(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記処理物がフライアッシュであり、前記受け入れ口の上部に、フライアッシュサイロが内部のフライアッシュを落下投入自在に接続されている請求項1〜5の何れか一項記載の異物分離装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、引用文献1に開示の異物分離装置は、焼却灰を異物と異物が分離された灰とに分離するので、焼却灰を異物と灰とに分けてそれぞれ異物分離装置から送り出すことができるものの、異物が混入した状態の灰を異物分離装置から送り出すことができない。よって、例えば、引用文献1に開示の異物分離装置によって処理された焼却灰を、異物が混入していない灰のみを必要とする用途、及び、灰が混入していない異物のみを必要とする用途に使用することができるが、異物が混入した状態の灰を使用する用途がある場合に、その用途に応じて、焼却灰を処理することができないという問題があった。
【0007】
また、引用文献1に開示の技術では、篩面が水平状態に備えられた篩で、異物が分離されて、その篩上に残留する状態となるので、篩上に残留する異物により篩が短期間で目詰まりを起こしてしまい、長期間連続で処理できないという問題があった。
【0008】
本発明は、かかる点に着目してなされたものであり、その目的は、処理物の処理を長期間連続して行うことが可能であり、処理された処理物の異物の混入状態を、その用途に応じて変更することができる異物分離装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この目的を達成するための本発明に係る異物分離装置は、
灰と当該灰より大きな粒径の異物とからなる処理物を受け入れる受け入れ口と、前記受け入れ口より下側に位置される送り出し口とを備え、
前記受け入れ口と前記送り出し口との間に設けられた落下路に、前記異物を前記処理物から分離する異物分離手段を備えた異物分離装置であって、その特徴構成は、
前記異物分離手段が、前記落下路に鉛直方向に対して傾斜して配置される篩であるとともに、
前記篩が、前記落下路を傾斜姿勢で横断して、前記処理物の落下に伴って前記異物を前記処理物から分離し、前記灰を前記送り出し口に送る第1運転状態と、前記篩が、前記落下路から退避した退避姿勢で、前記処理物の落下に伴って前記異物を含んだまま、前記送り出し口に送る第2運転状態との間で、運転状態を選択可能に構成されるとともに、
前記落下路を形成する筐体に、前記筐体及び前記篩に振動を付与する振動付与装置を備え、前記第1運転状態で前記篩上に分離される前記異物を、前記第2運転状態で、前記送り出し口に送り込み可能に構成されている点にある。
【0010】
上記特徴構成によれば、第1運転状態では、篩が、落下路を傾斜姿勢で横断して設置されているので、処理物が通過する篩の面積を大きくすることができる。これにより、より多くの処理物に対して、異物と灰とを分離する処理を行うことができ、実質的に異物の混入していない灰を送り出し口に送ることができる。
そして、筐体に振動付与装置が備えられるので、第1運転状態において、筐体を介して傾斜姿勢にある篩を振動させることができ、これにより、異物が篩の傾斜に伴って一方側の端部に移動するため、異物による篩の目詰まりを防止することができる。よって、異物を処理物から分離する処理速度の低下を防止することができるとともに、処理物の処理を長期間連続して行うことができる。ここで、処理物から異物が分離された灰は、例えば、異物の混入が許容されない建設資材用の原料等として利用することができる。
【0011】
また、第2運転状態では、篩を、落下路から退避した退避姿勢として、異物を含んだままの処理物が送り出し口に送られるとともに、第1運転状態で分離された異物を、送り出し口に送り込み可能に構成されているので、篩上に分離された異物を送り出し口に送り込む状態で篩上から異物を除去することができる。この異物の送り出し口への送り込みにより、異物が増加した処理物を送り出し口において得ることができる。そして、この異物を含む処理物は、例えば、異物の混入が許容されるセメント用の原料等として利用することができる。
【0012】
また、第1運転状態と第2運転状態との間で、運転状態を選択可能に構成されているので、第1運転状態から第2運転状態に切り替えた際は、第1運転状態において分離された篩の異物を送り出し口に送り込む状態で、異物を篩上から除去することができる。そして、第2運転状態から第1運転状態に切り替えた際は、異物が除去された篩によって、処理物の処理速度を低下させることなく処理を行うことができる。よって、運転状態を第1運転状態と第2運転状態との間で切り替えて、処理された処理物の異物の混入状態を、その用途に応じて変更可能にするとともに、処理物の処理を長期間連続して行うことができる。
【0013】
本発明に係る異物分離装置の更なる特徴構成は、
前記傾斜姿勢の篩の下の前記落下路に接続される移動路が、前記落下路とは別に備えられ、
前記移動路は、前記傾斜姿勢の篩の上部から、当該篩により分離された前記異物を受け入れ
るように構成され、
前記第2運転状態
において、前記第1運転状態で分離された異物が、前記移動路の全部又は一部を移動する
構成である点にある。
【0014】
上記特徴構成によれば、篩の上部から、篩で分離された前記異物を受け入れるとともに、篩の下の落下路部位に、異物を移動可能な移動路が落下路とは別に備えられるので、この移動路によって、第1運転状態で分離された異物を、第2運転状態で篩の下の落下路部位に移動させることができる。
これにより、第2運転状態で、移動路の全部を異物が移動する場合は、第1運転状態で分離した異物を、落下路部位に移動させて、この落下路部位において、異物を含んだまま落下路を流れる処理物に、移動路を移動してきた異物を混入させて、送り出し口へ送ることができる。
一方、第2運転状態で、移動路の一部を異物が移動する場合では、例えば、移動路の途中で異物を貯留する状態とすることができる。この場合、落下路においては、受け入れ口において受け入れた処理物を、そのまま送り出し口へ送ることができる。
【0015】
本発明に係る異物分離装置の更なる特徴構成は、
前記移動路は、前記傾斜姿勢の篩の上部における前記落下路から分岐し、前記傾斜姿勢の篩の下の前記落下路に接続されており、
前記移動
路に、前記篩から分離した前記異物を貯留する異物貯留部が設けられ、当該異物貯留部から前記落下路への移動時期を制御する異物移動時期調整機構を備え
、
前記異物移動時期調整機構は、開閉弁を備え、
前記開閉弁は前記異物を、閉状態で前記異物貯留部に貯留し、開状態で前記落下路へ移動させる点にある。
【0016】
上記特徴構成によれば、移動
路に異物貯留部が設けられるので、第1運転状態で分離された異物を、第2運転状態として異物貯留部に貯留することができる。
また、異物貯留部から落下路への移動時期を制御する異物移動時期調整機構が設けられるので、異物貯留部に貯留された異物の落下路への移動時期を調整することができる。つまり、第2運転状態において、異物を含んだまま落下路を流れる処理物に、第1運転状態で分離した異物を混入する時期を調整することができる。
【0017】
本発明に係る異物分離装置の更なる特徴構成は、
前記篩の傾斜姿勢と退避姿勢との間で、前記篩を揺動可能とする揺動軸を備えた揺動機構を備え、
前記篩の傾斜姿勢において、前記揺動軸側から上方に延び、前記移動路を塞いで前記落下路の一側壁を形成する側壁形成部材を備えた点にある。
【0018】
上記特徴構成によれば、篩を揺動可能とする揺動軸を備えた揺動機構が設けられるので、傾斜姿勢と退避姿勢との間の姿勢変更を容易に行うことができる。
また、篩の傾斜姿勢において、移動路を塞ぐ側壁形成部材が設けられているので、篩が傾斜姿勢となる第1運転状態において、移動路への処理物の流入を防いで、受け入れ口から受け入れた処理物の全量を落下路に流通させ、落下路に設けられた篩を通過させることができるので、受け入れた処理物の全量に対して異物を分離する処理を確実に行うことができる。
【0019】
本発明に係る異物分離装置の更なる特徴構成は、
前記筐体が、前記側壁形成部材とともに前記落下路を形成する第1筐体と、
前記移動路の一部を形成する第2筐体とから構成され、
前記第1筐体と前記第2筐体とが、前記傾斜姿勢の篩の上部における前記移動路と前記落下路との接続部位で連結されている点にある。
【0020】
上記特徴構成によれば、落下路を形成する第1筐体と、移動路の一部を形成する第2筐体とが、傾斜姿勢の篩の上部における移動路と落下路との接続部位で連結されているので、この接続部位に篩を通過させて、篩を第1筐体と第2筐体との間を移動させることができる。よって、篩を第1筐体で構成される移動路で傾斜姿勢とする第1運転状態として、篩の上部に分離された異物を、篩を第2筐体内で退避姿勢とする第2運転状態とすることで、第2筐体で構成される移動路に移動させることができる。
【0021】
本発明に係る異物分離装置の更なる特徴構成は、
前記処理物がフライアッシュであり、前記受け入れ口の上部に、フライアッシュサイロが内部のフライアッシュを落下投入自在に接続されている点にある。
【0022】
上記特徴構成によれば、処理物がフライアッシュとされるので、フライアッシュ中に含まれる異物を分離することができる。そして、受け入れ口の上部に、フライアッシュサイロがフライアッシュを落下投入自在に接続されているので、フライアッシュの自重によって、受け入れ口にフライアッシュを落下投入することができる。
【0023】
本発明に係る異物分離装置の更なる特徴構成は、
前記処理物が、細粒化された石炭を燃料とする蒸気発生設備から発生し、電気集塵装置で集塵された集塵物である点にある。
【0024】
上記特徴構成によれば、処理物が、石炭を燃料とする蒸気発生設備から発生し、電気集塵装置で集塵された集塵物とされるので、この集塵物に含まれる異物を分離することができる。また、電気集塵装置で集塵された集塵物は、石炭に含まれる不燃性灰分である鉱物質で構成されるとともに、微細な粒子とされるので、流動性、反応性に優れている。よって、第1運転状態において送り出し口から送り出された異物が分離された集塵物を、例えば、異物の混入が許容されない建設資材用の原料等として使用することができる。一方、第2運転状態において送り出し口から送り出された異物を含む集塵物を、例えば、異物の混入が許容されるセメント用の原料等として使用することができる。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明に係る実施形態について説明する。
石炭を原料として発電する火力発電プラント1は、
図1に示したように、石炭バンカー2に貯蔵される石炭Cを粉砕機3に送り、この粉砕機3によって石炭Cを所定のサイズに細粒化した微粉炭Dを製造してボイラー4に供給して、空気予熱器5によって予熱された空気によって燃焼させると共に、復水器6から水蒸気Vを発生させる流体Wを給水予熱器7を経由して、ボイラー4の過熱器16に供給し、高温高圧の水蒸気Vを発生させる蒸気発生設備8と、この蒸気発生設備8によって生成された水蒸気Vが供給される蒸気タービン9と、蒸気タービン9と接続される発電機10とによって構成され、発電機10によって発電が行われている。
【0027】
通常、石炭Cには、数%〜十数%程度の不燃性灰分が含まれているので、微粉炭Dをボイラー4に供給して燃焼させると、不燃性灰分は高温の燃焼熱によって溶融し、ボイラー4の下部に堆積する。一方、微粉炭Dの燃焼ガスの流れにより飛散した不燃性灰分は電気集塵機11などの集塵装置に捕集される。電気集塵機11を通過した燃焼ガスは、脱硫装置12によって硫黄成分が取り除かれて、煙突13から大気中に放出される。
【0028】
ボイラー4の下部に堆積する凝結物は、ボトムアッシュB(bottom ash)と呼ばれ、自重によってボイラー4の底に落ちて堆積する。その後、ボトムアッシュBは、ボトムアッシュ保管タンク14に送られて、セメント原料等として使用される。
【0029】
一方、ボイラー4から飛散して、給水予熱器7や空気予熱器5の下部のホッパー、電気集塵機11によって集塵される集塵物は、フライアッシュF(fly ash)と呼ばれ、このフライアッシュFの粒径は、石炭種や燃焼条件により異なるが、その大部分は1mm以下の粒径の灰Gで構成される。また、フライアッシュFには、比較的大きい粒径(例えば、1〜20mm程度)の異物Eが含まれている。この異物Eは、ボイラー4の内壁面等に付着した灰G等が凝結し、その後、その内壁面から離れて給水予熱器7や空気予熱器5の下部に設けられたホッパーや電気集塵機11まで飛来して収集されたものである。このように異物Eと灰Gとで構成されるフライアッシュFは、フライアッシュ輸送路17によって異物分離装置15に送られて、例えば、建設資材用の原料として使用するために異物Eが処理される。
よって、この異物分離装置15で、異物Eを分離する対象とされる処理物Tは、細粒化された石炭Cを燃料とする蒸気発生設備8から発生して、給水予熱器7や空気予熱器5の下部に設けられたホッパーや電気集塵機11で集塵される集塵物としてのフライアッシュFとされる。
【0030】
以下に、
図2及び
図3に基づいて異物分離装置15について説明する。
異物分離装置15は、フライアッシュFを一時的に貯留するフライアッシュサイロ20、フライアッシュFに含まれる異物Eを分離する異物分離部22、フライアッシュサイロ20と異物分離部22とを接続して、フライアッシュサイロ20に貯留されているフライアッシュFを異物分離部22に供給するフライアッシュ供給路21から構成されている。そして、異物分離部22が架台70に支持されて、この架台70が防振ゴム60を介して火力発電プラント1の構造体80に床100等を介して設置されている。
【0031】
フライアッシュサイロ20は、給水予熱器7や空気予熱器5下のホッパー、及び、電気集塵機11とフライアッシュ輸送路17を介して接続され、これらによって集められたフライアッシュFが流入するように構成され、一時的にフライアッシュFを貯留するものである。
【0032】
フライアッシュ供給路21について説明する。
フライアッシュ供給路21には、フライアッシュ供給路21内を流れるフライアッシュFの供給量を調整可能な手動開閉式の流量調整弁21aが設けられており、フライアッシュサイロ20内に貯留されたフライアッシュFを異物分離部22に供給および供給停止可能とするとともに、供給時には、その供給量を調整可能とするものである。また、流量調整弁21aは、外部から簡便に開閉および開度調節操作可能に構成されている。この流量調整弁21aによって、フライアッシュサイロ20が内部のフライアッシュFを、異物分離部22の受け入れ口32の上部に、落下投入自在に接続されている。
【0033】
また、この流量調整弁21aを長期間にわたって閉状態とすると、フライアッシュサイロ20の内部に貯留されているフライアッシュFの重みで、フライアッシュFがフライアッシュ供給路21内で互いに固着して、開状態としても流動しない状態となることがある。よって、この固着したフライアッシュFを分散させて、再び流動させるために、フライアッシュ供給路21を振動させる加振装置21bが流量調整弁21aの上流側に設けられている。また、流量調整弁21aの上流側に、自動バタフライ弁21cを設置して、フライアッシュFが固着することを防止している。
これにより、フライアッシュFの固着を自動バタフライ弁21cで防止しつつ、フライアッシュFが固着したときも、加振装置21bを作動させて、フライアッシュ供給路21に振動を加えて内部のフライアッシュFを流動させることができる。
【0034】
ここで、加振装置21bは、フライアッシュ供給路21を振動させるものであり、例えば、モーターなどで動くリンク機構やクランク機構、カム機構など様々な機械式の機構を利用したものとすることができる。その他、圧縮空気で動くシリンダー・ピストン機構など様々なものを採用可能である。
【0035】
また、フライアッシュ供給路21の一部は、フレキシブル管21dで構成されている。これにより、後述する振動付与装置34により第1筐体31に連続して与えられた振動がフライアッシュサイロ20及びフライアッシュサイロ20に接続される電気集塵機11などの火力発電プラント1を構成する各装置に伝わるのを防止することができる。
【0036】
次に、異物分離部22について説明する。
この、異物分離部22には、後述するV字型揺動体30の側壁形成部材30aとともに落下路23を形成する第1筐体31と、この第1筐体31に併設する状態で移動路24の一部を形成する第2筐体41とが設けられている。
【0037】
第1筐体31について説明する。
第1筐体31は、灰Gと灰Gより大きな粒径の異物Eとからなる処理物TとしてのフライアッシュFを受け入れる受け入れ口32と、受け入れ口32より下側に位置される送り出し口33とを備えるとともに、受け入れ口32と送り出し口33との間には落下路23が形成されている。この落下路23には、異物EをフライアッシュFから分離する異物分離手段としての篩30bが備えられている。この、篩30bは、落下路23に鉛直方向に対して傾斜する傾斜姿勢で落下路23を横断して配置される。また、落下路23の内周面には、篩30bの外枠30c(
図4参照)を支持するとともに、篩30bの外枠30cと落下路23の内周面との隙間をなくす支持部材23aが形成されている。
【0038】
落下路23を形成する第1筐体31の外周面には、第1筐体31及び第1筐体31内の篩30bに振動を付与する振動付与装置34が備えられている。
また、篩30bの傾斜姿勢においては、篩30bは落下路23の振動付与装置34が設けられている側面側を高くする状態で、鉛直方向に対して70°傾斜する状態で落下路23内に横断して配置されている。
そして、第1筐体31内の篩30bの、受け入れ口32側には、篩30bの上面に圧縮空気を噴射する空気噴射ノズル35が設けられている。
【0039】
篩30bは、格子状に編まれた金属網で構成され、その格子開口寸法は5mmとされている。また、振動付与装置34は、第1筐体31を振動させることで、第1筐体31内に設けられた篩30bを間接的に且つ連続して振動させるものであり、モーターなどで動くリンク機構やクランク機構、カム機構など様々な機械式の機構を利用したものとすることができ、その他、圧縮空気で動くシリンダー・ピストン機構のものなどを採用可能である。
【0040】
次に、第2筐体41について説明する。
第2筐体41は、移動路24の一部を構成している。移動路24は、第2筐体41と接続路26とで構成されている。そして、上述の第1筐体31と第2筐体41とが、傾斜姿勢の篩30bの上部において、落下路23と移動路24との接続部位22aで連結されている。つまり、第2筐体41によって構成される移動路24は、この接続部位22aにおいて、第1筐体31によって構成される落下路23から分岐する状態で設けられている。
また、この移動路24は、篩30bにより分離された異物Eを受け入れ可能に構成されるとともに、傾斜姿勢の篩30bの下の落下路部位23bにおいて再び落下路23と接続されて、この落下路部位23bを経由して異物Eを落下路23に移動可能に構成されている。
【0041】
第2筐体41は、第1筐体31との接合面42と反対側の側面43における上下方向の長さが、接合面42の上下方向の長さより下方に長く延長され、断面台形の形状として形成されている。よって、その底面44は、接合面42から反対側の側面43に向かうに従って低い位置となる傾斜状の底面44が形成されている。
【0042】
また、第2筐体41には、篩30bを、落下路23を傾斜した状態で横断している傾斜姿勢と、落下路23から退避した退避姿勢との間で揺動可能とする揺動機構Yが備えられている。揺動機構Yは、篩30bを備えた後述のV字型揺動体30と、V字型揺動体30の係合軸穴30dと係合する係合軸46(揺動軸の一例)と、この係合軸46の両端部に固定される係合軸支持体46aと、係合軸支持体46aを支持する第2筐体41に設けられた支持孔41aと、係合軸46の揺動アーム48が設けられた側の端部に固定されて設けられた揺動アーム48と、揺動アーム48に接続された油圧シリンダ47とで構成されている。
ここで、係合軸穴30dと係合軸46とが係合した状態では、係合軸穴30d内で係合軸46が回転しない状態となっている。そして、係合軸支持体46aは、第2筐体41の支持孔41aに貫通する状態で設けられ、係合軸46を第2筐体41に対して揺動可能としている。また、油圧シリンダ47の一端部が架台70の油圧シリンダ接続部70aに接続されるとともに、油圧シリンダ47の摺動軸47aが揺動アーム48の先端に接続されている。
【0043】
図4に示すように、篩30bは、接続部位22aにおける開口22bを閉じる側壁形成部材30aが接続されて、V字型揺動体30を構成している。
V字型揺動体30は、篩30bで構成された篩面30eと、側壁形成部材30aで構成された壁面30fとを備えている。この篩面30eと壁面30fとは互いに一方の端部で接続され、篩面30eと壁面30fとの接続部には、その篩面30eと壁面30fとが形成する角度Qを70°とするV型接続部30gが形成されている。
また、このV字型揺動体30には、係合軸穴30dが形成された円筒部30hが側壁形成部材30aに取り付けられており、この円筒部30hの係合軸穴30dに係合軸46を貫通させるともに、その係合軸46の両端部に係合軸支持体46aを、第2筐体41の支持孔41aを揺動可能に貫通させた状態で取り付けて固定することで、係合軸46を中心として、第1筐体31と第2筐体41との間でV字型揺動体30が揺動可能となる。
【0044】
揺動機構Yがこのように構成されることで、油圧シリンダ47の摺動軸47aを動作させることで、V字型揺動体30に備えられた篩30bを係合軸46を中心に揺動させることができ、
図3に示すように、油圧シリンダ47の摺動軸47aを延出することで、篩30bは第1筐体31に移動して傾斜姿勢となり、
図5に示すように、油圧シリンダ47の摺動軸47aを引退することで、篩30bは第2筐体41に移動して退避姿勢となる。なお、油圧シリンダ47の動作は、図示しない油圧制御装置より制御可能に構成されている。
【0045】
そして、
図2に示すように、篩30bの傾斜姿勢において、側壁形成部材30aは、係合軸46側から鉛直上方に延び、移動路24を塞いで落下路23の一側壁を形成する状態となる。ここで、V字型揺動体30において側壁形成部材30aで構成される壁面30fは、接続部位22aにおける開口22bよりも大きく形成されており、この壁面30fは、第2筐体41の内壁から接続部位22aの開口22bの周囲に当接する状態で、接続部位22aにおける開口22bを塞ぐように構成されている。そして、壁面30fが当接する第2筐体41の内壁部分にゴムパッキン等のシール部材22cが設けられている。これにより、第1筐体31と第2筐体41との接続部位22aにおける開口22bを完全に閉じた状態にすることができる。
この状態において、フライアッシュサイロ20からフライアッシュFが、落下されると、フライアッシュFに含まれる異物Eが、篩30bの上面に残留し、この残留した異物Eは、篩30bが傾斜して設けられていることで、V字型揺動体30のV型接続部30gに移動して、V型接続部30gに異物Eが蓄積される。また、空気噴射ノズル35から圧縮空気を篩30bの上面に向かって噴射することで、篩30bの上面に堆積する異物Eを、より迅速にV型接続部30gに移動させることができ、篩30bの上面に異物Eが堆積することによる篩30bの目詰まりを防止して、異物Eの分離速度が低下することを防止することができる。
【0046】
一方、
図5に示すように、篩30bの退避姿勢において、V字型揺動体30が、第2筐体41内に位置するときは、壁面30fが、第2筐体41の底面44に沿う状態となるので、V字型揺動体30のV型接続部30gに集められていた異物Eが、V字型揺動体30の壁面30fを転がって、第2筐体41の底面44に移動する。これにより、第2筐体41の移動路24に、篩30bにより分離された異物Eが受け入れられる。
その後、異物Eは、第2筐体41の底面44を転がって接合面42と反対側の側面43付近に移動して異物貯留部45に到達し、この異物貯留部45に貯留される状態となる。つまり、移動路24の中間部位となる第2筐体41の底面44に異物貯留部45が設けられており、この異物貯留部45に、篩30bにより分離された異物Eが貯留されるように構成されている。また、この異物貯留部45から落下路23への移動時期を制御する異物移動時期調整機構Zが備えられている。
【0047】
異物移動時期調整機構Zは、開閉弁49およびこの開閉弁49を開閉するモーター50で構成されている。この開閉弁49を開く時期を調整することで、異物Eの移動路24への移動時期、つまり、異物Eの落下路23への移動時期を調整することができる。
【0048】
なお、異物分離装置15を、火力発電プラント1の構造体80に床100等を介して設置する際は、振動付与装置34によって発生する振動が異物分離装置15の外に伝わらないようにするために、異物分離装置15と構造体80との間に防振ゴム60が設けられた状態として設置される。
【0049】
次に、異物分離装置15の異物Eを分離する動作について説明する。
異物分離装置15は、篩30bが、落下路23を傾斜姿勢で横断して、フライアッシュサイロ20からのフライアッシュFの落下に伴って異物EをフライアッシュFから分離し、フライアッシュFから異物Eが除去された灰Gを、送り出し口33に送る第1運転状態と、篩30bが、落下路23から退避した退避姿勢で、フライアッシュFのフライアッシュサイロ20からの落下に伴って、そのフライアッシュFを異物Eを含んだまま、送り出し口に送る第2運転状態との間で、運転状態を選択可能に構成されている。
【0050】
つまり、第1運転状態(
図2参照)では、落下路23に傾斜姿勢で設置される篩30bによって、フライアッシュFに含まれる異物Eが、篩30bの上面側に残留する状態で分離され、傾斜して設置される篩30bの上面を傾斜に従って移動して、V字型揺動体30のV型接続部30gに集められる。一方、フライアッシュFに含まれる灰Dは、篩30bを通過して落下路23を進み、送り出し口33を通過して落下路23の下流側端部に設けられたシュート部25に到達する。
ここで、シュート部25に到達するフライアッシュFから異物Eが分離された灰Dは、例えば、建設資材用の原料として使用される。よって、この第1運転状態とする時に、シュート部25の下部に建設資材用の原料を運搬するジェットパック車等の粉体搭載口を設置して、シュート部25の開閉弁25aを開いて、シュート部25からジェットパック車等にフライアッシュFから異物Eが分離された灰Dが搭載される。
【0051】
そして、建設資材用の原料を運搬するジェットパック車等への搭載が完了すると、シュート部25の開閉弁25aを閉じるとともに、揺動機構Yを作動してV字型揺動体30を揺動させ、篩30bが退避姿勢となる第2運転状態(
図5参照)とする。
この第2運転状態では、篩30bが、落下路23から退避した退避姿勢で、処理物TであるフライアッシュFのフライアッシュサイロ20からの落下に伴って異物Eを含んだまま、送り出し口33に送られてシュート部25に到達する。
【0052】
また、V字型揺動体30の壁面30fが、第2筐体41の底面44に沿う状態となるので、第1筐体31と第2筐体41の接続部位22aにおける開口22bが開かれた状態となるとともに、第1運転状態において、V字型揺動体30のV型接続部30gに集められた異物Eが、第2筐体41内の底面44を移動して、移動路24の全部又は一部を移動する状態となる。
つまり、移動路24を構成する第2筐体41の異物貯留部45と接続路26との間に設けられている異物移動時期調整機構Zの開閉弁49の弁を開けることによって、異物Eは第2筐体41と接続路26とで構成される移動路24の全部を移動する状態となり、落下路23に排出されることとなる。
一方、この開閉弁49を閉じた場合は、異物Eは移動路24の一部を移動する状態となり、第2筐体41の異物貯留部45に一時的に異物Eを貯留することができる。そして、任意の時期に開閉弁49を開くことで、異物貯留部45に一時的に貯留した異物Eを、接続路26に排出するとともに、落下路部位23bにおいて落下路23に排出することができる。
【0053】
このように、第1運転状態で篩30b上において分離される異物Eを、第2運転状態で、送り出し口33に送り込み可能に構成されている。この場合、フライアッシュサイロ20から落下路23に落下され、異物Eが分離されていないフライアッシュFに、移動路24から第1運転状態で分離された異物Eが加えられ、異物Eが増加した状態のフライアッシュFがシュート部25に排出される。
【0054】
そして、第2運転状態で、シュート部25に排出された異物Eが含まれたフライアッシュFは、例えば、セメント用の原料として使用される。よって、シュート部25の下部にセメント用の原料を運搬するジェットパック車等の粉体搭載口を設置して、シュート部25の開閉弁25aを開くことで、シュート部25からジェットパック車等の荷台に異物Eが含まれたフライアッシュFが搭載される。
【0055】
上述の如く、異物分離装置15は、異物分離部22に連続的にフライアッシュFを供給して、フライアッシュFから異物Eを分離する第1運転状態とするか、又は、異物Eを分離しない第2運転状態とするかを選択することで、フライアッシュFの用途に応じてフライアッシュFの状態を変更して、連続的にシュート部25に排出することが可能となる。
【0056】
〔別実施形態〕
(A)上記実施形態では、処理物TとしてのフライアッシュFは、電気集塵機11および給水予熱器7の下部に設けられたホッパーで収集された集塵物としたが、これに限らず、処理物Tを電気集塵機11のみで収集された集塵物としてもよい。
【0057】
(B)上記実施形態では、異物分離装置15が火力発電プラント1に設けられたが、これに限らず、異物Eと灰Gとが混合された処理物Tが排出される設備であれば、どのような設備に設けられてもよく、例えば、廃棄物処理プラントや製鉄プラントなどに設けられてもよい。
【0058】
(C)上記実施形態では、フライアッシュ供給路21には、フライアッシュ供給路21内を流れるフライアッシュFの供給量を調整する流量調整弁21aは、手動開閉式の流量調整弁21aとしたが、これに限らず、流量調整弁21aを開閉するモーターが設けられた自動開閉式の流量調整弁21aとしてもよい。