(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6119056
(24)【登録日】2017年4月7日
(45)【発行日】2017年4月26日
(54)【発明の名称】身体器官内の組織の存在場所を突き止め、治療手段を送出すると同時に送出された治療手段を評価するカテーテル構造体及び方法
(51)【国際特許分類】
A61B 5/0488 20060101AFI20170417BHJP
A61B 18/12 20060101ALI20170417BHJP
A61B 1/00 20060101ALI20170417BHJP
A61B 5/0408 20060101ALI20170417BHJP
A61B 5/0478 20060101ALI20170417BHJP
A61B 5/0492 20060101ALI20170417BHJP
【FI】
A61B5/04 330
A61B18/12
A61B1/00 334D
A61B5/04 300J
【請求項の数】14
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-559912(P2014-559912)
(86)(22)【出願日】2013年2月14日
(65)【公表番号】特表2015-516179(P2015-516179A)
(43)【公表日】2015年6月11日
(86)【国際出願番号】US2013026008
(87)【国際公開番号】WO2013130270
(87)【国際公開日】20130906
【審査請求日】2015年11月20日
(31)【優先権主張番号】13/409,138
(32)【優先日】2012年3月1日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】514215778
【氏名又は名称】ノア マーク ディー
(74)【代理人】
【識別番号】100092093
【弁理士】
【氏名又は名称】辻居 幸一
(74)【代理人】
【識別番号】100082005
【弁理士】
【氏名又は名称】熊倉 禎男
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100103609
【弁理士】
【氏名又は名称】井野 砂里
(74)【代理人】
【識別番号】100095898
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 満
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100159846
【弁理士】
【氏名又は名称】藤木 尚
(72)【発明者】
【氏名】ノア マーク ディー
【審査官】
湯本 照基
(56)【参考文献】
【文献】
特表2003−510160(JP,A)
【文献】
米国特許第6795725(US,B2)
【文献】
米国特許出願公開第2006/0015162(US,A1)
【文献】
国際公開第2011/021948(WO,A1)
【文献】
特開2009−51905(JP,A)
【文献】
国際公開第2007/064847(WO,A2)
【文献】
特表2007−531564(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2012/0184863(US,A1)
【文献】
特表2003−524468(JP,A)
【文献】
米国特許第06351665(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/0488
A61B 1/00
A61B 5/0408
A61B 5/0478
A61B 5/0492
A61B 18/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内臓筋電図(EVG)システムと併用されるカテーテル構造体であって、前記カテーテル構造体は、
遠位端部及び近位端部を備えた細長い管構造体と、
前記管構造体の前記遠位端部と連携し且つ腹内器官の内部の筋電活動に関連した電気信号を得て前記器官内の主要な電気発生経路を含む標的組織の存在場所を突き止めるよう構成されると共に配置された3つの電極と、
前記管構造体の前記遠位端部と連携すると共に前記3つの電極とは別体であって異なっていて接続されていない治療手段送出構造体であって、当該治療手段送出構造体は、前記3つの電極が前記標的組織のところで前記電気信号を得ると同時に前記標的組織の生理学的機能に影響を及ぼすような治療手段を提供するよう構成されると共に配置されており、
当該カテーテル構造体は、前記EVGシステムと組み合わされており、
前記EVGシステムは、前記治療手段送出構造体が前記標的組織の生理学的機能に影響を及ぼすことによる、前記3つの電極によって得られる前記標的組織の前記電気信号の変化を同時にモニタすることによって、前記標的組織の前記治療手段の有効性をモニタするように構成されると共に配置されている、カテーテル構造体。
【請求項2】
前記治療手段送出構造体は、前記標的組織を切除するよう構成されると共に配置される、請求項1記載のカテーテル構造体。
【請求項3】
前記治療手段送出構造体は、組織を切断し又は除去するよう構成されると共に配置される、請求項1記載のカテーテル構造体。
【請求項4】
前記カテーテル構造体は、前記標的組織を切除するエネルギー源と組み合わせて用いられ、前記エネルギー源は、高周波エネルギー、マイクロ波エネルギー、超音波エネルギー、極低温エネルギー、レーザエネルギー、熱エネルギー、化学エネルギー若しくは化学作用剤、単極エネルギー又は多極エネルギーである、請求項3記載のカテーテル構造体。
【請求項5】
前記治療手段送出構造体は、前記標的組織を電気的に又は化学的に刺激するよう構成されると共に配置される、請求項1記載のカテーテル構造体。
【請求項6】
前記治療手段送出構造体は、電極を含む、請求項5記載のカテーテル構造体。
【請求項7】
前記治療手段送出構造体は、前記標的組織中に植え込まれて留置されるよう構成されると共に配置されるインプラントを含む、請求項5記載のカテーテル構造体。
【請求項8】
前記治療手段送出構造体は、前記標的組織をマーキングするよう構成されると共に配置される、請求項1記載のカテーテル構造体。
【請求項9】
前記治療手段送出構造体は、前記標的組織をマーキングするインキを送り出すよう構成されると共に配置される針である、請求項8記載のカテーテル構造体。
【請求項10】
前記標的組織中のホルモン濃度又は細胞特異性化学物質を検出するよう構成されると共に配置されるセンサを更に有する、請求項1記載のカテーテル構造体。
【請求項11】
前記3つの電極は、前記管構造体内の第1の共通ルーメン内に設けられ、前記治療手段送出構造体は、前記管構造体内の前記第1のルーメンとは別の第2のルーメン内に設けられる、請求項1記載のカテーテル構造体。
【請求項12】
前記3つの電極の各々は、前記管構造体の前記遠位端部から異なる方向に延びるよう構成されると共に配置されている、請求項1記載のカテーテル構造体。
【請求項13】
前記カテーテル構造体は、内視鏡と組み合わせて用いられ、前記管構造体の少なくとも一部分は、前記内視鏡内に受け入れられる、請求項1記載のカテーテル構造体。
【請求項14】
前記カテーテル構造体は、前記器官の前記筋電活動が前記電極によってモニタされている間に患者の呼吸をモニタする別個の呼吸センサを更に備えており、
前記呼吸センサの信号及び前記電極の信号は、前記治療手段の有効性をモニタするために前記EVGシステムによって受信される、請求項1記載のカテーテル構造体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内視鏡カテーテル、特に身体の器官内の主要な電気発生経路の存在場所を突き止めて治療手段を突き止められた経路に送出すると共に送出された治療手段を評価するカテーテル構造体及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
胃の筋電活動は、徐波又はペースセッター電位及び活動電位の活動を含む。原因不明の消化不良症状又は原因不明の嘔気(吐き気)及び嘔吐のある患者に関し、消化性潰瘍疾患、逆流疾患又は胆の異常の所見がない場合、これら症状についての明らかな原因がない場合が多い。胃の律動異常は、これら患者における頻繁な病態生理学的所見である。胃律動異常は、ブラディーガストリア(bradygastria)(1.0〜2.5cpm)及びタッキーガストリア(tachygastria)(3.7〜10.0cpm)と呼ばれる。これら胃律動異常は、消化不良症状が存在する多くの互いに異なる患者群で認められている。
【0003】
米国特許第6,795,725(B2)号明細書は、人間の器官又は臓器の筋電活動を記録するために内視鏡により直視下で人間の器官又は臓器、例えば胃の中に配置可能なカテーテル構造体を開示している。これら記録は、基線のところ及び種々の食べ物又は薬剤に応答した他の活動において正常な3‐cpm活動の存在を示している。カテーテル構造体は、胃の筋電活動の源の存在場所を突き止めるうえで効果的であるが、カテーテル構造体は、筋電活動源のところに治療を施し又は治療手段を提供するうえで制約がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第6,795,725(B2)号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、人間の器官内の主要な電気発生経路の存在場所を突き止めることができるだけでなくそれと同時に種々の治療手段を送出して突き止められた経路を有する組織のところでの治療手段の有効性を評価することができるカテーテル構造体を提供することが要望されている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一目的は、上述の要望を満たすことにある。本発明の原理に従って、この目的は、内臓筋電図(EVG)システムと併用されるカテーテル構造体を提供することによって達成される。カテーテル構造体は、遠位端部及び近位端部を備えた細長い管構造体を有する。3つの電極が管構造体の遠位端部と連携し且つ腹内器官の内部の筋電活動に関連した信号を得て器官内の主要な電気発生経路を含む標的組織の存在場所を突き止めるよう構成されると共に配置されている。管構造体の遠位端部と連携すると共に電極とは別体である治療手段送出構造体が、電極が標的組織のところに信号を得ると同時に標的組織のところに治療手段を提供し、その結果、治療手段の有効性をモニタすることができるようにするよう構成されると共に配置される。
【0007】
本発明の別の観点によれば、患者の腹内身体器官に治療手段を提供する方法が提供される。この方法は、電極及び電極とは別体の治療手段送出構造体を有するカテーテル構造体を用意するステップを有する。カテーテル構造体を器官の内腔中に内視鏡下で挿入する。電極を用いて器官の基線内臓筋電図(EVG)律動を求める。器官の筋電活動に関連した信号を電極により得て期間中の主要な電気発生経路を含む標的組織の存在場所を突き止める。電極が標的組織のところに信号を得ると同時に治療手段送出構造体により治療手段を標的組織のところに提供する。信号を評価して提供された治療手段の有効性を判定する。提供された治療手段の結果を基線EVG律動と比較する。
【0008】
本発明の他の目的、他の特徴及び他の特性並びにカテーテル構造体の関連要素の機能、部品の組み合わせ及び製造の経済性は、全てが本明細書の一部をなす添付の図面を参照して以下の詳細な説明及び添付の特許請求の範囲の記載を検討すると明らかになろう。
【0009】
本発明の内容は、添付の図面と関連して本発明の好ましい実施形態の以下の詳細な説明を読むと良好に理解されよう。なお、図中、同一の参照符号は、同一の部分を示している。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の原理に従って提供されたカテーテル構造体の斜視図であり、カテーテル構造体がカテーテル構造体の電極及び治療手段送出構造体が胃の標的組織に係合した状態で胃の中に挿入されているものとして示された図である。
【
図2】
図1のカテーテル構造体の拡大遠位側端面図である。
【
図3】電極及び治療手段送出構造体用の別々のルーメンを有する第2の実施形態としてのカテーテル構造体の拡大遠位側端面図である。
【
図4】第3の実施形態としてのカテーテル構造体の拡大遠位側端面図であり、治療手段送出構造体としてインプラントを示す図である。
【
図5】針の形態をした治療手段送出構造体の別の実施形態の部分図である。
【
図6】第4の実施形態として提供されたカテーテル構造体の遠位端部の拡大側面図である。
【
図7】カテーテル構造体を用いて、切除されるべき組織の最適存在場所を突き止めると同時に切除の効果を評価するようモニタするステップを示す流れ図である。
【
図8】カテーテル構造体を用いて、刺激されるべき組織の最適存在場所を突き止めると同時に刺激の効果を評価するようモニタするステップを示す流れ図である。
【
図9】カテーテル構造体を用いて治療されるべき組織の最適存在場所を突き止めてこの組織をマーキングし、それと同時にマーキングの効果を評価するようモニタするステップを示す流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1を参照すると、本発明に従って提供されたカテーテル構造体が全体を参照符号10で示されていて、内視鏡12を介して人間の器官、例えば胃14内に挿入された状態で示されている。カテーテル構造体10は遠位端部18及び近位端部20を備えた細長い管構造体16を有する。3つの電極22が、好ましくは管構造体16の遠位端部18に対して実質的に引っ込められた位置から遠位端部18から直接延びる作業位置に動かされるよう管構造体16の遠位端部18と連係する。信号線24が電極から信号を得るために各電極22と連係しており、これについては以下により詳細に説明する。信号線24は、管構造体16内でその近位端部20まで延びている。カテーテル構造体10の端面図が
図2に示されている。
【0012】
電極22とは別体の治療手段送出構造体25も又、カテーテル構造体10の管構造体16内に設けられている。
図1及び
図2の実施形態では、治療手段送出構造体25は、電極22と一緒に管構造体16内の全体として中央に設けられている。しかしながら、治療手段送出構造体26は、電極22に対して任意の向きに設けられても良く、かくして、中央に配置される必要はない。変形例として、
図3を参照すると、第1のルーメン27がカテーテル10′の管構造体16′内で、電極22の全てを収容しても良く、しかも第2の別個のルーメン28が治療手段送出構造体25を収容しても良い。
【0013】
人間の器官14の生理学的機能にマイナスの影響を及ぼすことを目的として、例えば器官の正常な生理学的機能に対してマイナスの作用効果を生じさせることによって治療上の影響を及ぼすことを目的として、治療手段送出構造体25は、人間の器官14の標的組織31にエネルギーを送出するためのエネルギー源30に連結された器具である。特に、治療手段送出構造体25は、1)高周波エネルギーを送出して器官の組織を切除する高周波切除(アブレーション)器具、例えば針29、2)マイクロ波エネルギーを送出して器官の組織を切除するマイクロ波切除器具、3)超音波エネルギーを送出して器官の組織を切除する超音波切除器具、4)極低温エネルギーを送出して器官の組織を凍結させて死滅させる極低温切除器具、5)レーザエネルギーを送出して器官の組織を切除するレーザ切除器具であるのが良く、これらの器具は全て、米国特許出願公開第2005/0240239(A1)号明細書に開示されており、この米国特許出願公開を参照により引用し、その記載内容を本明細書の一部とする。理解できるように、治療手段送出構造体25は、上述の手段の他に、化学エネルギー若しくは化学作用剤、熱エネルギー、機械的な源、単極、多極又はインピーダンス制御高周波電気エネルギー又は他のエネルギー源を用いることによって人間の器官の組織を変えることができる任意の器具であって良い。本明細書で用いられる「切除」という用語は、組織14の生理学的機能に治療上マイナスの影響を及ぼすために組織を変える、例えば、切断し、破壊し、燃やし、死滅させる等の任意の手段を含むことができる。
【0014】
人間の器官14の生理学的機能にマイナスの影響を及ぼすのではなく、プラスの影響を提供したいと考える場合がある。これらの状況において、組織を切除するのではなく、組織は、電気的又は化学的に刺激され、或いは、組織は、後で行う治療のためにマーキングされる。例えば、組織を電気的に刺激するために、エネルギー源30は、好ましくは、電気エネルギーであり、治療手段送出構造体25は、好ましくは、人間の器官14の標的組織に係合してこれに電気的刺激を与える電極33(
図6)を有する。変形例として、より永続的な手段のため、
図4を参照すると、治療手段送出構造体25′は、管構造体16″内に設けられるインプラント32として電気刺激器具を有しても良い。インプラント32は、その端部のところに棘34を有するのが良く、このインプラントをカテーテル10′により送って以下に詳細に説明するように人間の器官14の標的組織31内に植え込んで留置するのが良い。インプラント32を治療手段送出構造体25′のプランジャ(図示せず)によって送ることができる。電気刺激を提供する代わりに、インプラント32は、合成物質、細胞、組織/生体工学組織及び/又は化学物質を提供することができる。
【0015】
標的組織31をマーキングするため、
図5に示されているように、治療手段送出構造体25″は、例えば墨汁35を送り出す針を含んでも良く、或いは標的組織31又は近くの組織を部分的に加熱して穏やかに焼くことができる器具であっても良い。
図5の実施形態は、治療手段送出構造体25のための別個のルーメン28を示しているので、墨汁35のための針をルーメン28内に設けて組織をマーキングすることができる。しかる後、針をルーメン28から取り出して次に別の治療手段送出構造体、例えば電極33又は切除器具をルーメン28中に挿入してマーキングされた組織に対して処置又は治療手段を提供することができる。
【0016】
人間の器官14中に挿入されているとき、電極22及び治療手段送出構造体25は、挿入位置にある。具体的に説明すると、電極22及び治療手段送出構造体25は、引っ込められて管構造体16の遠位端部18の近くに配置される。図示の実施形態では、電極22は、腹腔内の胃(又は他の中腔器官)14からの筋電活動を記録するために胃体38及び/又は胃室40の内腔36中に送り込まれる。
【0017】
電極22及び治療手段送出構造体25は、標準型内視鏡12の生検チャネルに通されている管構造体16を経て送られる。図示の実施形態では、3つの電極22が設けられ、1つの電極は、正の信号のためのものであり、もう1つは負の信号のためのものであり、残りの1つは、アースのためのものである。各電極22は、記録電極であり、好ましくは、米国特許第6,795,725(B2)号明細書に開示されている形式のものであり、この米国特許を参照により引用し、その開示内容を本明細書の一部とする。
【0018】
一実施形態では、電極22及び治療手段送出構造体25を引っ込み位置と伸長位置との間で動かすため、作動構造体42,44が設けられている。この実施形態では、作動構造体は、例えば、電極22と作動的に関連していて管構造体16の近位端部のところで別個に又は一斉に手動で動くことができる1本又は2本以上のワイヤ42であるのが良い。例えば、
図1は、ワイヤ42に結合された単一のプランジャ44を示している。プランジャ44を動かすと、電極22が一斉に伸長したり引っ込んだりする。変形例として、標的組織31がどこにあるかを調べるために電極22を引っ込めたり再位置決めしたりするのではなく、
図6を参照すると、カテーテル10′″は、管構造体16内に複数のルーメン46を有しても良い。各ルーメン46は、別個の電極22を収容し、各電極22を別々に互いに異なる方法に差し向けて診断上の追跡場所を拡張することができると共に多処置及び検出部位の実現を可能にする。
図6の実施形態では、電極は、人間の器官14に対するカテーテル10″の挿入及び人間の器官14からのカテーテル10″の抜去を容易にするよう引っ込み可能であるのが良い。
【0019】
図1を参照すると、管構造体16が内視鏡を経て器官14内に配置されると、電極22を伸長させてこれを粘膜内層48に当て又はこれら電極が粘膜を好ましくは2〜4mmの深さまで穿刺する。伸長位置では、電極は、約1〜10mmの間隔を置いて配置されると共に実質的に共通の曲面上に配置される。このように、カハール及び/又は平滑筋及び/又は腸壁ニューロンの間質細胞からの胃筋電活動が3つの電極22から記録される。各電極22の出力は、生の信号である。特に、生の信号は、胃の筋電活動を反映した粘膜内層48から記録される生体電気信号である。電極22の出力は、好ましくは米国特許第7,124,654号明細書に開示された形式の内臓筋電図(EVG)システム50に送られ、この米国特許を参照により引用し、その開示内容を本明細書の一部とする。
【0020】
患者からの呼吸速度も又、患者の胸部上に配置されたセンサ52により検出される。センサ52からの呼吸信号は、患者の呼吸運動及び/又は身体運動により引き起こされるアーチファクトをモニタするためにシステム50によって用いられる。器官14内の各部位のところの電気的記録は、少なくとも2分間続くが、実行可能なほど長く続くのが良い。システム50によって受信される電極22からの信号は、標的組織31の存在場所を突き止めるために人間の器官14内(胃の中、例えばペースメーカー領域)の主要な電気発生経路の存在場所を突き止めるために用いられる。電極22を人間の器官14周りに動かしてこれらの電気発生経路を見つけることが必要な場合がある。システム50からのデータは、米国特許第7,124,654号明細書に開示されているように信号を分析すると共に筋電活動を研究するための解釈のために臨床上妥当な分析を実施するよう医師によって使用されるのが良い。
【0021】
上述したように、電極22は、処置又は治療のために標的組織31の存在場所を突き止めるために用いられる。しかしながら、治療されるべき組織の正確な存在場所を突き止めることができるようにするために、
図3を参照すると、カテーテル10′は、バイオプローブ又はセンサ54を備えるのが良い。センサ54は、治療のために標的組織31内の最も最適なレベルの存在場所を突き止めるようホルモン濃度又は細胞特異性化学物質を検出するよう構成されると共に配置される。
【0022】
図7を参照すると、人間の器官内の標的組織を切除する方法が示されている。ステップ56では、カテーテル構造体10を胃14の中に挿入すると、粘膜内層48と係合した電極22からの信号を用いて基線内臓筋電図(EVG)又はEGG律動をEVGシステム50によって求める。ステップ58では、電極22及びEVGシステム50を用いて治療手段の適用のための最適場所(標的組織31)を突き止める。ステップ60において、治療手段送出構造体25を最適場所に動かす。ステップ62において、治療手段送出構造体25を用いて最適場所に位置する標的組織31を少なくとも部分的に切除し、切除結果を電極22(依然として、最適場所に位置したままである)及びEVGシステム50により同時にモニタする。切除により、人間の器官又は胃14の生理学的機能に対してマイナスの影響が及ぼされる。ステップ64において、治療手技(切除)の効果を電極22及びEVGシステム50により評価する。ステップ66において、治療後結果をEVGシステム50のプロセッサによりステップ56の基線所見と比較する。ステップ68において、適当な結果が達成された場合、この方法を終了させ、もしそうでなければ、この方法は、ステップ58に戻る。
【0023】
図8を参照すると、人間の器官内の標的組織を刺激する方法が示されている。ステップ70では、カテーテル構造体10を胃14の中に挿入すると、粘膜内層48と係合した電極22からの信号を用いて基線内臓筋電図(EVG)又はEGG律動をEVGシステム50によって求める。ステップ72では、電極22及びEVGシステム50を用いて治療手段の適用のための最適場所(標的組織31)を突き止める。ステップ74において、治療手段送出構造体25を最適場所に動かす。ステップ76において、治療手段送出構造体25を用いて最適場所に位置する標的組織31を少なくとも部分的に電気的に刺激し、刺激結果を電極22(依然として、最適場所に位置したままである)及びEVGシステム50により同時にモニタする。ステップ76は、
図5の電極33を用いて組織を刺激するステップを含んでも良く又は
図4のインプラント32を組織内に配置してこの組織を刺激するステップを含んでも良い。電気的刺激により、人間の器官又は胃14の生理学的機能に対してプラスの影響が及ぼされる。ステップ78において、刺激効果を電極22及びEVGシステム50により評価する。ステップ78において、刺激後結果をEVGシステム50のプロセッサによりステップ70の基線所見と比較する。ステップ80において、適当な結果が達成された場合、この方法を終了させ、もしそうでなければ、この方法は、電極33が用いられた場合、ステップ72に戻る。インプラント32を用いた場合、インプラントを組織から取り出し、次に、この方法は、ステップ72に戻ってインプラント32を配置するための良好な場所を突き止める。
【0024】
図9を参照すると、人間の器官内の標的組織をマーキングする方法が示されている。ステップ84では、カテーテル構造体10を胃14の中に挿入すると、粘膜内層48と係合した電極22からの信号を用いて基線内臓筋電図(EVG)又はEGG律動をEVGシステム50によって求める。ステップ86では、電極22及びEVGシステム50を用いて治療手段の適用のための最適場所(標的組織31)を突き止める。ステップ88において、治療手段送出構造体25を最適場所に動かす。ステップ90において、治療手段送出構造体25を用いて最適場所のところ又はその近くに位置する標的組織31を少なくとも部分的にマーキングし、マーキング結果を電極22(依然として、最適場所に位置したままである)及びEVGシステム50により同時にモニタする。ステップ92において、マーキング効果を電極22及びEVGシステム50により評価する。ステップ94において、マーキング後の結果をEVGシステム50のプロセッサによりステップ84の基線所見と比較する。ステップ96において、適当な結果が達成された場合、この方法を終了させ、もしそうでなければ、この方法は、ステップ86に戻る。
【0025】
上述の実施形態のカテーテル構造体に関し、
1.筋電活動の最適な存在場所又は源をEVGシステム50によって突き止めることができる。というのは、電極22は、内視鏡12により直視下で器官の内部に配置されるからである。
2.腹部筋組織、脂肪組織又は皮膚からの干渉なしに筋電活動の頻度及び大きさが直接測定される。
3.正常な電気経路を突き止めるために器官中の電気パターンを写像することができる。
4.種々の疾患又は障害に関する器官中の電気パターンを写像することができ、そしてこれら疾患及び障害における電気的ネットワークに対する損傷の程度を求めることができる。
5.電極22のモニタと同時に治療手段送出構造体25は、最適場所の組織を切除し、刺激し又はマーキングする。
6.電極22及びEVGシステム50は、切除、刺激又はマーキングの評価を可能にする。というのは、電極は、切除手技中、刺激手技中又はマーキング手技中、最適場所で組織内に留まっているからである。
7.胃の電気的活動を変更して食欲を制限し又は食欲を刺激することができる。
8.患者が鎮静されると共に筋電活動が器官の内層のところでモニタされるので、呼吸センサ52を用いることによって呼吸により生じるアーチファクトを考慮に入れることができる。
【0026】
カテーテル構造体は、胃の内部で使用されるものとして図示されているが、理解できるように、カテーテル構造体は、以下の他の器官、例えば十二指腸、空腸、総胆管、直腸、S状結腸、回腸終末部、上行結腸、横行結腸、膀胱、子宮及び卵管内で使用可能に設計される場合、その長さを変化させることによって改造できる。
【0027】
上述の好ましい実施形態を本発明の構造的及び機能的原理を説明する目的で並びに好ましい実施形態を採用する方法を説明する目的で図示すると共に説明したが、かかる好ましい実施形態は、かかる原理から逸脱しないで変更が可能である。したがって、本発明は、添付の特許請求の範囲に記載された本発明の精神の範囲内に含まれる全ての改造例を含む。