(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6119203
(24)【登録日】2017年4月7日
(45)【発行日】2017年4月26日
(54)【発明の名称】収音装置、収音方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
H04R 3/00 20060101AFI20170417BHJP
【FI】
H04R3/00 320
【請求項の数】8
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2012-249608(P2012-249608)
(22)【出願日】2012年11月13日
(65)【公開番号】特開2014-99715(P2014-99715A)
(43)【公開日】2014年5月29日
【審査請求日】2015年9月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004075
【氏名又は名称】ヤマハ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000970
【氏名又は名称】特許業務法人 楓国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田中 良
【審査官】
冨澤 直樹
(56)【参考文献】
【文献】
特開2008−028885(JP,A)
【文献】
特開平10−304487(JP,A)
【文献】
国際公開第2007/049696(WO,A1)
【文献】
実開昭57−100349(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04R 3/00
H04M 3/56
H04M 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
マイクロホンで生成された収音信号を遅延させ、遅延音声信号を出力する遅延回路と、
該遅延回路の後段に接続され、前記遅延音声信号を出力するミュートオフ状態と前記遅延音声信号を出力しないミュートオン状態とを切り替えるミュートスイッチと、
ミュートの操作入力を受け付ける操作入力部と、
操作入力結果に基づいて、前記ミュートスイッチを制御するミュート制御部と、を備え、
前記ミュート制御部は、
前記ミュートオン状態において前記操作入力部に対する操作入力を検出すると、前記ミュートスイッチを前記ミュートオン状態から前記ミュートオフ状態に切り替え、
前記ミュートオフ状態において前記操作入力部に対する操作入力を検出すると、前記ミュートスイッチを前記ミュートオフ状態から前記ミュートオン状態に切り替え、
前記ミュートオフ状態から前記ミュートオン状態に切り替える場合には、前記操作入力の開始タイミングで、切り替え制御を行い、
前記ミュートオン状態から前記ミュートオフ状態に切り替える場合には、前記操作入力の終了タイミングから、前記遅延回路による遅延時間よりも長い時間遅延させたタイミングで、切り替え制御を行う、
ことを特徴とする収音装置。
【請求項2】
前記ミュート制御部は、
前記操作入力部の操作時に生じる操作音が前記ミュートスイッチまで到達する時間と前記操作音の時間長とを、前記遅延時間に加算して切り替え制御を行う、
請求項1に記載の収音装置。
【請求項3】
前記マイクロホンと前記操作入力部は、単一の筐体に装着されている、請求項1または請求項2に記載の収音装置。
【請求項4】
前記ミュート制御に応じてミュートオン状態を表示する表示部を備える、請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の収音装置。
【請求項5】
前記遅延回路は、前記収音信号に対して不要成分の抑圧処理を実行する回路である、請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の収音装置。
【請求項6】
前記操作入力部は、利用者からの押し込み操作を受け付け、
前記押し込み操作の押し込み量が所定閾値以上になったことを検出した時に、操作入力を受け付ける、
請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の収音装置。
【請求項7】
マイクロホンで生成された収音信号を遅延させ、遅延音声信号を出力する遅延処理と、
該遅延処理の後に実行され、前記遅延音声信号を出力するミュートオフ状態と前記遅延音声信号を出力しないミュートオン状態とを切り替えるミュート処理と、
ミュートの操作入力を受け付ける操作入力処理と、
操作入力結果に基づいて、前記ミュート処理を制御するミュート制御処理と、を実行する収音方法であって、
前記ミュート制御処理は、
前記ミュートオン状態において前記操作入力処理で操作入力を検出すると、前記ミュート処理を前記ミュートオン状態から前記ミュートオフ状態に切り替え、
前記ミュートオフ状態において前記操作入力処理で操作入力を検出すると、前記ミュート処理を前記ミュートオフ状態から前記ミュートオン状態に切り替え、
前記ミュートオフ状態から前記ミュートオン状態に切り替える場合には、前記操作入力の開始タイミングで、切り替え制御を行い、
前記ミュートオン状態から前記ミュートオフ状態に切り替える場合には、前記操作入力の終了タイミングから、前記遅延処理による遅延時間よりも長い時間遅延させたタイミングで、切り替え制御を行う、
ことを特徴とする収音方法。
【請求項8】
マイクロホンで生成された収音信号を遅延させ、遅延音声信号を出力する遅延回路と、
該遅延回路の後段に接続され、前記遅延音声信号を出力するミュートオフ状態と前記遅延音声信号を出力しないミュートオン状態とを切り替えるミュートスイッチと、
ミュートの操作入力を受け付ける操作入力部と、
操作入力結果に基づいて、前記ミュートスイッチを制御するミュート制御部と、を備えた収音装置に実行されるプログラムであって、
前記ミュート制御部に、
前記ミュートオン状態において前記操作入力部に対する操作入力を検出すると、前記ミュートスイッチを前記ミュートオン状態から前記ミュートオフ状態に切り替え、
前記ミュートオフ状態において前記操作入力部に対する操作入力を検出すると、前記ミュートスイッチを前記ミュートオフ状態から前記ミュートオン状態に切り替え、
前記ミュートオフ状態から前記ミュートオン状態に切り替える場合には、前記操作入力の開始タイミングで、切り替え制御を行い、
前記ミュートオン状態から前記ミュートオフ状態に切り替える場合には、前記操作入力の終了タイミングから、前記遅延回路による遅延時間よりも長い時間遅延させたタイミングで、切り替え制御を行う、
処理を実行させることを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、収音した音声を出力しないミュート機能を備える収音装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、音声会議装置等に利用される収音装置では、相手先に不要な音声を伝送しないようにするために、ミュート機能を備えたものがある。
【0003】
このような収音装置のミュート機能として、例えば特許文献1のマイクロホン装置は、定常的にはミュートオン状態にあり、当該ミュートオン状態において押しボタンスイッチによる操作入力を受け付けると、ミュートオフ状態に制御する。そして、特許文献1のマイクロホン装置は、ミュートオフ状態において押しボタンスイッチによる操作入力を受け付けると、ミュートオン状態に制御する。特許文献1に記載のマイクロホン装置は、ミュートオン状態からミュートオフ状態に遷移する場合には、押しボタンスイッチの操作入力から所定時間後にミュートオフ状態にする。特許文献1に記載のマイクロホン装置は、ミュートオフ状態からミュートオン状態に遷移する場合には、押しボタンスイッチの操作入力のタイミングでミュートオン状態にする。
【0004】
また、特許文献2に記載のミューティング方式では、ミュートオンの制御入力を受け付けると、入力音声信号を減衰させるとともに、当該減衰した入音声信号のゼロクロス点を検出し、当該ゼロクロス点に基づいてミュートオン制御を開始する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平10−304487号公報
【特許文献2】特開昭59−211322号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載のマイクロホン装置のミュート方法では、マイクロホンの収音信号からミュートを実行するミュートスイッチまでの信号伝送経路に遅延が生じるような場合やミュートスイッチの動作速度によっては、押しボタンの操作時に発生する操作音がマイクロホンに回り込んで収音される収音信号に含まれる操作音信号を確実にミュートすることができない。
【0007】
また、特許文献2のミュート方法では、入力音声信号(収音信号)の減衰処理と、ゼロクロス検出を行わなければならず、ミュート処理が煩雑になるとともに、ミュート処理用の回路やリソースの規模が大きくなってしまう。また、操作音信号の発生時はミュートオン状態でないので、操作音信号をミュートすることはできない。
【0008】
本発明の目的は、ミュートオフからミュートオンへの遷移時も、ミュートオンからミュートオフへの遷移時も、確実に操作音をミュートすることができる収音装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明の収音装置は、遅延回路、ミュートスイッチ、操作入力部、およびミュート制御部を備える。遅延回路は、マイクロホンで生成された収音信号を遅延させ、遅延音声信号を出力する。ミュートスイッチは、遅延回路の後段に接続され、遅延音声信号を出力するミュートオフ状態と遅延音声信号を出力しないミュートオン状態とを切り替える。操作入力部は、ミュートの操作入力を受け付ける。ミュート制御部は、操作入力結果に基づいてミュートスイッチを制御する。そして、ミュート制御部は、ミュートオン状態において操作入力部に対する操作入力を検出すると、ミュートスイッチをミュートオン状態からミュートオフ状態に切り替える。ミュート制御部は、ミュートオフ状態において操作入力部に対する操作入力を検出すると、ミュートスイッチをミュートオフ状態からミュートオン状態に切り替える。ミュート制御部は、ミュートオフ状態からミュートオン状態に切り替える場合には、操作入力の開始タイミングで切り替え制御を行う。ミュート制御部は、ミュートオン状態からミュートオフ状態に切り替える場合には、操作入力の終了タイミングから遅延回路による遅延時間よりも長い時間遅延させたタイミングで切り替え制御を行う。
【0010】
この構成では、ミュートオフ状態からミュートオン状態に切り替わる場合には、操作音がミュートスイッチに到達する時点では、既にミュートオン状態になっている。また、ミュートオン状態からミュートオフ状態に切り替わる場合には、操作音がミュートスイッチに到達して操作音が無くなった後に、ミュートオフ状態になる。これにより、操作音は出力されない。
【0011】
また、この発明の収音装置のミュート制御部は、操作入力部の操作時に生じる操作音がミュートスイッチまで到達する時間と操作音の時間長とを遅延時間に加算して切り替え制御を行う。
【0012】
この構成では、ミュートオン状態からミュートオフ状態への切り替わり時間を、可能な限り短くすることができる。
【0013】
また、この発明の収音装置のマイクロホンと操作入力部は、単一の筐体に装着されている。
【0014】
この構成では、本発明の収音装置の構成がより有効な態様を示している。単一の筐体にマイクロホンと操作入力部が装着されている場合、別途消音構造を設けなければ確実に操作音がマイクロホンで収音されるが、本実施形態の構成を用いることで、操作音がマイクロホンに収音されても出力されない。
【0015】
また、この発明の収音装置は、ミュート制御に応じてミュートオン状態を表示する表示部を備える。
【0016】
この構成では、ミュートオン状態において、操作入力部に操作者が触れていなくても、ミュートオン状態であることを、確実に認識することができる。
【0017】
また、この発明の収音装置の遅延回路は、収音信号に対して不要成分の抑圧処理を実行する回路である。
【0018】
この構成では、例えば、エコーキャンセリング機能や、ハウリングキャンセリング機能を備えるような場合に、これらを遅延回路として兼用する。これにより、遅延回路を別途設けなくても、収音信号を遅延させることができる。
【発明の効果】
【0019】
この発明によれば、ミュートオフからミュートオンへの遷移時、ミュートオンからミュートオフへの遷移時のいずれの遷移時であっても、操作音信号を確実にミュートすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明の第1の実施形態に係る収音装置10の構成を示すブロック図である。
【
図2】本発明の第1の実施形態に係る収音装置10のミュート制御概念を説明するための状態遷移および波形図である。
【
図3】本発明の第1の実施形態に係る収音装置の外観斜視図である。
【
図4】本発明の実施形態に係る収音装置のミュート制御のフローチャートである。
【
図5】本発明の第2の実施形態に係る収音装置のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の第1の実施形態に係る収音装置について、図を参照して説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態に係る収音装置10の構成を示すブロック図である。
図2は、本発明の第1の実施形態に係る収音装置10のミュート制御概念を説明するための状態遷移および波形図である。
【0022】
収音装置10は、マイクロホンMIC、操作入力部11、ミュート制御部12、遅延回路13、およびミュートスイッチ14を備える。
【0023】
マイクロホンMICは、周囲の音を収音して収音信号Smを生成し、遅延回路13に出力する。
【0024】
遅延回路13は、収音信号Smを所定時間遅延させた遅延音声信号Smdを、ミュートスイッチ14に出力する。遅延回路13の遅延時間は予め設定されており、ミュート制御部12が操作入力部11の操作入力開始タイミングを検出してからミュートスイッチ14をミュートオン状態に制御するまでの時間に基づいて決定されている。
【0025】
より具体的には、遅延回路13の遅延時間は、ミュート制御部12が操作入力部11の操作入力開始タイミングを検出してからミュートスイッチ14をミュートオン状態に制御するまでの時間よりも長く設定されている。さらに、遅延回路13による遅延時間は、このような条件において、できる限り短く設定するとよい。
【0026】
ミュートスイッチ14は、ミュート制御部12からのミュート制御に応じて、開放もしくは短絡する。具体的には、ミュート制御部12によってミュートオン制御が行われている時には、ミュートスイッチ14は開放となる。これにより、遅延音声信号Smdは出力されない。また、ミュート制御部12によってミュートオフ制御が行われている時には、ミュートスイッチ14は短絡となる。これにより、遅延音声信号Smdは出力される。
【0027】
操作入力部11は、例えばタッチパネル等によって構成されるスイッチである。操作入力部11は、操作入力状態に応じた操作信号をミュート制御部12に出力する。例えば、操作入力部11は、
図2に示すように、操作者によって押し込みが行われている期間でHi状態となり、押し込みが行われていない期間(押し込み解放期間)でLow状態となる操作信号を出力する。
【0028】
ミュート制御部12は、ミュート制御情報を記憶している。ミュート制御情報とは、ミュートオン制御が行われている状態であるか、ミュートオフ制御が行われている状態かを示す情報である。
【0029】
ミュート制御部12は、操作入力信号と、操作入力信号を受けた時点でのミュート制御情報とに基づいて、ミュートスイッチ14をミュート制御する。
【0030】
<ミュートオフ状態からミュートオン状態への遷移>
具体的には、ミュート制御部12は、ミュートオフ制御が行われている状態で、操作入力信号を受け付けると、ミュートスイッチ14に対してミュートオン制御を行う。この際、
図2に示すように、ミュート制御部12は、操作入力信号がLow状態からHi状態に遷移するタイミングを検出する。言い換えれば、ミュート制御部12は、操作入力の開始タイミングを検出する。ミュート制御部12は、この操作入力開始タイミングに同期して、ミュートオン制御を行う。
【0031】
このような処理を行うことで、
図2に示すように、操作入力が開始されるタイミング、すなわち、操作入力部11を操作して(押し込んで)操作音が発生するタイミングからミュートオン状態となる。操作音は、マイクロホンMICで収音されて、収音信号Smの成分となる。この操作音成分が遅延回路13に入力されるタイミングは、操作入力が開始されるタイミングと略同じになる。したがって、遅延音声信号Smdでは、操作音成分は、操作入力の開始タイミングよりも、遅延回路13による遅延時間分だけ遅れたタイミングとなる。したがって、ミュートスイッチ14に操作音成分が到達するタイミングでは、確実にミュートオン状態となっている。
【0032】
<ミュートオン状態の継続>
ミュート制御部12は、ミュートオン制御が開始されると、操作入力信号がHi状態からLow状態に遷移しても、ミュートオン制御を継続する。したがって、操作入力部11を操作して(押し込みを解放して)操作音が発生するタイミングは、ミュートオン状態となっている。
【0033】
<ミュートオン状態からミュートオフ状態への遷移>
ミュート制御部12は、ミュートオン制御が行われている状態で、操作入力を受け付けると、ミュートスイッチ14に対してミュートオフ制御を行う。この際、ミュート制御部12は、操作入力信号がLow状態からHi状態に遷移し、その後、Hi状態からLow状態に遷移するタイミングを検出する。言い換えれば、ミュート制御部12は、操作入力の終了タイミングを検出する。
【0034】
ミュート制御部12は、この操作入力終了タイミングから、さらに所定時間Tdlyを遅延させたのちにミュートオフ制御を行う。この所定時間Tdlyは、操作入力時に発生する操作音がマイクロホンMICで収音されて遅延回路13を介しミュートスイッチ14に伝搬される時間よりも長く設定されている。
【0035】
このような処理を行うことで、
図2に示すように、ミュートオフのための操作入力が開始されるタイミング、すなわち、操作入力部11を操作して(押し込んで)操作音が発生するタイミングでは、引き続きミュートオン状態となっている。そして、この操作音成分がミュートスイッチ14に到達するタイミングでもミュートオン状態となっている。
【0036】
さらに、
図2に示すように、操作入力が終了するタイミングからミュート制御部12による所定時間Tdlyによる遅延時間分だけ、ミュートオフ制御が遅延しているので、操作入力終了タイミングに発生する操作音がミュートスイッチ14に到達するタイミングでも、ミュートオン状態になっている。
【0037】
したがって、
図2の出力信号Soutに示すように、操作音成分はミュートされ、出力されない。
【0038】
以上のように、本実施形態の構成および処理を行うことで、ミュート制御のための操作音が出力されることを、確実に防止できる。
【0039】
このような構成の収音装置は、
図3に示すような構造の場合に、より有効に作用する。
図3は、本発明の第1の実施形態に係る収音装置の外観斜視図である。
【0040】
図3に示すように、収音装置10は、略直方体形状の筐体100を備える。筐体100の天面101には、タッチパネルスイッチからなる操作入力部11の操作面が配置されている。筐体の100の側面102には、マイクロホンMICが配置されている。
【0041】
このような構造の収音装置10では、操作入力部11とマイクロホンMICとが単一の筐体100に装着されているので、操作入力部11の操作音が、外部空間のみでなく筐体100を介してマイクロホンMICに伝搬される。したがって、操作音は、マイクロホンMICで収音されやすい。しかしながら、本実施形態の構成および処理を用いることで、操作音はミュートされ、出力されない。
【0042】
上述の実施形態では、収音装置10の各部を、それぞれ独立する機能部とする例を示したが、次に示す処理をプログラム化して記憶しておき、読み出して実行することでも、同様の作用効果を得ることができる。
図4は本発明の実施形態に係る収音装置のミュート制御のフローチャートである。また、詳細な処理の内容は、上述の記載されているものであるので、以下では詳細な説明を省略する。なお、以下のフローでは、ミュートオフ状態から開始されるフローチャートである。
【0043】
収音装置10は、マイクロホンMICからの収音信号Smを遅延させて遅延音声信号Smdを生成する。この処理は、以下の処理とは別に継続的に実行される。
【0044】
収音装置10は、ミュートオフ状態であることを検出した状態で(S101)、操作入力を受け付けると(S102:Yes)、操作入力開始タイミングでミュートオン制御を実行する(S103)。なお、操作入力の受け付けが無い間は、ミュートオフ状態を継続する(S102:No)。
【0045】
収音装置10は、ミュートオフ状態を検出した状態で(S104)、操作入力を受け付けると(S105:YES)、操作入力終了タイミングで計時を開始する(S106)。なお、操作入力の受け付けが無い間は、ミュートオン状態を継続する(S105:No)。
【0046】
収音装置10は、計時時間が所定時間Tdlyに達していない期間は(S107:No)、計時を継続する。
【0047】
収音装置10は、計時時間が所定時間Tdlyに達したことを検出すると(S107:Yes)、ミュートオフ制御を実行する(S108)。
【0048】
このような処理を実現することで、上述のように、ミュート制御のための操作音が出力されることを確実に防止できる。
【0049】
次に、本発明の第2の実施形態に係る収音装置について、図を参照して説明する。
図5は、本発明の第2の実施形態に係る収音装置のブロック図である。
【0050】
本実施形態の収音装置10Aは、第1の実施形態に示した収音装置10に対して、表示部15を追加したものであり、他の構成は第1の実施形態に示した収音装置10と同じである。したがって、第1の実施形態に係る収音装置10と異なる箇所のみを説明する。
【0051】
表示部15は、上述の操作入力部11を構成するタッチパネルスイッチのバックライト等としても機能し、例えばLED照明となる。表示部15には、ミュート制御部12がミュートスイッチ14を制御するためのミュート制御信号が入力される。表示部15は、ミュートオン制御のミュート制御信号が入力されると、ミュートオン状態を示す発光を行う。例えば、高輝度の発光状態となる。表示部15は、ミュートオフ制御のミュート制御信号が入力されると、ミュートオフ状態を示す発光を行う。例えば、低輝度の発光状態や、発光停止状態となる。
【0052】
このように、ミュートオン状態を示す発光を行うことで、操作者が収音装置10の操作面に指や手を接触させ続けなくても、ミュートオン状態であることを、確実に認識させることができる。逆に、ミュートオフ状態であることも、確実に認識させることもできる。
【0053】
なお、表示部15は、操作入力部11のバックライトではなく、筐体100の別の位置に個別に設けてもよい。
【0054】
上述の実施形態では、マイクロホンMICは1本であるが、複数本であってもよい。この場合、複数のマイクロホンMICの収音信号を合成した合成収音信号を、遅延回路13に出力する態様等を用いればよい。さらには、この合成部を遅延回路13に置き換えてもよい。このように、合成部で遅延回路13を兼用することで、別途遅延回路13を設ける必要が無く、収音装置の小型化や、リソースの低減を実現できる。
【0055】
また、上述の実施形態では、所定時間Tdlyは、操作入力時に発生する操作音がマイクロホンMICで収音されて遅延回路13を介しミュートスイッチ14に伝搬される時間よりも長い時間に設定している。しかしながら、より好ましくは、操作音がこのような伝搬経路を通ってミュートスイッチ14に伝搬される時間と、各部の動作時間誤差とを加算した値に設定するとよい。これにより、収音信号Smが収音されてから出力されるまでの遅延を、可能な限り短くすることができる。すなわち、操作音を出力せず、且つ、できる限りリアルタイムに近い状態で、収音した音声信号を出力することができる。
【0056】
また、上述の実施形態では、操作入力の具体的な検出方法を記載していないが、例えば、押し込み量に閾値を設け、押し込み量が当該閾値以上になったことを検出した時に、操作入力の開始を検出し、押し込み量が閾値以下になったことを検出した時に、操作入力の終了を検出すればよい。この場合、押し込み量が所定閾値付近になることも考えられる。このような場合を想定して、所定時間長に亘る押し込み量の平均値から操作入力の開始、操作入力の終了を検出してもよい。また、物理的なスイッチであれば、単にスイッチの物理的な導通と開放によって、操作入力を検出すればよい。
【0057】
また、上述の実施形態では、遅延回路13は単なる遅延回路であるが、エコーキャンセル回路やハウリングキャンセル回路等、収音信号に対して不要成分を抑圧する処理を実行する回路で代用してもよい。このようなエコーキャンセル回路やハウリングキャンセル回路では、処理上遅延が発生するので、当該遅延を利用すればよい。
【符号の説明】
【0058】
10,10A:収音装置、
11:操作入力部、
12:ミュート制御部、
13:遅延回路、
14:ミュートスイッチ、
15:表示部、
100:筐体、
101:天面、
102:側面、
MIC:マイクロホン