【課題を解決するための手段】
【0011】
この目的は、容器の少なくとも1つのキャビティを塞いでいる少なくとも1つの封止膜に孔をあけるための孔あけシステムであって、
前記封止膜を穿刺する孔あけ部材と、
前記キャビティが有している可能性がある静電荷を取り除くためのイオン化装置と、を備え、
前記イオン化装置が、イオン化特性を示すように構成された前記孔あけ部材を含んでいる、孔あけシステムによって達成される。
【0012】
本発明のシステムでは、容器を塞いでいる封止膜に孔をあける作業及び当該容器をイオン化する作業は、本明細書中において「イオン化装置」と呼ばれる1つの共通部材によって実施される。
【0013】
まず、イオン化装置は、交互に正の電荷と負の電荷を帯びたイオンの流れを発生させるように構成され、このイオンの流れは、周囲の空気によって容器に伝わる。この電荷符号の交互変化は、容器の壁が有している静電荷を取り除くことを可能にする。
【0014】
さらに、イオン化装置は、充填されるべき容器の封止膜に孔をあけることができるように形成されている。
【0015】
したがって、これら2つの作業は、同時に、又は少なくとも1つの共通の工程の間に、実施されることが可能である。
【0016】
さらに、これらの設定によって、イオン化装置はまた、封止膜と接触し、ひいては容器のキャビティに非常に接近する、又は実際に当該キャビティに貫入する。さらに、イオン化装置の中心軸は、容器の中心軸と一直線に並びうる。したがってこのイオン化は、イオン化スパイクの一片がゲルカードのウェルから離れて、かつウェルに対して傾斜していることが必要であった先行技術の装置と比べて、より効率的で、より速い。
【0017】
ある実施形態において、前記孔あけ部材は、前記封止膜を貫通することによって、前記容器の前記キャビティに貫入するように設計された孔あけスパイクを含んでいる。
【0018】
ある実施形態において、イオン化装置はさらに、孔あけスパイクの周りに、孔をあけないイオン化スパイクを含んでいる。
【0019】
ある実施形態において、前記容器は、前記封止膜によって塞がれた複数のウェルを含むゲルカードであって、前記ウェルのそれぞれが1つ又は複数の試薬を収容しており、及び前記キャビティは、前記ゲルカードにおける1つのウェルである。
【0020】
1つの実施形態において、孔あけ部材は、電圧源に接続されている。好ましくは、前記孔あけ部材は、コロナ作用を発生させる電位となるように構成されている。
【0021】
本発明はまた、容器の少なくとも1つのキャビティを塞いでいる少なくとも1つの封止膜に孔をあけるための孔あけ方法であって、
前記キャビティを開口するために、前記封止膜に孔をあけることと、
前記キャビティが有している可能性がある静電荷を除去することと、を含み、
前記封止膜の孔あけ及び前記静電荷の除去が、1つの共通部材、すなわちイオン化特性を示すように構成された孔あけ部材によって実施される、孔あけ方法を提供する。
【0022】
本発明によると、容器のキャビティからの静電荷の除去(すなわちイオン化)は、孔あけの間及び/又は後に実施される。
【0023】
一般的に、前記封止膜の孔あけ及び前記静電荷の除去は、同時に実施される。
【0024】
1つの実施において、孔あけ部材及び容器のキャビティが互いに対向して設置され、当該孔あけ部材が、キャビティ内に挿入され、その後キャビティから引き抜かれ、それによって当該キャビティを塞いでいる封止膜に孔があけられ、キャビティへの孔あけ部材の挿入開始と、キャビティからの孔あけ部材の引き抜き終了との間の少なくとも一瞬に、当該孔あけ部材がイオン化特性を示す。
【0025】
通常、当該孔あけ部材は、ある電位、特にコロナ作用を発生させる電位となった場合にイオン化特性を有する導体素子を含んでいる。当該孔あけ部材に加えられる電位は、上記方法の実施の間、必要に応じて制御及び調節されてもよい。したがって、当該孔あけ部材は、ある時点で、又は連続的にイオン化特性を示してもよい。
【0026】
有利な実施において、前記キャビティへの前記孔あけ部材の挿入開始から、前記キャビティからの前記孔あけ部材の引き抜き終了まで、前記孔あけ部材は連続して、又は実質的に連続してイオン化特性を示す。
【0027】
ある実施において、前記方法は、少なくとも、
前記孔あけ部材及び前記容器を入口位置に設置する工程と、
前記孔あけ部材を、前記キャビティ内の、前記封止膜に孔があけられる押し込み位置まで挿入する工程と、
前記キャビティから前記孔あけ部材を引き抜き、前記孔あけ部材及び前記容器を出口位置に設置する工程と、を連続して含んでいる。
【0028】
入口位置は、孔あけ部材がキャビティの注入口付近に位置する位置であり、具体的には孔あけ部材がキャビティと対向する位置であり、より具体的には孔あけ部材がキャビティの中心軸と一直線に並ぶ位置である。
【0029】
同様に、出口位置は、孔あけ部材がキャビティの排出口付近に位置する位置であり、具体的には孔あけ部材がキャビティと対向する位置であり、より具体的には孔あけ部材がキャビティの中心軸と一直線に並ぶ位置である。
【0030】
ある実施では、前記方法は、
前記孔あけ部材を前記封止膜上方の入口位置に設置する工程と、
前記孔あけ部材を、前記キャビティ内の、前記封止膜に孔があけられる押し込み位置まで下げる工程と、
前記孔あけ部材を、前記押し込み位置から前記キャビティ上方に位置する出口位置まで引き上げる工程と、を含んでいる。
【0031】
ある実施では、前記方法は、
前記容器を、前記孔あけ部材に対向する入口位置に設置する工程と、
前記孔あけ部材が、前記キャビティ内の、前記封止膜に孔があけられる押し込み位置まで貫入するように、前記孔あけ部材に前記容器を近づける工程と、
前記孔あけ部材に対向して位置する出口位置に前記容器を運ぶことによって、前記孔あけ部材から前記容器を遠ざける工程と、を含んでいる。
【0032】
いずれにしても、続く工程において、容器を孔あけ部材から遠ざけることが可能であり、逆もまた同様に可能である。
【0033】
ある実施では、前記孔あけ部材及び前記容器が、前記押し込み位置で所定の時間保持される。
【0034】
ある実施では、前記孔あけ部材を前記キャビティ内に挿入すること及び前記キャビティから前記孔あけ部材を引き抜くこと、すなわち前記孔あけ部材を下げて及び上げること、又は、前記容器を上げて及び下げることが、連続した往復動作で実施される。言い換えれば、孔あけ部材又は容器は、当該孔あけ部材が、当該容器のキャビティにおける押し込み位置で静止状態に保持されていない間、連続した往復動作で移動する。
【0035】
ある実施では、前記封止膜に孔があけられた後に、前記孔あけ部材及び前記容器は、前記出口位置で所定の時間静止状態に保持される。
【0036】
ある実施では、前記孔あけ部材を挿入すること(すなわち、入口位置から押し込み位置に、孔あけ部材を下げること又は容器を上げること)は、第一の所定速度で実施され、前記孔あけ部材を引き抜くこと(すなわち、押し込み位置から出口位置に、孔あけ部材を上げること又は容器を下げること)は、第一の所定速度と等しくてもよく、小さくてもよく、又は大きくてもよい第二の所定速度で実施される。
【0037】
種々の実施形態及び実施が、本明細書に記載されている。しかし、特別の定めのない限り、1つの実施形態又は実施を参照して記載された特徴は、他の実施形態又は実施に適用されてもよい。
【0038】
本発明の他の特徴及び利点は、非限定的な例として挙げられた本発明における実施形態に関連する以下の記述を読むことで明らかになる。この記述は、添付している図面を参照して与えられている。