特許第6118963号(P6118963)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6118963
(24)【登録日】2017年4月7日
(45)【発行日】2017年4月26日
(54)【発明の名称】撮像光学系
(51)【国際特許分類】
   G02B 13/04 20060101AFI20170417BHJP
   G02B 13/18 20060101ALI20170417BHJP
   G02B 23/26 20060101ALI20170417BHJP
   A61B 1/00 20060101ALI20170417BHJP
【FI】
   G02B13/04 D
   G02B13/18
   G02B23/26 C
   A61B1/00 300Y
【請求項の数】7
【全頁数】28
(21)【出願番号】特願2016-551870(P2016-551870)
(86)(22)【出願日】2016年5月12日
(86)【国際出願番号】JP2016064127
【審査請求日】2016年10月13日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】597073645
【氏名又は名称】ナルックス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105393
【弁理士】
【氏名又は名称】伏見 直哉
(72)【発明者】
【氏名】石井 健太
(72)【発明者】
【氏名】関 大介
【審査官】 堀井 康司
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−025499(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 9/00−17/08
G02B 21/02−21/04
G02B 25/00−25/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
物体側から像側に配置された、負の屈折力を有する第1レンズと、正の屈折力を有する第2レンズと、絞りと、正の屈折力を有する第3レンズと、を備えた、3枚レンズの撮像光学系であって、
該第1レンズの像側主点と該第2レンズの物体側主点との間の符号付きの距離dは、該第1レンズの像側主点が該第2レンズの物体側主点よりも物体側にある場合に正、該第1レンズの像側主点が該第2レンズの物体側主点よりも像側にある場合に負であるとし、該第1レンズ及び該第2レンズの符号付きの合成焦点距離をf12として、
d < 0
0.005 < d / f12 < 16
を満たし、
該第1レンズ、該第2レンズ、及び該第3レンズの一致した主軸を光軸として、該第3レンズの像側の面の該光軸上の点から像面までの距離をt3、該第1レンズの物体側の面の該光軸上の点から該第3レンズの像側の面の該光軸上の点までの距離をtとして、
t3/t > 0.5
を満たす撮像光学系。
【請求項2】
0.1 < d / f12 < 6
を満たす請求項1に記載の撮像光学系。
【請求項3】
0.12 < d / f12 < 0.15
を満たす請求項1に記載の撮像光学系。
【請求項4】
該第1レンズ、該第2レンズ、及び該第3レンズの一致した主軸を光軸として、該第2レンズの物体側の面の該光軸上の点が、該第1レンズの像側の面の画角に対応する光束の最外光線が通過する点よりも物体側にある請求項1からのいずれかに記載の撮像光学系。
【請求項5】
該第1レンズを構成する物質のアッベ数をv1、該第2レンズを構成する物質のアッベ数をv2、該第3レンズを構成する物質のアッベ数をv3として、
v1 > v2
v3 > v2
を満たす請求項1からのいずれかに記載の撮像光学系。
【請求項6】
画角に対応する光束の像高をy、該第1レンズの有効径をDとして、
0.75 < 2×y / D < 1.25
を満たす請求項1からのいずれかに記載の撮像光学系。
【請求項7】
内視鏡に使用される請求項1からのいずれかに記載の撮像光学系。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像光学系、特に、内視鏡用撮像光学系に関する。
【背景技術】
【0002】
医療分野で使用される内視鏡には、挿入型内視鏡とカプセル型内視鏡とがある。通常の挿入型内視鏡は、先端部分の撮像光学系、すなわち対物レンズと離れた位置にある撮像素子とが、ファイバまたはリレーレンズによって接続されている。このような通常の挿入型内視鏡の撮像光学系には、光量ロスを小さくするためにテレセントリック性が要求される。また、挿入型内視鏡においても、先端部分に撮像光学系と撮像素子とを有し、離れた位置にある表示装置に画像を表示する電子内視鏡がある。カプセル型内視鏡は、カプセル内に撮像光学系と撮像素子とを備えている。したがって、カプセル型内視鏡、及び電子内視鏡の撮像光学系には、テレセントリック性は要求されない。他方、いずれの型の内視鏡にも、小型で、広角で、高解像度であることが要求される。高解像度であるためには、撮像光学系の収差を小さくする必要がある。
【0003】
他方、従来技術の内視鏡用撮像光学系には、以下の問題がある。
【0004】
特許文献1は、物体側から像側に、負の屈折力を有するレンズ、絞り、正の屈折力を有するレンズ、正の屈折力を有するレンズが配置された構成の内視鏡用対物レンズを開示している。絞りから像面までの間の正の屈折力をもつ2枚のレンズで収差が十分に補正されている。他方、第1レンズと第2レンズの間に絞りがあり第1レンズと第2レンズの主点間距離を短くすることが出来ない。そのため、十分な画角を得ることが出来ない。
【0005】
特許文献2は、物体側から像側に、負の屈折力を有するレンズ、正の屈折力を有するレンズ、絞り、正の屈折力を有するレンズが配置された構成の内視鏡用対物レンズを開示している。第1レンズと第2レンズの主点間距離が広く、画角が十分ではない。加えて、小型で広角な撮像レンズユニットにするためレンズ材料にサファイアを用いており高価である。
【0006】
特許文献3は、物体側から像側に、負の屈折力を有するレンズ、正の屈折力を有するレンズ、絞り、正の屈折力を有するレンズが配置された構成の内視鏡用対物レンズを開示している。画角は比較的大きいが、テレセントリック性を重視しており、収差の補正が十分に出来ない。
【0007】
このように、十分に小型で、十分に広角で、十分に高解像度である内視鏡を実現するための撮像光学系は開発されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2015-60019号公報
【特許文献2】特開2004-337346号公報
【特許文献3】特開平10-170821号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
したがって、十分に小型で、十分に広角で、十分に高解像度である内視鏡を実現するための撮像光学系に対するニーズがある。本発明の課題は、十分に小型で、十分に広角で、十分に高解像度である内視鏡を実現するための撮像光学系を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明による撮像光学系は、物体側から像側に配置された、負の屈折力を有する第1レンズと、正の屈折力を有する第2レンズと、絞りと、正の屈折力を有する第3レンズと、を備える。該第1レンズの像側主点と該第2レンズの物体側主点との間の距離を|d|、該第1レンズの像側主点が該第2レンズの物体側主点よりも像側にある場合に、両主点の間の符号付きの距離をd=−|d|とし、該第1レンズ及び該第2レンズの合成焦点距離をf12として、
d < 0 (1)
0.005 < d / f12 < 16 (2)
を満たす。
【0011】
物体側から像側に配置された、負の屈折力を有する第1レンズと、正の屈折力を有する第2レンズと、正の屈折力を有する第3レンズと、を備える構成は、広角における諸収差を補正しやすい。テレセントリック性よりも小型化、広角化、及び高解像度化をより重視するには、絞りを第2レンズ及び第3レンズの間に配置するのが好ましい。
【0012】
第1レンズの径が大きくなりすぎず、かつ視野が十分に広角であるという条件を満たすよう第1レンズ及び第2レンズの屈折力を定めるには、式(2)を満たすことが好ましい。d / f12が式(2)の下限以下である場合には、第1レンズが小径であると画角を十分に広げることができず、式(2)の上限以上である場合には、第1レンズが小径であると収差補正が十分になされず高解像度を得ることが出来ない。
【0013】
一般に、φの屈折力を有するレンズとφの屈折力を有するレンズとの合成の屈折力φ12は、近軸理論で以下の式で表せる。
【数1】
【0014】
第1レンズの屈折力は負であり、第2レンズの屈折力は正であるので、第1レンズの屈折力と第2レンズの屈折力との積φφは負である。したがって、dが負であれば、−φφdは負となり、合成の屈折力φ12が負になりやすくなる。したがって、合成の屈折力φ12が強い負の屈折力を有するように、式(1)を満たすのが有利である。
【0015】
本発明の撮像光学系によれば、十分に小型で、十分に広角で、十分に高解像度である内視鏡を実現することができる。
【0016】
本発明の第1の実施形態の撮像光学系は、
0.1 < d / f12 < 6 (2)’
を満たす。
【0017】
本実施形態の撮像光学系においては、さらに高い解像度が得られる。
【0018】
本発明の第2の実施形態の撮像光学系は、
0.12 < d / f12 < 0.15 (2)”
を満たす。
【0019】
本実施形態によれば、撮像光学系をさらに小型化することができ、撮像光学系においてさらに高い解像度が得られる。
【0020】
本発明の第3の実施形態の撮像光学系は、該第1レンズ、該第2レンズ、及び該第3レンズの一致した主軸を光軸として、該第3レンズの像側の面の該光軸上の点から像面までの距離をt3、該第1レンズの物体側の面の該光軸上の点から該第3レンズの像側の面の該光軸上の点までの距離をtとして、
t3/t > 0.5
を満たす。
【0021】
本実施形態によれば、撮像光学系として小型であるにも関わらず十分な大きさのセンササイズを確保することができ、また、センサとレンズとの間に十分な間隔をとることができるので組立に有利である。
【0022】
本発明の第4の実施形態の撮像光学系は、該第1レンズ、該第2レンズ、及び該第3レンズの一致した主軸を光軸として、該第2レンズの物体側の面の該光軸上の点が、該第1レンズの像側の面の画角に対応する光束の最外光線が通過する点よりも物体側にある。
【0023】
本実施形態の構成によれば、レンズ全長が小さくなるとともに、負の屈折力を持つ第1レンズの像側の面での収差の発生を少なくすることができる。
【0024】
本発明の第5の実施形態の撮像光学系は、該第1レンズを構成する物質のアッベ数をv1、該第2レンズを構成する物質のアッベ数をv2、該第3レンズを構成する物質のアッベ数をv3として、
v1 > v2
v3 > v2
を満たす。
【0025】
本実施形態によれば、色収差が良好に補正される。
【0026】
本発明の第6の実施形態の撮像光学系は、画角に対応する光束の像高をy、該第1レンズの有効径をDとして、
0.75 < 2×y / D < 1.25
を満たす。
【0027】
本実施形態によれば、センサのサイズに対して、第1レンズの有効径の比を適切な範囲とすることにより、撮像光学系を小型化するとともに撮像光学系の収差を十分に補正することにより高解像度を実現することができる。
【0028】
本発明の第7の実施形態の撮像光学系は、内視鏡に使用される。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】実施例1の撮像光学系の構成を示す図である。
図2】実施例1の撮像光学系の倍率色収差を示す図である。
図3】実施例1の撮像光学系の像面湾曲を示す図である。
図4】実施例2の撮像光学系の構成を示す図である。
図5】実施例2の撮像光学系の倍率色収差を示す図である。
図6】実施例2の撮像光学系の像面湾曲を示す図である。
図7】実施例3の撮像光学系の構成を示す図である。
図8】実施例3の撮像光学系の倍率色収差を示す図である。
図9】実施例3の撮像光学系の像面湾曲を示す図である。
図10】実施例4の撮像光学系の構成を示す図である。
図11】実施例4の撮像光学系の倍率色収差を示す図である。
図12】実施例4の撮像光学系の像面湾曲を示す図である。
図13】実施例5の撮像光学系の構成を示す図である。
図14】実施例5の撮像光学系の倍率色収差を示す図である。
図15】実施例5の撮像光学系の像面湾曲を示す図である。
図16】実施例6の撮像光学系の構成を示す図である。
図17】実施例6の撮像光学系の倍率色収差を示す図である。
図18】実施例6の撮像光学系の像面湾曲を示す図である。
図19】実施例7の撮像光学系の構成を示す図である。
図20】実施例7の撮像光学系の倍率色収差を示す図である。
図21】実施例7の撮像光学系の像面湾曲を示す図である。
図22】実施例8の撮像光学系の構成を示す図である。
図23】実施例8の撮像光学系の倍率色収差を示す図である。
図24】実施例8の撮像光学系の像面湾曲を示す図である。
図25】実施例9の撮像光学系の構成を示す図である。
図26】実施例9の撮像光学系の倍率色収差を示す図である。
図27】実施例9の撮像光学系の像面湾曲を示す図である。
図28】実施例10の撮像光学系の構成を示す図である。
図29】実施例10の撮像光学系の倍率色収差を示す図である。
図30】実施例10の撮像光学系の像面湾曲を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
図1は、本発明の一実施形態(後で説明する実施例1)の撮像光学系の構成を示す図である。撮像光学系は、物体側から像側に配置された、負の屈折力を有する第1レンズ101と、正の屈折力を有する第2レンズ102と、絞り104と、正の屈折力を有する第3レンズ103と、を備える。上記のレンズを通過した光束は、光学部材105を通過した後、像面106上に集光される。光学部材105は、センサのカバーガラスなどである。本明細書及び特許請求の範囲において、負の屈折力を有するレンズとは、近軸光線に対して負の屈折力を有するレンズを意味し、正の屈折力を有するレンズとは、近軸光線に対して正の屈折力を有するレンズを意味する。
【0031】
本発明の撮像光学系の特徴を以下に説明する。
【0032】
本発明の実施形態の撮像光学系の第1の特徴は、物体側から像側に配置された、負の屈折力を有する第1レンズと、正の屈折力を有する第2レンズと、絞りと、正の屈折力を有する第3レンズと、を備えることである。物体側から像側に配置された、負の屈折力を有する第1レンズと、正の屈折力を有する第2レンズと、正の屈折力を有する第3レンズと、を備える構成は、広角における諸収差を補正しやすい。テレセントリック性の観点からは、絞りを第1レンズ及び第2レンズの間に配置するのが有利である。小型化、広角化、及び高解像度化の観点からは、絞りを第2レンズ及び第3レンズの間に配置するのが有利である。本発明では、テレセントリック性よりも小型化、広角化、及び高解像度化をより重視するので、絞りを第2レンズ及び第3レンズの間に配置する。
【0033】
本発明の実施形態の撮像光学系の第2の特徴は、
d < 0 (1)
0.005 < d / f12 < 16 (2)
を満たすことである。
【0034】
ここで、dは、第1レンズの像側主点と第2レンズの物体側主点との間の符号付きの距離を表し、dの絶対値は、第1レンズの像側主点と第2レンズの物体側主点との間の距離であり、dの符号は、第1レンズの像側主点が第2レンズの物体側主点よりも物体側にある場合に正、第1レンズの像側主点が第2レンズの物体側主点よりも像側にある場合に負である。また、f12は、第1レンズ及び第2レンズの合成焦点距離を表す。
【0035】
一般に、広角レンズの構成では物体側に負の屈折力をもつレンズ、像側に正の屈折力を持つレンズを配置したレトロフォーカスタイプのものになる場合が多い。そのことからも分かるように物体側に強い負の屈折力を有するレンズが有ることは視野角の広角化に有利である。
【0036】
他方、強い負の屈折力を第1レンズだけで担った場合、第1レンズの径が大きくなりすぎてしまう。第1レンズの径が大きくなりすぎると、撮像光学系、ひいては内視鏡を小型化することができない。第1レンズの径が大きくなりすぎず、かつ視野が十分に広角であるという条件を満たすよう第1レンズ及び第2レンズの屈折力を定めるには、式(2)を満たすことが望ましい。d / f12が式(2)の下限以下である場合には、第1レンズが小径であると画角を十分に広げることができず、式(2)の上限以上である場合には、第1レンズが小径であると収差補正が十分になされず高解像度を得ることが出来ない。
【0037】
以下の条件を満たすとき、撮像光学系においてさらに高い解像度が得られる。
0.1 < d / f12 < 6 (2)’
【0038】
以下の条件を満たすとき、撮像光学系をさらに小型化することができ、撮像光学系においてさらに高い解像度が得られる。
0.12 < d / f12 < 0.15 (2)”
【0039】
一般に、φの屈折力を有するレンズとφの屈折力を有するレンズとの合成の屈折力φ12は、近軸理論で以下の式で表せる。
【数2】
【0040】
上述のように、第1レンズの屈折力は負であり、第2レンズの屈折力は正であるので、第1レンズの屈折力と第2レンズの屈折力との積φφは負である。したがって、dが負であれば、−φφdは負となり、合成の屈折力φ12が負になりやすくなる。
したがって、合成の屈折力φ12が強い負の屈折力を有するように、式(1)を満たすのが有利である。
【0041】
本発明の実施形態の撮像光学系の第3の特徴は、
t3/t > 0.5 (3)
を満たすことである。
【0042】
ここで、第1レンズ、第2レンズ、及び第3レンズの一致した主軸を光軸として、t3は第3レンズの像側の面の光軸上の点から像面までの距離を表し、tは第1レンズの物体側の面の光軸上の点から第3レンズの像側の面の光軸上の点までの距離を表す。
【0043】
一般に、広角レンズは焦点距離が短いので、最も像側のレンズと像面との距離が短くなる。本発明の実施形態の撮像光学系は、第1の特徴として説明したように、物体側に強い負の屈折力を持たせているので最も像側のレンズ面から像面までの距離が比較的長くなる。特に、式(3)の条件を満たすとき、撮像光学系として小型であるにも関わらず十分な大きさのセンササイズを確保することができ、また、センサとレンズとの間に十分な間隔をとることができるので組立に有利である。
【0044】
本発明の実施形態の撮像光学系の第4の特徴は、第1レンズ、第2レンズ、及び第3レンズの一致した主軸を光軸として、第2レンズの物体側の面の光軸上の点が、該第1レンズの像側の面の画角に対応する光束の最外光線が通過する点よりも物体側にあることである。
【0045】
第4の特徴の構成は、第1レンズの像側の凹面で形成される凹部に第2レンズの物体側の凸面の頂点が配置された構成である。このような構成の場合、レンズ全長が小さくなるとともに、負の屈折力を持つ第1レンズの像側の面での収差の発生を少なくすることができる。
【0046】
本発明の実施形態の撮像光学系の第5の特徴は、
v1 > v2 (4)
v3 > v2 (5)
を満たすことである。
【0047】
ここで、v1は第1レンズを構成する物質のアッベ数、v2は第2レンズを構成する物質のアッベ数、v3は第3レンズを構成する物質のアッベ数を表す。
【0048】
第1レンズが負の屈折力、第2レンズが正の屈折力、第3レンズが正の屈折力を持つ3枚構成の場合に、第2レンズのアッベ数が最も低い時に色収差が最も良好に補正される。
【0049】
本発明の実施形態の撮像光学系の第6の特徴は、
0.75 < 2×y / D < 1.25 (6)
を満たすことである。
【0050】
ここで、yは画角に対応する光束の像高を表し、Dは第1レンズの有効径を表す。
【0051】
センサと撮像光学系とを組み合わせたシステムを小型化するには、第1レンズの有効径を小さくする必要がある。他方、センサのサイズに対して、第1レンズの有効径を小さくしすぎると、撮像光学系で収差を十分に補正することができず、解像度を上げることができない。したがって、センサのサイズに対応する2×yとDとの比が式(6)の関係を満たすのが好ましい。2×yとDとの比が式(6)の下限値以下であると、システムが十分に小型化されない。他方、2×yとDとの比が式(6)の上限値以上であると、センサの大きさに対してレンズ径が小さすぎ収差補正が十分に行えない。
【0052】
本発明の実施例について以下に説明する。
【0053】
第1レンズの材料は、実施例5を除いてシクロオレフィンポリマー(グレード:E48R)である。実施例5の第1レンズの材料は、シクロオレフィンポリマー(グレード:330R)である。第2レンズの材料は、ポリカーボネート(グレード:SP1516)である。第3レンズの材料は、シクロオレフィンポリマー(グレード:E48R)である。センサの物体側に配置された平板(センサーのカバーガラスを想定)の材料は、N-BK7である。
【0054】
各レンズ及び光学部材の各面は、以下の式で表せる。
【数3】
第1レンズ、第2レンズ、及び第3レンズのそれぞれの二面の曲率中心を結ぶ線をz軸とする。zはそれぞれのレンズ面とz軸との交点を基準とし、像側を正とした、レンズ面上の点のz軸方向の位置を示す座標である。rはz軸からレンズ面上の点までの距離を示す。Rはレンズ面の頂点における符号付きの曲率半径、すなわち符号付きの中心曲率半径である。Rの絶対値は、レンズ面の頂点における曲率半径、すなわち中心曲率半径であり、符号は、レンズ面が物体側に凸である場合に正、レンズ面が像側に凸である場合に負である。kはコーニック定数である。Aiは非球面係数である。iは整数である。
【0055】
第1レンズ、第2レンズ、及び第3レンズの一致した主軸を光軸とする。
【0056】
各実施例の撮像光学系の収差は、F線(波長486.1nm)、d線(波長587.56nm)、及びC線(波長656.27nm)について示される。
【0057】
以下の表における「曲率半径」及び「間隔」の長さの単位は、ミリメータである。
本明細書において、実施例2、5及び7−10は参考例とする。
【0058】
実施例1
図1は、実施例1の撮像光学系の構成を示す図である。実施例1の撮像光学系は、物体側から像側に配置された、負の屈折力を有する第1レンズ101と、正の屈折力を有する第2レンズ102と、絞り104と、正の屈折力を有する第3レンズ103と、を備える。上記のレンズを通過した光束は、光学部材105を通過した後、像面106上に集光される。光学部材105は、センサのカバーガラスなどである。図1には、第1レンズからの光軸上の距離が15mmの位置にある物体面から主光線が光軸に平行に入射した光束の経路と、第1レンズからの光軸上の距離が15mmの位置にある物体面から主光線が光軸に対して半画角の角度で入射した光束の経路が示されている。
【0059】
表1は、第1レンズ、第2レンズ及び第3レンズを含む光学素子の形状、材料の性質、及び光学素子間の間隔を示す表である。表の最も左側の列の数字は面番号を表す。面1−面4は、それぞれ、第1レンズ101の物体側面、第1レンズ101の像側面、第2レンズ102の物体側面、及び第2レンズ102の像側面を表す。面6−面9は、それぞれ、第3レンズ103の物体側面、第3レンズ103の像側面、平板105の物体側面、及び平板105の像側面を表す。物体の行の曲率半径は、物体の面の曲率半径を表し、「Infinity」は、物体の面が光軸に垂直な平面であることを表す。物体の行の間隔は物体の面から第1レンズ101の物体側面までの光軸上の距離を表す。面1の行において、曲率半径は第1レンズ101の物体側面の符号付きの中心曲率半径(式(7)のR)を表し、間隔は第1レンズ101の厚さを表し、屈折率は第1レンズ101の材料の屈折率を表し、アッベ数は第1レンズ101の材料のアッベ数を表し、kは第1レンズ101の物体側面の式(7)のコーニック定数を表す。面2の行において、曲率半径は第1レンズ101の像側面の符号付きの中心曲率半径(式(7)のR)を表し、間隔は第1レンズ101の像側面と第2レンズ102の物体側面との間の間隔を表し、kは第1レンズ101の像側面の式(7)のコーニック定数を表す。以下の行についても同様である。
【表1】
【0060】
表2は、面1−面4及び面6−面9の式(7)の非球面係数を示す表である。
【表2】
【0061】
図2は、実施例1の撮像光学系の倍率色収差を示す図である。図2の横軸は、d線を基準としたF線及びC線の倍率色収差を表す。図2の縦軸は、撮像光学系に入射する光束の主光線の光軸に対する角度を表す。縦軸の角度の最大値は半画角に相当する。
【0062】
図3は、実施例1の撮像光学系の像面湾曲を示す図である。図3の横軸は、F線、d線、及びC線のタンジェンシャル像面及びサジタル像面の光軸方向の位置を表す。図において、Tanはタンジェンシャル像面を表し、Sagはサジタル像面を表す。図3の縦軸は、撮像光学系に入射する光束の主光線の光軸に対する角度を表す。縦軸の角度の最大値は半画角に相当する。
【0063】
実施例2
図4は、実施例2の撮像光学系の構成を示す図である。実施例2の撮像光学系は、物体側から像側に配置された、負の屈折力を有する第1レンズ201と、正の屈折力を有する第2レンズ202と、絞り204と、正の屈折力を有する第3レンズ203と、を備える。上記のレンズを通過した光束は、光学部材205を通過した後、像面206上に集光される。光学部材205は、センサのカバーガラスなどである。図4には、第1レンズからの光軸上の距離が15mmの位置にある物体面から主光線が光軸に平行に入射した光束の経路と、第1レンズからの光軸上の距離が15mmの位置にある物体面から主光線が光軸に対して半画角の角度で入射した光束の経路が示されている。
【0064】
表3は、第1レンズ、第2レンズ及び第3レンズを含む光学素子の形状、材料の性質、及び光学素子間の間隔を示す表である。表の最も左側の列の数字は面番号を表す。面1−面4は、それぞれ、第1レンズ201の物体側面、第1レンズ201の像側面、第2レンズ202の物体側面、及び第2レンズ202の像側面を表す。面6−面9は、それぞれ、第3レンズ203の物体側面、第3レンズ203の像側面、平板205の物体側面、及び平板205の像側面を表す。物体の行の曲率半径は、物体の面の曲率半径を表し、「Infinity」は、物体の面が光軸に垂直な平面であることを表す。物体の行の間隔は物体の面から第1レンズ201の物体側面までの光軸上の距離を表す。面1の行において、曲率半径は第1レンズ201の物体側面の符号付きの中心曲率半径(式(7)のR)を表し、間隔は第1レンズ201の厚さを表し、屈折率は第1レンズ201の材料の屈折率を表し、アッベ数は第1レンズ201の材料のアッベ数を表し、kは第1レンズ201の物体側面の式(7)のコーニック定数を表す。面2の行において、曲率半径は第1レンズ201の像側面の符号付きの中心曲率半径(式(7)のR)を表し、間隔は第1レンズ201の像側面と第2レンズ202の物体側面との間の間隔を表し、kは第1レンズ201の像側面の式(7)のコーニック定数を表す。以下の行についても同様である。
【表3】
【0065】
表4A及び表4Bは、面1−面4及び面6−面9の式(7)の非球面係数を示す表である。
【表4A】
【0066】
【表4B】
【0067】
図5は、実施例2の撮像光学系の倍率色収差を示す図である。図5の横軸は、d線を基準としたF線及びC線の倍率色収差を表す。図5の縦軸は、撮像光学系に入射する光束の主光線の光軸に対する角度を表す。縦軸の角度の最大値は半画角に相当する。
【0068】
図6は、実施例2の撮像光学系の像面湾曲を示す図である。図6の横軸は、F線、d線、及びC線のタンジェンシャル像面及びサジタル像面の光軸方向の位置を表す。図において、Tanはタンジェンシャル像面を表し、Sagはサジタル像面を表す。図6の縦軸は、撮像光学系に入射する光束の主光線の光軸に対する角度を表す。縦軸の角度の最大値は半画角に相当する。
【0069】
実施例3
図7は、実施例3の撮像光学系の構成を示す図である。実施例3の撮像光学系は、物体側から像側に配置された、負の屈折力を有する第1レンズ301と、正の屈折力を有する第2レンズ302と、絞り304と、正の屈折力を有する第3レンズ303と、を備える。上記のレンズを通過した光束は、光学部材305を通過した後、像面306上に集光される。光学部材305は、センサのカバーガラスなどである。図7には、第1レンズからの光軸上の距離が15mmの位置にある物体面から主光線が光軸に平行に入射した光束の経路と、第1レンズからの光軸上の距離が15mmの位置にある物体面から主光線が光軸に対して半画角の角度で入射した光束の経路が示されている。
【0070】
表5は、第1レンズ、第2レンズ及び第3レンズを含む光学素子の形状、材料の性質、及び光学素子間の間隔を示す表である。表の最も左側の列の数字は面番号を表す。面1−面4は、それぞれ、第1レンズ301の物体側面、第1レンズ301の像側面、第2レンズ302の物体側面、及び第2レンズ302の像側面を表す。面6−面9は、それぞれ、第3レンズ303の物体側面、第3レンズ303の像側面、平板305の物体側面、及び平板305の像側面を表す。物体の行の曲率半径は、物体の面の曲率半径を表し、「Infinity」は、物体の面が光軸に垂直な平面であることを表す。物体の行の間隔は物体の面から第1レンズ301の物体側面までの光軸上の距離を表す。面1の行において、曲率半径は第1レンズ301の物体側面の符号付きの中心曲率半径(式(7)のR)を表し、間隔は第1レンズ301の厚さを表し、屈折率は第1レンズ301の材料の屈折率を表し、アッベ数は第1レンズ301の材料のアッベ数を表し、kは第1レンズ301の物体側面の式(7)のコーニック定数を表す。面2の行において、曲率半径は第1レンズ301の像側面の符号付きの中心曲率半径(式(7)のR)を表し、間隔は第1レンズ301の像側面と第2レンズ302の物体側面との間の間隔を表し、kは第1レンズ301の像側面の式(7)のコーニック定数を表す。以下の行についても同様である。
【表5】
【0071】
表6は、面1−面4及び面6−面9の式(7)の非球面係数を示す表である。
【表6】
【0072】
図8は、実施例3の撮像光学系の倍率色収差を示す図である。図8の横軸は、d線を基準としたF線及びC線の倍率色収差を表す。図8の縦軸は、撮像光学系に入射する光束の主光線の光軸に対する角度を表す。縦軸の角度の最大値は半画角に相当する。
【0073】
図9は、実施例3の撮像光学系の像面湾曲を示す図である。図9の横軸は、F線、d線、及びC線のタンジェンシャル像面及びサジタル像面の光軸方向の位置を表す。図において、Tanはタンジェンシャル像面を表し、Sagはサジタル像面を表す。図9の縦軸は、撮像光学系に入射する光束の主光線の光軸に対する角度を表す。縦軸の角度の最大値は半画角に相当する。
【0074】
実施例4
図10は、実施例4の撮像光学系の構成を示す図である。実施例4の撮像光学系は、物体側から像側に配置された、負の屈折力を有する第1レンズ401と、正の屈折力を有する第2レンズ402と、絞り404と、正の屈折力を有する第3レンズ403と、を備える。上記のレンズを通過した光束は、光学部材405を通過した後、像面406上に集光される。光学部材405は、センサのカバーガラスなどである。図10には、第1レンズからの光軸上の距離が15mmの位置にある物体面から主光線が光軸に平行に入射した光束の経路と、第1レンズからの光軸上の距離が15mmの位置にある物体面から主光線が光軸に対して半画角の角度で入射した光束の経路が示されている。
【0075】
表7は、第1レンズ、第2レンズ及び第3レンズを含む光学素子の形状、材料の性質、及び光学素子間の間隔を示す表である。表の最も左側の列の数字は面番号を表す。面1−面4は、それぞれ、第1レンズ401の物体側面、第1レンズ401の像側面、第2レンズ402の物体側面、及び第2レンズ402の像側面を表す。面6−面9は、それぞれ、第3レンズ403の物体側面、第3レンズ403の像側面、平板405の物体側面、及び平板405の像側面を表す。物体の行の曲率半径は、物体の面の曲率半径を表し、「Infinity」は、物体の面が光軸に垂直な平面であることを表す。物体の行の間隔は物体の面から第1レンズ401の物体側面までの光軸上の距離を表す。面1の行において、曲率半径は第1レンズ401の物体側面の符号付きの中心曲率半径(式(7)のR)を表し、間隔は第1レンズ401の厚さを表し、屈折率は第1レンズ401の材料の屈折率を表し、アッベ数は第1レンズ401の材料のアッベ数を表し、kは第1レンズ401の物体側面の式(7)のコーニック定数を表す。面2の行において、曲率半径は第1レンズ401の像側面の符号付きの中心曲率半径(式(7)のR)を表し、間隔は第1レンズ401の像側面と第2レンズ402の物体側面との間の間隔を表し、kは第1レンズ401の像側面の式(7)のコーニック定数を表す。以下の行についても同様である。
【表7】
【0076】
表8は、面1−面4及び面6−面9の式(7)の非球面係数を示す表である。
【表8】
【0077】
図11は、実施例4の撮像光学系の倍率色収差を示す図である。図11の横軸は、d線を基準としたF線及びC線の倍率色収差を表す。図11の縦軸は、撮像光学系に入射する光束の主光線の光軸に対する角度を表す。縦軸の角度の最大値は半画角に相当する。
【0078】
図12は、実施例4の撮像光学系の像面湾曲を示す図である。図12の横軸は、F線、d線、及びC線のタンジェンシャル像面及びサジタル像面の光軸方向の位置を表す。図において、Tanはタンジェンシャル像面を表し、Sagはサジタル像面を表す。図12の縦軸は、撮像光学系に入射する光束の主光線の光軸に対する角度を表す。縦軸の角度の最大値は半画角に相当する。
【0079】
実施例5
図13は、実施例5の撮像光学系の構成を示す図である。実施例5の撮像光学系は、物体側から像側に配置された、負の屈折力を有する第1レンズ501と、正の屈折力を有する第2レンズ502と、絞り504と、正の屈折力を有する第3レンズ503と、を備える。上記のレンズを通過した光束は、光学部材505を通過した後、像面506上に集光される。光学部材505は、センサのカバーガラスなどである。図13には、第1レンズからの光軸上の距離が15mmの位置にある物体面から主光線が光軸に平行に入射した光束の経路と、第1レンズからの光軸上の距離が15mmの位置にある物体面から主光線が光軸に対して半画角の角度で入射した光束の経路が示されている。
【0080】
表9は、第1レンズ、第2レンズ及び第3レンズを含む光学素子の形状、材料の性質、及び光学素子間の間隔を示す表である。表の最も左側の列の数字は面番号を表す。面1−面4は、それぞれ、第1レンズ501の物体側面、第1レンズ501の像側面、第2レンズ502の物体側面、及び第2レンズ502の像側面を表す。面6−面9は、それぞれ、第3レンズ503の物体側面、第3レンズ503の像側面、平板505の物体側面、及び平板505の像側面を表す。物体の行の曲率半径は、物体の面の曲率半径を表し、「Infinity」は、物体の面が光軸に垂直な平面であることを表す。物体の行の間隔は物体の面から第1レンズ501の物体側面までの光軸上の距離を表す。面1の行において、曲率半径は第1レンズ501の物体側面の符号付きの中心曲率半径(式(7)のR)を表し、間隔は第1レンズ501の厚さを表し、屈折率は第1レンズ501の材料の屈折率を表し、アッベ数は第1レンズ501の材料のアッベ数を表し、kは第1レンズ501の物体側面の式(7)のコーニック定数を表す。面2の行において、曲率半径は第1レンズ501の像側面の符号付きの中心曲率半径(式(7)のR)を表し、間隔は第1レンズ501の像側面と第2レンズ502の物体側面との間の間隔を表し、kは第1レンズ501の像側面の式(7)のコーニック定数を表す。以下の行についても同様である。
【表9】
【0081】
表10は、面1−面4及び面6−面9の式(7)の非球面係数を示す表である。
【表10】
【0082】
図14は、実施例5の撮像光学系の倍率色収差を示す図である。図14の横軸は、d線を基準としたF線及びC線の倍率色収差を表す。図14の縦軸は、撮像光学系に入射する光束の主光線の光軸に対する角度を表す。縦軸の角度の最大値は半画角に相当する。
【0083】
図15は、実施例5の撮像光学系の像面湾曲を示す図である。図15の横軸は、F線、d線、及びC線のタンジェンシャル像面及びサジタル像面の光軸方向の位置を表す。図において、Tanはタンジェンシャル像面を表し、Sagはサジタル像面を表す。図15の縦軸は、撮像光学系に入射する光束の主光線の光軸に対する角度を表す。縦軸の角度の最大値は半画角に相当する。
【0084】
実施例6
図16は、実施例6の撮像光学系の構成を示す図である。実施例6の撮像光学系は、物体側から像側に配置された、負の屈折力を有する第1レンズ601と、正の屈折力を有する第2レンズ602と、絞り604と、正の屈折力を有する第3レンズ603と、を備える。上記のレンズを通過した光束は、光学部材605を通過した後、像面606上に集光される。光学部材605は、センサのカバーガラスなどである。図16には、第1レンズからの光軸上の距離が15mmの位置にある物体面から主光線が光軸に平行に入射した光束の経路と、第1レンズからの光軸上の距離が15mmの位置にある物体面から主光線が光軸に対して半画角の角度で入射した光束の経路が示されている。
【0085】
表11は、第1レンズ、第2レンズ及び第3レンズを含む光学素子の形状、材料の性質、及び光学素子間の間隔を示す表である。表の最も左側の列の数字は面番号を表す。面1−面4は、それぞれ、第1レンズ601の物体側面、第1レンズ601の像側面、第2レンズ602の物体側面、及び第2レンズ602の像側面を表す。面6−面9は、それぞれ、第3レンズ603の物体側面、第3レンズ603の像側面、平板605の物体側面、及び平板605の像側面を表す。物体の行の曲率半径は、物体の面の曲率半径を表し、「Infinity」は、物体の面が光軸に垂直な平面であることを表す。物体の行の間隔は物体の面から第1レンズ601の物体側面までの光軸上の距離を表す。面1の行において、曲率半径は第1レンズ601の物体側面の符号付きの中心曲率半径(式(7)のR)を表し、間隔は第1レンズ601の厚さを表し、屈折率は第1レンズ601の材料の屈折率を表し、アッベ数は第1レンズ601の材料のアッベ数を表し、kは第1レンズ601の物体側面の式(7)のコーニック定数を表す。面2の行において、曲率半径は第1レンズ601の像側面の符号付きの中心曲率半径(式(7)のR)を表し、間隔は第1レンズ601の像側面と第2レンズ602の物体側面との間の間隔を表し、kは第1レンズ601の像側面の式(7)のコーニック定数を表す。以下の行についても同様である。
【表11】
【0086】
表12は、面1−面4及び面6−面9の式(7)の非球面係数を示す表である。
【表12】
【0087】
図17は、実施例6の撮像光学系の倍率色収差を示す図である。図17の横軸は、d線を基準としたF線及びC線の倍率色収差を表す。図17の縦軸は、撮像光学系に入射する光束の主光線の光軸に対する角度を表す。縦軸の角度の最大値は半画角に相当する。
【0088】
図18は、実施例6の撮像光学系の像面湾曲を示す図である。図18の横軸は、F線、d線、及びC線のタンジェンシャル像面及びサジタル像面の光軸方向の位置を表す。図において、Tanはタンジェンシャル像面を表し、Sagはサジタル像面を表す。図18の縦軸は、撮像光学系に入射する光束の主光線の光軸に対する角度を表す。縦軸の角度の最大値は半画角に相当する。
【0089】
実施例7
図19は、実施例7の撮像光学系の構成を示す図である。実施例7の撮像光学系は、物体側から像側に配置された、負の屈折力を有する第1レンズ701と、正の屈折力を有する第2レンズ702と、絞り704と、正の屈折力を有する第3レンズ703と、を備える。上記のレンズを通過した光束は、光学部材705を通過した後、像面706上に集光される。光学部材705は、センサのカバーガラスなどである。図19には、第1レンズからの光軸上の距離が15mmの位置にある物体面から主光線が光軸に平行に入射した光束の経路と、第1レンズからの光軸上の距離が15mmの位置にある物体面から主光線が光軸に対して半画角の角度で入射した光束の経路が示されている。
【0090】
表13は、第1レンズ、第2レンズ及び第3レンズを含む光学素子の形状、材料の性質、及び光学素子間の間隔を示す表である。表の最も左側の列の数字は面番号を表す。面1−面4は、それぞれ、第1レンズ701の物体側面、第1レンズ701の像側面、第2レンズ702の物体側面、及び第2レンズ702の像側面を表す。面6−面9は、それぞれ、第3レンズ703の物体側面、第3レンズ703の像側面、平板705の物体側面、及び平板705の像側面を表す。物体の行の曲率半径は、物体の面の曲率半径を表し、「Infinity」は、物体の面が光軸に垂直な平面であることを表す。物体の行の間隔は物体の面から第1レンズ701の物体側面までの光軸上の距離を表す。面1の行において、曲率半径は第1レンズ701の物体側面の符号付きの中心曲率半径(式(7)のR)を表し、間隔は第1レンズ701の厚さを表し、屈折率は第1レンズ701の材料の屈折率を表し、アッベ数は第1レンズ701の材料のアッベ数を表し、kは第1レンズ701の物体側面の式(7)のコーニック定数を表す。面2の行において、曲率半径は第1レンズ701の像側面の符号付きの中心曲率半径(式(7)のR)を表し、間隔は第1レンズ701の像側面と第2レンズ702の物体側面との間の間隔を表し、kは第1レンズ701の像側面の式(7)のコーニック定数を表す。以下の行についても同様である。
【表13】
【0091】
表14は、面1−面4及び面6−面9の式(7)の非球面係数を示す表である。
【表14】
【0092】
図20は、実施例7の撮像光学系の倍率色収差を示す図である。図20の横軸は、d線を基準としたF線及びC線の倍率色収差を表す。図20の縦軸は、撮像光学系に入射する光束の主光線の光軸に対する角度を表す。縦軸の角度の最大値は半画角に相当する。
【0093】
図21は、実施例7の撮像光学系の像面湾曲を示す図である。図21の横軸は、F線、d線、及びC線のタンジェンシャル像面及びサジタル像面の光軸方向の位置を表す。図において、Tanはタンジェンシャル像面を表し、Sagはサジタル像面を表す。図21の縦軸は、撮像光学系に入射する光束の主光線の光軸に対する角度を表す。縦軸の角度の最大値は半画角に相当する。
【0094】
実施例8
図22は、実施例8の撮像光学系の構成を示す図である。実施例8の撮像光学系は、物体側から像側に配置された、負の屈折力を有する第1レンズ801と、正の屈折力を有する第2レンズ802と、絞り804と、正の屈折力を有する第3レンズ803と、を備える。上記のレンズを通過した光束は、光学部材805を通過した後、像面806上に集光される。光学部材805は、センサのカバーガラスなどである。図22には、第1レンズからの光軸上の距離が15mmの位置にある物体面から主光線が光軸に平行に入射した光束の経路と、第1レンズからの光軸上の距離が15mmの位置にある物体面から主光線が光軸に対して半画角の角度で入射した光束の経路が示されている。
【0095】
表15は、第1レンズ、第2レンズ及び第3レンズを含む光学素子の形状、材料の性質、及び光学素子間の間隔を示す表である。表の最も左側の列の数字は面番号を表す。面1−面4は、それぞれ、第1レンズ801の物体側面、第1レンズ801の像側面、第2レンズ802の物体側面、及び第2レンズ802の像側面を表す。面6−面9は、それぞれ、第3レンズ803の物体側面、第3レンズ803の像側面、平板805の物体側面、及び平板805の像側面を表す。物体の行の曲率半径は、物体の面の曲率半径を表し、「Infinity」は、物体の面が光軸に垂直な平面であることを表す。物体の行の間隔は物体の面から第1レンズ801の物体側面までの光軸上の距離を表す。面1の行において、曲率半径は第1レンズ801の物体側面の符号付きの中心曲率半径(式(7)のR)を表し、間隔は第1レンズ801の厚さを表し、屈折率は第1レンズ801の材料の屈折率を表し、アッベ数は第1レンズ801の材料のアッベ数を表し、kは第1レンズ801の物体側面の式(7)のコーニック定数を表す。面2の行において、曲率半径は第1レンズ801の像側面の符号付きの中心曲率半径(式(7)のR)を表し、間隔は第1レンズ801の像側面と第2レンズ802の物体側面との間の間隔を表し、kは第1レンズ801の像側面の式(7)のコーニック定数を表す。以下の行についても同様である。
【表15】
【0096】
表16は、面1−面4及び面6−面9の式(7)の非球面係数を示す表である。
【表16】
【0097】
図23は、実施例8の撮像光学系の倍率色収差を示す図である。図23の横軸は、d線を基準としたF線及びC線の倍率色収差を表す。図23の縦軸は、撮像光学系に入射する光束の主光線の光軸に対する角度を表す。縦軸の角度の最大値は半画角に相当する。
【0098】
図24は、実施例8の撮像光学系の像面湾曲を示す図である。図24の横軸は、F線、d線、及びC線のタンジェンシャル像面及びサジタル像面の光軸方向の位置を表す。図において、Tanはタンジェンシャル像面を表し、Sagはサジタル像面を表す。図24の縦軸は、撮像光学系に入射する光束の主光線の光軸に対する角度を表す。縦軸の角度の最大値は半画角に相当する。
【0099】
実施例9
図25は、実施例9の撮像光学系の構成を示す図である。実施例9の撮像光学系は、物体側から像側に配置された、負の屈折力を有する第1レンズ901と、正の屈折力を有する第2レンズ902と、絞り904と、正の屈折力を有する第3レンズ903と、を備える。上記のレンズを通過した光束は、光学部材905を通過した後、像面906上に集光される。光学部材905は、センサのカバーガラスなどである。図25には、第1レンズからの光軸上の距離が15mmの位置にある物体面から主光線が光軸に平行に入射した光束の経路と、第1レンズからの光軸上の距離が15mmの位置にある物体面から主光線が光軸に対して半画角の角度で入射した光束の経路が示されている。
【0100】
表17は、第1レンズ、第2レンズ及び第3レンズを含む光学素子の形状、材料の性質、及び光学素子間の間隔を示す表である。表の最も左側の列の数字は面番号を表す。面1−面4は、それぞれ、第1レンズ901の物体側面、第1レンズ901の像側面、第2レンズ902の物体側面、及び第2レンズ902の像側面を表す。面6−面9は、それぞれ、第3レンズ903の物体側面、第3レンズ903の像側面、平板905の物体側面、及び平板905の像側面を表す。物体の行の曲率半径は、物体の面の曲率半径を表し、「Infinity」は、物体の面が光軸に垂直な平面であることを表す。物体の行の間隔は物体の面から第1レンズ901の物体側面までの光軸上の距離を表す。面1の行において、曲率半径は第1レンズ901の物体側面の符号付きの中心曲率半径(式(7)のR)を表し、間隔は第1レンズ901の厚さを表し、屈折率は第1レンズ901の材料の屈折率を表し、アッベ数は第1レンズ901の材料のアッベ数を表し、kは第1レンズ901の物体側面の式(7)のコーニック定数を表す。面2の行において、曲率半径は第1レンズ901の像側面の符号付きの中心曲率半径(式(7)のR)を表し、間隔は第1レンズ901の像側面と第2レンズ902の物体側面との間の間隔を表し、kは第1レンズ901の像側面の式(7)のコーニック定数を表す。以下の行についても同様である。
【表17】
【0101】
表18は、面1−面4及び面6−面9の式(7)の非球面係数を示す表である。
【表18】
【0102】
図26は、実施例9の撮像光学系の倍率色収差を示す図である。図26の横軸は、d線を基準としたF線及びC線の倍率色収差を表す。図26の縦軸は、撮像光学系に入射する光束の主光線の光軸に対する角度を表す。縦軸の角度の最大値は半画角に相当する。
【0103】
図27は、実施例9の撮像光学系の像面湾曲を示す図である。図27の横軸は、F線、d線、及びC線のタンジェンシャル像面及びサジタル像面の光軸方向の位置を表す。図において、Tanはタンジェンシャル像面を表し、Sagはサジタル像面を表す。図27の縦軸は、撮像光学系に入射する光束の主光線の光軸に対する角度を表す。縦軸の角度の最大値は半画角に相当する。
【0104】
実施例10
図28は、実施例10の撮像光学系の構成を示す図である。実施例10の撮像光学系は、物体側から像側に配置された、負の屈折力を有する第1レンズ1001と、正の屈折力を有する第2レンズ1002と、絞り1004と、正の屈折力を有する第3レンズ1003と、を備える。上記のレンズを通過した光束は、光学部材1005を通過した後、像面1006上に集光される。光学部材1005は、センサのカバーガラスなどである。図28には、第1レンズからの光軸上の距離が15mmの位置にある物体面から主光線が光軸に平行に入射した光束の経路と、第1レンズからの光軸上の距離が15mmの位置にある物体面から主光線が光軸に対して半画角の角度で入射した光束の経路が示されている。
【0105】
表19は、第1レンズ、第2レンズ及び第3レンズを含む光学素子の形状、材料の性質、及び光学素子間の間隔を示す表である。表の最も左側の列の数字は面番号を表す。面1−面4は、それぞれ、第1レンズ1001の物体側面、第1レンズ1001の像側面、第2レンズ1002の物体側面、及び第2レンズ1002の像側面を表す。面6−面9は、それぞれ、第3レンズ1003の物体側面、第3レンズ1003の像側面、平板1005の物体側面、及び平板1005の像側面を表す。物体の行の曲率半径は、物体の面の曲率半径を表し、「Infinity」は、物体の面が光軸に垂直な平面であることを表す。物体の行の間隔は物体の面から第1レンズ1001の物体側面までの光軸上の距離を表す。面1の行において、曲率半径は第1レンズ1001の物体側面の符号付きの中心曲率半径(式(7)のR)を表し、間隔は第1レンズ1001の厚さを表し、屈折率は第1レンズ1001の材料の屈折率を表し、アッベ数は第1レンズ1001の材料のアッベ数を表し、kは第1レンズ1001の物体側面の式(7)のコーニック定数を表す。面2の行において、曲率半径は第1レンズ1001の像側面の符号付きの中心曲率半径(式(7)のR)を表し、間隔は第1レンズ1001の像側面と第2レンズ1002の物体側面との間の間隔を表し、kは第1レンズ1001の像側面の式(7)のコーニック定数を表す。以下の行についても同様である。
【表19】
【0106】
表20は、面1−面4及び面6−面9の式(7)の非球面係数を示す表である。
【表20】
【0107】
図29は、実施例10の撮像光学系の倍率色収差を示す図である。図29の横軸は、d線を基準としたF線及びC線の倍率色収差を表す。図29の縦軸は、撮像光学系に入射する光束の主光線の光軸に対する角度を表す。縦軸の角度の最大値は半画角に相当する。
【0108】
図30は、実施例10の撮像光学系の像面湾曲を示す図である。図30の横軸は、F線、d線、及びC線のタンジェンシャル像面及びサジタル像面の光軸方向の位置を表す。図において、Tanはタンジェンシャル像面を表し、Sagはサジタル像面を表す。図30の縦軸は、撮像光学系に入射する光束の主光線の光軸に対する角度を表す。縦軸の角度の最大値は半画角に相当する。
【0109】
実施例のまとめ
表21は、実施例1−実施例10の特徴を求めた表である。表における長さの単位はミリメータであり、角度の単位は度である。
【表21】
【0110】
表において、ωは半画角を表し、2ωは画角を表す。表21によると、全ての実施例は、式(1)、式(2)、式(3)、及び式(6)を満たす。実施例1−5及び実施例7は式(2)’を満たし、実施例1は式(2)”を満たす。また、各実施例の表によると、全ての実施例は式(4)及び式(5)を満たす。
【0111】
各実施例の収差図によると、ほとんどの実施例の撮像光学系のd線を基準としたF線及びC線の倍率色収差は、±1マイクロメータ以内である。ほとんどの実施例の撮像光学系のF線、d線、及びC線のタンジェンシャル像面及びサジタル像面の像面湾曲は、±40マイクロメータ以内である。
【要約】
十分に小型で、十分に広角で、十分に高解像度である内視鏡を実現するための撮像光学系を提供する。撮像光学系は、物体側から像側に配置された、負の屈折力を有する第1レンズと、正の屈折力を有する第2レンズと、絞りと、正の屈折力を有する第3レンズと、を備える。第1レンズの像側主点と該第2レンズの物体側主点との間の距離を|d|、該第1レンズの像側主点が該第2レンズの物体側主点よりも像側にある場合に、両主点の間の符号付きの距離をd=−|d|とし、該第1レンズ及び該第2レンズの合成焦点距離をf12として、
d < 0
0.005 < d / f12 < 16
を満たす。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
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図9
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図11
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図28
図29
図30