(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。以下の実施の形態を説明するための全図において同一または類似の機能を有するものは同一または類似の符号を付すようにし、その繰り返しの説明は原則として省略する。また、以下の実施の形態では、表示装置の例として、表示用の電極間に表示用電圧が印加されることで表示画像を形成する表示機能層として、液晶層を用いる液晶表示装置を取り上げて説明する。
【0016】
なお、以下の実施の形態で説明する
図5、
図6、
図7、
図9、
図10、
図11、
図16、
図21、および
図22は断面図であるが、見易さのため、原則としてハッチングは省略している。また、各断面図において、液晶層16を構成する液晶LCを模式的に楕円形で示している。また、上記した各断面図では、同じ部材が複数設けられている場合があるが、見易さのため、複数の部材のうちの一つに符号を付し、同じ部材には共通のハッチングを付して識別している。
【0017】
(実施の形態1)
<静電容量型入力装置の動作原理>
まず、静電容量型のタッチパネル(あるいはタッチセンサ)と呼ばれる入力装置の基本的な動作原理について説明する。
図1は、静電容量型のタッチパネル(あるいは入力装置)の概要構成を示す説明図である。また、
図2は、
図1に示すタッチパネルに印加される駆動波形と、タッチパネルから出力される信号波形の関係の例を示す説明図である。また、
図3は、
図1に示す駆動電極および検出電極の配列の一例を模式的に示す説明図、
図4は
図3に対する変形例を示す説明図である。
【0018】
静電容量型のタッチパネル(あるいは入力装置)TPは、誘電層DLと、誘電層DLを介して対向配置される電極対により構成される複数の容量素子C1を備える。この電極対の一方を構成する駆動電極Txには、入力装置用の駆動回路DR1から、例えば
図2に示すような矩形波である駆動波形DWが印加される。一方、電極対の他方を構成する検出電極(あるいは入力位置検出電極)Rxからは、例えば
図2に示すように駆動波形DW、および
図1に示す容量素子C1の静電容量に応じた電流が流れ、信号波形SWが出力される。検出電極Rxから出力された信号波形SWは、入力位置を検出する検出回路DT1(
図1参照)に出力される。
【0019】
ここで、
図1に示すように指やタッチペンなど、一端が接地電位に接続された容量素子である入力具CMDを、タッチパネルTPの検出電極Rxに近づける、または、接触させると、入力具CMDに近い位置では、容量素子C1に入力具CMDの容量が追加される。このため、入力具CMDに近い位置に配置される検出電極Rxから出力される信号波形SW1は、他の位置に配置される検出電極Rxから出力される信号波形SW2よりも小さい(例えば
図2参照)。したがって、検出回路DT1では、複数の検出電極Rxのそれぞれから伝送される信号波形SWを監視して、信号波形SWの変化量に基づいて入力具CMDの位置を特定することができる。例えば、信号波形SWの変化量に予め閾値を設定し、閾値を越えた検出電極Rxの位置データを参照して、入力具CMDの位置を出力することができる。また例えば、信号波形SWの値を直接閾値と比較することもできる。
【0020】
なお、容量素子C1に入力具CMDの容量が追加される現象は、入力具CMDと検出電極Rxが接触した場合以外に、入力具CMDと検出電極Rxが近づいた場合にも発生する。したがって、検出電極Rxは、入力具CMDを配置する面に露出させなくても良く、例えば、検出電極Rxと入力具CMDの間に、カバー部材を配置して検出電極Rxを保護することができる。
【0021】
また、信号波形SWの変化量を監視する方法には、種々の変形例があり、例えば、検出電極Rxで発生する電圧値を計測する方法、あるいは、検出回路DT1に流れる単位時間当たりの電流値の積算量を計測する方法を用いることができる。
【0022】
また、駆動電極Txと検出電極Rxそれぞれの平面配置についても種々の態様を適用できる。例えば、
図3に示すように、駆動電極Txはベタパターンとし、検出電極Rxを行列状(あるいはマトリクス状)に配置することができる。あるいは
図4に示すように、駆動電極Txと検出電極Rxを、それぞれ互いに交差(好ましくは直交)するように帯状に配置することができる。この場合、複数の駆動電極Txに順次、駆動波形DW(
図2参照)を印加して、平面視における駆動電極Txと検出電極Rxの交点毎に、信号波形SW(
図2参照)の変化量を判定する。また、図示は省略するが、
図3に示す態様と
図4に示す態様を組み合わせて適用することもできる。
【0023】
<表示装置の基本構成>
次に、表示装置の基本構成について説明する。
図5は、液晶表示装置の一例の基本構成を示す要部断面図である。
【0024】
液晶表示装置は、表示機能層である液晶層の液晶分子の配向を変化させるための電界の印加方向により、大きくは以下の2通りに分類される。すなわち、第1の分類として、液晶表示装置の厚さ方向(あるいは面外方向)に電界が印加される、所謂、縦電界モードがある。縦電界モードには、例えばTN(twisted Nematic)モードや、VA(Vertical Alignment)などがある。また、第2の分類として、液晶表示装置の平面方向(あるいは面内方向)に電界が印加される、所謂、横電界モードがある。横電界モードには、例えばIPS(In-Plane Switching)モードや、FFS(Fringe Field Switching)モードなどがある。以下で説明する技術は、縦電界モードおよび横電界モードのいずれにも適用できるが、
図5では、一例として、横電界モード(詳しくはFFSモード)の表示装置を示している。
【0025】
図5に示す表示装置LCD1は、表示面側(あるいは観者VW側)に配置される前面(あるいは面)11aを有する基板11、および基板11の前面11aの反対側に、基板11と離間して配置される基板12を備える。また、表示装置LCD1は、基板11と基板12の間に配置される複数の画素電極13、および基板11と基板12の間に配置される共通電極14を備える。また、表示装置LCD1は、基板11と基板12の間に配置され、複数の画素電極13と共通電極14との間に表示用電圧が印加されることで表示画像を形成する表示機能層である液晶層16を備える。
【0026】
基板11は、カラー表示の画像を形成するカラーフィルタ(図示は省略)が形成されたカラーフィルタ基板であって、表示面側である前面11aおよび前面11aの反対側に位置する背面(あるいは面、裏面、内面)11bを有する。基板11は、例えばガラス基板などの基材の一方の面に、赤(R)、緑(G)、青(B)の3色のカラーフィルタ層を周期的に配列して構成されたカラーフィルタが貼り付けられている。カラー表示装置では、例えばこの赤(R)、緑(G)、青(B)の3色のサブピクセルを1組として、1画素(あるいは1ピクセル)を構成する。
【0027】
また、基板(あるいはアレイ基板)12は、主として画像表示用の回路が形成された回路基板であって、基板11側に位置する前面(あるいは面、内面)12aおよびその反対側に位置する背面(あるいは面、裏面)12bを有する。基板12の前面12a側には、TFT(Thin-Film Transistor)などのアクティブ素子と、複数の画素電極13がマトリクス状(あるいはアレイ状)に形成されている。また、
図5に示す例は、前記したように横電界モード(詳しくはFFSモード)の表示装置LCD1を示しているので、共通電極14も基板12の前面12a側に形成されている。共通電極14は、基板12の前面12a上に形成され、共通電極14上には絶縁層15が積層される。また、複数の画素電極13は、絶縁層15を介して共通電極14と対向するように絶縁層15上に形成される。表示装置LCD1では、表示期間において、画素電極13には画素電圧が、共通電極14には共通駆動信号がそれぞれ印加され、これにより各画素の表示電圧が画定される。
【0028】
また、図示は省略するが、基板12には、上記の他、画素電極13を駆動するための表示ドライバや画素電極13に画素信号を供給するソース線や、TFTを駆動するゲート線等の配線が形成されている。
【0029】
また、基板11と基板12の間には、画素電極13と共通電極14との間に表示用電圧が印加されることで表示画像を形成する表示機能層である、液晶層16が設けられる。液晶層16は、印加された電界の状態に応じてそこを通過する光を変調するものであり、例えば、TN、VA、FFS等の各種モードに対応した液晶LCが用いられる。なお、図示は省略するが、液晶層16と基板11、12の間には、それぞれ配向膜が形成されている。
【0030】
また、表示装置LCD1の基板12の背面12b側には、光源LSおよび、光源LSから発生した光をフィルタリングする偏光板PL1が設けられる。一方、基板11の前面11a側には、基板11を通過した光をフィルタリングする偏光板PL2が設けられる。
【0031】
また、
図5に示す例では、基板12の前面12aに、画素電極13に駆動電位を供給する駆動回路が形成された半導体チップ(あるいはドライバチップ)17、および画像表示用の駆動回路DR2と電気的に接続された配線基板18が電気的に接続されている。配線基板18は、例えば、樹脂フィルム内に複数の配線が形成され、配置場所の形状に応じて自在に変形させることができる、所謂フレキシブル配線板である。配線基板18に形成される配線には、画素電極13と電気的に接続される配線18a、および共通電極14と電気的に接続される配線18bが含まれる。なお、
図5に示す例では、基板12上に半導体チップを実装する、所謂COG(Chip on glass)方式の実施態様を例示しているが、半導体チップを実装する場所は基板12上には限定されず、例えば配線基板18に実装する方式を適用することもできる。
【0032】
図5に示す表示装置LCD1によるカラー画像の表示方法は、例えば以下の通りである。すなわち、光源LSから出射された光は、偏光板PL1によってフィルタリングされ、偏光板PL1を通過する振幅を有する光(あるいは偏光)が液晶層16に入射する。液晶層16に入射した光は、液晶LCの屈折率異方性(あるいは複屈折)に応じて偏光状態を変化させて液晶層16の厚さ方向(あるいは基板12から基板11に向かう方向)に伝搬され、基板11から出射される。この時、画素電極13と共通電極14に電圧を印加して形成される電界により、液晶配向が制御され、液晶層16は光学的なシャッターとして機能する。つまり、液晶層16において、サブピクセル毎に光の透過率を制御することができる。基板11に到達した光は、基板11に形成されたカラーフィルタにおいて、色フィルタリング処理(あるいは所定の波長以外の光を吸収する処理)が施され、前面11aから出射される。また、前面11aから出射された光は、偏光板PL2によってフィルタリングされ観者VWに到達する。
【0033】
<入力装置付き表示装置の構成>
次に、上記した入力装置の機能と、表示装置の機能を組み合わせた、入力装置付き表示装置の構成について説明する。
図6は、入力装置付き表示装置の一例の基本構成を示す要部断面図である。また、
図7は、
図6の他の入力装置付き表示装置の例を示す要部断面図である。また、
図8は、
図6に示すタッチ検出基材20に形成された導体パターンのレイアウトの一例を模式的に示す平面図である。
【0034】
図6に示す入力装置付き表示装置LCD2は、
図5を用いて説明した表示装置LCD1の基板11側に、検出電極(あるいは入力位置検出電極)Rxが取り付けられた基板21から成るタッチ検出基材20が取り付けられている。
【0035】
基板21は、表示面側(あるいは観者VW側)に配置される前面(あるいは面)21aと、前面21aの反対側に位置する背面(あるいは面、裏面)21bを有し、背面21bには、
図1を用いて説明した複数の検出電極Rxが形成されている。検出電極Rxには、配線基板23が接続され、配線基板23を介して、入力位置を検出する検出回路DT1と電気的に接続される。配線基板23は、例えば、樹脂フィルム内に複数の配線が形成され、配置場所の形状に応じて自在に変形させることができる、所謂フレキシブル配線板である。配線基板23に形成される配線には、複数の検出電極Rxと電気的に接続され、検出信号を検出回路DT1に伝送する配線23aが含まれる。
【0036】
また、タッチ検出基材20には、
図1を用いて説明した、駆動電極Txは形成されていない。入力装置付き表示装置LCD2では、
図6に示すように、表示装置LCD1の共通電極14に、
図2を用いて説明した入力位置検出用の駆動波形DWを印加する。共通電極14には、例えば
図6に示す配線基板18を介して駆動波形DW(
図2参照)を印加することができる。共通電極14は、配線基板18を介して、駆動回路DR1と電気的に接続されている。
【0037】
上記のように、共通電極14に入力位置検出用の駆動波形DWを印加する構成を別の表現で表わせば、入力装置付き表示装置LCD2では、共通電極14は、表示装置LCD1用の共通電極14としての機能と、入力装置の、駆動電極Txとしての機能を兼用する電極になっている。共通電極14と駆動電極Txを兼用化する方法としては、例えば、ある期間(あるいは1期間)をタッチ検出期間(あるいは入力期間)と、ディスプレイ書込み期間に分けることで実現できる。このように、表示装置LCD1用の共通電極14と入力装置の駆動電極Txを兼用化することで、入力装置付き表示装置LCD2の全体の厚さを薄型化することができる。
【0038】
ここで、共通電極14と駆動電極Txを兼用化する場合、
図7に示す入力装置付き表示装置LCD3のように、基板11の前面11a上に検出電極Rxを直接形成する実施態様が考えられる。言い換えれば、
図7に示す入力装置付き表示装置LCD3では、表示面側の偏光板PL2とカラーフィルタが形成された基板11の間に検出電極Rxが形成されている。さらに言い換えれば、入力装置付き表示装置LCD3では、入力装置としての検出電極Rxおよび駆動電極Txが、対向配置される偏光板PL1、PL2の間、つまり表示装置LCD1の内部に形成されている。このように表示装置の内部に入力装置としての検出電極Rxおよび駆動電極Txを形成することで、入力装置付き表示装置の厚さは最も薄型化することができる。
【0039】
しかし、本願発明者の検討によれば、
図7に示す入力装置付き表示装置LCD3のように表示装置LCD1を構成する基板11に検出電極Rxを形成する場合には、以下の問題があることが判った。すなわち、基板11に検出電極Rxを形成する場合、基板11と基板12の間に液晶層16が形成された状態で検出電極Rxを形成することになる。このため、検出電極Rxを形成する工程で、例えば、100℃を越えるような高温を印加すると、液晶LCが劣化する原因になる。一方、検出電極Rxは、表示機能層である液晶層16よりも表示面側に形成される電極なので、透明電極材料と呼ばれる電極材料により形成される。透明電極材料としては、例えば、ITO(Indium-tin-oxide)、や亜鉛酸化物などを例示することができる。これらの透明電極材料は、電極形成時に、例えば200℃程度以上の温度を印加することで、抵抗値の低減、あるいは可視光透過率の向上を図ることができる。つまり、検出電極Rxを形成する際に、印加する温度が低い(例えば25℃〜100℃程度)場合には、検出電極Rxの抵抗値の増大、あるいは、可視光透過率の低下が問題となる。
【0040】
また、前記した
図1に示すように、誘電層DLを介して駆動電極Txと検出電極Rxを対向配置する静電容量型の入力装置の場合、電極間の静電容量が大きくなると、
図2に示す信号波形SWの波形が鈍る(あるいは変化量が小さくなる)。つまり、対向配置される駆動電極Txと検出電極Rxの間に配置される誘電層DLの厚さが薄くなれば、容量素子C1の静電容量が増大し、入力位置の検出感度が低下する。これを、
図7に示す入力装置付き表示装置LCD3に当てはめると、入力装置付き表示装置LCD3では、検出電極Rxと、駆動電極Txの間の静電容量が、主として基板11の厚さ、および対向する電極間の距離により規定されることになる。したがって、基板11を薄くすれば、対向配置される駆動電極Txと検出電極Rxの間の静電容量が大きくなり、入力位置の検出感度の低下の原因となる。
【0041】
また、偏光板PL2と検出電極Rxの距離が近づくと、偏光板PL2から発生する酸などの影響により、検出電極Rxが腐食する懸念がある。したがって、検出電極Rxが腐食することによる入力位置の検出信頼性の低下を抑制する観点からは、偏光板PL2と検出電極Rxの間に、偏光板PL2で発生する酸の伝搬を防止ないしは抑制するバリア層を設けることが好ましい。
【0042】
また、表示装置LCD1のカラーフィルタ基板である基板11に電極を形成する場合、電極形成工程で、基板11が損傷するリスクが増大する。カラーフィルタの一部が損傷すると、表示欠陥の原因となるので、表示信頼性を向上させる観点から、基板11に直接、電極を形成しないことが好ましい。
【0043】
また、偏光板PL2と基板11の間に検出電極Rxを形成する場合、表示装置LCD1の製造工程に入力装置の製造工程が組み込まれることになるため、表示装置LCD1の製造工程数が増加する。したがって、表示装置LCD1の製造効率向上の観点からは、検出電極Rxは、表示装置LCD1とは別に形成することが好ましい。
【0044】
そこで、
図6に示す入力装置付き表示装置LCD2は、入力位置を検出するための検出電極Rxを表示装置LCD1とは別の基板21に形成し、基板11の前面11aとは離間するように固定されている。
図6に示す例では、検出電極Rxを形成する基板21として、表示装置LCD1を覆う、カバー部材を利用している。表示装置LCD1を覆うカバー部材である基板21に検出電極Rxを形成することで、入力装置付き表示装置LCD2の構成部材の増加を抑制できる。また、表示装置LCD1を覆うカバー部材である基板21に検出電極Rxを形成することで、入力装置付き表示装置LCD2全体の厚さを薄型化することができる。
【0045】
入力装置付き表示装置LCD2のように、検出電極Rxを表示装置LCD1とは別の基板21に形成し、表示装置LCD1とは別体のタッチ検出基材20を設けることで、表示装置LCD1とタッチ検出基材20は、それぞれ独立して製造し、後で組み立てることができる。この結果、検出電極Rxを形成する際には、例えば200℃以上の高温を印加することができる。つまり、検出電極Rxの抵抗値を低減し、入力位置の検出信頼性を向上させることができる。また、検出電極Rxの可視光透過率を向上させて、表示信頼性を向上させることができる。
【0046】
また、入力装置付き表示装置LCD2では、表示装置LCD1とは別体のタッチ検出基材20を設けることで、表示装置LCD1のカラーフィルタ基板である基板11に損傷が発生するリスクを低減することができる。また、入力装置付き表示装置LCD2では、表示装置LCD1とは別体のタッチ検出基材20を設けることで、表示装置LCD1の製造効率を向上させることができる。
【0047】
また、入力装置付き表示装置LCD2には、表示装置LCD1とは別体のタッチ検出基材20が設けられ、タッチ検出基材20の検出電極Rxは、基板11の前面11aとは離間して固定されている。このため、検出電極Rxと基板11の距離(あるいは離間距離)D1により、検出電極Rxと、駆動電極Txの間の静電容量の値を調整することができる。したがって、例えば、基板11を薄くした場合であっても、距離D1を大きくすることで、静電容量の増加を抑制できる。
【0048】
また、
図6に示す接着層22の厚さは、偏光板PL2を接着固定する接着層19よりも厚くなっており、接着層22の厚さにより、距離D1を調整している。静電容量の値を調整するために接着層19の厚さを厚くすると、偏光板PL2とカラーフィルタ基板である基板11の距離が遠くなるので、表示される画像に与える影響が大きい。
図6に示す例では、接着層22の厚さで距離D1を調整するので、接着層19の厚さは必要最小限に留めることができる。
【0049】
検出電極Rxと基板11の間に、距離D1を確保する実施態様としては、
図6に示す例の他、種々の変形例がある。例えば基板11の周縁部に図示しない枠形状のスペーサ部材を配置し、このスペーサ部材に基板21を接着固定する方法を適用することができる。この場合、検出電極Rxと基板11の間の距離D1はスペーサ部材の高さによって規定され、検出電極Rxと基板11の間には中空空間(例えば空気層など)が配置される。
【0050】
ただし、この場合、基板11がスペーサ部材を介してカバー部材である基板21と連結されるので、基板21に印加された衝撃などの外力がスペーサ部材を介して基板11に伝達され易い。このため、基板21に印加された衝撃を基板11に伝え難くする観点から、
図6に示すように、基板11(あるいは偏光板PL2)と基板21(あるいは検出電極Rx)の間に接着層22を配置し、接着層22を介して基板21を接着固定することが好ましい。接着層22は、例えば、基板21および基板11よりも低弾性の樹脂材料で構成される。また、基板21は、接着層22の接着力により偏光板PL2(または基板11)に固定されるので、接着層の周囲には、スペーサ部材など、基板11と基板21を固定するためのその他の部材は設けられていない。このため、例えば基板21に外力が印加されても、この外力を接着層22で緩和し、基板11に伝達され難くすることができる。
【0051】
また、
図6に示すように、偏光板PL2と検出電極Rxの間に接着層22を配置すれば、接着層22の厚さを厚くすることで、偏光板PL2から発生する酸などの影響により、検出電極Rxが腐食する可能性を低減できる。
図6に示す接着層22の厚さは、偏光板PL2を接着固定する接着層19よりも厚く、例えば、100μm以上である。偏光板PL2と検出電極Rxの距離を100μm以上とすれば、検出電極Rxが腐食する現象を効果的に防止することができる。なお、入力装置付き表示装置LCD3の検出精度を向上させる観点からの、接着層22の厚さの好ましい範囲については、後で詳細に説明する。
【0052】
また、入力装置付き表示装置LCD2では、表示装置LCD1とは別体のタッチ検出基材20を設けることで、基板21に、金属配線を形成することができる。入力装置付き表示装置の表示領域の平面寸法が大きくなると、例えば
図8に示すように、検出電極Rxが形成された基板21に引出配線24を形成し、引出配線24を介して配線基板23と検出電極Rxを電気的に接続することで、配線基板23のサイズを小さくすることができる。ここで、配線基板23に伝送される信号に対する引出配線24の影響を低減する観点からは、引出配線24を金属材料で形成し、インピーダンス成分を低減することが好ましい。
図8に示すタッチ検出基材20は、
図6に示す表示装置LCD1とは別に製造されるので、引出配線24を形成する際に、例えばスパッタリングなどの金属膜形成技術を適用することができる。このため、引出配線24を金属材料で形成し、インピーダンス成分を低減することができる。また、引出配線24を金属材料で形成すれば、配線幅を細くすることができるので、引出配線24の配置スペースを低減できる。このため、入力装置付き表示装置LCD2(
図6参照)全体の平面サイズを低減できる。
【0053】
また、検出電極Rxの加工性を向上させる観点から、基板21は、ガラス板とすることが好ましい。また、ガラス板の表面を圧縮して破壊耐性を向上させる処理を施した、所謂、強化ガラスを基板21として用いることが特に好ましい。ただし、基板21をガラス板とした場合には、基板21の重量が重くなるので、基板21を樹脂材料で形成し、軽量化を図ることもできる。この場合、外部に曝露する前面21a側には、基板21を損傷から保護する、保護層(あるいは背面21b側よりも硬くなるような処理が施されたハードコート層)を設けることが好ましい。
【0054】
また、
図6に示す入力装置付き表示装置LCD2では、表示装置LCD1とは別体のタッチ検出基材20を設け離間して対向配置する構成およびその効果を判り易く示すため、基板21と基板11の間に、接着層19、偏光板PL2、接着層22、および検出電極Rxのみ図示している。しかし、基板21と基板11の間に他の部材を配置することを排除するものではない。例えば
図9に示すように、静電気放電(ESD;Electro Static Discharge)による誤作動を抑制する帯電緩和層として、基板21と基板11の間に導体層(あるいは帯電緩和層)25を設けることができる。
図9は
図6に対する変形例を示す要部断面図である。
【0055】
図9に示す入力装置付き表示装置LCD4は、基板21と基板11の間に導体層25が設けられている点で、
図6に示す入力装置付き表示装置LCD2と相違する。その他の点は、入力装置付き表示装置LCD2と同様なので、重複する説明は省略する。入力装置付き表示装置LCD4が備える導体層25は、表示装置LCD1が、ESDの影響により誤動作することを防止または抑制するために設けられた帯電緩和層として機能する。静電気は、例えば、表示装置LCD1の製造工程や、ユーザによる完成品(例えば入力装置付き表示装置LCD4)の使用時などにおいて、印加される場合がある。表示装置LCD1に静電気が印加されると、表示が乱れる、などの誤動作の原因になる。したがって、表示装置LCD1の構成部材に静電気が印加された時には、静電気による電荷を外部に取り出すことが好ましい。
【0056】
そこで、
図9に示す入力装置付きLCD4では、偏光板PL2上に導体層25を形成し、導体層25を介して表示装置LCD
4に帯電した電荷を外部に取り出す構成としている。導体層25は静電気による電荷を外部に取り出す経路になるので、導電性が要求されるが、導体層25のシート抵抗値は、検出電極Rxのシート抵抗値より大きくても、帯電緩和層としては十分な効果が得られる。また、導体層25の抵抗値が低すぎると、検出電極Rxによる入力位置の検出感度が低下する原因となる。静電容量型の入力装置の場合、容量素子の間に低抵抗の導電性部材を配置すると、導電性部材がシールドとして機能し、静電容量の変化を検出し難くなるからである。このため、導体層25は、検出電極Rxよりもシート抵抗値が大きい材料、例えば、樹脂材料に導電性粒子を混合した導電性樹脂層、とすることが好ましい。また、例えば、ITOなどの透明な導電材料を使用することもできるが、この場合、検出電極Rxよりもシート抵抗が大きくなるように形成することが好ましい。導体層25の好ましいシート抵抗値は、例えば10
7Ω〜10
11Ω程度である。
【0057】
また、入力装置付き表示装置LCD4のように、偏光板PL2
に導体層25を接着固定した場合には、導体層25と検出電極Rxの間に接着層22が介在することとなる。したがって、接着層22を絶縁材料で形成すれば、導体層25を介して、複数の検出電極Rx(
図8参照)のそれぞれが短絡することを確実に防止できる。この場合、導体層25は、偏光板PL2上に形成することになるので、導体層25を形成する工程に高温プロセスを適用することが難しい。しかし、前記したように、導体層25のシート抵抗値は、検出電極Rxのシート抵抗値より大きい方が好ましいので、低温プロセスで形成することができる。
【0058】
また、前記したように導体層25はシート抵抗値が大きくても、帯電緩和層として機能させることができるので、
図9に対する変形例としては、例えば
図10や
図11に示すように、導体層25と検出電極Rxが絶縁されていなくても良い。
図10は、
図9に対する変形例を示す要部断面図、
図11は、
図9に対する他の変形例を示す要部断面図である。
【0059】
図10に示す入力装置付き表示装置LCD5は、基板21に形成された検出電極Rxと導体層25が接触している点で、
図9に示す入力装置付き表示装置LCD4と相違する。また、
図11に示す入力装置付き表示装置LCD6は、導体層25が形成されず、代わりに、基板21と偏光板PL2を接着固定する接着層22aに導電性粒子が混合されている点で、
図9に示す入力装置付き表示装置LCD4と相違する。言い換えれば、
図11に示す入力装置付き表示装置LCD6では、接着層22aには導体層が含まれる。このため、接着層22aは、タッチ検出基材20と表示装置LCD1を接着固定する接着機能と、上記した帯電緩和層の機能を兼ね備えている。その他の点は、入力装置付き表示装置LCD4と同様なので、重複する説明は省略する。
【0060】
図10に示す入力装置付き表示装置LCD5のように、検出電極Rxと導体層25を接触させる場合、導体層25に帯電した電荷を、検出電極Rxから取り出す効率が向上するので、
図9に示す入力装置付き表示装置LCD4よりも、さらにESD耐性を向上させることができる。ただし、検出電極Rxと導体層25を接触させる場合、例えば
図8に示す複数の検出電極Rxのそれぞれが、導体層25を介して短絡しない範囲で検出電極Rxと導体層25を接触させることが好ましい。導体層25のシート抵抗値を検出電極Rxのシート抵抗値よりも十分に大きくすれば、導体層25を検出電極Rxに接触させることによる誤検出は抑制できる。しかし、より確実に誤検出を防止する観点から、導体層25は、樹脂材料に導電性粒子を混合した導電性樹脂層とすることが好ましい。また、導電性粒子の粒径は、隣り合う検出電極Rxの離間距離よりも小さいことが好ましい。
【0061】
また、
図10に示す入力装置付き表示装置LCD5のように、検出電極Rxと導体層25を接触させる場合、タッチ検出基材20の製造工程で、導体層25を形成することができる。このため、導体層25の材料選択の自由度が向上する。例えば、導体層25として、ペースト状の樹脂材料に導電性粒子を混合した導電性樹脂ペーストを用いた場合、
図8に示す基板21の背面21b上に形成された複数の検出電極Rx上に塗布することができる。この場合、隣り合う検出電極Rxの間に導電性樹脂ペーストが埋め込まれるので、
図1に示す容量素子C1の静電容量を安定化させることができる。この結果、入力位置の検出精度が向上するので、検出信頼性を向上させることができる。また、隣り合う検出電極Rx間の隙間を低減することで、表示光を安定的に透過させることができる。
【0062】
また、
図9に示す入力装置付き表示装置LCD4や
図10に示す入力装置付き表示装置LCD5のように、偏光板PL2と検出電極Rxの間に導体層25を配置する場合には、インデックスマッチングのため、導体層25の屈折率は、検出電極Rxの屈折率と接着層22、または偏光板PL2の屈折率の間の値とすることが好ましい。
【0063】
また、
図11に示す入力装置付き表示装置LCD6のように、基板21と偏光板PL2を接着固定する接着層22aに導電性粒子を混合する場合、
図9や
図10に示す導体層25を形成する工程を省略することができる。このため、
図9に示す入力装置付き表示装置LCD4や
図10に示す入力装置付き表示装置LCD5と比較して、製造工程を簡略化することができる。ただし、帯電緩和層を検出電極Rxの近傍に、安定的に配置する観点からは、
図9や
図10に示すように接着層22とは別に、導体層25を形成することが好ましい。
【0064】
<接着層の好ましい厚さ>
次に、タッチ検出基材20と表示装置LCD1を接着固定する接着層22(
図11の場合には接着層22a)の厚さの好ましい値について、本願発明者が検討した結果を説明する。
図12は、
図6に示す入力装置付き表示装置のタッチ検出基材と表示装置を接着固定する接着層の厚さに関し、本願発明者が評価した結果を示す説明図である。
図12に示す評価結果は、
図6に示す接着層22の厚さを変化させて、接着層22の厚さと、検出精度の相関を調査した結果を示している。なお、
図12に示す評価では、
図6に示す基板11および偏光板PL2の厚さが異なる2種類の表示装置LCD1を準備してそれぞれに接着層22の厚さを変化させて評価した。
図12の上段(A)に記載される評価結果では、基板11の厚さが300μm(比誘電率/厚さは0.020)、偏光板PL2の厚さが100μm(比誘電率/厚さは0.030)とした。また、
図12の下段(B)に記載される評価結果では、基板11の厚さが600μm(比誘電率/厚さは0.010)、偏光板PL2の厚さが150μm(比誘電率/厚さは0.020)とした。評価指標として、入力位置の検出精度(Accuracy)を用いた。入力位置の検出精度は、座標検出の誤差の程度を表す指標であって、一般に、小型〜中型のタッチパネルでは、検出精度は±2.0mm以下が好ましいとされる。
【0065】
また、
図12に示す評価では、接着層22単独の比誘電率/厚さをA1、基板11、接着層19、偏光板PL2および接着層22の各層を組み合わせた積層体(以下、
図12の説明において単に積層体と記載する)の比誘電率/厚さをA2とし、A2/A1と検出精度の相関についても評価した。詳しくは、
図12の上段(A)では接着層22の厚さが100μmの時、
図12の下段(B)では、接着層22の厚さが500μmの時を基準とし、この基準値との差がどの程度の範囲内の時に、検出精度が±2.0mm以内に収まるのかを評価した。
【0066】
図12の(A)に示すように、厚さが300μmの比較的薄い基板11に適用する場合には、接着層22の厚さを60μm以上、160μm以下に収めれば検出精度が±2.0mm以内に収まることが判った。特に、接着層22の厚さが80μm以上、120μm以下の範囲では、検出精度が±0.4mm以内に収まるので、高精度なタッチパネルが得られる。一方、
図12の(B)に示すように、厚さが600μmの基板11に適用する場合には、接着層22の厚さを400μm以上、700μm以下に収めれば検出精度が±2.0mm以内に収まることが判った。以上より、基板11の厚さが300μm以上の場合には、接着層22の厚さは、少なくとも60μm以上とすることが好ましい。
【0067】
また、
図12の(A)および(B)で、基準値との差を示す欄を見ると、(A)、(B)いずれの場合にも、基準値との差が±10%以内にすれば、検出精度が±2.0mm以内に収まることが判った。
図12に示す基準値との差は、検出精度(検出誤差)が最小となる時のA2/A1の値(%値)を基準値とし、この基準値に対するずれの程度を%表示で示している。つまり、
図6に示す接着層22の厚さにバラツキが生じる場合、このバラツキの程度を所定の範囲内に収めることで、入力装置の入力面における検出精度の分布を均一化することができる。この所定の範囲とは、
図12に示される基準値との差の値が±10%以内になれば良い。
【0068】
しかし、接着層22は前記したように、カバー部材である基板21に印加された外力を基板11に伝達し難くするため、基板11よりも低弾性の樹脂材料で形成される。したがって、予め一定の厚さに形成された板材料とは異なり、基板21と表示装置LCD1を接着固定する際に、その厚さが調整されるので、接着層22の厚さのバラツキを低減する技術が要求される。そこで、本願発明者は、接着層22の厚さのバラツキを低減する技術について検討した。
【0069】
<接着層の厚さを制御する技術>
図13は、
図6に示すタッチ検出基材と表示装置の接着界面を拡大して示す拡大断面図である。なお、以下では、判り易さのために
図6に示す入力装置付き表示装置LCD2に適用した場合を例に取り上げて、接着層22の厚さを制御する説明するが、上記または後述する他の変形例に適用できる。
【0070】
図13に示すように、接着層22には、接着層22の厚さD2を規定する複数のスペーサ部材26が混合される。スペーサ部材26は、
図13に示す例では球形であって、複数のスペーサ部材26の直径SR1は揃っている。なお、複数のスペーサ部材26の直径SR1が揃っているとは、複数のスペーサ部材26それぞれの直径SR1がほぼ同じ値であることを意味し、例えば加工精度などの影響により直径値が異なっているものが含まれていても、許容される。また、スペーサ部材26の弾性は接着層22の弾性よりも高い。
【0071】
このように直径SR1が揃った複数のスペーサ部材26を接着層22に混合させることで、複数のスペーサ部材26は、偏光板PL2と検出電極Rx(または基板21の背面21b)の双方に接触するように挟まれる。これにより、接着層22の厚さD2は、スペーサ部材26の直径SR1の直径により規定される。つまり、複数のスペーサ部材26の直径SR1を揃えることにより、接着層22の厚さD2のバラツキを低減することができる。
【0072】
ここで、接着層22を通過する可視光への影響を考慮すると、スペーサ部材26はそれぞれ可視光に対して透明な材料を用いることが好ましい。また、接着層22を構成する樹脂材料とスペーサ部材26の屈折率を等しくすれば、スペーサ部材26が視認されなくなる。しかし、前記したように、接着層22の厚さD2は、少なくとも60μm以上、好ましくは100μm以上になるので、スペーサ部材26の直径SR1もこれに対応して少なくとも60μm以上になる。本願発明者の検討によれば、スペーサ部材26の直径SR1が大きくなれば、スペーサ部材26が視認され易くなることが判った。
【0073】
図14は、
図13に示すスペーサ部材の視認性と屈折率の関係について評価した結果を示す説明図である。
図14に示す評価は、
図13に示す接着層22の屈折率とスペーサ部材26の屈折率と、スペーサ部材26の視認性の相関関係について示している。詳しくは、接着層22の屈折率をR1、スペーサ部材の屈折率をR2とした時に、(R1−R2)/(R1+R2)の割合と、目視検査による評価結果の関係を示している。また、
図14に示す評価では、屈折率(R1)の異なる3種類の接着層22を準備して、それぞれについて、スペーサ部材26の屈折率(R2)を変化させて視認性を確認している。また、
図14に示す視認性の評価の欄では、
図13に示すスペーサ部材26の直径SR1が200μの場合と500μmの場合について評価した結果を示している。評価方法は、
図6に示す観者VW側から目視で入力装置付き表示装置LCD2を見て、スペーサ部材26が視認できた時には×を、視認できなかった時は○を、それぞれ付している。
【0074】
図14に示すように、(R1−R2)/(R1+R2)とスペーサ部材26の視認性には相関が認められた。すなわち、
図13に示すスペーサ部材26の直径SR1が200μm以下の場合には、(R1−R2)/(R1+R2)の値は、±3.0%以内にすれば、スペーサ部材26は、ほぼ視認されなくなる。また、スペーサ部材26の直径SR1が500μm以下の場合には、(R1−R2)/(R1+R2)の値は、±2.0%以内にすれば、スペーサ部材26は、ほぼ視認されなくなる。
【0075】
本実施の形態によれば、直径SR1が60μmを越えるような大きなスペーサ部材26を接着層22に混合する場合であっても、上記の範囲内で、接着層22の屈折率とスペーサ部材26の屈折率を揃えることにより、スペーサ部材26に起因する表示信頼性の低下を抑制できる。
【0076】
<入力装置付き表示装置の製造方法>
次に、本実施の形態で説明した入力装置付き表示装置の製造方法について説明する。なお、以下の説明では、代表例として、
図6に示す入力装置付き表示装置LCD2の製造方法を取り上げて説明し、その他の変形例については、相違点を簡単に説明する。
図15は、
図6に示す入力装置付き表示装置の製造工程の概要を示す組立てフロー図である。なお、以下の説明で言及する詳しい部材については、上記した
図5〜
図11を適宜参照して説明する。
【0077】
図15に示すように、本実施の形態の入力装置付き表示装置の製造方法には、表示装置組立工程と、タッチ検出基材組立工程と、タッチ検出基材搭載工程が含まれる。
【0078】
まず、表示装置組立工程では、
図6に示すLCD1のうち、光源LSを除く各部材の組立てを行う。本工程には、
図15に示すようにアレイ基板組み立て工程、フィルタ基板準備工程、および重ね合わせ工程が含まれる。
【0079】
アレイ基板組み立て工程では、予めTFTが形成された
図6に示す基板12の前面12a上に、各部材を順次形成する。すなわち、基板12の前面12a上に、共通電極14、絶縁層15、画素電極13を順次形成する。ここで、共通電極14や画素電極13には、例えばITOなどの透明電極材料を用いて形成するが、液晶層16を形成する前であれば、加熱することができる。したがって、液晶層16を形成する前に、共通電極14および画素電極13を、例えば200℃程度以上の温度で加熱することで、共通電極14および画素電極13の抵抗値の低減、あるいは可視光透過率の向上を図ることができる。なお、本工程では、
図6に示す共通電極14、絶縁層15、画素電極13の他、例えば配向膜なども形成する。また、液晶層16は、アレイ基板組立工程で、画素電極13を形成した後で、形成することができる。また、変形例としては、
図15に示す重ね合わせ工程の後で、基板11と基板12の間に液晶LCを注入して形成することもできる。
【0080】
また、
図6に示す基板11は、
図15に示すフィルタ基板に相当する。フィルタ基板組立工程では、
図6に示す基板11を準備して、背面11b側に、例えば図示しない配向膜などを形成する。また、フィルタ基板組立工程では、配向膜以外に例えば、カラーフィルタなどを形成することができる。ただし、
図15に示す基板エッチング工程で、基板11の厚さを薄くするので、本工程では、基板11の背面11b側に配置される部材を形成する。
【0081】
また、
図15に示す重ね合わせ工程では、基板11と基板12の平面視における相対位置を位置合わせして、基板11の背面11bと基板12の前面12aが対向するように、重ね合わせる。既に液晶層16が形成されている場合には、本工程により、基板11と基板12の間に液晶層16が封入される。
【0082】
次に、
図15に示す基板エッチング工程では、基板11の前面11a側および基板12の背面12b側の一部をそれぞれ取り除き、薄型化する。このように、基板11と基板12を重ね合わせた後で、それぞれ薄型化することにより、アレイ基板組立工程から重ね合わせ工程までの各工程において、基板11、12の損傷を抑制することができる。
【0083】
また、
図15に括弧を付して示すICチップ実装工程および、配線基板実装工程では、
図6に示す半導体チップ17および配線基板18を実装する。この時、基板12の前面12a側には、共通電極14および画素電極13のそれぞれと電気的に接続された引出配線(図示は省略)が形成されている。本工程では、この引出配線と、配線基板18に形成された複数の端子(図示は省略)をそれぞれ電気的に接続する。配線基板18は上記したように、例えばフレキシブル配線板である。電気的な接続方法は、特に限定されないが、例えば樹脂フィルム中に導電路を形成するための導電性部材(例えば導電性粒子)が埋め込まれた、所謂、異方性導電膜(ACF:Anisotropic Conductive Film)を介して接続(あるいは圧着接続)することで、半田などの接合材を用いることなく電気的に接続できる。半導体チップ17も同様に異方性導電膜を介してTFTと電気的に接続することができる。なお、上記したように半導体チップ17を実装する場所は、基板12上には限定されず、例えば配線基板18に実装する方式を適用することもできる。配線基板18を実装するタイミングにも種々の変形例があり、例えば、基板エッチング工程の前、あるいは、偏光板搭載工程の後で行うことができる。ただし、基板エッチング工程による配線基板18の損傷を防止する観点からは、
図15に示すように基板エッチング工程の後が好ましい。また、配線基板18を接続する際に、偏光板PL1、PL2が損傷することを防止する観点から偏光板搭載工程の前が好ましい。
【0084】
また、
図15に示す偏光板搭載工程では、
図6に示す偏光板PL1、PL2を搭載する。本工程では、例えばフィルム状に形成された接着層19を介して偏光板PL1を基板12の背面12bに、偏光板PL2を基板11の前面11aにそれぞれ接着固定する。
【0085】
なお、
図9に示す入力装置付き表示装置LCD4のように、基板11の前面11a上に接着層19を介して偏光板PL2を接着固定する場合には、
図15に括弧を付して示すように、偏光板搭載工程の後、導体層形成工程を行う。一方、
図6、
図10、
図11に示す入力装置付き表示装置LCD2、LCD5、LCD6の場合には、偏光板搭載工程の後の導体層形成工程は行わない。
【0086】
また、本実施の形態では、上記したように、表示装置LCD1とは別に、タッチ検出基材20を形成するので、
図15に示すように、タッチ検出基材組立工程が含まれる。本工程は、表示装置組み立て工程から独立して行うことができるので、表示装置組み立て工程との順番の前後は限定されない。
【0087】
このタッチ検出基材組立工程には
図6に示す基板21を準備する基板準備工程が含まれる。また、タッチ検出基材組立工程には、例えば
図8に示すようなパターンで複数の検出電極Rxを形成する検出電極形成工程が含まれる。この検出電極形成工程では、基板21の背面21b側に、例えばITOなどの透明電極材料を一様に形成した後、不要な部分を取り除いて例えば
図8に示すようなパターンを形成する。また、検出電極形成工程において、例えば200℃程度以上の温度で加熱することで、検出電極Rxの抵抗値を低減させることができる。また、検出電極Rxの可視光透過率を向上させることができる。また、
図8に示すような金属製の引出配線24を形成する場合は、検出電極Rxを検出した後、あるいは、検出電極Rxを形成する前に、例えばスパッタリングなどの金属膜形成技術により形成することができる。
【0088】
ここで、
図7に示す入力装置付き表示装置LCD3のように、基板11の前面11aに検出電極Rxを形成する場合、
図15に示す基板エッチング工程の後、偏光板搭載工程の前に形成することになる。この時点ではすでに液晶層16が形成されているので、液晶LCの劣化を抑制するためには、検出電極Rxを形成する際に加わる温度は、高くても70℃程度未満に抑えることが好ましい。つまり、
図6に示す入力装置付き表示装置LCD2は、表示装置LCD1を構成しない基板21に検出電極Rxを形成することにより、検出電極Rxを形成する際に例えば200℃程度の高温を印加することが可能になる。
【0089】
次に、
図6に示す入力装置付き表示装置LCD2や
図11に示す入力装置付き表示装置LCD6の場合には、
図15に示す配線基板実装工程の後、タッチ検出基材検出工程に進むが、
図10に示す入力装置付き表示装置LCD5の場合には、導体層形成工程を行う。導体層形成工程は、検出電極形成工程の後で、かつ、タッチ検出基材搭載工程の前に行う。本工程では、ペースト状の樹脂材料中に導電性粒子を混合させた導電性樹脂材料を塗布することにより、
図8に示す複数の検出電極Rxを覆う。その後、導電性樹脂材料の樹脂成分を硬化させれば、複数の検出電極Rxを覆う導体層25が得られる。導体層25のシート抵抗値など、好ましい態様については既に説明した通りなので重複する説明は省略する。
【0090】
このように、ペースト状の材料を塗布する製造方法を適用することにより、隣り合う検出電極Rxの間に導電性樹脂材料を埋め込むことができる。このため、
図1に示す容量素子C1の静電容量を安定化させることができる。この結果、入力位置の検出精度が向上するので、検出信頼性を向上させることができる。また、隣り合う検出電極Rx間の隙間を低減することで、表示光を安定的に透過させることができる。
【0091】
次に、
図15に示すように、タッチ検出基材組立工程には、配線基板実装工程が含まれる。この配線基板実装工程では、例えばフレキシブル配線板である配線基板23を基板21の背面21bに形成された複数の端子と電気的に接続する。電気的な接続方法は、特に限定されないが、例えば上記した配線基板18と同様に、異方性導電膜を介して接続(あるいは圧着接続)することで、半田などの接合材を用いることなく電気的に接続できる。
【0092】
なお、詳細は後述するが、配線基板23を接合しない実施態様の場合には本工程は省略できるので、
図15では括弧を付して示している。
【0093】
次に、
図15に示すタッチ検出基材搭載工程の準備として、接着層形成工程を行う。本工程では、例えば、
図6に示す偏光板PL2上に接着層22を配置する。接着層22は、例えば紫外線硬化性樹脂であって、硬化前にはペースト状または液状になっている。このため、本工程では接着層22を偏光板PL2上に塗布することで、ペースト状の接着層22を配置する。このようにペースト状または液状の接着層22を用いることで、接着層22の接着界面における隙間の発生を抑制できる。例えば
図6に示すように検出電極Rxと接着層22を密着させる場合であっても隣り合う検出電極Rxの隙間に接着層22を埋め込むことができる。なお、
図11に示す導電性粒子が混合された接着層22aを形成する場合には、ペースト状の樹脂材料中に予め導電性粒子を混合しておけば、同様の工程で形成することができる。また、
図13を用いて説明したスペーサ部材26を混合させる場合にも同様である。
【0094】
次に、
図15に示すタッチ検出基材搭載工程として、タッチ検出基材20を表示装置LCD1に接着固定する。本工程では、まず、表示装置LCD1とタッチ検出基材20の位置合わせを行い、表示装置LCD1の基板11の前面11aと基板21の背面21bが対向するように配置する。この時、前面11a上には接着層22が、硬化前のペースト状態で塗布されている。このため、タッチ検出基材20と接着層22を密着させるためには、大きな押しつけ力は必要なく、基板21の自重に加えて若干の荷重を加える程度で密着させることができる。また、この時、隣り合う検出電極Rxの間には、隙間を埋めるように接着層22が埋め込まれる。
【0095】
しかし、タッチ検出基材20と接着層22を密着させるために必要な荷重が小さい場合、接着層の厚さD2(
図13参照)の制御は難しくなる。そこで、
図13を用いて説明したように、接着層22にスペーサ部材26を混合することで、接着層22の厚さD2を制御することが好ましい。
【0096】
タッチ検出基材20と接着層22を密着させた後、接着層22の樹脂成分を硬化させてタッチ検出基材20を接着固定する。例えば、接着層22に紫外線硬化性樹脂材料を用いれば、紫外線を照射することで硬化させることができるので、接着層22を硬化させる際の液晶LCの劣化を防止または抑制できる。接着層22が硬化すると、基板21は、検出電極Rxと基板11の前面11aが離間した状態で表示装置LCD1に固定される。
【0097】
以上の工程により
図6に示す入力装置付き表示装置LCD2(光源LSは除く)が得られる。その後、得られた入力装置付き表示装置LCD2を、図示しない筐体に組み込んで、タッチパネルが組み込まれた電子機器を得ることができる。
図6に示す光源LSは、予め筐体に組み込んでおくことができる。
【0098】
なお、
図9、
図10、
図11に示す入力装置付き表示装置LCD4、LCD5、LCD6の製造方法については、入力装置付き表示装置LCD2の製造方法との相違点を説明したので重複する説明は省略する。
【0099】
(実施の形態2)
前記実施の形態1では、表示装置LCD1とタッチ検出基材20に、それぞれ配線基板18、23を接続する実施態様について説明した。しかし、入力装置付き表示装置に接続される配線基板を減らし、実装スペースを小型化する観点からは、配線基板18と配線基板23を統合することが好ましい。本願発明者の検討によれば、前記実施の形態で説明したように、タッチ検出基材20の検出電極Rxが形成される面(例えば背面21b)と、表示装置LCD1の配線基板18が形成される面(例えば前面12a)が、互いに対向している場合、特に、配線基板18、23を統合しやすいことが判った。本実施の形態では、前記実施の形態で説明した、タッチ検出基材20用の配線基板23と、表示装置LCD1用の配線基板18を統合した実施態様について説明する。
図16は
図6に対する変形例を示す拡大断面図である。また、
図17は、
図16に示す配線基板の平面視における配線レイアウトの例を模式的に示す説明図である。
【0100】
図16に示す入力装置付き表示装置LCD7は、
図6に示す配線基板23が設けられていない点で、入力装置付き表示装置LCD2と相違する。入力装置付き表示装置LCD7の基板12の前面12aには、接続端子31が設けられる。また、入力装置付き表示装置LCD7の基板21の背面21bには、接続端子32が設けられる。そして、接続端子31と接続端子32は、接続端子31、32の間に配置される導通材(あるいは対向基板間導通材、導電性部材)30を介して電気的に接続されている。
【0101】
接続端子31は、基板12に接続された配線基板33と電気的に接続される。また、接続端子32は検出電極Rxと電気的に接続される。
図16では、判り易さのため、接続端子31、32を独立した部材として図示しているが、接続端子31、32は、独立した部材には限定されない。例えば、基板21に形成された検出電極Rxの一部を接続端子32として兼用することができる。また、基板12に形成され、画素電極13または共通電極14と電気的に接続される図示しない引出配線の一部を接続端子31とすることができる。また、導通材30は、接続端子31と接続端子32の間を電気的に接続する導電性部材であって以下のような材料を例示することができる。例えば、樹脂基材(あるいは絶縁基材)中に導電性材料(あるいは導電性粒子)が混合され、この導電性材料を接続端子31と接続端子32の間を電気的に接続する、所謂、異方導電性樹脂を導通材30として用いることができる。あるいは、ゴムなどの絶縁性材料と、接続端子31、32間を接続する導電性材料が交互に配置され、複数の導通経路を確保する、ゼブラゴム(あるいは異方導電性ゴム)と呼ばれる導電性部材を用いることができる。
【0102】
また、配線基板33は、例えば
図6に示す配線基板18や配線基板23と同様に、樹脂フィルム内に複数の配線が形成され、配置場所の形状に応じて自在に変形させることができる、所謂フレキシブル配線板である。ただし、
図17に示すように配線基板33に形成される配線には、画素電極13と電気的に接続される配線18a、および共通電極14と電気的に接続される配線18bに加え、複数の検出電極Rxと電気的に接続される配線23aが含まれる。また、
図16に示すように配線基板33は、入力装置用の駆動回路DR1、画像表示用の駆動回路DR2、および入力位置を検出する検出回路DT1と電気的に接続される。
【0103】
つまり、入力装置付き表示装置LCD7では、基板21の背面21bと基板12の前面12aが対向する領域内で、画素電極13、共通電極14(
図16では駆動電極Txと兼用)、および検出電極Rxに接続される複数の導通経路を基板12側に集約する。これにより、
図6に示すタッチ検出基材20用の配線基板23と、表示装置LCD1用の配線基板18を、
図16に示す配線基板33に統合することができる。なお、上記した各電極に接続される複数の導通経路を集約する基板は、対向配置される基板のうちの一方であれば良い。つまり、図示は省略するが、変形例として、基板21側に配線基板33を接続し、基板21側に集約することもできる。
【0104】
また、入力装置付き表示装置LCD7では、接続端子31は基板12の周縁部に設けられ、接続端子32は、基板21の周縁部であって、かつ、接続端子32と対向する位置に配置される。このように、基板12、21の周縁部において接続端子31、32を対向配置させて、その間に導通材30を配置することにより、導通材30が、周縁部において基板12、21を支持することになる。つまり、導通材30は、基板12、21の周縁部の支持強度を補強する、補強部材として機能する。また、基板12、21の周縁部において接続端子31、32を対向配置させることにより、基板12、21間を電気的に接続するスペースを最小化することができる。
【0105】
上記以外の点では、入力装置付き表示装置LCD7は、構造上、
図6に示す入力装置付き表示装置LCD2と同様なので、重複する説明は省略する。また、
図16に示す入力装置付き表示装置LCD7の製造方法は、以下の点を除き、
図15を用いて説明した入力装置付き表示装置の製造方法と同様である。すなわち、入力装置付き表示装置LCD7の製造方法では、
図15に示すタッチ検出基材組立工程に記載される配線基板実装工程を省略することができる。また、表示装置組立工程およびタッチ検出基材組立工程の後に、
図16に示す接続端子31、32を、導通材30を介して電気的に接続する。基板間接続工程が追加される。この基板間接続工程のタイミングは、導通材30にどのような導電性部材を用いるかにより異なる。例えば、ペースト状の異方導電性樹脂を用いる場合には、タッチ検出基材搭載工程において、一括して基板間を電気的に接続することができる。また、予め成形された異方導電性樹脂や異方導電性ゴムを用いる場合には、導通材30の一方の端部を接続端子31または接続端子32に圧着しておく。そして、タッチ検出基材搭載工程において、他方の端部を圧着する。
【0106】
次に、
図16に示す入力装置付き表示装置LCD7の変形例について説明する。
図18は
図16に示す接続部に対する第1の変形例の要部拡大断面図である。
図19は
図16に示す接続部に対する第2の変形例の要部拡大断面図である。また、
図20は
図16に示す接続部に対する第3の変形例の要部拡大断面図である。
【0107】
図18に示す入力装置付き表示装置LCD8は、接続端子31が配線基板33に形成され、導通材30は、基板12を介さずに、配線基板33と電気的に接続されている点で、
図16に示す入力装置付き表示装置LCD7とは異なる。また、
図19に示す入力装置付き表示装置LCD9は、接続端子32が配線基板33に形成され、導通材30は、基板21を介さずに、配線基板33と電気的に接続されている点で、
図16に示す入力装置付き表示装置LCD7とは異なる。つまり、接続端子31、32のうち、いずれか一方を配線基板33に形成する。
【0108】
このように、接続端子31、32のうち、いずれか一方を配線基板33に形成することで、基板12または基板21の一方を介さずに、導通材30を配線基板33と電気的に接続することができる。この場合、
図16に示す入力装置付き表示装置LCD7よりも配線基板33と導通材30の接続抵抗を低減することができる。導通材30と接続端子31、32の接続部分には、例えば、図示しない異方性導電膜を介在させて、圧着法により接続することができる。
【0109】
また、
図20に示す入力装置付き表示装置LCD10は、
図16に示す導通材30に代えて、配線基板33を介して接続端子31、32を電気的に接続している点で、
図16に示す入力装置付き表示装置LCD7と相違する。つまり、配線基板33が
図16に示す導通材30の機能(あるいは基板21側と基板12側を電気的に接続する機能)を兼ねている。配線基板33は、上記したように、例えばフレキシブル配線板なので、配線基板33を変形させることで、接続端子31、32の双方に容易に接続することができる。接続端子31、32との接続部分には、例えば、図示しない異方性導電膜を介在させて、圧着法により接続することができる。
【0110】
図20に示す入力装置付き表示装置LCD10の場合、導通材30を設けない点で、
図16に示す入力装置付き表示装置LCD7よりも部品点数を削減することができる。また、フレキシブル配線板のように基板12、21を支える強度の低い部材で接続端子31、32を接続することにより、基板21から印加された外力が、基板12側に伝達され難くなる。このため、基板12の損傷を抑制することができる。
【0111】
<その他の変形例>
以上、本願発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
【0112】
例えば、前記実施の形態1および前記実施の形態2では表示装置の例として、横電界モード(詳しくはFFSモード)の表示装置LCD1を取り上げて説明したが、
図21に示すような縦電界モードの表示装置LCD11を適用することもできる。
図21は
図6に対する変形例を示す要部断面図である。
図21に示す表示装置LCD11は、共通電極14が、基板11の背面11b側に形成されている点で、
図6に示す表示装置LCD1と相違する。つまり、表示装置LCD11は、液晶表示装置の厚さ方向(あるいは面外方向)に電界が印加される、所謂、縦電界モードになっている。
図21に示す入力装置付き表示装置LCD12は、上記下相違点以外の点は、共通電極14と、駆動電極Txを兼用化させる点も含めて
図6に示す入力装置付き表示装置LCD2と同様である。このように縦電界モードの表示装置LCD11であっても、前記実施の形態で説明した技術を適用して入力装置付き表示装置LCD12を得る事ができる。
【0113】
また例えば、前記実施の形態1および前記実施の形態2で説明した技術を、液晶表示装置の他、有機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイなどの表示装置に適用することができる。
【0114】
また例えば、前記実施の形態1や前記実施の形態2では、変形例を説明する際に、最初に代表例として説明した
図6に示す入力装置付き表示装置LCD2に対する変形例として説明したが、既に説明した変形例同士を組み合わせて適用することもできる。
【0115】
また例えば、前記実施の形態2では、
図6に示す入力装置付き表示装置LCD2に対する変形例として、配線基板18と配線基板23を統合する実施態様について説明した。しかし、入力装置用の回路と、表示装置用の回路が、互いに対向する基板の対向面に集約されていれば、前記実施の形態2で説明した技術を適用することにより、配線基板を共通化することができる。例えば、
図22に示す入力装置付き表示装置LCD14のように、基板11上に入力装置用の駆動電極Txを設けた場合にも適用することができる。
図22は
図16に対する他の変形例を示す要部断面図である。
【0116】
図22に示す、入力装置付き表示装置LCD14の場合、表示装置LCD13の基板11の前面11a側に入力装置用の駆動電極Txが設けられている点で、
図16に示す入力装置付き表示装置LCD7と相違する。つまり、入力装置付き表示装置LCD14は、入力装置用の駆動電極Txが表示装置用の共通電極14と兼用化されず、独立して設けられている。なお、図示は省略するが、基板11の前面11a側に設けられた駆動電極Txは、図示しない導通材(あるいは導電性部材)を介して一旦、基板21側に引き出されている。つまり、入力装置用の検出回路DT1と駆動回路DR1は、基板21側に集約される。このため、回路構成をシンプルにすることができる。
【0117】
ただし、
図22に示すように、駆動電極Txと検出電極Rxの間に基板11が介在しなくなるため、
図16に示す入力装置付き表示装置LCD7よりも距離D1を大きくする必要があるので、薄型化の観点からは、入力装置付き表示装置LCD7の方が好ましい。また、前記実施の形態1で説明したように、基板11の前面11aに透明電極を形成することによる課題を解決する観点からも入力装置付き表示装置LCD7の方が好ましい。