【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した目的を達成するために、本発明に係る車載機器は、(a)筒状のケース部と、そのケース部に収納される電子部品の姿勢を円周方向に可動する可動部と、そのケース部を車両の取付箇所に固定するための取付部と、を備えた車載機器であって、前記電子部品へ電源供給するための配線の引き出しを、前記ケース部の側面から行うようにした。配線の引き出しは、実施形態のように、ジャックを設け、そのジャックに対して配線を着脱するようにしてもよいし、本体に対して配線を直結してもよい。
本発明に係る車載機器は、(1)“本体”と、その本体の外周面に回転可能に装着されるリング部と、そのリング部の外側に連結される取付部材とを備える“取付用ブラケット”と、前記リング部を前記本体に固定する“固定部材”と、を備えて構成した。
【0009】
固定部材は、実施形態では、ナット部材40に対応する。なお、下記の(2)でも記載するように、ナット部のようにネジ機構を用いて固定部材を本体に締結するようにすると、簡単な構成で実現できるので好ましいが、バネを用いて固定したり、適宜のロック機構により固定するようにしてもよい。さらには、実施形態のように固定部材と本体とでリング部を挟み込んで固定するものに限ることはなく、たとえば、リング部の外側から内側に向けて延びるネジ(ボルト)等を用い、ネジ止めにより固定するなど、各種の機構を採ることかできる。また、固定部材は、実施形態では、本体から離脱可能としたが、本体から外れないようになっていてももちろん良い。ただし、固定部材が本体から離脱可能とすれば、固定部材を異なる車両に予め設置しておき、1つの本体を当該異なる車両間で乗せかえて利用することができる。
【0010】
さらに、実施形態では、リング部は本体の外周面に装着され、外部に露出するように配置されているが、本発明はこれに限ることはなく、リング部の全部または一部が本体内に収納された構成を採っても良い。なお、リング部の外側に取付部材を連結させることも相まって、リング部は本体の外周面に装着し、外部に露出させるように構成すると、構成が簡単となるとともに、露出したリング部の外周面を持って回転させ、リング部と本体との相対角度位置の調整がしやすいので好ましい。
【0011】
また、回転可能な角度は、本実施形態では、360度の全周としているが、所定の角度範囲としても良い。さらに、本体の形状は、実施形態のように全体的に円筒形を基調とすると、リング部とのデザインの統一性もあり見た目にも好ましいが、必ずしも円筒形にする必要はなく、任意の形状を採ることができる。
【0012】
さらには、リング部の取付位置は、実施形態のように本体の一方端部側に取り付けるようにすると、角度の調整並びに固定も行いやすいが、中央よりに設置するレイアウトを採っても良い。
【0013】
本発明では、リング部は、本体に対して回転可能に装着されるので、本体に固定する前は、リング部と本体とを相対的に回転させ本体とリング部(ブラケット)の相対角度位置を所望の状態に設定できる。そして、その状態で固定することで、フロントガラス等に接着等により固定する取付部材と、本体との相対角度位置を変更・調整することができ、単一のユニット構成を採りながら、異なる車両(フロントガラスの角度が異なる)に実装できる。
【0014】
(2)前記固定部材は、前記本体との間で前記リング部を挟み込んでそのリング部を固定するものとすることができる。このようにすると、リング部の固定(回転停止による位置決め)と、解除(回転可能で角度調整できる状態)との切り替えが簡単に行えるので好ましい。とくに、挟み込みの力を調整できると、軽く締めた状態で仮止めを行うことができ、位置調整作業がより簡便に行えるのでよい。
【0015】
(3)前記固定部材と前記リング部との間にパッキンを介在させるとよりよい。パッキンの弾性力を利用することで、固定部材と本体との間隔を狭めることでリング部を締め付ける効果に加え、パッキンの弾性力により、締め付け力を向上させることができる。よって、たとえば固定部材と本体との間の間隔をリングの幅よりやや広く設定し(このやや広くする場合の距離は、パッキンの厚み等その他の要因により適宜変更される)、パッキンの弾性力を利用してリング部を固定するようにすると、仮止めをすることができる。このように仮止め効果が発揮することで、たとえば、車内での取り付け時に、パッキンがないと常に本体を手で支えなければならないが、パッキンがあれば手を離すこともできる。そして、角度等の調整をする際も、たとえばリング部を本体側に押し当てた状態で、手で支持して角度を確認するのは困難であるが、パッキンで仮止めされるので手で支持しなくても、角度を仮に固定した状態で、その角度で固定してよいか容易に確認することができる。したがって、車内という狭い空間でも、取付けや調整が容易になるという優れた効果を発揮する。
【0016】
さらに、パッキンとしてゴム素材を用いた場合、上記の仮止め効果に加え、振動防止効果やすべり止め効果も発揮するので、車載機器の取り付け時のみならず使用時安定性にも優れた効果を発揮するのでより好ましい。
【0017】
(4)前記本体の一方端部と、前記固定部材は、ネジ機構により連結されるようにするとよい。係る構成とすると、ネジを締結することで、本体と固定部材との間隔を狭くすることができ、簡単な構成でしっかりと取付用ブラケットを固定することができる。なお、ネジ機構を構成するねじ山であるが、本実施形態では、本体側に雄ねじを形成し、固定部材であるナット部側に雌ねじを形成するようにしたが、逆の配置としてももちろん良い。
【0018】
(5)前記本体と前記リング部とが対向する対向面の少なくとも一部に、凹凸が形成され、前記固定部材により前記リング部が固定された際には、その凹凸が符合し合うようにするとよい。固定部材と本体との締め付け力によって、取付用ブラケットの回転をある程度抑止することができるが、適宜位置に凹凸を設けることで、より確実に回転が抑止できる。また、実施形態では全周に渡って凹凸を連続して形成したが、離散的に配置しても良い。ただし、連続して形成した方が回転角度の調整は細かくできるので好ましい。
【0019】
(6)好ましくは、前記リング部の軸と直交する面に位置する端面とすることである。すなわち、回転を抑止するためには、凹凸を形成する対向面は、各種の位置(面)を利用することができ、一例としては、たとえば内歯車に類する形態のようにリング部の内周面に設けることもできる。ただし、内周面に形成した場合には、角度を調整する際に一度リング部を本体の凹凸が形成されていない位置までずらした状態にし、その状態で角度を設定した後、再度差し込む必要がある。そこで、(6)のように、リング部の軸と直交する面(側面)に凹凸をつけると、係る問題がない(しっかりとした凹凸のかみ合いが解除されれば回転が可能となる)のでより好ましい。この(6)に記載の発明は実施形態により実現されている。
【0020】
(7)前記凹凸は、前記リング部の回転方向に沿って傾斜する傾斜面を有するような形状とすると良い。傾斜面を構成する形状としては、実施形態のように平面(テーパ:三角波状の凹凸)であっても良いし、適宜湾曲していても良いし(波型)、球面(半球面)状としてもよく、各種の形態をとることができる。回転方向に沿って傾斜しているので、互いの凹凸がある程度嵌め合っていても、リング部に対する固定力が弱く(本体と固定部材間での締め付け力が弱い)、仮止めの状態の場合には、回転方向に強い力が加わると、互いの凹凸を乗り越えて回転が可能、つまり、角度調整が可能となる。これに対し、凹凸がたとえば矩形波のように、回転方向と直交する方向に延びる側壁を有すると、完全な嵌めあい状態となってしまい調整が困難となる(嵌め合いを解除した状態で角度調整が必要となる)。
【0021】
(8)前記本体の表面に形成されるスイッチの設置面を平坦面にし、その設置面と反対側にカメラの視野が向くようにするとよい。(9)この場合において、前記平坦面と前記視野の方向が直交するように設定されるとより好ましい。カメラを設けた場合であって、ドライブレコーダのように前方を撮影するようにした場合、車内側からは前方を向いているカメラの向きを直接確認することはしにくい。しかし、スイッチの設置面(運転者等が操作することから車内を向いている)を平坦面にすると共に、その平坦面の反対側にカメラの視野を向かせるようにしたので、設置面(平坦面)に対するカメラの向きはわかっていることから、係る設置面の向きからカメラの向きを推定することができる。このとき、(9)の発明のように、カメラの向きが平坦面に対して直交していると、たとえば、設置面を上下方向に平行にすれば、カメラは水平方向を向くことになるので、その方向の推測がより簡単に行える。ただし、必ずしも直交していなくても、設置面に対するカメラの向きが決まっていれば推測はできるので問題はない。
【0022】
(10)前記本体内に内蔵するGPSアンテナは、斜め上方に傾けて配置するとよい。斜め上方に傾けて配置とは、GPSのアンテナ面が、本体の基本姿勢(車載機器を車両に設置する際の標準的な姿勢)を基準とした斜め上方を向くようにすることを意味する。このようにすると、たとえば、本体の向き(たとえば、カメラを内蔵する場合にそのカメラの向き)を下向きにしたとしても、GPSアンテナは良好なGPS受信感度を得ることができる。
【0023】
(11)前記本体内に実装される電子機器へ電源供給するための配線の引き出しを、前記本体の側面から行うようにするとよい。配線の引き出しは、実施形態のように、ジャックを設け、そのジャックに対して配線を着脱するようにしてもよいし、本体に対して配線を直結してもよい。いずれの場合も、配線(電源)の引き出しを側面から行なうようにすると、ルームミラーに配線を隠すことができるので見た目にも美しくなるのでよい。
【0024】
(12)前記本体の前面に操作スイッチを配置し、前記本体の側面に、内蔵するスピーカの音量調整用のボリューム操作部を配置するとよい。このようにすると、使用頻度の高いスイッチが前面にくることから、操作がしやすい。
【0025】
(13)前記本体内には、記録データを格納するメモリカードを装着するためのカードスロットを備え、そのカードスロットの取出口が、前記固定用ブラケットとは反対側の端面に設定されるようにするとよい。このようにするとカードスロットに対するSDカード等のメモリカードの取付、取出がしやすくなる。
【0026】
(14)前記固定部材は、前記本体の側面に取り付けられるとともに、その一部に開口部が設けられ、前記開口部内に位置する前記本体の側面に外部とのインタフェースが設けられるようにするとよい。開口部は、実施形態では「貫通孔42」に対応する。また、インタフェースは、実施形態では、DCジャック15や、ボリュームダイヤル23に対応する。このように、固定部材を本体の側面に装着するに際し、開口部を設けることで、その開口部から本体の側面の一部を外部に露出させることができる。よって、係る露出させた部位に、本体内に実装される外部とのインタフェースを配置することで、限られた本体のスペースに操作対象を効率よく設置することができる。さらに、インタフェースと固定部材を近接することで、インタフェースに対する操作時にユーザが固定部材の状態に対しても注目しやすくなり、緩みがないかなどの確認を自然かつ容易に行うことができる。
(15)前記の各構成の車載機器は、ドライブレコーダとすることができる。もちろん、それ以外の車載機器でも良い。