特許第6119229号(P6119229)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6119229
(24)【登録日】2017年4月7日
(45)【発行日】2017年4月26日
(54)【発明の名称】包装用箱
(51)【国際特許分類】
   B65D 5/66 20060101AFI20170417BHJP
   B65D 5/24 20060101ALI20170417BHJP
【FI】
   B65D5/66 Z
   B65D5/24 B
【請求項の数】5
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2012-272171(P2012-272171)
(22)【出願日】2012年12月13日
(65)【公開番号】特開2014-118158(P2014-118158A)
(43)【公開日】2014年6月30日
【審査請求日】2015年11月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】000202154
【氏名又は名称】相互印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100072213
【弁理士】
【氏名又は名称】辻本 一義
(74)【代理人】
【識別番号】100119725
【弁理士】
【氏名又は名称】辻本 希世士
(74)【代理人】
【識別番号】100163670
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 裕史
(72)【発明者】
【氏名】光川 春
(72)【発明者】
【氏名】高橋 映司
【審査官】 西堀 宏之
(56)【参考文献】
【文献】 実開平05−054246(JP,U)
【文献】 特開2002−068169(JP,A)
【文献】 実開昭61−035133(JP,U)
【文献】 実開平06−049327(JP,U)
【文献】 特開平05−085536(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 5/00− 5/76
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上方が開口し、各辺の上端に所定厚みの縁部を備える収容部と、前記開口を覆うよう前記収容部に回動自在に取り付けられる蓋体とを備えてなり、前記蓋体は、外天板と蓋体外側板とが略L字状となるよう構成され、前記外天板に対して間隙を有した状態で二重構造となるよう内天板が設けられるとともに、前記蓋体外側板に近接するよう前記内天板の一端部を前記外天板に設置し、前記一端部と前記蓋体外側板との間に係合段部を形成し、前記蓋体の回動時に前記縁部と前記内天板が当接するとともに、前記縁部にて前記内天板を押圧して弾性変形させ、前記縁部を前記係合段部に係合させるようにした包装用箱であって、
前記内天板は、少なくとも傾斜片を備えてなり、前記傾斜片の一端部を前記外天板に設置し、前記傾斜片の前記一端部と前記蓋体外側板との間に前記係合段部を形成し、前記傾斜片の他端部の回動軌跡上に前記縁部が位置するようにしたことを特徴とする包装用箱。
【請求項2】
前記係合段部の幅寸法は、前記縁部の幅寸法と略同等とされる請求項に記載の包装用箱。
【請求項3】
前記蓋体は、前記外天板の両端に設けられる蓋体側板を介して略L字状に支持されるとともに、前記内天板と前記蓋体側板との間に前記係合段部と係合する前記縁部に隣接する縁部を収容する縁部収容空間が夫々設けられる請求項1又は請求項に記載の包装用箱。
【請求項4】
前記蓋体は第1蓋体と第2蓋体とから構成され、夫々が対向するよう前記収容部に取り付けられる請求項1から請求項のいずれか1項に記載の包装用箱。
【請求項5】
前記第1蓋体又は前記第2蓋体のいずれか一方の前記外天板と内天板との間に重合片が設けられる請求項に記載の包装用箱。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食品、飲料、化粧品等を収納する包装用箱に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、収容部と蓋体とを別体に形成し、収容部より大きく形成した蓋体を収容部の上方より被せる構造の包装用箱が公知である。しかしながら、当該包装用箱においては、美観性に乏しい、又は収容物との調和が取れないといった問題点があった。
【0003】
当該問題点を解決する為に、上面が開口した収容部と、開口部を覆う少なくとも一枚の合成樹脂製蓋体により構成し、蓋体の両側に開閉用の回転軸とストッパを突出形成し、回転軸を収容部に設けた軸受孔に弾性的に係合させて開閉自在とし、蓋体の開閉時におけるストッパの回動軌跡と対接する位置にストッパ係止用孔を設けた包装用箱が公知である(特許文献1参照)。
【0004】
これにより、蓋体を回転軸を介して回動させ、収容部の開口部を覆うものである。そして、蓋体閉鎖時には、蓋体側板内面に突出形成したストッパと収容部側板とが圧接し、蓋体のぐらつきを防止するものである。また、蓋体のストッパが収容部に設けた係止孔に嵌合するまで蓋体を回動させ、蓋体を開状態で保持することができるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】公開実用昭64−9156号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記構造では、蓋体の閉状態において保持されないことから、収容部に対して蓋体が容易に開状態となるものである。よって、開口部が下方に位置した状態では収容物が落下してしまうものであった。
【0007】
これに際して、従来から収容部と蓋体を固定する為にテープやシールを貼ったり、紐やリボン等で縛ったりすることが行われていたが、これらはいずれも外観上の体裁が悪くなるといった問題が生じていた。
【0008】
そこで、本発明はこのような問題点を解決するものであって、食品、飲料、化粧品等を収納するとともに、外観上の美観を損ねることのない係合手段によって収容部と蓋体とを係合する包装用箱を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記問題点を解決するために、本発明の請求項1に記載の包装用箱は、上方が開口し、各辺の上端に所定厚みの縁部を備える収容部と、前記開口を覆うよう前記収容部に回動自在に取り付けられる蓋体とを備えてなり、前記蓋体は、外天板と蓋体外側板とが略L字状となるよう構成され、前記外天板に対して間隙を有した状態で二重構造となるよう内天板が設けられるとともに、前記蓋体外側板に近接するよう前記内天板の一端部を前記外天板に設置し、前記一端部と前記蓋体外側板との間に係合段部を形成し、前記蓋体の回動時に前記縁部と前記内天板が当接するとともに、前記縁部にて前記内天板を押圧して弾性変形させ、前記縁部を前記係合段部に係合させるようにし、前記内天板は、少なくとも傾斜片を備えてなり、前記傾斜片の一端部を前記外天板に設置し、前記傾斜片の前記一端部と前記蓋体外側板との間に係合段部を形成し、前記傾斜片の他端部の回動軌跡上に前記縁部が位置するものである。
【0011】
また、本発明の請求項2に記載の包装用箱は、請求項1に記載の包装用箱において、前記係合段部の幅寸法は、前記縁部の幅寸法と略同等とされるものである。
【0012】
また、本発明の請求項3に記載の包装用箱は、請求項1又は請求項2項に記載の包装用箱において、前記蓋体は、前記外天板の両端に設けられる蓋体側板を介して略L字状に支持されるとともに、前記内天板と前記蓋体側板との間に前記係合段部と係合する前記縁部に隣接する縁部を収容する縁部収容空間が夫々設けられるものである。
【0013】
また、本発明の請求項4に記載の包装用箱は、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の包装用箱において、前記蓋体は第1蓋体と第2蓋体とから構成され、夫々が対向するよう前記収容部に取り付けられるものである。
【0014】
また、本発明の請求項5に記載の包装用箱は、請求項4に記載の包装用箱において、前記第1蓋体又は前記第2蓋体のいずれか一方の前記外天板と内天板との間に重合片が設けられるものである。
【発明の効果】
【0015】
本発明の包装用箱では、収容部の縁部と係合する係合段部を蓋体の内側面に設けたことから、蓋体の閉状態では両者が係合しており、収容部に対して蓋体が容易に開状態となる虞がなくなる。また、当該係合段部を蓋体の内側面に設けたことから、外観上の美観を向上させた包装用箱とすることができる。
【0016】
更に、蓋体の内側面において、係合段部に至るまでにおいては、外天板に対して内天板を間隙を有した状態で設けられていることから、蓋体を回動させる操作と、当該状態から一定以上の作用力を付与して蓋体を閉める操作との二つの操作をもって、蓋体の閉状態とするものとなる。よって、当該二つの操作からユーザは確実に蓋体が閉じられたとの認識を得ることができるものである。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の実施例における包装用箱の一方の蓋体を開いた状態の斜視図である。
図2】本発明の実施例における包装用箱の収容部を展開した状態の表面図である。
図3】本発明の実施例における包装用箱の一方の蓋体を展開した状態の表面図である。
図4】本発明の実施例における包装用箱の他方の蓋体を展開した状態の表面図である。
図5】本発明の実施例における包装用箱の図1のA−A断面図である。
図6】本発明の実施例における別実施例の包装用箱の蓋体を開いた状態の斜視図である。
図7】本発明の実施例における別実施例の包装用箱の蓋体を閉じた状態の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態における包装用箱を図面に基づいて説明する。当該包装用箱において、蓋体が設けられる側を当該箱の上方とし、底板が設けられる側を当該箱の下方とする。また、展開図において、縦方向を上下とし、横方向を左右とする。
【実施例1】
【0019】
本発明に係る包装用箱は、図1から図5に示すように、一枚の紙材から組み立てられる収容部と、一枚の紙材から組み立てられる蓋体とから構成される。具体的には、収容部に対して二つの蓋体が取り付けられる、いわゆる観音開き状に構成される包装用箱であって、蓋体に設けられる係合手段が収容部の縁部と係合することにより、蓋体の閉状態を維持することができるものである。
【0020】
すなわち、収容部は四辺に係合手段となる所定の厚みを有する縁部を備えてなり、蓋体にはその内側面に当該縁部と係合し得る係合段部を備えてなる。
【0021】
収容部は、図2に示すように、展開した状態において、略四角状の底板2から外側板を構成する第1外側板3、第2外側板4、第3外側板5及び第4外側板6が四方に連接している。尚、本実施例においては、底板2の右側に第1外側板3、左側に第2外側板4、上側に第3外側板5、下側に第4外側板6が連接している。
【0022】
第1外側板3、第2外側板4、第3外側板5及び第4外側板6は、底板2の各辺に対して略同一寸法の辺部を有して形成される。第1外側板3は、第2外側板4と対向して略同一形状に形成される。また、第3外側板5は、第4外側板6と対向して略同一形状に形成される。各外側板は、収容部の外周面を構成するものである。
【0023】
また、第1外側板3、第2外側板4、第3外側板5及び第4外側板6の外側方向には、夫々第1縁部7、第2縁部8、第3縁部9及び第4縁部10が形成される。各縁部は、所定の厚みを有することで蓋体と係合し得る係合手段となる。
【0024】
更に、第1縁部7、第2縁部8、第3縁部9及び第4縁部10の外側方向には、夫々第1内側板11、第2内側板12、第3内側板13及び第4内側板14が形成される。各内側板は、各縁部より折り返され、収容部の内周面を構成するものである。
【0025】
また、第1内側板11、第2内側板12、第3内側板13及び第4内側板14の外側方向には、夫々第1重合底板15、第2重合底板16、第3重合底板17及び第4重合底板18が形成される。各重合底板は、各内側板より折り返され、収容部の底板2と重合するものである。
【0026】
そして、各重合底板と各内側板との境界には、切り込みを介して支持片19が複数箇所に形成される。当該支持片19は、各内側板側に向けて各縁部と略同等寸法を有して形成され、各側板の下端部を支持するものである。
【0027】
更に、第3内側板13の左右方向には、第1係合側板20が夫々形成され、第4内側板14の左右方向には、第2係合側板21が夫々形成される。第1係合側板20と第2係合側板21には、相互に係合し得るよう切込部22が形成されており、当該切込部22が係合した状態で第1外側板3と第1内側板11の間隙、第2外側板4と第2内側板12の間隙に収容され、当該側板を補強するものである。特に、長辺となる側板の補強の為に設けることが望ましく、第1係合側板20及び第2係合側板21は、切込部22が係合した状態で第1外側板3、第2外側板4の長さ寸法と略同等となるよう形成される。
【0028】
また、各外側板を連結するようにして折返片23が形成され、当該折返片23を略二等分に折曲した状態で第1外側板3と第1内側板11の間隙、第2外側板4と第2内側板12の間隙に収容され、当該側板の隅部を補強するものである。特に、長辺となる側板の補強の為に設けることが望ましい。
【0029】
このようにして、展開図が形成される収容部は、底板2に対して各外側板を折曲させるとともに、第3縁部9及び第4縁部10を介して第3内側板13及び第4内側板14を折り返し、第1係合側板20と第2係合側板21とを係合させた状態とする。このとき、支持片19にて側板の下端部を支持した状態で、第3重合底板17及び第4重合側板18は底板2に重合される。
【0030】
そして、折返片23を略二等分に折曲し、これを第1係合側板20と第2係合側板21の外側方向に配置させるとともに、第1縁部7及び第2縁部8を介して第1内側板11及び第2内側板12を折り返した状態とする。
【0031】
そして、第1外側板3と第1内側板11の間隙、第2外側板4と第2内側板12の間隙に折返片23及び係合した第1係合側板20と第2係合側板21を収容し、第1重合底板15及び第2重合側板16を底板2に重合させて、底板2の各隅部にて各側板を係合させることによって組み立てられる。各側板の係合は、特に制限されることなく、周知の技術を採用するものである。
【0032】
これにより、収容部は、図1及び図5に示すように、上方が開口された箱体となり、四辺に係合手段となる所定の厚みを有する縁部を備えるものとなる。図に示すように、収容物に重量がある場合等には、底板2に補強板Tを載置した状態で組み立ててもよいものである。
【0033】
蓋体は、収容部の側板に重合される蓋体外側板、収容部の開口を覆う外天板、内天板を備えてなる。そして、蓋体における係合手段は、外天板に対して間隙を有した状態で二重構造となるよう設けられる内天板の一端部を蓋体外側板に近接するよう外天板に設置し、当該一端部と蓋体外側板との間に係合段部を形成することで構成される。
【0034】
より詳細には、内天板に少なくとも傾斜片を形成し、当該傾斜片の一端部を外天板に設置し、当該一端部と蓋体外側板との間に係合段部を形成することで構成される。本実施例においては、当該蓋体は、図3及び図4に示すように、第1蓋体及び第2蓋体とから構成される。
【0035】
第1蓋体は、図3に示すように、第2蓋体とその一部が重合する重合片25を備えるものであり、その他においては両者は略同一の形状からなるものである。以下に、第1蓋体について説明する。
【0036】
第1蓋体は、展開した状態において、図3に示すように、収容部における開口の略半分の大きさであって略四角状の外天板24から右方向に重合片25を連接している。当該重合片25は、外天板24の上下端部から収容部における縁部の厚み寸法分が短くなるよう形成される。
【0037】
また、重合片25の右方向には、外天板24より幅寸法が短い当接片26が形成される。そして、当接片26の右方向には、傾斜片27及び貼着片28が形成され、貼着片28の右方向には後述の蓋体外側板33と略同等の長さ寸法を有する蓋体内側板29が形成される。また、蓋体内側板29の右方向には、差し込み片30が形成される。本実施例においては、当接片26及び傾斜片27にて内天板を構成する。
【0038】
ここで、外天板24の幅寸法は、当接片26、傾斜片27及び貼着片28の夫々の幅寸法を合計したものよりも短く形成される。また、貼着片28の幅寸法は、収容部における縁部の厚み寸法と略同等に形成される。
【0039】
また、外天板24の上下方向には、収容部の側板を覆う第1蓋体側板31及び第2蓋体側板32からなる蓋体側板が形成される。本実施例においては、第1蓋体側板31及び第2蓋体側板32は略三角形状に形成されるが、略四角形状であってもよく、これに限られるものではない。
【0040】
一方、外天板24の左方向には、蓋体内側板29と略同形状の蓋体外側板33が形成され、その左方向には収容部に取り付ける際の取付片34が形成される。また、第1蓋体側板31と蓋体外側板33、第2蓋体側板32と蓋体外側板33を連結するようにして折返片35が形成される。当該折返片35は、略二等分に折曲された状態で蓋体内側板29と蓋体外側板33の間隙に収容され、当該蓋体側板の隅部を補強するものである。
【0041】
このようにして、展開図が形成される第1蓋体は、図1及び図5に示すようにして、外天板24に対して重合片25を介して当接片26及びその先端を折り返し、貼着片28を外天板24に貼着する。具体的には、貼着片28における蓋体内側板29との境界を外天板24における蓋体外側板33との境界近郊に一致させた状態で貼着する。
【0042】
そして、折返片35を略二等分に折曲した状態で蓋体内側板29と蓋体外側板33の間隙に収容し、蓋体内側板29を蓋体外側板33に貼着するとともに、差し込み片30を蓋体内側板29と蓋体外側板33の間隙に収容することで、組み立てられる。
【0043】
このとき、当接片26、傾斜片27及び貼着片28の夫々の幅寸法の合計寸法を外天板24の幅寸法より長く形成したことから、当接片26及び傾斜片27は、図5に示すように、断面視にて略三角形状を形成するように、外天板24に対して重合した状態とはならず、間隙を有して撓んだ二重構造の状態となる。
【0044】
これにより、第1蓋体は、その内側面に傾斜片27及び貼着片28からなる段部を形成するものとなり、当該段部は収容部における縁部と係合する係合段部となる。すなわち、当該係合段部は、略L字状を構成する外天板24と蓋体外側板33との境界近郊であって、収容部を閉状態とした際の縁部と対応する位置に形成される。
【0045】
そして、取付片34を収容部へと貼着することで第1蓋体を構成する。取付片34は、本実施例においては、収容部の底板2に貼着されるが、収容部の外側板であってもよいものである。
【0046】
第2蓋体は、上述のように第1蓋体と略同一の形状からなり、図4に示すように、外天板24と当接片26との間に重合片25を備えない形状としたものであるので、その他の説明は省略する。
【0047】
組み立てられた包装用箱1は、図1及び図5に示すようにして、収容部に対して第1蓋体及び第2蓋体が対向した状態で取り付けられる、いわゆる観音開き状に構成される。
【0048】
当該包装用箱1は、第1蓋体及び第2蓋体によって収容部の開口が覆われ、蓋体内側板29によって第1外側板3、対向位置における第2外側板4が覆われ、第1蓋体側板31及び第2蓋体側板32からなる蓋体側板によって第3外側板5、対向位置における第4外側板6が覆われる。すなわち、包装用箱の閉状態においては、収容部と蓋体との係合手段は外観上に現れることなく、美観に優れたものとなる。
【0049】
当該包装用箱1における蓋体の開閉は、次のようにして行われる。その際、第1蓋体と第2蓋体において、開閉に関する構造は同様であるので、第1蓋体についてのみ説明する。
【0050】
包装用箱1の開状態から閉状態においては、第1蓋体における蓋体外側板33と取付片34との境界を回動中心として、収容部の第1外側板3及び開口を覆うように回動される。そして、所定位置まで回動されると、第1縁部7と内天板とが当接した状態となる。具体的には、第1縁部7の外側角部と当接片26とが当接した状態となる。
【0051】
このとき、当接片26は、外天板24に対して重合されず、間隙を有した状態で撓んで外天板24側に弾性力を有していることから、前記回動における同様の作用力では閉状態へと回動させることができない状態となる。
【0052】
そして、一定以上の回動における作用力を付与させることで、第1縁部7の外側角部にて撓んだ状態の当接片26を外天板24側へ押圧して弾性変形させ、傾斜片27及び貼着片28からなる係合段部へと第1縁部7を摺動させて誘導し、両者を係合させて第1蓋体を閉状態とする。
【0053】
当該閉状態においては、当接片26との境界における傾斜片27の端部の回動軌跡上に第1縁部7が位置することから、当該状態から開状態へと操作するに際しては、第1縁部7にて傾斜片27を外天板24側へ押圧して弾性変形させ、当該係合を解除させて開状態とする。
【0054】
換言すると、閉状態において、当接片26との境界における傾斜片27の端部の回動軌跡上に第1縁部7が位置することから、第1蓋体は容易に開状態となることなく、第1縁部7と係合段部との係合が保持された状態となる。
【0055】
また、図1に示すように、第1蓋体側板31、第2蓋体側板32と撓んだ状態の当接片26との間隙は縁部収容空間36とされ、第1蓋体の閉状態において、第3縁部9及び第4縁部10が収容される。すなわち、縁部収容空間36は、係合段部と係合する第1縁部7に隣接する各縁部を収容する。
【0056】
第1蓋体は重合片25を備えることから、第2蓋体より先に閉状態とされるものである。当該重合片25は、収容部の略中央部にてその上方から第2蓋体が閉状態とされることで、両者の突き合わせ部をなくすとともに、外観上においても優れたものとする。
【0057】
以上、説明した本発明に係る包装用箱1によれば、蓋体を回動させる操作と、当該状態から一定以上の作用力を付与して蓋体を閉める操作との二つの操作をもって閉状態とすることから、ユーザは確実に蓋体が閉じられたとの認識を得ることができる。また、収容部の縁部と蓋体の係合段部とが係合していることから、容易に蓋体が開状態となる虞もなくなる。
【実施例2】
【0058】
本発明に係る包装用箱の実施例2について、図6及び図7に基づいて説明する。本実施例2における包装用箱1aは、実施例1における構造と略同様であるが、収容部に対して一つの蓋体が取り付けられる、いわゆる片開き状に構成される点で実施例1と相違するものである。詳細につき、以下に説明する。
【0059】
実施例2における蓋体は、外天板24及び当接片26が収容部の開口に対応するよう、実施例1における長さ寸法と比較して長く形成される。これに対応するようにして、第1蓋体側板31及び第2蓋体側板32も同様にして形成される。尚、本実施例においては、重合片25は形成されないものであるが、外天板24と当接片26との間に別途差し込み片等を形成してもよいものである。
【0060】
このようにして構成される実施例2の包装用箱1aにおいては、実施例1における包装用箱1と略同様の作用及び効果を奏するものであり、片開き状に構成される蓋体によって、収容部が開閉されるものである。
【0061】
実施例1及び実施例2において、収容部は、上方が開口された箱体となり、四辺に係合手段となる所定の厚みを有する縁部を備えるものであるが、少なくとも一辺に係合手段となる縁部が形成されていればよい趣旨である。よって、残りの三辺においては、係合し得る所定の厚みを有する縁部でなくてもよい。この際、蓋体の縁部収容空間36を適宜変更することができるのは勿論である。
【0062】
すなわち、収容部においては、蓋体の係合段部と係合する縁部が少なくとも一辺に形成される形態であればよい趣旨であり、上記実施例に係るものでなくてもよく、周知の上方が開口したものを採用することができるのは勿論である。
【0063】
また、上記実施例1及び実施例2において、蓋体は、少なくとも外天板24、内天板、蓋体外側板33が設けられていればよい。すなわち、外天板24と蓋体外側板33とを略L字状となるよう構成し、外天板24に対して内天板が間隙を有して二重構造が構成されるとともに、縁部に係合する係合段部が形成されていればよい趣旨である。
【0064】
よって、傾斜片27を設けることなく内天板を構成してもよいし、当接片26、傾斜片27及び別途構成片を設けて内天板を構成してもよいものであり、断面視にて略三角形状を形成するものに限られるものではなく、略円弧状、その他形状等を形成するものであってもよい。当該略L字状を支持する為に、第1蓋体側板31及び第2蓋体側板32からなる蓋体側板が設けられていれば、より望ましいものである。
【0065】
更には、外天板24、当接片26及び傾斜片27を連接して設けることなく、夫々分離したものを貼着等するものであってもよい。この際、当接片26、傾斜片27及び貼着片28の夫々の幅寸法の合計寸法を外天板24の幅寸法より長く形成する必要はなく、上記二つの操作をもって閉状態とするよう幅寸法を適宜設定すればよい。
【0066】
より詳細には、閉状態において、当接片26との境界における傾斜片27の端部の回動軌跡上に縁部が配置されるよう設定することで、蓋体を閉める操作に関する作用力が大きくなるよう設定することができる。
【0067】
また、断面視にて略三角形状が形成される間隙内の外天板24に貼着片28を貼着してもよい。更には、貼着片28を設けることなく、傾斜片27の端部を外天板24に貼着してもよい。いずれの場合においても、蓋体外側板33に近接するよう配置される傾斜片27と蓋体外側板33との間に係合段部が形成されることとなる。すなわち、収容部の縁部と係合し得る幅寸法を確保した状態で貼着されてあればよいものである。
【0068】
更に、実施例1において、第1蓋体には重合片25が形成されるものであったが、第1蓋体には形成せず第2蓋体に形成してもよいし、その両者に形成しなくてもよいものである。
【0069】
また、上記実施例1において、取付片34を底板2に貼着した際には、外観上の美観を向上させることから、取付片34を底板2の略半分の大きさとし、第1蓋体及び第2蓋体の取付片34にて底板2の全面を覆うよう貼着するものであってもよい。また、両者の形状を異にして底板2に貼着するものであってもよい。
【0070】
更に、実施例2においては、取付片34を底板2に貼着した際には、外観上の美観を向上させることから、取付片34を底板2の略同等の大きさとし、底板2の全面を覆うよう貼着するものであってもよい。
【0071】
その他、形状、寸法、材質等を適宜変更して実施することが可能である。また、一部構成を省略することができるし、一部抽出した構成とすることができるのは勿論である。
【符号の説明】
【0072】
1、1a 包装用箱
2 底板
3、4、5、6 外側板
7、8、9、10 縁部
11、12、13、14 内側板
15、16、17、18 重合側板
19 支持片
20、21 係合側板
22 切込部
23 折返片
24 外天板
25 重合片
26 内天板
27 傾斜片
28 貼着片
29 蓋体内側板
30 差し込み片
31、32 蓋体側板
33 蓋体外側板
34 取付片
35 折返片
36 縁部収容空間
T 補強板
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7