(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
所定間隔を保って配置された一対の固定接触子及びこれらに接離可能な可動接触子を備えた接点機構を有する電磁接触器として、従来、例えば、
図5及び
図6に示すものが知られている(特許文献1参照)。
図5に示す電磁接触器101は、上部ケース102a及び下部ケース102bの2分割構造を有する本体ケース102を備えている。上部ケース102aには、接点機構CMが内装されている。この接点機構CMは、上部ケース102aに長手方向(
図5における左右方向)に所定間隔を保って配置された一対の固定接触子103と、これら固定接触子103に接離自在に配設された可動接触子104とを備えている。一対の固定接触子103のそれぞれには固定接点103a,103bが設けられている。また、可動接触子104は、長手方向(
図5における左右方向、一対の固定接触子103が配置されている方向)に延び、その長手方向の両端に固定接点103a,103bに接触する可動接点104a,104bが設けられている。
【0003】
一方、下部ケース102bには、可動接触子104を駆動する操作用電磁石105が配設されている。操作用電磁石105は、固定鉄心106と、この固定鉄心106の上方に対向配置された可動鉄心107とを備えている。そして、固定鉄心106の中央脚部にはコイルホルダ108に巻装された電磁コイル109が固定され、コイルホルダ108の上面と可動鉄心107との間には可動鉄心107を固定鉄心106から離れる方向(上方向)に付勢する復帰スプリング110が配設されている。
【0004】
また、可動鉄心107の上端には、接触子ホルダ111が連結されている。接触子ホルダ111の上端側には挿通孔111aが形成され、この挿通孔111aには可動接触子104が上下方向に移動可能に配置されている。可動接触子104は長手方向に細長い板状部材で構成され、長手方向のほぼ中央部を挿通孔111a内に設置された接触スプリング112の所定の付勢力によって下方に付勢されて保持される。そして、接触スプリング112は、可動接触子104が固定接触子103に対して接触した際に、固定接触子103に対して所定の接触圧を付与する。
【0005】
このように構成された電磁接触子101において、操作用電磁石105の電磁コイル109が非励磁状態にあり、釈放状態にあるときには、固定鉄心106及び可動鉄心107に電磁吸引力が生じることはなく、復帰スプリング110によって可動鉄心107が固定鉄心105から上方に離れる方向に付勢される。そして、可動鉄心107に連結されている接触子ホルダ111がストッパ113に当接することにより電流遮断位置(釈放の最終状態)に保持される。この電流遮断位置においては、
図6(a)に示すように、可動接触子104に設けられた可動接点104a,104bが一対の固定接触子103のそれぞれに設けられた固定接点103a,103bから上方に離れ、接点機構CMが開成状態となっている。
【0006】
この接点機構CMの開成状態から操作用電磁石105の電磁コイル109が励磁され、投入状態になると、固定鉄心106と可動鉄心107との間で吸引力が発生し、可動鉄心107が復帰スプリング110に抗して下方に吸引される。これにより、接触子ホルダ111に保持されている可動接触子104が下降し、接点機構CMが閉成状態となる。この閉成状態においては、
図6(b)に示すように、可動接触子104に設けられた可動接点104a,104bが一対の固定接触子103のそれぞれに設けられた固定接点103a,103bに接触スプリング112の接触圧で接触し、外部入力端子103cから入力される電流が固定接触子103、可動接触子104、及び固定接触子103を通じて外部接続端子103dに供給されるのである。
【0007】
そして、操作用電磁石105の電磁コイル109が非励磁状態になると、可動接触子104は上記と逆の動作を行い、接点機構CMが開成状態となり、可動鉄心107に連結されている接触子ホルダ111がストッパ113に当接することにより電流遮断位置(釈放の最終状態)に保持される。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明を実施するための形態(以下、実施形態という。)を、図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、本発明に係る電磁接触器の第1実施形態の断面図である。
図2は、
図1に示す電磁接触器における連結軸、可動接触子、及び板ばね部材の取付け構造を示す斜視図である。
図1に示す電磁接触器1は、接点機構CMを収納する消弧室2と、接点機構CMを駆動する電磁石ユニット3とを具備している。
【0020】
消弧室2は、セラミックスや合成樹脂材によって形成された角筒部2aと、角筒部2aの上端を閉塞する天面板部2bとを備えて一体的に形成されている。そして、この消弧室2の開放端面側にメタライズ処理して金属箔を形成し、この金属箔に金属製の接続部材2cを接合してある。
接点機構CMは、
図1に示すように、長手方向(
図1における左右方向)に所定間隔を保って配置された一対の固定接触子11A,11Bと、これら固定接触子11A,11Bに接離可能な可動接触子12とを備えている。
【0021】
一対の固定接触子11A,11Bのそれぞれは、消弧室2の天面板部2bに固定された支持導体部13a,13bに固定されている。そして、各固定接触子11A,11Bは、天面板部2bの下面に沿って平行に延びる上板部11aと、上板部11aの外側端部から下方に延びる中間板部11bと、中間板部11bの下端部から上板部11aと平行に内方に延びる下板部11cとを備えたC字状に形成されている。そして、一対の固定接触子11A,11Bのそれぞれは、下板部11cの上面に設けられた固定接点部11d,11eを有している。
【0022】
また、可動接触子12は、長手方向に延びる板状体に形成され、その長手方向両端部が固定接触子11A,11BのC字状内に配置される。可動接触子12は、
図1及び
図2に示すように、長手方向中央部に位置する取付板部12aと、取付板部12aの長手方向両外端から斜め上方外側に向けて延びる一対の傾斜部12bと、各傾斜部12bの長手方向端部から取付板部12aと平行に延びる一対の平行部12cとを備えている。そして、一対の平行部12cのそれぞれの長手方向外端部近傍の下面には、固定接点11d,11eに接触する一対の可動接点12d,12eが形成されている。可動接触子12は後述する電磁石ユニット3の可動プランジャ36に固定された連結軸37に保持されるものであり、取付板部12aには、連結軸37が挿通される上下方向に貫通する貫通孔12fが形成されている。連結軸37の上下方向中央部よりやや上側には、外方に突出するフランジ37aが形成されている。可動接触子12は、可動プランジャ36に固定された連結軸37に上下方向に移動可能に配置されるとともに、その長手方向中央部において、圧縮スプリングで構成される接触スプリング16による下方側(固定接触子11A,11B側)に向かう付勢力で押圧されて連結軸37に保持される。可動接触子12の保持方法については後述する。
【0023】
また、連結軸37には、板ばね部材20が取り付けられている。この板ばね部材20は、ばね性のある金属板を打抜き及び曲げ加工することによって形成されるものであり、長手方向に延びるとともに、一対の可動接点12d,12eに対して下方側(固定接触子11d,11e側)に向けて所定の付勢力を付与する一対の付勢力付与部22a,22bを長手方向の両外端近傍に有する。具体的に述べると、板ばね部材20は、
図2に示すように、中央に上下方向に貫通する貫通孔21aを有する矩形状の取付平板部21と、取付平板部21の長手方向両外端から斜め上方外方に向けて延びる一対の傾斜部23aと、各傾斜部23aの長手方向端部から外方に水平に延びる一対の水平部23bと、各水平部23bの長手方向外端部から立ち下げられて一対の可動接点12d,12eに対して下側に向けて所定の付勢力を付与する一対の付勢力付与部22a,22bとを備えている。そして、板ばね部材20の取付平板部21は、接触スプリング16の下端と可動接触子12の取付板部12aの上面との間に配置されて接触スプリング16の付勢力によって接触スプリング12の下端と可動接触子12の取付板部12aの上面との間に挟持され、これにより、板ばね部材20は連結軸37に取り付けられる。
【0024】
次に、連結軸37に対する可動接触子12、板ばね部材20、及び接触スプリング16の取付け方法を
図1及び
図2を参照して更に具体的に説明する。
先ず、連結軸37の上端から可動接触子12の貫通孔12fを挿通し、可動接触子12を連結軸37に設けられたフランジ37a上に位置させる。
次いで、連結軸37の上端から板ばね部材20の貫通孔21aを挿通し、板ばね部材20を可動接触子12上に位置させる。この際に、板ばね部材20の取付け平板部21が可動接触子12の取付板部12a上に位置するとともに、各付勢力付与部22a,22bが可動接触子12の平行部12c上に位置する。
【0025】
その後、連結軸37の上端から接触スプリング16を挿通し、接触スプリング16を板ばね部材20の取付け平板部21上に位置させる。そして、環状体で構成される接触スプリング上端支持部材38を連結軸37の上端から挿通して接触スプリング16上に位置させるとともに、接触スプリング16で所定の付勢力を得るように接触スプリング上端支持部材38の上側をCリング39によって位置決めする。
【0026】
これにより、連結軸37に対して可動接触子12、板ばね部材20、及び接触スプリング16が取り付けられる。ここで、可動接触子12は、長手方向中央部における接触スプリング16による下方側に向かう付勢力と、板ばね部材20の長手方向両外端近傍における一対の付勢力付与部22a,22bによる一対の可動接点12d,12eに対する下方側に向かう付勢力とによってフランジ37aに押圧されて連結軸37に保持されることになる。
【0027】
そして、可動接触子12は、後述する電磁石ユニット3の電磁コイル34が非励磁状態にあり、釈放状態にあるときには、可動接点12d,12eが一対の固定接触子11A,11Bの固定接点11d,11eに対して所定間隔離れた状態となる。
また、可動接触子12は、当該電磁コイル34が励磁状態にあり、投入状態にあるときには、可動接点12d,12eが一対の固定接触子11A,11Bの固定接点11d,11eに対して接触する。この際に、可動接点12d,12eは、可動接触子12の長手方向中央部における接触スプリング16による所定の付勢力、及び板ばね部材20の長手方向両端近傍における一対の付勢力付与部22a,22bによる所定の付勢力の3つの付勢力で固定接点11d,11eに対して接触する。
【0028】
次に、電磁石ユニット3は、
図1に示すように、側面から見て扁平なU字形状の磁気ヨーク31を有し、この磁気ヨーク31の底板部の中央部に円筒状補助ヨーク32が固定されている。円筒状補助ヨーク32の外側にプランジャ駆動部としてのスプール33が配置されている。
このスプール33は、円筒状補助ヨーク32を挿通する中央筒部33aと、中央筒部33aの上端から半径方向外方に突出する上フランジ部33bと、中央筒部33aの下端部から半径方向外方に突出する下フランジ部33cとを備えている。そして、中央筒部33a、上フランジ部33b、及び下フランジ部33cで形成される収容空間内に、電磁コイル34が巻装されている。
【0029】
そして、磁気ヨーク31の開放端となる上端間に平板状の上部磁気ヨーク35が固定されている。上部磁気ヨーク35の中央部には、スプール33の中央筒部33aに対向する貫通孔35aが形成されている。
そして、スプール33の中央筒部33a内に、可動プランジャ36が上下に摺動可能に配置されている。可動プランジャ36の上端部には、上部磁気ヨーク35から上方に突出するとともに半径方向外方に突出する周鍔部36aが形成されている。
【0030】
また、上部磁気ヨーク35の上面には、環状に形成された永久磁石40が可動プランジャ36の周鍔部36aを囲むように固定されている。この永久磁石40は、例えば、上端側をN極とし、下端側をS極とするように着磁されている。
そして、永久磁石40の上端面に、永久磁石40と同一の外形で可動プランジャ36の周鍔部36aの外径よりも小さい内径の貫通孔を有する補助ヨーク41が固定されている。この補助ヨーク41の下面に可動プランジャ36の周鍔部36aが対向されている。従って、可動プランジャ36の上方向への移動は周鍔部36aが補助ヨーク41の下面に当接することにより規制され、可動プランジャ36の下方向への移動は周鍔部36aが上部磁気ヨーク35の上面に当接することにより規制される。
【0031】
また、可動プランジャ36には、上方側で可動接触子12を支持する連結軸37が上方に突出するように形成されている。そして、補助ヨーク41の上面であって一対の固定接触子11A,11Bとの間には、絶縁体14が設置されている。そして、この絶縁体14と連結軸37のフランジ37aとの間には、圧縮スプリングで構成される復帰スプリング15が支持されている。復帰スプリング15は、所定の付勢力で連結軸37を常時上方向に付勢する。
【0032】
なお、可動プランジャ36の少なくとも下端部側は、非磁性体製で上方が開放された有底筒状に形成されたキャップ42で覆われている。キャップ42の底部側は、スプール33の中央筒部33a内に嵌め込むようにして挿入されている。これによって、可動プランジャ36の下端部側は、スプール33の中央筒部33a内にキャップ42を介して近接した状態となっている。
【0033】
そして、キャップ42の開放端側には、半径方向外側に延長して形成されたフランジ43が設けられている。このフランジ43は、上部磁気ヨーク35の下面にシール接合される。これにより、消弧室2及びキャップ42が上部磁気ヨーク35の貫通孔35aを介して連通される密封容器(封止構造)が形成されている。そして、消弧室2及びキャップ42で形成される密封容器内に水素ガス、窒素ガス、水素及び窒素の混合ガス、空気、SF
6 等のガスが封入されている。これにより、可動プランジャ36は、密封容器内に位置する。
もっとも、消弧室2及びキャップ42で密封容器を構成し、この密封容器内にガスを封入する場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、ガス封入を省略するようにしてもよい。例えば、遮断する電流が低い場合である。
【0034】
次に、このように構成された電磁接触器1の動作を説明する。
固定接触子11Aが例えば大電流を供給する電力供給源に接続され、固定接触子11Bが負荷に接続されているものとする。
この状態で、電磁石ユニット3における電磁コイル34が非励磁状態にあって、釈放状態であるときには、電磁石ユニット3で可動プランジャ36を下降させる励磁力が発生せず、可動プランジャ36が復帰スプリング15の付勢力によって連結軸37を介して上部磁気ヨーク35から離れる上方向に付勢される。これと同時に、永久磁石40の磁力による吸引力が補助ヨーク41に作用されて、可動プランジャ36の周鍔部36aの上面が補助ヨーク41の下面に当接する。
【0035】
このため、可動プランジャ36に固定された連結軸37に支持された可動接触子12の可動接点12d,12eが一対の固定接触子11A,11Bの固定接点11d,11eに対して上方に所定間隔離れた状態となっている。可動プランジャ36の周鍔部36aの上面が補助ヨーク41の下面に当接した状態が、釈放の最終状態である。
この釈放の最終状態では、一対の固定接触子11A及び11B間の電流が遮断状態にあり、接点機構CMが開成状態となっている。この接点機構CMが開成状態のときには、可動接触子12は、長手方向中央部における接触スプリング16による下方側に向かう付勢力と、板ばね部材20の長手方向両外端近傍における一対の付勢力付与部22a,22bによる一対の可動接点12d,12eに対する下方側に向かう付勢力とによってフランジ37aに押圧されて連結軸37に保持されることになる。
【0036】
この接点機構CMが開成状態から電磁石ユニット3の電磁コイル34を励磁し、投入状態になると、電磁石ユニット3で励磁力が発生し、可動プランジャ36を復帰スプリング15の付勢力及び永久磁石40の吸引力に抗して下方に押し下げる。
可動プランジャ36が下降することにより、可動プランジャ36に固定されている連結軸37に支持されている可動接触子12も下降し、可動接点12d,12eが一対の固定接触子11A,11Bの固定接点11d,11eに対して接触する。この際に、可動接点12d,12eは、可動接触子12の長手方向中央部における接触スプリング16による所定の付勢力、及び板ばね部材20の長手方向両外端近傍における一対の付勢力付与部22a,22bによる所定の付勢力の3つの付勢力で固定接点11d,11eに対して接触する。
【0037】
これにより、外部電力供給源の大電流が固定接触子11A、可動接触子12、及び固定接触子11Bを通じて負荷に供給される接点機構CMの閉成状態となる。
ここで、可動接点12d,12eは、可動接触子12の長手方向中央部における接触スプリング16による所定の付勢力、及び板ばね部材20の長手方向両外端部近傍における一対の付勢力付与部22a,22bによる所定の付勢力の3つの付勢力で固定接点11d,11eに対して接触するので、接触スプリング16の平面度が適切でなかったり、あるいは接触スプリング16を取り付ける方向がずれていても、可動接触子12が長手方向においてぐらついてしまうことはない。このため、接点機構CMが閉成状態となる際に、うなり音を出したり、アークによる可動接触子12及び一対の固定接触子11A,11Bの消耗が抑制される。
【0038】
そして、電磁石ユニット3における電磁コイル34の励磁状態が持続すると、可動接点12d,12eが一対の固定接触子11A,11Bの固定接点11d,11eに対して接触してから、可動プランジャ36の周鍔部36aが上部磁気ヨーク35の上面に当接するまで可動接触子12が下降する。この際に、可動接点12d,12eの固定接点11d,11eに対する接触圧は、可動接点12d,12eが固定接点11d,11eに対して接触した当初よりも、接触スプリング16による付勢力分だけ増加する。
【0039】
そして、接点機構CMが開成状態になるときには、電磁ユニット3が非励磁状態となり、可動プランジャ36が復帰スプリング15の付勢力によって上方に移動し、釈放の最終状態となる。この釈放の最終状態状態では、可動プランジャ36に固定された連結軸37に支持された可動接触子12の可動接点12d,12eが一対の固定接触子11A,11Bの固定接点11d,11eに対して上方に所定間隔離れている。
【0040】
この接点機構CMが開成状態になる際には、可動接触子12は、長手方向中央部における接触スプリング16による下方側に向かう付勢力と、板ばね部材20の長手方向両外端近傍における一対の付勢力付与部22a,22bによる一対の可動接点12d,12eに対する下方側に向かう付勢力とによってフランジ37aに押圧されて連結軸37に保持されている。このため、可動接触子12が釈放の最終状態において、可動接触子12の長手方向においてぐらついてしまうことはない。これにより、接点ギャップが可動接触子12の長手方向において均等となり、安定した遮断が達成される。
【0041】
なお、一対の付勢力付与部22a,22bは、取付平板部21の長手方向両外端から斜め上方外方に向けて延びる一対の傾斜部23a及び一対の傾斜部23aの各々の端部から長手方向外方に水平に延びる一対の水平部23bを介して、一対の水平部23bの各々の長手方向外端部から立ち下げられて一対の可動接点12d,12eに対して下方側に向けて所定の付勢力を付与するようになっているので、一対の付勢力付与部23a,23bは充分なばね性を有し、一対の可動接点12d,12eに対して下方側に向けて所定の付勢力を確実に付与することができる。
【0042】
次に、本発明に係る電磁接触器の第2実施形態を
図3及び
図4を参照して説明する。
図3は、本発明に係る電磁接触器の第2実施形態の断面図である。
図4は、
図3に示す電磁接触器における連結軸、可動接触子、及び板ばね部材の取付け構造を示す斜視図である。
図3及び
図4において、
図1及び
図2に示す部材と同一の部材については同一の符号を付し、その説明を省略することがある。
図3に示す電磁接触器1は、
図1及び
図2に示す電磁接触器1と基本構造は同一であるが、板ばね部材50の構成、形状及びその取り付け方が
図1及び
図2に示す板ばね部材20の構成、形状及びその取り付け方と異なっている。
【0043】
即ち、板ばね部材50は、
図4に示すように、中央に上下方向に貫通する貫通孔51aを有する矩形状の取付平板部51と、取付平板部51の長手方向両外端から斜め下方外方に向けて延びる一対の傾斜アーム部53と、一対の傾斜アーム部53の各々の端部に設けられ、一対の可動接点12d,12eに対して下方側に向けて所定の付勢力を付与する一対の付勢力付与部52a,52bとを備えている。板ばね部材50は、ばね性のある金属板を打抜き及び曲げ加工することによって形成される。そして、板ばね部材50の取付平板部51は、接触スプリング16の上端と連結軸37に取り付けられるCリング51aとの間に配置されて接触スプリング16の付勢力によって接触スプリング16の上端とCリング39との間に挟持され、これにより、板ばね部材50は連結軸37に保持される。
【0044】
また、可動接触子12の各平行部12cの上面には、板ばね部材50の各付勢力付与部52a,52bを受容する凹部12gが形成されている。
この板ばね部材50を用いた場合には、板ばね部材50の取付平板部51が接触スプリング16の上端を支持する接触スプリング上端支持部材としても機能し、
図1及び
図2に示す電磁接触器1のように、接触スプリング上端支持部材を別個に設ける必要をなくすことができる。
【0045】
次に、連結軸37に対する可動接触子12、接触スプリング16、及び板ばね部材50の取付け方法を
図3及び
図4を参照して具体的に説明する。
先ず、連結軸37の上端から可動接触子12の貫通孔12fを挿通し、可動接触子12を連結軸37に設けられたフランジ37a上に位置させる。
次いで、連結軸37の上端から接触スプリング16を挿通し、接触スプリング16を可動接触子12の上面に形成された凹部12上に位置させる。
【0046】
そして、連結軸37の上端から板ばね部材50の取付平板部51に形成された貫通孔51aを挿通し、板ばね部材50を接触スプリング16上に位置させる。
その後、接触スプリング16で所定の付勢力を得るように板ばね部材50の取付平板部51の上側をCリング39によって位置決めする。
これにより、連結軸37に対して可動接触子12、接触スプリング16、及び板ばね部材50が取り付けられる。ここで、可動接触子12は、長手方向中央部における接触スプリング16による下方側に向かう付勢力と、板ばね部材50の長手方向両外端近傍における一対の付勢力付与部52a,52bによる一対の可動接点12d,12eに対する下方側に向かう付勢力とによってフランジ37aに押圧されて連結軸37に保持されることになる。
【0047】
次に、
図3に示す電磁接触器1の動作について説明すると、先ず、電磁石ユニット3における電磁コイル34が非励磁状態にあって、釈放状態であるときには、電磁石ユニット3で可動プランジャ36を下降させる励磁力が発生せず、可動プランジャ36が復帰スプリング15の付勢力によって連結軸37を介して上部磁気ヨーク35から離れる上方向に付勢される。これと同時に、永久磁石40の磁力による吸引力が補助ヨーク41に作用されて、可動プランジャ36の周鍔部36aの上面が補助ヨーク41の下面に当接する。
【0048】
このため、可動プランジャ36に固定された連結軸37に支持された可動接触子12の可動接点12d,12eが一対の固定接触子11A,11Bの固定接点11d,11eに対して上方に所定間隔離れた状態となっている。可動プランジャ36の周鍔部36aの上面が補助ヨーク41の下面に当接した状態が、釈放の最終状態である。
この釈放の最終状態では、一対の固定接触子11A及び11B間の電流が遮断状態にあり、接点機構CMが開成状態となっている。この接点機構CMが開成状態のときには、可動接触子12は、長手方向中央部における接触スプリング16による下方側に向かう付勢力と、板ばね部材50の長手方向両外端近傍における一対の付勢力付与部52a,52bによる一対の可動接点12d,12eに対する下方側に向かう付勢力とによってフランジ37aに押圧されて連結軸37に保持されることになる。
【0049】
この接点機構CMが開成状態から電磁石ユニット3の電磁コイル34を励磁し、投入状態になると、電磁石ユニット3で励磁力が発生し、可動プランジャ36を復帰スプリング15の付勢力及び永久磁石40の吸引力に抗して下方に押し下げる。
可動プランジャ36が下降することにより、可動プランジャ36に固定されている連結軸37に支持されている可動接触子12も下降し、可動接点12d,12eが一対の固定接触子11A,11Bの固定接点11d,11eに対して接触する。この際に、可動接点12d,12eは、可動接触子12の長手方向中央部における接触スプリング16による所定の付勢力、及び板ばね部材50の長手方向両外端近傍における一対の付勢力付与部52a,52bによる所定の付勢力の3つの付勢力で固定接点11d,11eに対して接触する。
【0050】
これにより、外部電力供給源の大電流が固定接触子11A、可動接触子12、及び固定接触子11Bを通じて負荷に供給される接点機構CMの閉成状態となる。
ここで、可動接点12d,12eは、可動接触子12の長手方向中央部における接触スプリング16による所定の付勢力、及び板ばね部材50の長手方向両外端近傍における一対の付勢力付与部52a,52bによる所定の付勢力の3つの付勢力で固定接点11d,11eに対して接触するので、接触スプリング16の平面度が適切でなかったり、あるいは接触スプリング16を取り付ける方向がずれていても、可動接触子12が長手方向においてぐらついてしまうことはない。このため、接点機構CMが閉成状態となる際に、うなり音を出したり、アークによる可動接触子12及び一対の固定接触子11A,11Bの消耗が抑制される。
【0051】
そして、電磁石ユニット3における電磁コイル34の励磁状態が持続すると、可動接点12d,12eが一対の固定接触子11A,11Bの固定接点11d,11eに対して接触してから、可動プランジャ36の周鍔部36aが上部磁気ヨーク35の上面に当接するまで可動接触子12が下降する。この際に、可動接点12d,12eの固定接点11d,11eに対する接触圧は、可動接点12d,12eが固定接点11d,11eに対して接触した当初よりも、接触スプリング16による付勢力が増加する。
【0052】
そして、接点機構CMが開成状態になるときには、電磁ユニット3が非励磁状態となり、可動プランジャ36が復帰スプリング15の付勢力によって上方に移動し、釈放状態となる。この釈放状態では、可動プランジャ36に固定された連結軸37に支持された可動接触子12の可動接点12d,12eが一対の固定接触子11A,11Bの固定接点11d,11eに対して上方に所定間隔離れた状態となる。
【0053】
この接点機構CMが開成状態になる際には、可動接触子12は、長手方向中央部における接触スプリング16による下方側に向かう付勢力と、板ばね部材50の長手方向両外端近傍における一対の付勢力付与部52a,52bによる一対の可動接点12d,12eに対する下方側に向かう付勢力とによってフランジ37aに押圧されて連結軸37に保持されているので、可動接触子12が釈放の最終状態において、可動接触子12の長手方向においてぐらついてしまうことはない。このため、接点ギャップが可動接触子12の長手方向において均等となり、安定した遮断が達成される。
【0054】
なお、一対の付勢力付与部52a,52bは、接触スプリング16の上側に位置している取付平板部51の長手方向両外端から斜め下方外方に向けて延びる一対の傾斜アーム部53を介して、一対の傾斜アーム部53の各々の端部に設けられているので、一対の付勢力付与部52a,52bは充分なばね性を有し、一対の可動接点12d,12eに対して下方側に向けて所定の付勢力を確実かつ安定して付与することができる。
【0055】
以上、本発明の実施形態について説明してきたが、本発明はこれに限定されずに種々の変更、改良を行うことができる。
例えば、板ばね部材は、長手方向に延びるとともに、一対の可動接点12d,12eに対して下方側に向けて所定の付勢力を付与する一対の付勢力付与部を長手方向の両外端近傍に有し、連結軸37に取り付けられるものであれば、
図1及び
図2に示した板ばね部材20や
図3及び
図4に示した板ばね部材50の形状に限られない。