特許第6119237号(P6119237)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6119237
(24)【登録日】2017年4月7日
(45)【発行日】2017年4月26日
(54)【発明の名称】表示装置及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   G09F 9/00 20060101AFI20170417BHJP
   B29C 39/10 20060101ALI20170417BHJP
   G02F 1/13357 20060101ALI20170417BHJP
【FI】
   G09F9/00 350Z
   G09F9/00 338
   B29C39/10
   G02F1/13357
【請求項の数】7
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2012-278454(P2012-278454)
(22)【出願日】2012年12月20日
(65)【公開番号】特開2014-122979(P2014-122979A)
(43)【公開日】2014年7月3日
【審査請求日】2015年10月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】000231512
【氏名又は名称】日本精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(72)【発明者】
【氏名】金子 博明
【審査官】 小野 博之
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭58−115781(JP,U)
【文献】 特開2012−247787(JP,A)
【文献】 特開2000−258766(JP,A)
【文献】 特開2011−248113(JP,A)
【文献】 特開2011−081418(JP,A)
【文献】 特開平01−142532(JP,A)
【文献】 特開2013−254144(JP,A)
【文献】 特開2007−171385(JP,A)
【文献】 特開2009−192794(JP,A)
【文献】 特開平10−293314(JP,A)
【文献】 特開2011−216042(JP,A)
【文献】 国際公開第2007/086159(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09F 9/00−46
G02F 1/13−1/13363
1/1339−1/141
H01L 21/336
27/32
29/786
51/50
H05B 33/00−33/28
B29C 39/00−39/24
39/38−39/44
43/00−43/34
43/44−43/48
43/52−43/58
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像を表示する表示部と、
前記表示部の表示側に位置する透明体と、
前記表示部と前記透明体の間に位置する光硬化性樹脂と、
前記表示部の表示側とは反対側から前記表示部に向けて照射された光を導光して、前記表示部の側面側から前記表示部と前記透明体の間に向けて出射する導光体と、を備え
前記透明体には、表示側から見て、前記表示部が画像を表示する領域を囲む遮光部が設けられており、
前記導光体は、導光した光を前記表示部と前記遮光部の間に向けて出射する、
ことを特徴とする表示装置。
【請求項2】
前記導光体は、前記表示部の前記表示側とは反対側に位置する底部と、前記底部から前記透明体に向かって立つ立設部と、を有し、
前記導光体に導光された光は、前記立設部から出射され、前記表示部と前記透明体の間に入射する、
ことを特徴とする請求項に記載の表示装置。
【請求項3】
前記立設部には、前記表示部の表示側とは反対側から照射された光を、前記表示部と前記透明体の間に向けて反射させる反射面が設けられている、
ことを特徴とする請求項に記載の表示装置。
【請求項4】
前記立設部には、前記表示部の表示側とは反対側から照射された光を、前記表示部と前記透明体の間に向けて集光する集光部が設けられている、
ことを特徴とする請求項又はに記載の表示装置。
【請求項5】
前記立設部には、前記表示部の表示側とは反対側から照射された光を拡散させて、前記表示部と前記透明体の間に向かわせる光拡散部が設けられている、
ことを特徴とする請求項乃至のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項6】
未硬化状態の光硬化性樹脂を挟んで、表示側に透明体が配置された表示部を用意するステップと、
前記表示部の表示側とは反対側に固定された導光体に、前記表示部の前記反対側から光を照射する光照射ステップと、を備え、
前記導光体は、照射された光を導光して、前記表示部の側面側から前記表示部と前記透明体の間に向けて出射し、
前記導光体から出射された光により、前記光硬化性樹脂を硬化させる、
ことを特徴とする表示装置の製造方法。
【請求項7】
前記透明体には、表示側から見て、前記表示部が画像を表示する領域を囲む遮光部が設けられており、
前記光照射ステップでは、前記表示部の表示側から前記透明体に向けて光を照射し、
前記表示側からの光照射により、前記透明体の透明部分を透過した光で、前記透明部分の前記表示部側に位置する光硬化性樹脂を硬化させ、
前記反対側からの光照射により、前記遮光部の前記表示部側に位置する光硬化性樹脂を硬化させる、
ことを特徴とする請求項に記載の表示装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の表示装置として、例えば特許文献1に開示されるものがある。特許文献1に係る表示装置は、光硬化性樹脂を挟んで、透明体が配置された表示部を用意した後、表示部の透明体側から光を照射すると共に、透明体の側面より光を照射することで光硬化性樹脂を硬化させて製造される。透明体の側面から光を照射する理由は、透明体には、例えば表示部の表示領域を区画する遮光層が設けられるため、表示部の透明体側からの照射だけでは、遮光層の背後に位置する光硬化性樹脂に光が届かず、十分に硬化させることができないためである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−25833号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に係る製造方法では、光硬化性樹脂を十分に硬化させるには、表示部の表示面上からと、各側面方向から光を照射させる必要があり、光の照射方向が多い。そのため、光硬化性樹脂を硬化させる工程が複雑であった。
【0005】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、光硬化性樹脂を硬化させることが容易な構成の表示装置、及び、表示装置の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の第1の観点に係る表示装置は、
画像を表示する表示部と、
前記表示部の表示側に位置する透明体と、
前記表示部と前記透明体の間に位置する光硬化性樹脂と、
前記表示部の表示側とは反対側から前記表示部に向けて照射された光を導光して、前記表示部の側面側から前記表示部と前記透明体の間に向けて出射する導光体と、を備え
前記透明体には、表示側から見て、前記表示部が画像を表示する領域を囲む遮光部が設けられており、
前記導光体は、導光した光を前記表示部と前記遮光部の間に向けて出射する、
ことを特徴とする。
【0007】
上記目的を達成するため、本発明の第2の観点に係る表示装置の製造方法は、
未硬化状態の光硬化性樹脂を挟んで、表示側に透明体が配置された表示部を用意するステップと、
前記表示部の表示側とは反対側に固定された導光体に、前記表示部の前記反対側から光を照射する光照射ステップと、を備え、
前記導光体は、照射された光を導光して、前記表示部の側面側から前記表示部と前記透明体の間に向けて出射し、
前記導光体から出射された光により、前記光硬化性樹脂を硬化させる、
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、光硬化性樹脂を硬化させることが容易である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の第1実施形態に係る表示装置の平面図である。
図2】(a)は、表示装置の図1に示すA−A線断面図である。(b)は、図2(a)に示すB部近傍の拡大図である。
図3】表示装置の製造工程を説明するための図である。
図4】(a)及び(b)は、表示装置の製造工程を説明するための図である。
図5】(a)及び(b)は、表示装置の製造工程を説明するための図である。
図6】(a)は、変形例1に係る導光体を説明するための図である。(b)は、変形例2に係る導光体を説明するための図である。
図7】本発明の第2実施形態に係る表示装置の断面図である。
図8】本発明の第2実施形態に係る表示装置の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の一実施形態に係る表示装置を、図面を参照して説明する。
【0011】
[第1実施形態]
本発明の第1実施形態に係る表示装置100は、図1に示す外観を有し、例えば、車両に搭載される。表示装置100は、速度、エンジン回転数等の車両情報、ナビゲーション情報、音楽情報等を使用者に報知するための画像(以下、報知画像と言う)を表示する。
【0012】
表示装置100は、図2に示すように、透明体1と、表示部2と、ベゼル3と、光硬化性樹脂4と、導光体5と、かしめ部材6と、ホルダ7と、ケース体8と、制御基板9と、を備える。これら各部は、図1に示す筐体Hに収納される。筐体Hには、表示部2の後述する表示面21を視認させる開口部が形成されている。
【0013】
透明体1は、無機ガラス、透明樹脂等からなり、光透過性を有する。透明体1は、例えば、平板状に形成されている。透明体1は、表示部2の表示側に位置し、表示部2が表示している報知画像を透過して視認させる。また、透明体1は、表示部2等の収納部品を水や塵などから保護する。
【0014】
透明体1には、表示側から見て、表示部2が報知画像を表示する領域(表示領域)を囲む遮光部11が設けられている。具体的には、遮光部11は、透明体1の背面(表示部2側の面)に形成されている。遮光部11は、例えば、黒色の印刷層からなり、表示部2の表示領域と非表示領域とを区画する。なお、遮光部11は、前面に形成されていてもよい。また、遮光部11は、前面と背面に形成されていてもよい。
【0015】
表示部2は、表示面21に報知画像を表示する。表示部2は、例えば、フラットパネルディスプレイ(FPD)から構成される。フラットパネルディスプレイとしては、バックライトからの光によって透過表示を行う液晶表示ディスプレイ(例えば、TFT−LCD(Thin Film Transistor -Liquid Crystal Display))、有機EL(ElectroLuminescence)ディスプレイ等を用いることができる。
【0016】
ベゼル3は、表示部2を補強するための部材であり、所定の金属等からなる。ベゼル3は、表示部2の背面と側面とを取り囲むように形成されている。また、ベゼル3は、表示面21の外周部を覆う。ここで、遮光部11は、図2(a)、(b)に示すように、表示側から見て、ベゼル3の表示面21側部分を覆うように形成されている。これにより、ベゼル3は、使用者に視認されない。
【0017】
光硬化性樹脂4は、透明体1と表示部2の表示面21との間を隙間無く埋めている。また、光硬化性樹脂4は、ベゼル3の表示面21側部分の上にも位置する。光硬化性樹脂4は、例えば、紫外線の照射によって硬化する紫外線硬化性樹脂からなる。光硬化性樹脂4としては、公知のものの中から目的に応じて適宜選択することができる。光硬化性樹脂4は、製造工程で光(紫外線)を照射されたことにより、硬化している。製造工程については、後に詳述する。光硬化性樹脂4が透明体1と表示部2の間を埋めていることにより、両者の間に空気層がなくなる。これにより、光の拡散反射が低減され、表示装置100の視認性が向上する。
【0018】
導光体5は、導光性を有する透明な部材である。導光体5は、例えば、PMMA樹脂等のアクリル樹脂からなる。導光体5は、底部51と立設部52を有している。
底部51は、表示部2の表示側とは反対側に位置する。底部51は、例えば、ベゼル3の背面側を一様に覆うように形成されている。
立設部52は、底部51から透明体1側に向かって立つ。立設部52は、例えば、表示部2の側周を囲むように形成されている。立設部52の透明体1側の端部には、図2(b)に示すように反射面52aが形成されている。この反射面52aについては、導光体5の機能と共に、後に詳述する。
【0019】
かしめ部材6は、例えばステンレス板からなり、透明体1とケース体8とを挟んでかしめ固定する。
【0020】
ホルダ7は、所定の樹脂からなり、透明体1とケース体8とによって形成される密閉空間内に位置する。ホルダ7には、導光体5がねじS1によって固定されている。また、導光体5にはベゼル3がねじS2によって固定されている。このような構造により、ホルダ7は、表示部2、ベゼル3、及び導光体5を保持する。なお、上記の固定方法は、ねじS1、S2によらず、接着、溶着等によってもよい。
【0021】
ケース体8は、AES樹脂、アルミニウム等の金属からなる。ケース体8は、使用者側に開口する箱状に形成されている。この開口部分を塞ぐようにして、透明体1が設けられている。ケース体8は、表示部2、ベゼル3、光硬化性樹脂4、導光体5、ホルダ7、及び制御基板9を収納する。
【0022】
制御基板9は、マイクロコントローラ等からなる制御部(図示せず)を実装したプリント回路板である。制御基板9と表示部2とは、図示しないフレキシブル配線板によって電気的に接続されており、制御部の制御によって表示部2は表示動作を行う。制御基板9は、導光体5の背面側に位置する。
【0023】
次に、以上のように構成された表示装置100の製造方法の一例を説明する。
【0024】
(A.光照射前工程)
まず、未硬化状態の光硬化性樹脂4を挟んで、表示側に透明体1が配置された表示部2を用意する。
具体的には、以下の工程からなる。
(A1)ベゼル3が設けられた表示部2を用意し、ベゼル3に導光体5をねじS2で固定する。このようにして、導光体5が固定された表示部2を準備する。
(A2)次に、表示部2の表示面21に、塗布装置(ディスペンサ)を用いて、未硬化の光硬化性樹脂4を塗布する。
(A3)続いて、遮光部11が設けられた透明体1を用意し、表示部2と透明体1との間に光硬化性樹脂4が挟み込まれるように、透明体1を表示部2上に配置する。
なお、透明体1に光硬化性樹脂4を塗布した後に、表示部2を配置してもよい。また、透明体1と表示部2の各々に光硬化性樹脂4を塗布した後に、両者を配置してもよい。
(A4)続いて、光硬化性樹脂4が表示部2の表示面21上で均一に行き渡るように、ロール等を透明体1上で移動させる。なお、塗布工程で塗布された光硬化性樹脂4の量は、このロール工程を経て、光硬化性樹脂4が、ベゼル3の表示面21側の部分の上まで丁度覆うように調整されている。
以上の工程を経て、図3に示すように、ベゼル3に覆われた表示部2に導光体5が固定され、表示部2と透明体1の間に未硬化の光硬化性樹脂4が充填された光照射前部品101を用意する。
【0025】
(B.光照射工程)
続いて、図3に示すように、光照射前部品101に光(紫外線)を照射し、光硬化性樹脂4を硬化させる。
具体的には、表示部2の前面(表示面21側)に配置されたUV(紫外線)ランプ201と、表示部2の背面側に位置するUVランプ202とを用いて、光照射前部品101の前面及び背面側から一度に紫外線を照射する。なお、UVランプ201かUVランプ202のどちらか一方のみを用意し、光照射前部品101の一方の面側から紫外線を照射した後に、光照射前部品101を裏返し、他方の面側から紫外線を照射することで、結果的に、両面側から紫外線が照射されるようにしてもよい。
【0026】
ここで、紫外線を表示部2の前面側から照射しただけだと、図4(a)に示すように、光硬化性樹脂4のうち、表示側から見て遮光部11に覆われている部分41には、紫外線が到達しない。このため、部分41は、十分に硬化しない。しかし、表示部2の背面側からも紫外線の照射を行うと、導光体5の機能により、部分41に効率良く紫外線が到達し、部分41を硬化させることができる。以下、この導光体5の機能について、図4(b)を参照して説明する。
【0027】
図4(b)に示すように、表示部2の背面側から照射された紫外線は、導光体5の底部51に入射する。底部51に入射した紫外線の一部は、立設部52に導光され、透明体1側に向かう。立設部52の先端部には、反射面52aが形成されている。この反射面52aは、図4(b)における下側からの光を、表示部2の側面側から、光硬化性樹脂4に向けて効率良く反射させる面として形成されている。立設部52に導光された紫外線は、反射面52aで反射し、透明体1と表示部2との間に向けて出射される。これにより、前面側からの紫外線の照射のみでは、十分に硬化しなかった部分41にも紫外線が照射され、部分41も硬化する。このようにして、導光体5が導光し、出射した紫外線により、光硬化性樹脂4(特に、部分41)が硬化する。
【0028】
表示部2の前面及び背面側からの紫外線の照射により、光硬化性樹脂4は硬化し、透明体1と表示部2の表示面21とは、光硬化性樹脂4を介して固定される。また、透明体1とベゼル3の一部も、光硬化性樹脂4を介して固定される。このようにして、透明体1と表示部2の間に、光硬化性樹脂4が隙間無く充填される。
【0029】
(C.その他の工程)
(C1)続いて、図5(a)に示すように、光照射後部品102の導光体5に、ホルダ7をねじS1で固定する。
(C2)続いて、制御基板9が配設されたケース体8を用意する。そして、図5(b)に示すように、ホルダ7が固定された光照射後部品102をケース体8に収納し、透明体1とケース体8とを、かしめ部材6でかしめ固定する。なお、かしめ固定する前に、表示部2と制御基板9とを配線する。
これにより、表示装置100は図2(a)に示す状態になり、さらに、これを筐体Hに収納することで、図1に示す表示装置100が製造される。
【0030】
なお、導光体5は、反射面52aを有する形状に限られない。以下に変形の一例を示す。
【0031】
(変形例1)
図6(a)に示すように、導光体5の立設部52における底部51側に、レンズ形状の集光部52bを形成してもよい。この集光部52bは、前述の光照射工程において、表示部2の背面側から照射され、入射した紫外線を、表示部2と透明体1の間に向けて集光する湾曲面を有して形成される。つまり、集光部52bは、照射された紫外線を、遮光部11に覆われている部分41に向けて集光する。
【0032】
(変形例2)
図6(b)に示すように、立設部52の透明体1側端部、及び、部分41側端部に、光拡散部52cを形成してもよい。この光拡散部52cは、表示部2の背面側から照射された紫外線を拡散させて、表示部2と透明体1の間に向かわせる。つまり、光拡散部52cは、照射された紫外線を、拡散させて、遮光部11に覆われている部分41に向かわせる。光拡散部52cは、例えば、シボ加工によって形成される微細な凹凸からなる。シボ加工は、ブラスト処理、研磨処理等の公知の処理によって施される。この場合、前述の光照射工程において、表示部2の背面側から入射し、立設部52によって透明体1方向に導光された紫外線は、光拡散部52cに到達し、拡散される。拡散された紫外線の一部は、遮光部11に覆われている部分41に到達する。
【0033】
導光体5は、以上に説明した反射面52aによる反射機能、集光部52bによる集光機能、光拡散部52cによる拡散機能のうち、複数の機能を併せ持つように形成されてもよい。導光体5を、これらの機能を併せ持つように形成すれば、光照射工程において、表示部2の背面側から照射された紫外線を、より効率良く、遮光部11に覆われている部分41に導くことができる。
【0034】
また、導光体5は、ベゼル3とホルダ7に固定されているため、表示部2を補強する機能も併せ持つ。これにより、例えば、表示装置100が車両(自動二輪等)に搭載され、強い振動が与えられる環境であっても、光硬化性樹脂4が破損すること等を低減することができる。
【0035】
[第2実施形態]
本発明の第2実施形態について図7を参照して説明する。以下、第1実施形態と同様な機能を有する部材については、第1実施形態と同一の符号を用いて説明する。
第2実施形態は、透明体1の形状が第1実施形態とは異なる。透明体1は、例えば、PMMA樹脂等のアクリル樹脂からなる。透明体1の前面(使用者側の面)には、傾斜面1aが形成されている。この傾斜面1aは、前述の光照射工程において、表示部2の前面側から照射され、入射した紫外線を屈折させる。傾斜面1aで屈折した紫外線は、平面視で遮光部11に覆われている部分41の一部に到達する。第2実施形態では、このように、表示部2の前面側から紫外線を照射する場合においても、前記の部分41に紫外線が到達するように構成されている。これにより、表示部2の前面側から紫外線をする際にも、紫外線が部分41に到達するため、表示部2の背面側からの紫外線照射と併せて、部分41を硬化させることができる。
【0036】
[第3実施形態]
本発明の第3実施形態について図8を参照して説明する。
第3実施形態は、透明体1の形状が第1及び第2実施形態とは異なる。また、第3実施形態では、導光体5が表示部2の周囲に設けられていない。
第3実施形態に係る透明体1は、例えば、PMMA樹脂等のアクリル樹脂からなる。表示部2の表示領域と非表示領域とを区画する遮光部11は、図8に示すように、透明体1の前面上に形成されている。透明体1の前面には、第2実施形態と同様の機能を有する第1の傾斜面1bが形成されている。第1の傾斜面1bは、光照射工程において、表示部2の前面側から照射され、入射した紫外線を屈折させる。第1の傾斜面1bで屈折した紫外線は、平面視で遮光部11に覆われている部分41の一部に到達する。また、透明体1の背面には、背面側に向かって突出する突出部12が形成されている。突出部12の図8における下側の面は第2の傾斜面1cとなっている。第2の傾斜面1cは、光照射工程において、表示部2の背面側から照射され、入射した紫外線を屈折させる。第2の傾斜面1cで屈折した紫外線は、平面視で遮光部11に覆われている部分41に到達する。第3実施形態では、このように、第1の傾斜面1bと第2の傾斜面1cを有する透明体1の機能により、部分41に紫外線が効率良く到達するように構成されている。これにより、透明体1とは別体の導光体5を設けなくとも、紫外線を部分41に到達させ、光硬化性樹脂4を十分に硬化させることができる。
【0037】
以上に説明した表示装置100は、画像を表示する表示部2と、表示部2の表示側に位置する透明体1と、表示部2と透明体1の間に位置する光硬化性樹脂4と、表示部2の表示側とは反対側から表示部2に向けて照射された光を導光して、表示部2の側面側から表示部2と透明体1の間に向けて出射する導光体5と、を備える。
以上に説明した表示装置100の製造方法は、未硬化状態の光硬化性樹脂4を挟んで、表示側に透明体1が配置された表示部2を用意する工程と、表示部2の表示側とは反対側に配置された導光体5に、表示部2の前記反対側から光を照射する光照射工程と、を備え、導光体5は、照射された光を導光して、表示部2の側面側から表示部2と透明体1の間に向けて出射し、導光体5から出射された光により、光硬化性樹脂4を硬化させる。
このように、導光体5の機能で、背面側からの光を表示部2と透明体1の間に向けて導くことができるため、表示部2の側面側からの光の照射を省略することが可能である。よって、表示装置100及びその製造方法によれば、光硬化性樹脂4を硬化させることが容易である。
【0038】
また、表示装置100では、透明体1には、表示側から見て、表示部2が画像を表示する領域を囲む遮光部11が設けられており、導光体5は、導光した光を表示部2と遮光部11の間に向けて出射する。また、導光体5は、表示部2の表示側とは反対側に位置する底部51と、底部51から透明体1に向かって立つ立設部52と、を有し、導光体5に導光された光は、立設部52から出射され、表示部2と透明体1の間に入射する。
【0039】
また、立設部52には、表示部2の表示側とは反対側から照射された光を、表示部2と透明体1の間に向けて反射させる反射面52aが設けられている。立設部52には、表示部2の表示側とは反対側から照射された光を、表示部2と透明体1の間に向けて集光する集光部52bが設けられていてもよい。立設部52には、表示部2の表示側とは反対側から照射された光を拡散させて、表示部2と透明体1の間に向かわせる光拡散部52cが設けられていてもよい。
【0040】
また、表示装置100の製造方法では、透明体1には、表示側から見て、表示部2が画像を表示する領域を囲む遮光部11が設けられており、光照射工程では、表示部2の表示側から透明体1に向けて光を照射し、表示側からの光照射により、透明体1の透明部分を透過した光で、透明部分の表示部側に位置する光硬化性樹脂4を硬化させ、表示部2の表示側とは反対側からの光照射により、遮光部11の表示部2側に位置する光硬化性樹脂4(部分41)を硬化させる。
【0041】
なお、本発明は、以上の実施形態、変形例、及び図面によって限定されるものではない。本発明の要旨を変更しない範囲で、適宜、変更(構成要素の削除も含む)を加えることが可能である。
【0042】
例えば、導光体5を製造工程のみで用いるようにし、最終製品の表示装置100には導光体5が設けられていないようにしてもよい。
【0043】
遮光部11は、表示領域を区画する印刷層に限られない。例えば、透明体1が表示部2の表示側に配置されたタッチパネルの透明基材であり、遮光部11は、その透明基材に設けられた配線であってもよい。
【0044】
以上の説明では、本発明の理解を容易にするために、重要でない公知の技術的事項の説明を適宜省略した。
【符号の説明】
【0045】
100 表示装置
1 透明体
11 遮光部
2 表示部
21 表示面
3 ベゼル
4 光硬化性樹脂
5 導光体
51 底部
52 立設部
52a 反射面
52b 集光部
52c 光拡散部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8