【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明のナノインデンテーション試験用圧子の製造方法は、単結晶基板に異方性エッチング処理を施すことにより圧子の先端形状を前記単結晶基板の結晶構造に基づく所定角度の正多角錐形状とするための凹型を作製し、ダイヤモンド結晶成長の核となるナノダイヤモンド粒子を一層以上の厚みで焼結に必要な量を前記凹型の上に塗布して
ナノダイヤモンド粒子の焼結層を形成してから熱CVD法にて前記凹型に
多結晶ダイヤモンドを膜堆積させることにより先端部の曲率半径を50nm以下とした正多角錐形状の硬質膜を合成し、前記硬質膜をナノインデンテーション法における正確な先端形状の圧子先端部とすることを特徴とする。
本発明は、前記単結晶基板に前記凹型を所定間隔で多数作製し、それら前記凹型に前記硬質膜を合成し、前記硬質膜と中間基材を接着剤にて接着固定し、前記中間基材の厚み方向にダイシング加工にて所定深さの切り込みを入れてから前記凹型を外し、その後、前記中間基材と測定用ホルダーを接着剤にて接着固定することを特徴とする。
本発明は、前記単結晶基板からなる前記凹型に合成された前記硬質膜は導電性物質がドーピングされたダイヤモンド膜であり、前記中間基材と前記測定用ホルダーがいずれも導電性を有しており、前記接着剤がいずれも導電性接着剤であり、前記接着固定することによって前記硬質膜と前記測定用ホルダーを導通させることを特徴とする。
【0018】
本発明では、予め単結晶基板の上面に所望のエッチング領域のためのマスク形成を行い、当該マスクの上から異方性エッチング処理を施すことによって、単結晶基板の上面に所定形状の凹みを形成したものを凹型とし、当該凹型を前記成形体の型として利用する。本発明によれば、既知の半導体製造プロセスによって、1つの単結晶基板から同時に複数の前記凹型が得られ、前記成形体を多数同時に製造することができるとともに、原理的に同じ形状のものを再現性よく製造することができるという特徴をもつ。また、研磨などの機械的加工ではなく、単結晶材料固有の浸食によって形成した凹型には、原子レベルの形状精度を持たせることができる。つまり、前記凹型の上に緻密な膜を堆積させることができれば原子レベルの形状精度にて尖った圧子を作製することができる。
【0019】
上記圧子を作製する過程では、従来の膜本体を主に利用する方法と異なり、前記凹型と硬質膜の界面部分の初期成長領域を圧子先端の表面として使用するため、前記界面部分の硬さや表面粗さの管理が重要になる。本発明によれば、前記凹型の上にダイヤモンド結晶成長の核となるナノダイヤモンド粒子を塗布することで、初期成長段階で発生するランダムな成長を抑制し、硬い膜を作製することができる。さらに、CVD法などの薄膜堆積中の高い基板温度を利用することで、結晶成長の促進とともに、前記硬質膜の下のナノダイヤモンド粒子の焼結層の効果により、数十nmの先端形状で、バルクのダイヤモンドに匹敵する硬さの圧子を大量に作製することができる。
【0020】
前記単結晶基板としては、シリコン(Si)やガリウムヒ素(GaAs)、リン酸カリウム(KH2PO4)等が挙げられる。前記マスキング処理におけるマスク材料としては、窒化シリコン膜や高分子膜(レジスト)等が挙げられる。前記異方性エッチング処理の方法としては、ウエットエッチングとドライエッチングがあるが、エッチングによる寸法精度の観点からはウエットエッチングが好ましい。前記異方性エッチング処理のエッチング材料としては、水酸化カリウム(KOH)、水酸化ナトリウム(NaOH)、水酸化セシウム(CsOH)、アンモニア水(NH4OH)水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)、エチレンジアミンピロカテコール(EDP)、ヒドラジン(N2H4)アンモニア(NH4OH)+過酸化水素水(H2O2)+水(H2O)液、硫酸(H2SO4)+過酸化水素水(H2O2)+水(H2O)液、臭素(Br2)+メタノール(CH3OH)液などが挙げられ、前記基板材料により適宜選択する。
【0021】
前記凹型の所定形状の凹みとは、多角錐形状(多角錐台形状を含む)に対応した底形状の凹みのことである。前記異方性エッチング処理を十分に施すことで、多角錐形状に対応した底形状の凹みが得られ、前記異方性エッチング処理を途中で終了した場合は多角錐台形状と対応した底形状の凹みが得られる。
【0022】
前記硬質膜とは、一般にビッカース硬さHVが1000を越える膜を指しており、前記硬質膜の材料としては、結晶性ダイヤモンド、ダイヤモンドライクカーボン(DLC)、窒化チタン(TiN)、炭窒化チタン(TiCN)、窒化チタンアルミニウム(TiAlN)、窒化クロム(CrN)、立方晶窒化ホウ素(CBN)等が挙げられる。また前記単結晶基板の材料としては、シリコン(Si)やリン酸カリウム(KH2PO4)等が挙げられる。前記硬質膜を形成する膜形成方法としては、CVD(Chemical Vapor Deposition)、PVD(Physical Vapor Deposition)のスパッタリング、イオンプレーティングなど既知の膜形成方法が挙げられる。
【0023】
本発明は、前記単結晶基板がシリコン(Si)であり、Siの(111)面に対して前記異方性エッチング処理を施すことによって前記硬質膜を正三角錐形状として前記圧子先端部の稜角を90°とするか、または、Siの(100)面に対して前記異方性エッチング処理を施すことによって前記硬質膜を正四角錐形状として前記先端部の稜角を90°とすることを特徴とする。
【0024】
本発明では、(100)面を表面(上面)とするSi基板を利用することで、ビッカース(Vickers)型圧子形態に近い正四角錐形状の圧子が作製でき、前記成形体の先端部分の対稜角を正確に90°、対面角を71°(70.5°)とすることができる。また、(111)面を表面(上面)とするSi基板を利用することで、ベルコビッチ(Berkovich)型圧子形態に近い正三角錐形状の圧子が作製でき、前記成形体の先端部分の稜角を正確に90°とすることができる。この形態と正確な形状により圧子形状に起因する試験誤差を少なくすることができ、ナノインデンテーション試験精度の大幅な向上が見込める。そして、前記異方性エッチング処理の時間を調節することで、電子部品のバンプ材などの強度測定用圧子に好適な三角錐台形状や四角錐台形状の成形体を得ることができる。このとき、精度の高い表面検出を行うためには三角錐台形状や四角錐台形状の成形体の底面部分(電子部品のバンプ材などとの接触面部分)には高い平滑性が求められる。本発明の手法によれば、これに必要な高い平滑性を有する底面部分を有する成形体を容易に作製することができる。
【0025】
本発明は、ダイヤモンド結晶成長の核となるナノダイヤモンド粒子を一層以上の厚みで前記凹型の上に塗布してから、CVD法によって多結晶ダイヤモンド膜を前記凹型に堆積させて前記成形体膜の硬さを向上させることを特徴とする。また本発明は、ナノダイヤモンド粒子を前記凹型の上に焼結に必要な量を塗布してから、CVD法によって多結晶ダイヤモンド膜を堆積させて、前記硬質膜と前記凹型との間に焼結層を形成することを特徴とする。
【0026】
本発明では、予めナノダイヤモンド粒子を前記凹型の上に、少なくとも一層以上の厚みで塗布しておくことで、前記多結晶ダイヤモンド膜の成長核とすることができる。そのため、ランダムに初期成長する従来の方法と違い、均質な結晶粒を持つ結晶膜構造に制御することができ、バルクの人工ダイヤに匹敵する大きな硬さの硬質膜を得ることができる。特に、前記凹型の底部は膜の初期成長段階であるために、従来法では緻密な膜が得られにくく、ナノ粒子による結晶成長の促進作用と焼結作用は、硬い膜を得るための高密度化に適している。作製された膜の硬さは圧子の押し込みによる変形を防ぐためにもなるべく硬い方が測定の精度が上がり好ましい。
一方、基板のナノダイヤモンド粒子は基板との接触面積が小さいことから、基板界面の密着力が弱い傾向がある。そのため、予めナノダイヤモンド粒子を前記凹型の上に塗布しておくことで成形体の前記凹型からの離型が容易となり、本発明の処理方法としては適している。前記ナノダイヤモンド粒子を前記凹型の上に少なくとも一つ塗布するためには、前記ナノダイヤモンド粒子を0.1%程度の薄い濃度で塗布すればよく、このときの塗布方法としては、スピンコート法やディップコート法が挙げられる。前記ナノダイヤモンド粒子を前記凹型の上に焼結に必要な量を塗布するためには、前記ナノダイヤモンド粒子を0.1%よりも濃い濃度で塗布すればよく、このときの塗布方法としては、スピンコート法、ディップコート法、スプレーコート法が挙げられる。
前記CVDとしては、熱CVDやプラズマCVD等があるが、結晶性に優れた硬い膜を形成する観点からは熱CVDが好ましい。一般的に、熱CVD膜はその基板温度から大きな結晶粒が成長し、膜表面が粗くなる傾向を示すが、本発明においては前記ナノダイヤモンド粒子の塗布によって、膜成長が改善され、より緻密な構造になり、膜の硬さに関して大きな改善が見込める。
【0027】
本発明は、前記異方性エッチング処理を施した後に等方性エッチング処理を施すことにより、前記成形体の先端部分の曲率半径を500nm以内で丸くなるように制御する場合がある。
【0028】
前記異方性エッチング処理の後に、等方性エッチング処理を行うことにより、製造される圧子先端の曲率半径を大きくする方向で適宜制御することができ、前記成形体の先端部分の曲率半径を500nm以内で丸くなるように制御することで、被測定試料の材質や形状に応じた最適な寸法形状とすることが容易である。
【0029】
本発明は、前記チップ(前記成形体と中間基材とが接着剤により接着されたもの)、測定用ホルダー及びそれらを接着する接着剤がいずれも導電性を有する材料からなり、前記成形体と前記測定用ホルダーとが電気的に接続されている構成とすることで、被測定試料が導電性を有する材料からなる場合には、本発明に係る圧子と被測定試料との接触面の接触抵抗値を測定し、当該測定した接触抵抗値から前記接触面の接触面積を算出することができるため、正確な測定を行うことができる。
【0030】
前記導電性の成形体としては、例えば前記ダイヤモンドの膜にホウ素などの導電性物質をドーピングして抵抗値を下げたものや、窒化チタン、炭窒化チタン、窒化チタンアルミニウム等の導電性材料を使用する。前記導電性の中間基材としては、例えば窒化アルミなどの窒化物、タングステンカーバイトや炭化バナジウムなどの炭化物、ステンレスなどの導電性材料や酸化インジウムスズ(ITO)膜で覆われたガラス等のいわゆる導電性ガラスが挙げられる。前記導電性の測定用ホルダーとしては、例えば鉄、ニッケル等の導電性材料、若しくはステンレスなど、これらの導電性材料を含む合金等が挙げられる。
【0031】
前記接着方法としては、ろう付けや接着剤による接着が挙げられるが、作業性や取り扱いの観点からは接着剤による接着が好ましい。接着剤の材質としては、エポキシ、アクリル、ポリアミド、ポリイミド等の各種接着剤が適用される。接着剤の硬化の種類としては熱硬化性、熱可塑性、嫌気性、UV硬化性、湿気硬化性等が挙げられる。導電性の圧子の場合の接着剤としては、金、銀、カーボン等の導電性物質をフィラーとして含有した接着剤が好ましい。
【0032】
前記接着方法のより具体的な例としては次の手順がある。まず、前記単結晶基板に形成された複数の凹型上にそれぞれ硬質膜を堆積させ、当該硬質膜の上に接着剤を塗布し、中間基材を貼り付け、適宜加圧・加熱することで前記成形体の凹み面と中間基材の下面とを接着する。その後、凹型をエッチングにて除去し、中間基材に支えられた凸形状の硬質膜(その先端部分が多角錐形状の硬質膜)を表面に持つチップの集合体を作製する。そして、前記チップの集合体を1個ずつ切り出す、あるいは中間基材に予め切り込み(切り溝)を入れておき、それを起点に割ることで1つの凸形状のチップを作製する。ここでチップとは、中間基材が貼り付けられた凸形状の硬質膜を指す。そして、作製したチップの凸部を下にして、その部分が欠けない程度の硬さのフィルムの上に載せる。前記フィルムとしては、例えばポリアミドやポリイミドなどが挙げられる。前記フィルムの部分は加熱することもできる。そして、前記中間基材の上面に接着剤を塗っておく。
【0033】
予めナノインデンテーション試験機に前記チップを取り付ける測定用ホルダーをセットしておき、前記試験機に備え付けの光学顕微鏡で、前記フィルム上の成形体の凸部分中央位置となる前記中間基材の上面中央の真上に位置合わせをする。その後、測定用ホルダーを押込む場所に前記試験機のステージを移動し、ホルダーを押込んで前記チップと測定用ホルダーとを接着する。室温で硬化する接着剤の場合は、その場で接着が完了する。加熱して硬化する接着剤の場合は、加熱ステージを使用した押込み行いながら加熱し、加熱後にそのステージを冷却することで、接着剤を完全に硬化させる。そして、前記成形体が測定用ホルダーに固定されたナノインデンテーション試験用圧子が出来上がる。この方法では、前記試験機のステージの位置決め精度が、測定用ホルダーの中心軸と前記成形体の多角形の頂点のずれの精度になるが、前記試験機は一般に1ミクロン程度の位置決め精度を持っているため、非常に高い精度でチップを測定用ホルダーに付けることができる。
【0034】
本発明のナノインデンテーション試験用圧子は、ダイヤモンド結晶成長の核となるナノダイヤモンド粒子を一層以上の厚みで焼結に必要な量を膜堆積させることにより
ナノダイヤモンド層である焼結層を形成してから熱CVD法にて前記凹型に
多結晶ダイヤモンドを膜堆積させることにより先端部の曲率半径を50nm以下とした正三角錐形状または正四角錐形状の硬質膜
が合成され、
この合成された硬質膜を圧子先端部とすることを特徴とする。
本発明は、前記硬質膜は導電性物質がドーピングされたダイヤモンド膜であり、前記中間基材と前記測定用ホルダーがいずれも導電性を有しており、それらを導電性接着剤によって接着したことによって前記硬質膜と前記測定用ホルダーが導通していることを特徴とする。
本発明は、前記測定用ホルダーが円柱形状であり、前記測定用ホルダー上に位置検出用のセンサが接着されていることを特徴とする。
【0035】
本発明によれば、圧子となる前記成形体(凸形状の硬質膜)が中間基材に貼り付けられたチップが測定用ホルダーの先端部に接着されている構成であるから、前記成形体の先端部が欠けるか破損しても、その都度接着剤を溶かすなどすることで前記チップを測定用ホルダーから取り除いて、新しいチップを測定用ホルダーに再度接着することで、簡便に前記チップのみを交換することができる。上述した導電性のものであれば、窒化アルミ、炭化タングステンなどの窒化物あるいは炭化物セラミックスの中間基材が適用される。前記硬質膜は、ダイヤモンド膜、ドーピングされたダイヤモンド膜、チタンを含有した窒化物膜、チタンを含有した炭化物膜のいずれかであることが好ましい。本発明は、前記成形体,中間基材及び測定用ホルダーがいずれも導電性を有する材料からなり、前記成形体と前記測定用ホルダーとが電気的に接続されていることが好ましい。本発明は、前記成形体の先端部分の曲率半径が500nm以内で丸くなっていることが好ましい。
【0036】
本発明によれば、前記成形体が中間基材に接着されており、ピンセット等で容易にハンドリングできる数ミリメートル角程度の適度な大きさの前記チップが測定用ホルダーに接着されている構成であるから、前記チップの取り扱いがし易く、ナノインデンテーション試験機のある現場で特別な装置を使用することなく、前記測定用ホルダーへの接着交換が容易となる。
【発明の効果】
【0037】
本発明によれば、異方性エッチングを利用することで精度良く、原子レベルの寸法精度で尖った正多角錐形状に成形した凹型を作製することができ、ナノインデンテーション試験で必要とされる理想的な形状をもつ圧子を同時に多数個作製することができる。例えば前記単結晶基板をシリコン(Si)とし、Siの上面を(100)面とすることでビッカース(Vickers)型圧子の形状に近い正四角錐形状の成形体を得ることができる。また、Siの上面を(111)面とすることで、ベルコビッチ(Berkovich)型圧子に近い正三角錐形状の成形体を得ることができる。また、その上に硬質膜を支持する中間基材を貼り付け、前記凹型をエッチングして所定形状の成形体を作製し、それと当該成形体を支持する測定用ホルダーと接着する構造のため、高価なセンサー付きのホルダーが再利用でき、ランニングコストの非常に安価な圧子とすることができる。このプロセスは既知の半導体製造プロセスをベースにしているために、同時に多数個製造だけでなく、それらは同一寸法形状とすることができる。
【0038】
本発明によれば、CVD法によって前記凹型上に予め多結晶ダイヤモンドの核となるナノダイヤモンド粒子を塗布し、多結晶ダイヤモンドの膜を堆積させる手法で、バルクダイヤモンドとほぼ同じ硬さを持つ膜を得ることができる。この手法によって、膜の剛性率は約2倍程度上昇し、バルクダイヤモンドと同じ硬さになることが確認できた。この硬さの多結晶ダイヤモンド膜を圧子として利用することによって、これまでの研磨圧子とほぼ同じ機械的特性の圧子として使用することができ、測定値の観点からもまた圧子寿命の点からも、実用上問題ないレベルの圧子を作製することができる。さらに、CVDガスの供給不足などで膜の成長速度が遅い凹型の底部分の硬さの改善として、ナノダイヤモンド粒子による結晶成長促進作用や焼結作用によって、従来の膜作製法のものより硬い先端を持つ成形体を作製することができる。
【0039】
本発明に係るナノインデンテーション試験用圧子は、前記成形体の凹み面と中間基材の下面とを接着し、当該中間基材の上面と測定用ホルダーの下面とを接着した後、ナノインデンテーション試験に使用される。前記成形体、中間基材及び測定用ホルダーがいずれも導電性を有する材料からなり、前記導電性接着剤にて前記成形体と測定用ホルダーとが電気的に接続されている構造とすることもできる。その構成で、被測定試料が導電性を有する材料の場合には、本発明に係る圧子と被測定試料との接触面の接触抵抗値を測定し、当該測定した接触抵抗値から前記接触面の接触面積を算出することができ、ナノインデンテーション試験中における正確な接触面積の測定ができる。
【0040】
これら本発明によって、硬くて先端形状が尖った理論的な形状どおりの圧子で、同じ寸法形状の圧子を一度に大量に製造することができる。そして、ISOのナノレンジの規格で必要とされる圧子を、高い精度でかつ安価に作製することができる。また、従来では得られない前記圧子先端の曲率半径が50nm以下の圧子を作製することができ、その曲率半径を膜の結晶粒の大きさと同程度の20nm以下の圧子とすることも可能である。一方、圧子の先端部分の角度が従来の圧子の136°や115°から71°あるいは90°と鋭角になるため、標準片で発生するシンクインやパイルアップの影響を抑制することができ、従来のものより精度良くナノインデンテーション試験を行うことができる新規なナノインデンテーション試験用圧子となる。