特許第6119174号(P6119174)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6119174
(24)【登録日】2017年4月7日
(45)【発行日】2017年4月26日
(54)【発明の名称】天板付き家具
(51)【国際特許分類】
   A47B 3/091 20060101AFI20170417BHJP
【FI】
   A47B3/091 A
【請求項の数】5
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2012-229271(P2012-229271)
(22)【出願日】2012年10月16日
(65)【公開番号】特開2014-79379(P2014-79379A)
(43)【公開日】2014年5月8日
【審査請求日】2015年9月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001351
【氏名又は名称】コクヨ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085338
【弁理士】
【氏名又は名称】赤澤 一博
(72)【発明者】
【氏名】古田 司
【審査官】 蔵野 いづみ
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第01836668(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47B 3/091
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
天板と、この天板から垂下する使用姿勢及び前記天板に平行な収納姿勢をとることが可能な脚体と、これら天板及び脚体の間に設けられ天板を支持する天板支持部材とを備え、
前記天板支持部材が、前記脚体の内面に一端部を回転可能に取り付けている第1のリンクメンバと、天板に一端部を回転可能に取り付けているとともに他端部を前記第1のリンクメンバに回転可能に支持させている第2のリンクメンバとを備え、前記脚体が収納姿勢をとる際に前記脚体と前記第1のリンクメンバとの間、及び前記第1のリンクメンバと前記第2のリンクメンバとの間に指を挿入可能な隙間を有する天板付き家具であって、
前記第1及び第2のリンクメンバのうち少なくとも一方が、鉛直な面を有するリンクメンバ本体と、このリンクメンバ本体の上端縁から延出し少なくとも前記脚体が収納姿勢をとる際に前記天板の下面に対向する上向き面を有する上向き面部とを有することを特徴とする天板付き家具。
【請求項2】
天板と、この天板から垂下する使用姿勢及び前記天板に平行な収納姿勢をとることが可能な脚体と、これら天板及び脚体の間に設けられ天板を支持する天板支持部材とを備え、
前記天板支持部材が、前記脚体の内面に一端部を回転可能に取り付けている第1のリンクメンバと、天板に一端部を回転可能に取り付けているとともに他端部を前記第1のリンクメンバに回転可能に支持させている第2のリンクメンバとを備え、前記脚体が収納姿勢をとる際に前記脚体と前記第1のリンクメンバとの間、及び前記第1のリンクメンバと前記第2のリンクメンバとの間に指を挿入可能な隙間を有する天板付き家具であって、
前記第1及び第2のリンクメンバのうち少なくとも一方が、鉛直な面を有するリンクメンバ本体と、このリンクメンバ本体の上端縁から延出し少なくとも前記脚体が収納姿勢をとる際に前記天板の下面に対向する上向き面を有する上向き面部と、この上向き面部の先端から垂下し前記リンクメンバ本体に対向する折り返し部とを有することを特徴とする天板付き家具。
【請求項3】
天板と、この天板から垂下する使用姿勢及び前記天板に平行な収納姿勢をとることが可能な脚体と、これら天板及び脚体の間に設けられ天板を支持する天板支持部材とを備え、
前記天板支持部材が、前記脚体の内面に一端部を回転可能に取り付けている第1のリンクメンバと、天板に一端部を回転可能に取り付けているとともに他端部を前記第1のリンクメンバに回転可能に支持させている第2のリンクメンバとを備え、前記脚体が収納姿勢をとる際に前記脚体と前記第1のリンクメンバとの間、及び前記第1のリンクメンバと前記第2のリンクメンバとの間に指を挿入可能な隙間を有する天板付き家具であって、
前記天板が、天板本体と、この天板本体の下面に設けた横架材とを有し、
前記第1のリンクメンバが、脚体の内面に添接する基端部と、脚体が収納姿勢をとる際に前記脚体の内面から離間しかつ該脚体の内面と平行な先端部と、これら基端部と先端部とを接続する接続部とを有するとともに、
前記第2のリンクメンバが、前記横架材の内面に添接する基端部と、脚体が収納姿勢をとる際に前記第1のリンクメンバから離間しかつ該横架材の内面と平行な先端部と、これら基端部と先端部とを接続する接続部とを有することを特徴とする天板付き家具。
【請求項4】
前記天板が、天板本体と、この天板本体の下面に設けた横架材とを有し、
前記第1のリンクメンバが、脚体の内面に添接する基端部と、脚体が収納姿勢をとる際に前記脚体の内面から離間しかつ該脚体の内面と平行な先端部と、これら基端部と先端部とを接続する接続部とを有するとともに、
前記第2のリンクメンバが、前記横架材の内面に添接する基端部と、脚体が収納姿勢をとる際に前記第1のリンクメンバから離間しかつ該横架材の内面と平行な先端部と、これら基端部と先端部とを接続する接続部とを有する請求項1又は2記載の天板付き家具。
【請求項5】
脚体が収納姿勢をとる際に前記天板支持部材の第1のリンクメンバの接続部と前記天板支持部材の第2のリンクメンバの接続部とが略平行に延びている請求項3又は4記載の天板付き家具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、天板に平行な収納姿勢をとることが可能な脚体を備えた天板付き家具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、天板と、この天板から垂下する使用姿勢及び前記天板に平行な収納姿勢をとることが可能な脚体と、これら天板及び脚体の間に設けられ天板を支持する天板支持部材とを備え、脚体を前記使用姿勢とした状態で使用するとともに、非使用時には脚体を前記収納姿勢とした状態で収納することが可能な天板付き家具が広く知られている。このような天板付き家具において、使用時における天板の脚体への取付強度を確保する目的で、これら天板及び脚体の間に設けられ天板を支持する天板支持部材を設けることも広く知られている。このような天板支持部材として、例えば、前記脚体の内面に一端部を回転可能に取り付けている第1のリンクメンバと、天板に一端部を回転可能に取り付けているとともに他端部を前記第1のリンクメンバに回転可能に支持させている第2のリンクメンバとを備えているものが挙げられる(例えば、特許文献1を参照)。この天板支持部材は、脚体が前記使用姿勢にある場合には前記第1及び第2のリンクメンバがなす角が約180度となりこれら第1及び第2のリンクメンバが協働して天板を支持する一方、脚体が前記収納姿勢にある場合には前記第1及び第2のリンクメンバがなす角が小さくなりこれら第1及び第2のリンクメンバの大部分が重なり合う姿勢をとる。
【0003】
ここで、前記特許文献1記載のもののような構成のものにおいては、脚体を前記使用姿勢から前記収納姿勢に変化させて収納する際に、前記天板支持部材の第1のリンクメンバの一端部と第2のリンクメンバの一端部とが接近し、これら第1のリンクメンバと第2のリンクメンバとの間で指を挟んでしまう不具合が発生しうる。この不具合の発生を防止するためには、これら第1及び第2のリンクメンバを軟質材料により構成したカバーにより被覆する方法が考えられるが、この方法を採用した場合、部品点数の増加や組み立て工数の増加等、別の不具合が発生する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−75825号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は以上の点に着目し、天板に平行な収納姿勢をとることが可能な脚体を備えた天板付き家具において、部品点数の増加や組み立て工数の増加等を招くことなく、天板支持部材の第1のリンクメンバと第2のリンクメンバとの間で指を挟んでしまう不具合の発生を抑制又は防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以上の課題を解決すべく、各請求項の発明に係る天板付き家具は、以下に述べるような構成を有する。すなわち請求項1の発明に係る天板付き家具は、天板と、この天板から垂下する使用姿勢及び前記天板に平行な収納姿勢をとることが可能な脚体と、これら天板及び脚体の間に設けられ天板を支持する天板支持部材とを備え、前記天板支持部材が、前記脚体の内面に一端部を回転可能に取り付けている第1のリンクメンバと、天板に一端部を回転可能に取り付けているとともに他端部を前記第1のリンクメンバに回転可能に支持させている第2のリンクメンバとを備え、前記脚体が収納姿勢をとる際に前記脚体と前記第1のリンクメンバとの間、及び前記第1のリンクメンバと前記第2のリンクメンバとの間に指を挿入可能な隙間を有する天板付き家具であって、前記第1及び第2のリンクメンバのうち少なくとも一方が、鉛直な面を有するリンクメンバ本体と、このリンクメンバ本体の上端縁から延出し少なくとも前記脚体が収納姿勢をとる際に前記天板の下面に対向する上向き面を有する上向き面部とを有する
また、請求項2の発明に係る天板付き家具は、天板と、この天板から垂下する使用姿勢及び前記天板に平行な収納姿勢をとることが可能な脚体と、これら天板及び脚体の間に設けられ天板を支持する天板支持部材とを備え、前記天板支持部材が、前記脚体の内面に一端部を回転可能に取り付けている第1のリンクメンバと、天板に一端部を回転可能に取り付けているとともに他端部を前記第1のリンクメンバに回転可能に支持させている第2のリンクメンバとを備え、前記脚体が収納姿勢をとる際に前記脚体と前記第1のリンクメンバとの間、及び前記第1のリンクメンバと前記第2のリンクメンバとの間に指を挿入可能な隙間を有する天板付き家具であって、前記第1及び第2のリンクメンバのうち少なくとも一方が、鉛直な面を有するリンクメンバ本体と、このリンクメンバ本体の上端縁から延出し少なくとも前記脚体が収納姿勢をとる際に前記天板の下面に対向する上向き面を有する上向き面部と、この上向き面部の先端から垂下し前記リンクメンバ本体に対向する折り返し部とを有する。
【0007】
れらのようなものであれば、脚体を前記使用姿勢から前記収納姿勢に変化させて収納する際に天板支持部材付近に手指を配していた場合であっても、前記第1のリンクメンバと前記第2のリンクメンバとが重なり合うように移動する際に前記隙間に指を退避させることができるので、第1及び第2のリンクメンバの間に指が挟まれる不具合を抑制できる。
【0008】
さらに、請求項1の発明に係るものは、前記第1及び第2のリンクメンバのうち少なくとも一方が、鉛直な面を有するリンクメンバ本体と、このリンクメンバ本体の上端縁から延出し少なくとも前記脚部が収納姿勢をとる際に前記天板の下面に対向する上向き面を有する上向き面部とを有請求項2の発明に係るものは、前記第1及び第2のリンクメンバのうち少なくとも一方が、鉛直な面を有するリンクメンバ本体と、このリンクメンバ本体の上端縁から延出し少なくとも前記脚部が収納姿勢をとる際に前記天板の下面に対向する上向き面を有する上向き面部と、この上向き面部の先端から垂下し前記リンクメンバ本体に対向する折り返し部とを有するので、これらの構成により、脚体を前記使用姿勢から前記収納姿勢に変化させて収納する際に天板とリンクメンバとの間に手指が配されている場合の不具合を軽減できるとともに天板支持部材全体としての強度を確保できる
【0009】
請求項3の発明に係る天板付き家具は、天板と、この天板から垂下する使用姿勢及び前記天板に平行な収納姿勢をとることが可能な脚体と、これら天板及び脚体の間に設けられ天板を支持する天板支持部材とを備え、前記天板支持部材が、前記脚体の内面に一端部を回転可能に取り付けている第1のリンクメンバと、天板に一端部を回転可能に取り付けているとともに他端部を前記第1のリンクメンバに回転可能に支持させている第2のリンクメンバとを備え、前記脚体が収納姿勢をとる際に前記脚体と前記第1のリンクメンバとの間、及び前記第1のリンクメンバと前記第2のリンクメンバとの間に指を挿入可能な隙間を有する天板付き家具であって、前記天板が、天板本体と、この天板本体の下面に設けた横架材とを有し、前記第1のリンクメンバが、脚体の内面に添接する基端部と、脚体が収納姿勢をとる際に前記脚体の内面から離間しかつ該脚体の内面と平行な先端部と、これら基端部と先端部とを接続する接続部とを有するとともに、前記第2のリンクメンバが、前記横架材の内面に添接する基端部と、脚体が収納姿勢をとる際に前記第1のリンクメンバから離間しかつ該横架材の内面と平行な先端部と、これら基端部と先端部とを接続する接続部とを有する
請求項4の発明に係る天板付き家具は、請求項1又は2に係る構成において、前記天板が、天板本体と、この天板本体の下面に設けた横架材とを有し、前記第1のリンクメンバが、脚体の内面に添接する基端部と、脚体が収納姿勢をとる際に前記脚体の内面から離間しかつ該脚体の内面と平行な先端部と、これら基端部と先端部とを接続する接続部とを有するとともに、前記第2のリンクメンバが、前記横架材の内面に添接する基端部と、脚体が収納姿勢をとる際に前記第1のリンクメンバから離間しかつ該横架材の内面と平行な先端部と、これら基端部と先端部とを接続する接続部とを有するものである。
これらのようなものであれば、脚体を前記使用姿勢から前記収納姿勢に変化させて収納する際に天板支持部材付近に手指を配していた場合であっても、前記第1のリンクメンバと前記第2のリンクメンバとが重なり合うように移動する際に前記隙間に指を退避させることができるので、第1及び第2のリンクメンバの間に指が挟まれる不具合を抑制できるという効果を、簡単な構成により実現できる。
【0010】
前記脚体が収納姿勢をとる際に、前記第1のリンクメンバと前記第2のリンクメンバとの間に形成される隙間に手指を退避させることができるようにするための構成として、前記天板支持部材の第1のリンクメンバの接続部と前記天板支持部材の第2のリンクメンバの接続部とが略平行に延びているものが挙げられる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、天板に平行な収納姿勢をとることが可能な脚体を備えた天板付き家具において、部品点数の増加や組み立て工数の増加等を招くことなく、天板支持部材の第1のリンクメンバと第2のリンクメンバとの間で指を挟んでしまう不具合の発生を抑制又は防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施形態に係る天板付き家具を示す斜視図。
図2】同実施形態に係る天板付き家具を示す正面図。
図3】同実施形態に係る天板付き家具を示す側面図。
図4】同実施形態に係る天板付き家具を示す底面図。
図5】同実施形態に係る天板付き家具の要部を拡大して示す平面図。
図6】同実施形態に係る天板付き家具の脚体を収納姿勢とした状態を示す正面図。
図7】同実施形態に係る天板付き家具の脚体を収納姿勢とした状態の要部を示す拡大平面図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の一実施形態を図1図6を参照しつつ以下に示す。
【0014】
本実施形態に係る天板付き家具1は、図1図5に示すように、天板2と、この天板2から垂下する使用姿勢U及び前記天板2に平行な収納姿勢Sをとることが可能な脚体3と、これら天板2及び脚体3の間に設けられ天板2を支持する天板支持部材4と、この天板支持部材4に支持された棚5とを備えている。
【0015】
前記天板2は、図1図4に示すように、天板本体21と、この天板本体21の下面に設けた横架材22とを備えている。前記天板本体21は、平面視細長い矩形状をなす木製板状の部材である。前記横架材22は、前記天板本体21の長辺方向に延びる端縁近傍の下面に対をなして設けている。この横架材22の長手方向両端縁には脚取付ブラケット23を溶接により固定して取り付けていて、この脚取付ブラケット23を貫通させた脚取付軸24により前記脚体3を回転可能に支持させている。
【0016】
前記脚体3は、図1図4及び図6に示すように、前記天板2の横架材22に脚取付軸24を介して回転可能に取り付けられ、左右一対に設けられている。各脚体3はそれぞれ、使用姿勢Uにある場合に前記天板2の下面から垂下する前後一対の脚支柱31と、この脚支柱31の下端に取り付けられたアジャスタ32と、前記一対の脚支柱31の中間部同士を連結する脚補強材33とを備えている。前記脚支柱31は、金属製で中空の角柱状の部材であり、前述したように脚取付軸24により天板2に回転可能に取り付けられている。この脚支柱31は、前記天板2の下面から垂下する図2に示すような使用姿勢Uと前記天板2の横架材22に添接する図6に示すような収納姿勢Sとを選択的にとることができる。また、この脚支柱31の下端部には、前記アジャスタ32を取り付けるための雌ねじ部材311が挿入されている。前記アジャスタ32は、接地体と、この接地体の上面から上方に延びる雄ねじ部材とを備え、この雄ねじ部材を前記雌ねじ部材311の雌ねじ孔に螺合させることにより前記脚支柱31に取り付けられる構成のものである。前記脚補強材33は、金属製の角パイプ状の部材で、前後両端部がそれぞれ前記脚支柱31に溶接により固着されている。そして、この脚体3の脚支柱31の上部と前記天板2の横架材22との間に、天板支持部材4を介在させている。
【0017】
前記天板支持部材4は、図2図7に示すように、前記脚体3の内面に一端部を回転可能に取り付けている第1のリンクメンバ6と、天板2の横架材22に一端部を回転可能に取り付けているとともに他端部を前記第1のリンクメンバ6に回転可能に支持させている第2のリンクメンバ7とを備えている。
【0018】
前記第1のリンクメンバ6は、板金加工により全体を形成しており、図5及び図7に示すように、脚体3の内面に添接する基端部61と、脚体3が収納姿勢Sをとる際に前記脚体3の内面から離間しかつ該脚体3の内面と平行な先端部62と、これら基端部61と先端部62とを接続する接続部63とを有する。詳述すれば、前記基端部61は、第1の取付軸64により脚体3の内面に枢着されている。前記先端部62は、前記基端部61と平行であり、連結軸4aを介して前記第2のリンクメンバ7に接続されている。そして、前記接続部63は、前記基端部61から前記先端部62に向かうにつれ脚体3すなわち脚支柱31の内面を形成する平面から離間する傾斜を有する。
【0019】
前記第2のリンクメンバ7は、板金加工により全体を形成しており、図5及び図7に示すように、鉛直な面を有するリンクメンバ本体71と、このリンクメンバ本体71の上端縁から延出し少なくとも前記脚体3が収納姿勢Sをとる際に前記天板2の下面に対向する上向き面を有する上向き面部72と、この上向き面部72の先端から垂下し前記リンクメンバ本体71に対向する折り返し部73とを有し、全体として下方に開口するチャネル状をなしている。前記リンクメンバ本体71は、天板2の下面に配した枠体の内面に添接する基端部711と、脚体3が収納姿勢Sをとる際に前記第1のリンクメンバ6から離間しかつ該脚体3の内面と平行な先端部712と、これら基端部711と先端部712とを接続する接続部713とを有する。詳述すれば、前記基端部711は、第2の取付軸74により前記天板2の横架材22の内面側に枢着されている。前記先端部712は、前記基端部711と平行に延伸しており、前記連結軸4aを介して前記第1のリンクメンバ6に接続されている。そして、前記接続部713は、前記基端部711から前記先端部712に向かうにつれ脚体3すなわち脚支柱31の内面を形成する平面から離間する傾斜を有する。前記上向き面部72は、前記リンクメンバ本体71の接続部713及び先端部712の上端縁から延出している。前記折り返し部73は、それぞれ上向き面部72の先端から垂下する第1折り返し要素731と第2折り返し要素732とを備えている。前記第1折り返し要素731は、前記リンクメンバ本体71の接続部713及び先端部712のうち前記接続部63寄りの部位に対向している。前記第2折り返し要素732は、前記先端部712の前記連結軸4aに対応する部位に対向している。そして、この第2のリンクメンバ7は、前後に対をなして左右両側に2対設けられており、対をなす第2のリンクメンバ7間を、図3及び図4に示すように、連結材75により連結している。
【0020】
前記連結軸4aは、図3図5及び図7に示すように、この前記第2折り返し要素732、前記第1のリンクメンバ6の先端部62、及びこの第1のリンクメンバ7のリンクメンバ本体71の先端部713を貫通し、これら第1及び第2のリンクメンバ6及び7を回転可能に接続している。
【0021】
前記棚5は、図2図4及び図6に示すように、前記天板支持部材4に両端をそれぞれ支持させてなる前後一対の第1の横枠51と、対をなす前記第1の横枠51の端部同士を接続する縦枠52と、この縦枠52の中間部同士を接続する2本の第2の横枠53とを備えている。前記第1の横枠51は金属製の部材であり、両端を除く部位は丸パイプ状をなし、両端は鉛直面51aを有する板状をなしている。この第1の横枠51の両端の板状部位には、前記第2のリンクメンバ7を貫通するピン54を通過させることが可能な長孔51bを設けている。
【0022】
この天板付き家具1は、上述したように、使用時には脚体3を使用姿勢Uとし、アジャスタ32を接地させた状態で使用する。その際、前記天板支持部材4の第1及び第2のリンクメンバ6、7を接続する接続軸4aは、前記第1の取付軸64と前記第2の取付軸74とを結ぶ線分よりも下方に位置しており、また、第2のリンクメンバ7の上向き面部72の下方に第1のリンクメンバ6が位置している。さらに、脚支柱31の外側面は、脚取付ブラケット23の内面に対向しており、これらにより脚体3がみだりに回転移動することが規制されている。
【0023】
そして、この天板付き家具1を収納する際には、前記接続軸4a近傍の部位に上方に向かう作用を加えることにより脚体3を収納姿勢Sとなるように移動させ、脚体3が天板2の横架材22とほぼ平行となるようにする。しかして、脚体3を収納姿勢Sとした状態では、前記脚体3と前記第1のリンクメンバ6との間、及び前記第1のリンクメンバ6と前記第2のリンクメンバ7との間に指を挿入可能な隙間S1、S2がそれぞれ形成されている。このとき、前記天板支持部材4の第1のリンクメンバ6の接続部63と前記第2のリンクメンバ7の接続部713とが略平行に延びている。また、脚体3の移動に伴い、第2のリンクメンバ7の上向き面部72が天板2の下面に接近する。
【0024】
すなわち本実施形態によれば、脚体3を前記使用姿勢Uから前記収納姿勢Sに変化させて収納する際に天板支持部材4付近に手指を配していた場合であっても、前記第1のリンクメンバ6と前記第2のリンクメンバ7とが重なり合うように移動する際に前記隙間S1、S2に指を退避させることができるので、第1及び第2のリンクメンバ6、7の間に指が挟まれる不具合を抑制できる。
【0025】
また、前記第2のリンクメンバ7が、鉛直な面を有するリンクメンバ本体71と、このリンクメンバ本体71の上端縁から延出し少なくとも前記脚体3が収納姿勢Sをとる際に前記天板2の下面に対向する上向き面を有する上向き面部72と、この上向き面部72の先端から垂下し前記リンクメンバ本体71に対向する折り返し部73とを有するので、従来のものと異なり、上向き面部72の上向き面が面的に手指に接触する。従って、手指が受ける圧が小さく、脚体3を前記使用姿勢Uから前記収納姿勢Sに変化させて収納する際に天板2と第2のリンクメンバ7との間に手指が配されている場合の不具合を軽減できる。さらに、このような構成を採用することにより、第2のリンクメンバ7は下方に開口するチャネル状をなし、第2のリンクメンバ7を第1のリンクメンバ6から離間させることによる天板支持部材4の強度低下を低減できる。換言すれば、このような構成により、天板支持部材4全体としての強度を確保できる。
【0026】
さらに、前記天板2が、天板本体21と、この天板本体21の下面に設けた横架材22とを有し、前記第1のリンクメンバ6が、脚体3の内面に添接する基端部61と、脚体3が収納姿勢Sをとる際に前記脚体3の内面から離間しかつ該脚体3の内面と平行な先端部62と、これら基端部61と先端部62とを接続する接続部63とを有するとともに、前記第2のリンクメンバ7のリンクメンバ本体71が、前記横架材22の内面に添接する基端部711と、脚体3が収納姿勢Sをとる際に前記第1のリンクメンバ6から離間しかつ該横架材22の内面と平行な先端部712と、これら基端部711と先端部712とを接続する接続部713とを有するので、簡単な構成により上述したような効果を奏する天板付き家具1の構成を実現できる。
【0027】
加えて、前記脚体3が収納姿勢Sをとる際に、前記天板支持部材4の第1のリンクメンバ6の接続部63と前記第2のリンクメンバ7の接続部713とが略平行に延びているので、前記脚体3が収納姿勢Sをとる際に、前記第1のリンクメンバ6と前記第2のリンクメンバ7との間に形成される隙間S1、S2に手指を退避させることができる。
【0028】
そして、天板2の下方に、前記天板支持部材4に支持される棚5を備えているので、天板2の下方の空間を有効に利用することができる。
【0029】
なお、本発明は以上に述べた実施形態に限らない。
【0030】
例えば、上述した実施形態では、第2のリンクメンバが、鉛直な面を有するリンクメンバ本体と、このリンクメンバ本体の上端縁から延出し少なくとも前記脚体が収納姿勢をとる際に前記天板の下面に対向する上向き面を有する上向き面部と、この上向き面部の先端から垂下し前記リンクメンバ本体に対向する折り返し部とを有するが、折り返し部は省略してもよい。また、第2のリンクメンバでなく第1のリンクメンバがリンクメンバ本体及び上向き面部を有する、あるいはリンクメンバ本体、上向き面部及び折り返し部を有する構成を採用してもよく、さらに、第1及び第2のリンクメンバの双方がリンクメンバ本体及び上向き面部を有する、あるいはリンクメンバ本体、上向き面部及び折り返し部を有する構成を採用してもよい。
【0031】
また、第1及び第2のリンクメンバの接続部の形状は、上述した実施形態に係るものに限らず、任意に設定してよい。
【0032】
さらに、棚部材の形状も任意に設定してよく、棚部材を省略してももちろんよい。
【0033】
その他、本発明の趣旨を損ねない範囲で種々に変更してよい。
【符号の説明】
【0034】
1…天板付き家具
2…天板
3…脚体
4…天板支持部材
6…第1のリンクメンバ
7…第2のリンクメンバ
U…使用姿勢
S…収納姿勢
S1、S2…隙間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7