【文献】
奈良 英隆,”新エネルギー支援システム”,明電時報,日本,株式会社明電舎,2001年 8月10日,No.4,第44〜47頁
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
複数の熱電機器が接続され、少なくとも電力及び燃料(以下、「供給エネルギー」という。)が供給され、少なくとも電力、低冷水、冷水、温水、給湯、高圧蒸気及び低圧蒸気のうち少なくともいずれか2種類のもの(以下、「複合全エネルギー」という。)を製造して利用設備に供給する熱電設備における前記熱電機器の運転条件と供給エネルギーの使用量又は複合全エネルギーの製造量との関係を求めるものであり、
前記熱電機器は、少なくとも、太陽光発電機器及び/又は太陽熱集熱機器(以下、「太陽光関連機器」という。)並びにモータを用いたポンプを少なくとも備える熱電機器を含み、
日別で時間帯毎に利用設備で必要とされる複合全エネルギーの量を設定するエネルギー負荷設定部と、
前記熱電設備及び前記利用設備の少なくとも外気温度又は湿球温度のいずれか並びに前記太陽光関連機器の水平面日射量を含むプロセス条件を設定するプロセス条件設定部と、
時間帯別の前記熱電機器毎の運転可否及び運転優先順位を設定する運転条件設定部と、
前記運転条件設定部の運転条件に従い前記熱電設備を運転させた結果の前記複合全エネルギーの製造量を少なくとも計算する演算部とを備え、
前記熱電機器のうち前記太陽光関連機器を除くいずれかが前記プロセス条件によって変動する部分負荷特性を含み、
前記太陽光関連機器は前記プロセス条件のうち前記水平面日射量に基づく斜面日射量及び外気温度によって変動する出力特性を備え、
前記演算部は、前記太陽光関連機器の出力変動に伴い、前記複合全エネルギーのいずれかの製造量が前記エネルギー負荷設定部で設定した目標値に収斂するように当該熱電機器の負荷率を変更させると共にその変更された負荷率に基づいて少なくとも当該熱電機器に関連する前記複合全エネルギーのバランスを調整し、前記製造量が前記目標値に収斂するまで当該熱電機器の負荷率の変更及び前記調整を繰り返す収斂計算を行う熱電設備のシミュレーションシステム。
前記斜面日射量は、緯度、経度、標高、時刻、水平面全天日射量、水平面全天日射量直達成分及び水平面全天日射量天空散乱成分を少なくとも含む当該日時の水平面日射量データ並びに前記太陽光関連機器のパネル傾き及び方位よりそれぞれ導かれる、斜面日射量直達成分、斜面日射量天空散乱成分及び斜面日射量地面反射成分の合算により求められる請求項1記載の熱電設備のシミュレーションシステム。
前記太陽光関連機器は前記太陽光発電機器を含み、前記熱電機器は発電系機器を含み、当該太陽光発電機器の発電電力の変動を当該発電系機器の負荷率調整により吸収する請求項1〜4のいずれかに記載の熱電設備のシミュレーションシステム。
前記太陽光関連機器は前記太陽熱集熱機器を含み、前記熱電機器は太陽熱温水投入型吸収冷凍機及び/又は太陽熱温水熱交換器を含み、当該太陽熱集熱機器の集熱量の変動を太陽熱温水投入型吸収冷凍機の燃焼量調整及び/又は他の熱電機器による温水及び/又は冷水の熱量の調整により吸収する請求項1〜4のいずれかに記載の熱電設備のシミュレーションシステム。
前記太陽熱集熱機器から供給される太陽熱温水の温度が所定の値を超えた後、前記太陽熱温水投入型吸収冷凍機及び/又は前記太陽熱温水熱交換器が運転に用いられる請求項6記載の熱電設備のシミュレーションシステム。
前記複合全エネルギーは、電力エネルギーの前に蒸気エネルギー、この蒸気エネルギーの前にその他のエネルギーの順で計算される請求項1〜7のいずれかに記載の熱電設備のシミュレーションシステム。
請求項1〜9のいずれかに記載の熱電設備のシミュレーションシステムを用いて熱電設備の運転を行う熱電設備運転方法であって、前記太陽光関連機器は前記太陽光発電機器を含み、前記熱電機器は発電系機器を含み、前記演算部は、当該太陽光発電機器の発電電力の変動を、当該発電系機器の負荷率を調整することにより、当該発電系機器を含む当該熱電機器の電力量に反映する熱電設備運転方法。
請求項1〜9のいずれかに記載の熱電設備のシミュレーションシステムを用いて熱電設備の運転を行う熱電設備運転方法であって、前記太陽光関連機器は前記太陽熱集熱機器を含み、前記熱電機器は太陽熱温水投入型吸収冷凍機及び/又は太陽熱温水熱交換器を含み、前記演算部は、当該太陽熱集熱機器の集熱量の変動を、太陽熱温水投入型吸収冷凍機の燃焼量を調整すること及び/又は他の熱電機器による温水及び/又は冷水の熱量を調整することにより、当該太陽熱温水投入型吸収冷凍機及び/又は太陽熱温水熱交換器を含む当該熱電機器の温水及び/又は冷水の製造量に反映する熱電設備運転方法。
【発明を実施するための形態】
【0024】
次に、本発明の実施形態について、
図1〜15を参照しながら説明する。
図1aに本発明の対象となる熱電設備の一般的システム図を例示する。熱電設備Mは複数の熱電機器より構成される。同図に例示する熱電設備Mには、次の表1aの如く、蒸気R(高圧蒸気R1及び低圧蒸気R2)、化石燃料及びその他燃料(以下、単に「燃料」という。)R3、電力R4、冷水R5、温水R6が供給され、蒸気S(高圧蒸気S1及び低圧蒸気S2)、冷水S3,4、温水S5,6、給湯S7、電力S8が製造され利用設備(ビル、工場、地域冷暖房等)に供給される。
【0026】
熱電機器は、大略、発電系機器M100、ボイラ系機器M200、冷水系機器M300、温水系機器M400、低冷水系機器M500、給湯系機器M600、冷却塔系機器M700(グループ冷却塔)、蓄熱系機器M800、ポンプ系機器M900及び太陽光関連機器M1000に系統別に分類されており、これらを適宜組み合わせて上述の如き熱電設備が構築される。各系統M100〜1000に含まれる熱電機器を例えば表1bに列挙する。なお、表1bは例示に過ぎず、例えば低冷水系機器として、低冷水系電動ターボ冷凍機や低冷水系電動ヒートポンプを設け、低冷水が供給されるようにすることも可能である。また、ジェネリンク(登録商標)は、ガスコージェネレーション(ガスエンジン、燃料電池)から発生する100℃以下の排熱温水を有効に利用し、冷房を行う排温水投入型吸収冷凍機である。太陽光関連機器M1000は、他の熱電機器に電力R4を供給する太陽光発電機器M1100と、他の熱電機器としての太陽熱温水利用機器に太陽熱温水R7を供給する太陽熱集熱機器M1200を含む。太陽熱温水R7の供給を受ける太陽熱温水利用機器としては、ソーラージェネリンク(太陽熱温水投入型吸収冷凍機)及び/又はソーラー温水熱交換器がある。また、本明細書において、熱源機器とは、熱電機器から発電系機器及び太陽光発電機器を除いたものをいう。
【0028】
ここで、シミュレーションシステム1は、
図2aの如く構成されており、DBサーバー4に対しネットワーク5を通じて、複数のユーザー端末2と、管理者端末3とが接続されている。ユーザー端末2及び管理者端末3等のハードウエアの構成は、
図2b及び表1cに示すように構成されている。各端末のハードウエアは、大略、ユーザーインターフェイス6、CPU7等を備え、データ及びプログラム等7x〜7zを稼働させて処理を行う。
【0030】
ユーザーインターフェイス6はモニタ6a、キーボード6b、マウス6cを備え、後述の表示画面のボタンや入力欄をユーザーが操作するためのものである。ユーザーインターフェイス6はCPU7、一時記憶メモリ7b、HDD7c、ネットワークアダプタ7d等とデータバス、アドレスバス等のバス7aにより接続されている。CPU7、一時記憶メモリ7b、HDD7c等は連携して演算部7pを構成し、上記データ、アプリケーションプログラム等を稼働させる。
【0031】
図2aに示すように、DBサーバー4のデータベース(「データベース」を以下、「DB」と省略する。)群100は、電力料金等DB101、環境負荷DB102及び機器性能DB103を備えている。この電力料金等DB101には、電力料金等の供給エネルギーの価格に関する情報が記憶され、保存される。環境負荷DB102には公表されている各種データ等から作成される環境負荷データ(単位環境負荷)が記憶される。また、機器性能DB103には、機器の部分負荷特性、外気温度及び湿球温度による機器効率の変化、内部動力消費量及びシステムに組み込まれた機器の制約条件等が主要メーカの機種別、燃料別、能力別に記憶され、
図1の体系に組み込まれる。
【0032】
本システムのユーザーは、DBサーバー4に対しTCP/IP等のネットワーク5を通じてアクセスし、電力料金データファイル101a、環境負荷データファイル102a及びメーカ・機器データテンプレートファイル103aを各DB101〜103から読み込み、読込データ100aとして保存する。これらの読み込みにより、カタログに記載されていないデータや、更新機器のデータ、新機種のデータ等を利用することができる。
【0033】
電力料金データ及び環境負荷データは、各ユーザーの独自の評価データに手動で変更してシミュレーションを実施することもでき、ケースファイル106に保存される。このように、後述する各設定部へ設定された条件及びパラメータはケースファイルとして電子記録媒体であるHDD7cに記録可能である。なお、電子記録媒体としては、HDD7cに限らず、磁気ディスク、光ディスク、RAM等の各種のリムーバブルディスクを電子記録媒体として使用することも可能である。
【0034】
演算部7pでは、処理用アプリケーション7y、負荷作成アプリケーション7zが稼働する。負荷作成アプリケーション7zは状況に応じて熱電負荷を作成し、熱電負荷ファイル104に保存する。そして、これらを稼働させ、ユーザーが評価するエネルギーシステムに合わせたデータに修正して実施したシミュレーションデータをケースファイル106と熱電負荷ファイル104として保存することができる。評価用には、アウトプットグラフ、帳票の表示155、簡易印刷156、ファイル(表形式)157として出力を行うことができる。ユーザーは、いつでもケースファイル106を読込んで省エネルギー効果等を評価することができる。また、エネルギーシステムの太陽光関連機器を除く熱電機器のいずれかが部分負荷特性を含み、太陽光関連機器が後述の斜面日射量及び外気温度によって変動する出力特性を備え、演算部7pはその出力特性に伴い複合全エネルギーのいずれかの製造量がエネルギー負荷設定部で設定した目標値となるように当該熱電機器の負荷率を変更させて収斂計算を行う。また、演算部7pは、収斂計算が完了するように熱電機器の台数を判定し台数を変更する計算判定部7qを備える。
【0035】
例えば運転条件設定部40で余分な台数又は不適切な熱電機器の種類が選択されていた場合、収斂計算が目標値に収束しないことが想定され得る。係る場合に、熱源機器では設定した優先順位に従って熱負荷に見合う台数のみを立ち上げて、その台数により演算部7pが再度収斂計算を行う。発電系機器は買電により処理でき、収束計算の負荷低減のため、自動立上を行わないように構成されている。
【0036】
一方、設定した熱電機器の能力が乏しい又は台数が少なく、目標値(例えば、目標冷水負荷)まで計算結果が到達せずに収斂計算が完了しないと判定した場合には、計算判定部7qは設定した優先順位の最も低い熱源機器を1台増加させ、再度収斂計算を行う。この収斂計算が完了可能となるまで繰り返し行い、負荷に見合うだけの台数に増加させる。ここで、優先順位の最も低い熱源機器は、通常熱電設備のシステム構成において重要度が低く、熱電設備全体に与える影響は小さいものと考えられる。また、優先順位の最も低い熱源機器の台数を増加させるだけであるので、再計算を簡易に行うことができる。これにより、熱電設備全体に大きな影響を与えることなく迅速にシミュレーションを行うことができる。さらに、計算判定部7qは、増加した熱源機器の種別と増加した熱源機器の運転時間(運転条件)とを増加した台数と共に画面上に表示する。これにより、ユーザーはシミュレーション結果を参照して、最適な運転計画の設定及び熱電設備のシステムの構築を行うことができる。
【0037】
図1bに本実施形態における熱電設備Mのブロックフローを示す。この熱電設備Mは、ガスタービンコージェネレーションM120、低圧ボイラM220、吸収式冷凍機M310、ターボ冷凍機M350、ソーラージェネリンクM381、太陽光発電機器M1100及び太陽熱集熱機器M1200より構成してある。ガスタービンコージェネレーションM120は、排熱ボイラM120aを備えている。太陽光発電機器M1100(太陽光発電ユニット)は、太陽光発電モジュール(アレイ)と、図示省略するパワーコンディショナーと接続箱を含む。太陽熱集熱機器M1200(太陽熱集熱システム)は、集熱器本体M1201、太陽熱温水タンクM1202、図示省略する太陽熱温水ポンプ、ラジエータ及びこれらを接続する配管を含む。なお、集熱器(1枚以上のパネル)、ポンプ及びラジエータで1つのユニットを構成し、このユニットの1又は複数が1つの貯湯槽を介して太陽熱温水利用機器と接続されて1つの太陽熱集熱システムを構成する。
【0038】
図2cに示すように、本発明に係るシミュレーションシステム1のソフトウェア構成は、大略、エネルギー負荷設定部10、基本条件設定部20、システム構築設定部30、運転条件設定部40、運転結果出力部50、ケースファイル等作成部60及び表示制御部70よりなる。また、DB群100は、先の
図2aと同様である。
【0039】
基本条件設定部20は、ユーティリティーコスト設定部21、プロセス条件設定部22、環境負荷設定部23及び温度データ設定部24とからなる。ユーティリティーコスト設定部21は、電力コスト設定部21a及び燃料コスト設定部21bを備えている。
【0040】
ここで、
図3にシミュレーションシステムの各設定部の設定手順を示す。
この設定手順は、
図2c及び
図3に示すように、まず、エネルギー負荷設定部10によりエネルギー負荷を設定する(S201)。次に、プロセス条件設定部22により熱媒のプロセス条件を設定する(S202)。そして、環境負荷設定部23及びユーティリティーコスト設定部21により環境負荷DB102及び電力料金等DB101から読み込むことで環境負荷データ及びユーティリティーコストを設定する(S203,204)。これらを設定後、システム構築設定部30において、熱電機器を選択して機器性能データを読み込むことにより熱電設備を構築し(S206,207)、その構築した熱電設備における運転条件を運転条件設定部40により設定する(S208)。熱電設備の構築状況は適宜表示制御部70を介してフロー図に表示される。上記各ステップで設定した条件は、ケースファイル等作成部60によりユーザー機器テンプレートファイル103b、熱電負荷ファイル104及びケースファイル106等の個別データ100bとして適宜保存することができる。また、上記各ステップにおいてDB群100の各種データを利用して設定したが、保存している個別データ100bを利用して各種設定を行うことも可能である。
【0041】
そして、これらの設定条件に基づいて時間帯別及び/又は年間のシミュレーションを演算部7pにより実行する(S209)。その結果は運転結果出力部50により、
図9に示す如きグラフや帳票の形式で出力される(S210)。また、条件を変更して繰り返しシミュレーションを行うことも可能である。係る場合、運転優先順位、運転可否及び最低買電量、電主、熱主等の変更等(S211)は運転条件で行い、比較検討の為の機器の追加、変更及び削除等(S212)はシステム構築設定で行う。そして、再度シミュレーションを実行し出力する(S209,210)。
【0042】
ここで、上記シミュレーションにおける一般的バランス計算処理手順を
図8を参照しながら説明する。エネルギーバランスステップを以下、「EB」と省略する。
同図に示すように、一般的処理手順は、冷水EB(S01)、温水EB(S02)、低圧蒸気EB(S03)、高圧蒸気EB(S04)、ガスエンジン排温水EB(S05)、給湯EB(S06)、電力EB(S07)からなる。このように、複合全エネルギーは、電力エネルギーの前に蒸気エネルギー、この蒸気エネルギーの前にその他のエネルギーの順で、上記各ステップでの設定条件に基づいて順次計算される。
【0043】
エネルギー負荷設定(S201)において、エネルギー負荷設定部10は、月別、日別及びパターン別で時間帯毎に利用設備で必要とされる複合エネルギーの量を設定する。例えば、
図4に示す如く、外気温度、湿球温度及び熱電負荷データとして冷水負荷、蒸気負荷、電力負荷、冷水供給温度及び冷水戻り温度を設定する。外気温度は、ガスタービンの吸気温度と関連し、その吸気温度はガスタービン発電量のパラメータとなる。後述する機器性能データにおいて、吸気温度は外気温度+任意温度例えば+2℃として規定してある。
【0044】
湿球温度は、冷却水温度に影響し、吸収式冷凍機及びターボ冷凍機の性能(COP)の変数となり電力消費量、化石燃料消費量に関係する。後述する機器性能データにおいて、冷却水温度は湿球温度+任意温度例えば+5℃として規定してある。この外気温度、湿球温度は、例えば気象庁のHPからダウンロードしたデータを用いて設定する。また、外気温度、湿球温度の他、河川水温度、海水温度、下水・井戸水等の温度も月別で時間帯毎に設定可能である。
【0045】
また、冷水負荷、低冷水負荷、温水負荷、低圧蒸気、高圧蒸気、給湯負荷、電力負荷等の熱電負荷データは、熱電設備が既に稼働している場合、その稼働時に採取してある熱電負荷データを利用して設定することができる。また、このエネルギー負荷設定は、12ヶ月分を各月最大8パターンの負荷まで24時間データで設定可能であり、さらに、夏季設計日、冬期設計日の負荷を設定可能である。ここで、夏季設計日とは予測される冷熱の最大負荷で例えば8月の15%アップの負荷等を設定する。同様に冬期設計日とは予測される温熱の最大負荷で例えば2月の15%アップの負荷等を設定する。また、冷水、低冷水、温水の各供給温度及び戻り温度も同様に設定可能である。
【0046】
次に、プロセス条件設定(S202)において、プロセス条件設定部22は、基本条件、燃料データ、電気系統・蒸気系統及びガスタービン等回収蒸気の種類等の熱媒のプロセス条件を設定する。このプロセス条件設定部22は、エネルギー負荷設定部10の熱媒の温度差、外気温度及び湿球温度を使用するかを選択すると共に、冷水、温水、低冷水の供給温度と戻り温度との各目標温度差及びミニマムバイバス流量を設定する。また、高圧・低圧蒸気の条件(圧力MpaG、蒸気エンタルピーkJ/kg、還水のエンタルピーkJ/kg、蒸気回収率%)を設定する。
【0047】
ここで、蒸気エンタルピーの計算処理手順では、まず蒸気圧力を設定し、蒸気種別として飽和蒸気又は過熱蒸気のいずれかを選択すると、その蒸気圧力が過熱蒸気であるか飽和蒸気であるかを判定する。飽和蒸気である場合、設定された圧力により、飽和蒸気エンタルピーが計算され、その計算結果が蒸気エンタルピーとして入力される。一方、過熱蒸気である場合、過熱蒸気温度を入力すると過熱蒸気エンタルピーが計算され、計算結果が蒸気エンタルピーとして入力される。なお、高圧蒸気と低圧蒸気の各圧力は個別に設定可能であり、計算手順はいずれも同一である。
【0048】
例えば、冷水の目標温度差を5℃にミニマムバイバス量は0で設定し、低圧(飽和)蒸気の圧力を吸収冷凍機の蒸気条件である0.785MpaGと設定すると、低圧(飽和)蒸気のエンタルピーの計算結果となった2770.9kJ/kgが入力される。
【0049】
燃料のプロセス条件では、ガス、重油、灯油及びその他の油の発熱量及び比重を設定する。電気系統及び蒸気系統については、熱電負荷データの電力負荷、低圧蒸気負荷の内訳、発電電力の供給先、ガスタービン及び追焚きガスタービン、ガスエンジンの回収蒸気種別、蒸気減圧による電力回収をそれぞれ設定する。
【0050】
熱電負荷データの電力負荷の内訳は、エネルギー負荷設定部10で設定した電力負荷が熱電設備以外に供給される電力負荷であるか、熱電設備の電力を含んだ電力負荷であるかを選定する。熱電設備以外の負荷の設定により、エネルギー負荷設定部10で設定した電力負荷は利用設備に供給される電力として設定される。
【0051】
同様に熱電負荷データの低圧蒸気負荷の内訳は、低圧蒸気負荷が熱電設備以外に供給される蒸気負荷であるか、熱電設備で発生する蒸気負荷であるかを選定する。熱電設備以外への供給のみの場合、設定された蒸気負荷は利用設備へ供給する蒸気である。また、全蒸気負荷(蒸気発生器からの蒸気負荷)を選択する場合は、利用設備に蒸気が供給され且つ熱電設備で蒸気が使用される場合であり、蒸気発生機器から発生する合計流量として設定される。上述の電力負荷及び蒸気負荷はシミュレーションに用いられ、結果として帳票等に出力される。
【0052】
また、蒸気減圧による電力回収は、高圧蒸気に余剰が生じ低圧蒸気に減圧される時に電力回収ができる電力回収設備について設定する。係る場合、最大発電量と部分負荷発電量に必要な高圧蒸気量と排蒸気のエンタルピーを設定する。なお、本実施形態に係る熱電設備Mでは高圧蒸気から低圧蒸気への減圧はないため、設定していない。
【0053】
各回収蒸気種別は、発電系機器(ガスタービン、追焚きガスタービン、ガスエンジン)から発生する蒸気を低圧蒸気とするか、高圧蒸気とするかを選択する。例えば、「低圧蒸気」と設定した場合、ガスタービンM120の排熱ボイラM120aからの蒸気供給先を低圧蒸気側に供給することが指定される。
【0054】
さらに、プロセス条件設定部22は、太陽光関連機器のプロセス条件としての水平面日射量を設定する。水平面日射量データには、機器が設置される場所の緯度、経度、標高及び元日からの通し日数を含む共通データと、データ時刻、気温、水平面全天日射量、水平面全天日射量直達成分、水平面全天日射量天空散乱成分、風速の1時間毎のデータを含む。さらに、寒冷地においては積雪のデータを含んでもよい。1時間毎のデータは、例えば公的機関等が公表している日射量データベースからダウンロードした日射量データを用いる。また、太陽光発電モジュール(又は太陽熱集熱器本体)の傾斜角(例えば水平を0度)及び方位(例えば真南を0度、西向きを正とし、−90〜90度)も設定する。方位や傾斜角を任意に設定できるので、方位や傾斜角をパラメータとして容易にシミュレートすることも可能である。例えば同一地点において最適な方位や傾斜角を検討できる。
【0055】
そして、上記の水平面日射量データ、傾斜角及び方位に基づいて、斜面日射量直達成分、斜面日射量天空散乱成分及び斜面射量地面反射成分がそれぞれ求められ、これらを合算して斜面日射量が求められる。計算の詳細を下記数3〜6及び
図10aに示す。なお、本実施形態において、斜面日射量天空散乱成分の計算にPerezモデルの式を用いるが、これに限られるものではない。また、太陽時角には、時間帯の中央時間(例えば、9時から10時の一時間では、9:30)が用いられる。この斜面日射量は、太陽光発電機器及び太陽熱集熱機器に共通するデータである。下記に記載の「NEDO」とは、独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構の略称である。また、「METPV−11」とは、NEDOの年間時別日射量データベースの名称である。
【0060】
発電電力の供給先の設定は、発電系機器が発電した電気をどこに供給し利用するかを決定するために、熱電設備と利用設備の電力を負担、熱電設備のみの電力を負担、利用設備のみの電力を負担のいずれかから選択する。例えば、「熱電設備と需要家(利用設備)の電力負担」を選択した場合、利用設備と熱電設備の両方に電力が供給される。合計電力に対して発電され不足分は買電する設定となる。
【0061】
電力供給先を「熱電設備への供給」と選択すると、熱電設備で消費される電力量にあわせて発電系機器が発電するように電力をバランスさせる。また、「需要家のみ」を選択すれば、同様に熱源以外の電力量にあわせて発電系機器が発電するように電力をバランスさせる。つまり、発電電力の供給先の決定により発電系機器が発電する量が変わることとなる。
【0062】
図6に示すように、熱電設備Mで消費される電力量CE1、利用設備Fで消費される電力量CE2、発電系機器M100及び太陽光発電機器M1100の発電量GEa(GEa1〜3)とすると、熱電設備Mだけで電力が使用される場合(例えばターボ冷凍機M350への供給)、GEa1>CE1であれば逆潮しないように収斂計算を行う。熱電設備M及び利用設備Fの両方で電力が使用される場合、GEa2>CE1+CE2であれば逆潮しないように収斂計算を行う。また、利用設備Fだけで使用される場合は、GEa3>CE2であれば逆潮しないように収斂計算される。つまり、収斂させる電力の量が異なることとなる。この点は蒸気についても同様である。
【0063】
このように、電力負荷について、利用設備で使用される電力負荷のみであるか、利用設備且つ熱電設備の両方で使用される電力負荷であるかを選定することで切り替え選択してエネルギー評価することができ、又、蒸気負荷については、利用設備で使用される蒸気負荷のみであるか、利用設備且つ熱電設備の両方で使用される蒸気負荷であるかを選定することで切り替え選択してエネルギー評価することができる。
【0064】
図1bの熱電設備Mにおいては、基本条件の設定は冷水の目標温度差、低圧蒸気圧力及びそのエンタルピーの設定となる。燃料データの設定は、ガス低位発熱量及び比重の設定である。電気系統・蒸気系統の条件設定は、電力負荷の内訳を熱電設備以外の負荷(利用設備)のみに設定し、蒸気負荷の内訳を熱電設備以外(利用設備)での使用とする設定である。ガスタービン等回収蒸気の種類は低圧蒸気と設定する。
【0065】
環境負荷データ設定(S203)において、環境負荷データ設定部23は環境負荷データを設定する。具体的には、エネルギー負荷設定部10、基本条件設定部20、システム構築設定部30及び運転条件設定部40にて設定した条件で求められた電力消費量及び化石燃料及び他の燃料消費量に対し、環境負荷データ(単位環境負荷)をそれぞれ乗じて環境負荷(一次エネルギー、CO
2、NOx、SOx)を出力するために設定する。設定されるデータは電力、ガス、灯油、重油、その他の油毎にCO
2、NOx、SOxの各排出原単位及び原油換算値である。電力は、さらに一次エネルギー換算値が設定される。また、電力は、例えば昼間及び夜間のように時間帯別に設定可能である。
【0066】
次に、ユーティリティーコスト設定(S204)において、電力コスト設定部21a及び燃料コスト設定部21bは、電力及び燃料コストの設定を行う。
【0067】
システム構築設定(S206)において、システム構築設定部30は、熱電設備Mのシステム構成を構築する。このシステム構築設定部30は同一機種、能力の異なる機種、動作のためのエネルギーが異なる機種又はメーカの異なる機種の熱電機器を複数台任意に設定し、運転条件設定部40の運転条件に従い各々を動作させることが可能である。
【0068】
熱電機器の各性能データは、DB群100の機器性能DB103に記憶されており、機器データ読み込み(S207)において、この性能データを読み込むことにより設定する。機器性能DB103は、上述の機器の系統毎に、機器別、メーカー別、型番別、燃料別、能力別、性能別に分類整理されて記憶されている。性能データの読み込みは、システム構築設定部30及び表示制御部70を介してこれらの分類を選択して行う。
【0069】
この表示制御部70は、
図1aに示す如きフロー図として表示すると共に、そのフロー図上で熱電設備のシステム構築を行う。このフロー図は、熱電設備Mを構成し得る複数種の熱電機器と、熱電設備Mに供給され各熱電機器に受入られる供給エネルギーと、熱電設備Mで製造され利用設備に供給される複合全エネルギーとを予め接続線で接続し関連づけた図である。
【0070】
これらの熱電機器は、その熱電機器の種別によって受入れるエネルギーと製造され供給するエネルギーが特定される。そのため、予め各熱電機器とその熱電機器で受入及び/又は製造されるエネルギーを接続線で関連づけ接続した熱電設備をフロー図として作成しておくことができる。接続線は、受入及び/又は製造されるエネルギー毎に割り振られてある。
【0071】
上述の如きフロー図上で熱電機器を選択することで、設定した熱電機器及びエネルギーが識別可能に表示されるので、熱電機器とエネルギーとの関連が視覚的に理解できる。よって、高度な専門家でなくても熱電設備Mのシステム構築が可能となる。なお、
図1bの実線は各機器M120,M220,M310,M381,M1201等における内部電力を示す。また、太陽光関連機器は、水平面日射量データに基づく斜面日射量及び外気温度によって出力特性が変動し、製造される電力や太陽熱温水熱量が変動する。この内部電力及び太陽光関連機器の出力特性の変動が、エネルギーバランスの変更の一因となり、収斂計算によりエネルギーバランスが保たれる。
図1a,bに示すフロー図はあくまで一例に過ぎず、適宜設定可能であり、予め複数種のフロー図を作成し記憶しておいても構わない。
【0072】
熱電設備を構成する熱電機器は、系列毎に分類され、機器種別に整理されているので、少なくとも発電系、ボイラ系、冷水系、温水系、低冷水系、給湯系及び太陽光関連系として系列別に分類された機器を選択して機器データを読込むことでその系統に選定された機器とみなされ、各系統の機能に応じて各熱電機器間並びに各熱電機器間と複合全エネルギーの系統及び供給エネルギーとを関連付けて設定することができる。その結果、各機器は読み込まれると適切に接続され、系列のバランス結果の負荷を分担する役割を担うことができる。但し、機器の選定では、熱電設備を構成したに過ぎず、運転条件設定部40で設定された優先順位に従って機器は運転される。
【0073】
ここで、上述の如く機器性能DB103より読込みこんだ熱電機器の機器性能データについて説明する。
ガスタービンコージェネM120の機器性能データは、表2に示す如きガスタービンの吸気温度別(例えば0℃、15℃、30℃)における運転負荷率%と発電効率%、排熱ボイラ熱回収率%の関係を含んでいる。この関係により、エネルギー負荷設定部10において設定された外気温度でその時間の性能が決定される。表2に示す如き設定を行うことで、説明変数を吸気温度と負荷率とした多変量回帰式モデルにより、
図5に例示する如き吸気温度15℃及び負荷率で発電効率及び熱回収率が決定される。また、吸気温度は変更可能であり、吸気温度を変更することで温度毎の性能カーブを
図5と同様のグラフで表示することができる。このように、設定した温度以外の温度性能については、この回帰式により吸気温度及び負荷率で発電効率及び熱回収率が決定される。
【0075】
また、出力制限、補機の消費電力、起動時ロスに関する設定を行う。出力制限の設定は、運転下限、上限及び制限開始時の各吸気温度℃、定格出力に対する比率%の値並びに出力制限の近似が直線近似か二次曲線近似かを設定する。補機の消費電力は、定格負荷と部分負荷(50%負荷運転時)の出力%を設定する。また、ガスタービンを停止しなければならない最低負荷率を設定し、吸気温度と外気温度の関係を例えば吸気温度=外気温度+2℃と設定し、ガスタービンから発生するNOx低減用の水/蒸気噴射の対ガス重量比%等を設定する。起動時のエネルギーロス(定格運転(15℃負荷率100%)相当分)が何分相当かを設定する。
【0076】
さらに、主機の能力・台数・燃料、NOx値、ガスタービン1台当たりの能力及び水の消費量の計算に使用される排熱ボイラからのブローダウン量を設定する。また、ガスタービンから排熱される熱を何処へ排熱するかを設定する。外気温度が高くなると発電出力が低下するので吸気冷却を設定することができる。なお、
図1bに示す熱電設備においては吸気冷却を採用していないので、設定していない。
【0077】
ガスタービンコージェネレーションM120の機器性能データは、システム構築設定部30により機器性能DB103から発電系、能力、メーカ等を選択して読込まれる。このデータの読み込みにより、データが設定される。本実施形態においては、コージェネレーションの排熱ボイラから発生する蒸気の接続先は、プロセス条件設定部22におけるガスタービン及び追炊きガスタービンの回収蒸気の種類で設定された低圧蒸気に供給される。発生する低圧蒸気の圧力及びエンタルピーはプロセス条件設定部22で設定した低圧蒸気の圧力0.785MpaG、低圧蒸気のエンタルピー2770.9kJ/kgで発生される。
【0078】
低圧ボイラM220の機器性能データは、低圧ボイラの複数の任意の負荷率%における熱効率%を設定する。また、上記と同様に、ブローダウン量、主機の能力・台数・燃料、NOx値、補機の消費電力及び起動時のエネルギーロスを設定する。低圧ボイラM220機器の性能データも上記と同様に、データの読み込みにより設定される。低圧ボイラから発生する蒸気の接続先及び低圧蒸気の圧力及びエンタルピーは、上記と同様にプロセス条件設定部22において設定した条件にて設定される。
【0079】
吸収式冷凍機M310の機器性能データは、任意の複数の部分負荷率における冷水モード運転時のCOPを設定する。これらを設定することで、上記回帰式と同様に、各モードにおけるCOPと冷却水温度をパラメータとして、変化するCOP%との関係が設定される。また、冷水、冷却水の各設計温度差を設定する。冷却水温度は、外気湿球温度、河川水、海水の温度データに対し任意温度を付与して例えば湿球温度+5℃と設定可能であり、機器の運転可能な下限値も設定する。また、各モードにおけるCPOと出口温度をパラメータに追加してもよい。以下の各機器においても同様である。
【0080】
冷水モードCOPと冷却水温度をパラメータとして変化するCOP%との関係及び湿球温度をパラメータとして冷却塔能力との関係を上記回帰式により同様に求める。また、主機の台数、設計能力及び実際能力(経年劣化した場合等の能力)、付属冷却塔のファン1台当りの能力及び消費電力、冷却塔能力及び付属冷却塔の補給水濃縮倍率を設定する。付属冷却塔の外気湿球温度と冷却能力の関係を上述の回帰式を用いて設定する。
【0081】
さらに、ポンプの消費動力等を設定する。ポンプの消費動力は、冷水ポンプ、冷却水ポンプの各揚程を設定する。揚程は設備によって異なるため、手動で入力する。また、ポンプの流量制御方式を例えば定流量と設定する。さらに、吸収冷凍機の補機の消費電力及び起動時のエネルギーロスを上記と同様に設定する。
【0082】
ここで、ポンプ効率の計算処理手順では、上記各揚程を設定すると、自動でポンプ効率等が算出され設定される。なお、ポンプ効率を例に説明するがモータ効率も同様に計算される。本例においては、冷水、冷却水も水である為に比重は1とする。
【0083】
始めに、ポンプ容量を計算する。熱電機処理熱量及び温度差より内部計算により算出される。求めたポンプ容量を用いてポンプ効率を求める。なお、JIS B8313のA効率をポンプ容量の対数3次式で近似する。次に、モータ軸動力を求め、そのポンプ軸動力に基づいてモータ余裕率を算定する。ポンプ揚程は上記で入力された値が参照される。求めたモータ余裕率及びモータ軸動力からモータ所要動力を算出する。求めたモータ所要動力に基づいて、モータ効率を算出する。そして、求めたモータ効率及びポンプ効率からモータ、ポンプ総合効率を算出し、その計算結果が、ポンプ効率として設定される。また、上記のステップで求めたポンプ容量、ポンプ軸動力、モータ所要動力は内部データとして記憶される。
【0084】
さらに、吸収冷凍機から発生する排熱を排熱する場所を設定する。付属冷却塔からの排熱かグループ冷却塔からの排熱かを選択することが可能である。また、これら冷却塔からの排熱に変えて
図1aに示す外部利用水Wである河川水/海水からの直接排熱及び河川水/海水からの間接排熱(熱交換器を介した)を選択することも可能である。外部利用水Wには河川水/海水の他、下水、井戸水、下水処理水等も含まれる。河川水/海水を選択すると、基本条件設定部20の温度データ設定部24により設定された温度データを利用して排熱される。海水へ直接排熱の場合は海水を選択して記載の温度条件で海水に排熱され海に放熱される。間接排熱の場合は、
図1aの送水ポンプM960を熱電設備に追加して排熱を熱交換して同様に海に放熱される。
【0085】
熱電設備に空冷ヒートポンプや電動ヒートポンプ等のヒートポンプを備える場合、採熱についての設定も同様に可能である。空冷ヒートポンプは外気温度(空気)から採熱して温水(温熱)を作る機器である。電動ヒートポンプは冷却塔又は外部利用水Wから採熱して温水(温熱)を作ることも可能な機器である。温水は暖房に使用され冬期に負荷が大きくなるため、外気温が低い空気から採熱する空冷ヒートポンプのCOPは小さく効率は低くなる。一方、外部利用水Wは冬期でも外気温より高いので電動ヒートポンプで外部利用水Wから採熱することで高いCOPで温熱を効率よく作ることができる。例えば、河川水/海水を選択することで電動ヒートポンプの採熱源を設定する。吸収冷凍機M310の性能データも上記と同様に、データの読み込みにより、設定される。蒸気の供給、低圧蒸気の圧力及びエンタルピーは上記と同様である。
【0086】
ターボ冷凍機M350の機器性能データは、主機の能力・台数を設定する。また、部分負荷率と冷水運転の時のCOPを設定し、冷水COPと冷却水温度をパラメータとして変化するCOP%との関係を設定する。設計の冷水温度差及び冷却水温度差及び冷却水温度を設定する。これらの設定は吸収式冷凍機と同様である。また、冷水COPと負荷率をパラメータとして、変化するCOPとの関係及び冷水COPと冷却水温度をパラメータとして、変化するCOP%との関係についても同様に回帰式により求める。また、ポンプ効率や排熱先の設定も吸収式冷凍機と同様の設定であり、機器データの読み込みにより設定する。
【0087】
太陽光発電機器M1100の機器性能データは、太陽電池パネルのタイプ(例えば、結晶系であるかアモルファルス系であるか)、1基当たりの合計定格出力、標準試験条件における日射強度、電力取出し可能最低日射量、モジュール変換効率、パワーコンディショナーの実効効率及び消費電力を設定する。これらのデータは機器DB103に格納されており、読み込むことで設定される。また、基数、アレイ設置方式(架台設置、屋根置き、屋根一体形等)を設定する。そして、これら設定及び先にプロセス条件設定部22の水平面日射量データに基づく斜面日射量(設定した斜面)、外気温度及び風速に基づいて有効発電電力が求められる。このように、太陽光発電機器は、斜面日射量、外気温度及び風速によって変動する出力特性を備える。なお、計算の詳細を上記数1、下記数7及び
図10bに示す。
【0089】
太陽熱集熱機器M1200の機器性能データは、集熱器本体M1201の特性(集熱効率の式がJIS1次式、JIS2次式、ヨーロッパ規格EN2次式のいずれであるか、及び係数の設定)、集熱器の有効集熱面積及び内容量、太陽熱温水ポンプの消費電力(定格容量(m
3/h)、揚程(m)、効率(%))、太陽熱温水一次配管の内容積、ラジエータの消費電力、貯湯槽M1202の容量、太陽熱温水密度、太陽熱温水比熱、太陽熱温水温度上限、放熱ロスが設定される。また、運転開始時太陽熱温水温度と夜間降下温度も設定される。
【0090】
ここで、太陽熱集熱機器(集熱システム)の集熱量と太陽熱温水利用機器の熱回収量との間では、太陽熱温水のバランスがとられる。上記数2より集熱器の集熱量は、まず集熱器出口温度を下記数8中のA)JIS一次式、B)JIS二次式又はC)EN式のいずれかにより求め、その出口温度と集熱器入口温度の差に循環流量を掛けて算出される(上記数2)。入口温度はその時間帯で一定として太陽熱温水の平均温度を用いる。この太陽熱温水温度の変化は、集熱量と熱回収量、放熱ロス及び太陽熱温水保有量から計算される。この太陽熱温水保有量は、貯湯槽容量、集熱器内容量、太陽熱温水一次配管内容積(集熱システム側)、太陽熱温水二次配管内容積(太陽熱温水利用機器側)の和である。夜が明けて太陽熱集熱機器が集熱(蓄熱)を開始しても、夜間に集熱システム全体が温度降下(放熱ロス)しているため、その集熱が直ちに熱回収に利用されない。もちろん、集熱量は斜面日射量及び外気温によっても変動する。そのため、太陽熱温水利用機器において冷水や温水の製造量(熱量)や燃料の燃焼量を調整し、集熱量の変動を吸収する。また、日射量は、日射強度に集熱面積を乗じて求められ、結果として集熱効率は、集熱量、集熱面日射強度及び集熱面積から求められる。計算の詳細を上記数2、下記数8〜10及び
図10cに示す。
【0094】
図1bに示すように、本実施形態では、太陽熱温水利用機器としてソーラージェネリンクM381を用いる。ソーラージェネリンクM381は、太陽熱温水を回収して冷水製造の燃料消費を軽減するガス焚き冷温水機である。太陽熱温水は日射量によってその温度が変化するため、太陽熱温水温度が例えば60℃〜90℃程度に変化しても熱回収可能に設計されたジェネリンクである。このソーラージェネリンクは、太陽熱温水が不足又はない場合に燃料の燃焼で補って冷水を製造する。なお、同様に温水を製造することも可能である。
【0095】
ソーラージェネリンクの太陽熱回収量は、負荷率と冷却水温度と太陽熱温水温度によって決定される。
図11(a)(b)の例では、負荷率がLcの点よりも低い範囲では太陽熱のみで冷水製造でき、それを超えると燃料を消費しながら太陽熱も回収する。なお、燃料消費率は太陽熱を回収しないときを100%としている。また、ソーラージェネリンクの太陽熱回収は、太陽熱温水温度が利用可能温度以上の時にのみ可能となる。利用可能温度とは、太陽熱温水温度がこの利用可能温度以上とならなければ熱回収できない太陽熱温水の最低温度をいう。そして、ソーラージェネリンクの負荷率が決定すると、その時間帯における太陽熱温水温度と冷却水温度から太陽熱回収量が決定される。同図(c)に示すように、太陽熱温水利用可能温度は負荷率に対し定まり、冷却水温度によって上下する。
【0096】
図12に示すように、ソーラージェネリンクは、利用可能な太陽熱温水が十分にある場合にはその分だけ太陽熱を回収し、太陽熱COPを乗じて太陽熱により冷水製造量が求まる。太陽熱による冷水製造量がソーラージェネリンクの分担する冷水製造量に足りない場合、燃料を燃焼させてその発熱量に燃料COPを乗じて燃料による冷水製造量が求まる。このように、太陽熱による冷水製造量+燃料による冷水製造量=分担する冷水熱量となるように燃料の燃焼量を調整する。この燃料燃焼量の調整により、太陽熱集熱機器の集熱量の変動を吸収することができる。
【0097】
ソーラージェネリンクM381の機器性能データは、
図13(a)に示す如き熱回収量と負荷率との関係、同図(b)に示す如き燃料消費率と負荷率との関係を含んでいる。表3に示す如き設定をすることで太陽熱回収量や燃料消費率が決定する。また、
図11(c)に示す如き、太陽熱温水利用可能温度と負荷率との関係も含んでいる。
【0099】
なお、上記各機器性能データは、任意に性能等の変更が可能であり、システム構築設定部30により、変更理由等のコメントを付与することが可能である。
【0100】
運転条件設定部40は、運転条件設定(S208)において月別、日別及びパターン毎に時間帯別で前記熱電機器毎の運転可否及び/又は運転優先順位を設定する。この運転条件の設定により熱電機器の運転計画が構築される。
図7に示すように、発電機器、ボイラ機器の昼間の運転計画を設定する。この設定画面において、昼間の時間(例えば8時から22時)を任意の2つの時間帯に分け、その時間帯毎にそれぞれの負荷の状況に応じて任意に最大第六優先順位までを設定する。なお、同図は設定の一例に過ぎず、設定可能な時間帯の数及び優先順位は適宜増減可能である。例えば、8時から22時を6つの任意の時間帯に分割し、各時間帯において最大第8優先順位まで設定することも可能である。また、運転方式を電力負荷優先か熱負荷優先かを選択設定する。同図では8時から18時まで、低圧ボイラ、ガスタービンコージェネの運転を設定し、発電系機器の運転を電力負荷優先としている。18時から22時についても低圧ボイラガスタービンコージェネの運転を設定して、発電系機器の運転を熱負荷優先の運転方法を選定している。昼間の最低買電量を設定する項目は、電力会社から購入する最低買電電力量を規定するものであり、同図では0KWと設定してある。
【0101】
また、複数の発電系機器の運転制御方法を指定する発電系機器の負荷分担方法を選択設定する。同図には、「ラスト機のみ部分負荷」を設定した例を示す。「ラスト機のみ部分負荷」は、運転優先順位の最後に指定された機器の部分負荷運転で発電量を調整する場合に設定する。また、「全GT/全GE同一負荷運転」や「ラストモデルのみ均一負荷」の設定も可能である。「全GT/全GE同一負荷運転」は、設定された発電機ガスタービン、ガスエンジンを全て同一負荷で運転して発電量を調整する場合に設定される。また、「ラストモデルのみ均一負荷」の設定は、複数の発電機で優先順位が最後に指定されている機器が複数台であり、この最後の優先順位の複数台の機器で発電量を調整する場合に設定する。このように、複数の発電機器が設定されている場合には、様々な発電機の制御方法にて検討することができる。なお、夜間の時間(例えば22時から8時)も上記と同様に設定可能である。昼間、夜間の時間帯は自由に変更可能であり、サマータイムについても対応可能である。
【0102】
冷水、温水系機器についても運転条件を設定する。例えば昼間の時間(8時から22時)を任意の4つの時間帯に分け、その時間帯毎に負荷の状況に応じて最大第8優先順位まで設定する。なお、この設定される時間帯の数及び優先順位も上記と同様に適宜増減可能である。また、優先順位の他、各機器の出口温度も設定する。低冷水系機器も同様に設定可能である。
【0103】
図1bに示すように、熱電設備Mに太陽光発電機器M1100が含まれる場合、運転条件設定部40は、
図7に示す如くユーザーが設定した運転条件(運転順位)に関わらず、強制的に太陽光発電機器を発電系機器よりも優先させる。これは、日時を問わず適用される。また、太陽熱集熱機器は、集熱可能な斜面日射量が生じている時間帯のみ運転するように設定される。太陽光エネルギーは、その供給量を調整不可能であるので、太陽光関連機器で製造される電力及び/太陽熱温水を有効利用し且つその変動を吸収するために他の優先順位よりも優先させる。
【0104】
外部の活用できる高圧蒸気、低圧蒸気、冷水、温水、電力を受け入れる受入量を設定する。各受入量は、複数の任意の時間帯を設定し、各時間帯における受入量をそれぞれ設定する。例えば低圧蒸気最大1t/hを昼夜ごみ焼却設備から受け入れる設定とすると、熱電設備の低圧蒸気使用量が1t/hより小さい場合は、熱電設備に必要な蒸気量のみを受け入れる。他方、熱電設備の低圧蒸気使用量が1t/hより大きい場合は、最大の1t/hの低圧蒸気を受け入れて不足分は熱電設備で低圧蒸気をバランスさせる。なお、熱電設備で製造し他の設備に供給可能な複合全エネルギー量も同様に設定する。これらの設定値が考慮され供給エネルギーや複合全エネルギーのバランスがとられる。高圧蒸気、冷水、温水、電力も全て同様に処理される。これにより、エネルギー負荷設定部10で設定されたエネルギー負荷を参照しながら運転条件設定部40で熱電設備の運転計画を設定することができる。
【0105】
図1bに示す熱電設備Mにおいては、発電ボイラの昼間で使用する設備をガスタービン及び低圧ボイラとし、発電系機器は自動的にボイラより優先機器としてとして設定する。更に太陽光発電機器は、昼間の時間帯、夜間の時間帯に関係なく日射量によって発電されるので、太陽光発電機器が熱電設備に組込まれると、昼間の時間帯の第一優先順位として太陽光発電機器が発電系機器よりも優先機器として扱われる。従ってここでは太陽光発電機器の次にガスタービンが優先として設定している。また、最低買電量を0KWと設定する。一方、夜間は低圧ボイラのみの表示とし、夜間の時間帯の第一優先順位として太陽光発電機器が扱われる。最低買電量の設定を行わず不足電力は買電するように設定する。また、冷水温水の昼間で使用する設備を太陽熱温水投入型吸収冷凍機、吸収冷凍機及び電動ターボ冷凍機とし、太陽熱温水投入型吸収冷凍機を優先する設定を行う。一方、夜間は吸収冷凍機のみに設定する。これらを12ヶ月分設定する。
【0106】
上記各ステップにおける運転条件設定後、シミュレーションが実行されその結果が出力される。出力ステップ(S210)において、運転結果出力部50は、シミュレーション結果を時間帯別及び/又は年間計算として出力する。出力形式として、グラフや帳票等がある。
【0107】
時間帯別及び年間計算出力としては、電力バランス、低圧蒸気バランス、燃料消費、冷水バランス、運転台数、従量料金(ユーティリティーコスト)、電力消費詳細及び電力消費量の結果を出力可能である。
図1bの熱電設備Mにおける時間帯別出力の一例として、
図9a,bに電力バランス結果、
図9c、dに蒸気バランス結果を示す。
図9aに示す例では、買電量E1、GTコージェネレーションの発電量E2、熱電設備の電力消費量E3、熱電設備以外の電力消費量E4及び太陽光発電機器の発電量E6が表示されており、逆潮電力E5が生じている。しかし、後述する収斂計算の結果、
図9bに示す如く逆潮電力E5が生じていないことが分かる。また、
図9cの例では、低圧ボイラの蒸気発生量B1、GTコージェネレーションの蒸気発生量B2、利用設備への蒸気供給量B3及び吸収冷凍機の蒸気消費量B4が表示されており、余剰蒸気B5が生じている。しかし、後述する収斂計算の結果、
図9dに示す如く余剰蒸気B5が生じていないのが分かる。
【0108】
ここで、
図2c、3、8a〜e、9を参照しながら、運転条件設定部40による運転条件設定(S208)及び演算部7pによるシミュレーション計算手順について以下説明する。これらは、
図8aのS01〜07のステップよりなり、各ステップは
図8b〜eに対応する。なお、以下の各説明において、電主(電力優先)運転は、電力に逆潮が生じない運転であり、熱主(熱負荷優先)運転は例えば蒸気の放出等が生じない運転である。また、各ステップの説明に当たり、
図1bの熱電設備を用いた実例に関連するステップのみを先に示す。電主運転の場合は8月の9時〜16時及び21時〜22時を(熱主運転の場合は8月の18時〜22時を)例示する。
【0109】
「冷水EB(S01、
図8b)」
まず、冷水熱負荷及び往還温度差の読み込み(S11)、必要冷水流量の計算を計算する(S12)。次に、冷凍機の運転優先順位に基づいて、冷水熱負荷と冷水流量の両者を満足する冷凍機の運転台数を決定し(S13)、運転する各冷凍機の運転負荷率及びCOPを計算する(S14)。この計算において、冷水出口温度設定が同じであれば均一負荷率とする。そして、運転する各冷凍機の冷熱製造量、電力・燃料・蒸気の消費量、冷却塔排熱、熱回収HPの温水回収熱量等を計算し(S15)、温水エネルギーバランスステップ(S2)に移行する。なお、冷却塔排熱は上述の外部利用水への排熱も可能である。
【0110】
本例において、運転条件設定部40では、8時から9時の運転優先順位が予め第一優先が太陽熱温水投入型吸収冷凍機、第二優先が吸収冷凍機、第三優先順位がターボ冷凍機と設定されている。エネルギー負荷設定部10の冷水負荷値と供給温度及び戻り温度とを読み込む(S11)。そして、必要冷水流量を必要流量=冷水負荷÷{(冷水戻り温度−冷水供給温度)×4.18605}」との計算式で算出する(S12)。必要冷水流量は、411.7m
3/hであり冷水最大送水量とを比較して、運転台数を決定する(S13)。必要流量冷水最大送水量>必要流量を満足させる必要が有る。太陽熱温水投入型吸収冷凍機の流量は150.3m
3/hであり1台では不足するので、第二優先である吸収冷凍機の流量が273.3m
3/hであり2台で必要流量に対応する。また、COPは冷却温度の補正を考慮して太陽熱温水投入型吸収冷凍機は、1.5658、吸収冷凍機は、1.32460と決定される。
【0111】
「低圧蒸気EB(S03、
図8c)」
同図に示すように、まず、低圧プロセス蒸気熱負荷の読み込み(S31a)、低圧プロセス蒸気量の計算する(S31b)。低圧蒸気消費量を低圧プロセス蒸気量と熱電機器駆動用低圧蒸気量との和から算出し(S31c)、発電系機器が低圧蒸気回収であるか否かを判断する(S32a)。低圧蒸気回収でない場合、低圧ボイラの運転優先順位に基づいて、低圧ボイラ負荷を満足する低圧ボイラの運転台数を決定し(S33a)、運転する各低圧ボイラの運転負荷率を計算(1台のみ部分負荷率)して(S33b)、運転する各低圧ボイラの蒸気製造量、電力・燃料の消費量などを計算する(S33c)。
【0112】
他方、発電系機器が低圧蒸気回収である場合、低圧ボイラ負荷S2を低圧蒸気消費量から低圧蒸気受入量を差し引くことで求めると共に、低圧ボイラの蒸気発生量、電力消費量、燃料などを計算する(S32b)。ここで、低圧蒸気受入量は外部からの排蒸気受入も可能とする。そして、電主運転か熱主運転かを判断する(S34)。
【0113】
電主運転である場合、S35a〜S35fの及び一点鎖線で囲むS71〜S73の電力EBのステップが実行される。なお、電力EB07は
図8dに示すが、理解の便宜のためにここで説明する。目標発電量から運転機器とその運転台数を設定し(S35a)、発電系機器を最大負荷率(100%)に設定する(S35b)。そして、S35c〜S35f、71、73のステップを実行し、余剰電力が一定誤差範囲(例えば1kW)以内であれば(S73)終了し後続のステップに移行する。ここで、ステップS35c,S71における発電量には、太陽光発電機器の発電量が加えられる。余剰電力が誤差範囲以内でなければ(S73)、後述するように発電系機器の負荷率P1を変更し、S35c〜S35f、71〜74のステップを余剰蒸気が誤差範囲以内となるまで繰り返す収斂(収束)計算を実行する。
【0114】
熱主運転である場合、S37a〜S38bのステップが実行される。S37a〜S37cのステップはそれぞれ電主運転のS35a〜S35cと同様であるが、ガスタービンコージェネM120が発電系機器及び蒸気発生機器の双方に相当する。S37c〜S38bのステップが余剰蒸気が一定誤差範囲α内となるまで繰り返し実行することは電主運転と同様である。但し、蒸気と電気との間の相互影響がない場合は、繰り返し数は1回となり、さらに次のステップに移行する。
【0115】
ここで、ステップS35a〜S74に関連する
図1bの熱電設備Mを用いた電主運転の収斂計算についてさらに詳しく説明する。冷水負荷、冷水の温度差から必要な冷凍機台数と負荷率を求め、太陽熱温水投入型吸収冷凍機M381を1台と吸収冷凍機M310を1台、計2台と決定する。そして、この時の負荷率より必要な低圧蒸気量S2(t/h)を求める(S32b)。
【0116】
システム内消費電力Ea及び最低買電量W1との差異(Ea−W1)kWを目標発電量とし、これから、太陽光発電電力を差し引いてガスタービンコージェネM120等の運転台数を決定する(S35a)。システム内消費電力Eaは、M120,M220,M310,M350,M381,M1201等の機器の内部消費電力と電力負荷S8とを含むものとする。ガスタービンM120等の発電系機器の負荷率を100%に設定する(S35b)。そして、設定されたガスタービンでの発電量G1(kW/h)、回収蒸気量S1(t/h)、内部消費電力、燃料消費量等を関係式1等より求める(S35c)。
【0117】
この計算結果から回収可能な低圧蒸気量S1(t)を求め、S1,S2を比較して余剰蒸気が発生するか否かを判断する(S35d)。蒸気が余剰している場合は設備外に廃棄する(S35e)。蒸気が不足の場合、S3(t/h)=S2−S1に相当する低圧ボイラM220を運転し、その蒸気発生量、内部消費電力、消費燃料等を計算する(S35f)。そして、上述の結果より、システム内消費電力Eaを積算計算する(S71a)。
【0118】
ここで、図示省略するが、S35c〜S71,S73の初回のループのみGTコージェネが太陽光発電量Esを考慮した上で発電量不足か否かを判定する。G1≦Ea−W1−Esの場合、不足電力を購入して、計算は終了する。一方、G1>Ea−W1−Esの場合、ABS(G1−(Ea−W1−Es))が許容される誤差範囲α以内かを判定する。本実施形態では許容誤差範囲α=±1kW以内としており、誤差範囲内の場合、計算は終了する。なお、図中のABSとは、数値から符号+−を除く関数である。
【0119】
許容誤差が±1kW以内でない場合、GTコージェネの負荷率P1を変更し、G1=Ea−W1−Esになるよう式2から負荷率P1を求める。しかし、負荷率P1が変更され、回収蒸気量S1が変動すると、当該GTコージェネや他の機器の運転条件の変動に伴って内部消費電力が変動し、システム内消費電力Eaも変動する結果、電主運転で逆潮を防ぐという当初の目的を達成できない。また、太陽光発電機器は、斜面日射量、外気温度及び風速によって発電量は変動する。そこで、S73の収斂がなされるまで、以下の如くS74の負荷率P1変更を経てS35cからS71を繰り返す収斂計算が必要となる。
【0120】
ここで、GTコージェネ負荷率Pと排熱回収率S%との関係は、式1の如く、また、同負荷率Pと発電効率G%との関係は、式2の如く表される。両関係式ともに、多変量回帰式モデル、独立2変数式の一般形である。但し、吸気温度をT℃とする。
S=f(T,P) 式1
G=g(T,P) 式2
【0121】
吸気温度を一定とした場合、各説明変数による2次式として作成した目標発電量から負荷率%を求めると、2次式の解として得ることができる。しかし、ガスタービンでは最低負荷率%による制限があるため、負荷率最大Pmax%)と最低負荷率(Pmin%)との中間値(Pmid%)を計算開始点としている。そこで、Pmid%での発電量が目標発電量より大である場合にPmax=Pmid とし、Pmid%での発電量が目標発電量より小である場合にPmin=Pmid とする2分検索による収束計算で目標の負荷率%を求める。同時に、Pmid%での発電量kWと目標発電量kW間の差は、1kW以下を許容誤差としている。なお、収束不可の場合を考慮して最大収束計算回数を20回としているが、収束回数は適宜設定可能である。収斂した場合はさらに次のステップに進む(S36a)。
【0122】
2分検索方は代数方程式数値計算法よる収束計算方法の一例に過ぎない。代数方程式数値計算法よる収束計算方法は、高次代数方程式や分数方程式、無理方程式、あるいは超越方程式のように微分・積分を含まない方程式の数値計算である。その他、代表的なものとしてニュートン・ラプソン法、2分検索法、レギュラ・ファルシ法ベアストウ・ヒッチコック法、リン法、ベルヌーイ法、グレッフェ法等を用いてもよい。本発明における全ての収斂計算はこれらの各手法を用いることができる。
【0123】
上述とは異なり、S37a〜S38bの熱主運転では、回収蒸気量S1と低圧蒸気負荷S2との差が誤差範囲α内であるか否かが検討される。通常、そのための負荷率P1の変更は1度設定すれば足り、収斂計算を行う必然性はない。しかし、熱電可変GTコージェネM110の如き機器では、発生した蒸気を再び回収し発電効率を向上させることが可能である。かかる場合、蒸気回収率及び/又は負荷率P1を変更し、低圧蒸気の過不足がなく及び電力の逆潮が発生せぬよう収斂計算を行うことも可能である。
【0124】
次に、計算例をさらに詳述する。まず、電主運転では、第一優先を太陽熱温水投入型吸収冷凍機M381を1台、第二優先を吸収冷凍機M310、第三優先をターボ冷凍機M350と設定する。エネルギー負荷設定部10から冷水負荷値と供給温度と戻り温度差を読込み、冷水の負荷のエネルギーに相当する必要流量を計算する。必要流量は、冷水負荷÷{(冷水戻り温度−冷水供給温度)×4.18605}よりから求められる。本例においては、必要送水流量が411.7m
3/hであるので、第一優先を太陽熱温水投入型吸収冷凍機M381を1台、第二優先を吸収冷凍機M310の1台の計2台で冷水最大送水量が必要流量より大であるので、2台運転と決定する。次に、第一優先の太陽熱温水投入型吸収冷凍機M381及び第二優先の吸収冷凍機M310の冷水製造量、電力消費量、蒸気消費量、ガス(燃料)消費量、冷却塔排熱量をそれぞれ計算する。この吸収冷凍機M310の蒸気消費量から低圧ボイラM220の台数及び負荷率を決定し、低圧ボイラM220のガス消費量、及び電力消費量を計算する。
【0125】
次に、第一回目の太陽光発電量Es+ガスタービン発電機の発電量G1、システム内必要電力Ea及び運転条件設定部40の最低買電量W1との関係を比較する。
図9aに示す如く、例えば9時から10時で逆潮電力E5が発生している。これはG1+Es>Ea−W1に相当する。発電機及び太陽光発電からの電力量が余剰電気として電力会社に逆潮しないようにガスタービン発電機の負荷率を順次先述のPmidと変更して収斂計算を行う。G1+Es<Ea−Wである場合、収斂計算を完了する。このように、コージェネレーション機器(ガスタービンコージェネM120)の負荷率調整により、太陽光発電機器の発電電力の変動を吸収することができる。
【0126】
次に、熱主運転でも太陽熱温水投入型吸収冷凍機M381と吸収冷凍機M310の冷水最大送水量が必要流量より大であるので、蒸気を必要とする吸収冷凍機が1台運転と決定する。ガスタービンを100%負荷で運転すると、例えば18時から19時は余剰蒸気B5が発生していると、上述のABS(S1−S2)≦αとなるようにガスタービン負荷率P1を求める。
【0127】
第一回のGTコージェネの発電量、負荷率等の計算式を表4に示す。表4中、式3−3が上記式1に、式3−4が上記式2にそれぞれ相当する。
【0129】
熱電設備の構成により、
図8aに示す他のバランス計算ステップが行われる。以下に、上述以外のステップについて説明する。
【0130】
「温水EB(S02)」
図8aに示すように、温水熱負荷及び往還温度差を読み込み(S21)、必要温水流量の計算を計算する(S22)。次に、温水系機器の運転優先順位に基づいて、温水熱負荷と温水流量の両者を満足する温水系機器の運転台数を決定し(S23)、運転する各温水系機器の運転負荷率を計算する(S24)。この計算において、温水出口温度設定が同じであれば均一負荷率とし、熱回収HPの負荷率は他と異なる場合がある。そして、運転する各温水系機器の温熱製造量、電力・燃料・蒸気の消費量、採熱量などを計算し(S25)、先の低圧蒸気EB(S03)へ移行する。なお、採熱量は外部利用水(海水、河川水など)からの採熱も可能である。
【0131】
「高圧蒸気EB」
これは、S03の低圧蒸気EBにおける「低圧蒸気」が「高圧蒸気」と置換される他はほぼ同様であるため図示省略する。但し、ヘッダーで減圧されて低圧蒸気として受け入れられる分量は、先のステップS35eにおける余剰蒸気とはならない点が異なる。低圧蒸気EB(S03)の符号Bから詳細を図示しない高圧蒸気EB(S04)を経て符号C以降にガスエンジン排温水EB(S05)が実行される。
【0132】
「ガスエンジン排温水EB(S05、
図8d)」
まず始めに、先の冷水EB(S01)において、各冷水系機器の運転台数及び負荷率が計算され、排温水投入型吸収冷凍機の冷水熱量(製造量Ma)A及び他の冷水系機器の冷水熱量が決定される(S13〜S15)。また、先の温水EB(S02)において、各温水系機器の運転台数及び負荷率が計算され、温水回収熱交換器の温水熱量Bが決定される(S23〜S25)。
【0133】
次いで、排温水投入型吸収冷凍機が運転しているか否かを判定する(S51a)。運転している場合、ガスエンジンの排温水量を計算し、その排温水量で発生可能な排温水投入型吸収冷凍機の発生冷水熱量A’を計算する(S52a)。そして、発生冷水熱量A’が先の冷水熱量Aに対して不足するかを判定し(S53a)、不足しない場合はS55aへ移行する。他方、不足する場合、不足する冷水熱量を他の冷水系機器で製造するように冷水系機器の運転優先順位に基づいて他の冷水系機器の運転台数及び負荷率を決定し(S54a)、S55aへ移行する。他の冷水系機器の必要蒸気量S2及び蒸気発生機器の発生蒸気量S1を求め(S55a、S56)、発生蒸気量S1と必要蒸気量S2の差分が所定の誤差範囲αとなるか判定する(S57)。なお、誤差範囲αの単位及び数値は、エネルギーによって異なる。
【0134】
差分が誤差範囲α以内でない場合、蒸気発生機器の負荷率を変更し(S58)、符号SR57aの経路を通ってステップS52aに戻る。不足冷水熱量が解消し且つ誤差範囲α以内となるまで上記ステップS52a〜58を繰り返し行う。すなわち、発生蒸気量S1が必要蒸気量S2に収束するように蒸気発生機器の負荷率を変更させて収斂計算を行い、冷水及び蒸気のバランスがとれる冷水系機器の運転台数及び/又は負荷率を決定する。差分が誤差範囲α以内となれば、給湯EB(S06)へ移行する。
【0135】
一方、排温水投入型吸収冷凍機が運転していない場合、温水回収熱交換器が運転しているかを判定する(S51b)。温水回収熱交換器が運転している場合、図中の破線で囲むステップS52b〜58,経路SR57bの手順となる。この手順は上述の冷水系機器と同様であり、蒸気発生機器の負荷率を変更させて収斂計算を行い、温水及び蒸気の双方のバランスをとれる温水系機器の運転台数及び/又は負荷率を決定する。温水回収熱交換器が運転していない場合は給湯EB(S06)へ移行する。
【0136】
ここで、
図14,15を例に説明する。
図14に例示する熱電設備では、ガスエンジンM150と、排温水投入型吸収冷凍機として温水吸収冷凍機M320と、他の冷水系機器としての吸収冷凍機M310とを有する。
図15に示すように、先のステップS13〜S15において、冷水負荷Cに対し、各機器の運転台数及び負荷率Lpが計算され、冷水熱量(製造量Ma)AがA1と決定される。
【0137】
発生冷水熱量A’がA1’の場合、S74aにおいて、不足熱量xを補った冷水熱量A2’を製造するよう吸収冷凍機M310の負荷率をa2’に変更する。発生冷水熱量A1”の場合、吸収冷凍機M310で不足熱量yを補えず、例えば新たに吸収冷凍機M310’を立ち上げ、2台の吸収冷凍機で不足熱量yを補うように各吸収冷凍機の負荷率をa2”,d1に変更する。このように、冷水系機器の運転台数及び/又は負荷率を変更すると、必要蒸気量S2が変動し、蒸気So(S1)を供給するガスエンジンM150の負荷率も変動する。その結果、排温水量WWoが変動し、温水吸収冷凍機M320の冷水熱量も変動する。そこで、発生蒸気量S1と必要蒸気量S2の差分が所定の誤差範囲αとなるようにガスエンジンM150の負荷率を決定する(S55a〜58)。ここで、ガスエンジンM150には最低運転負荷率が規定されており、その負荷率以下では運転しない。係る場合、例えば低圧ボイラ等の他の蒸気発生機器から蒸気を供給し、蒸気発生機器の発生蒸気量S1が必要蒸気量S2に収斂するように蒸気発生機器の負荷率を変更する(S58)。なお、排温水投入型吸収冷凍機としてジェネリンク(登録商標)を用いても構わない。また、排温水投入型吸収冷凍機及び温水回収熱交換器を併用することも可能である。
【0138】
なお、太陽熱温水利用機器として用いられるソーラージェネリンクは、上記排温水型吸収式冷凍機に相当するものとして、上記エネルギーバランスが実行される。また、ソーラー温水熱交は、温水回収熱交換器に相当するものとして、上記エネルギーバランスが実行される。
【0139】
「給湯EB(S06、
図8e)」
まず、給湯熱負荷、給湯供給温度、給水温度が読み込まれ(S61)、給水流量および貯湯タンク内温度を計算する(S62)。次に、貯湯タンク内温度により給湯機の運転/停止および運転/停止の台数を決定し(S63)、指定時刻に貯湯タンク蓄熱満了するよう給湯機追加運転する(S64)。そして、運転する各給湯機の製造熱量、電力・燃料の消費量を計算し(S65)、次の電力EB(S07)に移行する。
【0140】
「電力EB(S07)」
ここでは、上述のS71の次に電主運転か否かが判断されれ(S72)、大略先の低圧蒸気EBでの説明の通りである。熱主運転の場合は(S72),買電量を計算し(S75)、終了する。電主運転で負荷率P1を再設定した場合は、説明の便宜上低圧蒸気EB03のS35cの前(K)に戻るように設定したが、計算に矛盾を生じない限り、例えば冷水EB01の当初位置(K’)に戻るように設定しても構わない。条件を再設定し、再度全ての系統の機器において運転状態を再度調整し、特定の複合全エネルギーが目標値に収斂することに意味がある。
【0141】
図9a,cに
図1bの熱電設備でGTコージェネを100%負荷で運転した場合のグラフを示す。上述の如く、プロセス条件設定部22で電力負荷の内訳を「熱電設備以外への負荷」と設定したので、エネルギー負荷設定部10で設定した電力負荷値が熱源以外の電力欄に入力され、熱電設備に必要な電力がシミュレーションした結果として熱電電力欄に入力される。
図9aでは、9時から15時の時間帯及び21時から22時で逆潮電力E5が発生している。また、上述の如く、プロセス条件設定部22で低圧蒸気負荷の内訳を「熱電設備以外への供給のみ」と設定したので、エネルギー負荷設定部10で設定した低圧蒸気負荷値が低圧蒸気負荷欄に0と入力され、低圧蒸気合計欄にはシミュレーションした結果として熱電設備Mに必要な蒸気使用量が入力される。
図9cでは、18時から22時の時間帯で余剰蒸気B5が発生している。
【0142】
そこで、運転条件設定部40において、8時から18時までを電力負荷優先に、余剰蒸気の生じる18時から22時を熱電負荷優先に設定する。そして、上述した如き収斂計算を行い、
図9b、dに示す如く全ての時間帯で逆潮電力、余剰蒸気が解消し0となる。
【0143】
各機器には関連する機器が各機器モデルの中に組み込まれ各機器毎の運転条件(負荷率)に従って、又は、制限条件があればその条件の範囲で運転され計算される。例えば、太陽熱温水投入型吸収冷凍機の関連機器として太陽熱温水投入型吸収冷凍機の補機動力、冷水ポンプ、冷却水ポンプ、個別冷却塔、制約条件として起動ロス、運転可能な冷却水温度の下限値等を考慮して運転される太陽熱温水投入型吸収冷凍機の太陽熱回収量、ガス(燃料)量、電力量、水の使用量、アウトプットされる冷水量が計算される。太陽熱温水投入型吸収冷凍機1台では負荷設定部の冷水流量が不足する場合は、運転条件設定部40で設定された冷凍機の順番で他の冷凍器(例えば吸収冷凍機)が立上がり冷水量をバランスさせる。もし、それでも冷水バランスが取れない場合は、優先順位の最後の機器(例えばターボ冷凍機)が自動的に追起動してバランスさせるように構成されている。
【0144】
吸収冷凍機に供給される蒸気は、必要蒸気バランスからボイラ系及び発電系で発生される蒸気から供給されるように構成されている。ボイラ系も発電系についても冷水系と同様に各機器はモデル化されていて、運転条件設定部40で設定された順番で立上がり蒸気量、発電量をバランスさせる。もしそれでも蒸気、電気のバランスが取れない場合は、優先順位の最後の熱源機器が追起動してバランスさせるように構成されている。もし、ガスタービン発電機を停止しても余剰電力が生じる場合は、太陽光発電機器を、最後に1基ずつ停止させることでバランスがとられる。
【0145】
このように、システムバランス計算の手順は、各系列毎に順番、例えば冷水、温水、低圧蒸気、高圧蒸気、給湯、電力の順番に熱電収支バランスを組み立てる。組み立てた条件に変更が生じた時場合は、多変数代数方程式数値解析法で収斂計算を行い、全ての系統の熱電バランスを計算する。このバランス結果に基づいて各機器の負荷で運転し出力された機器のアウトプットが、必要とされる情報に整理されて運転結果出力部50により上述の如く出力される。その出力は、上述した如き時間帯別出力及び年間計算出力によるグラフ形式や帳票形式にて行われる。
【0146】
最後に、本発明のさらに他の実施形態の可能性について説明する。
上記実施形態では、太陽熱温水利用機器としてソーラージェネリンクM381を用いた。しかし、これに限られるものではなく、例えば
図1cに示す如く、ソーラー温水熱交M424を用いることも可能である。このソーラー温水熱交は、太陽熱温水を利用して温水を製造する。また、ソーラー温水熱交の負荷率は太陽熱回収量によって決定される。ソーラー温水熱交の機器性能データは、主機の台数と能力、温水ポンプと太陽熱温水ポンプの消費電力(揚程、効率)、温水及び太陽熱温水の各設計温度差、二次配管内容積を設定する。そして、太陽熱利用可能量と太陽熱回収量から必要温水が算出され、他の温水系機器と調整される。このように、他の熱電機器による温水熱量の調整により太陽熱集熱機器の集熱量の変動を吸収することができる。なお、ソーラージェネリンクとソーラー温水熱交は熱電設備に双方含めることはできるが同時に使用することもできる。
【0147】
上記実施形態において、太陽光関連機器のパネル傾き及び方位をユーザーが入力し、その入力値(固有値)に基づき斜面日射量を求めた。しかし、例えば、太陽追尾型の太陽光発電機器の場合、これら角度は季節(月)や時間で変動する。その場合、ユーザーの入力に替えて例えば月別・時間毎に最適なパネル傾き及び方位を算出し、その算出値に基づき斜面日射量を求めるとよい。