(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の好ましい実施の形態について添付図面を参照して説明する。まず
図1から
図5を参照して第1実施の形態について説明する。
図1は第1実施の形態における二重床10の斜視図であり、
図2は二重床10の平面図である。
図3は
図2のIII−III線における二重床10の断面図である。二重床10は、通信機器や電算機等の機器が搭載されるラック18を支持するための構造物であり、多くの通信機器や電算機等が収容されるデータセンター等に主に構築される。
【0013】
図1に示すように二重床10は、複数の支持脚11と、支持脚11に支持される第1梁12及び第2梁13と、第1梁12及び第2梁13にそれぞれ設けられる第1レール15及び第2レール16と、第1レール15及び第2レール16にスライド可能に固定される一対の架台17と、を備えている。固定部材21は、架台17間の隙間20(
図2参照)にスライド可能に固定される。本実施の形態では、架台17間の隙間20に固定部材21が2本ずつ配置されている。一対の架台17及び固定部材21は、それらを一組として複数組(本実施の形態では6組)が配置されている。
【0014】
架台17に載置されるラック18は、固定部材21(
図2参照)を用いて架台17に固定されている。通路を形成する床パネル19は第1梁12又は第2梁13に支持される。本実施の形態では、第1梁12と第2梁13との間に、支持脚11に支持された第3梁14が配置されている。第3梁14は、第1梁12及び第2梁13と共に架台17を支持する。架台17の下面には、架台17をスライドさせるときの第3梁14との抵抗を低減するため、ライナ(図示せず)が取り付けられている。
図2に示すように第1梁12、第2梁13及び第3梁14は、互いに間隔をあけて平行に配置されている。
【0015】
図3に示すように床スラブ22の上方に、大梁23と、大梁23に架設される小梁24とが配置されている。大梁23及び小梁24はいずれもH形鋼により形成されている。大梁23は、床スラブ22に配置された土台(図示せず)に支持される。支持脚11は、ボルト及びナットによって大梁23及び小梁24に固定されている。第1梁12、第2梁13及び第3梁14は、溝形鋼により形成されており、溝形鋼のフランジを下に向けて配置されている。
【0016】
図4は
図3のIVで示す部分を拡大した二重床10の断面図である。なお、第1梁12及び第1レール15は、
図4に示す第2梁13及び第2レール16と同様に構成されているので、第2梁13及び第2レール16について説明し、第1梁12及び第1レール15の説明は省略する。
【0017】
図4に示すように第2梁13は、支持脚11の上部に結合する板状の受部30に、皿ボルト31及びナット32によって溝形鋼のウェブが固定される。第2梁13の上面に、第2レール16が配置される第1部33、床パネル19の一部が配置される第2部34、及び、架台17の一部が配置される第3部35が、第2梁13の短手方向(
図4左右方向)に並んでいる。第2部34及び第3部35は、第1部33の短手方向の両側に位置する。
【0018】
第2レール16はリップ溝形鋼からなり、長手方向(
図4紙面垂直方向)を第2梁13の長手方向と一致させ、フランジを上に向けて第2梁13に載置されている。第2レール16は、第2レール16のウェブと第2梁13のウェブとを貫通する皿ボルト及び皿ボルトに締結するナット(いずれも図示せず)によって、第2梁13の第1部33に固定されている。
【0019】
第2梁13の第2部34は、ライナ36を介して床パネル19の第1端部を支持する。床パネル19は、アルミニウム合金製の鋳造品であり機械的強度が高いので、床パネル19の第2端部を支持する支持脚(図示せず)との間に架設される。第2梁13の第3部35は、ライナ37を介して架台17の端を支持する。
【0020】
図5は
図2のV−V線における二重床10の断面図である。
図5に示すように架台17は、ラック18が載置される水平部38と、水平部38の長手方向に沿って水平部38に連接され下方へ延びる鉛直部39と、を備えている。本実施の形態では架台17は角形鋼管により形成されているので、一対の鉛直部39が水平部38の両側の縁に結合し、一対の鉛直部39の下縁同士を連結部40が連結する。ライナ37は、連結部40の長手方向の端部に固定されており、第2レール16に沿って架台17をスライドさせるときの第3部35(第2梁13)との抵抗を低減する。
【0021】
図4に戻って説明する。架台17は第2レール16の上に端部41が配置される。端部41は、水平部38に連接される上面部42と、鉛直部39に連接される一対の側面部43と、一対の側面部43の下縁に両側が接合され上面部42に対向する底面部44と、を備えている。本実施の形態では、角形鋼管の端の一部を切り取ることにより、水平部38、鉛直部39、連結部40、上面部42及び側面部43が作られる。
【0022】
上面部42は、水平部38と共にラック18が載置される部位である。上面部42は、皿ボルト45の通る穴が、厚さ方向(
図4上下方向)に貫通する。側面部43は、鉛直方向の荷重を受ける部位であり、架台17の長手方向(
図4左右方向)における長さが、第2レール16の短手方向の幅よりもわずかに長い。底面部44は、第2レール16のフランジの上端に下面の一部が当たる板状の部材であり、側面部43の下縁に溶接されている。底面部44は、第2レール16のフランジに加える荷重を分散させ、側面部43及び第2レール16の座屈を防止する。底面部44は、皿ボルト45の通る穴が、厚さ方向(
図4上下方向)に貫通する。
【0023】
板部材46は、第2レール16のリップの下に配置される部材であり、皿ボルト45の通る穴が厚さ方向(
図4上下方向)に貫通する。板部材46は、下面にナット47が接合されている。ナット47に皿ボルト45を締結すると、第2レール16のリップに板部材46が押し付けられて、端部41が第2レール16に固定される。皿ボルト45を緩めると、板部材46及びナット47が下降して板部材46が第2レール16のリップから離れるので、端部41は第2レール16をスライドできる。
【0024】
端部41は第2レール16の上に載せられるので、架台17の上面17aの高さは、側面部43の高さに底面部44の厚さを加えた寸法によって決められる。側面部43及び底面部44の寸法は、床パネル19の上面19aと架台17の上面17aとが面一になるように設定される。その結果、架台17と床パネル19とに段差が生じないようにできるので、架台17と床パネル19との段差に人が躓かないようにできる。なお、第2梁13の第3部35と架台17との隙間は、ライナ37の厚さによって調整できる。
【0025】
図5に示すように一対の架台17は、架台17間に、固定部材21が配置される隙間20が形成されている。本実施の形態では、固定部材21はボルト(軸状部材)からなる。固定部材21は、上端部および下端部が架台17の上下にそれぞれ突出し、架台17の下面に配置される第1板50、及び、架台17の上面に配置される第2板55を、ナット53,54により結合する。第1板50及び第2板55は、固定部材21の通る穴が、厚さ方向(
図5上下方向)に貫通する。
【0026】
第1板50は、隙間20を隔てて並ぶ一対の架台17の連結部40に跨る座部51と、一対の架台17の外側の鉛直部39に沿って座部51の両端から上方へ突出する一対の突部52と、を備えている。鉛直部39に沿って突部52が突出するので、第1板50を架台17の短手方向(
図5左右方向)へずれ難くできる。また、第1板50は、架台17間の隙間20の大きさ(幅)を規制する。第2板55は、架台17に載置されたラック18を水平部38との間に挟んで固定できる。ナット53,54を緩めることにより、架台17に沿って固定部材21をスライドできる。
【0027】
以上のように二重床10は、架台17の端部41が第1レール15及び第2レール16にスライド可能に固定されている。一対の架台17の隙間20に配置される固定部材21は、架台17よりも上方に上端部が突出するので、架台17に載置されたラック18の固定に固定部材21を用いることができる。固定部材21は一対の架台17にスライド可能に固定されるので、ラック18の大きさや形状に応じて固定部材21の位置を可変にできる。
【0028】
隙間20の幅は、両端に突部52が形成された第1板50の座部51の長さによって上限値が定められるので、第1板50の座部51の長さを適宜設定することにより、隙間20の大きさを任意に設定できる。固定部材21は隙間20に挿入されるので、固定部材21の太さ(軸状部材の直径)を任意に設定できる。よって、ラック18の固定に用いられる固定部材21の選択肢を広くできる。また、第1板50及び第2板55によって、任意の本数の固定部材21を隙間20に配置できる。
【0029】
ラック18が上面17aに載置される架台17は、水平部38の長手方向に沿って水平部38に鉛直部39が連接されるので、架台17の軽量化を図りつつ架台17の強度を確保できる。一対の架台17及び固定部材21は、一対の架台17及び固定部材21を一組として複数組(少なくとも2組)が配置されるので、架台17と架台17との間にラック18を架設できる。架台17や床パネル19と床スラブ22との間に送風用ダクト(図示せず)を這わせてラック18のところまで延ばし、ラック18に搭載された電算機等の機器を冷却できる。
【0030】
第1梁12及び第2梁13の上面の第1部33に第1レール15及び第2レール16がそれぞれ配置され、架台17の外側に位置する第2部34に床パネル19が配置される。ここで、第1梁12及び第2梁13に床パネル19を支持する第2部34を設けない場合には、第1梁12及び第2梁13に加えて、床パネル19を支持する支持脚11を別に設ける必要がある。しかし、第1梁12及び第2梁13の第2部34によって床パネル19を支持するので、その分の支持脚11を省略できる。よって、第1梁12及び第2梁13の一部(第2部34)で床パネル19を支持しない場合に比べて、支持脚11の本数を削減できる。
【0031】
第1梁12及び第2梁13の第1部33を挟んで第2部34の反対側に第3部35が設けられており、鉛直部39及び連結部40の長手方向の端部は第3部35に支持される。その結果、鉛直部39及び連結部40の荷重を受ける第3部35が設けられていない場合に比べて、架台17の耐荷重を向上できる。
【0032】
なお、架台17間に架設されたラック18とラック18との間には、ラック18に搭載された機器のメンテナンス等のときに通路として用いられる床パネル(図示せず)が配置される。床パネルは、架台17と同様に、第1レール15及び第2レール16の上に両端が載せられる。
【0033】
次に
図6を参照して第2実施の形態について説明する。第1実施の形態では、角形鋼管によって架台17が形成される場合について説明した。これに対し第2実施の形態では、溝形鋼によって架台61が形成される二重床60について説明する。なお、第1実施の形態で説明した部分と同一の部分については、同一の符号を付して以下の説明を省略する。
図6は第2実施の形態における二重床60の断面図である。
【0034】
図6に示すように二重床60は、第1梁12及び第2梁13にそれぞれ設けられる第1レール15及び第2レール16と、第1レール15及び第2レール16にスライド可能に固定される一対の架台61と、を備えている。架台61は溝形鋼により形成されており、溝形鋼のフランジ(鉛直部63)を下に向けて、第1レール15と第2レール16との間に配置されている。架台61は、ラック18が載置される水平部62と、水平部62の長手方向に沿って水平部62に連接される一対の鉛直部63と、を備えている。鉛直部63の長手方向の端部は、ライナ37(
図4参照)を介して第1梁12及び第2梁13に支持される。
【0035】
一対の架台61の間に配置される固定部材21は、架台61の下に配置される第1板70、及び、架台61の上に配置される第2板55を、ナット53,54により結合する。第1板70は、固定部材21の通る穴が厚さ方向(
図6上下方向)に貫通する。第1板70は、一対の架台61の内側の鉛直部63に跨る座部71と、鉛直部63に沿って座部71の両端から上方へ突出する一対の突部72と、を備えている。鉛直部63に沿って突部72が突出するので、第1板70を架台61の短手方向(
図6左右方向)へずれ難くできる。
【0036】
二重床60によれば、第1実施の形態における二重床10と同様の作用効果を実現できる。溝形鋼を用いて架台61を形成するので、角形鋼管を用いる場合に比べて、架台61を軽量化できる。また、第1板70は、一対の架台61の内側の鉛直部63に座部71が跨るので、一対の架台61の外側の鉛直部63を座部が跨る場合に比べて、座部71の長さを短くできる。
【0037】
次に
図7を参照して第3実施の形態について説明する。第2実施の形態では、溝形鋼によって架台61が形成される場合について説明した。これに対し第3実施の形態では、山形鋼によって架台81が形成される二重床80について説明する。なお、第1実施の形態で説明した部分と同一の部分については、同一の符号を付して以下の説明を省略する。
図7は第3実施の形態における二重床80の断面図である。
【0038】
図7に示すように二重床80は、第1梁12及び第2梁13にそれぞれ設けられる第1レール15及び第2レール16と、第1レール15及び第2レール16にスライド可能に固定される一対の架台81と、を備えている。架台81は山形鋼により形成されており、ラック18が載置される水平部82と、水平部82の長手方向に沿って水平部82に連接される鉛直部83と、を備えている。
【0039】
架台81は、端部41(
図4参照)に設けられる底面部44に側面部84が溶接されている。側面部84は、上面部42に溶接されている。架台81は、鉛直部83の長手方向の端部が、ライナ37(
図4参照)を介して第1梁12及び第2梁13に支持される。
【0040】
二重床80によれば、第1実施の形態における二重床10と同様の作用効果を実現できる。山形鋼を用いて架台81を形成するので、角形鋼管や溝形鋼を用いる場合に比べて、架台81を軽量化できる。
【0041】
以上、実施の形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変形が可能であることは容易に推察できるものである。例えば、第1梁12、第2梁13、第1レール15、第2レール16及び架台17,61,81の形状や大きさ等は適宜設定できる。
【0042】
上記各実施の形態では、床スラブ22に設けた大梁23及び小梁24に支持脚11をボルトによって固定する場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。大梁23及び小梁24を省略して、床スラブ22に支持脚11を固定し、その支持脚11に第1梁12及び第2梁13を支持させることは当然可能である。また、ボルトによって支持脚11を固定する代わりに、床スラブ22や大梁23及び小梁24に支持脚11を接着することは当然可能である。
【0043】
上記各実施の形態では、ボルト(軸状部材)によって固定部材21を構成する場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。板材やパイプによって固定部材21を形成することは当然可能である。また、板材に凹凸形状を付与して曲げ剛性を高めたものを固定部材21にすることは当然可能である。
【0044】
上記各実施の形態では、形鋼を使って第1梁12、第2梁13、第1レール15、第2レール16及び架台17,61,81を形成する場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。第1梁12、第2梁13、第1レール15、第2レール16及び架台17,61,81は、金属製の板材が溶接されたもの、合成樹脂の一体成形品などを適宜採用できる。
【0045】
上記各実施の形態では、第1梁12及び第2梁13にそれぞれ第1レール15及び第2レール16が取り付けられる場合について説明した。これにより、二重床10,60,80を構築する現場に、第1梁12、第2梁13、第1レール15及び第2レール16を構成する資材を運び込み、現場で組み立てることができる。しかし、これに限られるものではない。第1梁12及び第1レール15、第2梁13及び第2レール16をそれぞれ一体成形品とすることは当然可能である。
【0046】
上記各実施の形態では、第1梁12と第2梁13との間に第3梁14を設ける場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。架台17,61,81の長さが短い場合等に、第3梁14を省略することは当然可能である。
【0047】
上記各実施の形態では、支持脚11の上端に第1梁12及び第2梁13を配置し、その第1梁12及び第2梁13に第1レール15及び第2レール16をそれぞれ設ける場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。支持脚11の高さの中間位置に第1梁12及び第2梁13を支持する部材を設け、その部材に支持された第1梁12及び第2梁13に第1レール15及び第2レール16をそれぞれ設けることは当然可能である。架台17,61,81は、第1レール15及び第2レール16に両端がスライド可能に固定され、架台17,61,81間に固定部材21がスライド可能に配置される。この場合、ラック18は支持脚11の上端の位置に支持される。ラック18の位置まで延びる固定部材21を用いることにより、固定部材21を使ってラック18を固定できる。
【0048】
上記各実施の形態では、第2板55(板ワッシャ)によって、架台17,61,81との間にラック18を挟んでラック18を固定する場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。第2板55に代えて、ラック18固定用のブラケット(図示せず)を固定部材21に取り付け、そのブラケットとラック18とを結合し、ブラケットを介して固定部材21にラック18を固定することは当然可能である。
【解決手段】床スラブと床パネルとの間に配置される複数の支持脚と、複数の支持脚に支持され互いに平行に配置される第1梁および第2梁と、第1梁および第2梁と同じ向きに第1梁および第2梁にそれぞれ設けられる第1レール及び第2レールと、第1レール及び第2レールに両端部がスライド可能に固定されると共に互いに隙間をあけて配置される一対の架台と、一対の架台の隙間に配置されると共に一対の架台にスライド可能に固定され、一対の架台よりも上方に上端部が突出する固定部材と、を備えている。