特許第6118903号(P6118903)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6118903
(24)【登録日】2017年3月31日
(45)【発行日】2017年4月19日
(54)【発明の名称】コンタクト要素
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/11 20060101AFI20170410BHJP
【FI】
   H01R13/11 302N
   H01R13/11 301Z
【請求項の数】6
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2015-531477(P2015-531477)
(86)(22)【出願日】2013年7月22日
(65)【公表番号】特表2015-529962(P2015-529962A)
(43)【公表日】2015年10月8日
(86)【国際出願番号】EP2013002159
(87)【国際公開番号】WO2014040670
(87)【国際公開日】20140320
【審査請求日】2016年5月24日
(31)【優先権主張番号】202012008961.7
(32)【優先日】2012年9月17日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】506333314
【氏名又は名称】ローゼンベルガー ホーフフレクベンツテクニーク ゲーエムベーハー ウント ツェーオー カーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100072718
【弁理士】
【氏名又は名称】古谷 史旺
(74)【代理人】
【識別番号】100116001
【弁理士】
【氏名又は名称】森 俊秀
(72)【発明者】
【氏名】マルティン ツェプハウザー
(72)【発明者】
【氏名】ヴィレム ブラークボルン
(72)【発明者】
【氏名】ヘルムート ミュールフェルナー
【審査官】 片岡 弘之
(56)【参考文献】
【文献】 特表平7−502137(JP,A)
【文献】 特開2009−289625(JP,A)
【文献】 実開平3−062466(JP,U)
【文献】 特表2011−511418(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 13/11
H01R 4/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
相手方コンタクト要素(3)のコンタクト面(6)と電気的に接触するためのコンタクト要素(2)と、前記コンタクト要素(2)と接触するための前記コンタクト面(6)を備える前記相手方コンタクト要素(3)とを備えるシステムであり、
前記コンタクト要素(2)は、少なくとも一部分にコーティングを施した基体と、少なくとも2つのコンタクトポイント(4,5)を形成するコンタクト領域とを備えるシステムであって、
前記2つのコンタクトポイント(4,5)は、新品の状態において、前記相手方コンタクト要素(3)の前記コンタクト面(6)からの距離に関して互いから区別をつけられ、それにより、新品の状態では、第1のコンタクトポイント(4)が前記コンタクト面(6)と接触し、前記第1のコンタクトポイント(4)が所定量磨耗した後では、第2のコンタクトポイント(5)が前記コンタクト面(6)と接触し、
前記第2のコンタクトポイント(5)は、前記第1のコンタクトポイント(4)の領域においてコーティングが磨耗により剥がれたときに前記コンタクト面(6)と接触することを特徴とするシステム。
【請求項2】
前記コンタクトポイント(4,5)の少なくとも1つは、前記コンタクト要素(2)の表面の彎曲した部分によって形成されることを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記距離についての差は、約0.02mmから0.03mmであることを特徴とする請求項1または2に記載のシステム。
【請求項4】
前記コンタクト要素(2)は、スプリングタブとして設計されることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項5】
スプリングケージの形態に配置される複数のコンタクト要素(2)を備えるコンタクト部品(1)を備える請求項1から4のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項6】
前記コンタクト部品(1)は、曲げ加工された板金部材として設計されることを特徴とする請求項5に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、相手方コンタクト要素のコンタクト面と接触するための少なくとも1つのコンタクトポイントを持つコンタクト要素に関する。
【背景技術】
【0002】
そのようなコンタクト要素は例えばプラグコネクタに使用され、それにより導体が電気供給エネルギーまたは信号の伝送のために接続される。電気エネルギーまたは信号の低損失伝送を達成するためには、コンタクト要素が相手方コンタクト要素のコンタクト面と恒久的に接触することが必要である。特にプラグコネクションへの機械的負荷、振動ストレスや温度の影響などの外部からの影響は伝送品質に大きく影響しないこともある。
【0003】
コンタクト要素のコンタクトポイントと、相手方コンタクト要素のコンタクト面との間に恒久的な接触を成立させるために、コンタクトポイントをコンタクト面に対してばね装填方式で押圧して、それによりコンタクトポイントおよびコンタクト面の起こりうる相対的移動を補償することが知られている。この目的で、コンタクト要素は例えば、相手方コンタクト要素と接触すると弾性的に撓むスプリングタブの形態に設計されうる。
【0004】
コンタクト要素は、多くの場合コーティングを施した金属製の基体を備えており、そのコーティングは、基体の素材と比べると、とりわけ相手方コンタクト要素との組み合わせで改良された接触抵抗において卓越したものである。場合によっては、そのようなコンタクト要素は、振動ストレスに曝されたときにコーティングが比較的すぐに磨耗する、すなわち摩滅するという点において問題があるということが判明した。これは、接触抵抗の増加につながりかねず、コンタクト要素またはこれが使用されるプラグコネクション全体が使用不能となる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この先行技術から出発して、本発明は、汎用タイプのコンタクト要素を、耐用年数に関して改良するという課題に基づくものであった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この課題は、請求項1に記載のコンタクト要素によって解決される。本発明による複数のコンタクト要素を備えるコンタクト部品、および、本発明によるコンタクト要素または本発明によるコンタクト部品と、相補的な相手方コンタクト要素とが統合して構成されるシステムは、別の独立請求項の主題である。本発明によるコンタクト要素の有利な態様ならびに本発明によるコンタクト部品の有利な態様は従属請求項の主題であり、以下の本発明の説明で解説される。
【0007】
本発明によれば、相手方コンタクト要素のコンタクト面と電気的に接触するための、汎用タイプのコンタクト要素は、少なくとも2つのコンタクトポイントが形成され、その2つのコンタクトポイントが、新品の状態において、相手方コンタクト要素のコンタクト面からの距離に関して互いから区別をつけられ、それにより、新品の状態では、第1のコンタクトポイントがコンタクト面と接触し、第1のコンタクトポイントが所定量磨耗した後では、第2のコンタクトポイントが(おそらく第1のコンタクトポイントとともに)コンタクト面と接触するということにおいて、さらに開発される。
【0008】
これにより、低接触抵抗での電気供給エネルギーまたは信号の伝送を継続して可能にするいくつかのコンタクトポイントが形成されるため、耐用年数を汎用タイプのコンタクト要素のおそらく数倍まで延長できるコンタクト要素が形成される。
【0009】
好ましくは、コンタクト要素は基体と、その基体に(少なくともその一部分に)施したコーティングとを備えてもよく、磨耗の末に第1のコンタクトポイントの領域においてコーティングの厚みが減ったりコーティングが剥がれたときに、第2のコンタクトポイントがコンタクト面と接触する。そのため基体は、好ましくは金属、特に銅ベースの金属で製造されてもよく、コーティングも金属、特にニッケルに基づくものであってもよい。しかし、別法として、基体は(おそらく導電性の)プラスチックで形成されてもよく、その場合は好ましくは金属コーティングが施されてもよい。
【0010】
また好ましくは、コンタクトポイントの少なくとも1つ、好ましくはコンタクトポイントの全ては、コンタクト要素の表面の(好ましくは3次元の)彎曲した、特に部分的に球状の部分によって形成される。このことが、コンタクト面に対するコンタクト要素の位置公差に関して概ね影響を受けないコンタクトポイントの配設を可能にする。
【0011】
コンタクト要素の新品の状態における2つのコンタクトポイントの距離についての差は好ましくは約0.02mmから0.03mmでしかなくてもよい。これは、コンタクト要素がコーティングを施した基体を備える場合、コーティングの好適な厚みにも相当してもよく、特に好ましくは、距離についての差はコーティングの厚みよりも若干少なくてもよい。このことが、第1のコンタクトポイント上のコーティングが完全に摩滅したときに、第2のコンタクトポイントが既にコンタクト面と接触した状態であることを確実にするのを可能にする。
【0012】
本発明によるコンタクト要素は有利にはスプリングタブとして形成されうる。このことが、相手方コンタクト要素のコンタクト面に対して押圧するばね装填コンタクト要素の、単純かつ経済的な製造を可能にする。
【0013】
本発明はまた、スプリングケージの形態に配置されるスプリングタブの形態の複数のコンタクト要素を備えるコンタクト部品にも関する。
【0014】
「スプリングケージ」は、そのコンタクト要素が、特に相手方コンタクト要素の、3次元の(したがって完全に平坦ではない)コンタクト面と接触するような空間的配置に配置されるコンタクト部品を意味すると理解される。特にそのようなスプリングケージにおいて、コンタクト要素は環状に配置されうる。
【0015】
また好ましくは、スプリングケージは曲げ加工された板金部材、また特に打ち抜き曲げ加工された部材として単体に形成されうる(ことが好ましい)。
【0016】
さらに本発明は、本発明によるコンタクト要素または本発明によるコンタクト部品、および(複数の)コンタクト要素と接触するためのコンタクト面を備える相手方コンタクト要素から構成されるシステムに関する。
【0017】
本発明によるコンタクト要素または本発明によるコンタクト部品または本発明によるシステムは、特に好ましくは無線周波数信号(RF信号)の伝送に適している。
【0018】
本発明を、図面に示す例示的実施形態を参照して以下でより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】スプリングケージの形態の、本発明によるコンタクト部品の側面図である。
図2図1によるコンタクト部品の斜視図である。
図3図1および2によるコンタクト部品および相手方コンタクト要素から構成される、本発明によるシステムの一部の長手方向断面図である。
図4図3の部分(IV)の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1から4は、相手方コンタクト要素3と接触する複数のコンタクト要素2を備える、本発明によるコンタクト部品1を備える、本発明によるシステムの一実施形態を示す。このシステムはRF信号の伝送用に使用される。
【0021】
本発明によるコンタクト部品1はスプリングケージの形態に設計される。これは、環状の断面を持つ打ち抜き曲げ加工された部材によって形成され、その壁部に、コンタクト要素2がスプリングタブの形態に一体化される。
【0022】
スプリングケージ(またはその基体)は、金属材料、例えばリン青銅からなる。例えば、ニッケルベースであって、コンタクト部品1と相手方コンタクト3との接触抵抗を、リン青銅での場合よりも改良できるコーティングが基体に施されてもよい。
【0023】
コンタクト要素2はそれらの自由端にそれぞれコンタクト領域を形成する。コンタクト要素2の部分的に球状の部分の外側部分によって形成されるこれらのコンタクト領域それぞれに、2つのコンタクトポイント4,5が設けられる。これらの部分的に球状の部分は、単純に成形工程によってコンタクト要素2に導入されうる。
【0024】
プラグの形態の相手方コンタクト要素3がスプリングケージにプラグ接続されると、コンタクト要素2は径方向外側に弾性的に変形する。その結果、コンタクト要素2は相手方コンタクト要素の外側部分によって形成されるコンタクト面6に対してばね装填方式で押圧する。
【0025】
本発明によれば、コンタクト部品1の新品の状態において、関連するスプリングタブの自由端により近く配置される第1のコンタクトポイント4のみがコンタクト面6と接触する。対照的に、対応する第2のコンタクトポイント5とコンタクト面6との間には、約0.02mmから0.03mmの所定の距離が設けられる(図4参照)。したがって新品の状態において、コンタクト要素2の第1のコンタクトポイント4のみが、コンタクト部品1から相手方コンタクト要素3へのRF信号の伝送を司る。
【0026】
システムが連続的な振動、すなわち振動ストレスを蒙った場合、または、システムが、コンタクト部品1が相手方コンタクト要素3のコンタクト面6上で摺れるようなプラグ接続および接続解除動作の連続を蒙った場合、第1のコンタクトポイント4の磨耗に至る可能性があり、それは特に第1のコンタクトポイント4上のコーティングの(部分的)摩滅を招きうる。磨耗が増大すると、コンタクト要素2の第2のコンタクトポイント5を、相手方コンタクト要素3のコンタクト面6に接近させ、最終的にこれと接触させることにつながる。このことは、コーティングが第1のコンタクトポイント4から完全に摩滅する寸前に発生することが好ましい。その時点で第2のコンタクトポイント5上に、最大限の厚みがある状態で存在するこのコーティングは、比較的低い接触抵抗でのRF信号の継続した良好な伝送を確実にする。
【0027】
もちろん、コンタクト要素2のいくつかまたは全てに、2つより多い、例えば3つのコンタクトポイントを設けることも可能であり、その場合、コンタクト部品の新品の状態において、例えば第3のコンタクトポイントは、第1のコンタクトポイント4からの第2のコンタクトポイント5の離間距離と同じ距離だけ第2のコンタクトポイント5から離間して配置されることが好ましい。
【0028】
コンタクト要素2ごとに、いくつかの第1のコンタクトポイント(4)およびいくつかの第2のコンタクトポイント(5)(必要に応じてそれより多く)を設けることも可能である。
図1
図2
図3
図4