(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
鉛直面の下方に対する傾き角度がαの取り付け対象面に設けられた複数の太陽光部材であって、太陽光を受光する受光面を有する前記太陽光部材を備えた太陽光発電装置において、
夏至の南中時における太陽の南方に対する仰角を夏至仰角θsとし、冬至の南中時における太陽の南方に対する仰角を冬至仰角θwとし、春分或いは秋分となる日の南中時における太陽の南方に対する仰角を春秋分仰角θmとした場合に、
前記鉛直面の下方に対する受光面の傾き角度θ1が、春秋分仰角θmよりも大きく夏至仰角θs以下の範囲(θm<θ1≦θs)の任意の角度に設定された第1太陽光部材と、
前記鉛直面の下方に対する受光面の傾き角度θ2が、冬至仰角θw以上で春秋分仰角θmよりも小さい範囲(θw≦θ2<θm)の任意の角度に設定された第2太陽光部材と、を有し、
前記第1太陽光部材の受光面の前記傾き角度θ1は、前記夏至仰角θsと同値に設定され、
前記第2太陽光部材の受光面の前記傾き角度θ2は、前記冬至仰角θwと同値に設定され、
前記鉛直面の下方に対する前記取り付け対象面の傾き角度αに関して、該取り付け対象面が前記鉛直面の下方と平行な状態を0°(α=0°)と定義し、該取り付け対象面における上端位置よりも下端位置の方が、前記鉛直面の法線方向に沿う側方方向の外方に位置するような傾き状態を正値(α>0)と定義した場合に、
前記傾き角度αは、前記夏至仰角θs−90°よりも大きく前記冬至仰角θw以下の範囲(θs−90°<α≦θw)の任意の角度に設定されており、
前記第1太陽光部材の上端縁よりも下端縁の方が、前記取り付け対象面の法線方向の外方に位置して設けられ、
前記第2太陽光部材の上端縁よりも下端縁の方が、前記取り付け対象面の法線方向の外方に位置して設けられており、
前記第1太陽光部材は、前記取り付け対象面上に上下方向に並んで複数設けられているとともに、前記複数の第1太陽光部材は、それぞれ、上端縁が前記取り付け対象面に当接して固定されており、
上下方向に隣り合う前記第1太陽光部材同士のうちで、上側の第1太陽光部材の上端縁と下端縁との間の長さがL1である場合に、
下側の第1太陽光部材の上端縁は、前記上側の第1太陽光部材の上端縁の位置から前記取り付け対象面に沿う方向の下方にL1/cos(θs−α)以上離れた位置に固定されていることを特徴とする太陽光発電装置。
鉛直面の下方に対する傾き角度がαの取り付け対象面に設けられた複数の太陽光部材であって、太陽光を受光する受光面を有する前記太陽光部材を備えた太陽光発電装置において、
夏至の南中時における太陽の南方に対する仰角を夏至仰角θsとし、冬至の南中時における太陽の南方に対する仰角を冬至仰角θwとし、春分或いは秋分となる日の南中時における太陽の南方に対する仰角を春秋分仰角θmとした場合に、
前記鉛直面の下方に対する受光面の傾き角度θ1が、春秋分仰角θmよりも大きく夏至仰角θs以下の範囲(θm<θ1≦θs)の任意の角度に設定された第1太陽光部材と、
前記鉛直面の下方に対する受光面の傾き角度θ2が、冬至仰角θw以上で春秋分仰角θmよりも小さい範囲(θw≦θ2<θm)の任意の角度に設定された第2太陽光部材と、を有し、
前記第1太陽光部材の受光面の前記傾き角度θ1は、前記夏至仰角θsと同値に設定され、
前記第2太陽光部材の受光面の前記傾き角度θ2は、前記冬至仰角θwと同値に設定され、
前記鉛直面の下方に対する前記取り付け対象面の傾き角度αに関して、該取り付け対象面が前記鉛直面の下方と平行な状態を0°(α=0°)と定義し、該取り付け対象面における上端位置よりも下端位置の方が、前記鉛直面の法線方向に沿う側方方向の外方に位置するような傾き状態を正値(α>0)と定義した場合に、
前記傾き角度αは、前記夏至仰角θs−90°よりも大きく前記冬至仰角θw以下の範囲(θs−90°<α≦θw)の任意の角度に設定されており、
前記第1太陽光部材の上端縁よりも下端縁の方が、前記取り付け対象面の法線方向の外方に位置して設けられ、
前記第2太陽光部材の上端縁よりも下端縁の方が、前記取り付け対象面の法線方向の外方に位置して設けられており、
前記第2太陽光部材は、前記取り付け対象面上に上下方向に並んで複数設けられているとともに、前記複数の第2太陽光部材は、それぞれ、上端縁が前記取り付け対象面に当接して固定されており、
上下方向に隣り合う前記第2太陽光部材同士のうちで、上側の第2太陽光部材の上端縁と下端縁との間の長さがL2である場合に、
下側の第2太陽光部材の上端縁は、前記上側の第2太陽光部材の上端縁の位置から前記取り付け対象面に沿う方向の下方にL2/cos(θw−α)以上離れた位置に固定されていることを特徴とする太陽光発電装置。
鉛直面の下方に対する傾き角度がαの取り付け対象面に設けられた複数の太陽光部材であって、太陽光を受光する受光面を有する前記太陽光部材を備えた太陽光発電装置において、
夏至の南中時における太陽の南方に対する仰角を夏至仰角θsとし、冬至の南中時における太陽の南方に対する仰角を冬至仰角θwとし、春分或いは秋分となる日の南中時における太陽の南方に対する仰角を春秋分仰角θmとした場合に、
前記鉛直面の下方に対する受光面の傾き角度θ1が、春秋分仰角θmよりも大きく夏至仰角θs以下の範囲(θm<θ1≦θs)の任意の角度に設定された第1太陽光部材と、
前記鉛直面の下方に対する受光面の傾き角度θ2が、冬至仰角θw以上で春秋分仰角θmよりも小さい範囲(θw≦θ2<θm)の任意の角度に設定された第2太陽光部材と、を有し、
前記第1太陽光部材の受光面の前記傾き角度θ1は、前記夏至仰角θsと同値に設定され、
前記第2太陽光部材の受光面の前記傾き角度θ2は、前記冬至仰角θwと同値に設定され、
前記鉛直面の下方に対する前記取り付け対象面の傾き角度αに関して、該取り付け対象面が前記鉛直面の下方と平行な状態を0°(α=0°)と定義し、該取り付け対象面における上端位置よりも下端位置の方が前記鉛直面の法線方向に沿う側方方向の外方に位置するような傾き状態を正値(α>0)と定義した場合に、
前記傾き角度αは、前記夏至仰角θs以上で前記冬至仰角θw+90°よりも小さい範囲(θs≦α<θw+90°)の任意の角度に設定されており、
前記第1太陽光部材の前記側方方向の外端縁よりも前記側方方向の内端縁の方が、前記取り付け対象面の法線方向の外方に位置して設けられ、
前記第2太陽光部材の前記側方方向の外端縁よりも前記側方方向の内端縁の方が、前記取り付け対象面の法線方向の外方に位置して設けられており、
前記第2太陽光部材は、前記取り付け対象面上に前記側方方向に並んで複数設けられているとともに、前記複数の第2太陽光部材は、それぞれ、前記側方方向の外端縁が前記取り付け対象面に当接して固定されており、
前記側方方向に隣り合う前記第2太陽光部材同士のうちで、前記側方方向の外側の第2太陽光部材の外端縁と内端縁との間の長さがL2である場合に、
前記側方方向の内側の第2太陽光部材の外端縁は、前記外側の第2太陽光部材の外端縁の位置から前記取り付け対象面に沿う方向の内方にL2/cos(α−θw)以上離れた位置に固定されていることを特徴とする太陽光発電装置。
鉛直面の下方に対する傾き角度がαの取り付け対象面に設けられた複数の太陽光部材であって、太陽光を受光する受光面を有する前記太陽光部材を備えた太陽光発電装置において、
夏至の南中時における太陽の南方に対する仰角を夏至仰角θsとし、冬至の南中時における太陽の南方に対する仰角を冬至仰角θwとし、春分或いは秋分となる日の南中時における太陽の南方に対する仰角を春秋分仰角θmとした場合に、
前記鉛直面の下方に対する受光面の傾き角度θ1が、春秋分仰角θmよりも大きく夏至仰角θs以下の範囲(θm<θ1≦θs)の任意の角度に設定された第1太陽光部材と、
前記鉛直面の下方に対する受光面の傾き角度θ2が、冬至仰角θw以上で春秋分仰角θmよりも小さい範囲(θw≦θ2<θm)の任意の角度に設定された第2太陽光部材と、を有し、
前記第1太陽光部材の受光面の前記傾き角度θ1は、前記夏至仰角θsと同値に設定され、
前記第2太陽光部材の受光面の前記傾き角度θ2は、前記冬至仰角θwと同値に設定され、
前記鉛直面の下方に対する前記取り付け対象面の傾き角度αに関して、該取り付け対象面が前記鉛直面の下方と平行な状態を0°(α=0°)と定義し、該取り付け対象面における上端位置よりも下端位置の方が前記鉛直面の法線方向に沿う側方方向の外方に位置するような傾き状態を正値(α>0)と定義した場合に、
前記傾き角度αは、前記夏至仰角θs以上で前記冬至仰角θw+90°よりも小さい範囲(θs≦α<θw+90°)の任意の角度に設定されており、
前記第1太陽光部材の前記側方方向の外端縁よりも前記側方方向の内端縁の方が、前記取り付け対象面の法線方向の外方に位置して設けられ、
前記第2太陽光部材の前記側方方向の外端縁よりも前記側方方向の内端縁の方が、前記取り付け対象面の法線方向の外方に位置して設けられており、
前記第1太陽光部材は、前記取り付け対象面上に前記側方方向に並んで複数設けられているとともに、前記複数の第1太陽光部材は、それぞれ、前記側方方向の外端縁が前記取り付け対象面に当接して固定されており、
前記側方方向に隣り合う前記第1太陽光部材同士のうちで、前記側方方向の外側の第1太陽光部材の外端縁と内端縁との間の長さがL1である場合に、
前記側方方向の内側の第1太陽光部材の外端縁は、前記外側の第1太陽光部材の外端縁の位置から前記取り付け対象面に沿う方向の内方にL1/cos(α−θs)以上離れた位置に固定されていることを特徴とする太陽光発電装置。
鉛直面の下方に対する傾き角度がαの取り付け対象面に設けられた複数の太陽光部材であって、太陽光を受光する受光面を有する前記太陽光部材を備えた太陽光発電装置において、
夏至の南中時における太陽の南方に対する仰角を夏至仰角θsとし、冬至の南中時における太陽の南方に対する仰角を冬至仰角θwとし、春分或いは秋分となる日の南中時における太陽の南方に対する仰角を春秋分仰角θmとした場合に、
前記鉛直面の下方に対する受光面の傾き角度θ1が、春秋分仰角θmよりも大きく夏至仰角θs以下の範囲(θm<θ1≦θs)の任意の角度に設定された第1太陽光部材と、
前記鉛直面の下方に対する受光面の傾き角度θ2が、冬至仰角θw以上で春秋分仰角θmよりも小さい範囲(θw≦θ2<θm)の任意の角度に設定された第2太陽光部材と、を有し、
前記第1太陽光部材の受光面の前記傾き角度θ1は、前記夏至仰角θsと同値に設定され、
前記第2太陽光部材の受光面の前記傾き角度θ2は、前記冬至仰角θwと同値に設定され、
前記鉛直面の下方に対する前記取り付け対象面の傾き角度αに関して、該取り付け対象面が前記鉛直面の下方と平行な状態を0°(α=0°)と定義し、該取り付け対象面における上端位置よりも下端位置の方が、前記鉛直面の法線方向に沿う側方方向の外方に位置するような傾き状態を正値(α>0)と定義した場合に、
前記傾き角度αは、前記夏至仰角θs−90°よりも大きく前記冬至仰角θw以下の範囲(θs−90°<α≦θw)の任意の角度に設定されており、
前記第一太陽光部材の一方の端縁と前記第二太陽光部材の一方の端縁が連結され、
前記第一太陽光部材の他方の端縁と前記第二太陽光部材の他方の端縁のうちの一方が前記取り付け対象面に固定され、他方が前記取り付け対象面から離間して浮いた状態となっていることを特徴とする太陽光発電装置。
鉛直面の下方に対する傾き角度がαの取り付け対象面に設けられた複数の太陽光部材であって、太陽光を受光する受光面を有する前記太陽光部材を備えた太陽光発電装置において、
夏至の南中時における太陽の南方に対する仰角を夏至仰角θsとし、冬至の南中時における太陽の南方に対する仰角を冬至仰角θwとし、春分或いは秋分となる日の南中時における太陽の南方に対する仰角を春秋分仰角θmとした場合に、
前記鉛直面の下方に対する受光面の傾き角度θ1が、春秋分仰角θmよりも大きく夏至仰角θs以下の範囲(θm<θ1≦θs)の任意の角度に設定された第1太陽光部材と、
前記鉛直面の下方に対する受光面の傾き角度θ2が、冬至仰角θw以上で春秋分仰角θmよりも小さい範囲(θw≦θ2<θm)の任意の角度に設定された第2太陽光部材と、を有し、
前記第1太陽光部材の受光面の前記傾き角度θ1は、前記夏至仰角θsと同値に設定され、
前記第2太陽光部材の受光面の前記傾き角度θ2は、前記冬至仰角θwと同値に設定され、
前記鉛直面の下方に対する前記取り付け対象面の傾き角度αに関して、該取り付け対象面が前記鉛直面の下方と平行な状態を0°(α=0°)と定義し、該取り付け対象面における上端位置よりも下端位置の方が前記鉛直面の法線方向に沿う側方方向の外方に位置するような傾き状態を正値(α>0)と定義した場合に、
前記傾き角度αは、前記夏至仰角θs以上で前記冬至仰角θw+90°よりも小さい範囲(θs≦α<θw+90°)の任意の角度に設定されており、
前記第一太陽光部材の一方の端縁と前記第二太陽光部材の一方の端縁が連結され、
前記第一太陽光部材の他方の端縁と前記第二太陽光部材の他方の端縁のうちの一方が前記取り付け対象面に固定され、他方が前記取り付け対象面から離間して浮いた状態となっていることを特徴とする太陽光発電装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
かかる太陽光から電気へのエネルギー変換効率は、太陽光パネルの受光面への太陽光の入射角が直角に近い程大きくなる。また、南方基準の太陽の仰角は、年間を通じて変化するので、受光面への入射角も変化する。
【0005】
ここで、一般に、太陽光パネルの受光面は、鉛直面の下方に対して所定の傾き角度θで傾いた状態に固定されている。そして、このとき、この傾き角度θを、太陽光パネルの設置地点における春分又は秋分の日の南中時の太陽の仰角θmと同値に揃えれば、春分又は秋分の日の南中時には太陽光が太陽光パネルの受光面に、より直角に近い入射角で入射するので、春分又は秋分の日の南中時には、そのエネルギー変換効率は高くなる。一方、夏至や冬至の南中時には、太陽光の入射角が、より直角から離れるので、そのエネルギー変換効率は低下することになるが、このように設定しておけば、一年を通して、平均的にある程度のエネルギー変換効率を確保できるので、通常そのようにしている。
【0006】
但し、最近の再生可能エネルギーの活用機運の高まりから、太陽光発電装置のエネルギー変換効率を更に高めたい要望があるが、この点につき、夏期(春分から夏至を経て秋分に至るまでの期間)に特化した傾き角度θsの太陽光パネルと、冬期(秋分から冬至を経て春分に至るまでの期間)に特化した傾き角度θwの太陽光パネルとを備えれば、年間を通して更にエネルギー変換効率を高めることができるものと考えられる。
【0007】
本発明は、上記のような従来の問題に鑑みなされたものであって、その目的は、太陽光発電装置の通年のエネルギー変換効率を高めることにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
かかる目的を達成するために請求項1に示す発明は、
鉛直面の下方に対する傾き角度がαの取り付け対象面に設けられた複数の太陽光部材であって、太陽光を受光する受光面を有する前記太陽光部材を備えた太陽光発電装置において、
夏至の南中時における太陽の南方に対する仰角を夏至仰角θsとし、冬至の南中時における太陽の南方に対する仰角を冬至仰角θwとし、春分或いは秋分となる日の南中時における太陽の南方に対する仰角を春秋分仰角θmとした場合に、
前記鉛直面の下方に対する受光面の傾き角度θ1が、春秋分仰角θmよりも大きく夏至仰角θs以下の範囲(θm<θ1≦θs)の任意の角度に設定された第1太陽光部材と、
前記鉛直面の下方に対する受光面の傾き角度θ2が、冬至仰角θw以上で春秋分仰角θmよりも小さい範囲(θw≦θ2<θm)の任意の角度に設定された第2太陽光部材と、を有
し、
前記第1太陽光部材の受光面の前記傾き角度θ1は、前記夏至仰角θsと同値に設定され、
前記第2太陽光部材の受光面の前記傾き角度θ2は、前記冬至仰角θwと同値に設定され、
前記鉛直面の下方に対する前記取り付け対象面の傾き角度αに関して、該取り付け対象面が前記鉛直面の下方と平行な状態を0°(α=0°)と定義し、該取り付け対象面における上端位置よりも下端位置の方が、前記鉛直面の法線方向に沿う側方方向の外方に位置するような傾き状態を正値(α>0)と定義した場合に、
前記傾き角度αは、前記夏至仰角θs−90°よりも大きく前記冬至仰角θw以下の範囲(θs−90°<α≦θw)の任意の角度に設定されており、
前記第1太陽光部材の上端縁よりも下端縁の方が、前記取り付け対象面の法線方向の外方に位置して設けられ、
前記第2太陽光部材の上端縁よりも下端縁の方が、前記取り付け対象面の法線方向の外方に位置して設けられており、
前記第1太陽光部材は、前記取り付け対象面上に上下方向に並んで複数設けられているとともに、前記複数の第1太陽光部材は、それぞれ、上端縁が前記取り付け対象面に当接して固定されており、
上下方向に隣り合う前記第1太陽光部材同士のうちで、上側の第1太陽光部材の上端縁と下端縁との間の長さがL1である場合に、
下側の第1太陽光部材の上端縁は、前記上側の第1太陽光部材の上端縁の位置から前記取り付け対象面に沿う方向の下方にL1/cos(θs−α)以上離れた位置に固定されていることを特徴とする。
【0009】
上記請求項1に示す発明によれば、鉛直面の下方に対する受光面の傾き角度θ1がθm<θ1≦θsに設定された第1太陽光部材と、同鉛直面の下方に対する受光面の傾き角度θ2がθw≦θ2<θmに設定された第2太陽光部材とを有している。よって、夏期(春分から夏至を経て秋分に至るまでの期間)には、第1太陽光部材が高いエネルギー変換効率でもって太陽光から電気を生成し、冬期(秋分から冬至を経て春分に至るまでの期間)には、第2太陽光部材が高いエネルギー変換効率でもって太陽光から電気を生成するので、年間を通して当該太陽光発電装置は高いエネルギー変換効率で電気を生成可能となる。
また、下側の第1太陽光部材の上端縁の固定位置を、上側の第1太陽光部材の上端縁の位置から取り付け対象面に沿う方向の下方にL1/cos(θs−α)以上離れた位置にしているので、上側の第1太陽光部材の影が、下側の第1太陽光部材の受光面にかかることを回避できる。
【0014】
請求項
2に示す発明は、
鉛直面の下方に対する傾き角度がαの取り付け対象面に設けられた複数の太陽光部材であって、太陽光を受光する受光面を有する前記太陽光部材を備えた太陽光発電装置において、
夏至の南中時における太陽の南方に対する仰角を夏至仰角θsとし、冬至の南中時における太陽の南方に対する仰角を冬至仰角θwとし、春分或いは秋分となる日の南中時における太陽の南方に対する仰角を春秋分仰角θmとした場合に、
前記鉛直面の下方に対する受光面の傾き角度θ1が、春秋分仰角θmよりも大きく夏至仰角θs以下の範囲(θm<θ1≦θs)の任意の角度に設定された第1太陽光部材と、
前記鉛直面の下方に対する受光面の傾き角度θ2が、冬至仰角θw以上で春秋分仰角θmよりも小さい範囲(θw≦θ2<θm)の任意の角度に設定された第2太陽光部材と、を有し、
前記第1太陽光部材の受光面の前記傾き角度θ1は、前記夏至仰角θsと同値に設定され、
前記第2太陽光部材の受光面の前記傾き角度θ2は、前記冬至仰角θwと同値に設定され、
前記鉛直面の下方に対する前記取り付け対象面の傾き角度αに関して、該取り付け対象面が前記鉛直面の下方と平行な状態を0°(α=0°)と定義し、該取り付け対象面における上端位置よりも下端位置の方が、前記鉛直面の法線方向に沿う側方方向の外方に位置するような傾き状態を正値(α>0)と定義した場合に、
前記傾き角度αは、前記夏至仰角θs−90°よりも大きく前記冬至仰角θw以下の範囲(θs−90°<α≦θw)の任意の角度に設定されており、
前記第1太陽光部材の上端縁よりも下端縁の方が、前記取り付け対象面の法線方向の外方に位置して設けられ、
前記第2太陽光部材の上端縁よりも下端縁の方が、前記取り付け対象面の法線方向の外方に位置して設けられており、
前記第2太陽光部材は、前記取り付け対象面上に上下方向に並んで複数設けられているとともに、前記複数の第2太陽光部材は、それぞれ、上端縁が前記取り付け対象面に当接して固定されており、
上下方向に隣り合う前記第2太陽光部材同士のうちで、上側の第2太陽光部材の上端縁と下端縁との間の長さがL2である場合に、
下側の第2太陽光部材の上端縁は、前記上側の第2太陽光部材の上端縁の位置から前記取り付け対象面に沿う方向の下方にL2/cos(θw−α)以上離れた位置に固定されていることを特徴とする。
【0015】
上記請求項
2に示す発明によれば、
鉛直面の下方に対する受光面の傾き角度θ1がθm<θ1≦θsに設定された第1太陽光部材と、同鉛直面の下方に対する受光面の傾き角度θ2がθw≦θ2<θmに設定された第2太陽光部材とを有している。よって、夏期(春分から夏至を経て秋分に至るまでの期間)には、第1太陽光部材が高いエネルギー変換効率でもって太陽光から電気を生成し、冬期(秋分から冬至を経て春分に至るまでの期間)には、第2太陽光部材が高いエネルギー変換効率でもって太陽光から電気を生成するので、年間を通して当該太陽光発電装置は高いエネルギー変換効率で電気を生成可能となる。
また、下側の第2太陽光部材の上端縁の固定位置を、上側の第2太陽光部材の上端縁の位置から取り付け対象面に沿う方向の下方にL2/cos(θw−α)以上離れた位置にしているので、少なくとも冬至の日において、上側の第2太陽光部材の影が、下側の第2太陽光部材の受光面にかかることを回避できる。
【0016】
請求項
3に示す発明は、請求項
1又は2に記載の太陽光発電装置であって、
上下方向に隣り合う前記第1太陽光部材同士の間に、前記第2太陽光部材が配置されていることを特徴とする。
【0017】
上記請求項
3に示す発明によれば、第1太陽光部材同士の間に第2太陽光部材を配置している。ここで、この第1太陽光部材同士の間の部分というのは、第1太陽光部材のエネルギー変換効率が高い夏期には、第1太陽光部材の影が出来やすい部分であるため、夏期にはデッドスペースとなり得るが、一方、冬期にあっては、夏期と比べて太陽の高度が低くなるために、第1太陽光部材の影は小さくなって当該影が出来難い部分となる。そのため、当該部分に第2太陽光部材を配置することで、冬期に高いエネルギー変換効率で太陽光を電気に変換して冬期の発電量を増やすことができる。すなわち、第1太陽光部材の影の発生の関係で、第1太陽光部材を配置できなかったデッドスペースに第2太陽光部材を配置しているので、取り付け対象面上の空きスペースの縮小化を図れる。
【0029】
請求項
4に示す発明は、
鉛直面の下方に対する傾き角度がαの取り付け対象面に設けられた複数の太陽光部材であって、太陽光を受光する受光面を有する前記太陽光部材を備えた太陽光発電装置において、
夏至の南中時における太陽の南方に対する仰角を夏至仰角θsとし、冬至の南中時における太陽の南方に対する仰角を冬至仰角θwとし、春分或いは秋分となる日の南中時における太陽の南方に対する仰角を春秋分仰角θmとした場合に、
前記鉛直面の下方に対する受光面の傾き角度θ1が、春秋分仰角θmよりも大きく夏至仰角θs以下の範囲(θm<θ1≦θs)の任意の角度に設定された第1太陽光部材と、
前記鉛直面の下方に対する受光面の傾き角度θ2が、冬至仰角θw以上で春秋分仰角θmよりも小さい範囲(θw≦θ2<θm)の任意の角度に設定された第2太陽光部材と、を有し、
前記第1太陽光部材の受光面の前記傾き角度θ1は、前記夏至仰角θsと同値に設定され、
前記第2太陽光部材の受光面の前記傾き角度θ2は、前記冬至仰角θwと同値に設定され、
前記鉛直面の下方に対する前記取り付け対象面の傾き角度αに関して、該取り付け対象面が前記鉛直面の下方と平行な状態を0°(α=0°)と定義し、該取り付け対象面における上端位置よりも下端位置の方が前記鉛直面の法線方向に沿う側方方向の外方に位置するような傾き状態を正値(α>0)と定義した場合に、
前記傾き角度αは、前記夏至仰角θs以上で前記冬至仰角θw+90°よりも小さい範囲(θs≦α<θw+90°)の任意の角度に設定されており、
前記第1太陽光部材の前記側方方向の外端縁よりも前記側方方向の内端縁の方が、前記取り付け対象面の法線方向の外方に位置して設けられ、
前記第2太陽光部材の前記側方方向の外端縁よりも前記側方方向の内端縁の方が、前記取り付け対象面の法線方向の外方に位置して設けられており、
前記第2太陽光部材は、前記取り付け対象面上に前記側方方向に並んで複数設けられているとともに、前記複数の第2太陽光部材は、それぞれ、前記側方方向の外端縁が前記取り付け対象面に当接して固定されており、
前記側方方向に隣り合う前記第2太陽光部材同士のうちで、前記側方方向の外側の第2太陽光部材の外端縁と内端縁との間の長さがL2である場合に、
前記側方方向の内側の第2太陽光部材の外端縁は、前記外側の第2太陽光部材の外端縁の位置から前記取り付け対象面に沿う方向の内方にL2/cos(α−θw)以上離れた位置に固定されていることを特徴とする。
【0030】
上記請求項
4に示す発明によれば、
鉛直面の下方に対する受光面の傾き角度θ1がθm<θ1≦θsに設定された第1太陽光部材と、同鉛直面の下方に対する受光面の傾き角度θ2がθw≦θ2<θmに設定された第2太陽光部材とを有している。よって、夏期(春分から夏至を経て秋分に至るまでの期間)には、第1太陽光部材が高いエネルギー変換効率でもって太陽光から電気を生成し、冬期(秋分から冬至を経て春分に至るまでの期間)には、第2太陽光部材が高いエネルギー変換効率でもって太陽光から電気を生成するので、年間を通して当該太陽光発電装置は高いエネルギー変換効率で電気を生成可能となる。
また、内側の第2太陽光部材の外端縁の固定位置を、外側の第2太陽光部材の外端縁の位置から取り付け対象面に沿う方向の内方にL2/cos(α−θw)以上離れた位置にしているので、少なくとも冬期の南中時において、外側の第2太陽光部材の影が、内側の第2太陽光部材の受光面にかかることを回避できる。
【0031】
請求項
5に示す発明は、
鉛直面の下方に対する傾き角度がαの取り付け対象面に設けられた複数の太陽光部材であって、太陽光を受光する受光面を有する前記太陽光部材を備えた太陽光発電装置において、
夏至の南中時における太陽の南方に対する仰角を夏至仰角θsとし、冬至の南中時における太陽の南方に対する仰角を冬至仰角θwとし、春分或いは秋分となる日の南中時における太陽の南方に対する仰角を春秋分仰角θmとした場合に、
前記鉛直面の下方に対する受光面の傾き角度θ1が、春秋分仰角θmよりも大きく夏至仰角θs以下の範囲(θm<θ1≦θs)の任意の角度に設定された第1太陽光部材と、
前記鉛直面の下方に対する受光面の傾き角度θ2が、冬至仰角θw以上で春秋分仰角θmよりも小さい範囲(θw≦θ2<θm)の任意の角度に設定された第2太陽光部材と、を有し、
前記第1太陽光部材の受光面の前記傾き角度θ1は、前記夏至仰角θsと同値に設定され、
前記第2太陽光部材の受光面の前記傾き角度θ2は、前記冬至仰角θwと同値に設定され、
前記鉛直面の下方に対する前記取り付け対象面の傾き角度αに関して、該取り付け対象面が前記鉛直面の下方と平行な状態を0°(α=0°)と定義し、該取り付け対象面における上端位置よりも下端位置の方が前記鉛直面の法線方向に沿う側方方向の外方に位置するような傾き状態を正値(α>0)と定義した場合に、
前記傾き角度αは、前記夏至仰角θs以上で前記冬至仰角θw+90°よりも小さい範囲(θs≦α<θw+90°)の任意の角度に設定されており、
前記第1太陽光部材の前記側方方向の外端縁よりも前記側方方向の内端縁の方が、前記取り付け対象面の法線方向の外方に位置して設けられ、
前記第2太陽光部材の前記側方方向の外端縁よりも前記側方方向の内端縁の方が、前記取り付け対象面の法線方向の外方に位置して設けられており、
前記第1太陽光部材は、前記取り付け対象面上に前記側方方向に並んで複数設けられているとともに、前記複数の第1太陽光部材は、それぞれ、前記側方方向の外端縁が前記取り付け対象面に当接して固定されており、
前記側方方向に隣り合う前記第1太陽光部材同士のうちで、前記側方方向の外側の第1太陽光部材の外端縁と内端縁との間の長さがL1である場合に、
前記側方方向の内側の第1太陽光部材の外端縁は、前記外側の第1太陽光部材の外端縁の位置から前記取り付け対象面に沿う方向の内方にL1/cos(α−θs)以上離れた位置に固定されていることを特徴とする。
【0032】
上記請求項
5に示す発明によれば、
鉛直面の下方に対する受光面の傾き角度θ1がθm<θ1≦θsに設定された第1太陽光部材と、同鉛直面の下方に対する受光面の傾き角度θ2がθw≦θ2<θmに設定された第2太陽光部材とを有している。よって、夏期(春分から夏至を経て秋分に至るまでの期間)には、第1太陽光部材が高いエネルギー変換効率でもって太陽光から電気を生成し、冬期(秋分から冬至を経て春分に至るまでの期間)には、第2太陽光部材が高いエネルギー変換効率でもって太陽光から電気を生成するので、年間を通して当該太陽光発電装置は高いエネルギー変換効率で電気を生成可能となる。
また、内側の第1太陽光部材の外端縁の固定位置を、外側の第1太陽光部材の外端縁の位置から取り付け対象面に沿う方向の内方にL1/cos(α−θs)以上離れた位置にしているので、少なくとも夏至の南中時において、外側の第1太陽光部材の影が、内側の第1太陽光部材の受光面にかかることを回避できる。
【0033】
請求項
6に示す発明は、請求項
4又は5に記載の太陽光発電装置であって、
前記側方方向に隣り合う前記第2太陽光部材同士の間に、前記第1太陽光部材が配置されていることを特徴とする。
【0034】
上記請求項
6に示す発明によれば、第2太陽光部材同士の間に第1太陽光部材を配置している。ここで、この第2太陽光部材同士の間の部分というのは、第2太陽光部材のエネルギー変換効率が高い冬期には、第2太陽光部材の影が出来やすい部分であるため、冬期にはデッドスペースとなるが、一方、夏期にあっては、冬期と比べて太陽の高度が高くなるために、第2太陽光部材の影は小さくなって当該影が出来難い部分となる。そのため、当該部分に第1太陽光部材を配置することで、夏期に高いエネルギー変換効率で太陽光を電気に変換して夏期の発電量を増やすことができる。すなわち、第2太陽光部材の影の発生の関係で、第2太陽光部材を配置できなかったデッドスペースに第1太陽光部材を配置しているので、取り付け対象面上の空きスペースの縮小化を図れる。
【0035】
請求項
7に示す発明は、
鉛直面の下方に対する傾き角度がαの取り付け対象面に設けられた複数の太陽光部材であって、太陽光を受光する受光面を有する前記太陽光部材を備えた太陽光発電装置において、
夏至の南中時における太陽の南方に対する仰角を夏至仰角θsとし、冬至の南中時における太陽の南方に対する仰角を冬至仰角θwとし、春分或いは秋分となる日の南中時における太陽の南方に対する仰角を春秋分仰角θmとした場合に、
前記鉛直面の下方に対する受光面の傾き角度θ1が、春秋分仰角θmよりも大きく夏至仰角θs以下の範囲(θm<θ1≦θs)の任意の角度に設定された第1太陽光部材と、
前記鉛直面の下方に対する受光面の傾き角度θ2が、冬至仰角θw以上で春秋分仰角θmよりも小さい範囲(θw≦θ2<θm)の任意の角度に設定された第2太陽光部材と、を有し、
前記第1太陽光部材の受光面の前記傾き角度θ1は、前記夏至仰角θsと同値に設定され、
前記第2太陽光部材の受光面の前記傾き角度θ2は、前記冬至仰角θwと同値に設定され、
前記鉛直面の下方に対する前記取り付け対象面の傾き角度αに関して、該取り付け対象面が前記鉛直面の下方と平行な状態を0°(α=0°)と定義し、該取り付け対象面における上端位置よりも下端位置の方が、前記鉛直面の法線方向に沿う側方方向の外方に位置するような傾き状態を正値(α>0)と定義した場合に、
前記傾き角度αは、前記夏至仰角θs−90°よりも大きく前記冬至仰角θw以下の範囲(θs−90°<α≦θw)の任意の角度に設定されており、
前記第一太陽光部材の一方の端縁と前記第二太陽光部材の一方の端縁が連結され、
前記第一太陽光部材の他方の端縁と前記第二太陽光部材の他方の端縁のうちの一方が前記取り付け対象面に固定され、他方が前記取り付け対象面から離間して浮いた状態となっていることを特徴とする。
【0036】
上記請求項
7に示す発明によれば、
鉛直面の下方に対する受光面の傾き角度θ1がθm<θ1≦θsに設定された第1太陽光部材と、同鉛直面の下方に対する受光面の傾き角度θ2がθw≦θ2<θmに設定された第2太陽光部材とを有している。よって、夏期(春分から夏至を経て秋分に至るまでの期間)には、第1太陽光部材が高いエネルギー変換効率でもって太陽光から電気を生成し、冬期(秋分から冬至を経て春分に至るまでの期間)には、第2太陽光部材が高いエネルギー変換効率でもって太陽光から電気を生成するので、年間を通して当該太陽光発電装置は高いエネルギー変換効率で電気を生成可能となる。
また、意匠的に面白い太陽光部材を実現できる。
【0037】
請求項
8に示す発明は、
鉛直面の下方に対する傾き角度がαの取り付け対象面に設けられた複数の太陽光部材であって、太陽光を受光する受光面を有する前記太陽光部材を備えた太陽光発電装置において、
夏至の南中時における太陽の南方に対する仰角を夏至仰角θsとし、冬至の南中時における太陽の南方に対する仰角を冬至仰角θwとし、春分或いは秋分となる日の南中時における太陽の南方に対する仰角を春秋分仰角θmとした場合に、
前記鉛直面の下方に対する受光面の傾き角度θ1が、春秋分仰角θmよりも大きく夏至仰角θs以下の範囲(θm<θ1≦θs)の任意の角度に設定された第1太陽光部材と、
前記鉛直面の下方に対する受光面の傾き角度θ2が、冬至仰角θw以上で春秋分仰角θmよりも小さい範囲(θw≦θ2<θm)の任意の角度に設定された第2太陽光部材と、を有し、
前記第1太陽光部材の受光面の前記傾き角度θ1は、前記夏至仰角θsと同値に設定され、
前記第2太陽光部材の受光面の前記傾き角度θ2は、前記冬至仰角θwと同値に設定され、
前記鉛直面の下方に対する前記取り付け対象面の傾き角度αに関して、該取り付け対象面が前記鉛直面の下方と平行な状態を0°(α=0°)と定義し、該取り付け対象面における上端位置よりも下端位置の方が前記鉛直面の法線方向に沿う側方方向の外方に位置するような傾き状態を正値(α>0)と定義した場合に、
前記傾き角度αは、前記夏至仰角θs以上で前記冬至仰角θw+90°よりも小さい範囲(θs≦α<θw+90°)の任意の角度に設定されており、
前記第一太陽光部材の一方の端縁と前記第二太陽光部材の一方の端縁が連結され、
前記第一太陽光部材の他方の端縁と前記第二太陽光部材の他方の端縁のうちの一方が前記取り付け対象面に固定され、他方が前記取り付け対象面から離間して浮いた状態となっていることを特徴とする。
【0038】
上記請求項
8に示す発明によれば、
鉛直面の下方に対する受光面の傾き角度θ1がθm<θ1≦θsに設定された第1太陽光部材と、同鉛直面の下方に対する受光面の傾き角度θ2がθw≦θ2<θmに設定された第2太陽光部材とを有している。よって、夏期(春分から夏至を経て秋分に至るまでの期間)には、第1太陽光部材が高いエネルギー変換効率でもって太陽光から電気を生成し、冬期(秋分から冬至を経て春分に至るまでの期間)には、第2太陽光部材が高いエネルギー変換効率でもって太陽光から電気を生成するので、年間を通して当該太陽光発電装置は高いエネルギー変換効率で電気を生成可能となる。
また、意匠的に面白い太陽光部材を実現できる。
【発明の効果】
【0045】
本発明によれば、太陽光発電装置の通年のエネルギー変換効率を高めることができる。
【発明を実施するための形態】
【0047】
===本実施形態===
始めに
図1の概略側面図を参照しながら、本発明の基本構成について説明する。
本発明の太陽光発電装置は、複数の第1太陽光パネル10,10…(第1太陽光部材に相当)と、複数の第2太陽光パネル20,20…(第2太陽光部材に相当)とを有している。何れの太陽光パネル10,20も受光面10a,20aを有し、受光面10a,20aで太陽光を受光することにより発電する。そして、各太陽光パネル10,20は、受光面10a,20aへの太陽光の入射角が直角に近い程、太陽光から電気へのエネルギー変換効率が高くなるという特性を有する。なお、当該太陽光パネル10,20には、シリコン半導体などを主な材料とした薄膜状の太陽電池セルなどの周知構成を適用可能であり、かかる太陽電池セルの場合には、その薄膜の略平坦面が、上述の受光面10a,20aに該当する。
【0048】
第1太陽光パネル10の受光面10a及び第2太陽光パネル20の受光面20aの何れに対しても、共通の鉛直面Asを基準として傾き角度θ1,θ2が設定されており、つまり、当該鉛直面Asの下方に対して所定の傾き角度θ1,θ2だけ傾いた状態に配置されている。そして、かかる傾き角度θ1,θ2は、互いに異なっている。すなわち、第1太陽光パネル10の受光面10aは、夏期に高いエネルギー変換効率を奏するような傾き角度θ1に設定されており、他方、第2太陽光パネル20の受光面20aは、冬期に高いエネルギー変換効率を奏するような傾き角度θ2に設定されている。
【0049】
ここで、この傾き角度θ1及びθ2について説明する前に、用語を定義する。先ず、夏至の南中時における太陽の南方に対する仰角を夏至仰角θsと言い、また、冬至の南中時における太陽の南方に対する仰角を冬至仰角θwと言い、更に、春分或いは秋分となる日の南中時における太陽の南方に対する仰角を春秋分仰角θmと言う。
【0050】
そして、夏期の発電に特化した第1太陽光パネル10にあっては、受光面10aの傾き角度θ1が、春秋分仰角θmよりも大きく夏至仰角θs以下の範囲(θm<θ1≦θs)の任意の角度に設定されている。また、冬期の発電に特化した第2太陽光パネル20にあっては、受光面20aの傾き角度θ2が、冬至仰角θw以上で春秋分仰角θmよりも小さい範囲(θw≦θ2<θm)の任意の角度に設定されている。例えば、緯度が35°の東京では、夏至仰角θsが78°(=90°−35°+23.4°)で、冬至仰角θwが32°(90°−35°−23.4°)で、春秋分仰角θmが55°(=90°−35°)なので、その場合には、第1太陽光パネル10の傾き角度θ1は、55°<θ1≦78°の任意の角度に設定され、第2太陽光パネル20の傾き角度θ2は、32°≦θ2<55°の任意の角度に設定されている。よって、夏期には、第1太陽光パネル10の受光面10aに太陽光が、より直角に近い入射角で入射し、他方、冬期には、第2太陽光パネル20の受光面20aに太陽光が、より直角に近い入射角で入射するので、年間を通して太陽光発電装置は高いエネルギー変換効率で発電可能である。
【0051】
かかる第1及び第2太陽光パネル10,20を取り付ける取り付け対象面3としては、建物等の構築物が具備する面のうちで、夏至の南中時と冬至の南中時との両者において直射日光が当たるような面が挙げられる。例えば、
図1に示すような建物の外壁部等の略鉛直面部4や、建物の屋根部等の略水平面部6(
図17を参照)、これら略鉛直面部4と略水平面部6との間の傾斜を有した略斜面部5(
図11を参照)などへの取り付けが想定されるが、何れの場合も、夏至の南中時と冬至の南中時との両者において直射日光が当たるような面が、取り付け対象面3となる。なお、
図1、
図11、及び
図17の例では、取り付け対象面3が南北方向と平行な方向を向いている場合を例示しているが、上記条件を満足するような取り付け対象面3であれば、南北方向と平行な方向以外を向いていても良い。
【0052】
また、本実施形態では、第1太陽光パネル10の受光面10aの傾き角度θ1として、上述の範囲θm<θ1≦θsのなかから夏至仰角θsを選択し、上記θ1を夏至仰角θsと同値に設定しており、また、第2太陽光パネル20の受光面20aの傾き角度θ2として、上述の範囲θw≦θ2<θmのなかから冬至仰角θwを選択し、上記θ2を冬至仰角θwと同値に設定している。
【0053】
そして、このように第1太陽光パネル10の傾き角度θ1をθsに、また第2太陽光パネル20の傾き角度θ2をθwに設定した場合には、これら第1及び第2太陽光パネル10,20を取り付けるべき取り付け対象面3が、鉛直面Asの下方との間で形成する傾き角度αに応じて、その取り付け態様が、第1〜第3の三態様に大別される。ちなみに、上述の傾き角度αを規定する「鉛直面As」と言うのは、前述の受光面10a、20aの傾き角度θ1,θ2を規定した鉛直面Asと同一面或いは平行な面のことを指す。
【0054】
図2は、かかる第1〜第3態様の説明図である。なお、以下では、水平方向の側方方向のうちの一方側を外方と言い、他方側を内方と言う。ちなみに、「外方」は、建物(構築物)の外方に対応し、「内方」は建物の内方に対応しており、また、当該側方方向は、上述の鉛直面Asの法線方向にも相当する。
【0055】
また、ここでは、傾き角度αの定義として、取り付け対象面3が鉛直面Asの下方と平行な状態をα=0°とし、取り付け対象面3における上端位置よりも下端位置の方が、鉛直面Asの法線方向たる側方方向の外方に突出した傾き状態をα>0としている(
図2では時計回りの方向)。そして、αが、0<α<90°の範囲では、取り付け対象面3は側方方向の外方(正確には、外方斜め上方)を向いているが、α=90°では、取り付け対象面3が水平面となって同面3は鉛直上方を向き、更に90°<α<180°の範囲では、側方方向の内方(正確には、内方斜め上方)を向いた状態になる。
【0056】
図2に示すように、第1態様は、建物の略鉛直面部4を取り付け対象面3とする場合であり、第2態様は、略斜面部5を取り付け対象面3とする場合であり、第3態様は、略水平面部6を取り付け対象面3とする場合である。具体的には、第1態様は、取り付け対象面3の傾き角度αが、θs−90°<α≦θwの場合であり、第2態様は、取り付け対象面3の傾き角度αが、θw<α<θsの場合であり、第3態様は、取り付け対象面3の傾き角度αが、θs≦α<θw+90°の場合である。より具体的に言えば、緯度が35°の東京の場合には、夏至仰角θsが78°で、冬至仰角θwが32°なので、第1態様は−12°<α≦32°となり、第2態様は32°<α<78°となり、第3態様は78°≦α<122°となる。以下、かかる角度範囲で三区分される理由を含め、第1〜第3の各態様について詳しく説明する。
【0057】
<<<第1態様>>>
図1の第1態様は、既述のように略鉛直面部4を取り付け対象面3としている。更に繰り返して言えば、取り付け対象面3の傾き角度αは、θs−90°<α≦θwの範囲の任意値に設定されており、東京の場合には、−12°<α≦32°の範囲の任意値に設定されている。なお、以下では、文中に傾き角度αの記載が登場する度に、当該傾き角度αをイメージし易いように、その直後の括弧内に東京での数値例を併記する。そして、かかる傾き角度αの取り付け対象面3には、複数の第1太陽光パネル10,10…と複数の第2太陽光パネル20,20…とが、ルーバー状に上下方向に並んで配置されている。
【0058】
ここで、第1太陽光パネル10は、その上端縁10euにて取り付け対象面3に当接固定されて片持ち支持されており、つまり、この上端縁10euよりも下端縁10edの方が取り付け対象面3の法線方向の外方に位置して設けられており、これにより、鉛直面Asの下方に対する傾き角度θ1はθsに設定されている。また、第2太陽光パネル20の方も、その上端縁20euにて取り付け対象面3に当接固定されて片持ち支持されており、つまり、この上端縁20euよりも下端縁20edの方が取り付け対象面3の法線方向の外方に位置して設けられており、これにより、鉛直面Asの下方に対する傾き角度θ2はθwに設定されている。
【0059】
よって、傾き角度αが、θs−90°<α≦θw(東京では、−12°<α≦32°)の条件を満足するような取り付け対象面3であれば、同取り付け対象面3に第1太陽光パネル10と第2太陽光パネル20とを問題無く取り付け可能である。詳しく説明すると、先ず、この第1態様において、αが上記条件を低い側に外れるθs−90°≧αの場合(東京では、−12°≧α)には、
図3Aに示すように、夏至の南中時の太陽の仰角θsたる夏至仰角θs(東京では、θs=78°)の時に、第1太陽光パネル10の受光面10aの一部に取り付け対象面3の影が入ってしまい問題となる。また、αが上記条件を高い側に外れるα>θwの場合(東京では、α>32°の場合)には、取り付け対象面3に第2太陽光パネル20を取り付けようとすると、
図3Bに示すように第2太陽光パネル20の下部20dを取り付け対象面3に埋設せざるを得なくなり、容易に取り付けられずに問題となる。この点につき、上記条件を満足すれば、これらの問題を回避可能である。すなわち、取り付け対象面3の傾き角度αが、θs−90°<α≦θw(東京では、−12°<α≦32°)の条件を満たせば、取り付け対象面3の影が第1太陽光パネル10の受光面10aにかかることを回避しつつ、取り付け対象面3に確実且つ容易に第2太陽光パネル20を取り付け可能となる。
【0060】
かかる取り付け対象面3には、
図1に示すように複数の第1太陽光パネル10,10…が設けられており、各第1太陽光パネル10は、それぞれ上下方向に隣り合う第1太陽光パネル10との間に間隔を空けて配置されている。そして、この間隔に関しては、次のように設定すると良い。すなわち、
図4に示すように、上下方向に隣り合う第1太陽光パネル10,10同士のうちで、上側の第1太陽光パネル10の上端縁10euと下端縁10edとの間の長さをL1とした場合に、下側の第1太陽光パネル10の上端縁10euが、上側の第1太陽光パネル10の上端縁10euの位置から取り付け対象面3に沿う方向の下方に距離D1(=L1/cos(θs−α))以上離れた位置に固定されていると良い。そうすれば、第1太陽光パネル10の影が、その下方に隣り合う第1太陽光パネル10の受光面10aにかかることを、年間を通じて回避可能となる。詳しくは次の通りである。
【0061】
先ず、この距離D1に係るL1/cos(θs−α)という数式は、
図4を参照してわかるように、夏至の南中時に取り付け対象面3上に形成される第1太陽光パネル10の影の長さを表している。そして、この夏至の南中時が、年間のうちで太陽の高度が最も高いことから、第1態様の如き略鉛直面部4に形成される影の場合には、この夏至の南中時の影の長さが年間を通じた最長のものとなる。そのため、上記のように第1太陽光パネル10,10同士を距離D1以上離しておけば、第1太陽光パネル10の影が、その下方に隣り合う第1太陽光パネル10の受光面10aにかかることを、年間に亘って回避することができて、結果、下側の第1太陽光パネル10の受光面10aは、年間に亘ってその上方の第1太陽光パネル10の影の影響から解放される。
【0062】
なお、
図1の例では、第1太陽光パネル10の長さL1は、全ての第1太陽光パネル10,10…に亘り同寸に揃っているため、上記の距離D1(=L1/cos(θs−α))の値は、全ての第1太陽光パネル10,10…に関して同値となる。そして、
図1の例では、全ての第1太陽光パネル10,10…は、距離D1以上となる所定値P1を、取り付け対象面3上の上下方向の配置ピッチとして配置されており、これにより各第1太陽光パネル10,10…は、それぞれ自身よりも上方に位置する第1太陽光パネル10の影の影響から解放されている。
【0063】
他方、取り付け対象面3には第2太陽光パネル20,20…も設けられている。そして、
図1の例では、上下方向に隣り合う第1太陽光パネル10,10同士の間の位置に、第2太陽光パネル20が設けられている。ここで、同位置に第2太陽光パネル20が設けられている理由は、次の通りである。
図5Aに示すように、この取り付け対象面3における第1太陽光パネル10,10同士の間の位置というのは、第1太陽光パネル10のエネルギー変換効率が高い夏期には、第1太陽光パネル10の影が出来やすい部分である。そのため、夏期にはデッドスペースとなる。但し、
図5Bに示すように、冬期にあっては、夏期と比べて太陽の高度が低くなることから、第1太陽光パネル10の影は小さくなって当該影が出来難くなる。そのため、冬期に特化した第2太陽光パネル20にあっては、第1太陽光パネル10,10同士の間の位置に配置可能であり、配置すれば、冬期に高いエネルギー変換効率で太陽光を電気に変換して冬期の発電量を増やすことができて、かような理由から、第1太陽光パネル10,10同士の間の位置に第2太陽光パネル20を配置している。
【0064】
この例では、
図1に示すように、上下方向に隣り合う第1太陽光パネル10,10同士の間の位置に、複数の一例として三つの第2太陽光パネル20,20,20が上下方向に整列して配置されているが、何等これに限らず、一つや二つでも良いし、四つ以上でも良い。なお、第2太陽光パネル20を複数設ける場合には、上述の第1太陽光パネル10の場合と同様に、受光面20aへの影の影響が小さくなるように考慮して第2太陽光パネル20,20同士の間の距離が設定されるのが望ましい。
【0065】
すなわち、
図6に示すように、上下方向に隣り合う第2太陽光パネル20,20同士のうちで、上側の第2太陽光パネル20の上端縁20euと下端縁20edとの間の長さをL2とした場合に、下側の第2太陽光パネル20の上端縁20euが、上側の第2太陽光パネル20の上端縁20euの位置から取り付け対象面3に沿う方向の下方に距離D2(=L2/cos(θw−α))以上離れた位置に固定されていると良い。このようにすれば、第2太陽光パネル20の影が、その下方に隣り合う第2太陽光パネル20の受光面20aにかかることを、少なくとも冬至の日については回避可能となる。詳しくは次の通りである。
【0066】
先ず、この距離D2に係るL2/cos(θw−α)という数式は、
図6を参照してわかるように、冬至の南中時に取り付け対象面3上に形成される第2太陽光パネル20の影の長さを表している。そして、この冬至の南中時というのは、冬至の日のうちで取り付け対象面3に形成される影の長さが最長になる時刻である。そのため、上記のように第2太陽光パネル20,20同士を距離D2以上離しておけば、第2太陽光パネル20の影が、その下方に隣り合う第2太陽光パネル20の受光面20aにかかることを、少なくとも冬至の日については回避可能となり、結果、同冬至の日については、下側の第2太陽光パネル20の受光面20aは、その上方の第2太陽光パネル20の影の影響から解放される。
【0067】
なお、
図1の例では、第2太陽光パネル20の長さL2は、全ての第2太陽光パネル20,20…に亘り同寸に揃っているため、上記の距離D2(=L2/cos(θw−α))の値も、全ての第2太陽光パネル20,20…に関して同値となる。そして、
図1の例では、第1太陽光パネル10,10同士の間の各第2太陽光パネル20は、距離D2以上となる所定値P2を、取り付け対象面3上の上下方向の配置ピッチとして配置されており、これにより各第2太陽光パネル20,20…は、それぞれ自身よりも上方に位置する第2太陽光パネル20の影の影響から解放されている。
【0068】
また、取り付け対象面3の面積に余裕が有る場合には、上述の距離D2を更に拡大して、つまり距離D2を下式1から得られる値にしても良い。
D2=L2×cos(θw−α)
+L2×tan(θm−α)×sin(θw−α) … (1)
【0069】
ここで、かかる式1は、
図7に示すように、春分の日又は秋分の日の南中時に取り付け対象面3上に形成される第2太陽光パネル20の影の長さを示している。そして、この春分の日又は秋分の日の南中時の影の長さは、冬期のうちで最長である。従って、下側の第2太陽光パネル20の上端縁20euを、上側の第2太陽光パネル20の上端縁20euの位置から取り付け対象面3に沿う方向の下方に、当該距離D2以上離れた位置に固定すれば、冬期の全ての日に亘って、第2太陽光パネル20の影が、その下方に隣り合う第2太陽光パネル20の受光面20aにかかることを回避可能となる。その結果、冬期に特化した第2太陽光パネル20を有効に使用して冬期の発電量を効果的に増やすことができる。なお、上式1は、
図7の幾何学的関係から得ることができる。
【0070】
ところで、上述のように第2太陽光パネル20を第1太陽光パネル10,10同士の間に配置している場合には、第1太陽光パネル10の影が第2太陽光パネル20の受光面20aにかかる虞や、或いは第2太陽光パネル20の影が第1太陽光パネル10の受光面10aにかかる虞がある。例えば、第1太陽光パネル10の下方の隣に第2太陽光パネル20が位置している場合には、第1太陽光パネル10の影が第2太陽光パネル20の受光面20aにかかる虞があり、逆に、第2太陽光パネル20の下方の隣に第1太陽光パネル10が位置している場合には、第2太陽光パネル20の影が第1太陽光パネル10の受光面10aにかかる虞がある。
【0071】
そのため、これら互いに上下方向に隣り合う第1太陽光パネル10と第2太陽光パネル20との位置関係に関しても、上述と同様に受光面10a,20aへの影の影響を考慮して、第1太陽光パネル10と第2太陽光パネル20との間の距離を設定するのが望ましい。以下では、
図8Aのように第1太陽光パネル10の下方の隣に第2太陽光パネル20が位置している場合において互いの間で離すべき距離の下限値のことを、「距離D12」と言い、また
図8Bのように第2太陽光パネル20の下方の隣に第1太陽光パネル10が位置している場合において互いの間で離すべき距離の下限値のことを、「距離D21」と言う。
【0072】
先ず、
図8Aを参照しつつ距離D12について説明すると、第2太陽光パネル20は冬期に有効に発電すべきである。また、この冬期において第1太陽光パネル10の影が最長になるのは、春分の日或いは秋分の日の南中時である。そして、この最長の長さは、幾何学的関係から、前述の式1中の「θw」をθsに置き換えるとともに、同式1中の「L2」をL1に置き換えれば得ることができ、当該最長の長さが距離D12に相当するので、当該距離D12は下式2で表される。
D12=L1×cos(θs−α)
+L1×tan(θm−α)×sin(θs−α) … (2)
【0073】
よって、下側の第2太陽光パネル20の上端縁20euが、上側の第1太陽光パネル10の上端縁10euの位置から取り付け対象面3に沿う方向の下方に距離D12以上離れた位置に固定されていれば、第1太陽光パネル10の影が、その下方に隣り合う第2太陽光パネル20の受光面20aにかかることを、冬期の全ての日に亘って回避可能となる。
【0074】
次に、
図8B参照しつつ距離D21について説明すると、第1太陽光パネル10は夏期に有効に発電すべきである。また、この夏期において第2太陽光パネル20の影が最長になるのは、夏至の南中時である。そして、この最長の長さは、前述の式1中の「θm」をθsに置き換えれば得ることができ、当該最長の長さが距離D21に相当するので、当該距離D21は下式3で表される。
D21=L2×cos(θw−α)
+L2×tan(θs−α)×sin(θw−α) … (3)
【0075】
よって、下側の第1太陽光パネル10の上端縁10euが、上側の第2太陽光パネル20の上端縁20euの位置から取り付け対象面3に沿う方向の下方に距離D21以上離れた位置に固定されていれば、第2太陽光パネル20の影が、その下方に隣り合う第1太陽光パネル10の受光面10aにかかることを、夏期の全ての日に亘って回避可能となる。
【0076】
このような第1態様に係る取り付け対象面3、つまり略鉛直面部4の具体例としては、基本的には、建物の鉛直な外壁部や急勾配で傾斜した外壁部、鉛直な窓部や急勾配で傾斜した窓部などが挙げられる。但し、取り付け対象面3は、現実には存在しない仮想面であっても良い。例えば、全面ガラス張りの建物の如く、外壁部の代用としてガラス板9が使用されている場合には、
図9に示すように当該ガラス板9よりも屋内側の位置に第1太陽光パネル10,10…及び第2太陽光パネル20,20…を配置することが想定される。そして、かかる場合には、これら第1及び第2太陽光パネル10,20は屋内の柱8aや梁8bに設けられた適宜なステイ部材(不図示)に支持されることも有り得て、そうすると、取り付け対象面3に相当する構成が存在しなくても良いことになるが、その場合には、取り付け対象面3を仮想面と考えれば良い。
【0077】
ところで、上述の例では、第1太陽光パネル10の受光面10aの傾き角度θ1を夏至仰角θsと同値の固定値とし、また、第2太陽光パネル20の受光面20aの傾き角度θ2を冬至仰角θwと同値の固定値としていたが、何等これに限らない。すなわち、既述のように、第1太陽光パネル10の傾き角度θ1については、θm<θ1≦θsの範囲(東京では、55°<θ1≦78°)であれば任意値に設定して良く、また、第2太陽光パネル20の傾き角度θ2についても、θw≦θ2<θmの範囲(東京では、32°≦θ1<55°)であれば任意値に設定して良い。そして、それぞれこの範囲内に設定されれば、夏期には、第1太陽光パネル10の受光面10aに太陽光が、より直角に近い入射角で入射し、他方、冬期には、第2太陽光パネル20の受光面20aに太陽光が、より直角に近い入射角で入射することになり、これにより第1太陽光パネル10及び第2太陽光パネル20は、それぞれ夏期及び冬期の発電に特化したものとなる。
【0078】
更には、第1太陽光パネル10の傾き角度θ1及び第2太陽光パネル20の傾き角度θ2を、日毎に変更しても良い。例えば、
図10の概略側面図に示すように、第1太陽光パネル10の傾き角度θ1を、春分の日から夏至の日にかけて日の経過と伴に、θmよりも若干大きいθmaからθsへと漸増させる一方、夏至を境にこの動作を反転させて、つまり夏至の日から秋分の日にかけて日の経過と伴にθsからθmaへと漸減させても良い。また、同様に、第2太陽光パネル20の傾き角度θ2の方も、秋分の日から冬至の日にかけて日の経過と伴に、θmよりも若干小さいθmbからθwへと漸減させる一方、冬至を境にこの動作を反転させて、つまり冬至の日から春分の日にかけて日の経過と伴にθwからθmbへと漸増させても良い。
【0079】
そして、このように変更すれば、夏期の全ての日に亘って、南中時に太陽光がより直角に入射するような向きに、第1太陽光パネル10の受光面10aを向けることができる一方、冬期の全ての日に亘って南中時に太陽光がより直角に入射するような向きに、第2太陽光パネル20の受光面20aを向けることができる。その結果、太陽光発電装置のエネルギー変換効率を更に高めることができる。
【0080】
なお、秋分の日から冬至を経て春分の日に至る冬期には、第1太陽光パネル10の傾き角度θ1は、例えばθm<θ1≦θsの範囲の所定角度に固定されても良く、また、春分の日から夏至を経て秋分の日に至る夏期には、第2太陽光パネル20の傾き角度θ2は、例えばθw≦θ2<θmの範囲の所定角度に固定されても良い。
【0081】
このように第1太陽光パネル10の傾き角度θ1を変更する変更機構(第3変更機構に相当)としては、
図10に示すように、第1太陽光パネル10の上端縁10euを回転軸として回転可能に支持するヒンジ部材等の軸支部材12と、当該上端縁10eu周りに第1太陽光パネル10を回動する電動モータ等の駆動源(不図示)と、駆動源を制御するコンピュータ等の制御部(不図示)と、を例示することができる。同様に、第2太陽光パネル20の傾き角度θ2を変更する変更機構(第4変更機構に相当)としては、第2太陽光パネル20の上端縁20euを回転軸として回転可能に支持するヒンジ部材等の軸支部材22と、当該上端縁20eu周りに第2太陽光パネル20を回動する電動モータ等の駆動源(不図示)と、駆動源を制御するコンピュータ等の制御部(不図示)と、を例示することができる。
そして、どちらの制御部にあっても、ハードディスク等の記憶部を有し、また、同記憶部内には、年間の各日に対応付けて、各日の傾き角度θ1のデータ又は各日の傾き角度θ2のデータが格納されている。よって、制御部のプロセッサが、かかるデータに基づいて駆動源に回動角度の制御信号を送信することにより、上記の日毎の傾き角度θ1,θ2の変更が行われる。
【0082】
また、これらどちらの変更機構にあっても、駆動源として電動モータを用いた場合には、当該電動モータの作動に必要な動力を、第1太陽光パネル10又は第2太陽光パネル20で生成した電気の電力によって賄っても良い。その場合には、例えば、蓄電池を設け、第1太陽光パネル10又は第2太陽光パネル20で生成した電気を蓄電池に蓄えるようにし、そして、蓄電池から電動モータへと電力供給すれば良い。
【0083】
<<<第2態様>>>
次に第2態様について説明する。
図11に示す第2態様は、既述のように建物の略斜面部5を取り付け対象面3としており、換言すると、取り付け対象面3の傾き角度αが、θw<α<θsの範囲(東京では、32°<α<78°)の任意の値に設定されている。そして、取り付け対象面3には、第1太陽光パネル10と第2太陽光パネル20とが上下方向に交互に並んで配置されている。
【0084】
ここで、第1太陽光パネル10は、その上端縁10euにて取り付け対象面3に当接固定され、そして、この上端縁10euよりも下端縁10edの方が取り付け対象面3の法線方向の外方に位置して設けられており、これにより、鉛直面Asの下方に対する傾き角度θ1がθsに設定されている。また、第2太陽光パネル20の方は、その下端縁20edにて取り付け対象面3に当接固定され、そして、この下端縁20edよりも上端縁20euの方が取り付け対象面3の法線方向の外方に位置して設けられており、これにより、鉛直面Asの下方に対する傾き角度θ2がθwに設定されている。ここで、自由端たる第1太陽光パネル10の下端縁10edと第2太陽光パネル20の上端縁20euとは互いに連結されていて、これにより、第1太陽光パネル10と第2太陽光パネル20とが一つずつ組み合わされて一つの断面V字状のパネル対G12(太陽光部材対に相当)が形成されている。
【0085】
よって、傾き角度αが、θw<α<θsの(東京では、32°<α<78°)の条件を満足するような取り付け対象面3であれば、第1太陽光パネル10と第2太陽光パネル20とを問題無く取り付け可能である。すなわち、この条件を満足しない場合には、
図12A又は
図12Bに示すように、パネル対G12の上端縁10eu又は下端縁20edのどちらか一方が、取り付け対象面3から浮いて離間してしまい、パネル対G12を安定支持できなくなるが、この点につき、上記条件を満足すれば、パネル対G12の上端縁10eu及び下端縁20edの両方を取り付け対象面3に当接固定することができて、結果、支持安定性に長けたものとなる。詳しくは、この第2態様において、αが上記条件を低い側に外れるθw≧α(東京では、32°≧α)の場合には、
図12Aに示すように、パネル対G12の下端縁20edが取り付け対象面3から浮いて離間してしまい、支持安定性の点で問題となる。また、αが上記条件を高い側に外れるα≧θs(東京では、α≧78°)の場合には、
図12Bに示すように、パネル対G12の上端縁10euが取り付け対象面3から浮いて離間してしまい、支持安定性の点で問題となる。この点につき、上記条件を満足すれば、これらの問題を回避可能である。すなわち、パネル対G12の上端縁10eu及び下端縁20edの両者を取り付け対象面3に確実に当接固定可能となり、結果、支持安定性に長けたものとなる。但し、
図12Aや
図12Bのような構成は、意匠的に面白いものであり、よって、当該意匠性が支持安定性よりも優先される場合には、
図12Aや
図12Bのように構成しても良い。
【0086】
このような第2態様に係る取り付け対象面3、つまり略斜面部5の具体例としては、基本的には、建物の傾斜した外壁部や傾斜した窓部、傾斜した屋根部などが挙げられる。但し、第1態様で述べたのと同様に、取り付け対象面3は、現実には存在しない仮想面であっても良い。例えば、
図13に示すように、傾斜した窓部Wよりも屋内側の位置に第1太陽光パネル10,10…及び第2太陽光パネル20,20…を配置することが想定される。そして、かかる場合には、これら太陽光パネル10,20は屋内の柱や梁8bに設けられた適宜なステイ部材(不図示)に支持されることも有り得て、そうすると、取り付け対象面3に相当する構成が存在しなくても良いことになるが、その場合には、取り付け対象面3を仮想面と考えれば良い。
【0087】
また、上述の
図11の例では、第1太陽光パネル10の受光面10aの傾き角度θ1を夏至仰角θsと同値の固定値とし、また、第2太陽光パネル20の受光面20aの傾き角度θ2を冬至仰角θwと同値の固定値としていたが、何等これに限らない。すなわち、既述のように、第1太陽光パネル10の傾き角度θ1については、可能であれば、θm<θ1≦θsの範囲(東京では、55°<θ1≦78°)の任意値に設定して良く、また、第2太陽光パネル20の傾き角度θ2についても、可能であれば、θw≦θ2<θmの範囲(東京では、32°≦θ1<55°)の任意値に設定して良い。そして、それぞれこの範囲内に設定されれば、夏期には、第1太陽光パネル10の受光面10aに太陽光が、より直角に近い入射角で入射し、他方、冬期には、第2太陽光パネル20の受光面20aに太陽光が、より直角に近い入射角で入射することになり、これにより第1太陽光パネル10及び第2太陽光パネル20は、それぞれ夏期及び冬期の発電に特化したものとなる。ちなみに、θ2<αの場合には、第1太陽光パネル10と第2太陽光パネル20と取り付け対象面3との三者で、
図11の例のような断面三角形形状を形成することができるが、θ2≧αの場合には、断面三角形形状を形成できず、つまり、
図14に示すように、第1太陽光パネル10の下端縁10edと第2太陽光パネル20の上端縁20euとが離間した配置態様となる。
【0088】
更には、第1太陽光パネル10の傾き角度θ1及び第2太陽光パネル20の傾き角度θ2を、日毎に変更しても良い。
図15は、この傾き角度θ1,θ2を変更する変更機構(第1変更機構及び第2変更機構に相当)を有した構成例の説明図である。
【0089】
この例では、先ず、第1太陽光パネル10の下端縁10edと第2太陽光パネル20の上端縁20euとが、第1連結部の一例としての第1ヒンジ部材14を介して連結されており、これにより互いの相対回転が許容されている。また、取り付け対象面3には、同面3に沿う方向に上下にスライド移動可能にスライダー15aが設けられており、当該スライダー15aには、第2ヒンジ部材15b(スライダー15aと組み合わせられることで「第2連結部」に相当する)を介して第1太陽光パネル10の上端縁10euが互いの相対回転を許容されつつ連結されている。更に、取り付け対象面3には第3ヒンジ部材16が固定されており、同第3ヒンジ部材16を介して、第2太陽光パネル20の下端縁20edが相対回転を許容されつつ連結されている。よって、スライダー15aを、電動モータ等の適宜な駆動源で駆動することにより、パネル対G12を第1ヒンジ部材14の位置でV字状に屈曲したり一直線状に延ばしたりすることが可能であり、つまり、このV字状の屈曲角度の変更を通して、第1太陽光パネル10の傾き角度θ1及び第2太陽光パネル20の傾き角度θ2の両者を一斉に変更可能である。例えば、スライダー15aを下方へ移動すれば、θ1を増加方向に変更するとともにθ2を減少方向に変更することができ、逆に、スライダー15aを上方へ移動すればθ1を減少方向に変更するとともにθ2を増加方向に変更することができる。
【0090】
よって、春分の日から夏至の日にかけての日の経過と伴に、
図16Aの状態から
図16Bの状態へとスライダー15aを徐々に取り付け対象面3に沿って下方へスライド移動すれば、第1太陽光パネル10の傾き角度θ1を、θmより大きいθmaからθsへと漸増させることができ、また、夏至を境にこの動作を反転させて、つまり夏至の日から秋分の日にかけて日の経過と伴に、
図16Bの状態から
図16Aの状態へとスライダー15aを徐々に上方へスライド移動すれば、第1太陽光パネル10の傾き角度θ1を、θsからθmaへと漸減させることができる。そして、これにより、夏期の全ての日に亘って、第1太陽光パネル10の受光面10aを、南中時に太陽光がより直角に入射するような向きに向けることができる。
【0091】
他方、秋分の日から冬至の日にかけては日の経過と伴に、
図16Aの状態から
図16Bの状態へとスライダー15aを徐々に取り付け対象面3に沿って下方へスライド移動すれば、第2太陽光パネル20の傾き角度θ2を、θmより小さいθmbからθwへと漸減させることができ、また、冬至を境にこの動作を反転させて、つまり冬至の日から春分の日にかけて日の経過と伴に、
図16Bの状態から
図16Aの状態へとスライダー15aを徐々に上方へスライド移動すれば、第2太陽光パネル20の傾き角度θ2を、θwからθmbへと漸増させることができる。そして、これにより、冬期の全ての日に亘って、第2太陽光パネル20の受光面20aを、南中時に太陽光がより直角に入射するような向きに向けることができる。
【0092】
なお、かかるパネル対G12,G12…は、
図15に示すように取り付け対象面3上における同面3に沿う方向に複数配置されるが、ここで、各パネル対G12,G12…を、上述のように傾き角度θ1,θ2を可変に構成にした場合には、パネル対G12の取り付け対象面3上における同面3に沿う方向の上下に並ぶパネル対G12,G12…の配置ピッチP12は、L1+L2以上の値に設定されていると良い。そして、このように設定すれば、パネル対G12のスライド移動時に、上下に隣り合うパネル対G12,G12同士が干渉することは有効に回避され、これにより、第1太陽光パネル10及び第2太陽光パネル20の各受光面10a,20aは円滑に回動動作をすることができる。その結果、これら各受光面10a,20aは、それぞれ傾き角度θ1,θ2を円滑に変更することができる。
【0093】
また、上述の
図15の例では、第1太陽光パネル10の上端縁10euに対してスライダー15a及び第2ヒンジ部材15bを設けて同上端縁10euをスライド移動可能に構成するとともに、第2太陽光パネル20の下端縁20edには第3ヒンジ部材16を設けて同下端縁20edをスライド移動不能に構成していたが、何等これに限るものではなく、逆にしても良い。すなわち、第1太陽光パネル10の上端縁10euには第3ヒンジ部材16を設けて同上端縁10euをスライド移動不能に構成するとともに、第2太陽光パネル20の下端縁20edにはスライダー15a及び第2ヒンジ部材15bを設けて同下端縁20edをスライド移動可能に構成しても良い。
【0094】
ちなみに、上述した電動モータなどの駆動源は、適宜なコンピュータ等の制御部(不図示)によって動作を制御しても良い。そして、その場合には、制御部は、ハードディスク等の記憶部を有し、また、同記憶部内には、年間の各日に対応付けて、スライダー15aの各位置のデータが格納されている。よって、制御部のプロセッサが、かかるデータに基づいて駆動源に回動角度の制御信号を送信することにより、上記の日毎の傾き角度θ1,θ2の変更が行われる。
【0095】
また、駆動源として電動モータを用いた場合には、当該電動モータの作動に必要な動力を、第1太陽光パネル10又は第2太陽光パネル20で生成した電気の電力によって賄っても良い。その場合には、例えば、蓄電池(不図示)を設け、第1太陽光パネル10又は第2太陽光パネル20で生成した電気を蓄電池に蓄えるようにし、そして、蓄電池から電動モータへと電力供給すれば良い。
【0096】
<<<第3態様>>>
最後に第3態様について説明する。
図17に示す第3態様は、既述のように建物の略水平面部6を取り付け対象面3としており、換言すると、取り付け対象面3の傾き角度αが、θs≦α<θw+90°の範囲(東京では、78°≦α<122°)の任意の値に設定されている。そして、取り付け対象面3には、複数の第1太陽光パネル10,10…と複数の第2太陽光パネル20,20…とが、ルーバー状に側方方向の内外(南北方向)に並んで配置されている。
【0097】
ここで、第1太陽光パネル10は、側方方向の外端縁10esにて取り付け対象面3に当接固定されて片持ち支持されており、つまり、この外端縁10esよりも側方方向の内方に位置する内端縁10enの方が取り付け対象面3の法線方向の外方に位置して設けられており、これにより、鉛直面Asの下方に対する傾き角度θ1はθsに設定されている。また、第2太陽光パネル20の方も、側方方向の外端縁20esにて取り付け対象面3に当接固定されて片持ち支持されており、つまり、この外端縁20esよりも側方方向の内方に位置する内端縁20enの方が取り付け対象面3の法線方向の外方に位置して設けられており、これにより、鉛直面Asの下方に対する傾き角度θ2はθwに設定されている。
【0098】
よって、傾き角度αが、θs≦α<θw+90°(東京では、78°≦α<122°)の条件を満足するような取り付け対象面3であれば、同取り付け対象面3に第1太陽光パネル10と第2太陽光パネル20とを問題無く取り付け可能である。詳しくは、この第3態様において、αが上記条件を高い側に外れるα≧θw+90°(東京での数値例:α≧122°)の場合には、
図18Aに示すように、冬至の南中時の太陽の仰角θwたる冬至仰角θw(東京では、θw=32°)の時に、第2太陽光パネル20の受光面20aの一部に取り付け対象面3の影が入ってしまい問題となる。また、αが上記条件を低い側に外れるθs>α(東京では、78°>α)の場合には、取り付け対象面3に第1太陽光パネル10を取り付けようとすると、
図18Bに示すように第1太陽光パネル10における側方方向の内方部分10sを取り付け対象面3に埋設せざるを得なくなり、容易に取り付けられずに問題となる。この点につき、上記条件を満足すれば、これらの問題を回避可能である。すなわち、取り付け対象面3の傾き角度αが、θs≦α<θw+90°(東京では、78°≦α<122°)の条件を満たせば、取り付け対象面3の影が第2太陽光パネル20の受光面20aにかかることを回避しつつ、取り付け対象面3に確実且つ容易に第1太陽光パネル10を取り付け可能となる。
【0099】
かかる取り付け対象面3には、
図17に示すように複数の第2太陽光パネル20,20…が設けられており、各第2太陽光パネル20は、それぞれ側方方向に隣り合う第2太陽光パネル20との間に間隔を空けて配置されている。そして、この間隔に関しては、次のように設定すると良い。すなわち、
図19に示すように、側方方向に隣り合う第2太陽光パネル20,20同士のうちで、外側の第2太陽光パネル20の外端縁20esと内端縁20enとの間の長さをL2とした場合に、内側の第2太陽光パネル20の外端縁20esが、外側の第2太陽光パネル20の外端縁20esの位置から取り付け対象面3に沿う方向の内方に距離D2’(=L2/cos(α−θw))以上離れた位置に固定されていると良い。そうすれば、南中時の第2太陽光パネル20の影が、側方方向の内側に隣り合う第2太陽光パネル20の受光面20aにかかることを、年間を通じて回避可能となる。詳しくは次の通りである。
【0100】
先ず、この距離D2’に係るL2/cos(α−θw)という数式は、
図19を参照してわかるように、冬至の南中時に取り付け対象面3上に形成される第2太陽光パネル20の影の長さを表している。そして、この冬至の南中時が、年間の南中時のうちで太陽の高度が最も低いことから、第3態様の如き略水平面部6上に形成される影の場合には、この冬至の南中時の影の長さが、年間の全ての南中時のうちで最長のものとなる。そのため、上記のように第2太陽光パネル20,20同士を距離D2’以上離しておけば、第2太陽光パネル20の影が、側方方向の内側に隣り合う第2太陽光パネル20の受光面20aにかかることを、年間の全ての南中時について回避可能となり、結果、内側の第2太陽光パネル20の受光面20aは、年間の全ての南中時に亘ってその外側の第2太陽光パネル20の影の影響から解放される。
【0101】
なお、
図17の例では、第2太陽光パネル20の長さL2は、全ての第2太陽光パネル20に亘り同寸に揃っているため、上記の距離D2’(=L2/cos(α−θw))の値は、全ての第2太陽光パネル20,20…に関して同値となる。そして、
図17の例では、全ての第2太陽光パネル20,20…は、距離D2’以上となる所定値P2’を、取り付け対象面3上の側方方向の配置ピッチとして配置されており、これにより各第2太陽光パネル20,20…は、それぞれ自身よりも外側に位置する第2太陽光パネル20の南中時の影の影響から解放されている。
【0102】
他方、取り付け対象面3には第1太陽光パネル10,10…も設けられている。そして、
図17の例では、側方方向に隣り合う第2太陽光パネル20,20同士の間の位置に、第1太陽光パネル10が設けられている。ここで、同位置に第1太陽光パネル10が設けられている理由は、次の通りである。
図20Aに示すように、この取り付け対象面3における第2太陽光パネル20,20同士の間の位置というのは、第2太陽光パネル20のエネルギー変換効率が高い冬期には、第2太陽光パネル20の影が出来やすい部分である。そのため、冬期にはデッドスペースとなる。但し、
図20Bに示すように、夏期にあっては、冬期と比べて太陽の高度が高くなることから、第2太陽光パネル20の影は小さくなって当該影が出来難くなる。そのため、夏期に特化した第1太陽光パネル10にあっては、第2太陽光パネル20,20同士の間の位置に配置可能であり、配置すれば、夏期に高いエネルギー変換効率で太陽光を電気に変換して夏期の発電量を増やすことができて、かような理由から、第2太陽光パネル20,20同士の間の位置に第1太陽光パネル10を配置している。
【0103】
この例では、
図17に示すように、側方方向に隣り合う第2太陽光パネル20,20同士の間の位置に、複数の一例として三つの第1太陽光パネル10,10,10が側方方向に整列して配置されているが、何等これに限らず、一つや二つでも良いし、四つ以上でも良い。なお、第1太陽光パネル10を複数設ける場合には、上述の第2太陽光パネル20の場合と同様に、受光面10aへの影の影響が小さくなるように考慮して第1太陽光パネル10,10同士の間の距離が設定されるのが望ましい。
【0104】
すなわち、
図21に示すように、側方方向に隣り合う第1太陽光パネル10,10同士のうちで、側方方向の外側の第1太陽光パネル10の外端縁10esと内端縁10enとの間の長さをL1とした場合に、内側の第1太陽光パネル10の外端縁10esが、外側の第1太陽光パネル10の外端縁10esの位置から取り付け対象面3に沿う方向の内方に距離D1’(=L1/cos(α−θs))以上離れた位置に固定されていると良い。このようにすれば、第1太陽光パネル10の影が、その内方に隣り合う第1太陽光パネル10の受光面10aにかかることを、少なくとも夏至の日の南中時については回避可能となる。詳しくは次の通りである。
【0105】
先ず、この距離D1’に係るL1/cos(α−θs)という数式は、
図21を参照してわかるように、夏至の南中時に取り付け対象面3上に形成される第1太陽光パネル10の影の長さを表している。そのため、上記のように第1太陽光パネル10,10同士を距離D1’以上離しておけば、第1太陽光パネル10の影が、その内方に隣り合う第1太陽光パネル10の受光面10aにかかることを、少なくとも夏至の日の南中時については回避可能となり、結果、同夏至の日の南中時については、内側の第1太陽光パネル10の受光面10aは、その外側の第1太陽光パネル10の影の影響から解放される。
【0106】
なお、
図17の例では、第1太陽光パネル10の長さL1は、全ての第1太陽光パネル10,10…に亘り同寸に揃っているため、上記の距離D1’(=L1/cos(α−θs))の値は、全ての第1太陽光パネル10,10…に関して同値となる。そして、
図17の例では、第2太陽光パネル20,20同士の間の各第1太陽光パネル10は、距離D1’以上となる所定値P1’を、取り付け対象面3上の側方方向の配置ピッチとして配置されており、これにより各第1太陽光パネル10,10…は、それぞれ自身よりも外方に位置する第1太陽光パネル10の影の影響から解放されている。
【0107】
また、取り付け対象面3の面積に余裕が有る場合には、上述の距離D1’を更に拡大して、つまり距離D1’を下式4から得られる値にしても良い。
D1’=L1×cos(α−θs)
+L1×tan(α−θm)×sin(α−θs) … (4)
【0108】
ここで、かかる式4は
図22に示すように、春分の日又は秋分の日の南中時に取り付け対象面3上に形成される第1太陽光パネル10の影の長さを示している。そして、この春分の日又は秋分の日の南中時の影の長さは、夏期の南中時のうちで最長である。従って、側方方向の内側の第1太陽光パネル10の外端縁10esを、外側の第1太陽光パネル10の外端縁10esの位置から取り付け対象面3に沿う方向の内方に、当該距離D1’以上離れた位置に固定すれば、夏期の全ての南中時に亘って、第1太陽光パネル10の影が、その側方方向の内方に隣り合う第1太陽光パネル10,10の受光面10aにかかることを回避可能となる。その結果、夏期に特化した第1太陽光パネル10を有効に使用して夏期の発電量を効果的に増やすことができる。なお、上式4は、
図22の幾何学的関係から得ることができる。
【0109】
ところで、上述のように第1太陽光パネル10を第2太陽光パネル20,20同士の間に配置している場合には、第2太陽光パネル20の影が第1太陽光パネル10の受光面10aにかかる虞や、或いは第1太陽光パネル10の影が第2太陽光パネル20の受光面20aにかかる虞がある。例えば、第2太陽光パネル20の側方方向の内方の隣に第1太陽光パネル10が位置している場合には、第2太陽光パネル20の影が第1太陽光パネル10の受光面10aにかかる虞があり、逆に、第1太陽光パネル10の側方方向の内方の隣に第2太陽光パネル20が位置している場合には、第1太陽光パネル10の影が第2太陽光パネル20の受光面20aにかかる虞がある。
【0110】
そのため、これら互いに側方方向に隣り合う第1太陽光パネル10と第2太陽光パネルとの位置関係に関しても、同様に受光面10a,20aへの影の影響を考慮して、第1太陽光パネル10と第2太陽光パネル20との間の距離を設定するのが望ましい。以下では、
図23Aのように第1太陽光パネル10の内方の隣に第2太陽光パネル20が位置している場合において互いの間で離すべき距離の下限値のことを、「距離D12’」と言い、また
図23Bのように第2太陽光パネル20の内方の隣に第1太陽光パネル10が位置している場合において互いの間で離すべき距離の下限値のことを、「距離D21’」と言う。
【0111】
先ず、
図23Aを参照しつつ距離D12’について説明すると、第2太陽光パネル20は冬期に有効に発電すべきである。また、この冬期の南中時において第1太陽光パネル10の影が最長になるのは、冬至の日である。そして、この最長の長さは、幾何学的関係から、前述の式4中の「θm」をθwに置き換えれば得ることができ、当該最長の長さが距離D12’に相当するので、当該距離D12’は下式5で表される。
D12’=L1×cos(α−θs)
+L1×tan(α−θw)×sin(α−θs) … (5)
【0112】
よって、側方方向の内側の第2太陽光パネル20の外端縁20esが、外側の第1太陽光パネル10の外端縁10esの位置から取り付け対象面3に沿う方向の内方に距離D12’以上離れた位置に固定されていれば、第1太陽光パネル10の影が、その内方に隣り合う第2太陽光パネル20の受光面20aにかかることを、冬期の全ての南中時に亘って回避可能となる。
【0113】
次に、
図23Bを参照しつつ距離D21’について説明すると、第1太陽光パネル10は夏期に有効に発電すべきである。また、この夏期の南中時において第2太陽光パネル20の影が最長になるのは、春分の日或いは秋分の日である。そして、この最長の長さは、前述の式4中の「θs」をθwに置き換えるとともに、同式4中の「L1」をL2に置き換えれば得ることができ、当該最長の長さが距離D21’に相当するので、当該距離D21’は下式6で表される。
D21’=L2×cos(α−θw)
+L2×tan(α−θm)×sin(α−θw) … (6)
【0114】
よって、内側の第1太陽光パネル10の外端縁10esが、外側の第2太陽光パネル20の外端縁20esの位置から取り付け対象面3に沿う方向の内方に距離D21’以上離れた位置に固定されていれば、第2太陽光パネル20の影が、その内方に隣り合う第1太陽光パネル10の受光面10aにかかることを、夏期の全ての南中時に亘って回避可能となる。
【0115】
このような第3態様に係る取り付け対象面3、つまり略水平面部6の具体例としては、基本的には、建物の水平な屋根部や緩勾配で傾斜した屋根部、水平な天窓部や緩勾配で傾斜した天窓部などが挙げられる。但し、取り付け対象面3は、現実には存在しない仮想面であっても良い。例えば、全面ガラス張りの建物の如く、屋根部の代用としてガラス板9が使用されている場合には、
図24に示す当該ガラス板9よりも屋内側の位置に第1太陽光パネル10,10…及び第2太陽光パネル20,20…を配置することが想定される。そして、かかる場合には、これら太陽光パネル10,20は屋内の柱や梁8bに設けられた適宜なステイ部材(不図示)に支持されることも有り得て、そうすると、取り付け対象面3に相当する構成が存在しなくても良いことになるが、その場合には、取り付け対象面3を仮想面と考えれば良い。
【0116】
ところで、上述の例では、第1太陽光パネル10の受光面10aの傾き角度θ1を夏至仰角θsと同値の固定値とし、また、第2太陽光パネル20の受光面20aの傾き角度θ2を冬至仰角θwと同値の固定値としていたが、何等これに限らない。すなわち、既述のように、第1太陽光パネル10の傾き角度θ1については、θm<θ1≦θsの範囲(東京では、55°<θ1≦78°)であれば任意値に設定して良く、また、第2太陽光パネル20の傾き角度θ2についても、θw≦θ2<θmの範囲(東京では、32°≦θ1<55°)であれば任意値に設定して良い。そして、それぞれこの範囲内に設定されれば、夏期には、第1太陽光パネル10の受光面10aに太陽光が、より直角に近い入射角で入射し、他方、冬期には、第2太陽光パネル20の受光面20aに太陽光が、より直角に近い入射角で入射することになり、これにより第1太陽光パネル10及び第2太陽光パネル20は、それぞれ夏期及び冬期の発電に特化したものとなる。
【0117】
更には、第1太陽光パネル10の傾き角度θ1及び第2太陽光パネル20の傾き角度θ2を、日毎に変更しても良い。例えば、
図25の概略側面図に示すように、傾き角度θ1を、春分の日から夏至の日にかけて日の経過と伴に、θmよりも若干大きい所定角度θmaからθsへと漸増させる一方、夏至を境にこの動作を反転させて、つまり夏至の日から秋分の日にかけて日の経過と伴にθsからθmaへと漸減させても良い。また、同様に、傾き角度θ2の方も、秋分の日から冬至の日にかけて日の経過と伴に、θmよりも若干小さいθmbからθwへと漸減させる一方、冬至を境にこの動作を反転させて、つまり冬至の日から春分の日にかけて日の経過と伴にθwからθmbへと漸増させても良い。
【0118】
そして、このように変更すれば、夏期の全ての日に亘って、南中時に太陽光がより直角に入射するような向きに、第1太陽光パネル10の受光面10aを向けることができる一方、冬期の全ての日に亘って南中時に太陽光がより直角に入射するような向きに、第2太陽光パネル20の受光面20aを向けることができる。その結果、太陽光発電装置のエネルギー変換効率を更に高めることができる。
【0119】
なお、秋分の日から冬至を経て春分の日に至る冬期には、第1太陽光パネル10の傾き角度θ1は、例えばθm<θ1≦θsの範囲の所定角度に固定されても良く、また、春分の日から夏至を経て秋分の日に至る夏期には、第1太陽光パネル10の傾き角度θ2は、例えばθw≦θ2<θmの範囲の所定角度に固定されても良い。
【0120】
このように第1太陽光パネル10の傾き角度θ1を変更する変更機構(第3変更機構に相当)としては、
図25に示すように、第1太陽光パネル10の外端縁10esを回転軸として回転可能に支持するヒンジ部材等の軸支部材18と、当該外端縁10es周り第1太陽光パネル10を回動する電動モータ等の駆動源(不図示)と、駆動源を制御するコンピュータ等の制御部(不図示)と、を例示することができる。同様に、第2太陽光パネル20の傾き角度θ2を変更する変更機構(第4変更機構に相当)としては、第2太陽光パネル20の外端縁20esを回転軸として回転可能に支持するヒンジ部材等の軸支部材28と、当該外端縁20es周りに第2太陽光パネル20を回動する電動モータ等の駆動源(不図示)と、駆動源を制御するコンピュータ等の制御部(不図示)と、を例示することができる。
そして、どちらの制御部にあっても、ハードディスク等の記憶部を有し、また、同記憶部内には、年間の各日に対応付けて、各日の傾き角度θ1のデータ又は各日の傾き角度θ2のデータが格納されている。よって、制御部のプロセッサが、かかるデータに基づいて駆動源に回動角度の制御信号を送信することにより、上記の日毎の傾き角度θ1,θ2の変更が行われる。
【0121】
また、これらどちらの変更機構にあっても、駆動源として電動モータを用いた場合には、当該電動モータの作動に必要な動力を、第1太陽光パネル10又は第2太陽光パネル20で生成した電気の電力によって賄っても良い。その場合には、例えば、蓄電池を設け、第1太陽光パネル10又は第2太陽光パネル20で生成した電気を蓄電池に蓄えるようにし、そして、蓄電池から電動モータへと電力供給すれば良い。
【0122】
===その他の実施の形態===
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。また、本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更や改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれるのはいうまでもない。例えば、以下に示すような変形が可能である。
【0123】
上述の実施形態では、構築物の一例としての建物に取り付け対象面3を設定していたが、何等これに限るものではない。例えば、地面を取り付け対象面3としても良く、或いは地面に構築された基礎の上面を取り付け対象面3としても良い。
【0124】
上述の実施形態では、第1太陽光パネル10,10同士の間の位置に第2太陽光パネルが配置されているか、或いは、第2太陽光パネル20,20同士の間の位置に第1太陽光パネル10が配置されていたが、何等これに限るものではなく、第2太陽光パネル20は、第1太陽光パネル10,10同士の間の位置に配置されていなくても良いし、第1太陽光パネル10も、第2太陽光パネル20,20同士の間の位置に配置されていなくても良い。例えば、複数の第1太陽光パネル10,10…が所定ピッチで並んでなる第1太陽光パネル群の隣に、複数の第2太陽光パネル20,20…が所定ピッチで並んでなる第2太陽光パネル群が配置されていても良い。
【0125】
上述の実施形態の第1態様では、傾き角度αがθs−90°<α≦θwの範囲の取り付け対象面3に取り付ける第1、第2太陽光パネル10,20の構成例として、
図1のように、第1太陽光パネル10の上端縁10eu及び第2太陽光パネル20の上端縁20euをそれぞれ取り付け対象面3に当接固定した構成を示していたが、何等これに限るものではない。例えば、
図12Aで既述の断面V字状のパネル対G12の如き構成を、第1態様に係る傾き角度αの範囲(θs−90°<α≦θw)の取り付け対象面3に取り付けても良い。詳しくは、
図26の概略側面図に示すように、第1太陽光パネル10の上端縁10euを取り付け対象面3に当接固定するとともに、同第1太陽光パネル10の下端縁10euを第2太陽光パネル20の上端縁20euに連結することにより、断面V字形状の太陽光パネル対G12を形成しても良い。なお、このパネル対G12の下端縁20edたる第2太陽光パネル20の下端縁20edは、取り付け対象面3から離間して浮いた状態になっているが、これは、第1太陽光パネル10の受光面10aの傾き角度θ1が夏至仰角θsに設定され、第2太陽光パネル20の受光面20aの傾き角度θ2が冬至仰角θwに設定されたことに因る。なお、この場合にも、取り付け対象面3に沿う方向の上下に複数のパネル対G12,G12…が所定ピッチで並んで配置されており、これにより、第1太陽光パネル10と第2太陽光パネル20とが上下方向に交互に並んで配置されている。
【0126】
更に、かかるパネル対G12の構成においても、
図10で既述のように傾き角度θ1及び傾き角度θ2を、それぞれθm<θ1≦θsの範囲及びθw≦θ2<θmの範囲で日毎に変更しても良い。それを実現する構成例としては、例えば以下が挙げられる。すなわち、同
図26の構成例では、第1太陽光パネル10の上端縁10euを回転軸として回転可能に第1太陽光パネル10を支持するヒンジ部材等の軸支部材12と、当該上端縁10eu周りに第1太陽光パネル10を回動する電動モータ等の駆動源(不図示)と、第1太陽光パネル10の下端縁10edに第2太陽光パネル20の上端縁20euを当該上端縁20eu周りに相対回転可能に連結するヒンジ部材31と、当該上端縁20eu周りに第2太陽光パネル20を回動する電動モータ等の駆動源(不図示)と、これら駆動源を制御するコンピュータ等の制御部(不図示)と、を備えている。なお、制御部としては、前述の第1態様で説明した構成と同様のものを適用可能なので、その説明については省略する。
【0127】
上述の実施形態の第3態様では、傾き角度αがθs≦α<θw+90°の範囲の取り付け対象面3に取り付ける第1及び第2太陽光パネル10,20の構成例として、
図17のように、第2太陽光パネル20の外端縁20es及び第1太陽光パネル10の外端縁10esをそれぞれ取り付け対象面3に当接固定した構成を示していたが、何等これに限るものではない。例えば、
図12Bで既述の断面V字状のパネル対G12の如き構成を、第3態様に係る傾き角度αの範囲(θs≦α<θw+90°)の取り付け対象面3に取り付けても良い。詳しくは、
図27の概略側面図に示すように、第2太陽光パネル20の外端縁20esを取り付け対象面3に当接固定するとともに、同第2太陽光パネル10の内端縁20enを第1太陽光パネル10の外端縁10esに連結することにより、断面V字形状のパネル対G12を形成しても良い。なお、このパネル対G12の内端縁10enたる第1太陽光パネル10の内端縁10enは、取り付け対象面3から離間して浮いた状態になっているが、これは、第2太陽光パネル20の受光面20aの傾き角度θ2が冬至仰角θwに設定され、第1太陽光パネル10の受光面10aの傾き角度θ1が夏至仰角θsに設定されたことに因る。なお、この場合にも、取り付け対象面3に沿う方向の側方方向の内外に複数のパネル対G12,G12…が所定ピッチで並んで配置されており、これにより、第1太陽光パネル10と第2太陽光パネル20とが側方方向に交互に並んで配置されている。
【0128】
更に、かかるパネル対G12の構成においても、
図25で既述のように傾き角度θ1及び傾き角度θ2を、それぞれθm<θ1≦θsの範囲及びθw≦θ2<θmの範囲で日毎に変更しても良い。それを実現する構成例としては、例えば以下が挙げられる。すなわち、同
図27の構成例では、第2太陽光パネル20の外端縁20esを回転軸として第2太陽光パネル20を回転可能に支持するヒンジ部材等の軸支部材13と、当該外端縁20es周りに第2太陽光パネル20を回動する電動モータ等の駆動源(不図示)と、第2太陽光パネル20の内端縁20enに第1太陽光パネル10の外端縁10esを当該外端縁10es周りに相対回転可能に連結するヒンジ部材32と、当該外端縁10es周りに第1太陽光パネル10を回動する電動モータ等の駆動源(不図示)と、これら駆動源を制御するコンピュータ等の制御部(不図示)と、を備えている。なお、制御部としては、前述の第3態様で説明した構成と同様のものを適用可能なので、その説明については省略する。
【0129】
上述の実施形態の第2態様では、傾き角度αがθw<α<θsの範囲の取り付け対象面3に取り付ける第1及び第2太陽光パネル10,20の構成例として、
図11のようなパネル対G12を示し、パネル対G12の両端縁10eu,20edをそれぞれ取り付け対象面3に当接固定し、支持安定性の向上を図っていたが、何等これに限るものではない。
例えば、
図28及び
図29に示すように、パネル対G12の両端縁10eu,20edのうちの何れか一方の端縁10eu(20ed)のみを取り付け対象面3に当接固定し、他方の端縁20ed(10eu)を取り付け対象面3から離間させて浮かしても良い。
図28の例では、上端縁10euを当接固定して下端縁20edを離間させており、
図29の例では、逆に下端縁20edを当接固定して上端縁10euを離間させている。そして、このようにすれば、支持安定性は悪くなるが、意匠的に面白いものとなる。
【0130】
なお、かかるパネル対G12の構成においても、傾き角度θ1及び傾き角度θ2を、それぞれθm<θ1≦θsの範囲及びθw≦θ2<θmの範囲で日毎に変更しても良い。それを実現する構成例としては、例えば以下が挙げられる。
先ず、
図28の構成例から説明すると、この構成例の場合には、第1太陽光パネル10の上端縁10euを回転軸として第1太陽光パネル10を回転可能に支持するヒンジ部材等の軸支部材12と、当該上端縁10eu周りに第1太陽光パネル10を回動する電動モータ等の駆動源(不図示)と、第1太陽光パネル10の下端縁10edに第2太陽光パネル20の上端縁20euを当該上端縁20eu周りに相対回転可能に連結するヒンジ部材14と、当該上端縁20eu周りに第2太陽光パネル20を回動する電動モータ等の駆動源(不図示)と、これら駆動源を制御するコンピュータ等の制御部(不図示)と、を備えている。なお、制御部としては、前述の第1態様で説明した構成と同様のものを適用可能なので、その説明については省略する。
【0131】
他方、
図29の構成例の場合には、第2太陽光パネル20の下端縁20edを回転軸として第2太陽光パネル20を回転可能に支持するヒンジ部材等の軸支部材13と、当該下端縁20ed周りに第2太陽光パネル20を回動する電動モータ等の駆動源(不図示)と、第2太陽光パネル20の上端縁20euに第1太陽光パネル10の下端縁10edを当該下端縁10ed周りに相対回転可能に連結するヒンジ部材14と、当該下端縁10ed周りに第1太陽光パネル10を回動する電動モータ等の駆動源(不図示)と、これら駆動源を制御するコンピュータ等の制御部(不図示)と、を備えている。なお、制御部としては、前述の第1態様で説明した構成と同様のものを適用可能なので、その説明については省略する。
【0132】
更に、上述の実施形態の第2態様では、
図11に示すように第1太陽光パネル10と第2太陽光パネル10とが連結されてパネル対G12をなしていたが、何等これに限るものではなく、連結されていなくても良い。すなわち、
図30の概略側面図の例では、第1太陽光パネル10の下端縁10edと第2太陽光パネル20の上端縁20euとが連結されておらず、互いの間に距離を隔てて設けられているが、このようにしても良い。但し、この非連結構成においても、前述のパネル対G12の場合と同様に、第1太陽光パネル10と第2太陽光パネル20とを取り付け対象面3に沿う方向の上下に交互に並べて配置することは可能であり(
図30を参照)、当該構成によれば、上下に隣り合う第1太陽光パネル10と第2太陽光パネル20との両者で一組のパネル組G12’と考えた場合に、当該パネル組G12’は、
図30に示すように断面ハ字形状を呈し、意匠的に面白いものとなる。
【0133】
なお、かかるパネル組G12’の構成においても、傾き角度θ1及び傾き角度θ2を、それぞれθm<θ1≦θsの範囲及びθw≦θ2<θmの範囲で日毎に変更しても良い。それを実現する構成例としては、例えば以下が挙げられる。すなわち、同
図30の例では、第1太陽光パネル10の上端縁10euを回転軸として第1太陽光パネル10を回転可能に支持するヒンジ部材等の軸支部材12と、当該上端縁10eu周りに第1太陽光パネル10を回動する電動モータ等の駆動源(不図示)と、第2太陽光パネル20の下端縁20edを回転軸として第2太陽光パネル20を回転可能に支持するヒンジ部材等の軸支部材13と、当該下端縁20ed周りに第2太陽光パネル20を回動する電動モータ等の駆動源(不図示)と、これら駆動源を制御するコンピュータ等の制御部(不図示)と、を備えている。なお、制御部としては、前述の第1態様で説明した構成と同様のものを適用可能なので、その説明については省略する。