(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
先端から基端まで連通するメインルーメンを有するメインチューブと、前記メインチューブの先端部側面に固定され、内部にガイドワイヤルーメンを有する側部管状部とを備える血管内異物吸引用カテーテルであって、
前記側部管状部は、軸方向に所定長延びるX線造影性金属製コイルチューブのみにより構成され、かつ、前記コイルチューブは、前記メインチューブの先端部側面に直接固定されており、さらに、前記コイルチューブは、先端部に位置する第1の密巻部と、前記第1の密巻部と所定長離間した位置に設けられた第2の密巻部とを備えていることを特徴とする血管内異物吸引用カテーテル。
前記コイルチューブの前記第1の密巻部は、前記メインチューブの先端より突出し、前記カテーテルの先端に位置している請求項1ないし4のいずれかに記載の血管内異物吸引用カテーテル。
前記コイルチューブの隣り合う密巻部間は、前記密巻部に比べてコイルチューブの巻が粗い粗巻部となっている請求項1ないし8のいずれかに記載の血管内異物吸引用カテーテル。
【背景技術】
【0002】
血管内壁面に形成された狭窄原因物質(例えば、血栓)等の異物を除去するために、長尺なシャフト内に吸引ルーメンが形成された吸引カテーテルが用いられている。
【0003】
吸引カテーテルは、ガイドワイヤが挿通されるガイドワイヤルーメンを有し、ガイドワイヤに案内されながら目的部位まで挿入される。そして、基端部に装着される吸引手段により付与される陰圧により、先端の吸引口から吸引ルーメンにと異物を吸引し、除去する。
このような、吸引カテーテルとして、例えば、特開2010−57831号公報(特許文献1)、特開2006−297063号公報(特許文献2)、特開2012−35059号公報(US2012016344:特許文献3)のものがある。
特許文献1の吸引カテーテルは、遠位部から近位部まで連通する吸引ルーメンと、遠位部にガイドワイヤルーメンを有する。そして、ガイドワイヤルーメンの近位端が吸引ルーメンに対し連通している。
また、特許文献2の吸引カテーテルでは、シャフトチューブ(2)が、近位部(3)と中間部(4)と遠位部(5)の硬度の異なる三種類のチューブから形成され、近位部(3)の内壁面には、接液しないように補強材(7)が装着されている。そして、遠位部(5)には、ガイドワイヤチューブ(6)が装着されている。近位部(3)と中間部(4)は、吸引ルーメン(11)を有する。遠位部(5)は、ガイドワイヤルーメン(10)と吸引ルーメン(11)を有する。そして、中間部(4)の硬度D1を100とすると遠位部(5)の硬度D2が40から75の柔らかいチューブで形成されている。
【0004】
また、特許文献3の吸引カテーテル10は、先端から基端まで連通する吸引ルーメン24aが形成された吸引チューブ24と、吸引チューブ24の先端側の外面に並列して接合されると共に、前記吸引チューブ24の外部に開口部22を有するガイドワイヤルーメン20aが形成されたガイドワイヤチューブ20とを備える。前記吸引チューブ24は、一部の外面が前記吸引ルーメン24aの軸線O1方向に略平行する平坦部40を有し、前記ガイドワイヤルーメン20aの開口部22が、前記吸引チューブ24の前記平坦部40に位置している。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の血管内異物吸引用カテーテルを図示する実施例を用いて説明する。
本発明の血管内異物吸引用カテーテル1は、先端から基端まで連通するメインルーメン20を有するメインチューブ2と、メインチューブの先端部側面に固定され、内部にガイドワイヤルーメン30を備える側部管状部3とを備える。そして、側部管状部3は、X線造影性金属製コイルチューブ6により形成され、かつ、コイルチューブ6は、先端側に位置する第1の密巻部61と、第1の密巻部61と所定長離間した位置に設けられた第2の密巻部62とを備えている。
【0010】
この実施例の血管内異物吸引用カテーテル1は、メインルーメン20を有するカテーテルチューブ2と、ガイドワイヤルーメン30を有する細径の側部管状部3とからなる。側部管状部3は、カテーテルチューブ2の先端部の側面に固着されている。カテーテルチューブ2と側部管状部3は、互いに連通しておらず、隣接して独立している。
カテーテルチューブ2の最先端には、先端に向かって傾斜して開口する吸引口を有するチップ部材22が設けられている。チューブ体31の最先端は、チップ部材22の先端よりも少し突出している。
【0011】
カテーテルチューブ2は、本体チューブ21と、本体チューブ21とチップ部材22間に位置する複数の接合チューブからなる。この実施例のカテーテルチューブ2では、チップ部材22の後端に接合された第1の接続チューブ23と、この第1の接続チューブ23の後端と本体チューブ21の先端とを接続する第2の接続チューブ24とを備えている。そして、第1の接続チューブ23および第2の接続チューブ24は、本体チューブ21より柔軟であり、かつチップ部材22より剛性の高いものが用いられている。そして、第1の接続チューブ23は、第2の接続チューブ24より柔軟なものが用いられている。
さらに、この実施例では、本体チューブ21は、剛性付与体28を備えている。
剛性付与体28は、金属線からなる線状体により、網目状、螺旋状、複数本が直線状に配置されたものなどが好ましい。また、この実施例では、剛性付与体28は、本体チューブ21を形成する樹脂の外面または肉厚内に埋没している。
剛性付与体28を形成する線状体としては、金属線が好適であり、例えば、ステンレス線、アモルファス合金線などが好ましく、アモルファス合金線としては、鉄−ケイ素−ホウ素系合金、コバルト−ケイ素−ホウ素系合金、鉄−コバルト−クロム−モリブデン−ケイ素−ホウ素系合金などを用いて形成したアモルファス合金線が、好適に使用できる。
【0012】
アモルファス合金線は、上記のような金属を線状に押し出すとともに、急速に冷却することにより形成される非晶質構造を有するものであり、形成されたアモルファス合金線は、さらに適当な内径のダイヤモンドダイスを通すことにより細径化される。アモルファス合金線は、引張強度が高く、かつ弾性変形領域が広く、さらに、耐熱、耐腐食、耐疲労性に優れている。アモルファス合金線としては、線径5〜30μm、より好ましくは、10〜20μmが好適である。また、ステンレス線としては、線径20〜80μm、より好ましくは、30〜70μm、特に、40〜50μmが好適である。さらに、線径1〜10μm、より好ましくは、2〜5μmの金属線(例えば、アモルファス合金線、ステンレス線)を複数本、例えば3〜7本を撚り、10〜20μmの1本の線状体11としたものでもよい。
そして、この実施例のカテーテルチューブ2では、その先端から後端まで伸びる内層チューブ25を有している。そして、チューブ本体21、チップ部材22、第1の接続チューブ23、第2の接続チューブ24は、内層チューブ25の外面を被覆するものとなっている。
カテーテルチューブ2は、外径が1.1mm〜4.0mm、好ましくは1.2mm〜3.0mmであり、肉厚が20μm〜500μm、好ましくは100μm〜400μmであり、長さが500mm〜2000mm、好ましくは1200mm〜1600mmである。
【0013】
この実施例のカテーテル1では、側部管状部3は、X線造影性金属製コイルチューブ6と、コイルチューブ6の全体を収納もしくは一部を被包するチューブ体31により構成されている。また、この実施例のカテーテル1では、コイルチューブ6の先端部は、カテーテルの先端に位置している。特に、この実施例のカテーテルでは、X線造影性金属製コイルチューブ6の第1の密巻部61は、メインチューブの先端より突出し、カテーテルの先端に位置している。
特に、
図1ないし
図4および
図7に示すものでは、コイルチューブ6は、チューブ体31の先端部に収納されたものとなっており、コイルチューブ6の後端からチューブ体31の後端間は、チューブ体31のみにより構成されている。なお、
図7ないし
図12では、コイルチューブのみ外観図で示している。
チューブ体31は、その先端開口からガイドワイヤをガイドワイヤルーメン30内に挿入可能であり、かつ、基端開口部34より、外部に導出可能である。また、チューブ体31は、カテーテルチューブ2のチップ部材22の先端より、後端側に延び、本体チューブ21の先端部外面に到達するものとなっている。
チューブ体31は、外径が0.4mm〜1.2mm、好ましくは0.6mm〜1.0mmであり、肉厚が10μm〜400μm、好ましくは100μm〜250μmであり、長さが10mm〜350mm、好ましくは25mm〜250mmである。
【0014】
X線造影性金属製コイルチューブ6は、先端側に位置する第1の密巻部61と、第1の密巻部61と所定長離間した位置に設けられた第2の密巻部62とを備えている。
コイルチューブ6は、金や白金等からなるX線(放射線)不透過性を有する材質によって形成されている。これにより、X線造影により、生体内におけるカテーテル1の先端位置を視認可能となっている。この実施例のものでは、コイルチューブ6は、全体がチューブ体31内に収納されており、その外周は、露出していない。
また、この実施例のカテーテル1では、コイルチューブ6の隣り合う密巻部間は、密巻部に比べてコイルチューブの巻が粗い粗巻部63となっている。さらに、この実施例では、コイルチューブ6は、第1の密巻部61と第2の密巻部62間に設けられた中間部密巻部64を備えている。そして、隣り合う密巻部間の距離(言い換えれば、粗巻部63の長さ)は、ほぼ等しいものとなっている。また、この実施例では、第1の密巻部61は、カテーテル1の先端、言い換えれば、側部管状部3の先端に位置するものとなっている。このため、カテーテルの先端位置を容易に確認することができる。そして、隣り合う密巻部間の距離は、約10mmまたは約20mmであることが好ましい。このように、隣り合う密巻部間の距離を所定の規定値とすることにより、造影像により、血管内距離の把握が容易となる。
【0015】
この実施例のカテーテル1では、
図7に示すように、コイルチューブ6は、先端に設けられた第1の密巻部61と基端に設けられた第2の密巻部62と、両者の中間部に設けられた中間部密巻部64と、第1の密巻部61と中間部密巻部64間および中間部密巻部64と第2の密巻部62間にそれぞれ設けられた粗巻部63を備えている。そして、第1の密巻部61と中間部密巻部64間の距離は、約10mmであり、中間部密巻部64と第2の密巻部62間距離も約10mmとなっている。なお、両者の距離をともに、約20mmとしてもよい。また、中間部密巻部64と第2の密巻部62間距離のみ約20mmとしてもよい。
【0016】
そして、コイルチューブ6は、チューブ体31に固定されていることが好ましい。両者の固定は、例えば、コイルチューブ6の第1の密巻部61をチューブ体に固着することにより行うことができる。また、この実施例のカテーテル1では、チューブ体31は、コイルチューブ6を収納する先端部が、先端部より基端側部分より、内径が大きく、肉薄であるもの、外径はほぼ同じに形成されたコイルチューブ収納部用先端部となっている。なお、このように、チューブ体の先端部を肉薄とすることにより、カテーテルの先端部での変形性が良好なものとなる。
【0017】
コイル6は、外径が0.39mm〜1.19mm、好ましくは0.45mm〜0.6mmであり、肉厚が10μm〜50μm、好ましくは20μm〜40μmである。そして、この実施例におけるコイル6は、長さが10mm〜350mm、好ましくは25mm〜250mmである。
また、第1の密巻部61、第2の密巻部62、中間部密巻部64の長さは、0.5mm〜15mm、好ましくは1mm〜10mmである。また、中間部密巻部64は、第1の密巻部61および第2の密巻部62より短いものであってもよい。このようにして、中間部密巻部64を他の密巻部に対して、識別可能としてもよい。
また、
図4,
図7に示すように、ガイドワイヤルーメン30は、コイルチューブ6の内部を貫通して延びるものとなっている。さらに、この実施例では、側部管状部3の先端は、軟質チューブ32により形成されており、第1の密巻部61が位置する側部管状部3の先端に柔軟性を付与している。
【0018】
側部管状部として、
図8に示す血管内異物吸引用カテーテル1aが備えるようなものであってもよい。
この実施例の血管内異物吸引用カテーテル1aでは、側部管状部3aを備えている。この実施例のカテーテル1aにおいても、側部管状部3aは、チューブ体31とその内部に収納されたX線造影性金属製コイルチューブ7とにより構成されている。そして、この実施例のカテーテル1aでも、側部管状部3aは、その先端開口からガイドワイヤをガイドワイヤルーメン30内に挿入可能であり、かつ、基端開口部34より、外部に導出可能である。また、チューブ体31は、カテーテルチューブ2のチップ部材22の先端より基端側に延び、本体チューブ21の先端部外面に到達するものとなっている。
【0019】
図8に示すように、この実施例のカテーテル1aでは、X線造影性金属製コイルチューブ7は、チューブ体31の先端より後端側に延び、かつその基端が、チューブ体31の基端開口部34より若干、先端側に位置している。言い換えれば、コイルチューブ7は、チューブ体31のほぼ全長に延びるものとなっている。
そして、この実施例のコイルチューブ7においても、コイルチューブは、先端側に位置する第1の密巻部71と、第1の密巻部71と所定長離間した位置(具体的には、基端)に設けられた第2の密巻部72とを備えている。
コイルチューブ7は、金や白金等からなるX線(放射線)不透過性を有する材質によって形成されている。これにより、X線造影により、生体内におけるカテーテル1aの先端位置を視認可能となっている。この実施例のものでは、コイルチューブ7は、全体がチューブ体31内に収納されており、その外周は、露出していない。
【0020】
また、この実施例のカテーテル1aでは、この実施例では、コイルチューブ7は、第1の密巻部71と第2の密巻部72間に設けられた複数の中間部密巻部74を備えている。また、コイルチューブ7の隣り合う密巻部間は、密巻部に比べてコイルチューブの巻が粗い粗巻部73となっている。そして、隣り合う密巻部間の距離(言い換えれば、粗巻部73の長さ)は、ほぼ等しいものとなっている。そして、第1の密巻部71は、カテーテル1aの先端、言い換えれば、側部管状部3aの先端に位置するものとなっている。このため、カテーテルの先端位置を容易に確認することができる。そして、隣り合う密巻部間の距離は、約10mmまたは約20mmであることが好ましい。このように、隣り合う密巻部間の距離を所定の規定値とすることにより、造影像により、血管内距離の把握が容易となる。
【0021】
具体的には、実施例のカテーテル1aでは、
図8に示すように、コイルチューブ7は、先端に設けられた第1の密巻部71と基端に設けられた第2の密巻部72と、両間に設けられた複数(具体的に、2〜5個)の中間部密巻部74と、各密巻部間にそれぞれ設けられた粗巻部73を備えている。そして、隣り合う密巻部間の距離は、約10mmとなっている。なお、隣り合う密巻部間の距離は、約20mmとしてもよい。
【0022】
そして、コイルチューブ7は、チューブ体31に固定されていることが好ましい。両者の固定は、例えば、コイルチューブ7の第1の密巻部71または第2の密巻部72もしくはその両者をチューブ体31に固着することにより行うことができる。
コイルチューブ7は、外径が0.39mm〜1.19mm、好ましくは0.45mm〜0.6mmであり、肉厚が10μm〜50μm、好ましくは20μm〜40μmである。そして、この実施例におけるコイル7は、長さが10mm〜350mm、好ましくは25mm〜250mmである。
【0023】
また、第1の密巻部71、第2の密巻部72、中間部密巻部74の長さは、0.5mm〜15mm、好ましくは1mm〜10mmまた、中間部密巻部74は、第1の密巻部71および第2の密巻部72より短いものであってもよい。このようにして、中間部密巻部74を他の密巻部に対して、識別可能としてもよい。
また、
図8に示すように、ガイドワイヤルーメン30は、コイルチューブ7の内部を貫通して延びるものとなっている。さらに、この実施例においても、側部管状部3aの先端は、軟質チューブ32により形成されており、第1の密巻部71が位置する側部管状部3aの先端に柔軟性を付与している。
【0024】
側部管状部として、
図9に示す血管内異物吸引用カテーテル1bが備えるようなものであってもよい。
この実施例の血管内異物吸引用カテーテル1bでは、側部管状部3bを備えている。この実施例のカテーテル1bにおいても、側部管状部3bは、チューブ体31とその内部に収納されたX線造影性金属製コイルチューブ8とにより構成されている。
この実施例のカテーテル1bでは、
図9に示すように、また、上述したカテーテル1aと同様に、X線造影性金属製コイルチューブ8は、チューブ体31の先端より後端側に延び、かつその基端が、チューブ体31の基端開口部34より若干、先端側に位置している。言い換えれば、コイルチューブ8は、チューブ体31のほぼ全長に延びるものとなっている。
【0025】
そして、この実施例のコイルチューブ8においても、コイルチューブは、先端側に位置する第1の密巻部81と、第1の密巻部81と所定長離間した位置(具体的には、基端)に設けられた第2の密巻部82とを備えている。
コイルチューブ8は、金や白金等からなるX線(放射線)不透過性を有する材質によって形成されている。これにより、X線造影により、生体内におけるカテーテル1bの先端位置を視認可能となっている。この実施例のものでは、コイルチューブ8は、全体がチューブ体31内に収納されており、その外周は、露出していない。
また、この実施例のカテーテル1bでは、コイルチューブ8は、第1の密巻部81と第2の密巻部82間に中間部密巻部を持たないものとなっている。このため、第1の密巻部81と第2の密巻部82間は、所定長延びる粗巻部83となっている。
【0026】
そして、コイルチューブ8は、チューブ体31に固定されていることが好ましい。両者の固定は、例えば、コイルチューブ8の第1の密巻部81または第2の密巻部82もしくはその両者をチューブ体31に固着することにより行うことができる。
コイルチューブ8は、外径が0.39mm〜1.19mm、好ましくは0.45mm〜0.6mmであり、肉厚が10μm〜50μm、好ましくは20μm〜40μmである。そして、この実施例におけるコイル8は、長さが10mm〜350mm、好ましくは25mm〜250mmである。
【0027】
また、第1の密巻部81、第2の密巻部82の長さは、0.5mm〜15mm、好ましくは1mm〜10mmである。
また、
図9に示すように、ガイドワイヤルーメン30は、コイルチューブ8の内部を貫通して延びるものとなっている。さらに、この実施例においても、側部管状部3bの先端は、軟質チューブ32により形成されており、第1の密巻部81が位置する側部管状部3bの先端に柔軟性を付与している。
【0028】
側部管状部として、
図10に示す血管内異物吸引用カテーテル1cが備えるようなものであってもよい。
この実施例の血管内異物吸引用カテーテル1cでは、側部管状部3cを備えている。この実施例のカテーテル1cでは、側部管状部3cは、チューブ体31とその内部に収納された2つのX線造影性金属製コイルチューブ6,9により構成されている。この実施例のカテーテル1cと上述した実施例のカテーテル1との相違は、第2のX線造影性金属製コイルチューブ9を備える点である。
第2のX線造影性金属製コイルチューブ9は、チューブ体31の基端部内に収納されている。そして、先端側に位置する第1の密巻部91と、第1の密巻部91と所定長離間し、かつ、開口部34より若干先端側となる位置に配置された第2の密巻部92とを備えている。コイルチューブ9は、全体がチューブ体31内に収納されており、その外周は、露出していない。
【0029】
また、コイルチューブ9の隣り合う密巻部間は、密巻部に比べてコイルチューブの巻が粗い粗巻部93となっている。さらに、この実施例では、コイルチューブ9は、第1の密巻部91と第2の密巻部92間に設けられた中間部密巻部94を備えている。そして、隣り合う密巻部間の距離(言い換えれば、粗巻部93の長さ)は、ほぼ等しいものとなっている。また、この実施例では、第1の密巻部91は、カテーテル1cの先端、言い換えれば、側部管状部3cの先端に位置するものとなっている。このため、カテーテルの先端位置を容易に確認することができる。そして、隣り合う密巻部間の距離は、約10mmまたは約20mmであることが好ましい。このように、隣り合う密巻部間の距離を所定の規定値とすることにより、造影像により、血管内距離の把握が容易となる。
コイルチューブ9としては、上述したコイルチューブ6と同じものが好適に使用できる。なお、コイルチューブ9としては、中間部密巻部を持たないものであってもよい。
また、上述したすべての実施例において、
図11に示す実施例の血管内異物吸引用カテーテル1dのように、側部管状部の先端に軟質チューブを持たず、コイルチューブ6の第1の密巻部61が露出するものであってもよい。さらには、側部管状部が、チューブ体を持たず、コイルチューブが、側部管状部を形成するものであってもよい。
【0030】
側部管状部として、
図12および
図13に示す血管内異物吸引用カテーテル1eが備えるようなものであってもよい。
この実施例の血管内異物吸引用カテーテル1eでは、側部管状部3dは、X線造影性金属製コイルチューブ7のみにより構成されている。そして、コイルチューブは、メインチューブ2の先端部側面に直接固定されている。さらに、この実施例のカテーテル1eでは、コイルチューブ7のメインチューブ2への固定部では、コイルチューブ7の一部がメインチューブ2の外面内に埋設した状態となっている。このため、
図13に示すように、メインチューブ2の形成材料の一部が、コイルチューブ7の内部、言い換えれば、ガイドワイヤルーメン31の内部に流入している。このため、コイルチューブ7は、確実に、メインチューブ2に固定されている。また、ガイドワイヤの挿通を阻害しないものとなっている。コイルチューブ7の側部埋設部の大きさとしては、コイルチューブの外周の1/6〜1/2が好ましく、特に、1/5〜1/3が好ましい。
そして、この実施例のカテーテル1eでも、側部管状部3d(言い換えれば、コイルチューブ7)は、その先端開口からガイドワイヤをガイドワイヤルーメン30内に挿入可能であり、かつ、基端開口部34aより、外部に導出可能である。
【0031】
また、この実施例のカテーテル1eでは、
図12に示すように、X線造影性金属製コイルチューブ7では、コイルチューブ7の先端部である第1の密巻部71は、メインチューブ2の先端より突出し、カテーテル1eの先端に位置している。このため、カテーテルの先端位置を容易に確認することができる。また、コイルチューブ7は、軸方向にある程度の長さを有し、ある程度の長さを有するガイドワイヤールーメンを形成している。
そして、この実施例のコイルチューブ7においても、コイルチューブは、先端側に位置する第1の密巻部71と、第1の密巻部71と所定長離間した位置(具体的には、基端)に設けられた第2の密巻部72aとを備えている。この第2の密巻部72aの後端が、側部管状部3dの基端開口部34aを構成している。特に、
図12に示すものでは、第2の密巻部72aの基端は、メインチューブ2との固定部の反対方向を向くもの(言い換えれば、軸方向基端側斜め上方を向くもの)となっている。
コイルチューブ7は、金や白金等からなるX線(放射線)不透過性を有する材質によって形成されている。これにより、X線造影により、生体内におけるカテーテル1eの先端位置を視認可能となっている。この実施例のものでは、コイルチューブ7は、全体がチューブ体31内に収納されており、その外周は、露出していない。
【0032】
また、この実施例のカテーテル1eでは、この実施例では、コイルチューブ7は、第1の密巻部71と第2の密巻部72a間に設けられた複数の中間部密巻部74を備えている。また、コイルチューブ7の隣り合う密巻部間は、密巻部に比べてコイルチューブの巻が粗い粗巻部73となっている。そして、隣り合う密巻部間の距離(言い換えれば、粗巻部73の長さ)は、ほぼ等しいものとなっている。
そして、隣り合う密巻部間の距離は、約10mmまたは約20mmであることが好ましい。このように、隣り合う密巻部間の距離を所定の規定値とすることにより、造影像により、血管内距離の把握が容易となる。
【0033】
具体的には、実施例のカテーテル1eでは、
図12に示すように、コイルチューブ7は、先端に設けられた第1の密巻部71と基端に設けられた第2の密巻部72aと、両間に設けられた複数(具体的に、2〜5個)の中間部密巻部74と、各密巻部間にそれぞれ設けられた粗巻部73を備えている。そして、隣り合う密巻部間の距離は、約10mmとなっている。なお、隣り合う密巻部間の距離は、約20mmとしてもよい。
コイルチューブ7は、外径が0.39mm〜1.19mm、好ましくは0.45mm〜0.6mmであり、肉厚が10μm〜50μm、好ましくは20μm〜40μmである。そして、この実施例におけるコイル7は、長さが10mm〜350mm、好ましくは25mm〜250mmである。
【0034】
また、第1の密巻部71、第2の密巻部72a、中間部密巻部74の長さは、0.5mm〜15mm、好ましくは1mm〜10mmである。また、中間部密巻部74は、第1の密巻部71および第2の密巻部72aより短いものであってもよい。このようにして、中間部密巻部74を他の密巻部に対して、識別可能としてもよい。
【0035】
ハブ4は、
図1および
図6に示すような形状および構造を有している。具体的には、ハブ4は、貫通した内部通路40を有する筒状本体部41と、本体部41の先端に設けられ、カテーテルチューブ2の後端部29内に押し込まれる筒状先端部43と、本体部41の側部より外方に延出する2つの翼部42と、本体部41の後端に設けられた接続部44とを備えている。接続部44には、シリンジ等の吸引手段が装着可能となっている。さらに、この実施例のカテーテル1では、カテーテルチューブ2の後端部を被覆するように設けられたキンク防止用チューブ5が設けられている。キンク防止用チューブ5は、ハブ4の先端部43が挿入された部分のカテーテルチューブ2の後端を被覆する後部51と、ハブ4の先端部43の先端を越えて先端方向に伸び、かつ、縮径するテーパー部52を備えている。このような、チューブ5を設けることにより、ハブ4の先端でのカテーテルのキンクが防止される。
【0036】
そして、カテーテルチューブ2は、例えば、可撓性熱可塑性樹脂の外層と、ある程度の補形性を有する材料の内層25を有する2層チューブであることが好ましい。また、チップ部材22、第1および第2の接続チューブ23,24、本体チューブ21は、チューブ体31の外層と相溶性のある材質により形成される。
カテーテルチューブ2(チップ部材22、第1および第2の接続チューブ23,24、本体チューブ21)およびチューブ体31に用いられる合成樹脂としては、例えば、ポリオレフィン(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン)、ポリオレフィンエラストマー(例えば、ポリエチレンエラストマー、ポリプロピレンエラストマー、エチレンープロピレン共重合体などを用いたエラストマー等)、ポリ塩化ビニル、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリアミドエラストマー、ポリウレタン、フッ素樹脂等の熱可塑性樹脂、シリコーンゴム等が使用でき、好ましくは、ポリエチレン、ポリアミドエラストマーあるいはポリウレタンである。また、カテーテルチューブ2および側部管状部3は、ガイドワイヤの湾曲の妨げにならない程度に柔軟であることが好ましい。
【0037】
また、内層の形成材料としては、カテーテルチューブの形成材料として、上述した可撓性樹脂、さらには、硬質合成樹脂を用いてもよい。硬質合成樹脂としては、PTFE,ETFEなどのフッ素樹脂、ポリイミド、ポリエステル(例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート)、ポリオレフィン(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン)、ポリアミド、ポリイミドなどが用いられる。
そして、
図4および
図5に示すように、カテーテルチューブ2は、先端部かつ軸方向に伸びる凹部を備えており、この凹部に、チューブ体31が融着されている。また、カテーテルチューブ2は、上記凹部を形成するメインルーメン内に突出する軸方向突出部26を備えている。よって、カテーテルチューブ2の凹部を有する部分は、内層25を含むカテーテルチューブ2の内壁が、内側に突出している。このため、カテーテルチューブ2の凹部を有する部分は、メインルーメンが、断面円形ではなく、一部が、平坦面化した変形形態となっている。
また、カテーテルチューブ2の先端27は、サイトチューブ31側に先端を有する傾斜開口部となっている。また、チューブ体31の基端開口部34も傾斜開口部となっている。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明の血管内異物吸引用カテーテルは、以下のものである。
(1) 先端から基端まで連通するメインルーメンを有するメインチューブと、前記メインチューブの先端部側面に固定され、内部にガイドワイヤルーメンを有する側部管状部とを備える血管内異物吸引用カテーテルであって、前記側部管状部は、軸方向に所定長延びるX線造影性金属製コイルチューブ
のみにより構成され、かつ、前記コイルチューブは、前記メインチューブの先端部側面に直接固定されており、さらに、前記コイルチューブは、先端部に位置する第1の密巻部と、前記第1の密巻部と所定長離間した位置に設けられた第2の密巻部とを備えている血管内異物吸引用カテーテル。
この血管内異物吸引用カテーテルでは、側部管状部は、2つの密巻部を有するX線造影性金属製コイルチューブを有することにより、X線造影下における先端部の確認が容易である。さらに、X線造影性金属製コイルチューブは、コイルチューブのため、側部管状部の付設により硬質化しやすいカテーテル先端部の変形性を向上させることができる。これにより、ガイドワイヤの挿通性、操作性の低下がなく、かつ、先端部が柔軟であり、血管内壁に損傷を与えることなく、血管内の目的部位への挿入が容易なものとなる。
【0039】
そして、上記血管内異物吸引用カテーテルの実施形態としては、以下のものであってもよい。
(
2) 前記コイルチューブの前記メインチューブへの固定部では、前記コイルチューブの一部が前記メインチューブの外面内に埋設した状態となっている上記(
1)に記載の血管内異物吸引用カテーテル。
(3)
前記コイルチューブの前記メインチューブへの固定部では、前記メインチューブの形成材料の一部が、前記コイルチューブの内部に流入している上記(2)に記載の血管内異物吸引用カテーテル。
(4)
前記コイルチューブの前記メインチューブの外面内への側部埋設部の大きさは、前記コイルチューブの外周の1/5〜1/3である上記(2)に記載の血管内異物吸引用カテーテル。
(5) 前記コイルチューブの前記第1の密巻部は、前記メインチューブの先端より突出し、前記カテーテルの先端に位置している上記(1)ないし(4)のいずれかに記載の血管内異物吸引用カテーテル。
(6) 前記コイルチューブは、前記第1の密巻部と前記第2の密巻部間に設けられた中間部密巻部を備えている上記(1)ないし(5)のいずれかに記載の血管内異物吸引用カテーテル。
(7) 前記隣り合う密巻部間の距離は、ほぼ等しいものとなっている上記(6)に記載の血管内異物吸引用カテーテル。
(8) 前記第1の密巻部は、前記カテーテルの先端に位置している上記(1)ないし(7)のいずれかに記載の血管内異物吸引用カテーテル。
(9) 前記コイルチューブの隣り合う密巻部間は、前記密巻部に比べてコイルチューブの巻が粗い粗巻部となっている上記(1)ないし(8)のいずれかに記載の血管内異物吸引用カテーテル。
(10) 前記隣り合う密巻部間の距離は、10mmまたは20mmである上記(1)ないし(9)のいずれかに記載の血管内異物吸引用カテーテル。