【実施例】
【0032】
以下、本発明について実施例を挙げて具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。下記実施例及び比較例において、試験シートによる飛翔性害虫の防除効果は下記の試験方法により測定し、評価した。
【0033】
1)飛翔性害虫の防除効果(KT50)
試験1
6cm×6cmの正方形のシート片を直径8.5cmのガラスシャーレ内に敷き、蓋を被せた状態で25℃、太陽光直射の環境に30分間馴染ませた。このシャーレ内にユスリカ(揺蚊)の成虫10匹を放ち、この時点からノックダウンしたユスリ蚊の数の計測を開始し、ユスリカのノックダウン数が半数の5匹目となった時間(秒)を「KT50値」として求めた。
※KT50=Median knock-down time(50%の供試虫が抑転(生死に拘らず起き上がれなくなる)に要する時間。)
試験2
上記試験1後のシート片を3月〜8月の6ヶ月間室内に放置した。このシート片を用いて再度試験1と同じ試験を行い、ユスリカに対する防除効果「KT50値」を求めた。
試験3
上記試験1後のシート片を3月〜8月の6ヶ月間屋外に放置した。このシート片を用いて再度試験1と同じ試験を行い、ユスリカに対する防除効果「KT50値」を求めた。
2)防黴性の評価
シ−ト片(5cm×5cm)を下記カビの胞子を含む寒天培地に静置し、シャーレ中で
28℃×7日間カビの発生状況を観察し、以下の判定基準で評価を行った。
1:外観観察では黴の発生が認められない。
2:部分的に黴の発生を認める。(φ3mm未満のコロニーの散在)
3:シート片の面積の半分以上に黴が発生した。
〈試験用カビ〉(1)+(2)+(3)の混合カビ
(1).Aspergillus niger FERM S−1(黒カビ)
(2).Penicillium citrinum FERM S−5(青カビ)
(3).Cladosporium cladosporioides FERM S−8(クロカワカビ)
【0034】
[実施例1]
繊維織物(基布)として下記織組織を有するポリエステルスパン平織織布を用いた。
(591dtex×591dtex)/(48本/25.4mm×43本/25.4mm)、質量230g/m
2、空隙率0%
このスパン基布を下記[配合1]の軟質塩化ビニル樹脂ペーストゾル浴中に浸漬し、スパン基布にペースト塩化ビニル樹脂組成物を含浸させ、これを引き上げると同時に1対のゴムロールで圧搾した後、180℃の熱風乾燥炉内で2分間熱処理を行い、ペースト塩化ビニル樹脂組成物をゲル化させてスパン基布の両面に熱可塑性樹脂層を形成し防水帆布を得た。この熱可塑性樹脂層の質量は300g/m
2であった。
[配合1]:軟質ポリ塩化ビニル樹脂ペーストゾル組成
ポリ塩化ビニル樹脂(重合度1700) 100質量部
DOP(可塑剤) 65質量部
エポキシ化大豆油 3質量部
Ba−Zn系複合安定剤 2質量部
炭酸カルシウム(充填材) 15質量部
三酸化アンチモン(難燃剤) 10質量部
ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤 0.3質量部
酸化チタン(着色剤) 5質量部
2-(4-チアゾリル)-ベンズイミダゾール(防黴剤)を担持するシクロデキストリン
2質量部
ピレスロイド系化合物を担持するシクロデキストリン−シリカ複合粒子 5質量部
<ピレスロイド系化合物を担持するシクロデキストリン−シリカ複合粒子の調製>
1)水1000質量部にβ−シクロデキストリン10質量部を溶解し、この水溶液にペルメトリン2.5質量部/メタノール100質量部からなる溶液を加え24時間攪拌し、ペルメトリン包接シクロデキストリン化合物を得た。(シクロデキストリン:ピレスロイド系化合物=4:1)
【化1】
ペルメトリン
2)上記のペルメトリン包接シクロデキストリン化合物を含む水溶液中に、親水性シリカ粒子(BET比表面積:200m
2/g、平均凝集粒子径1.5〜2.5μm)10質量部と、結合剤としてシランカップリング剤(β−(3,4エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン)1質量部、ヘキサメチレンジイソシアネート1質量部、光触媒物質として酸化タングステン(WO
3)ナノ粒子1質量部を加え24時間攪拌し、ピレスロイド系化合物を担持するシクロデキストリン−シリカ複合粒子を含む分散液を得た。この分散液よりピレスロイド系化合物を担持するシクロデキストリン−シリカ複合粒子を乾燥単離した。
〈防黴剤を担持するシクロデキストリンの調製〉
水1000質量部にβ−シクロデキストリン10質量部を溶解し、この水溶液に2−(4−チアゾリル)−ベンズイミダゾール2.5質量部/ジメチルホルムアミド100質量部からなる溶液を加え24時間攪拌し、2−(4−チアゾリル)−ベンズイミダゾール包接シクロデキストリン化合物を得た。
【0035】
[実施例2]
実施例1で用いたポリエステルスパン平織織布を次のポリエステルフィラメント平織織布に基布変更した以外は実施例1と同様に加工した。(配合1)
(277dtex×277dtex)/(12本/25.4mm×13本/25.4mm)、質量65g/m
2、空隙率34%
こうして空隙率34%のポリエステルフィラメント平織織布の両面に熱可塑性樹脂層を形成し空隙率32%のメッシュシートを得た。この熱可塑性樹脂層の質量は82g/m
2であった。
【0036】
[実施例3]
実施例1で用いたポリエステルスパン平織織布を次のポリエステルフィラメント平織織布に基布変更し、下記[配合2]より得た厚さ0.15mm、質量200g/m
2の軟質塩化ビニル樹脂フィルムを積層した。
(1111dtex×1111dtex)/(17本/25.4mm×18本/25.4mm)、質量150g/m
2、空隙率12%
[配合2]:軟質ポリ塩化ビニル樹脂フィルム組成
ポリ塩化ビニル樹脂(重合度1300) 100質量部
DOP(可塑剤) 55質量部
エポキシ化大豆油 3質量部
Ba−Zn系複合安定剤 2質量部
炭酸カルシウム(充填材) 15質量部
三酸化アンチモン(難燃剤) 10質量部
ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤 0.3質量部
酸化チタン(着色剤) 5質量部
2-(4−チアゾリル)-ベンズイミダゾール(防黴剤)を担持するシクロデキストリン
2質量部
ピレスロイド系化合物を担持するシクロデキストリン−シリカ複合粒子 5質量部
※ピレスロイド系化合物を担持するシクロデキストリン−シリカ複合粒子は実施例1と同じものを使用
この[配合2]の組成物を170℃の熱ロール対で溶融混練し、厚さ0.15mmのカレンダーフィルムを製造し、これをポリエステルフィラメント平織織布の両面に170℃で熱ラミネートして熱可塑性樹脂層を形成して質量550g/m
2のターポリンを得た。
【0037】
[実施例4]
実施例1の熱可塑性樹脂層を下記2層構造とし、実施例1のスパン基布を下記[配合3]の軟質塩化ビニル樹脂ペーストゾル浴中に浸漬し、スパン基布にペースト塩化ビニル樹脂組成物を含浸させ、これを引き上げると同時に1対のゴムロールで圧搾した後、180℃の熱風乾燥炉内で2分間熱処理を行い、ペースト塩化ビニル樹脂組成物をゲル化させた。この[配合3]による熱可塑性樹脂層1(両面併せて質量300g/m
2)をベース層として、この上にアクリル樹脂層(熱可塑性樹脂層2)を設けた。このアクリル樹脂層は下記[配合4]のアクリル樹脂塗料を80メッシュのグラビアロールで転写塗工したもので付着固形分量は片面当たり7g/m
2である。このようにして質量544g/m
2の防水帆布を得た。
[配合3]:軟質ポリ塩化ビニル樹脂ペーストゾル組成(熱可塑性樹脂層1)
ポリ塩化ビニル樹脂(重合度1700) 100質量部
DOP(可塑剤) 65質量部
エポキシ化大豆油 3質量部
Ba−Zn系複合安定剤 2質量部
炭酸カルシウム(充填材) 15質量部
三酸化アンチモン(難燃剤) 10質量部
ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤 0.3質量部
酸化チタン(着色剤) 5質量部
2-(4−チアゾリル)-ベンズイミダゾール(防黴剤)を担持するシクロデキストリン
2質量部
[配合4]:アクリル樹脂組成(熱可塑性樹脂層2)
アクリル樹脂 100質量部
ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤 0.2質量部
ピレスロイド系化合物を担持するシクロデキストリン−シリカ複合粒子 10質量部
※ピレスロイド系化合物を担持するシクロデキストリン−シリカ複合粒子は実施例1と同じものを使用
【0038】
[実施例5]
実施例2の熱可塑性樹脂層を2層構造とし、実施例2のポリエステルフィラメント平織基布を[配合3]の軟質塩化ビニル樹脂ペーストゾル浴中に浸漬し、基布にペースト塩化ビニル樹脂組成物を含浸させ、これを引き上げると同時に1対のゴムロールで圧搾した後、180℃の熱風乾燥炉内で2分間熱処理を行い、ペースト塩化ビニル樹脂組成物をゲル化させた。この[配合3]による熱可塑性樹脂層1(両面併せて質量82g/m
2)をベース層として、この上にアクリル樹脂層(熱可塑性樹脂層2)を設けた。このアクリル樹脂層は[配合4]のアクリル樹脂塗料を80メッシュのグラビアロールで転写塗工したもので片面当たりの付着固形分量は3g/m
2である。このようにして空隙率32%、質量150g/m
2のメッシュシートを得た。
【0039】
[実施例6]
実施例3の熱可塑性樹脂層を2層構造とし、下記[配合5]より得た厚さ0.15mm、質量200g/m
2の軟質塩化ビニル樹脂フィルムを実施例3の基布の両面に積層した。この[配合5]による熱可塑性樹脂層1(両面併せて質量400g/m
2)をベース層として、この上にアクリル樹脂層(熱可塑性樹脂層2)を設けた。このアクリル樹脂層は[配合4]のアクリル樹脂塗料を80メッシュのグラビアロールで転写塗工したもので片面当たりの付着固形分量は7g/m
2である。このようにして質量564g/m
2のターポリンを得た。
[配合5]:軟質ポリ塩化ビニル樹脂フィルム組成
ポリ塩化ビニル樹脂(重合度1300) 100質量部
DOP(可塑剤) 55質量部
エポキシ化大豆油 3質量部
Ba−Zn系複合安定剤 2質量部
炭酸カルシウム(充填材) 15質量部
三酸化アンチモン(難燃剤) 10質量部
ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤 0.3質量部
酸化チタン(着色剤) 5質量部
2-(4−チアゾリル)-ベンズイミダゾール(防黴剤)を担持するシクロデキストリン
2質量部
【0040】
[実施例7]
実施例2の熱可塑性樹脂層に使用した[配合1]の「ピレスロイド系化合物を担持するシクロデキストリン−シリカ複合粒子」を変更した以外は実施例2と同様にして空隙率32%のメッシュシートを得た。この熱可塑性樹脂層の質量は82g/m
2であった。
<ピレスロイド系化合物を担持するシクロデキストリン−シリカ複合粒子の調製>
1)水1000質量部にβ−シクロデキストリン10質量部を溶解し、この水溶液にフラメトリン2.5質量部/メタノール100質量部からなる溶液を加え24時間攪拌し、フラメトリン包接シクロデキストリン化合物を得た。(シクロデキストリン:ピレスロイド系化合物=4:1)
【化2】
フラメトリン
2)上記のフラメトリン包接シクロデキストリン化合物を含む水溶液中に、親水性シリカ粒子(BET比表面積:200m
2/g、平均凝集粒子径1.5〜2.5μm)10質量部と、結合剤としてシランカップリング剤(β−(3,4エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン)1質量部、ヘキサメチレンジイソシアネート1質量部、光触媒物質として酸化タングステン(WO
3)ナノ粒子1質量部を加え24時間攪拌し、ピレスロイド系化合物を担持するシクロデキストリン−シリカ複合粒子を含む分散液を得た。この分散液よりピレスロイド系化合物を担持するシクロデキストリン−シリカ複合粒子を乾燥単離した。
【0041】
[実施例8]
実施例2の熱可塑性樹脂層に使用した[配合1]の「ピレスロイド系化合物を担持するシクロデキストリン−シリカ複合粒子」を変更した以外は実施例2と同様にして空隙率32%のメッシュシートを得た。この熱可塑性樹脂層の質量は82g/m
2であった。
<ピレスロイド系化合物を担持するシクロデキストリン−シリカ複合粒子の調製>
1)水1000質量部にβ−シクロデキストリン10質量部を溶解し、この水溶液にレスメトリン2.5質量部/メタノール100質量部からなる溶液を加え24時間攪拌し、レスメトリン包接シクロデキストリン化合物を得た。(シクロデキストリン:ピレスロイド系化合物=4:1)
【化3】
レスメトリン
2)上記のレスメトリン包接シクロデキストリン化合物を含む水溶液中に、親水性シリカ粒子(BET比表面積:200m
2/g、平均凝集粒子径1.5〜2.5μm)10質量部と、結合剤としてシランカップリング剤(β−(3,4エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン)1質量部、ヘキサメチレンジイソシアネート1質量部、光触媒物質として酸化タングステン(WO
3)ナノ粒子1質量部を加え24時間攪拌し、ピレスロイド系化合物を担持するシクロデキストリン−シリカ複合粒子を含む分散液を得た。この分散液よりピレスロイド系化合物を担持するシクロデキストリン−シリカ複合粒子を乾燥単離した。
【0042】
[実施例9]
実施例2の熱可塑性樹脂層に使用した[配合1]の「ピレスロイド系化合物を担持するシクロデキストリン−シリカ複合粒子」を変更した以外は実施例2と同様にして空隙率32%のメッシュシートを得た。この熱可塑性樹脂層の質量は82g/m
2であった。
<ピレスロイド系化合物を担持するシクロデキストリン−シリカ複合粒子の調製>
1)水1000質量部にβ−シクロデキストリン10質量部を溶解し、この水溶液に親水性シリカ粒子(BET比表面積:200m
2/g、平均凝集粒子径1.5〜2.5μm)10質量部と、結合剤としてシランカップリング剤(β−(3,4エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン)1質量部、ヘキサメチレンジイソシアネート1質量部、光触媒物質として酸化タングステン(WO
3)ナノ粒子1質量部を加え24時間攪拌しシクロデキストリン−シリカ複合粒子を含む分散液を得た。
2)上記のシクロデキストリン−シリカ複合粒子を含む水溶液中に、ペルメトリン2.5質量部/メタノール100質量部からなる溶液を加え24時間攪拌し、ペルメトリンを包接するシクロデキストリン−シリカ複合粒子を得た。(シクロデキストリン:ピレスロイド系化合物=4:1)このようにして得られたシクロデキストリン−シリカ複合粒子はシクロデキストリンがペルメトリンを包接し、さらにシリカ粒子の多孔質部にもペルメトリンを吸着して担持するもので、実施例2で用いたピレスロイド系化合物を担持するシクロデキストリン−シリカ複合粒子よりもピレスロイド系化合物量の多いもので、さらに除放性の発現効果及び持続効果の異なるものであった。この分散液よりピレスロイド系化合物を担持するシクロデキストリン−シリカ複合粒子を乾燥単離した。
【0043】
[実施例10]
実施例7のピレスロイド系化合物を担持するシクロデキストリン−シリカ複合粒子の調製を実施例9の工程と同様にして行った。このようにして得られたシクロデキストリン−シリカ複合粒子はシクロデキストリンがフラメトリンを包接し、さらにシリカ粒子の多孔質部にもフラメトリンを吸着して担持するもので、実施例2で用いたピレスロイド系化合物を担持するシクロデキストリン−シリカ複合粒子よりもピレスロイド系化合物量の多いもので、さらに除放性の発現効果及び持続効果の異なるものであった。
【0044】
[実施例11]
実施例8のピレスロイド系化合物を担持するシクロデキストリン−シリカ複合粒子の調製を実施例9の工程と同様にして行った。このようにして得られたシクロデキストリン−シリカ複合粒子はシクロデキストリンがレスメトリンを包接し、さらにシリカ粒子の多孔質部にもレスメトリンを吸着して担持するもので、実施例2で用いたピレスロイド系化合物を担持するシクロデキストリン−シリカ複合粒子よりもピレスロイド系化合物量の多いもので、さらに除放性の発現効果及び持続効果の異なるものであった。
【0045】
[実施例12]
実施例2の熱可塑性樹脂層に使用した[配合1]を[配合6]に変更した以外は実施例2と同様にして空隙率32%のメッシュシートを得た。この熱可塑性樹脂層の質量は73g/m
2であった。
[配合6]:ポリウレタン樹脂組成物
ポリウレタン樹脂(固形分40wt%のエマルジョン) 100質量部
ポリリン酸アンモニウム(難燃剤) 7質量部
メラミンシアヌレート(難燃剤) 7質量部
ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤 0.3質量部
酸化チタン(着色剤) 2.5質量部
2-(4-チアゾリル)-ベンズイミダゾール(防黴剤)を担持するシクロデキストリン
2質量部
ピレスロイド系化合物を担持するシクロデキストリン−シリカ複合粒子 4質量部
※ピレスロイド系化合物を担持するシクロデキストリン−シリカ複合粒子は[配合1]
に使用のもの
【0046】
[実施例13]
実施例3の熱可塑性樹脂層に使用した[配合2]を[配合7]に変更した以外は実施例3と同様にしてターポリンを得た。この熱可塑性樹脂層の質量は片面当たり165g/m
2であった。
[配合7]:低密度ポリエチレン樹脂フィルム組成
低密度ポリエチレン樹脂 100質量部
水酸化アルミニウム(難燃剤) 10質量部
臭素置換化合物(難燃剤) 10質量部
ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤 0.3質量部
酸化チタン(着色剤) 5質量部
2-(4-チアゾリル)-ベンズイミダゾール(防黴剤)を担持するシクロデキストリン
2質量部
ピレスロイド系化合物を担持するシクロデキストリン−シリカ複合粒子 5質量部
※ピレスロイド系化合物を担持するシクロデキストリン−シリカ複合粒子は実施例1と同じものを使用
【0047】
【表1】
【0048】
【表2】
【0049】
実施例1〜13で得た産業資材シート(防水帆布:実施例1、4、ターポリン:実施例3、6、13、メッシュシート:実施例2、5、7〜12)は何れもユスリカの防除効果を有するもので、その6ヶ月後の防除効果(屋内外)にも優れていた。この効果は本発明において用いる「ピレスロイド系化合物を担持するシクロデキストリン−シリカ複合粒子」によるもので、ユスリカなどの飛翔性害虫の防除効果に有効であるピレスロイド系化合物をシクロデキストリンが包接することで、シクロデキストリンから長期間安定して除放される効果、及びそのシクロデキストリンがシリカ粒子と複合化されることでピレスロイド系化合物包接シクロデキストリンがさらに長期間安定化されることによる相乗効果である。このような飛翔性害虫の防除効果の長期安定効果の実体は、実施例1〜13の産業資材シートの全てにおいて、その表面に「シクロデキストリン−シリカ複合粒子」が多数露出していることにあることを500倍率の光学顕微鏡で確認した。また特に「ピレスロイド系化合物を担持するシクロデキストリン−シリカ複合粒子」は、実施例9〜11で使用した、シクロデキストリンがピレスロイド系化合物を包接し、さらにシリカ粒子の多孔質部にもピレスロイド系化合物を吸着して担持することで、他の実施例で用いたピレスロイド系化合物を担持するシクロデキストリン−シリカ複合粒子よりもピレスロイド系化合物量が多く、さらに除放性の発現効果及び持続効果が複雑となることで、より一段と長期間安定した防除効果が得られることが明らかとなった。またシクロデキストリン−シリカ複合粒子が、さらに光触媒物質を担持することで、光触媒物質の励起作用によってシクロデキストリンが包接するピレスロイド系化合物を安定的に放出させる効果を認めた。そしてさらに熱可塑性樹脂層にシクロデキストリンに包接された防黴剤を含むことによってシクロデキストリンに寄生しようとする黴菌を長期間防除することを可能とし、得られるターポリン、帆布、メッシュシートなどの産業資材シートに黴が生えることを抑止する効果を認めた。
【0050】
[比較例1]
実施例1の防水帆布の熱可塑性樹脂層から「ペルメトリンを担持するシクロデキストリン−シリカ複合粒子5質量部」を省略し、新たにペルメトリン0.5質量部を配合した以外は実施例1と同様として防水帆布を得た。※ペルメトリンの配合量を同一に設定
【0051】
[比較例2]
実施例2のメッシュシートの熱可塑性樹脂層から「ペルメトリンを担持するシクロデキストリン−シリカ複合粒子5質量部」を省略し、新たにペルメトリン0.5質量部を配合した以外は実施例2と同様としてメッシュシートを得た。※ペルメトリンの配合量を同一に設定
【0052】
[比較例3]
実施例1の防水帆布の熱可塑性樹脂層から「ペルメトリンを担持するシクロデキストリン−シリカ複合粒子5質量部」を省略し、「ペルメトリンを担持するシクロデキストリン」2質量部を新たに配合した以外は実施例1と同様として防水帆布を得た。※ペルメトリンの配合量を同一に設定
【0053】
[比較例4]
実施例2のメッシュシートの熱可塑性樹脂層から「ペルメトリンを担持するシクロデキストリン−シリカ複合粒子5質量部」を省略し、「ペルメトリンを担持するシクロデキストリン」2質量部を新たに配合した以外は実施例2と同様としてメッシュシートを得た。※ペルメトリンの配合量を同一に設定
【0054】
[比較例5]
実施例1の防水帆布の熱可塑性樹脂層から「ペルメトリンを担持するシクロデキストリン−シリカ複合粒子5質量部」を省略し、「ペルメトリンを担持するシリカ粒子」3質量部を新たに配合した以外は実施例1と同様として防水帆布を得た。※ペルメトリンの配合量を同一に設定
【0055】
[比較例6]
実施例2のメッシュシートの熱可塑性樹脂層から「ペルメトリンを担持するシクロデキストリン−シリカ複合粒子5質量部」を省略し、「ペルメトリンを担持するシリカ粒子」3質量部を新たに配合した以外は実施例2と同様としてメッシュシートを得た。※ペルメトリンの配合量を同一に設定
【0056】
【表3】
【0057】
比較例1の防水帆布と比較例2のメッシュシートは製造直後ではユスリカの防除効果を有しKT50値に優れていたが、屋内外に晒した6ヶ月後にはその効果が消失していた。またペルメトリンを直接配合に使用したことで、防水帆布やメッシュシートの製造時に掛けられる加工熱180℃の高温に晒されることで有効成分が揮散し、特異的な臭気を発散するものであった。比較例3、5の防水帆布と比較例4、6のメッシュシートは屋内に晒した6ヶ月後にもその効果を持続していたが、屋外に晒した6ヶ月後にはその効果を消失していた。