(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本発明を実施するための形態について、図面を用いて説明する。但し、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい種々の限定が付されている。そのため、本発明の技術的範囲を以下の実施形態及び図示例に限定するものではない。
【0011】
図1は、投影レンズユニットと空間光変調装置の組立体1の上面、側面及び背面を示した斜視図である。
図2は、この組立体1の側面、下面及び背面を示した分解斜視図である。
図3は、左右方向に直交する断面に沿ってこの組立体1を破断して示した斜視図である。
【0012】
この組立体1はプロジェクターに利用され、この組立体1と時分割光発生装置(照射装置)99が組み合わせられることによってプロジェクターが構成される。時分割光発生装置99は、異なる色の光を時間分割で出射するものである。具体的には、時分割光発生装置99は、赤色光、緑色光及び青色光を所定の順序で繰り返し出射するものである。時分割光発生装置99によって出射された各色の光が組立体1に取り込まれ、各色の画像が時分割光発生装置99の各色の出射タイミングに同期して組立体1によって生成され、各色の画像が組立体1によって前方のスクリーンへ投影される。
【0013】
図1〜
図3に示すように、組立体1は、投影レンズユニット10、ハウジング20、空冷ファン30、パッキン40、空間光変調装置50及びヒートシンク60を備える。
【0014】
投影レンズユニット10は複数枚のレンズ11(
図3では、後玉のレンズ11を図示)、鏡筒12及びフランジ13を有する。鏡筒12は筒状に設けられている。複数のレンズ11が鏡筒12内に保持され、これらレンズ11が鏡筒12の中心軸に沿って配列されている。
【0015】
鏡筒12の前端と後端の間の中央部にはフランジ13が設けられている。具体的には、フランジ13が鏡筒12の外周面に鏡筒12と一体に成型されことによってフランジ13と鏡筒12が互いに固定され、このフランジ13が鏡筒12の外周面から鏡筒12の径方向外方へ延出する。投影レンズユニット10の光軸方向に沿ったフランジ13の位置は投影レンズユニット10の光軸方向に沿った投影レンズユニット10の重心位置に重なっているか、その重心位置の近傍である。鏡筒12は、フランジ13から後方へ延びる後ろ側筒状部12aと、フランジ13から前方へ延びる前側筒状部12bとを有する。
【0016】
ハウジング20はハウジング本体21、隔壁22、第一の室23、第二の室24、フランジ25、第一開口26、第二開口27及び複数の放熱口28等を有する。
【0017】
ハウジング本体21が箱形に形作られ、ハウジング本体21によって囲われた内部空間がハウジング本体21の内側に形成される。ハウジング本体21の前面の外縁部にはフランジ25が設けられ、そのフランジ25がハウジング本体21の前面の外縁から径方向外方に延出する。ハウジング本体21の前面には第一開口26が形成されている。ハウジング本体21の後面には第二開口27が形成され、第二開口27と第一開口26が相対向する。
【0018】
ハウジング本体21の内側には隔壁22が設けられている。隔壁22はハウジング本体21の前面と後面の間に配置されており、ハウジング本体21の前面及び後面に対して平行である。その隔壁22によってハウジング本体21の内部空間が第一の室23と第二の室24に仕切られている。第一の室23は隔壁22とハウジング本体21の前面との間に形成された空間であり、第二の室23は隔壁22とハウジング本体21の後面との間に形成された空間である。ハウジング本体21のうち第一の室23を囲う部分21aが筒状に設けられ、ハウジング本体21のうち第二の室24を囲う部分21bが角柱箱状に設けられている。
【0019】
ハウジング本体21には複数の放熱口28が形成されている。具体的には、複数の放熱口28はハウジング本体21のうち第一の室23を囲う部分21aに形成されており、これら放熱口28のうち1つ又は2つ以上が第一の室23を囲う部分21aの上面に形成され、残りの1つ又は2つ以上が第一の室23を囲う部分21aの下面に形成されている。なお、放熱口28の数は1であってもよい。また、放熱口28が第一の室23を囲う部分21aの側面に形成されていてもよい。
【0020】
隔壁22には透光窓22aが形成されている。透光窓22aは隔壁22を貫通した開口であり、透光窓22aによって第二の室24と第一の室23が通じている。透光窓22aと第一開口26が相対向するとともに、透光窓22aと第二開口27が相対向する。なお、透光窓22aに透明板が設けられ、透光窓22aが透明板によって塞がれていてもよい。
【0021】
投影レンズユニット10がハウジング20に装着されている。具体的には、鏡筒12のうち後ろ側筒状部12aが第一開口26から第一の室23内へ挿入され、フランジ13がハウジング本体21の前面及びフランジ25に突き当てられており、フランジ13がネジ、ボルト・ナット結合、リベット又は鋲等の締結部によってハウジング本体21の前面及びフランジ25に締結されている。
【0022】
鏡筒12の後端開口が透光窓22aに重なって、鏡筒12の後端が隔壁22に当接する。具体的には、リング状のパッキン40が透光窓22aを囲うように隔壁22の前面に設けられ、鏡筒12の後端面がパッキン40を介して隔壁22の前面に当接し、パッキン40が鏡筒12の後端面と隔壁22の前面との間に挟持されている。パッキン40によって第二の室24が密閉されている。
【0023】
ハウジング本体21の下側には空冷ファン30が設けられている。空冷ファン30が放熱口28に相対向する。空冷ファン30が放熱口28を通じて投影レンズユニット10に向けて送風し、投影レンズユニット10を空冷する。
【0024】
空間光変調装置50が第二開口27を閉塞するようにしてハウジング本体21の後面に取り付けられている。第二開口27が閉塞されているから、第二の室24が密閉されている。空間光変調装置50は後玉のレンズ11に対向する。空間光変調装置50は、二次元アレイ状に配列された複数の可動マイクロミラー等を有するデジタル・マイクロミラー・デバイス(DMD)である。ハウジング本体21の後ろ側にはヒートシンク60が設けられ、そのヒートシンク60が空間光変調装置50に当接して固定されている。
【0025】
ハウジング本体21のうち第二の室24を囲う部分21bの側面に連結部29が設けられ、連結部29が時分割光発生装置99に連結されている。時分割光発生装置99によって発生された光が連結部29を通じて第二の室24に取り込まれて、その光が空間光変調装置50に照射される。時分割光発生装置99が各色の光を出射するタイミングに同期して、空間光変調装置50が駆動される。これにより、各色の画像が空間光変調装置50によって時分割で形成され、それら各色の画像が投影レンズユニット10の複数のレンズ11によってスクリーンに投影される。
【0026】
この組立体1をプロジェクターのキャビネット内に取り付けた状態では、ハウジング本体21の下面に形成された放熱口28が下に向き、ハウジング本体21の上面に形成された放熱口28が上に向き、下側の放熱口28の下に空冷ファン30が配置される。
【0027】
本発明の実施の形態によれば、次のような作用効果が生じる。
【0028】
(1) フランジ13が投影レンズユニット10の重心の近くに形成され、鏡筒12の後ろ側筒状部12aがハウジング20の第一の室23に収容された状態でフランジ13がハウジング20のフランジ25に固定されているので、投影レンズユニット10が安定してハウジング20に取り付けられる。そのため、投影レンズユニット10の重量が重くても、投影レンズユニット10の光軸がずれてしまうことを防止することができる。
【0029】
(2) 鏡筒12の後端が隔壁22に当接して支持されるから、投影レンズユニット10が安定してハウジング20に取り付けられる。
【0030】
(3) 放熱口28がハウジング本体21に形成されているから、第一の室23内に熱が籠もらない。そのため、鏡筒12を安定させるべく後ろ側筒状部12aをハウジング20の第一の室23に収容しても、投影レンズユニット10が高温になることを防止することができる。投影レンズユニット10が熱膨張することも抑制することができ、投影レンズユニット10によって投影された映像の画質低下も抑制することができる。
【0031】
(4) 空冷ファン30によって第一の室23内に強制対流が生じて、投影レンズユニット10を空冷したので、投影レンズユニット10が高温になることを防止することができる。
【0032】
(5) 複数の放熱口28がハウジング本体21に形成されているので、何れかの放熱口28を空気流入用に利用し、他の放熱口28を空気排出用に利用することができる。そのため、投影レンズユニット10を効率よく空冷することができる。
【0033】
(6) 鏡筒12の後端が隔壁22に当接して、透光窓22aが鏡筒12によって囲われているから、第二の室24の密閉性が高い。特にパッキン40によって第二の室24の密閉性が高くなる。よって、第二の室24内に塵埃が侵入することを防止することができ、塵埃の影が投影映像に発生することを防止することができる。
【0034】
〔変形例〕
本発明を適用可能な実施形態は上述した実施形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。以下、幾つかの変形例について説明する。以下に説明する変形例は、変更個所を除いて上述した実施形態と同様である。また、以下に説明する変更箇所を組み合わせて適用してもよい。
【0035】
(1)空冷ファン30を省略する。空冷ファン30が設けられていなくても、第一の室23内の熱が放熱口28を通じて放散されるから、投影レンズユニット10を放熱することができる。また、複数の放熱口28が形成されているので、第一の室23を通過する自然対流が生じるので、投影レンズユニット10を放熱することができる。特に、第一の室23を囲う部分21aの上面に一又は複数の放熱口28が形成され、第一の室23を囲う部分21aの下面に一又は複数の放熱口28が形成されているので、投影レンズユニット10の熱によって上昇気流の自然対流が生じる。そのため、自然対流により投影レンズユニット10を放熱することができる。なお、別のファンがヒートシンク60に送風し、その対流が放熱口28へ流れるようにしてもよい。
【0036】
(2)鏡筒12の後端が透光窓22aに嵌め込まれ、鏡筒12の後端の外周面がパッキン40を介して隔壁22(特に、透光窓22aの内縁)に当接してもよい。
【0037】
(3)パッキン40を省略し、鏡筒12の後端が隔壁22に直接当接してもよい。
【0038】
(4)上記実施形態では、空間光変調装置50が反射型の空間光変調装置であった。それに対して、空間光変調装置50が透過型の空間光変調装置でもよい。つまり、空間光変調装置50が、複数(例えば、3枚)の液晶表示パネルと、これらの液晶表示パネルによって形成された画像を合成する光学部材(例えば、クロスダイクロイックプリズム)とを有するものでもよい。この場合、複数色の光を発生させる照射装置を時分割光発生装置99の代わりに用いる。照射装置をハウジング本体21の後ろ側に設け、ハウジング本体21と照射装置の間に空間光変調装置50を配設し、複数色の光を複数の液晶表示パネルにそれぞれ照射する。照射装置は、白色光源から発した白色光を各色の光に色分離するものでもよいし、各色の光源を有するものでもよい。
【0039】
以上に本発明の実施形態及びその変形例を説明したが、本発明の範囲は上述の実施の形態に限定するものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲とその均等の範囲を含む。
以下に、この出願の願書に最初に添付した特許請求の範囲に記載した発明を付記する。付記に記載した請求項の項番は、この出願の願書に最初に添付した特許請求の範囲の通りである。
【0040】
〔付記〕
<請求項1>
鏡筒と、前記鏡筒の内側に保持されたレンズと、前記鏡筒の外周面であって前記鏡筒の前端と後端の間において前記鏡筒の外周面から延出したフランジと、を有した投影レンズユニットと、
ハウジング本体と、前記ハウジング本体の前面に形成された開口と、前記ハウジング本体内の前面と後面との間に設けられ、前記ハウジング本体の内部空間を前面側の第一の室と後面側の第二の室に仕切る隔壁と、前記ハウジング本体のうち前記第一の室を囲う部分に形成された放熱口と、を有したハウジングと、
前記ハウジング本体の後面に設けられた空間光変調装置と、
を備え、
前記鏡筒のうち前記フランジよりも後ろ側の部分が前記開口に挿入されて前記第一の室に収容され、
前記フランジが前記ハウジング本体の前面に固定され、
前記隔壁によって透光窓が形成され、
前記鏡筒の後端開口が前記透光窓に重なって前記鏡筒の後端が前記隔壁に当接する、
ことを特徴とする投影レンズユニットと空間光変調装置の組立体。
<請求項2>
前記放熱口の数が複数である、
ことを特徴とする請求項1に記載の投影レンズユニットと空間光変調装置の組立体。
<請求項3>
前記放熱口が前記ハウジング本体のうち前記第一の室を囲う部分の上面と下面にそれぞれ形成されている、
ことを特徴とする請求項2に記載の投影レンズユニットと空間光変調装置の組立体。
<請求項4>
前記放熱口に対向し、前記放熱口に向けて送風する空冷ファンを更に備えることを特徴とする請求項1から3の何れか一項に記載の投影レンズユニットと空間光変調装置の組立体。
<請求項5>
前記鏡筒の後端と前記隔壁との間に挟持されたパッキンを更に備える、
ことを特徴とする請求項1から4の何れか一項に記載の投影レンズユニットと空間光変調装置の組立体。
<請求項6>
前記第二の室が密閉されている、
ことを特徴とする請求項1から5の何れか一項に記載の投影レンズユニットと空間光変調装置の組立体。
<請求項7>
請求項1から6の何れか一項に記載の投影レンズユニットと空間光変調装置の組立体と、
前記空間光変調装置に光を照射する照射装置と、
を備える、
ことを特徴とするプロジェクター。
<請求項8>
ハウジング本体と、
前記ハウジング本体の前面に形成された開口と、
前記ハウジング本体内の前面と後面との間に設けられ、前記ハウジング本体の内部空間を前面側の第一の室と後面側の第二の室に仕切る隔壁と、
前記ハウジング本体のうち前記第一の室を囲う部分に形成された放熱口と、
を備えたことを特徴とするハウジング。