特許第6119241号(P6119241)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6119241
(24)【登録日】2017年4月7日
(45)【発行日】2017年4月26日
(54)【発明の名称】車両用灯具
(51)【国際特許分類】
   F21S 8/10 20060101AFI20170417BHJP
   F21S 2/00 20160101ALI20170417BHJP
   F21W 101/10 20060101ALN20170417BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20170417BHJP
【FI】
   F21S8/10 171
   F21S2/00 435
   F21S2/00 436
   F21S2/00 432
   F21W101:10
   F21Y115:10
【請求項の数】4
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2012-284957(P2012-284957)
(22)【出願日】2012年12月27日
(65)【公開番号】特開2014-127413(P2014-127413A)
(43)【公開日】2014年7月7日
【審査請求日】2015年12月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000136
【氏名又は名称】市光工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100144048
【弁理士】
【氏名又は名称】坂本 智弘
(72)【発明者】
【氏名】西畑 孝司
(72)【発明者】
【氏名】松村 源太
(72)【発明者】
【氏名】林 秀幸
【審査官】 當間 庸裕
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−199092(JP,A)
【文献】 特開2011−198536(JP,A)
【文献】 米国特許第06036340(US,A)
【文献】 特開2012−230862(JP,A)
【文献】 特開2011−018619(JP,A)
【文献】 特開2004−288570(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 8/10
F21S 2/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光素子と、前記発光素子からの光を導光させる導光板と、を備える車両用灯具であって、
前記導光板は、前記発光素子からの光を入射させる光入射面と、前記光入射面と垂直な第1方向に沿って延在する光導入部と、
前記光導入部と接続され前記第1方向と垂直な第2方向に向けて湾曲して延在する湾曲部と、
前記第1方向の側から前記導光板を観た場合に、少なくとも前記光入射面と重ならない前記湾曲部の表面に形成された光照射面と、
前記湾曲部の前記光照射面と反対側の面に形成され、前記導光板内の光を前記光照射面に向けて反射させる光反射部と、を備え、
前記光反射部は、前記第1方向と前記第2方向と直交する第3方向に延在され、前記湾曲部の延在方向へ並設される複数のプリズムで構成され
前記光反射部には、前記湾曲部の延在方向に延在され前記第3方向に並設される複数の溝が形成され、
前記複数の各プリズムは、前記溝によって、両脇に側壁を有して構成され、
前記複数の各プリズムは、中央が深く、両脇の側壁に近づくにつれ浅くなる円弧状の凹面が形成され、
前記凹面の曲率は、前記湾曲部の前記光導入部と反対側の端部に至るにつれ小さくなるように形成されていることを特徴とする車両用灯具。
【請求項2】
前記複数の各プリズムは、前記光導入部と反対側の傾斜面の前記第1方向に対する角度が、前記湾曲部の前記光導入部と反対側の端部に至るにつれ小さくなるように設定されていることを特徴とする請求項1に記載の車両用灯具。
【請求項3】
前記導光板は、前記第3方向に延在されて形成され、前記発光素子は前記第3方向に複数並設されていることを特徴とする請求項1に記載の車両用灯具。
【請求項4】
前記湾曲部の前記第1方向側の表面の曲率が、前記光導入部と前記湾曲部との接続部の幅を4倍に延長させた点を中心とする曲率以下の値に設定されていることを特徴とする請求項1に記載の車両用灯具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は車両用灯具に係り、特に、発光素子と導光板とから構成される車両用灯具に関する。
【背景技術】
【0002】
発光素子と導光板とから構成される車両用灯具は、たとえば、下記特許文献1〜3等に開示がなされている。
これら車両用灯具は、いずれも、発光素子からの光を導光板に導き、該光を該導光板内で反射させながら該導光板の一領域に設定される光照射面を通して照射させるように構成されている。
【0003】
そして、発光素子と導光板の光照射面の配置に自由度をもたせるため、該導光板を湾曲させた形状とする場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平7−6610号公報
【特許文献2】特開2009−212088号公報
【特許文献3】特開2010−021001号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この場合、導光板は透光性の材料で構成されているため、該導光板をその光照射面側から観た場合に、発光素子が該導光板を通して目視されてしまう場合がある。
特に、発光素子を導光板の光入射面に沿って複数並設させる場合、これら発光素子が目立ってしまうことになり、これらの発光素子が目視できないようにすることがたとえば意匠の観点から好ましい場合がある。
【0006】
このため、導光板を、その光照射面側から観た場合に該光照射面と発光素子が配置される光入射面とが重ならないような形状とすることにより、発光素子が該導光板を通して目視されるのを回避できるが、該発光素子からの光を該光照射面に効率よく照射させ、該光照射部以外の部分における漏光を減少させることが困難となる場合がある。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、導光板をその光照射面側から観た場合に、発光素子が目視できないようにするとともに、発光素子からの光を効率よく導光板の光照射面へ照射させ、該光照射面以外の部分に生じる漏光を減少できるようにした車両用灯具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
このような目的を達成するため、本発明は、まず、導光板を湾曲させた形状とし、その湾曲方向の一端部に光入射面を有する光導入部を形成し、他端部における湾曲面に光照射部を形成することによって、該導光板を光照射部側から観た場合、少なくとも該光照射部が前記光入射面と重ならないように構成したものである。
【0009】
そして、湾曲された導光板の該光照射面と反対側の面に光反射部を形成し、この光反射部を、導光板の湾曲方向へ並設される複数のプリズムで構成するとともに、該複数の各プリズムにおいて、該光導入部と反対側の傾斜面の角度(前記光入射面の垂直方向に対する角度)を、該光導入部と反対側の端部に至るにつれ小さくするようにしたものである。
【0010】
本発明は、以下の構成によって把握される。
(1)本発明の車両用灯具は、発光素子と、前記発光素子からの光を導光させる導光板と、を備える車両用灯具であって、前記導光板は、前記発光素子からの光を入射させる光入射面と、前記光入射面と垂直な第1方向に沿って延在する光導入部と、前記光導入部と接続され前記第1方向と垂直な第2方向に向けて湾曲して延在する湾曲部と、前記第1方向の側から前記導光板を観た場合に、少なくとも前記光入射面と重ならない前記湾曲部の表面に形成された光照射面と、前記湾曲部の前記光照射面と反対側の面に形成され、前記導光板内の光を前記光照射面に向けて反射させる光反射部と、を備え、前記光反射部は、前記第1方向と前記第2方向と直交する第3方向に延在され、前記湾曲部の延在方向へ並設される複数のプリズムで構成されることを特徴とする。
(2)本発明の車両用灯具は、(1)の構成において、前記複数の各プリズムは、前記光導入部と反対側の傾斜面の前記第1方向に対する角度が、前記湾曲部の前記光導入部と反対側の端部に至るにつれ小さくなるように設定されていることを特徴とする。
(3)本発明の車両用灯具は、(1)の構成において、前記導光板は、前記第3方向に延在されて形成され、前記発光素子は前記第3方向に複数並設された形成されていることを特徴とする。
(4)本発明の車両用灯具は、(1)、(2)、(3)のいずれかの構成において、前記光反射部には、前記湾曲部の延在方向に延在され前記第3方向に並設される複数の溝が形成され、前記複数の各プリズムは、前記溝によって、両脇に側壁を有して構成されていることを特徴とする。
(5)本発明の車両用灯具は、(4)の構成において、前記複数の各プリズムは、中央が深く、両脇の側壁に近づくにつれ浅くなる円弧状の凹面が形成され、前記凹面の曲率は、前記湾曲部の前記光導入部と反対側の端部に至るにつれ小さくなるように形成されていることを特徴とする。
(6)本発明の車両用灯具は、(1)の構成において、前記湾曲部の前記第1方向側の表面の曲率が、前記光導入部と前記湾曲部との接続部の幅を4倍に延長させた点を中心とする曲率以の値に設定されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
このように構成された車両用灯具は、導光板をその光照射面側から観た場合に、発光素子が目視できないようにするとともに、発光素子からの光を効率よく導光板の光照射面へ照射させ、該光照射面以外の部分に生じる漏光を減少できるようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の車両用灯具の構成を示す構成図である。
図2】本発明の車両用灯具を備えたヘッドランプを示す構成図である。
図3】本発明の車両灯具に形成される光反射部が複数の山型プリズムで構成されていることを示す断面図である。
図4図3に示す光反射部に溝が形成され、該溝によって形成される凸部の上面に凹面が形成されていることを示す構成図である。
図5】本発明の車両用灯具の光照射面における配光の分布を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、添付図面を参照して、本発明を実施するための形態(以下、実施形態)について詳細に説明する。なお、実施形態の説明の全体を通して同じ要素には同じ番号を付している。
(実施形態1)
図2は、本発明の車両用灯具が具備されるたとえば自動車のヘッドランプ(前照灯)の概略を示した正面図である。該ヘッドランプ10は、複数の車両用灯具が具備されたいわゆるコンビネーション型のランプとなっている。図2に示すヘッドランプ10は、自動車を前方から観た場合にたとえば右側に取り付けられたものを示している。
【0014】
なお、図2中、車両の進行方向を基準として、z方向は車両の高さ(上下)方向、yは車両の水平(左右)方向、xは車両の前後方向に一致づけて示している。
図2において、ランプボディ11があり、このランプボディ11は、前方部が開口されたランプ室12を備えて構成されている。ランプ室12には、たとえば、すれ違いビームランプ13、走行ビームランプ14、およびクリアランスランプ15が配置されている。
【0015】
すれ違いビームランプ13は、たとえば、回転楕円面を有するリフレクタ(図示せず)内に光源(図示せず)が配置され、該リフレクタの前面にレンズ13Aが取り付けられることによって構成され、ランプ室12においてたとえば上段の位置に配置されている。走行ビームランプ14は、たとえば、図中y方向に延在し上下方向(図中z方向)等の断面が放物面として形成されるリフレクタ内に光源14Bが配置されることによって構成され、ランプ室12においてたとえば中段の位置に配置されている。クリアランスランプ15は、ランプ室12の下段の位置に図中y方向に延在する細長の光照射面17Sを具備して構成されている。
クリアランスランプ15は、図2のIa−Ia線における断面図である図1(a)に示すように、発光素子16と、この発光素子16からの光を導光させる導光板17と、を備えて構成されている。
【0016】
なお、導光板17は、該クリアランスランプ15を上方(図中z方向)から観た図1(b)に示すように、水平方向(図中y方向)に延在された板状体として形成され、発光素子16は該方向に沿ってほぼ等間隔に複数(図では4個)並列されて設けられているが、これに限られることはない。
図1(a)に戻り、導光板17は、車両の高さ方向(図中z方向)と平行な面であって発光素子16からの光を入射させる光入射面17Aと、この光入射面17Aと垂直な車両前方向(図中x方向)に沿って延在する光導入部17Bと、この光導入部17Bと接続されたとえば車両下方(図中(−)z方向)に向けて湾曲して延在する湾曲部17Cと、を有している。
【0017】
なお、発光素子16は、その発光面16Aが導光板17の光入射面17Aと平行になるように配置されている。この場合、発光素子16の発光面16Aの中央から該発光面16Aに対して垂直方向に前記導光板17の光導入部17B側へ延在する軸を、以下の説明において、発光素子16の光軸Oと称する場合がある。
ここで、導光板17の断面形状(肉厚)は、光導入部17Bと湾曲部17Cとの接続部Jにおける幅をD、中途部の幅をD’、前記光導入部17Bと反対側の端部P(光導入部17Bの先端部)の幅をD’’とした場合、D’
≧D>D’’の関係を有するようになっている。
【0018】
導光板17は、その湾曲部17Cにおける車両前方向(図中x方向)の表面の曲率が、光導入部17Bと湾曲部17Cと接続部Jのたとえば車両下方(図中(−)z方向)への延長上にあって、該接続部Jにおける幅Dを4倍に延長させた点O’を中心とする曲率ρ(=1/r)以の値をもつようになっている。
そして、車両前方向(図中x方向)側から導光板17を観た場合に、少なくとも光入射面17Aと重ならない導光板17の車両前方向(図中x方向)側の表面に光照射面17Sが形成されている。この光照射面17Sは、たとえば図2に示した光照射面17Sに対応するようになっている。
【0019】
また、導光板17において、該光照射面17Sと対向する裏面、すなわち、導光板17の車両後方(図中(−)x方向)側の面であって、光導入部17Bと湾曲部17Cの接続部Jから前記光導入部17Bと反対側の端部Pにかけた範囲で光反射部17Eが設けられている。この光反射部17Eの構成については後に詳述する。
さらに、導光板17の光導入部17Bの車両前方向(図中x方向)への長さWは、ほぼ次式(1)に示す値となっている。

W ≧ {D/(2×tanθ1)−L } …… (1)

ここで、Lは、導光板17の光入射面17Aと発光素子16の発光面16Aとの間の距離であり、Dは、導光板17の光導入部17Bと湾曲部17Cとの接続部Jの幅であり、θ1は、前記接続部Jの面に対して該接続部Jと交差する導光板17の表面(あるいは裏面)と発光素子16の発光面16Aの中心を結んだ線の角度である。
【0020】
そして、光導入部17Bには、その表裏面において、発光素子16に近づくにつれて狭まるテーパ部αが形成されている。すなわち、光導光部の車両の高さ方向(図中z方向)に交差する一対の対向辺17D’が、湾曲部17Cとの接続部Jから光入射面17Aに至るにしたがい、それらの幅が狭まるようにして形成されている。
前記テーパ部αは、前記光軸Oの方向に対してθ2の角度を有するようになっている。このθ2は5°以上に設定するのが好ましい。
【0021】
このように構成された車両用灯具は、導光板17の光導入部17Bを上述のような構成にすることにより、発光素子16からの光をほぼ平行光(光軸Oに対して平行光)として導光板17内に入射させることができるようになる(図1(a)の光L1参照)。そして、光導入部17Bに入射された平行光は、導光板17の前方表面であって光照射面17S以外の面で反射されるようになる(図1(a)の光L2参照)。この場合、導光板17の湾曲部17Cを上述した曲率で構成することにより、導光板17の前方表面であって光照射面17S以外の面で反射された光は、光反射部17Eに導くことができるようになる。光反射部17Eは、導光板17の前方表面の光照射面17Sと対向した裏面(接続部Jから先端に至る領域の裏面)に形成されていることから、該光反射部17Eで反射された光は該光照射面17Sを通して照射させることができる(図1(a)の光L3参照)。
【0022】
これにより、導光板17をその光照射面17S側(車両の前面)から観た場合に、発光素子16が目視できないようにするとともに、該発光素子16からの光を効率よく前記光照射面17Sへ照射でき、該光照射面17S以外の部分に生じる漏光を減少できるようになる。
図5は、上述した車両用灯具の光照射面17Sにおける配光の分布を示した図である。図5から明らかになるように配光が均一化された分布となっていることが判る。図中、H−Hは水平方向を、V−Vは垂直方向を示している。
【0023】
次に、導光板17に形成された前記光反射部17Eの詳細について説明する。
図3は、図1(a)に示した光反射部17Eのうち点線丸Aの部分を拡大して示した図である。上述したように、光反射部17Eは、湾曲部17Cと光導入部17Bとの接続部Jから該湾曲部17Cの該光導入部17Bと反対側の端部Pへかけて並設される複数の山型形状からなる階段状プリズムPRから構成されている。そして、図3に示すように、階段状プリズムPRは、それぞれ、車両の水平方向(図中y方向)へ延在されて形成されている。
【0024】
これら階段状プリズムPRは、車両の前方向(図中x方向)に対して、発光素子16側(図中上側)の傾斜面17Uの角度がθ4となっており、発光素子16と反対側の傾斜面17Dの角度がθ3となっている。ここで、階段状プリズムPRにおいて、発光素子16側の傾斜面17Uの角度θ4は、湾曲部17Cの光導入部17Bとの接続部Jから該光導入部17Bと反対側の端部Pに至るにしたがって徐々に大きくなるように構成されている。また、発光素子16と反対側の傾斜面17Dの角度θ3は、湾曲部17Cと光導入部17Bとの接続部Jから該光導入部17Bと反対側の端部Pに至るにしたがって徐々に小さくなるように構成されている。なお、この場合、発光素子16側の傾斜面17Uは、発光素子16と反対側の各傾斜面17Dの間を接続させる面として機能させ、光反射部17Eにおける配光に寄与しないようになっている。
【0025】
このように構成された階段状プリズムPRからなる光反射部17Eは、発光素子16から光導入部17Bを通して入射される光(光軸Oにほぼ平行な光)が、導光板17の湾曲部17Cで反射された後に、前記光反射部17Eに入射するようになる。
そして、光反射部17Eを構成する階段状プリズムPRは、その発光素子16と反対側の傾斜面17Dによって、車両前方向(図中x方向)にほぼ平行な光として反射させることができ、該反射光をそのまま導光板17の光照射面17Sを通して車両前方に出射させることができる。
【0026】
上述のように、発光素子16と反対側の傾斜面17Dの角度θ3を、湾曲部17Cの光導入部17Bとの接続部Jから該光導入部17Bと反対側の端部Pに至るにしたがって徐々に小さくなるように構成することによって、階段状プリズムPRの各プリブムの箇所に応じて、発光素子16と反対側の傾斜面17Dに入射させる光を車両前方向(図中x方向)にほぼ平行な光として反射させるようにし、これにより、発光素子16からの光を効率よく光照射面17Sへ照射させ、該光照射面17S以外の部分に生じる漏光を減少させるようにできる。
【0027】
図4(a)は、クリアランスランプ15を光反射部17Eが形成されている面側から観た図である。
また、図4(a)のb−b線における断面図を図4(b)に、c−c線における断面図を図4(c)に、d−d線における断面図を図4(d)に示している。
図4(a)に示すように、導光板17の光反射部17Eに、湾曲部17Cの光導入部17Bとの接続部Jから該光導入部17Bと反対側の端部Pにかけて(図中x方向へ)延在する溝17Fが、該溝17Fの延在方向と直交する方向(図中y方向)に複数並設されて形成されている。これら溝17Fの数はたとえば発光素子16の数よりも多く形成されている。
【0028】
これにより、光反射部17Eを構成する階段状プリズムPR(図示せず)のそれぞれは、前記溝17Fによって、両脇に側壁17Gを有する形状で構成されることになる。このため、階段状プリズムPR内の光は該側壁17Gによって内側に反射させられることになり、導光板17の内部における光拡散を抑制でき、出射効率、伝搬効率を向上させることができる効果を奏する。
また、図4(b)、(c)、(d)から明らかなように、前記溝17Fの形成によって並設して配置される光反射部17Eの各凸部17Hの上面には、その中央が深く、両側の側壁17Gに近づくにつれ浅くなる円弧状の凹面(たとえば図中、R1、R2、R3)が形成されている。この凹面は、その曲率ρ(=1/R)を変化させることによって、導光板17内からの光の該凹面における拡散の程度を制御させることができるようになっている。
【0029】
この実施形態1では、各凸部17Hの上面において、その凹面の曲率ρが、発光素子16から遠ざかるにつれて、小さくなるように形成され、これにより、発光素子16から遠ざかるにつれて光の該凹面における拡散を抑制できるようになっている。
すなわち、発光素子16に近づく箇所において、発光素子16からの光量は多いが拡散の量をも多くさせ、発光素子16から遠のく箇所において、発光素子16からの光量は少なくなるが拡散の量を抑制させることにより、光反射部17Eにおいて、発光素子16からの距離に影響されることなく、反射光の光量の均一化を図るようになっている。
これにより、導光板17における光照射面17Sにおいて、光の照度の均一化を図ることができる。
【0030】
(実施形態2)
上述したたとえばクリアランスランプからなる車両用灯具は、その導光板17の湾曲部17Cが、車両の下側に向けて湾曲されるように配置したものである。しかし、これに限定されることはなく、該車両用灯具は、その導光板17の湾曲部17Cが、車両の上側、あるいは車両の左右のいずれかに向けて配置させるようにしてもよいことはいうまでもない。
(実施形態3)
上述した車両用灯具は、たとえばクリアランスランプとして用いたものである。しかし、これに限定されることはなく、他の機能を有するランプとして用いてもよいことはもちろんである。
【0031】
以上、実施形態を用いて本発明を説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されないことは言うまでもない。上記実施形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。また、その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【符号の説明】
【0032】
10……ヘッドランプ、11……ランプボディ、12……ランプ室、13……すれ違いランプ、13A……レンズ、14……走行ビームランプ、14B……光源、15……クリアランスランプ、16……発光素子、16A……発光面、17……導光板、17A……光入射面、17B……光導入部、17C……湾曲部、17E……光反射部、17D’……一対の対向辺、17U……傾斜面(発光素子側)、17D……傾斜面(発光素子と反対側)17F……溝、17G……側壁、17H……凸部、17S……光照射面、α……テーパ部、J……光導入部と湾曲部の接続部、P……導光板の光導入部と反対側の端部、PR……階段状プリズム。
図1
図2
図3
図4
図5