(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。尚、すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0024】
(第1の実施の形態)
図1は、本発明の第1の実施の形態における取引管理システム10および取引管理システム10と通信を行う各取引者の端末であるユーザ端末40、ユーザ端末42、ユーザ端末44の構成を示すブロック図である。
【0025】
取引管理システム10は、ネットワーク50を介してユーザ端末40、ユーザ端末42、およびユーザ端末44等の端末と接続されている。ネットワーク50は、たとえばインターネット等のパブリックネットワークやイントラネット等のローカルネットワーク等とすることができる。
【0026】
取引管理システム10は、たとえば取引管理サービス事業者により管理、運営されている。取引管理システム10は、商品の流通の取引者間の商品の受発注処理の管理を行う。ユーザ端末40、ユーザ端末42、およびユーザ端末44は、取引管理サービス事業者の提供するサービスを利用して取引を行う各取引者のたとえばパーソナルコンピュータ等の端末とすることができる。本実施の形態において、取引者は、取引業者とすることができる。
【0027】
本実施の形態において、取引管理システム10は、たとえば商品のメーカ等の生産者、末端消費者、ならびにこれらの間に介在する卸業者や小売業者等の取引者間での取引に関する取引管理情報を統合的に保持する構成とすることができる。このような構成とすることにより、商品の売買を直接行う二者間のデータだけでなく、商品が流通される段階的な取引におけるデータに基づき、伝票発行処理や、帳簿生成処理、在庫管理処理、および商品の流通のトレーサビリティ管理等を容易に行うようにすることができる。また、このような構成とすることにより、下流側の取引で用いた取引管理情報の情報を上流側の取引管理情報に転用したり、上流側の取引で用いた取引管理情報の情報を下流側の取引管理情報に転用したりすることができる。また、各取引者が統合的なデータにアクセス可能となっているので、後述する伝票や帳簿等を各取引者に提供する際に、互いにデータを送受信等する必要もない。
【0028】
図2は、本実施の形態における取引管理システム10の構成を詳細に示す機能ブロック図である。
取引管理システム10は、ネットワーク50を介してデータの送受信を行うための送受信部24、送受信部24から受け取ったデータの処理を行う中央演算処理部26、およびデータを記憶するためのデータ記憶部28を含む。
【0029】
中央演算処理部26は、構成要素として、送受信処理部112、設定情報受付部114、発注管理部118、取引管理情報生成部120、伝票発行処理部122、納品管理部126、および物流状況管理部128を含む。データ記憶部28は、構成要素として、商品情報記憶部140、取引者情報記憶部142、取引設定情報記憶部144、価格記憶部146、取引管理情報記憶部148、伝票情報記憶部150および在庫情報記憶部152を含む。
【0030】
図2に示した取引管理システム10の中央演算処理部26およびデータ記憶部28の各構成要素は、ハードウエア単位の構成ではなく、機能単位のブロックを示している。取引管理システム10の中央演算処理部26およびデータ記憶部28の各構成要素は、任意のコンピュータのCPU、メモリ、メモリにロードされた本図の構成要素を実現するプログラム、そのプログラムを格納するハードディスクなどの記憶ユニット、ネットワーク接続用インタフェースを中心にハードウエアとソフトウエアの任意の組合せによって実現される。そして、その実現方法、装置にはいろいろな変形例があることは、当業者には理解されるところである。また、ここでは図示していないが、取引管理システム10は、データの入出力を行うたとえばキーボードやマウス等の入力部およびたとえばディスプレイ等の表示部を含むことができる。さらに、中央演算処理部26は、そのような入力部および表示部との間でデータの入出力を行う入出力処理機能を有する構成とすることができる。また、取引管理システム10の構成は、物理的に一つの装置で構成されたものに限られず、分散配置された構成とすることもできる。
【0031】
次に、中央演算処理部26およびデータ記憶部28の各構成要素を具体的に説明する。
送受信処理部112は、送受信部24との間でデータの受け渡しを行う。
【0032】
商品情報記憶部140は、取引管理システム10のユーザが取引管理システム10を利用して取引の管理を行う商品に関する情報を商品IDに対応づけて記憶する。取引者情報記憶部142は、取引管理システム10のユーザである取引者に関する情報を取引者IDに対応づけて記憶する。
【0033】
取引設定情報記憶部144は、取引者IDに対応づけて各取引者が販売する商品の商品IDを記憶する。また、取引設定情報記憶部144は、取引者IDおよび商品IDの組合せに対応づけて、当該取引者が当該商品IDで特定される商品を購入する発注先の上流取引者の上流取引者ID、当該取引者に当該商品IDで特定される商品を発注する発注者である下流取引者の下流取引者ID、当該下流取引者への販売可能数量、発注管理モード、商品流通モード等を取引設定情報として記憶することができる。
【0034】
価格記憶部146は、各商品に対して各取引者が発注者である下流取引者に販売する販売価格を商品ID、取引者ID、および発注者である下流取引者の下流取引者IDに対応付けて記憶する。
【0035】
設定情報受付部114は、ユーザがユーザ端末40〜ユーザ端末42等のユーザ端末からネットワーク50を介して入力する各種設定情報を受け付け、それぞれ商品情報記憶部140、取引者情報記憶部142、取引設定情報記憶部144、および価格記憶部146に記憶する。本実施の形態において、取引設定情報記憶部144および価格記憶部146に記憶するデータは、各取引者であるユーザが直接ユーザ端末40〜ユーザ端末42等のユーザ端末から入力したり、各取引者が設定した情報をオペレータ等がユーザ端末40〜ユーザ端末42等のユーザ端末や取引管理システム10の入力部から入力したりすることができる。
【0036】
図3は、商品情報記憶部140のデータ構成の一例を示す図である。商品情報記憶部140は、商品IDに対応づけて、各商品の商品区分、商品名、生産者情報、商品紹介アドレス等の情報を記憶する。
【0037】
図4は、取引者情報記憶部142のデータ構成の一例を示す図である。取引者情報記憶部142は、取引者IDに対応づけて、各取引者の取引者名、住所、電話番号、電子メールアドレス、パスワード、取引者紹介アドレス等の情報を記憶する。ここで、取引者IDは、各取引者が取引管理システム10にログイン等する際にユーザを識別するユーザIDとすることができる。
【0038】
図5は、取引設定情報記憶部144のデータ構成の一例を示す図である。
取引設定情報記憶部144は、対象の取引者(中間取引者に該当)の取引者IDに対応づけて、当該取引者が販売する商品の商品ID、当該取引者が当該商品IDで特定される商品を購入する発注先の上流取引者の上流取引者ID、当該取引者に当該商品IDで特定される商品を発注する発注者である下流取引者の下流取引者ID、当該下流取引者への販売可能数量、その商品を上流取引者に発注するか否かの発注管理モード、上流側に自動的に発注してよいか否かの自動発注許可フラグ、その商品を上流取引者に発注したときの商品流通モード等の情報を記憶する。
【0039】
ここで、発注管理モードとは、当該取引者が下流側の取引者から商品の発注を受けた際にさらに上流側の取引者への発注が必要か否かを示す。たとえば、中間取引者が在庫を保持しており、下流取引者から商品の発注があった場合に自己の保持する在庫を下流取引者に提供する場合は、その時点での上流取引者への発注は不要のため、「発注不要」とされる。たとえば、
図5に示した例では、取引者ID「a」および取引者ID「c」の取引者については、自己で商品ID「p0001」の商品の在庫を保持しているため、発注管理モードが「発注不要」となっている。一方、取引者ID「b」の取引者については、発注管理モードが「発注要」となっている。これは、取引者ID「b」の取引者に対して下流取引者IDで特定される下流取引者から発注があった場合は、その上流側の上流取引者IDで特定される上流取引者への発注が必要ということである。
【0040】
また、発注管理モードを「発注要」と設定する場合には、上流取引者への発注を自動で行ってよいか、または当該取引者への確認が必要かということを区別可能に設定することができる。上流取引者への発注を自動で行ってよい場合は自動発注許可フラグ欄の自動発注許可フラグがオンとされる。ここでは、自動発注フラグをオンとした場合、「レ」と示している。
図5に示した例では、取引者ID「b」の取引者については、発注管理モードが「発注要」となっており、自動発注許可フラグ欄に「レ」と設定されている。これは、取引者ID「a」の取引者がその上流取引者ID「b」の取引者に商品ID「p0001」の商品を発注した場合、取引者ID「b」の取引者の発注先である上流取引者ID「c」の取引者への発注を自動的に行ってよいということである。
【0041】
なお、本明細書中で「上流」および「下流」とは、商品の流れに対応し、商品は上流取引者から下流取引者の方向に流通される。
【0042】
また、商品流通モードとは、当該取引者から上流側の取引者に商品の発注を行った際の当該取引者への商品の流通形態を示す。たとえば、当該取引者が上流側の取引者から商品を受け取る場合は「商品受取」、当該取引者が下流側の取引者からの発注を上流側の取引者に仲介するのみで、当該取引者自体は商品を受け取らない場合は「直送」と設定することができる。たとえば、
図5に示した例では、取引者ID「a」および取引者ID「c」の取引者については、商品流通モードが「商品受取」となっている。これは、取引者ID「a」の取引者および取引者ID「c」の取引者は、それらの上流側の取引者から実際に商品を受け取る必要があるということである。一方、取引者ID「b」の取引者については、商品流通モードが「直送」となっている。これは、取引者ID「b」の取引者は、取引の仲介をするだけで、その上流側の取引者から実際に商品を受け取る必要はないということである。つまり、上流取引者ID「c」の取引者への発注が行われた後、上流取引者ID「c」から発送される商品は、取引者ID「b」の取引者へは発送されず、取引者ID「a」の取引者へ直送されるということである。
【0043】
図6は、価格記憶部146のデータ構成の一例を示す図である。
価格記憶部146は、商品IDに対応づけて、取引者ID、下流取引者ID、販売価格(単価(円))、請求形態、請求タイミング等の情報を記憶する。請求形態および請求タイミングは、発注者である上流側の取引者と発注先である取引者との間で決定しておき、たとえば発注先である取引者がユーザ端末40〜ユーザ端末42から設定情報受付部114を介して価格記憶部146に登録しておくことができる。
【0044】
ここで、請求形態欄には、発注ごとに請求書を発行する都度請求か、たとえば月末や期末等に請求書をまとめて発行する締め請求かを設定しておくことができる。たとえば請求形態が都度請求の場合は、請求タイミング欄には、下流取引者から商品の発注があった際に請求書を発行する取り決めである「発注時」、発注先である上流側の取引者から商品の発送があった際に請求書を発行する取り決めである「商品発送時」、発注者である取引者に商品が納入された際に請求書を発行する取り決めである「商品納入時」等を設定することができる。また、たとえば請求形態が締め請求の場合は、請求タイミング欄には、期末にまとめて請求書を発行する取り決めである「期末」、月末にまとめて請求書を発行する取り決めである「月末」等を設定することができる。販売価格は、基本的に下流側ほど高く設定される。これにより、取引者が卸業者等の場合に、販売利益を得ることができる。
【0045】
(発注処理)
次に、本実施の形態の取引管理システム10における発注処理手順を説明する。
図2に戻り、発注管理部118は、取引者であるユーザから商品の発注指示を受け付けると、その発注指示に基づく発注処理を管理する。以下、最初に商品の発注指示を行う取引者を下流取引者、その下流取引者の発注先の取引者を中間取引者、さらにその中間取引者の発注先の取引者を上流取引者として説明する。発注管理部118は、ある下流取引者から商品の発注指示があった場合に、発注先である中間取引者がさらに上流側の上流取引者に商品を発注するか否かを判定する。発注管理部118は、上流側の上流取引者に商品を発注すると判定した場合、その上流側の上流取引者への発注処理も行う。
【0046】
下流取引者は、商品を発注する際、ユーザ端末40〜ユーザ端末42等のユーザ端末からネットワーク50を介してたとえば自己のユーザIDである下流取引者IDおよびパスワードを入力して、取引管理システム10にログインする。発注管理部118は、ログインした下流取引者が発注指示を行うと、下流取引者が入力する発注情報を受け付ける。本実施の形態において、発注管理部118は、発注者である下流取引者の下流取引者ID、発注する商品の商品ID、および発注する商品の発注数量の入力を受け付ける。発注管理部118は、下流取引者の下流取引者IDおよび商品IDをキーとして、取引設定情報記憶部144および価格記憶部146から、その商品を当該下流取引者に販売する発注先の中間取引者の中間取引者IDおよび販売価格も発注情報として取得する。
【0047】
なお、発注管理部118は、下流取引者がログインした状態で商品の発注指示を行った場合、たとえばそのユーザ端末に発注のための情報を入力する入力画面(不図示)を提供してもよい。また、発注管理部118は、下流取引者から、商品名または商品IDの入力を受け付けることにより、その商品名または商品IDをキーとして、商品情報記憶部140、取引設定情報記憶部144および価格記憶部146等から該当する商品の情報を読み出してユーザの入力画面に提示してもよい。また、発注管理部118は、下流取引者の下流取引者IDをキーとして、取引設定情報記憶部144および価格記憶部146にアクセスして、たとえばその下流取引者が下流取引者として設定されている複数の商品の各商品IDを取得し、入力画面にリストとして表示して、下流取引者に商品を選択させるようにしてもよい。この場合、商品IDをキーとして商品情報記憶部140から商品の情報を読み出して商品情報も入力画面に表示するようにしてもよい。このとき発注管理部118は、下流取引者IDおよび商品IDをキーとして、取引設定情報記憶部144から上流取引者が当該下流取引者に割り当てているその商品の販売可能数量等を読み出し、それを入力画面に表示するようにしてもよい。
【0048】
発注管理部118は、下流取引者から発注指示を受け付けると、取引IDを発行する。発注管理部118は、取引IDを発行すると、取引管理情報生成部120にその旨を通知する。取引管理情報生成部120は、発注管理部118が発行した取引IDに対応付けて、発注管理部118がユーザから受け付けた発注情報ならびに取引設定情報記憶部144および価格記憶部146から取得した発注情報を含む取引管理情報を生成する。取引管理情報生成部120は、生成した取引管理情報を取引管理情報記憶部148に記憶する。
【0049】
なお、本明細書において、「取引者から受け付ける」とは、取引管理システム10の各機能が、取引者が用いるユーザ端末40〜ユーザ端末42等のユーザ端末から各ユーザの取引者IDにより取引者が特定された状態で指示や情報を受け付けることをいう。
【0050】
図7は、取引管理情報記憶部148のデータ構成の一例を示す図である。
取引管理情報記憶部148は、取引ID欄、枝番欄、発注取引者ID欄、商品ID欄、発注数量欄、単価欄、発注先取引者ID欄、発送先取引者ID欄等を含む。さらに、取引管理情報記憶部148は、発注可能フラグ欄、請求形態欄、請求タイミング欄、請求可能フラグ欄、発送済フラグ欄、納入済フラグ欄等を含む。これらのフラグ欄は、後述する伝票発行処理部122が伝票を発行するタイミングを制御するため等に用いられる。取引管理情報生成部120は、発注者である下流取引者の下流取引者IDを「発注取引者ID」として、発注先の中間取引者の中間取引者IDを「発注先取引者ID」として記憶する。
【0051】
また、本実施の形態において、発注管理部118は、取引設定情報記憶部144の商品流通モード欄にアクセスして、その下流取引者が対象取引者である取引設定情報について「商品受取」と設定されている場合、その下流取引者の下流取引者IDを発送先取引者IDとして取得する。一方、発注管理部118は、取引設定情報記憶部144の商品流通モード欄にアクセスして、その下流取引者が対象取引者である取引設定情報についてたとえば「直送」等、「商品受取」と設定されていない場合、その下流取引者の下流側の取引者が対象取引者である取引設定情報の商品流通モード欄を参照し、「商品受取」となっているか否かを判定する。ここで、商品流通モード欄を参照し、「商品受取」となっていれば、そのときの対象取引者の取引者IDを発送先取引者IDとして取得する。一方、ここで、「直送」等、「商品受取」と設定されていない場合、さらにその下流側の取引者の下流側の取引者が対象取引者である取引設定情報の商品流通モード欄を参照し、「商品受取」となっているか否かを判定する。発注管理部118は、この処理を繰り返し、対象取引者の商品流通モード欄の設定が「商品受取」となっている取引者の取引者IDを発送先取引者IDとして取得する処理を行う。
【0052】
たとえば、
図5に示した例では、対象取引者が取引者ID「a」の取引者の取引設定情報の商品流通モード欄の設定は「商品受取」となっている。そのため、発注管理部118は、取引者ID「a」の取引者と取引者ID「b」の取引者との間の取引について、取引者ID「a」を発送先取引者IDとして取得する。一方、対象取引者が取引者ID「b」の取引者の取引設定情報の商品流通モード欄の設定は「直送」となっている。この場合、発注管理部118は、この取引者ID「b」の取引者のさらに下流側の取引者ID「a」の取引者の取引設定情報の商品流通モード欄を参照し、「商品受取」となっているか否かを判定する。ここで、取引者ID「a」の取引者の取引設定情報の商品流通モード欄の設定は「商品受取」となっている。そのため、発注管理部118は、取引者ID「b」の取引者と取引者ID「c」の取引者との間の取引についても、取引者ID「a」を発送先取引者IDとして取得する。
【0053】
図8は、発注管理部118が下流取引者から商品の発注指示を受け付けた際の処理手順の一例を示すフローチャートである。
【0054】
発注管理部118は、発注指示を受け付けると(ステップS100のYES)、取引IDを発行する(ステップS102)。ここで、取引IDは、他の取引の取引IDと重複しない各取引を識別可能なものとすることができる。発注管理部118は、発行した取引IDおよび取得した発注情報を取引管理情報生成部120に通知して取引管理情報生成部120に取引管理情報生成指示を行う(ステップS104)。この指示に基づき、取引管理情報生成部120は、取引管理情報を生成して取引管理情報記憶部148に記憶する。取引管理情報は、取引ID、発注取引者ID、商品ID、発注数量、販売価格(単価)、発注先取引者ID等を含む。また、本実施の形態において、
図7を参照して説明したように、取引管理情報には、発注可能フラグ欄、請求形態欄、請求タイミング欄、請求可能フラグ欄、発送済フラグ欄、納入済フラグ欄も設けられた構成とすることができる。
【0055】
このとき、下流取引者自身が発注指示を行っているので、発注管理部118は、取引管理情報の発注可能フラグ欄の発注可能フラグをオンとする(ステップS106)。
【0056】
続いて、発注管理部118は、下流取引者IDおよび商品IDをキーとして取引設定情報記憶部144にアクセスして、これらのキーで特定される中間取引者である取引者の取引者IDの発注管理モード欄の設定を確認し、上流側への発注処理を行うか否かを判定する(ステップS108)。発注管理部118は、発注管理モード欄に「発注要」と設定されている場合、上流側への発注処理が必要と判定する(ステップS108のYES)。
【0057】
発注管理部118は、上流側への発注処理が必要と判定した場合(ステップS108のYES)、新たな取引IDを発行する(ステップS110)。ここで、このように下流側での発注処理を契機として上流側への発注処理が必要と判定された場合、発注管理部118は、上流側の発注処理に対して、下流側の発注処理に対して発行した取引IDに含まれる識別情報と同じ識別情報を含む取引ID、たとえば同じ識別情報にさらに枝番が付されたものを発行することができる。本実施の形態において、発注管理部118は、ステップS102で発行した取引IDにも枝番を追加するとともに、新たな取引の取引IDにもステップS102で発行した取引IDに別の枝番を付したものを発行する。発注管理部118は、発行した取引IDおよび取得した発注情報を取引管理情報生成部120に通知して取引管理情報生成部120に新たな取引管理情報生成指示を行う(ステップS112)。このとき、取引管理情報生成部120は、商品IDおよび発注数量を下流側の取引管理情報から引き継いで用いることができる。
【0058】
この後、発注管理部118は、上流側への自動発注処理を行えるか否かを判定する。まず、発注管理部118は、下流取引者IDおよび商品IDをキーとして取引設定情報記憶部144にアクセスして、これらのキーで特定される中間取引者である取引者の取引者IDの上流取引者ID欄の設定を確認し、上流取引者IDが設定されているか否かを判定する(ステップS114)。上流取引者IDが設定されている場合(ステップS114のYES)、発注管理部118は、価格記憶部146にアクセスして、下流取引者IDとして中間取引者である取引者の取引者ID、取引者IDとしてその上流取引者ID、および商品IDが設定されている情報の販売価格(単価)が設定されているか否かを判定する(ステップS116)。
【0059】
販売価格(単価)が設定されている場合(ステップS116のYES)、発注管理部118は、下流取引者IDおよび商品IDをキーとして取引設定情報記憶部144にアクセスして、これらのキーで特定される中間取引者である取引者の取引者IDの自動発注許可フラグ欄の設定を確認し、自動発注許可フラグがオンとなっているか否かを判定する(ステップS118)。自動発注許可フラグがオンとなっている場合(ステップS118のYES)、ユーザに確認することなく自動発注処理を行ってよいということなので、ステップS106に進み、発注管理部118は、この取引管理情報の発注可能フラグをオンとする。なお、発注管理部118は、ステップS114でYESの場合に上流取引者IDを取得するとともに、ステップS116でYESの場合に販売価格(単価)を取得し、それらを発注情報として取引管理情報生成部120に順次通知することができる。取引管理情報生成部120は、発注管理部118から通知された発注情報を取引管理情報に追加して取引管理情報記憶部148に記憶することができる。
【0060】
ステップS106の後、上流側への発注処理が必要でないと判定するまで(ステップS108のNO)、同様の処理を繰り返し、発注管理部118は、上流側において発注管理モードで発注要と設定されている取引者間の取引者について同様の発注処理を行う。
【0061】
一方、ステップS114で上流取引者IDが設定されていない場合(ステップS114のNO)、ステップS116で販売価格(単価)が設定されていない場合(ステップS116のNO)、またはステップS118で自動発注許可フラグがオンとなっていない場合(ステップS118のNO)、発注管理部118は、自動発注処理を行うことができないため、発注先の取引者(ここでは中間取引者)への問合せ処理を行う(ステップS120)。この場合も、ステップS110において、取引IDが発行されているため、発注管理部118は、中間取引者へ問合せをする際に取引IDも提供することができる。これにより、後に中間取引者から発注情報の入力がある際に、取引管理情報の生成を容易にすることができる。
【0062】
以上のように、各商品を販売する発注先の取引者がさらにその商品を発注する先の上流側の取引者の情報および当該上流側の取引者による販売価格を取引設定情報記憶部144および価格記憶部146に記憶させておくことにより、上流側への発注の取引管理情報が自動的に生成される構成とすることができる。また、自動発注可否フラグを設定しておくことにより、自動発注処理も行うことができる。
【0063】
図9は、
図8のステップS120の取引者への問合せを行った後に、発注管理部118がユーザである中間取引者から、発注情報の入力を受け付ける場合の処理手順の一例を示すフローチャートである。
【0064】
ここで、中間取引者であるユーザが取引管理システム10にログインした状態で、取引IDの入力とともに、発注情報の入力指示があると(ステップS121のYES)、発注管理部118は、ユーザから上流取引者IDの入力、販売価格(単価)の入力等を発注情報として受け付ける(ステップS122のYES、ステップS123のYES)。発注管理部118は受け付けた発注情報を取引管理情報生成部120に通知し、取引管理情報生成部120に取引管理情報生成指示を行う(ステップS124)。また、ユーザから発注の可否を受け付け、上流側への発注許可が得られれば(ステップS125のYES)、その取引管理情報の発注可能フラグをオンとする(ステップS126)。
【0065】
図10は、下流取引者(ID「a」)と中間取引者(ID「b」)とに関する第1の取引管理情報148aと中間取引者(ID「b」)と上流取引者(ID「c」)とに関する第2の取引管理情報148bとを模式的に示す図である。ここでは、
図5を参照して説明したように、取引者ID「a」の取引者から取引者ID「b」の取引者に商品の発注があり、取引者ID「b」の取引者は仲介を行うのみで、取引者ID「b」の取引者から取引者ID「c」の取引者への商品の発注が引き続き自動的に行われ、商品は取引者ID「c」の取引者から取引者ID「a」の取引者へ直送される場合を示す。
【0066】
ここで、取引者ID「a」と取引者ID「b」との間の第1の取引管理情報148aの発注取引者ID欄、商品ID欄、発注数量欄、および単価欄の情報は、発注管理部118が受け付けた発注情報から取得することができる。ここでは配送先取引者IDは「a」となる。また、本実施の形態において、取引者ID「b」と取引者ID「c」との間の第2の取引管理情報148bの商品ID欄、発注数量欄には、それぞれ第1の取引管理情報148aと同様の情報が入力される。また、第2の取引管理情報148bの発注取引者ID欄には、第1の取引管理情報148aの発注先取引者ID欄の情報が入力される。
【0067】
また、この例において、
図5を参照して説明したように、取引者ID「b」の取引者の商品流通モードは「直送」となっている。そのため、発注管理部118は、その発注者の下流側の取引管理情報で設定されている配送先取引者ID、すなわち「a」を配送先取引者IDとして設定する。
【0068】
(発送・納入処理)
次に、本実施の形態の取引管理システム10における発送・納入処理手順を説明する。
図2に戻り、納品管理部126は、発注先の取引者が発注された商品を発送したときに、当該取引者から発送済情報の入力を受け付ける。具体的には、納品管理部126は、発送済情報として、当該取引者から、取引IDおよび当該取引者の取引者ID等を受け付ける。納品管理部126は、取引IDおよび取引者IDに基づき、取引管理情報記憶部148の該当する取引管理情報の発送済フラグ欄の発送済フラグをオンとする。
【0069】
また、納品管理部126は、取引IDおよび取引者IDとに基づき、該当する取引管理情報を参照し、その取引管理情報の発送先取引者IDと同じ発送先取引者IDが発送先として指定された取引管理情報がさらに下流側に存在するか否かを判定する。下流側に同じ発送先取引者IDが発送先として指定された取引管理情報がある場合、納品管理部126は、その取引管理情報の発送済フラグもオンとする。
【0070】
図11は、納品管理部126が、取引管理情報記憶部148の発送済フラグをオンとする処理手順の一例を示すフローチャートである。
たとえば商品を発送する上流取引者は、ユーザ端末40等のユーザ端末から、ネットワーク50を介して取引管理システム10に情報を入力することができる。納品管理部126は、上流取引者の取引者IDおよび取引IDとともに、発送済であることを示す発送済情報の入力を受け付ける(ステップS130のYES)。納品管理部126は、取引管理情報記憶部148にアクセスして、取引IDと取引者IDとに基づき、その上流取引者の取引者IDが発注先となっている取引管理情報の発送済フラグをオンとする(ステップS132)。
【0071】
つづいて、納品管理部126は、同様に取引管理情報記憶部148にアクセスして、その上流取引者の取引者IDが発注先となっている取引管理情報の発送先取引者IDが発注取引者IDと同じか否かを判定する(ステップS134)。ここで、発送先取引者IDと発注取引者IDとが同じでない場合(ステップS134のNO)、下流側の取引管理情報に移動して、その取引管理情報の発送済フラグをオンとして(ステップS132)、同様の処理を繰り返す。一方、ステップS134で、発送先取引者IDと発注取引者IDとが同じ場合(ステップS134のYES)、処理を終了する。
【0072】
たとえば、
図10を参照して説明した例では、取引者ID「b」と取引者ID「c」との間の第2の取引管理情報148bでは、発注取引者IDは「b」なのに対して発送先取引者IDは「a」となっており、これらは異なっている。そのため、納品管理部126は、第2の取引管理情報148bの発送済フラグをオンとした後、下流側の第1の取引管理情報148aの発送済フラグもオンとする。ここで、取引者ID「a」と取引者ID「b」との間の第1の取引管理情報148aでは、発注取引者IDは「a」なのに対して発送先取引者IDも「a」となっており、これらは同じである。そのため、ここで発送済フラグをオンとする処理を終了する。このような処理により、商品が中間取引者に発送されず、上流取引者から下流取引者へ直送されるような場合、上流取引者である取引者ID「c」の取引者が発送済情報を入力するだけで、中間取引者である取引者ID「b」の取引者が発送済情報等を入力することなく、第1の取引管理情報148aの発送済フラグもオンとする処理を行うことができる。
【0073】
この状態を
図12に示す。本実施の形態において、納品管理部126は、フラグをオンとするための発送済フラグとして、商品が発送された先の取引者の取引者IDを用いることができる。ここでは、取引者ID「c」の取引者から下流側の取引者ID「a」の取引者に商品が発送されるため、発送済フラグとして取引者ID「a」を取引管理情報記憶部148に記憶する。
【0074】
また、納品管理部126は、発注者である取引者に商品が納入されたときに、当該取引者から納入済情報の入力を受け付ける。具体的には、納品管理部126は、納入済情報として、当該取引者から、納入済の指示とともに取引ID、当該取引者の取引者IDおよびその商品を発送した取引者の取引者ID等を受け付ける。納品管理部126は、取引IDおよび取引者IDに基づき、取引管理情報記憶部148の該当する取引管理情報の納入済フラグ欄の納入済フラグをオンとする。
【0075】
また、納品管理部126は、取引IDおよび取引者IDとに基づき、該当する取引管理情報を参照し、その取引管理情報の発送先取引者IDと同じ発送先取引者IDが発送先として指定された取引管理情報がさらに上流側に存在するか否かを判定する。上流側に同じ発送先取引者IDが発送先として指定された取引管理情報がある場合、納品管理部126は、その取引管理情報の納入済フラグもオンとする。
【0076】
図13は、納品管理部126が、取引管理情報記憶部148の納入済フラグをオンとする処理手順の一例を示すフローチャートである。
たとえば商品が納入される下流取引者は、ユーザ端末40等のユーザ端末から、ネットワーク50を介して取引管理システム10に情報を入力することができる。納品管理部126は、下流取引者の取引者IDおよび取引IDとともに、納入済であることを示す納入済情報の入力を受け付ける(ステップS140のYES)。ここで、納入済情報は、その商品を発送した取引者の取引者IDも含むものとすることができる。納品管理部126は、取引管理情報記憶部148にアクセスして、取引IDと取引者IDとに基づき、その下流取引者IDが発注者となっている取引管理情報の納入済フラグをオンとする(ステップS142)。
【0077】
つづいて、納品管理部126は、同様に取引管理情報記憶部148にアクセスして、その下流取引者の取引者IDが発注者となっている取引管理情報の発注先取引者IDがその商品を発送した取引者の取引者IDと同じか否かを判定する(ステップS144)。ここで、発注先取引者IDと発送した取引者の取引者IDとが同じでない場合(ステップS144のNO)、上流側の取引管理情報に移動して、その取引管理情報の納入済フラグをオンとして(ステップS132)、同様の処理を繰り返す。一方、ステップS144で、発注先取引者IDと発送した取引者の取引者IDとが同じ場合(ステップS144のYES)、処理を終了する。
【0078】
たとえば、
図10を参照して説明した例では、商品が上流取引者である取引者ID「c」の取引者から発送された場合、取引者ID「a」と取引者ID「b」との間の第1の取引管理情報148aでは、発注先取引者IDは「b」なのに対して商品を発送した取引者の取引者IDは「c」で、これらは異なっている。そのため、納品管理部126は、第1の取引管理情報148aの納入済フラグをオンとした後、上流側の第2の取引管理情報148bの納入済フラグもオンとする。ここで、取引者ID「b」と取引者ID「c」との間の第2の取引管理情報148bでは、発注先取引者IDは「c」なのに対して商品を発送した取引者の取引者IDも「c」で、これらは同じである。そのため、ここで納入済フラグをオンとする処理を終了する。このような処理により、商品が中間取引者に発送されず、上流取引者から下流取引者へ直送されるような場合、下流取引者である取引者ID「a」の取引者が納入済情報を入力するだけで、中間取引者である取引者ID「b」の取引者が納入済情報等を入力することなく、第2の取引管理情報148bの納入済フラグもオンとする処理を行うことができる。
【0079】
(伝票発行処理)
次に、本実施の形態の取引管理システム10における伝票発行処理手順を説明する。
伝票発行処理部122は、商品の発注者から発注先への発注書(発注伝票)や、商品の発注先から発注者への請求書(請求伝票)や納品書(納品伝票)を発行する。また、伝票発行処理部122は、各取引者間での取引に基づき、商品を発注する側の下流取引者の仕入元帳、商品の発注を受け付ける側の売上元帳をそれぞれ発行することができる。伝票情報記憶部150は、発注書、納品書・請求書、仕入元帳、および売上元帳を発行するためのフォーマット等の伝票を発行するために必要なデータを記憶することができる。
【0080】
伝票発行処理部122は、伝票発行処理部122は、発注管理部118が受け付けた発注の発注数量および発注先による販売価格に基づき、発注者から発注先への発注書を発行する。本実施の形態において、価格記憶部146は、商品IDおよび上流取引者IDに対応づけて上流取引者IDで特定される上流取引者による商品の販売価格である第1の販売価格を記憶するとともに、商品IDおよび中間取引者IDに対応づけて当該中間取引者による商品の販売価格である第2の販売価格を記憶している。伝票発行処理部122は、発注管理部118が受け付けた発注数量および第2の販売価格に基づき、下流取引者から中間取引者への発注伝票を発行するとともに、発注管理部118が受け付けた発注数量および第1の販売価格に基づき、中間取引者から上流取引者への発注伝票を発行する。伝票発行処理部122は、発注管理部118が上流側への発注が必要と判定した場合に、発注管理部118が受け付けた発注数量および上流側の取引者による第1の販売価格に基づき、上流側の次の発注先への発注書も発行する。
【0081】
伝票発行処理部122は、発注書を発行するために用いた販売数量および販売価格に基づき、下流側への請求書または納品書を発行する。本実施の形態において、同じ取引者間での発注書と請求書または納品書とは、同じデータを用いて発行される。つまり、本実施の形態において、伝票発行処理部122は、販売数量および販売価格を含むデータを用いて、発注書用のフォーマットに基づき上流側の取引者に提供するための発注書を発行するとともに、請求書または納品書用のフォーマットに基づき下流側の取引者に提供するための請求書または納品書を発行する。これにより、たとえば発注者がある発注先に発注を行った際に、発注として入力されたデータに基づき発注書が発行された場合は、同じデータを用いてその発注先から発注者への請求書または納品書を発行することができる。
【0082】
同様に、本実施の形態において、同じ取引者間での仕入元帳と売上元帳とは、同じデータを用いて発行される。本実施の形態において、伝票発行処理部122は、発注伝票を発行するために用いた情報を蓄積して形成された仕入元帳または売上元帳を生成することができる。具体的には、伝票発行処理部122は、所定期間における各取引者間での取引管理情報を蓄積して記憶しておくことができる。伝票発行処理部122は、このような取引管理情報の蓄積データを用いて、仕入元帳用のフォーマットに基づき、この取引者間での取引に基づく商品を発注する側の下流取引者に提供するための仕入元帳を発行することができる。また、このような仕入元帳を発行した場合、伝票発行処理部122は、同じ蓄積データを用いて、売上元帳用のフォーマットに基づき、この取引者間での取引に基づく商品の発注を受け付ける側上流取引者に提供するための売上元帳を同時に発行することができる。
【0083】
ここで、伝票を発行するとは、その伝票を、該当する取引者が閲覧可能となるようにすることである。伝票発行処理部122は、発注管理部118や納品管理部126によりいずれかの取引者の取引管理情報記憶部148の発注可能フラグ、発送済フラグ、または納入済フラグがオンとされるのに基づき、発注書、請求書、納品書等の伝票を該当する取引者が閲覧可能となるような処理を行う。
【0084】
図14は、伝票発行処理部122の処理手順の一例を示すフローチャートである。
発注管理部118は、取引管理情報記憶部148の取引管理情報の発注可能フラグをオンとした場合、取引ID(枝番がある場合は枝番含む)の通知とともに、伝票発行処理部122にその旨を通知する。また、納品管理部126は、取引管理情報記憶部148の取引管理情報の発送済フラグまたは納入済フラグをオンとした場合、取引ID(枝番がある場合は枝番含む)の通知とともに、伝票発行処理部122にその旨を通知する。
【0085】
発注管理部118または納品管理部126から、発注可能フラグ、発送済フラグまたは納入済フラグをオンとしたとの通知があると(ステップS150のYES)、伝票発行処理部122は、オンとされたフラグの種類に応じて処理を行う。
【0086】
伝票発行処理部122は、そのフラグが発注可能フラグか否かを判定し(ステップS152)、発注可能フラグの場合(ステップS152のYES)、その取引IDで特定される取引管理情報に基づき発行された発注書を、発注先取引者IDで特定される取引者が閲覧可能となるように処理する(ステップS154)。閲覧可能とした場合、伝票発行処理部122は、たとえば該当する取引者が自己のIDを入力してログインした場合に、その取引者のログイン画面にその伝票が表示されるように制御することができる。
【0087】
本実施の形態において、
図8のステップS118およびステップS106で説明したように、上流取引者への発注を自動で行う設定となっている場合は、取引管理情報が生成される際にその発注可能フラグもオンとなる。そのため、伝票発行処理部122は、発注管理部118が下流取引者からの発注を受け付けてすぐに中間取引者および上流取引者にそれぞれ下流取引者および中間取引者からの発注書が閲覧可能となるようにすることができる。これにより、中間取引者である取引者ID「b」の取引者が処理を行うことなく、上流側の取引者ID「c」が発注書を閲覧できるようにすることができる。
【0088】
ステップS154の後、伝票発行処理部122は、その取引IDで特定される取引管理情報の請求タイミングを参照し、商品発注時が請求タイミングとして設定されているか否かを判定する(ステップS174)。ここで、商品発注時が請求タイミングとして設定されている場合(ステップS174のYES)、伝票発行処理部122は、その取引管理情報の請求可能フラグをオンとする(ステップS176)。次いで、伝票発行処理部122は、その取引IDで特定される取引管理情報に基づき生成された請求書を発注取引者IDで特定される取引者が閲覧可能となるように処理する(ステップS178)。
【0089】
ステップS152でフラグが発注可能フラグでない場合(ステップS152のNO)、伝票発行処理部122は、そのフラグが納入済フラグか否かを判定する(ステップS158)。納入済フラグの場合(ステップS158のYES)、伝票発行処理部122は、その取引IDで特定される取引管理情報の請求タイミングを参照し、商品納入時が請求タイミングとして設定されているか否かを判定する(ステップS160)。ここで、商品納入時が請求タイミングとして設定されている場合(ステップS160のYES)、伝票発行処理部122は、その取引管理情報の請求可能フラグをオンとする(ステップS164)。次いで、伝票発行処理部122は、その取引IDで特定される取引管理情報に基づき生成した納品書および請求書を発注取引者IDで特定される取引者が閲覧可能となるように処理する(ステップS164)。このとき、伝票発行処理部122は、納品書と請求書とを兼用で生成することができる。
【0090】
一方、ステップS160で、商品納入時が請求タイミングとして設定されていない場合(ステップS160のNO)、伝票発行処理部122は、その取引IDで特定される取引管理情報に基づき生成した納品書を発注取引者IDで特定される取引者が閲覧可能となるように処理する(ステップS168)。
【0091】
次いで、伝票発行処理部122は、その取引IDで特定される取引管理情報の発注タイミングに基づき、請求タイミングとして、たとえば期末や月末等の締め請求が設定されているか否かを判定する(ステップS170)。締め請求が設定されている場合(ステップS170のYES)、伝票発行処理部122は、その取引IDで特定される取引管理情報を請求書の蓄積情報としてたとえば伝票情報記憶部150に蓄積する処理を行う(ステップS172)。伝票発行処理部122は、伝票情報記憶部150に蓄積された請求書の蓄積情報を、たとえば期末等にユーザから指示を受け付けることにより、または期末等のタイミングを監視しておく等により、設定されたタイミングで該当する取引者に閲覧可能に提供することができる。
【0092】
また、オンとされたフラグがステップS152で発注可能フラグでもなく(ステップS152のNO)、ステップS158で納入済フラグでもない場合(ステップS158のNO)、そのフラグは発送済フラグということになる。この場合もステップS174に進み、伝票発行処理部122は、その取引IDで特定される取引管理情報の請求タイミングを参照し、商品発送時が請求タイミングとして設定されているか否かを判定する(ステップS174)。ここで、商品発送時が請求タイミングとして設定されている場合(ステップS174のYES)、伝票発行処理部122は、その取引管理情報の請求可能フラグをオンとする(ステップS176)。次いで、伝票発行処理部122は、その取引IDで特定される取引管理情報に基づき生成された請求書を発注取引者IDで特定される取引者が閲覧可能となるように処理する(ステップS178)。
【0093】
以上のように、本実施の形態における伝票発行処理部122によれば、発注可能フラグ、発送済フラグ、または納入済フラグのいずれかがオンとされると、取引設定情報記憶部144に設定された請求形態、請求タイミングに応じて発注書、請求書、納品書等を該当する取引者が閲覧可能となる。上述したように、納品管理部126は、たとえば、商品が中間取引者に発送されず、上流取引者から下流取引者へ直送されるような場合、上流取引者が発送済情報を入力するだけで、中間取引者が発送済情報等を入力することなく、中間取引者と下流取引者との取引の取引管理情報の発送済フラグもオンとする処理を行う。また、このような場合、納品管理部126は、下流取引者が納入済情報を入力するだけで、中間取引者が納入済情報等を入力することなく、中間取引者と上流取引者との取引の取引管理情報の納入済フラグもオンとする処理を行うことができる。そのため、このような場合に、発送済フラグや納入済フラグがオンとされるのに引き続いて、伝票発行処理部122が適切なタイミングで自動的に発注書、請求書、納品書を発行することができる。
【0094】
次に、伝票発行処理部122が生成する発注書および納品書の模式例を示す。
図15および
図16は、発注書および納品書を模式的に示す図である。
図15(a)は、取引者ID「a」の「A社」から取引者ID「b」の「B社」に提供される発注書を示す図である。
図15(b)は、取引者ID「b」の「B社」から取引者ID「a」の「A社」に提供される納品書を示す図である。ここで、破線で示した箇所以外は、発注書と納品書に含まれる情報は同じである。
【0095】
同様に、
図16(a)は、取引者ID「b」の「B社」から取引者ID「c」の「C社」に提供される発注書を示す図である。
図16(b)は、取引者ID「c」の「C社」から取引者ID「b」の「B社」に提供される納品書を示す図である。ここでも、破線で示した箇所以外は、発注書と納品書に含まれる情報は同じである。
【0096】
以上のように、ある商品について、あるユーザがその商品を購入する先の上流取引者およびその上流取引者がその商品を販売する販売価格をシステムに登録しておくことにより、いずれかの取引者(下流取引者)から発注があった場合に、発注された商品の発注数量が変化しない場合は、その取引者から発注先の取引者(中間取引者)への発注書を生成するだけでなく、発注先の取引者からさらにその上流の取引者(上流取引者)への発注書も自動的に生成することができる。また、各取引者間の上流側の取引者に提供した発注書に用いたデータを各取引者間の下流側の取引者に提供する請求書または納品書のデータとして用いることができるので、請求書または納品書も簡易に提供することができる。
【0097】
次に、物流状態管理部128の処理を説明する。
図2に戻り、物流状態管理部128は、取引管理情報記憶部148の取引管理情報にアクセスして、ある下流側の取引者に上流側の取引者からの商品が納入された後、その商品がその下流側の取引者からさらに下流側に発送されたか否か等の情報を管理して所定の取引者に提供する。これにより、上流側の取引者は、下流側の取引者の商品の出荷状態を把握することができ、次回に下流側の取引者から商品の発注がある発注予測をたてることができる。
【0098】
たとえば、物流状況管理部128は、
図12を参照して説明した例で商品を発送した取引者ID「c」の取引者に、商品を発送した先の取引者ID「a」の取引者にさらに下流側の取引者から商品の発注があったか否か、および発注があった場合の数量を提示することができる。
【0099】
図17は、物流状況管理部128が下流側の取引者から出荷された商品の数量を提示する処理手順を示すフローチャートである。
ユーザがログインして、上流側の取引で発送先取引者ID欄に記入された取引者IDを入力すると(ステップS190)、物流状況管理部128は、その発送先取引者IDを発注先取引者IDとして含む取引管理情報があるか否かを判定する(ステップS192)。その発送先取引者IDを発注先取引者IDとして含む取引管理情報がある場合(ステップS192のYES)、物流状況管理部128は、その取引管理情報において、商品が発送済か否かを判定する(ステップS194)。商品が発送済の場合(ステップS194のYES)、物流状況管理部128は、その発注数量を取得する(ステップS196)。ステップS192に戻り、同様の処理を繰り返す。この後、物流状況管理部128は、取得した発注数量を取引者に提示する(ステップS198)。
【0100】
以上のように、上流側の取引者において、自己の商品の発注者である取引者からさらに下流の取引者に発送された商品の数量を把握することにより、たとえばその下流側の取引者の在庫数量が減っている場合等に、下流側の取引者からの発注がある可能性が高い等の予測を立てることができる。これにより、上流側の取引者はさらに上流側への発注等を適切なタイミングで行うこと等ができる。
【0101】
なお、以上では、ステップS194で商品が発送済か否かを判定したが、発注受付済か否かを判定するようにすることもできる。なお、物流状況管理部128は、取引者にこのような発送数量を提示する場合は、ユーザの取引者IDに基づきユーザ認証を行い、そのユーザが発注先として指定された取引の発注者に関する情報のみを提示可能とするようにすることができる。
【0102】
また、
図12に示したように、本実施の形態において、取引管理情報記憶部148は、商品の発注に基づき、各取引毎に、当該商品の商品IDと、商品の発注者の取引者IDと、当該商品を当該発注者に販売する発注先の取引者IDと、当該発注先が当該商品を発送する先の発送先の取引者IDと、発注数量と、当該発送先への商品の発送状態とを記憶している。商品の発送状態は、発注可能フラグ欄、発送済フラグ欄、納入済フラグ欄のフラグから把握することができる。
【0103】
そのため、本実施の形態における取引管理システム10において、取引管理情報記憶部148の取引管理情報を参照することにより、たとえば発送済フラグ(または発注可能フラグ)と発送数量とに基づき、どれだけの数量の商品がその取引者から下流の取引者に発送されたのかを把握することができる。物流状況管理部128は、取引者IDおよび商品IDの指定とともに、当該取引者IDで指定される検索対象の取引者における商品の在庫数量の問合せに対し、取引管理情報記憶部148にアクセスして、当該検索対象の取引者が発注者および発送先として登録されている取引管理情報における発注数量から当該検索対象の取引者が発注先として登録されている取引管理情報における発注数量を減じる処理を行うことにより、当該検索対象の取引者における商品の在庫数量を算出して提示する。
【0104】
図18は、
図12に示した第1の取引管理情報148aおよび第2の取引管理情報148bにおいて、下流取引者である取引ID「a」の取引者が、さらに下流側から商品の発注を受け、新たな取引を行う場合の取引管理情報記憶部148のデータ構成の例を示す図である。
【0105】
ここで、取引者IDは「a」の取引者がたとえば取引者ID「f」の取引者から、商品ID「p0001」のこの商品について、発注数量「20」の発注を受けたとする。この場合、取引管理情報生成部120は新たな取引IDを付した第3の取引管理情報148cを生成し、新たな取引ID「t0201」を付して取引管理情報記憶部148に記憶する。
【0106】
このような第3の取引管理情報148cが生成されている場合、物流状況管理部128は、取引者ID「a」および商品ID「p0001」の指定の指定とともに、当該取引者IDで指定される検索対象の取引者における商品の在庫数量の問合せに対し、取引管理情報記憶部148にアクセスして、当該検索対象の取引者が発注者および発送先として登録されている第1の取引管理情報148aにおける発注数量「100」から当該検索対象の取引者が発注先として登録されている第3の取引管理情報148cにおける発注数量「20」を減じる処理を行うことにより、当該検索対象の取引者ID「a」の取引者における商品の在庫数量が「80」であることを算出して、取引管理システム10のユーザに提示することができる。
【0107】
図19は、
図18に示した取引管理情報記憶部148の構成の他の例を示す図である。
ここでは、取引管理情報生成部120は、取引の対象となる上流側の取引の取引ID「t0101」も、元の取引IDとして、各取引管理情報に対応づけて取引管理情報記憶部148に記憶することができる。このような構成とすることにより、物流状況管理部128は、上流側の取引の取引IDに基づき、下流側の取引における商品の発送状態等を把握するような管理を行うことができる。物流状況管理部128は、商品を発送した先の取引者ID「a」の取引者にさらに下流側の取引者から商品の発注があったか否か、および発注があった場合の数量を提示することができる。
【0108】
図20は、物流状況管理部128が下流側の取引者から出荷された商品の数量を提示する処理手順を示すフローチャートである。
ユーザがログインして、上流側の取引での取引IDを入力すると(ステップS200)、物流状況管理部128は、その取引IDを元の取引IDとして含む取引管理情報があるか否かを判定する(ステップS202)。その取引IDを元の取引IDとして含む取引管理情報がある場合(ステップS202のYES)、物流状況管理部128は、その取引管理情報において、商品が発送済か否かを判定する(ステップS204)。商品が発送済の場合(ステップS204のYES)、物流状況管理部128は、その発注数量を取得する(ステップS206)。ステップS202に戻り、同様の処理を繰り返す。この後、物流状況管理部128は、取得した発注数量を取引者に提示する(ステップS208)。
【0109】
図21は、
図18や
図19に示した取引管理情報記憶部148の構成の他の例を示す図である。
ここでは、取引管理情報生成部120は、商品が取引者間で流通される度に、各商品IDに対応づけて、商品ID付加情報として、その商品が流通された取引者の取引者IDを取引管理情報記憶部148に記憶する構成とすることができる。
【0110】
第1の取引管理情報148aおよび第2の取引管理情報148bでは、商品ID付加情報として、「e−d−c」が記憶されている。これは、取引者ID「c」の取引者が保持している商品ID「p0001」の商品は、取引者ID「e」の取引者、取引者ID「d」の取引者、取引者ID「c」の取引者の順に流通されたものであるということである。ここで、この商品が、取引者ID「c」の取引者から取引者ID「a」の取引者へ発送された後、取引管理情報には、取引者ID「a」が付され、第3の取引管理情報148cの商品ID付加情報欄に示したように、商品ID付加情報として「e−d−c−a」が記憶される構成とすることができる。このような構成とすることにより、各取引管理情報を確認することにより、どの取引者の間で流通されたかを簡易に把握することができる。また、ここでは商品を流通した取引者の取引者IDのみを付す例を示したが、商品ID付加情報として、商品を製造する際に用いた原材料の取引者の取引者IDも含む構成とすることもできる。その際、現在の商品ではなく原材料を取り扱った取引者の取引者IDは、区別可能な符号等とともに付す構成とすることもできる。また、取引者が末端消費者である場合は、そのことも把握可能なマーク等を付す構成とすることができる。これにより、自分の商品はどういう人が購入しているか等の分析が可能になる。
【0111】
さらに、取引管理情報記憶部148において、各取引管理情報のたとえば発送先取引者ID欄の情報は、関連する他の取引管理情報の発注先取引者ID欄の情報が記憶された取引管理情報記憶部148のアドレス情報を含む構成とすることもできる。このような構成とすることにより、上流側の取引者の情報と、下流側の取引者の情報とをリンク付けることができるので、在庫数量を提示する際の検索処理時間を短縮することができる。
【0112】
また、物流状況管理部128は、いずれかの取引者からの商品の発注に基づき、上流側の取引者から下流側の取引者に商品が流通された場合に、商品を受け取った取引者の取引者IDを商品ID付加情報の末尾に追加して、当該取引者が受け取った商品の数量を在庫数量として商品IDおよび商品ID付加情報に対応付けて在庫情報記憶部152に記憶する。また、このとき、物流状況管理部128は、商品IDと商品を発送した取引者の取引者IDが末尾に追加されている商品ID付加情報とに対応付けられている在庫数量から発送された商品の数量を減じて在庫数量を更新する処理も行う。
【0113】
この例を
図22に示す。
図22は、在庫情報記憶部152のデータ構成の一例を示す図である。
ここでは、物流状況管理部128は、いずれかの取引者に商品が納入され、納入済フラグがオンとされたタイミングでその取引者の取引者IDを商品ID付加情報に追加して、納入された商品の在庫数量を更新する処理を行うようにすることができる。まず、
図22(a)に示した例では、商品ID「p0001」の商品につき、商品ID付加情報「e−d」の在庫数量が1000、商品ID付加情報「e−d−c」の在庫数量が500となっている。ここで、取引者ID「a」の取引者から、取引者ID「c」の取引者に発注数量「100」の発注があったとする。この後、取引者ID「c」の取引者から取引者ID「a」の取引者に商品が発送され、取引者ID「a」の取引者から、納入済の指示があり、納入済フラグがオンとされるとする。この場合、物流状況管理部128は、商品ID付加情報「e−d−c」に「a」を付加した新たな商品ID付加情報「e−d−c−a」に対応付けて在庫数量「100」を記憶するとともに、商品ID付加情報「e−d−c」の在庫数量を、更新前の在庫情報「500」から「100」を引いた「400」に更新する。これにより在庫情報記憶部152を参照することにより、商品ID付加情報の末尾に付された取引者IDの取引者のところに現在ある商品の在庫数量を容易に把握することができる。
【0114】
図22(c)は、さらに、取引者ID「f」の取引者から、取引者ID「a」の取引者に発注数量「20」の発注があったとする。この後、取引者ID「a」の取引者から取引者ID「f」の取引者に商品が発送され、取引者ID「f」の取引者から、納入済の指示があり、納入済フラグがオンとされるとする。この場合、物流状況管理部128は、商品ID付加情報「e−d−c−a」に「f」を付加した新たな商品ID付加情報「e−d−c−a−f」に対応付けて在庫数量「20」を記憶するとともに、商品ID付加情報「e−d−c−a」の在庫数量を、更新前の在庫情報「100」から「20」を引いた「80」に更新する。
【0115】
さらに、物流状況管理部128は、自己の取引者IDで認証された取引者から、当該取引者が下流側に発送した取引の物流状態の問合せを受け付け、その取引者に関連する商品の物流状態を提供する処理を行うことができる。たとえば、取引者ID「e」の取引者から、当該取引者が下流側に発送した取引の物流状態の問合せを受け付けると、物流状況管理部128は、在庫情報記憶部152にアクセスして、取引者ID「e」が商品ID付加情報に含まれる情報を抽出する。物流状況管理部128は、抽出した情報を当該取引者のユーザ端末に提供することができる。このとき、物流状況管理部128は、商品ID付加情報をそのままユーザに提供するのではなく、対象の取引者の取引者IDと隣接する取引者ID以外の取引者IDは、特定不明なマーク(たとえば「%」)に変換して当該取引者に提供するようにすることができる。これにより、取引者を特定せずに、流通経路における在庫状況を把握することができる。取引者が特定されないので、上流取引者や下流取引者は自らの在庫データを開示しやすくなり、全体の需要予測や納期予測等の精度を向上させることができる。
【0116】
図23を参照して説明する。ここでは、取引者ID「e」の取引者の取引者IDと、この取引者が直接商品の取引を行った取引者ID「d」の取引者の取引者ID以外は、取引者IDそのものではなく、「%」というマークが表示されている。このような構成により、取引者ID「e」の取引者に、その取引者が直接取引を行っていない取引者の識別情報である取引者ID自体は提供されないが、その取引者が直接やりとりをしていないたとえば下流側の各段階の取引者のところにどの程度の商品の在庫があるか等を提示することができる。これにより、取引者の情報が他の取引者に知れ渡るのを防ぎつつ、各取引者が自己が取り扱う商品がどの程度流通されているかを把握することにより、受注予測や発注予定を立てる際の参考とすることができるようになる。また、ここでは示していないが、たとえば末端消費者は、末端消費者であることが識別可能な符号とともに表示するようにすることもできる。
ただし、ここで「%」というマークで示した個々の取引者自体の同意が得られた場合は、それらの取引者の取引者IDを取引者ID「e」の取引者に提示するようにしてもよい。
【0117】
以上、図面を参照して本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
【0118】
なお、以上の実施の形態においては、伝票発行処理部122が取引管理情報に基づき発注書を発行した後に、請求書または納品書を発行する例を示したが、伝票発行処理部122は、取引管理情報に基づき、請求書または納品書を単独で発行することもできる。つまり、本実施の形態において、価格記憶部146に各取引者間における販売価格を記憶させておくことにより、上流側から下流側への請求書が発行された場合に、納品書生成の手順と同様にして、販売価格の情報に基づき、さらに下流側への請求書も自動的に発行することができる。
【0119】
また、以上の実施の形態においては、下流取引者、中間取引者、および上流取引者のいずれもが取引管理システム10に取引者としてユーザ登録された取引者である場合を例として示した。しかし、本実施の形態における取引管理システム10は、上流取引者がこの取引管理システムのユーザでない場合に適用することもできる。上流取引者がこのシステムのユーザである場合は、たとえば発注伝票を上流取引者がログインした状態で上流取引者のユーザ端末のディスプレイに表示される形態で提供することができる。また、上流取引者への商品の発注処理を電子的に自動で行うことができる。一方、上流取引者がこのシステムのユーザでない場合も、発注伝票が自動的に生成されるので、それをファクシミリ送付したり、メール添付したりして発注処理を簡易に行うことができる。
【0120】
また、取引設定情報記憶部144は、対象の取引者(中間取引者に該当)の取引者IDおよび商品IDに対応付けて、当該取引者が保持する在庫数量を保持する構成とすることもできる。この場合、発注管理部118は、下流側からの商品の発注があった場合に、その発注数量に基づき、取引設定情報記憶部144の在庫数量から発注数量を減じる処理や、販売可能数量を変更する処理も行うことができる。
【0121】
なお、以上の実施の形態においては、たとえば
図5に示したように、取引設定情報記憶部144には、各取引者IDに対応付けて、上流取引者IDおよび下流取引者IDを記憶する構成を示した。しかし、すべての商品について各取引者IDに、発注先である上流取引者IDおよび/または下流取引者IDを登録しておく必要はない。上流取引者や下流取引者を特定したくない商品については、特定しないことを示すたとえば「all」等のコードを登録しておくこともできる。
【0122】
(第2の実施の形態)
次に本発明の第2の実施の形態について説明する。本実施の形態は、第1の実施の形態に対して、検収を上げる基準(検収基準)として発送時か納品時かを管理できるように取引管理情報記憶部148の構成を
図24に示すように変更し、納品管理部126はこの検収基準をもとに請求可能フラグをセットして、伝票発行処理部122がこの請求可能フラグに基づいて請求書等の出力処理を行うようにしたものである。
【0123】
以下、第1の実施の形態との違いを中心に説明する。なお、発注管理部など本実施の形態に記載していない事項は、第1の実施の形態と同様である。
【0124】
(取引管理情報記憶部148のデータ構成)
第1の実施の形態と同様、本実施の形態においても、取引管理システム10は、商品受取者(受取予定者を含む。)と商品発送者(発送予定者を含む。)を末端として、その間に所定数の取引仲介業者を挿入したパターン(取引パターン)を設け、この取引パターンを単位として、取引管理情報記憶部148を構成することにより、請求納品の管理と商品の物流管理を行う。
【0125】
図24に、本実施の形態による取引管理情報記憶部148のデータ構成例を示す。この例において取引パターン1は、商品受取者である下流取引者と商品発送者である上流取引者の2者間の取引を行うときのパターンであり、取引パターン2は、発注の仲介を行う一の中間取引者が介在したパターンである。仲介取引者の数によりパターンを設けるようにする。
【0126】
図21と
図24との主な違いは、
図21の請求タイミング,発送済フラグ,納入済フラグに替えて、それぞれ検収基準,発送日時,納入日時とし、運送日数欄を新たに設けたことである。
【0127】
なお、運送日数は、上流取引者から下流取引者へ商品を運送するときに掛かる日数であり、予め一定の初期値がセットされている。
【0128】
次に、この取引管理情報記憶部148のデータを用いた納品管理部126の処理について図面を参照しながら説明する。なお、取引管理情報記憶部148は、上流取引者のユーザ端末から送られてくる取引ID,発送日時を含む発送完了通知によって起動する発送時起動ルーチンと、定周期で起動する定周期起動ルーチンで構成されている。
【0129】
(納品管理部126の処理手順)
図25は、納品管理部126の発送時起動ルーチンの処理手順を示すフローチャートである。納品管理部の発送時起動ルーチンは、上述したように上流取引者の発送完了通知を受信することによって起動する。
【0130】
このルーチンは、起動されると、まず、発送が完了した旨の通知である発送通知を取引IDと共に下流の取引者へメール送信する(S300)。なお、下流の取引者とは、当該取引IDにおける上流取引者から見た下流の取引者の全てを含む趣旨であるが(上流の取引者も同様)、ステップS300の場合は、中間取引者が存在する場合はその取引者と下流取引者(末端の取引者)の両方に通知しても良いし、下流取引者のみに通知をするようにしても良い。
【0131】
そして、納品管理部126は、発送日時を取引管理情報記憶部148の発送日時欄に書き込む(S301)。そして、納品管理部126は、当該取引IDの取引パターンを判定し(S302)、パターン2すなわち仲介取引者が存在する場合は、中間取引者の検収基準(すなわち上流取引者と中間取引者との間の取引の検収基準)を読み込み(S303)、読み込んだ検収基準が商品発送時の場合は(S304で「YES」)、請求可能フラグをセットし、読み込んだ検収基準が商品到着時(納品時)の場合は(S304で「NO」)、請求可能待ちリスト(以下、単に「待ちリスト」という。)に取引IDを登録する(S306)。
【0132】
次に下流取引業者の検収基準(すなわち、下流取引業者とその直近上位の取引業者との間の取引の検収基準)を読み込み(S307)、上記のステップS304〜S306と同様の処理を実行する(S308〜S310)。
【0133】
一方、ステップS302の判定処理でパターン1の場合は、直ちにステップS307へ移行し、以降の処理を実行する。なお、取引パターン数が3以上の場合は、中間取引者の数に応じて、ステップS303〜S306の処理を追加するようにすれば良い。
以上が納品管理部126の発送時起動ルーチンの処理手順である。
【0134】
商品受取予定者である下流取引者は、商品を受け取るとユーザ端末を介して受取情報を入力する。このとき、受け取った商品に問題がなければ、取引IDと共に正常受取である旨を取引管理システム10へ送る。一方、受け取った商品に異常があれば、異常状態に対応したエラーコードを取引管理システム10へ送る。取引管理システム10は、受信した情報を、取引管理情報記憶部148の当該取引IDの納入日時欄に格納する。商品の異常としては、たとえば、数量不足や商品の品質不良などがある。
【0135】
次に納品管理部126の定周期起動ルーチンの処理手順について、
図26に基づいて説明する。納品管理部の定周期起動ルーチンは、周期的に起動されると、待ちリストに登録されている最初の取引IDを抽出する(S400)。次に、取引管理情報記憶部148の下流取引者欄の納入日時欄のデータを読み込み(S401)、納入日時欄に日時データが保存されている場合は(S403で「YES」)、その取引IDにおいて検収基準が商品到着時になっている列の請求可能フラグをセットして(S404)、待ちリストから当該取引IDを削除する(S405)。一方、ステップS403において、エラーコードがセットされている場合は(S406で「YES」)、発送先である上流取引者へ通知する(S407)。ステップS406においてNOの場合、すなわち納入日時欄に日時もエラーコードもセットされていない場合は、現在日時と上流取引者の発送日時との差を計算し(S409)、その差が運送日数+α(予め定められたマージン)よりも大きい場合は(S410で「YES」)、ステップS404へ移行する。以上の処理を待ちリストの全取引IDについて実行する(S411,S412)。なお、ステップS405の直後に当該商品IDにおける商品ID付加情報に当該下流取引者のIDを付加するステップを入れても良い。また、納入日時から発送日時を差し引いて運送日数を計算し、その値を同じ取引者間の運送日数として使用するようにしても良い。
【0136】
図27は、発注情報の流れと商品の流れの説明図である。たとえば取引IDt0101において、取引者a,b,cの順に発注情報が流れ、取引者c(上流取引者)が商品の発送完了を、たとえば端末上に表示された発送ボタンを押すことによってシステム10へ通知する。また、商品は、取引者cから取引者aへ送られる。商品の物流情報は、商品ID付加情報として取引管理情報記憶部148に保存される。たとえば、
図24の例では、取引者cから送られた商品は、取引者e−d−cの順に取引された商品であることを意味する。取引者aは、取引者cから送られてきた商品について検収可能フラグがセットされたときに、取引管理システム10によってその商品ID付加情報に取引者a(商品受取者)の識別情報が付加され、商品ID付加情報は、e−d−c−aとなる。この付加のしかたは、物流のトレーサビリティ情報となる。一方、同様のケースで、取引者cから送られてきた商品について検収可能フラグがセットされたときに、上流取引者cから見て当該取引IDの下流の取引者(中間取引者を含む。)の識別情報を全て付加することも可能である。この場合の商品ID付加情報は、e−d−c−b−aとなる。これは納品のトレーサビリティ情報となる。納品の流れは、原則的に発注(発注を受ける側からすれば受注)の流れの逆なので、発注のトレーサビリティ情報と捉えることも可能である。この物流のトレーサビリティと納品(発注)のトレーサビリティを両方記憶しておけば、物流で問題になったときに、どのような取引が行われたかを解明することができ取引の安心安全を実効あるものにすることができる。
【0137】
このように、取引管理システム10は、取引者cから送られてくる商品発送完了通知と、取引者a(下流取引者)の入力データによって、検収の可否の判定や、商品の品質の管理および、物流管理を集中的、効率的に実行する。
【0138】
たとえば、
図15,
図16に示した発注書、納品書の出力は、取引管理情報記憶部148に保存されている共通データから出力することができるが、その出力タイミングが問題となる。本実施の形態による納品管理部126の処理によって、検収基準に合わせて請求可能フラグをセットし、伝票発行処理部122によって請求形態に合わせて、適切に発行処理を行うことができる。なお、共通データの利用、すなわち取引におけるいわゆる表裏の関係は、発注書と納品書に限らず、たとえば、売上元帳と仕入元帳などにも適用することができる。但し、本発明の実施の形態の特徴は、上述したように適切なタイミングで、下流取引者の入力の負担を省き、これらの伝票や会計データを作成することができることである。
【0139】
さらに、商品IDが一致し、かつ上流取引者と下流取引者が一致するデータをリンクさせ、第1の実施の形態で説明した各取引者の在庫量を他の取引者へ開示することによって、需要予測などを効率的に行うことができる。また、商品ID付加情報によって、検収と物流の処理を連動させて、効率的かつ正確に物流管理を行うことができる。
【0140】
たとえば、ある商品について、上流の各取引業者の在庫状況が見られることにより、発注の要否や発注時の納期の予測が可能になる。一方、ある商品について、下流の各取引業者の在庫状況が見られることにより、受注予測が可能になる。なお、このとき、在庫状況(在庫量、在庫数の増減傾向等)が見られる/見られないの設定、業者の特定の可/不可の設定、どの程度まで上流あるいは下流の業者の在庫状況を見られるようにするかは設定可能にしておくと良い。さらには、在庫量の見せ方(たとえば、多い,少ないなどの所謂感覚的,アナログ的な見せ方や、増減傾向を比率で見せるなど)を設定できるようにしても良い。
【0141】
以上、本実施の形態によれば、検収基準によって、請求可能フラグの設定タイミングを変更可能にしたので、第1の実施の形態の効果に加えて、適切なタイミングで効率的に検収や伝票の発行を可能にすると共に、商品の品質管理や物流管理を効率的に行うことが可能になる。
【0142】
たとえば、取引パターン2において、インターネットショッピングなどのポータルサイトを運営する業者を中間取引者とし、そのサイトを利用して商品を購入する者を下流取引者、そのサイトに対して商品情報を掲載する商品販売業者を上流取引者とし、下流取引者と中間取引者との間は、検収基準を発送時とし、中間取引者と上流取引者を納品時基準にすることによって、エスクローとしての機能を容易に実現することができる。
【0143】
また、商品納品時に下流取引者が商品の異常(数量不足や品質不良など)を発見したときに、その異常を登録することによって、中間取引者は、中間取引者と上流取引者との間の検収前に上流取引者に注意し、再送などを促すことができるので、簡便なDB構造によって商品の品質を担保することができる。
【0144】
また、商品IDと、商品のロット番号(あるいは取引ID)と、商品ID付加情報とを連続的に繋げたバーコードやQRコード(登録商標、以下同様)等の識別コードを物流としてのトレーサビリティ情報として商品に添付し、あるいは当該トレーサビリティ情報をICチップに格納して商品に添付して取引を行うようにしても良い。そして、上流取引者は、商品発送時にこのQRコード(物流としてのトレーサビリティ情報)をQRコードリーダー等の読み取り手段で読み取って、取引管理システム10へ送信する。取引管理情報記憶部148では、取引ID、あるいは、商品IDとロット番号(図示せず)と商品ID付加情報とで取引を特定できるようにしておき、納品管理部126は、上流取引者から送られてきた物流としてのトレーサビリティ情報から取引を特定して、
図25、
図26に記載した処理手順で請求可能フラグのセット等の処理を行い、伝票発行処理部122によって請求書等の発行処理を行う。これにより、商品発送後は、各取引者は、商品に付された物流のトレーサビリティ情報を単に読み取ることによって、請求書等の取引に必要な書類の発行を行うことができ大幅な省力化を図ることができる。また、商品に添付された物流のトレーサビリティ情報を逐次更新していくことにより、その商品のみによってどのように物流が行われたかを把握することが可能になる。
【0145】
なお、本発明の取引管理システムは、分散型システムとして実現することができる。
たとえば、上流の取引が異なるサーバで実行されている場合は、取引管理情報記憶部148の各データを当該サーバのデータフォーマットにデータ変換をして、データ連携を行うことによって、分散処理を実現することができる。
【0146】
取引パターン1,2は、取引の実情に応じて適宜組み合わせて用いることができることは既に述べたが、各パターンのデータ構造を適宜変更して使用することもできる。たとえば、
図24の取引パターン2の例では、上流取引者(c)は、中間取引者(b)を介して受けた注文に対して、上流取引者(c)が当該注文に係る商品を下流取引者(a)へ直送することとしたが、直送か否かを表すフラグ設定するカラムを設けて、上流取引者(c)は、当該フラグがセットされていれば下流取引者(a)に直送し、当該フラグがセットされていない場合は、中間取引者(b)へ送付する。このフラグを中間取引者(b)がセット可能にすることによって、より効率の良い取引管理を実現することができる。
【0147】
尤も、上記のように、取引パターン2において、直送しないような場合は、下流取引者(a)と中間取引者(b)との間で取引パターン1のデータ構造を用い、さらに、中間取引者(b)と上流取引者(c)との間で取引パターン1のデータ構造を用いて、それぞれ取引を完結させるようにすることもできる。このとき、取引IDは共通とし、枝番で下流−中間の取引か、中間−上流の取引かを区別するようにしても良い。このようにパターン1のデータ構造に枝番の欄を設けることによっても、中間取引者が複数の注文品を一括して発送するというような取引の管理を効率よく行うことができる。
【0148】
上記の各実施の形態は、主に商品の取引を例に説明したが、役務の提供についても適用可能なことは明らかである。例えば
図18,
図19,
図21,
図24においては、次の各用語は括弧書きの用語の意味も含んでいる。商品(役務)、商品ID(役務ID)、発注数量(工数)、発送(納品)、納入日時(検収日時)、運送日数(検収日数、または受入試験日数)、商品発送時(納品時)、商品到着時(検収時)等である。
【0149】
たとえば、下流取引者(a)から上流取引者(b)に対して、プログラムの開発(役務)を委託するような場合は、取引パターン1を用いて、発注数量(工数)と単価(工数単価)によって定まる費用が記載された発注書(契約書も含まれる)が発行され、設定された検収基準によって、納品時あるいは検収時に上流取引者(b)から下流取引者(a)に対して請求書が発行される。このとき、工数と単価を別々に設定しても良いし、開発費用全体として、いずれかのカラム(たとえば「発注数量」欄)に設定し、他のカラム(たとえば「単価」欄)は、固定値(たとえば「1」)に設定しておくようにしても良い。また、ネット業者等が委託サービスを仲介するような場合は、取引パターン2を用いて、効率良く取引を管理することができる。