の装着が容易である。
【0076】
また、本実施形態では、本体部20Bの一対の側壁部22がプッシュ部22bを有しており、プッシュ部22bは、ブーツ13の段差部13cの後側に配置されている。これにより、光コネクタ接続時に本体部20bを前側に押し込めば、プッシュ部22bによってブーツ13を後側から押すことができ、これにより光コネクタを相手側の光コネクタやアダプタに接続できる。また、プッシュプル部材20がプル部材としての機能だけでなくプッシュ部材としての機能を備えることになるため、同じ部材(プッシュプル部材20)を操作して光コネクタの着脱が可能になるため、光コネクタの着脱操作が分かりやすくなる。
【0077】
また、本実施形態では、アタッチメント20Bが外側突出部27を有し、本体部20Aの側壁部22は外側突出部27と係合する係合穴23bを有している。これにより、外側突出部27を軸として本体部20Aを回転させることによって、ブーツ13の段差部13cの後側に配置されていたプッシュ部22bからブーツ13を外すことができる。
【0078】
また、本実施形態では、外側突出部27は、係合穴23bには通らない頭部27aと、頭部27aと側板部25との間に設けられ頭部27aよりも補足係合穴23bに挿通可能な首部27bとを有している。また、側壁部22は、頭部27aを挿入可能な挿入穴23aと、頭部27は通らない係合穴23aとから構成された長穴23を有している。そして、
図5Dの状態(プッシュ部22bがブーツ13の段差部13cの後側に配置された状態)では、プッシュ部22bがブーツ13の段差部13cと接触するため、外側突出部27が挿入穴23aに達するまで本体部20Aをアタッチメント20Bに対して移動させることはできない。これにより、本体部20Aが誤って取り外されてしまうことを抑制できる。一方、外側突出部27を軸として本体部20Aを回転させ、プッシュ部22bからブーツ13が外れると、外側突出部27が挿入穴23aに達するまで本体部20Aをアタッチメント20Bに対して移動可能な状態になる。これにより、アタッチメント20Bの外側突出部27から本体部20Aを外すことが可能になる。
【0079】
また、本実施形態では、側壁部22に傾斜面24が形成されており、ブーツ13の後部やケーブルが湾曲したときに、ブーツやケーブルが傾斜面24と当接し、本体部20Bが持ち上げられて回転する。これにより、ケーブルの湾曲時に本体部20Bがケーブルから逃げることができ、ケーブルに過剰な負荷がかかることを抑制できる。
【0080】
また、本実施形態では、
図6Aに示すように一対の側壁部22を内側に押圧すると、側壁部22が弾性変形し、プッシュ部22bの間隔を狭めることができる。これにより、光コネクタ接続時にプッシュ部22bによってブーツ13を後側から押しやすくなる。
【0081】
===その他の実施形態===
上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更・改良され得ると共に、本発明には、その等価物が含まれることは言うまでもない。
【0082】
前述の実施形態ではプッシュプル部材20において、本体部20Aとアタッチメント20Bが別体であったが、本体部とアタッチメントが一体的に構成されていてもよい。例えば、例えば、U字状のプッシュプル部材の一対の側壁部(側板部)の内面に、カップリング14の長穴15に挿入可能な内側突出部を設けても良い。
【0083】
また、前述の実施形態では、カップリング14の側面に、内側突出部26と係合する長穴15が形成されていた。但し、穴を形成する代わりに、内側突出部26と係合する溝(係合部)を形成しても良い。また、内側突出部26を前後に移動させることなく、内側突出部26と係合する構成(嵌め殺し)であってもよい。
【0084】
また、前述の実施形態では、プッシュプル部材20にプッシュ部材とプル部材の機能が備えられていたが、プッシュプル部材がプッシュ部材とプル部材の2つの部材に分かれて構成されていても良い。また、この場合、少なくてもプル部材が設けられていればよい(プッシュ部材が無くてもよい)。
【解決手段】フェルールを収容するハウジング12と、ハウジングに対して移動可能なカップリング14とを有し、ハウジングに対してカップリングを後側に移動させてラッチ状態を解除させる光コネクタ本体10と、カップリングよりも後側に位置するプル操作部21aを有するプル部材と、を備え、プル部材は、カップリングの側面に配置される一対の側板部25を有し、一対の側板部は、内面から内側に突出する内側突出部26を有し、カップリングは、凹状の係合部15を有し、プル部材の内側突出部がカップリングの係合部に係合した状態であり、プル部材のプル操作部を後側に引っ張ると、プル部材の内側突出部を介してカップリングがハウジングに対して後側に移動する。