(54)【発明の名称】エネルギー予測システム、エネルギー予測システムの動作方法、これを実行させるためのコンピュータプログラム及びこのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体並びに運転支援システム
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記負荷パターンは、全日、休日、平日、特異日、生産計画及び気象情報を少なくとも含む群から選択される少なくとも1種以上の組合せである請求項1記載のエネルギー予測システム。
前記予測値算出部は、前記選定した過去時系列データの前記所定時刻から所定の第二予測時間先の時刻における実測値を前記類似度に応じて重み付け加算して前記予測当日の前記所定時刻から前記第二予測時間先の次回第二予測時刻における前記エネルギー負荷の予測値を当該時刻の仮実測値として設定する仮実測値設定部を有し、前記時系列データ設定部は、前記予測当日の前記次回第二予測時刻から前記比較時間前までの新たな当日時系列データと、前記新たな当日時系列データと同一時間帯における前記設定された比較日数の日毎の過去時系列データとを前記選択された負荷パターンに分類された実測値及び前記仮実測値により更新する時系列データ更新部を有し、前記仮実測値設定部が前記第二予測時間毎に前記仮実測値を設定すると共に、前記時系列データ更新部が前記第二予測時間毎に時系列データを更新し、前記予測値算出部が前記クラスター分析を前記第二予測時間毎に繰り返し行うことで前記予測当日の前記所定時刻から長期予測時間先までのエネルギー負荷の予測を行う請求項1又は2記載のエネルギー予測システム。
前記エネルギー設備は、複数の発電機器及び/又は熱電機器を有する施設を複数備えた複合施設又は地域であり、前記予測値算出部は、前記施設単位で前記予測値を算出すると共にその予測値を合算して前記複合施設又は地域全体の前記エネルギー負荷の予測値を算出する請求項1〜5のいずれかに記載のエネルギー予測システム。
電力、冷房、暖房、蒸気、給湯等のエネルギーを使用又は製造するエネルギー設備における現時点以降のエネルギー負荷を予測するエネルギー予測システムの動作方法であって、
前記現時点までの前記エネルギー負荷の実測値を計測時間毎に記憶し、
前記実測値を日毎に前記エネルギー負荷の特性に基づく負荷パターンに分類し、
クラスター分析を行う比較時間及び比較日数を設定すると共に前記クラスター分析を行う比較対象を分類された負荷パターンから選択し、
予測当日の所定時刻から設定された比較時間前までの当日時系列データと、前記当日時系列データと同一時間帯における設定された比較日数の日毎の過去時系列データとを選択された負荷パターンに分類された実測値により設定し、
前記クラスター分析による類似度が高い過去時系列データを設定された過去時系列データから選定する日数を設定し、
前記設定された過去時系列データ毎に前記クラスター分析により前記当日時系列データに対する類似度を計算し、
設定された日数分の過去時系列データを計算された類似度が高い順に前記設定された過去時系列データから過去時系列データを複数選定し、
選定された過去時系列データ毎に前記計算された類似度を前記選定された過去時系列データの類似度の和で除して重み係数を算出し、
前記選定された過去時系列データ毎に過去時系列データにおける前記所定時刻の実測値と前記予測時刻の実測値との差分に算出された重み係数を乗じた値を求め、求めた値の合計を前記予測当日の前記所定時刻の実測値に加算して前記予測当日の前記所定時刻から前記予測時間先の予測時刻における前記エネルギー負荷の予測値を算出するエネルギー予測システムの動作方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
かかる従来の実情に鑑みて、本発明は、当日の実測値に即した精度の高い予測値を算出することの可能なエネルギー予測システム、エネルギー予測システムの動作方法、これを実行させるためのコンピュータプログラム及びこのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体並びに運転支援システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明に係るエネルギー予測システムの特徴は、電力、冷房、暖房、蒸気、給湯等のエネルギーを使用又は製造するエネルギー設備における現時点以降のエネルギー負荷を予測する構成において、前記現時点までの前記エネルギー負荷の実測値を計測時間毎に記憶する実測値記憶部と、前記実測値を日毎に前記エネルギー負荷の特性に基づく負荷パターンに分類する負荷パターン分類部と、クラスター分析を行う比較時間及び比較日数を設定すると共に前記クラスター分析を行う比較対象を分類された負荷パターンから選択する分析条件設定部と、予測当日の所定時刻から設定された比較時間前までの当日時系列データと、前記当日時系列データと同一時間帯における設定された比較日数の日毎の過去時系列データとを選択された負荷パターンに分類された実測値により設定する時系列データ設定部と、前記予測当日の前記所定時刻から所定の予測時間先の予測時刻における前記エネルギー負荷の予測値を算出する予測値算出部とを備え、前記分析条件設定部は、前記クラスター分析による類似度が高い過去時系列データを前記時系列データ設定部で設定された過去時系列データから選定する日数を設定する上位選定日数設定部を有し、前記予測値算出部は、設定された過去時系列データ毎に前記クラスター分析により前記当日時系列データに対する類似度を計算する類似度計算部と、設定された日数分の過去時系列データを計算された類似度が高い順に前記設定された過去時系列データから複数選定する過去時系列データ選定部と、選定された過去時系列データ毎に前記計算された類似度を前記選定された過去時系列データの類似度の和で除して重み係数を算出する重み係数算出部を有し、前記選定された過去時系列データ毎に過去時系列データにおける前記所定時刻の実測値と前記予測時刻の実測値との差分に算出された重み係数を乗じた値を求め、求めた値の合計を前記予測当日の前記所定時刻の実測値に加算して前記予測値とすることにある。
なお、本発明で用いるクラスター分析とは、エネルギー負荷の時系列データから、予測当日の所定の時刻から比較時間前までの抽出したデータを1つのクラスターとして、日の異なるクラスター間の類似度を評価する手法である。
【0008】
上記特徴によれば、クラスター分析の対象となる時系列データは、現時点までのエネルギー負荷の実測値により設定される。実測値は測定時の環境・状況の影響を受けたものであるので、実測値により設定される時系列データは、あらゆる条件(要素)が反映したものとなり、複雑な設定を行うことなく、現実に即した予測が可能となる。しかも、この実測値には選択されたエネルギー負荷の特性に基づく負荷パターンに分類されたものを用いるので、設定される時系列データは共通又は類似する環境下での測定結果に基づくものであり、互いに類似することとなる。よって、クラスター分析の精度はさらに向上する。さらに、分析条件設定部は、クラスター分析による類似度が高い過去時系列データを時系列データ設定部で設定された過去時系列データから選定する日数を設定する上位選定日数設定部を有するので、より精度が向上する。そして、選定された過去時系列データ毎に過去時系列データにおける所定時刻の実測値と予測時刻の実測値との差分に算出された重み係数を乗じた値を求め、求めた値の合計を予測当日の所定時刻の実測値に加算して予測値とするため現実に即した高精度の予測値となる。
【0011】
前記負荷パターンは、全日、休日、平日、特異日、生産計画及び気象情報を少なくとも含む群から選択される少なくとも1種以上の組合せであるとよい。これにより、現実の状況に即した予測ができ、より現実に即した高精度の予測値となる。
【0012】
前記予測値算出部は、前記選定した過去時系列データの前記所定時刻から所定の第二予測時間先の時刻における実測値を前記類似度に応じて重み付け加算して前記予測当日の前記所定時刻から前記第二予測時間先の次回第二予測時刻における前記エネルギー負荷の予測値を当該時刻の仮実測値として設定する仮実測値設定部を有し、前記時系列データ設定部は、前記予測当日の前記次回第二予測時刻から前記比較時間前までの新たな当日時系列データと、前記新たな当日時系列データと同一時間帯における前記設定された比較日数の日毎の過去時系列データとを前記選択された負荷パターンに分類された実測値及び前記仮実測値により更新する時系列データ更新部を有し、前記仮実測値設定部が前記第二予測時間毎に前記仮実測値を設定すると共に、前記時系列データ更新部が前記第二予測時間毎に時系列データを更新し、前記予測値算出部が前記クラスター分析を前記第二予測時間毎に繰り返し行うことで前記予測当日の前記所定時刻から長期予測時間先までのエネルギー負荷の予測を行うとよい。第二予測時間毎に算出した予測値を当該時刻の仮実測値として設定すると共に時系列データを更新するので、クラスター分析を第二予測時間毎に繰り返し行うことで設定した長期予測時間先までのエネルギー負荷の予測を行うことが可能となる。例えば、予測当日の24時間先や48時間先など任意の時間経過後までのエネルギー負荷の予測も可能となる。
【0013】
係る場合、前記仮実測値は、前記予測当日の前記次回第二予測時刻における実測値が記憶される度にその実測値に置換されることが望ましい。これにより、仮実測値が常に最新の実測値に置換されることとなるので、予測精度が向上する。
【0014】
また、前記負荷パターン分類部は、少なくとも連続する2日以上の日数単位で設定された長期負荷パターンをさらに有するとよい。これにより、長期間を通じて生じる変化をも考慮でき、さらに現実に即した予測となり、さらに予測精度を向上させることができる。
【0015】
前記エネルギー設備は、複数の発電機器及び/又は熱電機器を有する施設を複数備えた複合施設又は地域であり、前記予測値算出部は、前記施設単位で前記予測値を算出すると共にその予測値を合算して前記複合施設又は地域全体の前記エネルギー負荷の予測値を算出するようにしてもよい。これにより、複数の発電機器及び/又は熱電機器を有する単一の施設におけるエネルギー負荷の予測だけではなく、そのような施設が複数集合した複合施設、集合住宅、地域の全体のエネルギー負荷の予測も可能となり、省エネにも寄与する。
【0016】
前記クラスター分析は、例えば群間平均距離法であるとよい。係る場合、前記類似度は、前記過去時系列データの前記当日時系列データに対する距離の逆数であるとよい。また、前記類似度は、前記過去時系列データと前記当日時系列データとのベクトル間角度の余弦であってもよい。
【0017】
上記目的を達成するため、本発明に係るエネルギー予測システムの動作方法の特徴は、電力、冷房、暖房、蒸気、給湯等のエネルギーを使用又は製造するエネルギー設備における現時点以降のエネルギー負荷を予測するエネルギー予測システムの動作方法において、前記現時点までの前記エネルギー負荷の実測値を計測時間毎に記憶し、前記実測値を日毎に前記エネルギー負荷の特性に基づく負荷パターンに分類し、クラスター分析を行う比較時間及び比較日数を設定すると共に前記クラスター分析を行う比較対象を分類された負荷パターンから選択し、予測当日の所定時刻から設定された比較時間前までの当日時系列データと、前記当日時系列データと同一時間帯における設定された比較日数の日毎の過去時系列データとを選択された負荷パターンに分類された実測値により設定し、前記クラスター分析による類似度が高い過去時系列データを設定された過去時系列データから選定する日数を設定し、前記設定された過去時系列データ毎に前記クラスター分析により前記当日時系列データに対する類似度を計算し、設定された日数分の過去時系列データを計算された類似度が高い順に前記設定された過去時系列データから過去時系列データを複数選定し、選定された過去時系列データ毎に前記計算された類似度を前記選定された過去時系列データの類似度の和で除して重み係数を算出し、前記選定された過去時系列データ毎に過去時系列データにおける前記所定時刻の実測値と前記予測時刻の実測値との差分に算出された重み係数を乗じた値を求め、求めた値の合計を前記予測当日の前記所定時刻の実測値に加算して前記予測当日の前記所定時刻から前記予測時間先の予測時刻における前記エネルギー負荷の予測値を算出することにある。
【0018】
上記のいずれかに記載のエネルギー予測システムは、それを実行させるためのコンピュータプログラムにより実現され、このコンピュータプログラムはコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録される。
【0019】
上記目的を達成するため、本発明に係る運転支援システムの特徴は、電力、冷房、暖房、蒸気、給湯等のエネルギーを使用又は製造するエネルギー設備の運転を支援する構成において、前記エネルギー設備における現時点までのエネルギー負荷の実測値を計測時間毎に記憶する実測値記憶部と、前記実測値を日毎に前記エネルギー負荷の特性に基づく負荷パターンに分類する負荷パターン分類部と、クラスター分析を行う比較時間及び比較日数を設定すると共に前記クラスター分析を行う比較対象を分類された負荷パターンから選択する分析条件設定部と、予測当日の所定時刻から設定された比較時間前までの当日時系列データと、前記当日時系列データと同一時間帯における設定された比較日数の日毎の過去時系列データとを選択された負荷パターンに分類された実測値により設定する時系列データ設定部と、前記予測当日の前記所定時刻から所定の予測時間先の予測時刻における前記エネルギー負荷の予測値を算出する予測値算出部とを備え、前記分析条件設定部は、前記クラスター分析による類似度が高い過去時系列データを前記時系列データ設定部で設定された過去時系列データから選定する日数を設定する上位選定日数設定部を有し、前記予測値算出部は、設定された過去時系列データ毎に前記クラスター分析により前記当日時系列データに対する類似度を計算する類似度計算部と、設定された日数分の過去時系列データを計算された類似度が高い順に前記設定された過去時系列データから複数選定する過去時系列データ選定部と、選定された過去時系列データ毎に前記計算された類似度を前記選定された過去時系列データの類似度の和で除して重み係数を算出する重み係数算出部を有し、前記選定された過去時系列データ毎に過去時系列データにおける前記所定時刻の実測値と前記予測時刻の実測値との差分に算出された重み係数を乗じた値を求め、求めた値の合計を前記予測当日の前記所定時刻の実測値に加算して前記予測値とし、前記予測値に基づいて前記エネルギー設備の運転を支援することにある。
【発明の効果】
【0020】
上記本発明に係るエネルギー予測システム、エネルギー予測システムの動作方法、これを実行させるためのコンピュータプログラム及びこのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体並びに運転支援システムの特徴によれば、当日の実測値に即した精度の高い予測値を算出することが可能となった。
【0021】
本発明の他の目的、構成及び効果については、以下の発明の実施の形態の項から明らかになるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0023】
次に、適宜添付図面を参照しながら、本発明をさらに詳しく説明する。
本発明に係るエネルギー予測システム1は、電力、冷房、暖房、蒸気、給湯等のエネルギーを使用又は製造するエネルギー設備における現時点以降のエネルギー負荷を予測する。エネルギー設備としては、例えばコージェネレーション、太陽光発電等の発電系機器、高圧ボイラ等のボイラ系機器、吸収冷凍機等の冷水系機器、温水ボイラ等の温水系機器、給湯ボイラ等の給湯系機器等の各種発電機器や熱電機器、これら機器を含むビル、工場、各種店舗や施設、これらを複数備える複合施設や地域である。また、エネルギー負荷としては、例えば電力、冷水、温水、蒸気等の各需要量(消費量、使用量)や製造量(供給量)が挙げられる。
【0024】
本発明に係るエネルギー予測システム1のハードウエアは、
図1に示すように、大略、ユーザーインターフェイス2と、エネルギー予測システム1のソフトウエア10を処理する処理部3とから構成される。ユーザーインターフェイス2は、モニタ2a、キーボード2b、マウス2cを備え、モニタ2aに表示される画面上のボタンや入力欄をユーザーが操作するためのものである。また、処理部3は、CPU3a、一時記憶メモリ3b、HDD3c等とデータバス、アドレスバス等のバス3dにより接続されている。CPU3a、一時記憶メモリ3b、HDD3c等は連携して、ソフトウエア10を稼働させる。
【0025】
図2に示すように、エネルギー予測システム1のソフトウエア10は、大略、実測値記憶部20、負荷パターン分類部30、分析条件設定部40、時系列データ設定部50、予測値算出部60、出力部70及び記録部80から構成される。
【0026】
実測値記憶部20は、現時点までのエネルギー負荷の実測値を計測時間毎に記憶する。実測値記憶部20には、エネルギー予測システム1に接続されたエネルギー設備の各種センサから測定値が入力される。計測時間とは、エネルギー負荷を計測する周期であり、例えば30秒、10分、1時間等のように、秒(second)、分(minute)、時(hour)の単位を問わない。計測時間(周期)を短くすることで予測精度は向上するが、計算に要する時間(回数)は増大するので、要求される精度に応じて適宜設定すればよい。なお、実測値と共に後述の気象情報を取り込むことも可能である。
【0027】
負荷パターン分類部30は、実測値記憶部20に記憶される実測値を日毎にエネルギー負荷の特性に基づく負荷パターンに分類する。負荷パターンとは、全日、休日、平日、特異日、生産計画及び気象情報を少なくとも含む群から選択される少なくとも1種以上の組合せである。特異日とは、例えば商業施設等におけるイベントの開催や特売日等の通常の営業日と異なる状態(環境)となる日を示す。生産計画とは、工場等での稼働する機械の台数や生産する製品等の生産スケジュール等を示す。気象情報とは、例えば所定の時間毎の気温、1日の平均気温、最高気温、最低気温、平均相対湿度、最高湿度、天気、気圧、風速、降水量等の気象庁が公表している各種気象データや季節等である。このように、エネルギー負荷のパターンに影響を与える特性で分類しておくことで、比較する時系列データ相互間での特異な相違を減らし、類似する環境下の時系列データで後述の類似度計算を行うことができ、予測精度を向上させることができる。
【0028】
分析条件設定部40は、クラスター分析を行う比較時間を設定する比較時間設定部41と、クラスター分析を行う比較日数を設定する比較日数設定部42と、クラスター分析を行う比較対象を負荷パターン分類部30によって分類された負荷パターンから選択する負荷パターン選択部43を有する。比較時間は、クラスター分析の対象とする時系列データの時間帯(開始時刻から終了時刻までの期間)を指し、上記と同様に時間の単位を問わずに適宜設定することができる。また、比較日数は、当日時系列データと比較(類似度計算)する後述の過去時系列データの個数を指し、好ましくは、2以上の複数である。比較日数を多くすることで予測精度は向上するが、計算時間(回数)は増大するので、要求される精度に応じて適宜設定すればよい。本実施形態では、後述するクラスター分析による類似度が高い過去時系列データを選定する日数(個数)を設定する上位選定日数設定部44を有する。
【0029】
また、分析条件設定部40は、当日時系列データに対する過去時系列データの類似度を計算する計算時間及び予測時間も合わせて設定する。これらの時間も上記と同様に時間の単位を問わずに適宜設定することができる。計算時間とは、類似度を計算する周期であり、例えば上述の計測時間と一致させる。予測時間とは、予測当日の所定時刻から予測したい所定の時刻(予測時刻)までの所定時間である。さらに、本実施形態では、分析条件設定部40は、第二予測時間も設定する。この第二予測時間は、後述する長期間予測における予測当日の所定時刻から予測したい所定の時刻(次回第二予測時刻)までの所定時間である。予測時間と第二予測時間は任意に設定でき、同一であってもよく、例えば上述の計測時間に一致させることもできる。
【0030】
時系列データ設定部50は、予測当日の所定時刻から比較時間設定部41によって設定された比較時間前までの当日時系列データと、当日時系列データと同一時間帯における比較日数設定部42によって設定された比較日数の過去の日毎の過去時系列データとを負荷パターン選択部43によって選択された負荷パターンに分類された実測値により設定する。
【0031】
ここで、予測当日のt時点(所定時刻)からN時点前までの当日時系列データは、下記数1で表される。なお、Nは、比較時間を計測時間で除した数である。
【0033】
また、当日時系列データと同一時間帯における予測当日よりm日前の過去時系列データは、下記数2で表される。
【0035】
また、時系列データ設定部50は、予測当日の所定時刻の第二予測時間先となる次回第二予測時刻から比較時間設定部41によって設定された比較時間前までの新たな当日時系列データと、当該新たな当日時系列データと同一時間帯における過去の比較日数設定部42によって設定された比較日数の日毎の過去時系列データとを負荷パターン選択部43によって選択された負荷パターンに分類された実測値及び後述の仮実測値により更新する時系列データ更新部51を有する。
【0036】
予測値算出部60は、類似度を計算する類似度計算部61と、類似度が高い過去時系列データを選定する過去時系列データ選定部62と、類似度に応じた重み係数を算出する重み係数算出部63を備える。類似度計算部61は、クラスター分析により時系列データ設定部50で作成された過去時系列データ毎に当日時系列データに対する類似度を計算する。過去時系列データ選定部62は、設定された選定条件に従い過去時系列データを複数選定する。例えば、本実施形態では、設定した過去時系列データの中から類似度が高い順に上位選定日数設定部44で設定された日数(個数)分の過去時系列データを選定する。重み係数算出部63は、過去時系列データ選定部62が選定した過去時系列データの類似度に応じた重み係数を算出する。そして、予測値算出部60は、過去時系列データ選定部62が選定した過去時系列データの所定時刻から所定の予測時間先の時刻における実測値を重み係数算出部63が算出した重み係数により重み付け加算して予測当日の所定時刻から所定の予測時間先の予測時刻におけるエネルギー負荷の予測値として算出する(短時間予測)。
【0037】
ここで、本実施形態において、クラスター分析には群間平均距離法を用いる。この群間平均距離法は、当日時系列データ(クラスター)と過去時系列データ(クラスター)とのすべての個体のペア(計算時間毎の実測値)について距離を求めてその平均を類似度として算出する。類似度(距離の逆数)が大きい程、当日時系列データと過去時系列データとは類似することとなる。
群間平均距離法では、当日時系列データとm(m≦M)日前の時系列データと距離を下記数3で定義する。なお、Mは、比較日数である。
【0039】
図3(a)に示す当日時系列データ(第1のクラスター)Pと、同図(b)に示す予測当日よりm日前の過去時系列データ(第2のクラスター)Qは、同図(c)に示す如く、tとt−1とt−2で形成される空間に配置される点p,qとして捉えることができる。群間平均距離法では、この点p,q間の距離dmを算出し、距離dmが短い(小さい)ものが類似度が高い。類似度計算部61はこの距離dmを過去時系列データ毎に計算し、過去時系列データ選定部62は距離dmの逆数が大きい(類似度が高い)順に過去時系列データを複数選定する。
【0040】
重み係数算出部63は、過去時系列データ選定部62が選定した過去時系列データの距離dmの逆数(類似度)から重み係数wmを算出する。重み係数wmは、下記数4の通り、距離dmの逆数(類似度)を上位選定日数設定部44で設定された日数(個数、S)分の選定した過去時系列データの求めた距離dmの逆数の和で除した数(相対重み)である。
【0042】
そして、t時点(所定時刻)から所定時間(予測時間l)先の予測時刻t+lの予測値xt+lは、下記数5により算出される。本実施形態では、上位選定日数設定部44で設定された日数(個数、S)分の選定した過去時系列データにおけるt+l時点とt時点との差分の加重平均を予測当日のt時点の実測値xtに加算して予測値xt+1とする。
【0044】
さらに、予測値算出部60は、選定した過去時系列データの所定時刻から所定の第二予測時間先の時刻における実測値を類似度に応じて重み付け加算して予測当日の所定時刻から第二予測時間先の次回第二予測時刻におけるエネルギー負荷の予測値を当該時刻の仮実測値として設定する仮実測値設定部64を有する。上述の短時間予測と同様の処理を実測値の第二予測時間毎に繰り返し行うことで、長期予測時間経過後(例えば24時間先や48時間先の予測(長期間予測))が可能となる。そして、仮実測値は、予測当日の次回第二予測時刻における実測値が記憶される度にその実測値に置換される。
【0045】
出力部70は、例えば予測値算出部60が求めた予測値や予測グラフをモニタや紙等に出力する。例えば、実測値とその後の予測値とを区別させてグラフに表示する。また、長期間予測のグラフの色を変えて表示すると共に、予測値と実測値との平均2乗誤差平方根の割合(EEP)を表示する。また、これらを帳票として表形式で出力することも可能である。記録部80は、求めた予測値や出力した帳票等の各種データを記録する。
【0046】
次に、
図4aを参照しながら予測当日のエネルギー負荷の短時間予測の手順について説明する。
短時間予測手順は、
図4aに示すように、クラスター分析による当日予測の条件を設定し(S1)、設定された条件に基づいてクラスター分析による過去時系列データの類似度を計算し(S2)、類似度の高い順番に過去時系列データを複数選定し(S3)、重み係数を算出してその重み係数を用いて所定時間先の予測値を算出し(S4)、その結果を出力する(S5)。なお、実測値は、実測値記憶部20により計測時間毎に記憶されると共に、負荷パターン分類部30によりエネルギー負荷の特性に基づく負荷パターンに分類される。
【0047】
条件設定ステップ(S1)では、比較時間設定部41により比較時間が設定され、比較日数設定部42により比較日数が設定される。また、分析条件設定部40により、計算時間及び予測時間も設定される。例えば、現時点(所定時刻)は5時30分、比較時間は4時間、比較日数は30日、計算時間は10分、予測時間は30分として設定される。また、上位選定日数設定部44により上位選定日数も設定され、例えば上位6位(個)である。
【0048】
さらに、負荷パターン選択部43により負荷パターン分類部30によって分類された負荷パターンが選択される。この負荷パターンの選択は、予測当日の負荷パターンと同一のものが選択される。これにより、予測当日に類似する環境下における過去の実測値をクラスター分析の対象とすることができ、より精度が向上する。そして、分析条件設定部40の設定条件に従い、時系列データ設定部50は、実測値により当日時系列データと、当日時系列データと同一時間帯における過去時系列データを日毎に複数設定する。例えば、平日の予測当日の当日時系列データと同じ負荷パターンとして平日のデータが選択され、直近の平日30日分の同じ時間帯(所定時刻から比較時間前)で日毎に過去時系列データが作成される。
【0049】
類似度計算ステップ(S2)では、類似度計算部61により上述の群間平均距離法により設定された過去時系列データ毎に当日時系列データに対する距離(類似度)が計算される。そして、過去時系列データ選定ステップ(S3)では、過去時系列データ選定部62により、求めた距離が短い(類似度が高い)上位6位を選定する。例えば、直近の平日30分の過去時系列データ毎に予測当日の当日時系列データに対する距離が計算され、その距離dmの短い(類似度1/dmが大きい)上位6位が類似日として選定される。
【0050】
次に、予測値算出ステップ(S4)では、重み係数算出部63により選定した類似日の重み係数が算出され、予測値算出部60により選定した過去時系列データにおける予測時間先の予測時刻と所定時刻との実測値の差分の加重平均を予測当日の所定時刻の実測値に加算して予測値を算出する。例えば、選定した類似日の過去時系列データでは、予測時間先の予測時刻と所定時刻(現時点)との実測値の差分にその日の重み係数wmを乗じた値を求める。これを上位6位で各々計算してその合計を求め、その合計値を予測当日の所定時刻の実測値に加算して、予測時刻の予測値となる。
【0051】
ここで、
図4bに示す長期間予測は、上述の短時間予測と同時に又は単独に実行することが可能である。
同図に示すように、予測当日のエネルギー負荷の長期間予測としての終日(予測当日の24時(PM12時)まで)予測は、まず、クラスター分析による当日予測の条件を設定し(S11)、次回第二予測時間における仮実測値を設定し(S12)、設定された条件に基づいて時系列データを更新して(S13)、クラスター分析により更新した過去時系列データの類似度を計算し(S14)、類似度の高い順番に過去時系列データを複数選定し(S15)、重み係数を算出してその重み係数を用いて計測時間先の予測値を算出する(S16)。そして、設定した長期予測時間先となるまで(S17)、上記ステップ(S12〜S16)が繰り返される。長期予測時間(予測当日の24時(PM12時)まで)の予測が完了すれば、その結果が出力される(S18)。条件設定ステップ(S11)は、先の条件設定ステップ(S1)と同様である。
【0052】
仮実測値設定ステップ(S12)では、仮実測値設定部64により所定時刻から第二予測時間先における次回第二予測時刻の予測値を仮実測値として算出する。次回第二予測時刻の予測値の算出は、上記短時間予測ステップ(S2〜S4)と同様である。例えば、所定時刻(現時点)から10分(第二予測時間、計算時間)先の次回第二予測時刻の予測値を仮実測値して算出する。この仮実測値の算出は、上述の短時間予測と同様の処理である。
【0053】
次に、時系列データ更新ステップ(S13)では、時系列データ更新部51により先の当日時系列データ及び過去時系列データの時間帯が変更される。例えば、先のステップ(S12)にて仮実測値を算出した次回第二予測時刻を新たな所定時刻と仮定して、その時刻から比較時間前までの時間帯における実測値及び仮実測値により時系列データを更新する。当日時系列データには、次回第二予測時刻の現実の実測値は存在しないので、上述の仮実測値を用いて当日時系列データとする。そして、上記短時間予測と同様に、第二予測時間(計算時間)先の新たな次回第二予測時刻の予測値を算出する。すなわち、短時間予測では所定の予測時間先(上記の例では30分)の予測を行うが、長期間予測では第二予測時間(本例では10分)毎に第二予測時間先の予測を長期予測時間経過後(本例では、予測当日の24時(PM12時))まで繰り返して行う。このように、時間の経過によるエネルギー負荷の推移(変動)の予測も可能である。
【0054】
ここで、実測値記憶部20には、第二予測時間が経過すれば、エネルギー負荷の実測値が記憶される。そこで、実測値が記憶される度に対応する仮実測値を現実の実測値に置換する。そして、上記処理を実行することで、第二予測時間経過毎に予測は修正(更新)されることとなり、より現実に即した高精度な予測となる。例えば、
図5に示すように、時間経過と共に仮実測値を現実の実測値に置き換えてエネルギー負荷の予測線を修正していくので、精度の高い予測が可能となる。
【0055】
さらに、上述の如く算出した予測当日のエネルギー負荷予測(短時間予測及び/又は長期間予測)を用いて、エネルギー設備の運転を支援することも可能である。
例えば
図6(a)に示すように、例えば店舗、工場、銀行、オフィスよりなる複合施設の前日の24時間の電力負荷を施設ごとにその需要量A1〜4を予測して複合施設全体の翌日の電力需要Aを予測する。この前日予測には、例えば、従来周知のカルマンフィルターを用いた予測方法を適用できる。
【0056】
そして、
図6(b)に示すように、この電力需要予測Aに対する電力需給バランスを予測する。再生可能エネルギーの発電量Eb5について、例えば翌日の天気予報による外気温度及び日照時間予測により太陽光発電量を例えば30分ごとに予測する。再生可能エネルギーは、太陽光発電に限られず風力発電でも良い。このように、上記の再生可能エネルギーによる発電量Eb5を含めて、電力需要予測値Aに基づいて電力供給を予定している発電所の発電供給能力と発電単価を考慮して発電計画が決定される。同図の例では、第一、第二発電所の発電量Eb1,2及び第一、第二調整電力量Eb3,4が決定される。
【0057】
当日の各施設の電力使用量は、上述した前日の予測電力量Aと相違が出ると共に太陽光発電量E5も異なる。そこで、例えば
図6(c)に示すように、エネルギー予測システム1が各施設の電力実測値E1〜5を用いてクラスター分析法により所定時間先(例えば12時の30分先)の予測値を算出する。そして、その短時間予測による予測値に基づいて、例えばその予測時刻における調整電力2の発電量を制御することができる。さらに、同図に示すように、予測当日の24時までの電力負荷予測(長期間予測)を行っているので、1時間、2時間先の電力負荷予測値Ef1〜5をも予測することができるので、調整電力2で調整できないような場合には、調整電力1も含めて発電量を調整する準備を行うことが可能である。さらに、必要に応じて電力市場からの電力調達に事前に対応することが可能である。このように、エネルギー予測システム1で算出される予測値に基づいてエネルギー設備の運転を制御(支援)することができる。同図において、符号E1,2は第一、第二発電所の電力実測値、符号E3,4は第一、第二調整電力実測値を示す。また、符号Ef1,2は第一、第二発電所の予測発電値、符号Ef3,4は第一、第二調整電力予測値、符号E5は太陽光発電予測値を示す。複数の発電機器及び/又は熱電機器を有する単一の施設におけるエネルギー負荷の予測だけではなく、そのような施設が複数集合した複合施設、集合住宅、地域の全体のエネルギー負荷の予測も可能である。
【0058】
最後に、本発明の他の実施形態の可能性について言及する。なお、上述の実施形態と同様の部材には同一の符号を附してある。
【0059】
上記実施形態における長期間予測として、長期予測時間を短時間予測の当日の24時(PM12時)とした終日予測を例に説明した。しかし、長期予測時間は、予測当日の24時までの予測に限られるものではなく、例えば、24時間、48時間(連続する2日間)やその他任意の期間(時間)を設定することができる。しかし、設定する長期予測時間によっては、予測当日だけでなくその翌日にまで予測が及ぶ場合がある。そこで、係る場合、負荷パターン分類部30は、少なくとも連続する2日以上の日数単位で設定された長期負荷パターンをさらに有しているとよい。ここで、少なくとも連続する2日以上の日数単位とは、平日2日間、全平日(月曜日から金曜日)、週末(金曜日及び土曜日や土曜日及び日曜日、金曜日から日曜日)、休み明け(日祝日及びその翌日の平日)、一週間等の数日間、1ヶ月間、長期休暇、イベント開催期間、季節などが挙げられる。このように、任意の長期予測時間が属する期間毎にエネルギー負荷のパターンに影響を与える特性(長期負荷パターン)で分類しておくことで、期間を通じて生じる共通の変化をも考慮して類似する期間での時系列データで後述の類似度計算を行うことができ、予測精度を向上させることができる。
【0060】
特に、長期負荷パターンが例えば曜日の組み合わせより構成される場合、気象条件を用いることなく翌日の予測が可能となる。すなわち、地理的に離れた場所にある建物や施設のエネルギー予測も可能となり、離れた地点であっても
図6に示す如き合算(集計)して予測することができる。また、上記実施形態では、前日予測にカルマンフィルターを用いた予測手法を適用したが、カルマンフィルターに代えて前日予測から当日予測まで(例えば48時間)を連続して予測することも可能となる。もちろん、さらに精度を向上させるために、曜日の組み合わせに気象条件も加味して長期負荷パターンを設定することも可能である。なお、翌日に跨いで予測する長期間予測においても、短時間予測と同様にその予測当日毎にそれぞれの負荷パターンを適用して予測しても構わない。
【0061】
上記実施形態において、群間平均距離法を用いて過去時系列データの当日時系列データに対する距離を類似度として求めたが、これに代えてベクトル間角度の余弦を用いることも可能である。
【0062】
図7(a)に示す当日時系列データP1と同図(b)に示す過去時系列データQ1の例は、比率が異なるだけで同じ形状を呈する。そのため、同図(c)に示す如く、時系列データのベクトルp1,q1間の角度は0となる。他方、
図8(a)に示す当日時系列データP2と同図(b)に示す過去時系列データQ2の例では、同図(c)に示す如く、時系列データのベクトルp1,q1間の角度はθとなり、このベクトル間角度を用いる。
【0063】
ここで、上記時系列データを各時間での大きさを座標値とするN+1次元空間のベクトルで表すと、当日時系列データとm日前の過去時系列データの2つのベクトル角θの余弦は、以下となる。
【0065】
本実施形態では、このcosθmを類似の指標として、上記実施形態の距離の逆数に相当する。例えば、このcosθmを大きい順に上位S個を抽出し、下記数7の重み係数を用いるとよい。
図8に示すように、時系列データの大きさが相違していても類似を判定することができる。
【0067】
なお、短時間予測において、下記数8の比率を適用することで、過去時系列データの大きさを当日時系列データの大きさの程度に合わせることができる。
【0069】
ベクトル間角度による類似の判定では、時系列データの形状が全く同じ場合、1となり実際の値は極めて小さくても最も類似している可能性もあり、予測値にずれが生じる恐れがある。そこで、下記数9の補正により予測値のずれを抑制する。
【0071】
また、クラスター分析は群間平均距離法に限られるものではなく、例えば重心間距離法(二つのクラスターの重心間の距離)、最近距離法(異なるクラスターに属する二つの個体間の距離の最小値)、最遠距離法(異なるクラスターに属する二つの個体間の距離の最大値)等の手法を採用することも可能である。
【0072】
上記実施形態において、抽出した比較日数の各過去時系列データについて距離dmを算出し、その距離が短い過去時系列データを上位から順に6位まで選定した。しかし、選定する個数はあくまで例示に過ぎず、適宜設定できる。また、上位から順に選定する場合に限らず、例えば下記数10の関係を満たすものを選定するようにしてもよい。なお、Rは任意に設定でき、例えばR=1.62である。
【0074】
さらに、上記実施形態における短時間予測において、予測値を選定した過去時系列データの所定時刻の実測値と予測時刻の実測値との差分の加重平均を予測当日の所定時刻の実測値に加算して算出した。しかし、これに限らず、下記数11の通り、過去時系列データの予測時刻の実測値の加重平均でも構わない。
【0076】
上記実施形態において、比較日数を30日としたがあくまで例示に過ぎず、適宜設定することができる。また、特定の日数を設定するのではなく、予測当日と負荷パターンが共通する過去時系列データの全て或いは特定の期間を対象とすることもできる。よって、実測値の蓄積が増えるほど、予測値の精度を向上する。また、負荷パターンの選択においては、例えば天気予報(平均気温、最高気温、最低気温、平均相対湿度、最大湿度、時間毎の気温)の各種データを用いてカルマンフィルター等の各種周知の手法により負荷パターンをさらに分類し、その分類結果に基づいてクラスター分析の対象とする過去時系列データ(類似日)を設定するようにしてもよい。
【0077】
また、上記実施形態において、計測時間(計測時刻)は現実にエネルギー負荷を測定する時間(時刻)に限られるものではなく、実測値も計測時間(計測時刻)に現実に測定される数値に限られるものではない。例えば、実際の計測時間(例えば60分)を複数に分割し、その分割された時間(例えば10分)での実測値を例えば直線補間等により求め、これらの値を実測値とすることも可能である。
【0078】
本発明に係るエネルギー予測システムを実行するプログラムは、例えば、地域冷暖房及びビル熱源の運転支援システムとしてパソコンにソフトを組み込み、実負荷データを取り込むと共に実データを蓄えて運転員の支援システムとして構成することができる。また、電力及び集中方式の熱源設備のBEMS、FEMSの制御装置、制御盤に組み込んで最適運転制御に使用でき、家庭用の電力見える化(HEMS)等のパネルに組込んで使用することもできる。