(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記発光素子モジュールは、前記発光部を除き難燃性の絶縁シートで覆い、固定板で器具本体に固定するとともに、前記レンズ体の固定部は、反射鏡を前記固定板との間に挟むようにして当該固定板に固定したことを特徴とする請求項5又は6に記載の照明器具。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。本実施形態では、照明器具の一例として道路灯を説明する。
図1は本実施形態に係る道路灯1を下方からみた斜視図である。
図2は道路灯1の構成を示す図であり、
図2(A)は平面図、
図2(B)は側面図、
図2(C)は底面図、
図2(D)は正面図、及び
図2(E)は背面図である。また
図3は道路灯1の底面図である。
この道路灯1は、
図1に示すように、ポール型(ストレート型とも呼ばれる)の支柱4、又は、アーム型の支柱5の先端部3に器具本体10を支持したものである。支柱4、5は路肩等の道路脇の地面に立設された柱であり、ポール型の支柱4は、その先端部3が鉛直方向に真っ直ぐに延び、アーム型の支柱5は、柱の途中から曲がって先端部3が水平方向に水平、或いは所定角度傾いて延びている。この道路灯1の器具本体10は、支柱4、5の両方に取り付け可能に構成されている。
【0016】
器具本体10は、アルミダイカスト等で形成され、
図1、及び
図2に示すように、一端11Aから他端11Bにかけて長い平面視略矩形の箱型を成し、その一端11Aの近傍で上記支柱4、5の先端部3に支持され、他端11Bを道路側(車道側)に向けて設置される。器具本体10の底面10Aには、一端11Aの側に照射開口12が形成され、この照射開口12が平板状の透明なグローブガラス13(
図2(C))で覆われている。なお、
図1、及び
図3は、グローブガラス13から器具本体10の内部を透視して示したものである。
【0017】
器具本体10は、背面10B(すなわち一端11A近傍の外側面)にアーム用挿入孔15(
図2(E))が設けられ、また一端11A近傍の底面10Aにポール用挿入孔16が設けられている。ポール型の支柱4に器具本体10を支持する場合には、当該支柱4の先端部3が器具本体10の底面10Aからポール用挿入孔16に挿入され、またアーム型の支柱5に支持する場合には、当該支柱5の先端部3が器具本体10の背面10Bからアーム用挿入孔15に挿入される。これらアーム用挿入孔15、及びポール用挿入孔16のうち、先端部3が挿入されていない方は閉塞板17で閉塞される。
なお、本実施形態では、ポール型の支柱4に支持する道路灯1について主に説明する。
【0018】
図4は
図2(A)のI−I線における断面視図であり、
図5は
図3のII−II線における断面図である。
図6は器具本体10の分解斜視図である。
器具本体10は、ベースケース体20と、下カバー体21と、蓋体22とを備え、これらが器具本体10の略箱型のケース体を構成する。これらベースケース体20、下カバー体21、及び蓋体22は、屋外使用に十分に耐え得る耐食性があり、なおかつ、熱伝導性が高い材料(例えばアルミニウムやアルミニウム合金)を用いて形成されている。高熱伝導性の材料を用いることで、後述する光源ユニット25の発熱がケース体(本実施形態では、特にベースケース体20)から放熱され、光源ユニット25の光源温度が発光動作に適切な温度に維持される。
ベースケース体20は、器具本体10の六面の外側面のうち、天面10C、正面側、及び左右側の外側面10D、10E、10Fを構成し、下カバー体21は、器具本体10の底面10Aを構成する。また蓋体22は、器具本体10の天面10Cに開閉自在に設けられ、当該天面10Cの一部から背面10Bを構成する。
器具本体10には、蓋体22が開いて露出する箇所に後述するクランプユニット26が内設され、また道路側を向く他端11Bの側に光源を構成する複数(本実施形態では6個)の光源ユニット25が内設されている。
【0019】
下カバー体21は、ベースケース体20の下面にネジ19(例えば
図5)でネジ止め固定され、当該ベースケース体20の下面を閉じる部材であり、上述した照射開口12、及び、ポール用挿入孔16が形成されている。また、下カバー体21は、
図5、及び
図6に示すように、照射開口12を覆うようにグローブガラス13が上側から嵌め込まれて当該グローブガラス13を担持する。このグローブガラス13の縁部には、シール部材としての環状のパッキン42が全周に亘って嵌め込まれており、当該パッキン42によって下カバー体21の照射開口12がシールされる。また、下カバー体21をベースケース体20に取り付けた際には、下カバー体21とベースケース体20との間でパッキン42が挟み込まれて、当該ベースケース体20の内部がシールされるが、その詳細については後述する。
【0020】
図7はベースケース体20の構成を示す図であり、
図7(A)は平面図、
図7(B)は側面図、
図7(C)は底面図、
図7(D)は正面図、
図7(E)は背面図である。
ベースケース体20は、その内部が器具本体10の一端11Aの側のクランプ取付室27Bと、他端11Bの側の光源室27Aとに仕切28で仕切られている。クランプ取付室27Bにはクランプユニット26が配設され、光源室27Aには光源ユニット25が配設されている。
クランプユニット26は、器具本体10のアーム用挿入孔15、又は、ポール用挿入孔16から挿入された支柱4、5の先端部3に挿入されて取り付けられる支柱取付具である。また光源ユニット25は、道路灯1の光源であり、発光素子を備えて構成されている。
【0021】
クランプユニット26は、前掲
図6に示すように、支柱4、5の先端部3に挿入される筒部29と、この筒部29の外周面29Cに設けられた鍔部30とを備えている。この鍔部30がベースケース体20のクランプ取付室27Bの左右両側に設けられたクランプユニット固定部18にボルト31A、及びナット31Bで締結固定される。また筒部29の外周面29Cには周方向から、複数本の締め付け用のダブルナット32が挿入され、これらダブルナット32によって支柱4、5の先端部3に筒部29が締め付け固定される。また、ポール型の支柱4に取り付けられるクランプユニット26にあっては、筒部29の下側の一端29Aがポール用挿入孔16の近傍に配置され、上側の他端29Bがクランプ取付室27Bの奥に入り込み、この他端29Bに、支柱4の中を通じて先端部3から引き出された電気配線を保持するホルダ33が取り付けられる。
【0022】
光源ユニット25は、道路灯1の光源であり、発光素子を備えて構成されている。具体的には、前掲
図6に示すように、光源ユニット25は、LED基板34に実装されたCOB型LED(発光素子モジュール)35と、絶縁シート36と、反射鏡ベース板(固定板)37と、反射鏡38と、レンズ体39とを備え、これらの順に重ねるように組み付けて構成されている。
LED基板34は、COB型LED35の発熱を裏面に効率良く伝えるために、高熱伝導性を有する例えばセラミック等で形成されている。
COB型LED35は、多数のLEDをLED基板34の上に密集配置して平面視略円形(四角形も有り得る)の面状の発光部35Aを形成したチップオンボード(COB)構造の発光デバイスである。この面状の発光部35Aは、この面に略垂直な方向(以下、単に直下方向と言う。)に光軸Fを有し、この光軸Fが器具本体10の底面10Aを指向する姿勢で器具本体10の中に配置される。COB型LED35は、多数のLEDが密集配置されていることから大光量で高輝度な灯具が得られる。
【0023】
絶縁シート36は、開口36Aが形成され、当該開口36Aから発光部35Aを露出させつつLED基板34の実装面を覆い、このLED基板34と上記反射鏡ベース板37との間を電気的に絶縁するシート材である。
反射鏡ベース板37は、反射鏡38の組み付けベースとなる板材であり、上記絶縁シート36、及びLED基板34を上記ベースケース体20との間に挟むようにして当該ベースケース体20にネジ止め固定される。上記LED基板34は、反射鏡ベース板37による挟み込みにより、その裏面がベースケース体20に密接した状態で固定される。
【0024】
反射鏡38、及びレンズ体39は、COB型LED35の配光を制御する配光制御部材であり、これらの配光制御により、道路の走行方向に合わせて左右に延びた横長の配光が実現されている。具体的には、レンズ体39は、COB型LED35の発光部35Aを覆って配置されて、当該COB型LED35の光軸F近傍の光を左右方向(道路の車線方向)に配光する機能を備える。また反射鏡38は、このレンズ体39の周囲を囲む反射面38Aを有し、レンズ体39から側方に出る光を反射することで、背面側へ向かう光を抑えつつ、正面側の遠方(道路灯1が設置された道路の対向側の路肩近傍)に光を指向させるといった前後方向(道路の横断方向)の配光を制御する機能を備える。
【0025】
図7に示すように、光源室27Aの天井を構成するベースケース体20の天井面20Aには、LED基板34の裏面と面接触して支持する台座面40が所定の間隔で略格子状に設けられている。各台座面40は、LED基板34の各々が同一水平面(照射開口12の開口面から一定の距離)に位置するように天井面20Aからの高さが設定されている。
台座面40は、ベースケース体20の天井面20Aに一体に形成されており、高熱伝導性を有するLED基板34を通じてCOB型LED35の発熱が伝えられる。台座面40の熱は、ベースケース体20の天井面20Aに伝へられ、当該ベースケース体20の天面10Cから外部に放熱され、これにより、COB型LED35の光源温度が発光動作に適切な温度に維持される。なお、COB型LED35に代えて、他の構造のLED、或いは有機EL等の他の発光素子を用いても良いことは勿論である。
【0026】
本実施形態では、ベースケース体20には、光源室27Aの側に各光源ユニット25を包囲する平面視矩形枠状の包囲壁41を設け、この包囲壁41の中を水密にすることで、光源室27Aを防水することとしている。すなわち、前掲
図5に示すように、包囲壁41の全周に亘り、その先端41Aが、下カバー体21に担持されたグローブガラス13のパッキン42に密着し、これにより包囲壁41の内部が水密にシールされる。
上記包囲壁41のうち、クランプ取付室27Bに面する箇所は上記仕切28によって構成されており、この仕切28には、電源線引込孔43が開口し、この電源線引込孔43を通じて電気配線がクランプ取付室27Bから光源室27Aに引き込まれる。このとき電源線引込孔43をシールするために、この電源線引込孔43にブッシング44を嵌合し、このブッシング44に電源線を通して配線される。
【0027】
また、光源室27Aの各光源ユニット25とクランプユニット26とは、
図4に示すように、側面視略水平に延びるベースケース体20に、クランプユニット26による支柱4、5への固定箇所Pと、器具本体10の重心位置Qとの高さ方向のズレを抑えて(理想的には、同一水平面上に)配置した。これにより、器具本体10の共振点が下がることから道路灯1の設置箇所の振動の影響が少なくなり、使用環境が拡大される。
【0028】
蓋体22は、前掲
図4に示すように、上記クランプ取付室27Bを覆い、上記ベースケース体20の天面10Cにヒンジ金具46で開閉自在に取り付けられている。
図8は蓋体22を開いた状態を示す道路灯1の側面図であり、
図9は同状態を示す道路灯1の上方斜視図である。
これらの図、及び前掲
図7に示すように、ベースケース体20の天面10C、及び背面側には、クランプ取付室27Bを露出する開口47が形成されている。具体的には、開口47は、クランプ取付室27Bの天井に対応する箇所の天面10Cから背面10Bに亘る範囲を露出するように形成されており、さらに、クランプ取付室27Bの左右の両側面の側も露出するように形成されている。
【0029】
これにより、
図9に示すように、クランプ取付室27Bの背面側がベースケース体20に覆われることなく開放されることとなり、クランプ取付室27Bでの作業が容易となる。特に、
図9に示すように、器具本体10がポール型の支柱4に取り付けられる場合、クランプユニット26の筒部29はクランプ取付室27Bの中で上下に延び外周面29Cが背面側に対面するように配設される。したがって、支柱4の先端部3を固定するダブルナット32が器具本体10の背面側に面するようにクランプユニット26が配置されることで、背面側から開口47を通じてダブルナット32を簡単に操作することができ、器具本体10の取付作業が容易となる。
【0030】
蓋体22は、クランプ取付室27Bの開口47を閉じるものであり、クランプ取付室27Bに対応する天面10Cと背面10Bとが一体に形成されている。蓋体22の背面10Bに対応する箇所には、アーム用挿入孔15が形成されており、このアーム用挿入孔15が不使用である場合には、閉塞板17が取り付けられて閉塞されている。
かかる蓋体22は、ベースケース体20の天面10Cの略中央(より正確にはクランプ取付室27Bと光源室27Aとの境界近傍)に設けたヒンジ金具46に、光源室27A側に突出したヒンジ側端部22A(
図6)を結合してベースケース体20に取り付けられる。したがって、蓋体22の開閉軸が天面10Cの上になることから、蓋体22を開いた場合に当該蓋体22が天面10Cの上に移動する。このため、器具本体10の背面10Bの側の近くに壁面等の構造物が有る場合でも、開蓋時に蓋体22が干渉することがなく、蓋体22を大きく開くことができる。
【0031】
器具本体10の天面10Cは、前掲
図5に示すように、左右の略中央部を頂点にして左右両側が低くなるように弧を描いて緩やかに屈曲した曲面形状を成し、天面10Cに降り注ぐ風雨、及び積雪が左右両側に促されるようになっている。
また、器具本体10の天面10Cは、前掲
図2(B)に示すように、正面側(すなわち光源室27Aの側)の他端11Bから背面側(すなわちクランプ取付室27B)の側にかけて流線20Lを描く形状とされている。これにより、
図8に示すように、器具本体10が水平面Hに対して所定角度αの傾斜角度で他端11Bを上を向けた姿勢で取り付けられた場合に、天面10Cに降り注ぐ雨水や積雪を背面側に移動させつつ、天面10Cの両側からスムーズに落下させるようになっている。
さらに、この器具本体10には、クランプ取付室27Bの近傍の光源室27Aの天面10Cに、左右の両側に亘って横断し排水溝としての機能を有する横溝45が形成され、また、前掲
図2に示すように、他端11Bから背面側に向けて延び、上記横溝45に合流する複数本の誘導溝48が形成されている。これにより、光源室27Aの側の他端11Bから背面側への雨水等の移動を促進し横溝45からスムーズに落下させることができる。
本実施形態では、各誘導溝48が上述の台座面40の直上に対応した位置に設けられており、台座面40を通じて伝熱される光源の熱で積雪を溶かし、横溝45に効率良く案内されるようになっている。
【0032】
ここで、器具本体10の天面10Cを構成する上記ベースケース体20は、前掲
図4に示すように、天面10Cの板厚Tが光源室27Aの側の他端11Bからクランプ取付室27Bにかけて次第に厚くなっている。そして、上記横溝45は、クランプ取付室27Bの近傍の光源室27Aの天面10C、すなわち板厚Tが十分に厚く剛性が高い位置に設けられており、横溝45を設けられても天面10Cの剛性が確保されているようになっている。
また蓋体22の結合側の縁部は横溝45に沿って配置され、横溝45が蓋体22の開閉に要するクリアランスも兼ねている。この横溝45の中には、蓋体22に結合される上記ヒンジ金具46が収められておりヒンジ金具46が露出しないようにすることで意匠が高められている。このとき、ヒンジ金具46は、横溝45の底面45Aから高い位置であり、かつ、蓋体22のヒンジ側端部22Aで覆われた位置に配設されている。これにより、ヒンジ金具46が風雨に曝され、また横溝45の雨水に浸水し難くなり、水による腐食が抑制される。
【0033】
器具本体10は、
図9に示すように、支柱4、5への設置時に蓋体22を開位置で支持するストッパー機構49を備えている。
ストッパー機構49は、蓋体22の裏面に設けたレール50と、ベースケース体20に一端51Aが結合され他端51Bがレール50に案内自在に係合し蓋体22を支持する支持棒51とを備えている。レール50には、蓋体22の開閉に伴って支持棒51の他端51Bが移動する直線状の孔である案内路50Aが設けられている。開蓋時には、蓋体22が90度以上(本実施形態では115度)の開き角度β(
図8)に開いた状態で支持棒51が案内路50Aの下端部50A1に引っ掛かって蓋体22を支持する。また案内路50Aには、下端部50A1を略L字状に上方(天面10Cの側)に延ばした支え用端部50A2が設けられている。この支え用端部50A2に支持棒51が引っ掛かることで、支持棒51が蓋体22の開き角度βが90度以下の状態で蓋体22を閉蓋不能に支持する。
【0034】
また、閉蓋時には、支持棒51の他端51Bが案内され当該案内路50Aの直線方向の端である上端部50A3に移動する。この上端部50A3に支持棒51が引っ掛かった状態においては、蓋体22が全閉しない状態で支持棒51が蓋体22を閉蓋不能に支持する。一方、案内路50Aには上端部50A3に至る途中に、閉蓋方向Dに分岐する分岐路50A4が設けられており、この分岐路50A4に支持棒51の他端51Bが入り込むことで、支持棒51による蓋体22の支持が解かれて蓋体22が全閉する。
すなわち、開いた蓋体22が閉じるには、作業者が分岐路50A4に支持棒51の他端51Bを案内するように操作する必要がある。このような操作が成されずに、例えば風等の影響で蓋体22が閉じようとする場合には、支持棒51の他端51Bが案内路50Aを直線状に勢いよく移動し、ストレートに上端部50A3に到達して蓋体22が全閉する前に係止され、作業中に不意に蓋体22に挟まれるといった事を防止できる。
【0035】
ところで、COB型LED35、及びレンズ体39は、本実施形態の発光素子ユニット6を構成している。
以下、発光素子ユニット6について詳細に説明する。
図10は、発光素子ユニット6の全体構成を示す斜視図である。また
図11は発光素子ユニット6、及び反射鏡38の構成を示す図であり、
図11(A)は平面図、
図11(B)は背面図、
図11(C)は底面図、
図11(D)は正面図である。また
図12は発光素子ユニット6、及び反射鏡38の構成を示す図であり、
図12(A)は平面図、
図12(B)は正面図、
図12(C)は底面図、
図12(D)は左側面図、
図12(E)は右側面図である。
図13は、レンズ面による光軸近傍の光の配光の説明図である。なお、
図11では、構成の把握を容易にするために、反射鏡38の正面方向及び背面方向の直射光反射面38A1、38A2、並びに底面38A3を省略して図示している。
レンズ体39は、上述の通り、COB型LED35の発光部35Aを覆う透過型光学素子であり、発光部35Aを中心として左右対称な形状を成し、発光部35Aの光を左右の両側に配光する。具体的には、レンズ体39は、
図10−
図12に示すように、発光部35Aの直下を横断して左右両側に跨がるように弧を描くアーチ型の本体部70を有し、この本体部70の左右両端部に、反射鏡38の後述する底面38A3にネジ止めされる取付片(固定部)77を一体に備えて構成される。本体部70のアーチ型形状により、
図13に矢印K1で示すように、発光部35Aの光が左右の両側の遠方に配光される。レンズ体39は、光軸F方向において発光部35Aと最も接近する部分(本実施形態では、取付片77)が、発光部35Aと所定距離Lだけ離間配置され、発光部35Aの熱を効率良く逃がすことができるようになっている。
【0036】
また、この本体部70の左右方向に直交する前(正面)後(背面)方向の各々には、
図10、及び
図11に示すように、COB型LED35を外部に露出させる開口71、72が形成されている。これらの開口71、72がレンズ体39を貫通する貫通孔を構成するから、発光部35Aの熱を効率良く逃がすことができ、またレンズ体39の温度上昇も抑えられて熱損傷が防止される。特に、発光部35Aを覆う本体部70がアーチ型であるから、発光部35Aとの間の距離が大きくなり発光部35Aの発熱の影響を受けに難くできる。
【0037】
また、開口71、72は、発光部35Aから正面方向、及び背面方向に指向する光を直接外部に通す直射光用開口として機能する。開口71、72には、
図12に示すように、反射鏡38の正面たる直射光反射面38A1と、背面たる直射光反射面38A2が対面配置されており、これら直射光反射面38A1、38A2が前後方向に向かう直射光を直下方向に折り曲げて配光することで、レンズ体39が配光する両側の遠方の間の範囲が照らされる。
これにより、レンズ体39による左右両側遠方への配光と、直射光反射面38A1、38A2による両側遠方の間への配光とによって、横長の照射エリアが照射される。さらに、開口71、72の大きさによって、左右両側の遠方に配光する光量と直射光として取り出して遠方の間を照射する光量との配分を簡単に調整でき、使い勝手の良い光源ユニット25が実現できる。
【0038】
ここで、この光源ユニット25には、レンズ体39、及び反射鏡38によって配光された光以外のレンズ体39からの分散光または屈折光(以下、「非配光光」と言う)が存在し、光源ユニット25は、この非配光光によって直下方向の近傍(手前側)を照明している。
すなわち、この光源ユニット25にあっては、左右両側の遠方の間の範囲(すなわち、光源ユニット25の直下方向の範囲)を上記直射光反射面38A1、38A2の反射光で照らし、この範囲よりも手前側の範囲を非配光光で照らすことで、光源ユニット25の正面方向を効率良く照明する構成となっている。
【0039】
ただし、直下方向の手前側を非配光光のみで照らすため、何ら対策を施さなければ、非配光光の光量不足により直下方向の手前側での照度が足りなくなる。これに対して、例えばレンズ体39や反射鏡38により発光部35Aの光の一部を直下方向の手前側に配光すれば照度不足は解消するが、その分、左右両側の遠方に振り分けられる光量が減り遠方での照度が低下する。
【0040】
そこで本実施形態では、次のようにして非配光光の光量増加を図る構成としている。
すなわち、反射鏡38は、
図12に示すように、上記発光部35Aに対応する箇所に、当該発光部35Aを露出させる開口38Bが形成された底面(裏面反射光反射面)38A3を有し、上記レンズ体39の本体部70は、上記開口38Bと、その周面の底面38A3を覆って取り付けられている。これにより、発光部35Aの光が本体部70の裏面75で裏面反射された裏面反射光が底面38A3で本体部70に向けて再反射され非配光光として取り出されることとなり、器具全体として光量増加が図られる。
【0041】
さて、
図10−
図12に示すように、本実施形態のレンズ体39は、接線連続した単一曲面ではなく、路面を輝度ムラなく、なおかつ効率良く照射するために複数のレンズ面が設けられている。
レンズ体39の上記本体部70は、左右に延びる概略アーチ型に形成されることで左右方向への配光が形成され、左右両端部(すなわち、アーチの根元部)に近いほど、底面38A3と成す角度である俯角θ(
図13参照)が小さく、遠方に向かう光を放射する。そこで、この本体部70の左右両端部には、遠方である右方向側、及び左方向側に光を配光するレンズ面70Aが形成されている。
【0042】
一方、本体部70の中央部は、発光部35Aの光軸Fの方向に位置することから、この中央部からは直下方向に向かう光が多く放射されてしまう。そこで
図10−
図12に示すように、この中央部には、発光部35Aの光軸Fに対してやや正面側に、直下方向に向かう光を左右方向に振り向ける山型形状のレンズ面(第1レンズ面)70Bが形成されている。レンズ面70Bで配光された光は、
図13に矢印K2で示すように、遠方である右方向側、及び左方向側に振り分けられ遠方での照度を補っている。
【0043】
さらに詳述すると、レンズ面70Bは、
図10、及び
図11に示すように、断面略三角形で前後方向に延びる略三角柱状を成し、左右の面がそれぞれ、発光部35Aから入射した光を遠方に配光する入射面(全反射面)70B1、及び当該入射面70B1で配光された光が出射する出射面70B2として形成されている。換言すれば、レンズ面70Bは、レンズ体39のアーチ形状から凸状に突出する凸部として構成されている。このレンズ面70Bは、発光部35Aの光軸Fに入射面70B1の下端79Bに合わせて、当該光軸Fを挟んだ左右の両側に隣接して設けられており、この隣接する一対のレンズ面70Bの間に略V字状の入射面70B1が形成されている。これにより、発光部35Aからの光のうち、光軸Fの方向を指向する光によって効率良く左右の両側の遠方が照射される。なお、一対の入射面70B1は発光部35Aの直径内に形成されており、一対のレンズ面70Bの左右方向の幅W1は発光部35Aの直径と略同一に形成されている。
【0044】
また、本体部70の中央部には、発光部35Aの光軸Fに対してやや背面側に、直下方向に向かう光を左右方向に振り向ける山形形状のレンズ面(第2レンズ面、凸部)70Cが形成されている。レンズ面70Cで配光された光は、
図13に矢印K3で示すように、遠方である右方向側、及び左方向側に振り分けられ遠方での照度を補っている。
さらに詳述すると、レンズ面70Cは、
図10、及び
図11に示すように、断面略三角形で前後方向に延びる略三角柱状を成し、左右の面がそれぞれ、発光部35Aから入射した光を遠方に配光する入射面(全反射面)70C1、及び当該入射面70C1で配光された光が出射する出射面70C2として形成されている。換言すれば、レンズ面70Cは、レンズ体39のアーチ形状から凸状に突出する凸部として構成されている。
【0045】
レンズ面70Cは、発光部35Aの光軸Fに入射面70C1の下端79Cに合わせて、当該光軸Fを挟んだ左右の両側に設けられている。これにより、発光部35Aからの光のうち、光軸Fの方向を指向する光によって効率良く左右の両側の遠方が照射される。なお、一対の入射面70C1は一部が発光部35Aの直径内に形成されており、一対のレンズ面70Cの左右方向の幅W2は発光部35Aの直径よりも小さく形成されている。また、レンズ面70Cは、
図11(C)に示すように、発光部35Aの背面方向外側に延出しているため、直下方向だけでなく背面方向に向かう光を左右方向に振り向けている。レンズ面70Cのうち、発光部35Aから背面方向外側に延出した部分は、レンズ面70Aに設けられた支持部材73によって支持されている。
これにより、このレンズ体39にあっては、中央部にレンズ面70B、70Cを備えるアーチ型の本体部70によって、横長の照射エリアのうち、直下方向の照射エリアを除いた照射エリアである、左右方向遠方が照射される。
【0046】
さらに、本体部70の中央には、発光部35Aの直下に、レンズ面70B、70Cが形成されない、発光部35Aから入射した光を直接透過する透過面(透過部)70Dが形成されている。すなわち、発光部35Aの光軸F方向に向けて発光部35Aの外縁から投影されるエリアA内には、全反射面である入射面70B1、70C1を有するレンズ面70B、70Cと、透過面70Dとが設けられている。この透過面70Dについてより詳細に説明すると、
図11(C)に示すように、レンズ面70Bの正面側端面70B3は発光部35Aの外縁部35Bよりも背面側に位置しており、レンズ面70Bの端面70B3と発光部35Aの外縁部35Bとの間に透過面70D1を形成している。また、レンズ面70Bとレンズ面70Cは隙間δ(
図12)を空けて設けられており、発光部35A内において、レンズ面70Bとレンズ面70Cとの間に透過面70D2を形成している。さらに、一対のレンズ面70Cの左右方向の幅W2は発光部35Aの直径よりも小さく形成されているため、レンズ面70Cの出射面70C2と発光部35Aの外縁部35Bとの間に透過面70D3を形成している。
これにより、直下方向の照射エリアは、上述の通り、発光部35Aから前後方向に向かう直射光を直射光反射面38A1、38A2で折り曲げた光で照射されるとともに、
図13に矢印K4に示すように、レンズ体39に備えた透過面70Dを透過した透過光によって照射される。
したがって、道路灯1の直下方向と左右方向との間での照度の均衡が図られ、照度ムラを抑えて効率良く広い範囲が照明されることとなる。
【0047】
ところで、上述のように、レンズ体39の本体部70の左右両端部であるレンズ面70Aの透過光は、俯角θが小さいことから左右方向の遠方を照らすには最適である。しかしながら、前掲
図5に示すように、この光源ユニット25は、器具本体10に収められることから、俯角θ(
図13)が所定値以下の光は器具本体10の内側面で遮蔽されてしまう。
そこで、この道路灯1では、
図11に示すように、左右方向に向かう俯角θが所定値以下の光をレンズ体39を挟んだ反対方向の遠方に反射する低俯角光反射面38A4、38A5が反射鏡38の左右両側に設けられている。
これにより、俯角θが所定値以下の光が器具本体10で遮蔽されることなく左右方向の遠方の照射に有効に利用することができる。
なお、
図13に矢印K5に示すように、上記レンズ面70Aから出射された光においても、俯角θが小さい光は、低俯角光反射面38A4、38A5によって反対方向の遠方に向けて反射される。
【0048】
以上説明したように、本実施形態によれば、次のような効果を奏する。
【0049】
すなわち、本実施形態によれば、レンズ体39は、COB型LED35の発光部35Aの光軸F方向に向けて当該発光部35Aの外縁から投影されるエリアA内に、光軸Fに対して比較的狭い範囲に配光する透過面70Dと、透過面70Dで配光される光よりも広い範囲に配光する全反射面である入射面70B1、70C1とを有する構成とした。この構成により、発光部35Aの直下方向に向かう光を遠方に向けて配光して、発光部35Aの直下方向に向かう光の量を抑制できるとともに、遠方を十分な照度で照射できるので、広い照射エリアを略均一に照明することができる。
【0050】
また、本実施形態によれば、レンズ体39は隣接して形成される一対の凸部(レンズ面70B、70C)を少なくとも1つ備え、隣接する一対のレンズ面70B、70Cは、両者の間に略V字状の入射面70B1、70C1を形成する構成とした。この構成により、入射面70B1、70C1の配列方向の両側(左右側)の遠方を十分な照度で照射できるので、横長の広い照射エリアを照度ムラを抑えて効率良く照射できる。
【0051】
また、本実施形態によれば、レンズ体39と発光部35Aとの間を、光軸F方向に離間配置したため、発光部35Aの熱を効率良く逃がすことができる。
【0052】
また、本実施形態によれば、COB型LED35は、発光部35を除き難燃性の絶縁シート36で覆い、反射鏡ベース板37で器具本体10に固定するとともに、レンズ体39の取付片77は、反射鏡38を反射鏡ベース板37との間に挟むようにして当該反射鏡ベース板37に固定する構成とした。この構成により、反射鏡38を固定する固定具を必要としないため、部品点数を削減し、製造工程を簡素化できる。
【0053】
なお、上述した実施形態は、あくまでも本発明の一態様を例示したものであって、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で任意に変形、及び応用が可能である。
例えば、上記実施形態では、一対で略V字状に形成された全反射面を2つ(レンズ面70Bとレンズ面70C)設けたが、一対の全反射面の数はこれに限定されるものではなく、1つでもよく、3つ以上であってもよい。
また、上記実施形態では、反射鏡38を設けたが、反射鏡38は省略してもよい。
【0054】
また、本発明は道路灯に限らず、例えば街灯等の任意の照明器具に適用可能である。また、本発明は、器具本体が支柱に限らず、例えば建物の壁等に支持される照明器具に適用可能である。