(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面にしたがって本発明の実施の形態について説明する。ただし、本発明の技術的範囲はこれらの実施の形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された事項とその均等物まで及ぶものである。
【0012】
[距離測定装置の構成]
図1は、本実施の形態例における距離測定装置100の構成の一例を示す図である。同図の距離測定装置100は、例えば、レーザー11、回折格子12、撮像装置14、制御装置13を有する。レーザー11の前部分には回折格子12が実装され(以下、レーザー部10と称する)、レーザー部10から対象物20にレーザー光が照射される。また、撮像装置14の前部分には可視光カットフィルタが実装される。撮像装置14は、レーザー光が照射された対象物20の画像データ生成し、制御装置13に送信する。撮像装置14が生成する画像データは、可視光カットフィルタによって、レーザー光の照射によって投影されたスポット光のみの画像を有する。即ち、画像データは、輝度情報のみを有する。また、制御装置13は、画像データに基づいて、対象物20との距離を測定すると共に、必要に応じて、レーザー部10へのレーザー光の出力径の制御指示や、撮像装置14へのシャッター速度の制御指示を出力する。
【0013】
図2は、本実施の形態例における距離測定装置100をレーザー光の投射方向から捉えた図を表す。同図のように、撮像装置14は、レーザー部10から距離DTを置いて配置される。また、レーザー部10は、対象物20にレーザー光が向けられるように、対象物20と直線上に配置される。このため、撮像装置14は、対象物20を斜め方向から撮像することになる。また、レーザー部10と撮像装置14との配置高さは同じである。これにより、本実施の形態例において、撮像装置14によって生成される画像データにおけるスポット光の位置は、レーザー部10と対象物20との距離に応じて、画像データの左右方向に移動する。詳細については、別の図で後述する。
【0014】
[距離測定装置100のブロック図]
図3は、本実施の形態例における距離測定装置100のブロック図を示す例図である。同図において、距離測定装置100は、例えば、レーザー駆動部11、回折格子12、撮像装置14、制御装置13を有する。レーザー駆動部11は
図1のレーザー11、回折格子12は、
図1の回折格子12に対応する。また、撮像装置14は、
図1における撮像装置14及び可視光カットフィルタに対応する。
【0015】
また、
図3の制御装置13は、
図1の制御装置13に対応し、例えば、撮像装置入力処理部33、距離測定処理部31、制御処理部32を有する。撮像装置入力処理部33は、撮像装置14からの画像データを記憶し、距離測定処理部31は、画像データに基づいて対象物20との距離を測定する。また、制御処理部32は、画像データに基づいてレーザー光の出力径の制御、シャッター速度の制御の必要性の有無を判定する。制御が必要と判定された場合、制御処理部32は、レーザー部10へのレーザー光の出力径の制御指示、または、撮像装置14へのシャッター速度の制御指示を行う。
【0016】
[スポット光の移動及びサイズ]
図4は、レーザー部10と対象物20との距離が異なる3つの画像データgg1〜gg3におけるスポット光ssのサイズ、及び、位置の一例を説明する図である。同図の例において、
図1、
図2で前述したように、撮像装置14は、レーザー部10の右側に平行に配置される。これにより、画像データgg1〜gg3におけるスポット光ssの位置は、レーザー部10と対象物20との距離に応じて画像データにおける左右方向に変動する。より具体的に、スポット光ssの位置は、対象物20がレーザー部10に近づくに連れて左方向に、遠ざかるに連れて右方向に移動する。また、レーザー部10と対象物20との距離に応じて、画像データにおけるスポット光のサイズも変動する。画像データgg1〜gg3に基づいて、具体的に説明する。
【0017】
図4の画像データgg2は、レーザー部10と対象物20との距離が基準距離d2である場合の画像データの一例を示す。基準距離とは、例えば、測定対象とする距離の中間程度の距離を示す。レーザー部10と対象物20との距離が基準距離d2である場合、スポット光ssは、例えば、画像データgg2の中央部分に位置すると共に、隣接するスポット光と一定の間隔を有する。また、同図の矢印y2は、スポット光の移動量を測定可能な範囲、即ち、距離測定範囲を示す。具体的に、矢印y2は、隣接するスポット光との間隔における中間までの距離を示す。スポット光ssの距離測定範囲が狭い場合、スポット光ssが隣接するスポット光と融合し、移動量を測定できないことがある。ただし、画像データgg2では、各スポット光は十分な間隔を有することから、隣接するスポット光との融合や重複は生じ難い。
【0018】
一方、
図4の画像データgg1は、レーザー部10と対象物20との距離が基準距離より近い距離d1である場合における画像データの一例を示す。レーザー部10と対象物20との距離が基準距離より近い場合、スポット光ssは、画像データgg1の左部分に位置すると共に、画像データgg1におけるスポット光同士の間隔が狭まる。また、このとき、スポット光ssの光量が大きくなることにより、画像データgg1におけるスポット光に滲み現象が生じる。これにより、画像データgg1におけるスポット光ssのサイズが拡大する。即ち、レーザー部10と対象物20との距離が近い場合、画像データgg1におけるスポット光ss同士の間隔が狭い上に、スポット光ssのサイズが拡大する。このため、画像データgg1における距離測定範囲y1は狭い。このような場合、画像データgg1における隣接スポット光との融合や重なりが生じ易く、スポット光ssの移動量の計測が行えないことがある。
【0019】
他方、
図4の画像データgg3は、レーザー部10と対象物20との距離が基準距離より遠い距離d3である場合における画像データの一例を示す。レーザー部10と対象物20との距離が基準距離より遠い場合、スポット光ssは、画像データgg3の右部分に位置すると共に、画像データgg3におけるスポット光同士の間隔は広まる。また、この場合、スポット光ssのサイズは、レーザー部10と対象物20との距離が遠いことから、相対的に拡大するものの、スポット光の光量は増加しない。このため、スポット光の滲み現象が生じることはない。このため、画像データgg3における距離測定範囲y3は十分である。
【0020】
このように、レーザー部10と対象物20との距離に応じて画像データにおけるスポット光ssのサイズ及び位置が変動することから、距離測定範囲も異なる。また、レーザー部10と対象物20との距離が近い場合、距離測定範囲y2が狭まり、対象物20との距離を測定できなくなることがある。このため、レーザー部10と対象物20との距離が近い場合、距離測定範囲y2を拡大するため、スポット光のサイズが小さく抑えられることが望ましい。また、レーザー部10と対象物20との距離が近い場合であって、対象物20が人物等である場合、光量の多いレーザー光が人物にとって有害となる。このため、光量についても、小さく抑えられることが望ましい。
【0021】
そこで、本実施の形態例における距離測定装置100は、画像データにおける複数のスポット光の位置に基づいて対象物との距離を取得し、画像データに基づいてスポット光のサイズが基準サイズより大きい場合に、レーザー部10のレーザー光の出力径を小さくする第1の制御と、画像データを生成した撮像装置14のシャッター速度を速くする第2の制御のいずれか一方または両方を行う。これにより、距離測定装置100は、画像データに基づいて、画像データにおけるスポット光のサイズの拡大を予め検知することができる。そして、距離測定装置100は、検知に基づき、撮像装置14のシャッター速度、または、レーザー光の出力径を調整することによって、画像データにおけるスポット光のサイズを抑え、距離測定範囲を広くすることができる。
【0022】
ここで、本実施の形態例における距離測定装置100の処理の流れについて、フローチャートに基づいて順次説明する。
【0023】
[距離測定装置100の処理の流れ]
図5は、本実施の形態例における距離測定装置100の処理について説明するフローチャート図である。まず、距離測定装置100の電源が投入されると(S11)、レーザー光の出力径値、及び、シャッター速度値に、初期値であるデフォルト値が設定される(S12)。続いて、レーザー部10のレーザー光の出力がONに制御される(S13)。これにより、シャッターが押される間、レーザー部10からシャッター速度に合わせてレーザー光が投射される。
【0024】
続いて、対象物に投影されたスポット光の1フレームの画像データが撮像装置14によって生成され、制御装置13の撮像装置14入力処理部に入力される(S14)。続いて、撮像装置14入力処置部において受信された画像データが、距離測定処理部31に入力される(S15)。距離測定処理部31は、画像データのスポット光の移動量、及び、レーザー部10と撮像装置14との距離に基づいて、三角測量法等の原理にしたがって、対象物との距離を算出する。このとき、本実施の形態例における距離測定装置100は、画像データに基づいてスポット光の拡大を検知し、レーザー光の出力径、シャッター速度の値のいずれかまたは両方を必要に応じて制御する。処理の詳細については、後述する。
【0025】
そして、対象物との距離が測定されると、測定された距離が画像認識アプリケーションに入力される(S16)。具体的に、画像認識アプリケーションは、測定された距離を使用して、画像データの加工や補正等の所定の画像処理を行う。続いて、距離測定装置100は、距離測定装置100が正常状態であるか否かを確認し(S18)、正常状態である場合(S18のYES)、距離測定対象の対象物が変更されたか否かを判定する(S19)。また、距離測定装置100に温度の異常等の異常状態がみとめられた場合(S18のNO)、レーザー部10のレーザー光の出力がOFFに制御され(S21)、距離測定装置100の処理が終了される(S22)。
【0026】
距離測定対象の対象物が変更されていない場合(S19のYES)、即ち、対象物が同一のままである場合、距離測定装置100の処理は、撮像装置14入力処理部(S14)へ遷移し、新たな画像データの入力が受け付けられる。一方、距離測定対象の対象物が同一でない場合(S19のNO)、または、対象物がなくなった場合、レーザー光の出力径、シャッター速度の値が、初期値であるデフォルト値に設定し直される(S20)。そして、同様にして、距離測定装置100の処理は、撮像装置14入力処理部(S14)へ遷移し、新たな対象物に対応する画像データの入力を受け付け可能状態になる。
【0027】
[距離測定処理部31の詳細な流れ]
図6は、
図5のフローチャート図における距離測定処理部31の処理について説明するフローチャート図である。まず、設定済みの値に基づいて、レーザー光の出力径、シャッター速度の値が制御される(S31、S32)。続いて、入力された画像データに基づいて、画像処理が行われる(S33)。画像処理では、画像データに基づく対象物との距離の算出、及び、画像データに基づくグラフの生成が行われる。画像処理の詳細については後述する。
【0028】
続いて、画像処理(S33)において生成されるグラフに基づいて、画像処理判定が行われる(S34)。具体的に、画像処理判定では、画像データに対応するグラフに基づいて、画像データにおけるスポット光のサイズ、位置の判定が行われる(S34)。画像処理判定が正常である場合(S34のYES)、レーザー光の出力径、シャッター速度の制御は行われない。一方、画像処理判定において異常と判定された場合(S34のNO)、シャッター速度が最大速度に達しているか否かが判定される(S35)。シャッター速度が最大速度に到達していない場合は(S35のNO)、制御処理部32によって、撮像装置14に、一段階速いシャッター速度を示す制御データが出力されることにより、シャッター速度が制御される。また、既に、シャッター速度が最大速度である場合は(S35のYES)、制御処理部32によって、レーザー部10に、一段階小さい出力径を示す制御データが出力されることにより、レーザー光出力径が制御される。
【0029】
これにより、画像データにおけるスポット光のサイズが大きい場合、または、スポット光が基準距離測定処理範囲を超えた近距離を示す位置にある場合、シャッター速度、または、レーザー光の出力径が、画像データにおけるスポット光の光量が小さくなるように制御される。シャッター速度が速い速度に制御されることにより露光量が抑えられ、画像データにおけるスポット光のサイズが抑えられる。レーザー部10からレーザー光の投射は、シャッター速度に合わせて行われる。このため、シャッター速度が速い速度に制御されることにより、レーザー光の投射時間が短くなり、レーザー光の光量についても小さく抑えられる。また、レーザー光の出力径が小さいサイズに調整されることによりレーザー光の光量が抑えられると共に、画像データにおけるスポット光のサイズが抑えられる。
【0030】
ここで、シャッター速度の制御時に、制御処理部32から撮像装置14に出力される制御データの一例について説明する。
【0031】
[制御データの一例]
図7は、制御処理部32において制御装置13から撮像装置14に出力されるシャッター速度の制御データSDATAの一例を説明する図である。本実施の形態例において、制御データは、例えば、制御処理部32と撮像装置14とを接続するシリアルインタフェースを介して制御される。撮像装置14は、例えば、クロック信号SLOCKが入力されたタイミングにおいて、シリアルインタフェースを介して、制御装置13から出力された制御データSDATAを取り込む。同図の例において、制御データSDATAは、例えば、データS、データADD、データReno、データDATA、データEを有する。
【0032】
具体的に、データSは制御データSDATAの開始ビット、データEは制御データSDATAの最終ビットを示す。データS、Eはそれぞれ、例えば、1ビットの値0x1である。また、データADDは、情報格納アドレスであって、送信対象のアドレス、即ち、撮像装置14のアドレスを示す。この例において、データADDは、例えば、8ビットの値0x55である。データRenoは、制御内容を示すデータであって、シャッター速度制御を示す8ビットの値0x80である。また、データDATAは、シャッター速度を示す16ビットの値0x1111101000(10進数では、1000)である。この例において、値0x1111101000は、シャッター速度1/1000秒を示す。
【0033】
このような制御データに基づいて、撮像装置14のシャッター速度が制御される。なお、
図7の例には図示していないが、レーザー光の出力径の制御処理においても、例えば、制御処理部32から、または、制御処理部32から撮像装置14を介して、制御データがレーザー部10に出力される。なお、レーザー光の出力径を制御する制御データは、例えば、制御処理部32から撮像装置14を介して、レーザー部10に出力されてもよい。続いて、
図6のフローチャート図で示した画像処理について、フローチャート図に基づいて説明する。
【0034】
[画像処理の詳細な流れ]
図8は、
図6のフローチャート図における画像処理の流れについて説明するフローチャート図である。初めに、距離測定処理部31は、撮像装置14入力処理部に入力された画像データを二値化し、二値化データを生成する(S41)。具体的に、距離測定処理部31は、画像データの各画素について、基準値を超えた場合は値1を、基準値を超えない場合は値0を有する二値化データを生成する。これにより、スポット光に対応する画素は値1、スポット光に対応しない画素は値0を有する二値化データが生成される。続いて、距離測定処理部31は、二値化データの行単位に、行を構成する各画素の値を総計し、行方向グラフを生成する(S42)。同様にして、距離測定処理部31は、二値化データの列単位に、列を構成する各画素の値を総計し、列方向グラフを生成する(S43)。
【0035】
続いて、距離測定処理部31は、画像データにおけるスポット光の基準位置からの移動量に基づいて、三角測量法の原理に従って、スポット光に対応する対象物の距離を算出する。これにより、画像データに基づいて、対象物の距離が算出される。このとき、画像データにおいて、スポット光の距離測定範囲が狭く、隣接するスポット光間で融合が生じると、距離測定処理部31は、スポット光の移動量を計測できず、対象物との距離を算出することができない。そこで、本実施の形態例における制御処理部32は、二値化データに基づいて生成された行方向グラフ、及び、列方向グラフに基づいて画像処理判定を行い、必要に応じて画像データにおけるスポット光のサイズが小さくなるように制御を行う。続いて、グラフの生成処理について、画像データの画素に対応して説明する。
【0036】
[グラフの生成処理の具体例]
図9は、行方向グラフRG、列方向グラフCGの生成処理について説明する例図である。この例において、破線矢印R1〜Rnは行方向グラフRGの生成処理を、点線矢印C1〜Cmは列方向グラフCGの生成処理を表す。また、同図の画像データにおける各枠CLは、画素を示す。
【0037】
行方向グラフRGの生成に当たり、制御処理部32は、二値化データにおける1行目R1の全ての画素値(0または、1)を総計する。続いて、制御処理部32は、二値化データにおける2行目R2の全ての画素値を総計する。同様にして、nRn行目までの各行について、同行の画素値がそれぞれ総計される。行方向グラフは、1行目R1からn行目Rmまでの各総計値の集合を示す。同様にして、制御処理部32は、列方向グラフCGの生成に当たり、1列目C1における全ての画素の二値化値を総計する。他の列も同様にして、m列目Cmまでの各列について、同列の画素値がそれぞれ総計される。そして、列方向グラフCGは、1列目C1からm列目Cmまでの各総計値の集合を示す。
【0038】
続いて、行方向グラフRG、列方向グラフCGに基づく画像処理判定について具体的に説明する。
【0039】
[画像処理判定]
前述したとおり、本実施の形態例の画像データにおけるスポット光は、対象物との距離に応じて、画像データの行方向(左右方向)に変動する。これに対し、画像データにおけるスポット光は、列方向において、対象物との距離に応じて変動しない。これは、画像データの列方向において、スポット光の中心位置が変動しないことを示す。このため、画像データの行方向の値が総計された行方向グラフRGに基づくことにより、画像データにおけるスポット光のサイズが簡易に判定可能になる。また、画像データの列方向の値が総計された列方向グラフCGに基づくことにより、画像データにおけるスポット光の位置の変動が簡易に判定可能になる。
【0040】
つまり、本実施の形態例における距離測定装置100は、対象物との距離の変動によってスポット光の位置が移動する第1の方向(本実施の形態例では、行方向)について二値化データの各画素の値を総計した第1方向データ(本実施の形態例では、行方向グラフRG)に基づいて、スポット光のサイズが基準サイズ以内であるか否を判定する。また、距離測定装置100は、さらに、第1の方向(本実施の形態例では、行方向)と直行する第2の方向(本実施の形態例では、列方向)について各画素の値を総計した第2方向データ(本実施の形態例では、列方向グラフCG)に基づいて想定されるスポット光の位置に基づいて、スポット光のサイズが基準サイズ以内であるか否を判定する。また、基準サイズは、前回距離を取得した画像データ(二値化データ)のスポット光のサイズを基準度合い大きくしたサイズを示す。
【0041】
なお、本実施の形態例における距離測定装置100は、第2方向データ(本実施の形態例では、列方向グラフCG)に基づいて、スポット光が、対象物との距離の変動によって位置が移動する第1の方向(本実施の形態例では、行方向)における基準距離測定処理範囲を超えて近距離を示す位置にある場合、異常と判定する。基準距離測定処理範囲は、隣接するスポット光との間隔における中間までの距離であって、隣接するスポット光の基準距離測定処理範囲と重複しない範囲を示す。
【0042】
ここで、本実施の形態例における画像処理判定を、具体例に基づいて順次、説明する。
【0043】
[第1の具体例]
図10は、第1の具体例における画像データg1−1、及び、行方向グラフRG1−1、列方向グラフCG1−1を示す図である。同図の画像データg1−1は、対象物に投射された6つのスポット光S1〜S6を有する。同図の例において、対象物は
図4で示した基準距離d2に位置する。基準距離は、基準距離測定処理範囲に対応する距離範囲の約中心の距離を示す。このため、同図の例における画像データg1−1の行方向において、各スポット光S1〜S6は斜線で示す基準距離測定処理範囲の中心に位置する。また、同図の画像データg1−1における各スポット光S1〜S6のサイズは、1つの画素に対応する。
【0044】
具体的に、
図10の画像データg1−1において、4行目、11行目それぞれに、サイズ1×1の3つのスポット光(S1〜S3/S4〜S6)が位置する。このため、画像データg1−1に基づく行方向グラフRG1−1は、4行、11行に対応して値3、それ以外の行に対応して値0を有する。また、同図の画像データg1−1において、8列、18列、28列それぞれに、2つのスポット光が位置する。このため、画像データg1−1に基づく列方向グラフCG1−1は、8列、18列、28列に対応して値2、それ以外の列に対応して値0を有する。
【0045】
そして、行方向グラフRG1−1に基づいて、スポット光のサイズが基準サイズ以内であるか否が判定される。前述したとおり、本実施の形態例における画像データg1−1のスポット光の位置は、対象物との距離に応じて、行方向において変動するものの、列方向においては変動しない。即ち、
図10の画像データg1−1において、スポット光の中心位置は、4行、11行から変動しない。これは、スポット光S1〜S6がいずれのサイズであっても、スポット光の中心は4行、11行に位置することを示す。このため、距離測定装置100は、行方向グラフRG1−1における、4行、11行の前後行の値に基づいて、スポット光の最大サイズを想定することができる。
【0046】
具体的に、
図10の行方向グラフRG1−1において、4行、11行は値3であって、その前後行(3行、5行/10、12行)は値0である。このため、距離測定装置100は、行方向グラフRG1−1に基づいて、3つのスポット光(S1〜S3/S4〜S6)がサイズ1×1であることを想定することができる。なお、この例において、前回距離を取得した画像データの対応するスポット光は、サイズ1×1であって、基準サイズはサイズ2×2であるものとする。このため、スポット光S1〜S6のサイズは、基準サイズ2×2以内であり、正常であることが判定される。
【0047】
また、距離測定装置100は、列方向グラフCG1−1に基づいて、スポット光の位置を想定することができる。列方向グラフCG1−1において、値0より大きい値を有する8列、18列、28列は、各スポット光(S1、S4/S2、S5/S3、S6)に対応する基準距離測定処理範囲に含まれる。これにより、距離測定装置100は、列方向グラフCG1−1に基づいて、画像データg1−1におけるスポット光が、基準距離測定処理範囲を超えて近距離を示す位置になく、正常であることを判定できる。さらに、距離測定装置100は、スポット光が基準距離測定処理範囲を超えて近距離を示す位置にないことにより、スポット光のサイズが基準サイズ以内であることが想定可能になる。
【0048】
このように、
図10の画像データg1−1に基づいて、画像データg1−1におけるスポット光のサイズが基準サイズ以内であり、正常であると判定される。このため、距離測定範囲が十分であると判定されるため、レーザー光の出力径、シャッター速度の制御は行われない。また、
図10の画像データg1−1に基づいて、画像データg1−1におけるスポット光が、基準距離測定処理範囲を超えて近距離を示す位置にはなく、正常であると判定される。これにより、レーザー光の光量についても、制御の必要がないことから、レーザー光の出力径、シャッター速度の制御は行われない。このように、本実施の形態例における距離測定装置100は、画像データg1−1を二値化した二値化データに基づいて画像処理判定を行うことによって、画像データg1−1におけるスポット光のサイズ、及び、位置の判定を簡易に行うことができる。
【0049】
ここで、基準サイズについて説明する。本実施の形態例において、基準サイズは、前回距離を取得した画像データ(二値化データ)において対応するスポット光のサイズを基準度合い大きくしたサイズである。
【0050】
[基準サイズ]
図11は、本実施の形態例における基準サイズについて説明する図である。同図の例において、前回距離を取得した画像データ(二値化データ)のスポット光がサイズ1×1(
図11の(A))、サイズ2×2(
図11の(B))である場合を例示する。本実施の形態例において、前回のスポット光SAがサイズ1×1である場合(
図11の(A))、例えば、基準サイズはサイズ2×2であるものとする(SB)。つまり、前回のスポット光SAがサイズ1×1である場合、例えば、サイズ3×3のスポット光については基準サイズを超えていると判定される。一方、前回のスポット光SCがサイズ2×2である場合(
図11の(B))、例えば、基準サイズはサイズ3×3である(SD)。
【0051】
このように、本実施の形態例において、例えば、前回のスポット光がサイズn×nである場合、基準サイズはサイズn+1×n+1であると設定される。ただし、この例に限定されるものではない。例えば、前回のスポット光がサイズ1×1である場合、基準サイズがサイズ3×3、前回のスポット光がサイズ3×3である場合、基準サイズがサイズ5×5等であってもよい。
【0052】
続いて、モジュール部10と対象物20とが近づいた場合における第2の具体例に基づいて、画像処理判定を説明する。
【0053】
[第2の具体例]
図12は、第2の具体例における画像データg2−1、及び、行方向グラフRG2−1、列方向グラフCG2−1を示す図である。
図12は、
図10の具体例1における画像データg1−1に対して、対象物との距離が基準距離より近い場合における画像データg2−1を示す。画像データg2−1において、黒丸はスポット光S1〜S6であり、白丸は、前回の画像データg1−1(
図10)におけるスポット光S1〜S6を示す。対象物との距離が近いことにより、
図12の画像データg2−1におけるスポット光は、
図10の画像データg1−1に対して左方向に位置する。
【0054】
前述したとおり、本実施の形態例において、画像データg2−1の列方向におけるスポット光の中心位置は、4行、11行から変動しない。また、
図12の画像データg2−1において、スポット光S1〜S6はサイズ1×1であることにより、画像データg2−1に基づく行方向グラフRG2−1は、
図10の画像データg1−1に基づく行方向グラフRG1−1と同様である。一方、
図12の画像データg2−1において、6列、16列、26列それぞれに、2つのスポット光が位置する。このため、画像データg2−1に基づく列方向グラフCG2−1は、6列、16列、26列に対応して値2、それ以外の列に対応して値0を有する。
【0055】
図12の行方向グラフRG2−1において、4行、11行は値3であって、その前後行(3行、5行/10、12行)は値0である。このため、距離測定装置100は、行方向グラフRG2−1に基づいて、3つのスポット光S1〜S6が、それぞれサイズ1×1であることを想定することができる。これにより、スポット光S1〜S6のサイズ1×1が、基準サイズ2×2以内であることが判定される。また、
図12の列方向グラフCG2−1において、値0より大きい値を有する6列、16列、26列はそれぞれ、スポット光に対応する基準距離測定処理範囲に含まれる。これにより、距離測定装置100は、列方向グラフCG2−1に基づいて、画像データg2−1におけるスポット光S1〜S6が、基準距離測定処理範囲を超えて近距離を示す位置にないことを判定できる。
【0056】
これにより、
図12の画像データg2−1に基づいて、画像データg2−1におけるスポット光S1〜S6のサイズが基準サイズ以内であり、正常であると判定される。このため、レーザー光の出力径、シャッター速度の値の制御は行われない。また、画像データg2−1におけるスポット光が、基準距離測定処理範囲を超えて近距離を示す位置にはなく、正常であると判定される。これにより、レーザー光の光量についても、調整の必要がないことから、レーザー光の出力径、シャッター速度の値の制御は行われない。
【0057】
続いて、
図12の画像データg2−1に対して、対象物20との距離がさらに近い場合における具体例を、第3の具体例として示す。
【0058】
[第3の具体例]
図13は、第3の具体例における画像データg3−1、及び、行方向グラフRG3−1、列方向グラフCG3−1を示す図である。
図13の画像データg3−1において、黒丸はスポット光S1〜S6であり、白丸は、前回の画像データg2−1(
図12)におけるスポット光を示す。
図13の画像データg3−1は、
図12の画像データg2−1に対して、対象物との距離がさらに近い場合における画像データを示す。対象物との距離がさらに近づいたことにより、画像データg3−1において、隣接画素もスポット光に対応する画素であると検知される。このため、画像データg3−1におけるスポット光は、
図12の画像データg2−1に対してサイズが拡大している。
【0059】
図13の画像データg3−1において、3つのスポット光(S1〜S3/S4〜S6)が、3行〜5行、10行〜12行の各行それぞれに、2画素ずつかかっている。このため、画像データg3−1に基づく行方向グラフRG3−1は、3〜5行、10〜12行の各行に対応して値6、その他の行に対応して値0を有する。また、画像データg3−1において、2つのスポット光(S1、S4/S2、S5/S3、S6)が、4列〜5列、14列〜15列、24列〜25列の各列それぞれに、2画素ずつかかっている。このため、画像データg3−1に基づく列方向グラフCG3−1は、4列〜5列、14列〜15列、24列〜25列の各列に対応して値6、その他の列に対応して値0を有する。
【0060】
図13の行方向グラフRG3−1において、3〜5行、10〜12行が値6であって、3つのスポット光に対応することから、各スポット光はサイズ3×3程度であることが想定される。この例において、前回の画像データg2−1におけるスポット光のサイズに基づく基準サイズは、サイズ2×2である。このため、スポット光S1〜S6のサイズは基準サイズを超えており、異常である旨、判定される。なお、
図13の列方向グラフCG3−1において、値0より大きい値を有する4列〜5列、14列〜15列、24列〜25列は、スポット光に対応する基準距離測定処理範囲に含まれる。即ち、列方向グラフCG3−1に基づいて、画像データg3−1におけるスポット光が、基準距離測定処理範囲を超えて近距離を示す位置にない。ただし、スポット光のサイズが基準サイズを超えることから、レーザー光の出力径、または、シャッター速度の制御が行われる。例えば、シャッター速度が最速に達していない場合、一段階早い速度(例えば、1/30秒→1/60秒)に制御される。
【0061】
図14は、第3の具体例において、
図13の画像データg3−1に基づいて、シャッター速度の制御が行われた場合における画像データg3−2、行方向グラフRG3−2及び列方向グラフCG3−2を示す図である。
【0062】
図14の画像データg3−2に基づく行方向グラフRG3−2は、4行、11行に対応して値6、その他の行に対応して値0を有する。また、画像データg3−2に基づく列方向グラフCG3−2は、4列〜5列、14列〜15列、24列〜25列に対応して値2、その他の列に対応して値0を有する。行方向グラフRG3−2において、4行、11行の前後行が値0であることから、
図14の画像データg3−2におけるスポット光は、サイズ1×1であることが想定可能になる。これは、シャッター速度の制御が行われたことにより、画像データg3−2におけるスポット光のサイズが抑えられたことを示す。また、列方向グラフCG3−2において、値0より大きい値を有する4列〜5列、14列〜15列、24列〜25列はそれぞれ、対応するスポット光の基準距離測定処理範囲に含まれる。即ち、列方向グラフCG3−2に基づいて、画像データg3−2におけるスポット光が、基準距離測定処理範囲を超えて近距離を示す位置にない。このため、
図14の画像データg3−2に基づいて、レーザー光の出力径、シャッター速度の制御は行われない。
【0063】
このように、画像データg3−2に基づくレーザー光の出力径、シャッター速度の制御によって、画像データg3−2におけるスポット光のサイズの拡大が回避される。これにより、対象物との距離が近く、画像データg3−2におけるスポット光同士の間隔が狭い場合であっても、距離測定装置100は、スポット光のサイズを小さく抑えることにより、スポット光同士の間隔を広げることを可能にする。これにより、距離測定装置100は、画像データg3−2におけるスポット光の移動許容量を広くすることができ、距離測定範囲を広くすることができる。
【0064】
続いて、
図14の画像データg3−2に対して、対象物との距離がさらに近い場合における具体例を、第4の具体例として示す。
【0065】
[第4の具体例]
図15は、第4の具体例における画像データg4−1、及び、行方向グラフRG4−1、列方向グラフCG4−1を示す図である。
図15の画像データg4−1において、黒丸はスポット光S1〜S6であり、白丸は、前回の画像データg3−2(
図14)におけるスポット光S1〜S6を示す。
図15の画像データg4−1は、
図15の画像データg3−2に対して、対象物との距離がさらに近い場合における画像データを示す。このため、画像データg4−1におけるスポット光は、
図14の画像データg3−2に対して、さらに左方向に位置すると共にサイズが拡大している。
【0066】
図15の画像データg4−1において、3つのスポット光(S1〜S3/S4〜S6)が、3行〜5行、10行〜12行の各行それぞれに、3画素ずつかかっている。このため、画像データg4−1に基づく行方向グラフRG4−1は、3〜5行、10〜12行に対応して値9、その他の行に対応して値0を有する。また、画像データg4−1において、2つのスポット光(S1、S4/S2、S5/S3、S6)が、1列〜3列、11列〜13列、21列〜23列それぞれに、3画素ずつかかっている。このため、画像データg4−1に基づく列方向グラフCG4−1は、1列〜3列、11列〜13列、21列〜23列に対応して値6、その他の列に対応して値0を有する。
【0067】
図15の行方向グラフRG4−1において、3〜5行、10〜12行が値9であって、3つのスポット光(S1〜S3/S4〜S6)に対応することから、各スポット光はサイズ3×3程度であることが想定可能にある。この例において、前回の画像データg3−2(
図14)におけるスポット光のサイズ1×1に基づく基準サイズは、サイズ2×2である。このため、スポット光S1〜S6のサイズは基準サイズを超えており、異常である旨、判定される。また、
図15の列方向グラフCG4−1において、値0より大きい値を有する1列〜3列、11列〜13列、21列〜23列はそれぞれ、スポット光に対応する基準距離測定処理範囲を超えて近距離を示す位置にある。即ち、列方向グラフCG4−1に基づいて、画像データg4−1におけるスポット光S1〜S6の位置が異常である旨が判定される。このため、スポット光のサイズの拡大を抑えるため、及び、レーザー光の光量を抑えるために、レーザー光の出力径、シャッター速度の制御が行われる。例えば、シャッター速度が最速に達していない場合、さらに、一段階早い速度(例えば、1/60秒→1/125秒)に制御される。
【0068】
図16は、第4の具体例において、
図15の画像データg4−1に基づいてシャッター速度の制御が行われた場合の画像データg4−2、行方向グラフRG4−2及び列方向グラフCG4−2を示す図である。
【0069】
図16の画像データg4−2に基づく行方向グラフRG4−2は、4行、11行に対応して値3、その他の行に対応して値0を有する。また、画像データg4−2に基づく列方向グラフCG4−2は、2列、12列、22列に対応して値2、その他の列に対応して値0を有する。行方向グラフRG4−2において、4行、11行の前後行が値0であることから、
図16の画像データg4−2におけるスポット光は、サイズ1×1であることが想定可能になる。これは、シャッター速度の制御が行われたことにより、スポット光のサイズが縮小されたことを示す。また、列方向グラフCG4−2において、値0より大きい値を有する2列、12列、22列はそれぞれ、基準距離測定処理範囲を超えて近距離を示す位置にある。このため、異常と判定され、レーザー光の光量をさらに抑えるために、レーザー光の出力径、シャッター速度の制御が行われる。
【0070】
このとき、例えば、シャッター速度が最速に達していない場合、さらに、一段階早い速度(例えば、1/125秒→1/500秒)に制御される。例えば、シャッター速度が最速(1/1000)に達している場合は、レーザー光の出力径が一段階小さい値(例えば、3mm→1.5mm)に制御される。
【0071】
このように、画像データg4−2に基づくレーザー光の出力径、シャッター速度の両方、または、いずれか一方の制御によって、画像データg4−2におけるスポット光のサイズが抑えられると共に、レーザー光の光量が抑えられる。これにより、距離測定装置100は、画像データg4−2におけるスポット光の移動許容量を大きくすることができ、距離測定範囲を広くすることができる。また、距離測定装置100は、レーザー光の光量を抑えることにより、対象物が人物等であるような場合におけるレーザー光の有害度を抑え、距離測定範囲を実質的に広くすることができる。
【0072】
続いて、画像データにおけるスポット光のサイズ、及び、位置が一様ではない場合における具体例を、第5の具体例として示す。
【0073】
[第5の具体例]
図17は、第5の具体例における画像データg5−1、及び、行方向グラフRG5−1、列方向グラフCG5−1を示す図である。
図17の画像データg5−1において、黒丸はスポット光S1〜S6であり、白丸は、対象物が基準距離に位置する場合の画像データg1−1(
図10/具体例1)におけるスポット光を示す。
図17の画像データg5−1は、スポット光のサイズ、及び、位置が一様ではない。例えば、画像データg5−1は、対象物の形状が平らではない場合やレーザー光が複数の対象物に照射される場合等における画像データg5−1を示す。
【0074】
図17の画像データg5−1に基づく行方向グラフRG5−1は、3行、5行に対応して値6、4行に対応して値7を、10行、12行に対応して値5、11行に対応して値6を有する。そして、画像データg5−1に基づく列方向グラフCG5−1は、5列、6列に対応して値3、7列に対応して値4を、13列、16列に対応して値3、14列、15列に対応して値6、25列、26列に対応して値3、27列に対応して値1を有する。
【0075】
行方向グラフRG5−1に基づくと、4行、11行が値9を超えておらず、3〜5行、10〜12行の周辺行が値0であることから、スポット光の最大サイズはサイズ3×3程度であることが想定可能になる。例えば、基準サイズがサイズ2×2である場合、異常である旨、判定される。また、列方向グラフCG5−1において、値0より大きい値を有する各列はそれぞれ、スポット光に対応する基準距離測定処理範囲を超えて近距離を示す位置にないことから、正常である旨、判定される。ただし、スポット光S1〜S6の最大サイズが基準サイズを超えることから、レーザー光の出力径、シャッター速度の制御が行われる。同様にして、シャッター速度、レーザー光のいずれかの値が小さい値に制御される。なお、両方の値が小さい値に制御されてもよい。
【0076】
図18は、第5の具体例において、
図17の画像データg5−1に基づいて、レーザー光の出力径、または、シャッター速度の制御が行われた場合の画像データg5−2、行方向グラフRG5−2及び列方向グラフCG5−2を示す図である。
【0077】
図18の画像データg5−2に基づく行方向グラフRG5−2は、3行、5行に対応して値4、4行に対応して値5、10行、12行に対応して値4、11行に対応して値5を有する。行方向グラフRG5−2において、行方向に3つのスポット光S1〜S3が位置することから、スポット光S1〜S3のうち、最大のスポット光は、サイズ2×2であることが想定される。また、行方向グラフRG5−2において、行方向に3つのスポット光S4〜S6が位置することから、スポット光S4〜S6のうち、最大のスポット光はサイズ2×2であることが想定される。これは、レーザー光の出力径、または、シャッター速度の制御が行われたことにより、前回の画像データg5−1におけるスポット光のサイズが抑えられたことを示す。また、列方向グラフCG5−2において、値0より大きい値を有する各列はそれぞれ、スポット光に対応する基準距離測定処理範囲を超えて近距離を示す位置にないことから、正常である旨、判定される。
【0078】
このように、画像データg5−2におけるスポット光のサイズ、位置が一様ではない場合であっても、行方向グラフRG5−2、列方向グラフCG5−2に基づいて、スポット光のサイズが想定可能になる。これにより、スポット光のサイズが基準サイズを超える場合に、距離測定装置100は、レーザー光の出力径、シャッター速度の両方、または、いずれか一方を制御することによって、スポット光のサイズを抑えることができる。これにより、距離測定装置100は、対象物との距離が近い場合であっても、画像データにおけるスポット光の移動許容量を大きくすることができ、距離測定範囲を広くすることができる。
【0079】
以上のようにして、本実施の形態例における距離測定装置100は、画像データにおける複数のスポット光の位置に基づいて対象物との距離を取得する距離測定手段(距離測定処理部31)と、制御手段(制御処理部32)とを有する。制御手段は、画像データに基づいて、スポット光のサイズが基準サイズより大きい場合に、レーザー装置のレーザー光の出力径を小さくする第1の制御と、画像データを生成した撮像装置14のシャッター速度を速くする第2の制御のいずれか一方または両方を行う。
【0080】
このように、本実施の形態例における距離測定装置100は、画像データに基づいてスポット光のサイズを検知し、撮像装置のシャッター速度、または、レーザー光の出力径の制御を行うことにより、スポット光のサイズを抑える。これにより、距離測定装置100は、対象物がレーザー部10の近傍に位置する場合においても、画像データにおけるスポット光の間隔を広くすることができ、距離測定範囲を広くすることができる。距離測定範囲が広くなることにより、画像データにおけるスポット光同士の融合や重なりが抑えられ、対象物の距離が測定できなくなることが回避される。このように、距離測定装置100は、画像データに基づいて撮像装置のシャッター速度、または、レーザー光の出力径の制御を行うことにより、距離測定範囲を広くし、対象物との距離が測定できなくなることを事前に回避する。この結果、対象物の近傍において、より広範囲の距離に位置する対象物との距離を計測可能になり、画像処理における有用性が高くなる。
【0081】
また、本実施の形態例における距離測定装置100において、制御手段は、画像データを二値化して二値化データを生成し、対象物との距離の変動によってスポット光の位置が移動する第1の方向について二値化データの各画素の値を総計した第1方向データを生成する。そして制御手段は、第1方向データに基づいて、スポット光のサイズが基準サイズ以内であるか否か判定する。
【0082】
これにより、本実施の形態例における距離測定装置100は、画像データの二値化データにおける、対象物との距離に対応してスポット光の中心位置が変動しない方向(この例では、列方向)と直行する方向(この例では、行方向)の画素の総計値を示すグラフに基づくことにより、スポット光の最大サイズを簡易に想定可能になる。このため、距離測定装置100は、スポット光の最大サイズが基準サイズ以内であるか否かを容易に判定可能になり、低コストで、効率的に距離測定範囲を広くすることができる。
【0083】
さらに、本実施の形態例における距離測定装置100において、制御手段は、さらに、第1の方向と直行する第2の方向について二値化データの各画素の値を総計した第2方向データを生成する。そして、制御手段は、第2方向データに基づいて想定されるスポット光の位置に基づいて、スポット光のサイズが基準サイズ以内であるか否か判定する。
【0084】
これにより、本実施の形態例における距離測定装置100は、画像データの二値化データにおける、対象物との距離に対応してスポット光の中心位置が変動する方向(この例では、行方向)と直行する方向(この例では、列方向)の画素の総計値を検知可能なグラフに基づくことにより、スポット光の位置、及び、位置の変動を簡易に想定可能になる。このため、距離測定装置100は、さらに、想定されるスポット光の位置に基づくことにより、より効果的に、スポット光のサイズが基準サイズ以内であるか否かを判定可能になる。これにより、距離測定装置100は、効率的に距離測定範囲を広くすることができる。
【0085】
また、本実施の形態例における距離測定装置100において、基準サイズは、前回距離を取得した画像データのスポット光のサイズを基準度合い大きくしたサイズである。これにより、距離測定装置100は、スポット光のサイズの拡大を簡易に判定可能になり、スポット光のサイズの拡大を回避することができる。
【0086】
また、本実施の形態例における距離測定装置100において、制御手段は、画像データに基づいて、スポット光が、対象物との距離の変動によって位置が移動する第1の方向における基準距離測定処理範囲を超えて近距離を示す位置にある場合に、第1、2の制御のいずれか一方または両方を行う。このように、距離測定装置100は、画像データにおけるスポット光のサイズが拡大する場合だけでなく、対象物との距離が近づいたことにより、レーザー光の光量が大きくなった場合についても、シャッター速度、レーザー光の出力光径を調整することにより、レーザー光の光量を抑える。これにより、対象物が人物等である場合に、レーザー光の有害性を抑えることができる。これにより、対象物の近傍において、実質的により広範囲の距離に位置する対象物との距離が計測可能になり、距離測定範囲が広くなる。
【0087】
そして、本実施の形態例における距離測定装置100において、制御手段は、さらに、第1の方向と直行する第2の方向について二値化データの各画素の値を総計した第2方向データを生成する。そして、制御手段は、第2方向データに基づいて、スポット光の第1の方向における位置が、基準距離測定処理範囲を超えた近距離を示す位置にあるか否か判定する。
【0088】
これにより、本実施の形態例における距離測定装置100は、画像データの二値化データにおける、対象物との距離に対応してスポット光の中心位置が変動する方向(この例では、行方向)と直行する方向(この例では、列方向)の画素の総計値を検知可能なグラフに基づくことにより、スポット光の位置、及び、位置の変動を簡易に判定可能になる。このため、距離測定装置100は、対象物との距離が近すぎてレーザー光の光量が大きいか否かを簡易に判定可能になり、実質的に距離測定範囲を広くすることができる。
【0089】
また、本実施の形態例における距離測定装置100において、基準距離測定処理範囲は、隣接するスポット光の基準距離測定処理範囲と重複しない範囲である。これにより、距離測定装置は、画像データにおけるスポット光が隣接するスポット光と融合し、スポット光の移動量を測定できないことにより、対象物との距離が測的できないことを回避することができる。
【0090】
なお、本実施の形態例では、行方向グラフ、列方向グラフを生成する場合を例示したが、この例に限定されるものではない。第1方向データ、第2方向データは、必ずしも、グラフ化される必要はない。第1方向データ、第2方向データは、数値の集合を示す。
【0091】
なお、本実施の形態例における距離測定処理は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体にプログラムとして記憶され、当該プログラムをコンピュータが読み出して実行することによって行われてもよい。
【0092】
以上の実施の形態をまとめると、次の付記のとおりである。
【0093】
(付記1)
レーザー装置から格子状の複数のスポット光を対象物に出力し前記複数のスポット光の画像データに基づいて前記対象物との距離を測定する距離測定装置であって、
前記画像データにおける前記複数のスポット光の位置に基づいて前記対象物との距離を取得する距離測定手段と、
前記画像データに基づいて、前記スポット光のサイズが基準サイズより大きい場合に、前記レーザー装置のレーザー光の出力径を小さくする第1の制御と、前記画像データを生成する撮像装置のシャッター速度を速くする第2の制御のいずれか一方または両方を行う制御手段と、を有する距離測定装置。
【0094】
(付記2)
付記1において、
前記制御手段は、前記画像データを二値化して二値化データを生成し、前記対象物との距離の変動によって前記スポット光の位置が移動する第1の方向について前記二値化データの各画素の値を総計した第1方向データを生成し、
前記第1方向データに基づいて、前記スポット光のサイズが基準サイズ以内であるか否か判定する距離測定装置。
【0095】
(付記3)
付記2において、
前記制御手段は、さらに、前記第1の方向と直行する第2の方向について前記二値化データの各画素の値を総計した第2方向データを生成し、
前記第2方向データに基づいて想定される前記スポット光の位置に基づいて、前記スポット光のサイズが基準サイズ以内であるか否か判定する距離測定装置。
【0096】
(付記4)
付記1乃至3のいずれかにおいて、
前記基準サイズは、前回距離を取得した前記画像データの前記スポット光のサイズを基準度合い大きくしたサイズである距離測定装置。
【0097】
(付記5)
付記1乃至4のいずれかにおいて、
前記制御手段は、前記画像データに基づいて、前記スポット光が、前記対象物との距離の変動によって位置が移動する第1の方向における基準距離測定処理範囲を超えて近距離を示す位置にある場合に、前記第1、2の制御のいずれか一方または両方を行う距離測定装置。
【0098】
(付記6)
付記5において、
前記制御手段は、さらに、前記第1の方向と直行する第2の方向について前記二値化データの各画素の値を総計した第2方向データを生成し、
前記第2方向データに基づいて、前記スポット光の前記第1の方向における位置が、前記基準距離測定処理範囲を超えた近距離を示す位置にあるか否か判定する距離測定装置。
【0099】
(付記7)
付記5または6において、
前記基準距離測定処理範囲は、隣接する前記スポット光の基準距離測定処理範囲と重複しない範囲である距離測定装置。
【0100】
(付記8)
レーザー装置から格子状の複数のスポット光を対象物に出力し前記複数のスポット光の画像データに基づいて前記対象物との距離を測定する距離測定方法であって、
前記画像データにおける前記複数のスポット光の位置に基づいて前記対象物との距離を取得する距離測定工程と、
前記画像データに基づいて、前記スポット光のサイズが基準サイズより大きい場合に、前記レーザー装置のレーザー光の出力径を小さくする第1の制御と、前記画像データを生成する撮像装置のシャッター速度を速くする第2の制御のいずれか一方または両方を行う制御工程と、を有する距離測定方法。