(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6118958
(24)【登録日】2017年4月7日
(45)【発行日】2017年4月26日
(54)【発明の名称】改良型可動式津波緩衝設備
(51)【国際特許分類】
E02B 3/06 20060101AFI20170417BHJP
E02B 7/22 20060101ALI20170417BHJP
【FI】
E02B3/06 301
E02B7/22
【請求項の数】6
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-112326(P2016-112326)
(22)【出願日】2016年6月6日
【審査請求日】2016年6月20日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】512108717
【氏名又は名称】▲濱▼田 英外
(72)【発明者】
【氏名】▲濱▼田 英外
【審査官】
亀谷 英樹
(56)【参考文献】
【文献】
特許第5683056(JP,B1)
【文献】
特開平07−259059(JP,A)
【文献】
実開昭57−178827(JP,U)
【文献】
特許第5559950(JP,B1)
【文献】
特開2010−265618(JP,A)
【文献】
特開2012−057444(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02B 3/04−3/14
E02B 7/00、7/20、7/22
E02B 7/26、7/32、7/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
軽質材の枠組みを軽質材の板で挟んで作り、扉のような形状の構造体を個別ユニットとして作成し、それらの複数のユニットを並べ地面や壁面に沿わせて設置して、前記構造体は水中に入った時の浮力や波の力を利用して立ち上がり、構造体内部に水を取り込み、構造体と取り込んだ水を併せて津波に持ち上げさせることにより津波の威力を低減し、更に立ち上がった高さ分、津波が浸水するのを抑えて、併せて津波の威力を低減する役目を果たす可動式津波緩衝堰において、前記各ユニットの構造体を多層構造にすることにより、構造体の強度を増加させ、より多くの水を構造体内に取り込み津波低減効果を増強し、低価格材を採用できるようにしてコストダウンも図ることを特徴とする可動式津波緩衝堰。
【請求項2】
軽質材の枠組みを軽質材の板で挟んで作り、扉のような形状のユニット構造体を地面や壁面に沿わせて設置して、前記構造体は水中に入った時の浮力や波の力を利用して立ち上がり、津波の威力を軽減する役目を果たす機構において、構造体を屏風形式で多段に製作することにより、多段になった倍数分多く浸水してきた津波を構造体の中に取り込み、構造体とその取り込んだ水を併せて津波に持ちあげさせ津波の威力を低減し、更に多段にした倍数分、対応する津波高さを向上して、後続の津波を抑止することにより津波の威力を低減する可動式多段津波緩衝堰において、前記各ユニットの構造体を多層構造にすることにより、構造体の強度を増加させ、より多くの水を構造体内に取り込み津波低減効果を増強し、低価格材を採用できるようにしてコストダウンも図ることを特徴とする可動式多段津波緩衝堰。
【請求項3】
軽質材の枠組みを軽質材の板で挟んで作り、門のような形状の構造体を、水中に垂直に立てて、設置した可動式津波緩衝堰であって、海側から上がってくる波を受けるように開口部を広げて設置し、前記構造体は津波などで大きな水塊が海側から陸側に移動して来る力を利用して自動的に軸柱を軸として津波の流れの垂直方向に広がり、津波の流れに垂直になった位置で、津波の浸水の水中にある堰として機能し、後続して押し寄せる津波を堰き止めることにより、津波の威力を軽減する役目を果たし、前記構造体は、内部に空間を持ち、そこに浸水を取り込んで重量を増し、構造体と取り込んだ水を併せて津波に移動させることにより津波の威力を低減させ、更に内部空間を浸水で、埋めることにより構造体の全体強度を高めるのに役立てる可動式津波緩衝堰において、前記構造体を多層構造にすることにより、構造体の強度を増加させ、より多くの水を構造体内に取り込み津波低減効果を増強し、低価格材を採用できるようにしてコストダウンも図ることを特徴とする可動式津波緩衝門。
【請求項4】
軽質材の枠組みを軽質材の板で挟んで作り、扉のような形状のユニット構造体を地面や壁面に沿わせて設置して、前記構造体は水中に入った時の浮力や波の力を利用して立ち上がり、津波の威力を軽減する役目を果たす機構において、構造体を屏風形式で多段に製作することにより、対応する津波高さを多段にした倍数分向上させて、その高さ分、後続の津波を抑止すると同時に、構造体の中に、浸水してきた津波を取り込み、構造体とその取り込んだ水を併せて津波に持ちあげさせることによって、津波の威力を低減する可動式多段津波緩衝堰において、その多段構造体の設置面の陸側に、固定式の堤防壁を設置することにより、その堤防壁の高さ分、対応する津波高さを上増すると同時に、多段構造体を部分収納して保護することを特徴とする可動式多段津波緩衝堰。
【請求項5】
軽質材の枠組みを軽質材の板で挟んで作り、扉のような形状のユニット構造体を地面や壁面に沿わせて設置して、前記構造体は水中に入った時の浮力や波の力を利用して立ち上がり、津波の威力を軽減する役目を果たす機構において、構造体を屏風形式で多段に製作することにより、対応する津波高さを多段にした倍数分向上させて、その高さ分、後続の津波を抑止すると同時に、構造体の中に、浸水してきた津波を取り込み、構造体とその取り込んだ水を併せて津波に持ちあげさせることによって、津波の威力を低減する可動式多段津波緩衝堰において、陸側に設置した補助支柱の先端と多段津波緩衝堰の設置位置の海側の地点を繋ぐガイドワイヤーを設置し、構造体先端部に設置したリングに通して、多段式津波緩衝堰が高い津波に対応して的確に広がるように動作させることにより、津波低減効果を強化することを特徴とする可動式多段津波緩衝堰。
【請求項6】
軽質材の枠組みを軽質材の板で挟んで作り、扉のような形状のユニット構造体を地面や壁面に沿わせて設置して、前記構造体は水中に入った時の浮力や波の力を利用して立ち上がり、津波の威力を軽減する役目を果たす機構において、構造体を屏風形式で多段に製作することにより、対応する津波高さを多段にした倍数分向上させて、その高さ分、後続の津波を抑止すると同時に、構造体の中に、浸水してきた津波を取り込み、構造体とその取り込んだ水を併せて津波に持ちあげさせることによって、津波の威力を低減する可動式多段津波緩衝堰において、動作時の多段の構造体同志の接触面に凹凸を付ける工夫を設置することにより、引き波時に各段の構造体が折り畳まれてしまって次回の津波浸水時に各段の構造体が広がらなくなるのを防止することを特徴とする可動式多段津波緩衝堰。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
津波や高波などの海からの波により起こる浸水などの被害を抑えるために設置する防潮堤に関するものである。
【背景技術】
【0002】
今までの津波防御用の防波堤は、鉄筋の入ったコンクリートなどを使った固定式のものが主体であり、大がかりで、材料費や工事費が膨大であった。 又、今までに発明されていた可動式のものは、空気室を設置するなどにより、複雑な工夫により動作されるもので、材料費や工事費が嵩むし、信頼性が必ずしも高くなかった。
又、軽質材の構造体の一端を固定し浸水中に入って浮力で他端を立ち上がらせて防波堤効果をもたらす概念は既知であるが、強度的な課題や適用場所の課題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第5329452号
【特許文献2】特許公開2012−57401
【特許文献3】特許公開2012−241449
【特許文献4】特許第5207091号
【特許文献5】特許第5683056号
【特許文献6】特許第5559950号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
固定式の防波堤でかかる膨大な材料費や工事費を低減させること。他の可動式の防波堤で必要である複雑な工夫や動作を避け、自然の力をうまく活用した設計により、高い信頼性で動作が行われるようにすること。廉価な材料の構造体の持つ強度の弱さに対応する設置機構、動作機構を検討し、実用性を高めること。
前特許第5207091号や、前特許第5683056号の可動式津波緩衝堰の構造体(防波扉)や、前特許第5559950号の可動式津波緩衝門の構造体(防波門)では木材を素材に使っているが、木材は自然の中で長年をかけて成長した木からできているために、大きな木材を入手するのが難しく、できてもかなり高価になる。又、一般の合板では強度が弱い。これに対して、経済的である汎用材を組み合わせて強度を高める工夫を行うこと、更には、固定式の基礎構造を追加して、構造体を収納させると同時に、対応津波高さを向上させること。
また、前特許第5683056号の屏風形式多段構造体を使った設備では、津波の浸水速度が速い時に、屏風構造を適正に移動させ、的確に津波災害低減効果を持たせることが難しいので、屏風構造を適正に移動させるように工夫し、高い津波低減効果を維持させること。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前特許第5207091号で下記を行った。
材料費を節減するために、木製材料を使い、固定式ではなく、必要に応じて防波堤として機能する津波自動対応の防波堤を考慮した。 構造体を自動的に防波堤として機能させるために、必要なメカニズムとして、津波による浮力を採用し、高い信頼性で充分な作動力を与えるように工夫した。
軽質材の構造体の一端を固定し他端を立ち上がらせて防波堤効果をもたらす概念は既知となっているが、強度的な課題や適用する場所の課題があったので、当発明では、以下のように解決を図った。
(1) 構造体を主として木材で個別に(ユニット形式で)製作し、複数の構造体(ユニット)を、直列に、更にはその直列に並んだものを並列に並べて、海岸線などの大規模な津波防止に対応させる。
(2) 構造体内部に空間を持たせ、その空間部に浸水した水を取り込み、強度と重量を増す。「浸水の取り込むこと」と、「取り込んだ水分を併せた構造体の重量を津波に持ちあげさせること」によって、津波の強度を弱めさせる。副次効果として、構造体全部を材料で製作する必要がなく、材料費の低減が図れる。
(3) 浸水を完全に遮蔽する強度を木材を中心とした構造体が持つことは困難であるので、密閉形式とはせず、構造体の後方への津波の浸水を許しながら、浸水高さが構造体の持つ防止高さになるまでは構造体が立ち上がりながら津波の浸水強度を弱め、持つ防止高さ以降は水中に入ってほぼ直立しながら後続の津波の陸上への浸水を防止する方式とした。よって構造体は水中に屹立した状態で、後続の波の侵行を防止するのに十分な強度を持てば良い。
これらの点から、有効に動作し、防波堤として充分に機能する仕組みを考案した。
前特許第5683056号で下記を行った。
津波対応高さを向上させるために、構造体を多段にして、津波浸水時にその津波高さに応じて多段部分が順次に立ち上がる工夫を考案した。 これにより、後続の津波の大部分の侵入を抑え、想定高さの高い津波の威力を低減する仕組みとして活用できるようになった。
前特許第5207091号の可動式津波緩衝堰や、前特許第5683056号の可動式多段津波緩衝堰や、前特許第5559950号の津波緩衝門では、木枠を木板で挟んだ構造体を採用している。このため、対応する津波の高さが上がってくると、構造体に必要な強度に対応するために、木枠の丸材や角材の太さ(強度)を増す必要がある。木枠は構造体の中心になるもので、強度の高い一体物であることが望ましいが、木材は天然資源であり、太い木材は、入手が難しくなり、価格も上がり経済的でなくなる。そこで、2x4材などの汎用材を使って、構造体の強度を増すために、一つのユニットの中に標準サイズ(4インチ厚みなど)の木枠を複数使って、複数の木板の間にそれらの木枠を挟むようにして、構造体を多層化し、強度を増加させる工夫を行った。
前特許第5207091号の可動式津波緩衝堰や、前特許第5683056号の可動式多段津波緩衝堰では、津波の浸水速度が速い場合や繰り返し津波が押し寄せる場合には、屏風構造が適正に移動しなくて津波減災機能を充分に発揮しない場合が多い。これを改善するために、以下の工夫を行った。
(1) 一段式及び多段式津波緩衝堰(防波扉)の基礎として、固定式の堤防壁を設置し、その上で津波緩衝堰が動作できるようにする。この堤防壁の海側のスペースには一段式及び多段式の津波緩衝堰の構造体を収納できるし、堤防壁の高さ分を津波への対応高さとして増強できる。この固定式堤防壁を、防波扉と同様の強化した木製構造物で作れば、経済的であるし、コンクリート製の堤防構造として作れば、津波低減効果の増強をより確実にすることができる。
(2) 多段式防波扉の各段が、早い津波速度に押されて、折り畳まれたまま移動しないように、又、引き波の時に陸側に折り畳まれてしまって2度目の津波でうまく動作しなくなるのを避けるために、補助支柱の先端と防波扉設置位置の海側の地点を動き代のあるワイヤーで繋ぎ、防波扉最上点に設置したリングに通して置くことで、多段式防波扉が想定通りに動作できるようにさせる。
(3) 引き波の時に、多段式防波扉の下側になる段が先に倒れて上の段が陸側に倒れて折り畳まれ、2度目以降の津波でうまく動作しなくなるのを避けるために、防波扉各段の接触面に凹凸を付け、陸側に折り畳まれないようにする。
【発明の効果】
【0006】
前特許第5207091号で下記を行った。
当発明では、木材などの軽質で環境に優しい材料を使うので、安価な材料費、工事費で済む。 この装置は、地面などに伏せたり埋めたりして設置し、いざという時に、押し寄せる水の中で、浮力と押し寄せる波の力で自動的に立ち上がり、防波堤の役割を果たす。このため、視界の邪魔にならず(景勝地では、景色を阻害しないで)、波の力を弱める効果もあり、立ち上がった堰の高さに相応する防波効果が達成できる。
又、引き波に対しても、浮力により堰として機能するので、災害の低減に役立つ。
前特許第5683056号で下記を行った。
津波対応高さを向上させたので、想定津波高さが高くて、防波堤の設置費用が膨大になると予想される地域にも適用できるので、費用対効果のバランスの良い防波堤の設置を行うことができる。 又、砂や土の中に伏せて設置することもできるので、景勝地では、景色を阻害しないで、漁業や魚の養殖を行っている地域では、その生活空間を殆ど制限することなく、災害防止ができる。 又、既存の固定式のコンクリート防波堤に沿わせて併設すれば、既存設備以上に景観を阻害することなく、津波対応高さの向上を図ることができる。
今特許では、汎用材で津波緩衝堰等の構造体を強化できるし、津波対応高さの増強ができる。又、構造物の収納を容易にし、構造体を確実に動作できるようになるので、経済性を維持しながら、当設備を津波災害の低減により確実に役立てることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、可動式津波緩衝堰の構造体(ボーセキ又は防波扉と呼称)の構造図である。(特許第5207091号に記載)
【
図2】
図2は、可動式津波緩衝堰の設置図である。(特許第5207091号に記載)
【
図3】
図3は、可動式津波緩衝堰の津波を緩衝する時の動作を表した図である。(特許第5207091号に記載)
【
図4】
図4は、可動式津波緩衝堰の大規模津波に対応する場合の設置想定図である。(特許第5207091号に記載)
【
図5】
図5は、可動式津波緩衝堰の屏風式多段構造体の動作図である。(特許第5683056号に記載)
【
図6】
図6は、可動式津波緩衝堰の多重格納式構造体の動作図である。(特許第5683056号に記載)
【
図7】
図7は、可動式津波緩衝門(防波門)の構造体図である。(特許第5559950号に記載)
【
図8】
図8は、可動式津波緩衝門(防波門)の構造体の軸柱への接続図である。(特許第5559950号に記載)
【
図9】
図9は、可動式津波緩衝門(防波門)の設置図と津波を緩衝する時の動作図である。(特許第5559950号に記載)
【
図10】
図10は、可動式津波緩衝門(防波門)の大型防波堤が必要な場合の構造体の対応案である。(特許第5559950号に記載)
【
図11】
図11は、本発明の多層型木製構造体の構造図である。
【
図13】
図13は、本発明の多段式津波緩衝堰での誤動作防止用ガイドワイヤーの設置例である。
【
図14】
図14は、本発明の多段式津波緩衝堰構造体接続部の凹凸構造の設置例である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
前特許第5207091号で下記を行った。
構造体は、木材の板と枠組みで作る。構造体の枠組みの一方の柱を設置面に蝶番形式で接続し、構造体自体は設置面に装着された扉のように立ち上がり、水位に応じて、防波堤として機能する。
・ 構造体は、扱い易く、強度を保ちやすいユニットとして製作し、ある海岸線全体の防波堤の役割を果たすためには、対象となる海岸線に平行に(海岸線の対象位置に)複数のユニットを直列に、並べることで対応する。(
図4参照)
・ 構造体内部に空間を設け、その中に津波の水を取り込み、構造体の強度と重量を高める。構造体とその取り込んだ水を併せた重量を、津波に持ちあげる仕事をさせて、津波の威力を弱めさせる。
・ 構造体は木材などの軽質材で製作されており、強力な津波を完全に押さえ込むような強度をもたせるのは、非現実的である。そこで、その津波の力を一部逃がして、防波扉の山側にも海側に近い水位を早目に持たせて前後の水位をほぼ同等にするように機能させるので、隣り合った構造体の間は密封しない。又、防波扉がほぼ垂直に立ち上がった位置で保持するように支柱などを設置するが、津波の威力を逃がすように多少に陸側に傾いて良いように自由度を持たせる。これにより一部の水が防波堤より山側に侵入するが、浸水高さに応じて堰の高さまでの大部分の後続の津波の動きを抑えることができるので、相応の効果が期待できる。 よって構造体は水中に屹立した状態で、後続の波の侵行を防止するのに十分な強度を持てば良い。
・ 構造体の強度の関係から、あまり高い防波堤効果を一列の構造体に持たせることができない。大規模な津波に対しては、構造体をある程度の距離を置いた複数の並列として設置することで対応する。(
図4参照)
前特許第5683056号で下記を行った。
対応津波高さを改善するために、構造体を屏風形式にして、対応津波高さを屏風段数の倍数分増加させることを考案した。(
図5参照) この時、多段分の構造体の内部に浸水した津波を取り込むことができるので、その取り込んだ水の分も併せて、津波に持ちあげさせることになり、その分、津波の威力低減に役立てることができる。又、多段格納形式にすることによって、対応津波高さを多段にした倍数分増加させることを考案した。(
図6参照)この場合は、スペースをあまり取らないメリットがある。 津波の威力をより低減させるために、横倒しにして地中などに伏せて設置しておき、早期に侵入した津波を内部に取り込んで、津波にそれを持ちあげさせる仕事をさせることも可能である。
今特許では、前述の特許第5207091号の可動式津波緩衝堰や、特許第5683056号の可動式多段津波緩衝堰や、特許第5559950号の津波緩衝門の実証実験時に見つかった課題を解決するために考案されたもので、汎用材を使って木製構造体の強度を上げるためにユニット内で多層化を行い、一段式・多段式津波緩衝堰において津波災害の低減する効果を高めるために、固定式堤防壁を追加したり、多段式津波緩衝堰の動作を確実にするために、ガイドワイヤーを設置したり、各段の動作時の接触面に凹凸を付ける工夫を行った。
【符号の説明】
【0009】
1.山板:動作時に山側に立つ板で、機密性と強度を持つ。
2.海板:動作時に海側に立つ板で、上部に押し寄せる水を取り込む開口部を持つ
3.軸横柱:動作時に設置面側になる横柱で、接地面に設けた複数箇所(3点以上)の接合部に蝶番形式で接合する。
4.浮き横柱:動作時に水に浮く横柱で、平常時に砂や瓦礫が構造体内に侵するを防止する役割も持つ(構造体内はできるだけ空間を持たせる)
5.たて柱:動作時に垂直方向に動いて立つ柱で、山板と海板の強度を高める
6.蝶番形式接合部:軸横柱と設置面を繋ぐ部分で、杭などで設置面に固定する。浸水時にずれたり外れたりしないように強度を持たせる。
11.木板(山板用)
12.木板(海板用)
13.標準サイズの木枠
14.固定式堤防壁
15.ガイドワイヤー
16.ガイドワイヤー用リング
17.多段式津波緩衝堰の各段の接触面に付けた凹凸構造
【要約】 (修正有)
【課題】経済的である汎用材を使って強度を高め、更には、固定式の基礎構造を追加し、構造体を収納させると同時に、対応津波高さを向上させ、さらに津波の浸水速度が速い時に、屏風構造を適正に移動させることのできる津波緩衝設備を提供する。
【解決手段】汎用材を使って木製構造体の強度を上げるためにユニット内で多層化を行い、一段式・多段式津波緩衝堰において津波災害の低減する効果を高めるために、固定式堤防壁を追加したり、多段式津波緩衝堰の動作を確実にするために、ガイドワイヤーを設置したり、各段の動作時の接触面に凹凸を付けた。
【選択図】
図11