(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1〜3に開示されている発明によれば、電流遮断機構を備えているので安全性が高く、信頼性の高い角形二次電池が得られる。しかしながら、振動・落下等により電池に衝撃が加わった場合、電流遮断機構を構成する部品間の接続部等が損傷する虞がある。
【0006】
本発明は、上述した従来技術の問題点を解決するものであり、電極体と端子部材の間に電流遮断機構を備えた角形二次電池において、振動・落下等により電池に衝撃が加わっても電流遮断機構が損傷し難く、信頼性の高い角形二次電池を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様の角形二次電池は、
開口を有する外装体と、
貫通孔を有し、前記外装体の開口を封止する封口体と、
正極板及び負極板を有し、前記外装体内に収容された電極体と、
前記正極板又は前記負極板に電気的に接続された集電体と、
前記集電体に電気的に接続され、前記封口体の貫通孔を貫通する端子部材と、
筒状部を有し、前記集電体及び前記端子部材に電気的に接続された導電部材と、
前記導電部材に接続され、電池内部の圧力が予め定めた所定値よりも大きくなると変形する反転板と、
第1の貫通孔を有し、前記反転板と前記集電体との間に配置された第1絶縁部材と、
を有し、前記反転板の変形に伴い前記電極体と前記端子部材の間の電気的接続が切断される角形二次電池であって、
前記反転板と前記集電体とが前記第1の貫通孔に対応する位置で接続されており、
前記導電部材の筒状部の前記電極体側の端部は前記反転板によって封止されており、
前記第1絶縁部材は固定部を有し、前記固定部は、前記第1絶縁部材の本体部から前記封口体側に伸びる第1領域と、前記第1領域に形成され、前記第1領域から前記導電部材側に突出した第2領域を有し、
前記固定部により前記第1絶縁部材は前記導電部材に固定されており、
前記固定部を上方(前記封口体側)から見たとき、前記第2領域における先端部の幅は、前記第2領域の根本部の幅よりも小さい。
【0008】
本発明の一態様の角形二次電池においては、筒状部を有する導電部材、反転板、第1の絶縁部材、及び集電体により、圧力感応式電流遮断機構を形成している。すなわち、外装体内部の圧力が増大すると反転板が変形し、集電体と反転板との間の接続部、集電体に設けた薄肉部や溝部等の脆弱部、又は反転板に設けた薄肉部や溝部等の脆弱部が破断するため、電極体と端子部材の間の電気的接続が切断される。これにより、信頼性が高い角形二次電池が得られる。なお、電流遮断機構は、正極側及び負極側の少なくとも一方に設けられていればよい。
【0009】
しかも、本発明の一態様の角形二次電池においては、第1絶縁部材と導電部材とが固定されているため、電池に振動・落下等により衝撃が加わっても、集電体と反転板との間の接続部にストレスが掛かり難くなっており、集電体との間の接続部等の破損が抑制される。これにより、角形二次電池に衝撃が加わっても、電流遮断機構が破損し難い、信頼性の高い角形二次電池が得られる。なお、導電部材における、第1絶縁部材の固定部と固定される位置は特に限定されない。導電部材における、第1絶縁部材の固定部と固定される位置は、導電部材の外面側とすることが好ましい。また、導電部材に設けたフランジ部又は凹部に第1絶縁部材の固定部を固定することが更に好ましい。
【0010】
ここで、電池の製造段階において第1絶縁部材を導電部材に固定する際、固定部が損傷
することを防止するため、慎重に第1絶縁部材を導電部材に装着する必要があった。このため、製造に時間が掛かり製造効率の低下に繋がる虞があった。そこで、発明者らが鋭意検討を行ったところ、固定部の形状を改良することにより、この課題を解決できることを見出した。本発明の一態様の角形二次電池においては、固定部の第2領域における先端部の幅を、第2領域の根本部の幅よりも小さくすることにより、製造効率を向上できる。さらに、第1絶縁部材を導電部材に装着する際に固定部に余計な負荷が掛からないため、固定部の耐久性の低下を防止できる。したがって、電池使用時においても電流遮断機構の損傷を防止できる。更に、
固定部を側方から見たとき第2領域における先端部の厚みは、第2領域の根本部の厚みよりも小さいことが好ましい。
【0011】
なお、固定部は少なくとも一つ設けられていればよいが、複数個設けられていることがより好ましい。但し、固定部が複数個設けられている場合、複数個の固定部の全てにおいて、第2領域の先端部の幅が第2領域の根本部の幅よりも小さい必要はない。
【0012】
本発明の一態様の角形二次電池においては、前記第1絶縁部材は、前記集電体に固定されていることが好ましい。これにより、電池に衝撃が加わって電極体が外装体内で移動して集電体が引っ張られるように力が加わっても、集電体と反転板の接続部にストレスがより掛かり難くなり、更に信頼性の高い角形二次電池となる。
【0013】
第1絶縁部材と集電体の固定方法は特に限定されない。特に好ましい構成としては、集電体に設けた開孔又は切り欠き部に、第1絶縁部材の突起部を接続する構成が好ましい。更に好ましくは、第1絶縁部材に設けた突起部を、集電体に設けた開孔又は切り欠き部に挿入し、突起部の先端を加熱ないし押圧して拡径させることにより第1絶縁部材と集電体を接続することが好ましい。他の構成としては、第1絶縁部材に爪部を設け、集電体の端部に爪部を引っ掛けるようにして固定することもできる。また、第1絶縁部材に集電体を
受け入れる集電体受け入れ部を設け、この集電体受け入れ部内に集電体を配置する構成とすることもできる。
【0014】
本発明の一態様の角形二次電池においては、前記封口体と前記導電部材の間には第2絶縁部材が配置され、前記第1絶縁部材と前記第2絶縁部材は固定されていることが好ましい。これにより、電池に衝撃が加わっても集電体と反転板との間の接続部にストレスがより掛かり難くなり、更に信頼性の高い角形二次電池となる。第1絶縁部材と第2絶縁部材の固定方法は特に限定されない。好ましい構成としては、第2絶縁部材に突出部を有する接続部を設け、この突出部を第1絶縁部材の接続部に設けた貫通孔に嵌合する構成が考えられる。また、第1絶縁部材に突出部を有する接続部を設け、この突出部を第2絶縁部材に設けた接続部の貫通孔に嵌合することもできる。なお、本発明の一態様の角形二次電池において、端子部材及び筒状部を有する導電部材が封口体と電気的に接続されている構成とすることもできる。但し、端子部材及び筒状部を有する導電部材は、封口体と電気的に絶縁されていることが好ましい。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に本発明の一実施形態に係る角形二次電池を図面を参照しながら説明する。ただし、以下に示す角形二次電池は、本発明の一実施形態の技術思想を理解するための角形二次電池を例示するものであって、本発明をこの角形二次電池に特定することを意図するものではない。本発明の一実施形態は特許請求の範囲に示した技術思想を逸脱することなく種々の変更を行ったものにも均しく適用し得るものである。
【0017】
[実施形態]
最初に、本実施形態の角形二次電池10を
図1を用いて説明する。本実施形態の角形二次電池10は、正極板と負極板とがセパレータ(何れも図示省略)を介して巻回された偏平状の巻回電極体11を有している。正極板は、アルミニウム箔からなる正極芯体の両面に正極活物質合剤を塗布し、乾燥及び圧延した後、アルミニウム箔が一方の端部に長手方
向に沿って帯状に露出するようにスリットすることにより作製されている。また、負極板は、銅箔からなる負極芯体の両面に負極活物質合剤を塗布し、乾燥及び圧延した後、銅箔が一方の端部に長手方向に沿って帯状に露出するようにスリットすることによって作製されている。
【0018】
そして、上述のようにして得られた正極板及び負極板を、正極板の正極芯体露出部と負極板の負極芯体露出部とがそれぞれ対向する電極と重ならない領域を有するようにずらして、ポリエチレン製微多孔質セパレータを介して巻回することで、巻回軸方向の一方の端には複数枚重なった正極芯体露出部14を備え、他方の端には複数枚重なった負極芯体露出部15を備えた偏平状の巻回電極体11が作製されている。
【0019】
複数枚の正極芯体露出部14は積層されて正極集電体16を介して正極端子部材17に電気的に接続され、同じく複数枚の負極芯体露出部15は積層されて負極集電体18を介して負極端子部材19に電気的に接続されている。また、正極端子部材17、負極外部端子19はそれぞれ絶縁部材20、21を介して封口体13に固定されている。この実施形態の角形二次電池10では、正極板と正極端子部材17の間、あるいは負極板と負極端子部材19の間に感圧式の電流遮断機構が介在されているが、この電流遮断機構の具体的な構成については後述する。
【0020】
実施形態の角形二次電池10は、上述のようにして作製された偏平状の巻回電極体11の封口体13側を除く周囲に絶縁性の樹脂シート23を介在させて角形の電池外装体12内に挿入した後、封口体13を電池外装体12の開口部にレーザ溶接し、その後、電解液注液孔22aから非水電解液を注液し、この電解液注液孔22aを密閉することにより作製されている。なお、封口体13には、電流遮断機構の作動圧よりも高いガス圧が加わったときに開放されるガス排出弁22bが設けられている。
【0021】
なお、偏平状の巻回電極体11は、正極板側では、積層された複数枚の正極芯体露出部14が2分割されて、その間に2個の正極用中間導電部材24が挟まれている。同じく負極板側では、積層された複数枚の負極芯体露出部15が2分割されてその間に2個の負極用中間導電部材25が挟まれている。これらの2個の正極用中間導電部材24及び2個の負極用中間導電部材25はそれぞれ1個の樹脂材料からなる絶縁性中間部材24p、25pに保持されている。
【0022】
そして、正極用中間導電部材24の両側に位置する正極芯体露出部14の最外側の両側の表面にはそれぞれ正極集電体16が配置されており、負極用中間導電部材25の両側に位置する負極芯体露出部15の最外側の両側の表面にはそれぞれ負極集電体18が配置されている。なお、正極用中間導電部材24は正極芯体と同じ材料であるアルミニウム製であり、負極用中間導電部材25は負極芯体と同じ材料である銅製である。これらの正極集電体16と正極芯体露出部14との間及び正極芯体露出部14と正極用中間導電部材24との間は共に抵抗溶接されており、また、負極集電体18と負極芯体露出部15との間及び負極芯体露出部15と負極用中間導電部材25との間は共に抵抗溶接によって接続されている。
【0023】
次に、電流遮断機構について説明するが、この電流遮断機構は、正極側にのみ設けても、負極側にのみ設けても、さらには正極側及び負極側の両方に設けてもよい。以下では正極側にのみ設けるものとして、
図2〜
図9を参照しながら説明する。
【0024】
図1A〜
図1Cに示すように、巻回電極体11の一方の側端面側に配置された複数の正極芯体露出部14には正極集電体16が接続されており、この正極集電体16は正極端子部材17に電気的に接続されている。この正極集電体16は、展開した状態の正面図であ
る
図4A、同じく側面図である
図4Bに示したように、封口体13と平行に配置される第1領域16aと、この第1領域16aから互いに反対方向に延在されており、破線部分(境界部16f)で折り曲げられて正極芯体露出部14に接続される一対の第2領域16bを有している。この正極集電体16は、厚さ0.8mmのアルミニウム板を打ち抜きに
より作製したものを使用している。
【0025】
そして、正極集電体16の第1領域16aには、中央部に接続部形成用孔16cが形成され、この接続部形成用孔16cの中心を通り、封口体13の長辺方向に沿った中心線c上であって、接続部形成用孔16cの両側に第1開孔16g及び第2開孔16hがそれぞれ形成され、この中心線cに垂直な方向の両側には第3開孔16jが2箇所に形成されている。なお、ここでは、第1開孔16g及び第2開孔16hの径は同一とされ、2箇所の第3開孔16jの径は、共に同一であり、第1開孔16g及び第2開孔16hの径よりも小さく設定されている。また、第2領域16bには正極芯体露出部14の根元側と対向する側にリブ16dが形成されている。第1領域16aの接続部形成用孔16cの周囲部分は、環状に他の部分よりも厚さが薄くされた薄肉領域16eとされている。
【0026】
正極端子部材17は、
図2及び
図3に示したように、筒状部17aを備え、内部に貫通孔17bが形成されている。そして、正極端子部材17の筒状部17aは、ガスケット等の第3絶縁部材20a、封口体13及び第2絶縁部材20b及び筒状部32aを有する導電部材32にそれぞれ形成された孔内に挿入され、その先端部17cがカシメられて互いに一体に固定されている。ここで、第2絶縁部材20bは、封口体13と導電部材32の間に配置される。なお、導電部材32は、電極体11側に筒状部32aが形成されており、封口体13側は内径が狭められて正極端子部材17の筒状部17aが挿入される開孔32bを形成している。そして、正極端子部材17の筒状部17aの先端部17cは導電部材32の開孔32bの近傍でカシメられており、正極端子部材17の筒状部17aの先端部17cと導電部材32の接続部はレーザ溶接されている。これにより、正極端子部材17は、第3絶縁部材20a及び第2絶縁部材20bによって封口体13とは電気的に絶縁された状態で、導電部材32と電気的に接続された状態となっている。なお、第3絶縁部材20aと第2絶縁部材20bとを一体物とすることもできる。
【0027】
また、導電部材32の筒状部32aの電極体11側の先端にはフランジ部32cが形成されており、このフランジ部32cの内面側には反転板33の周囲が気密に溶接されて封止されている。反転板33は、周囲から中心側に向かって電極体11側に僅かに突出する形状、すなわち、封口体13とは傾斜した配置関係となる形状とされている。この反転板33は、アルミニウム等の導電性材料で形成されており、電池外装体12内の圧力が高くなると電池の外部側に向かって変形する弁の機能を有するものである。そして、反転板33の中心部には、正極集電体16の第1領域16aが当接され、第1領域16aに形成されている薄肉領域16eの接続部形成用孔16cの内壁部分と反転板33の表面とが複数箇所においてレーザ溶接されている。
【0028】
なお、正極集電体16の第1領域16aと反転板33との間には、第1の貫通孔34aを有する樹脂材料からなる第1絶縁部材34が配置されている。この第1の貫通孔34aと対応する位置において正極集電体16の第1領域16aと反転板33が接続されている。
ここで、正極集電体16と反転板33の接続部の構成としては、第1の貫通孔34aの内部で正極集電体16と反転板33が接続されてもよい。また、反転板33の一部が第1の貫通孔34aを貫通し、第1絶縁部材34よりも電極体11側で反転板33と正極集電体16が接続されてもよい。あるいは、正極集電体16の一部が第1の貫通孔34aを貫通し、第1絶縁部材34よりも封口体13側で反転板33と正極集電体16とが接続されていてもよい。
【0029】
第1絶縁部材34の第1の貫通孔34aの周囲には、正極集電体16の第1領域16aの第1開孔16gに対応する位置に第1突起部34bが、第2開孔16hに対応する位置に第2突起部34cが、第3開孔16jに対応する位置に第3突起部34dが、それぞれ形成されている。
【0030】
第1絶縁部材34の第1〜3突起部34b〜34dをそれぞれ正極集電体16の第1領域16aに形成された第1〜3開孔16g〜16j内に挿入し、第1〜3突起部34b〜34dの先端部を加熱し拡径することにより第1絶縁部材34と正極集電体16の第1領域16aが互いに固定されている。そのため、第1絶縁部材34の第1〜3突起部34b〜34dはそれぞれに形成された拡径部によって正極集電体16の第1領域16aに形成された第1〜3開孔16g〜16jから抜け止めされた状態となり、第1絶縁部材34と正極集電体の第1領域16aとは強固に接続された状態となっている。これらの正極集電体16の第1領域16aに形成された第1〜3開孔16g〜16jと第1絶縁部材34の第1〜3突起部34b〜34dとによって、第1固定部30a〜第3固定部30cが形成されている。なお、第1絶縁部材34と第2絶縁部材20bとを係合により固定することが好ましい。固定方法は特に限定されないが、ここではラッチ固定により第1絶縁部材34と第2絶縁部材20bとを固定している。
【0031】
正極芯体露出部14は、正極集電体16の第2領域16b、正極集電体16の第1領域16a、反転板33及び導電部材32を介して正極外部端子17と電気的に接続されている。また、ここでは、導電部材32の筒状部32a、反転板33、第1絶縁部材34及び正極集電体16の第1領域16aに形成された薄肉領域16eによって本実施形態の電流遮断機構35が形成されている。すなわち、反転板33は、電池外装体12内の圧力が増加すると正極端子部材17の貫通孔17b側に膨れるようになっており、反転板33の中央部には正極集電体16の第1領域16aの薄肉領域16eが溶接されているため、電池外装体12内の圧力が所定値を超えると正極集電体16の第1領域16aが薄肉領域16eの部分で破断するので、反転板33と正極集電体16の第1領域16aとの間の電気的接続が切断されるようになっている。
【0032】
なお、ここでは、第1領域16aの接続部形成用孔16cの周囲部分に環状に他の部分よりも厚さが薄くされた薄肉領域16eを形成した例を示したが、薄肉領域16eに接続部形成用孔16cを囲むように環状の溝を設けることがより好ましい。この溝は、環状に間欠的に形成してもよい。また、第1領域16aの接続部形成用孔16cの周囲部分の厚さを他の部分と同じ厚さとして、環状ないし環状に間欠的に溝を形成することによって薄肉領域16eを形成してもよい。なお、薄肉領域16e及び溝は必須の構成ではなく、薄肉領域16e及び溝を設けずに反転板33と正極集電体16の接続強度を調節し、反転板33が変形した場合に反転板33と正極集電体16の接続が切断されるようにしてもよい。
【0033】
正極端子部材17の貫通孔17bは、電流遮断機構35を構成する反転板33の周囲が導電部材32の筒状部32aに気密に溶接されているか否かの試験に用いられる。また、反転板33と集電体16を接続する際、電池外部側から貫通孔17bを通じて導電部材32の筒状部32aの内部に窒素ガスや空気等の気体を送り込み反転板33を集電体16に押し当てた状態で集電体16と溶接することができる。このような方法で、反転板33と集電体16を溶接すると、溶接接続部を安定的に形成できると共に、電流遮断機構の作動圧をより安定させることができる。
【0034】
なお、電解液の注液時や洗浄時に電解液や洗浄水が貫通孔17b内に侵入することを防ぐため、上記の工程の後封止することが好ましい。そこで、実施形態の角形二次電池10
では、正極端子部材17に形成された貫通孔17bは、ゴム製の端子栓36によって封止されている。この端子栓36は、上端部に頭部36aと、下端部に突出部36bと、係止部36cと、連結部36dと、を備えている。端子栓36の頭部36aの表面には、アルミニウム製の金属板37が設けられている。なお、貫通孔17bを封止する方法としては、金属板を貫通孔17bの周囲に溶接接続するようにしてもよい。
【0035】
次に、実施形態の角形二次電池10に用いる第1絶縁部材34の具体的構成について、
図5〜
図9を用いて説明する。
図5に示すように、第1絶縁部材34には第1の貫通孔34aが形成されており、この第1の貫通孔34aと対応する位置で反転板33と集電体16が接続される。第1絶縁部材34の上面には、
図5A及び
図5Dに示すように、複数、ここでは4つの固定部34fが第1の貫通孔34aを囲むように形成されている。
図6に示すように、この固定部34fが導電性部材32のフランジ部32cの外面側に当接するようにして、第1絶縁部材34が導電性部材32に装着される。また、第1絶縁部材34の上面において第1絶縁部材34の周縁にはリブ34eが形成されている。このリブ34eにより、第1絶縁部材34の変形が抑制される。更に、固定部34fと第1絶縁部材34の周縁のリブ34eの間に、リブ34mが設けられていることが好ましい。
【0036】
第1絶縁部材34の上面において幅方向の両端部には、それぞれ第2絶縁部材20bに固定される接続部34gが形成されている。この接続部34gは、第1絶縁部材34の本体部34kから封口体13側に伸びるように形成され、貫通孔34hを有する。この貫通孔34hに第2絶縁部材20bの接続部に設けられた突出部が嵌合することにより第1絶縁部材34と第2絶縁部材20bが固定される。
【0037】
図5B及び
図5Cに示すように、第1絶縁部材34の下面には、集電体16に形成された第1開孔16g、第2開孔16h、及び第3開孔16jにそれぞれ挿入される第1突起部34b〜第3突起部34dが形成されている。第1突起部34b及び第1突起部34cの先端面には凹部が設けられている。なお、
図5B及び
図5Cは、第1突起部34b〜第3突起部34dの先端部を拡径する前の状態を示している。また、第1絶縁部材34の下面において、第1絶縁部材34の長手方向の両端側には薄肉部34iが形成されている。
【0038】
固定部34fは、
図6に示すように第1絶縁部材34の本体部34kから封口体13側に伸びる第1領域34f1と、この第1領域34f1に形成され、導電部材32側に突出する第2領域34f2とを有している。ここで、第1領域34f1は、第2絶縁部材34の本体部34kに対して垂直方向に伸びるように設けられていることが好ましい。
図7〜10に示すように、この固定部34fが導電性部材32のフランジ部32cの外面側に当接し、引っ掛け固定されるようにして、第1絶縁部材34が導電性部材32に装着される。これにより、第1絶縁部材34と導電性部材32が一体的に固定される。このような構成を備えていると、角形二次電池10に振動・落下等により衝撃が加わっても電流遮断機構35が破損し難くなる。更に、第1絶縁部材34と集電体16が固定されていると、角形二次電池10に衝撃が加わり巻回電極体11が移動するように力が加わっても、集電体16と反転板33の接続部等にストレスが掛かり難くなるため、より信頼性の高い角形二次電池が得られる。
【0039】
また、本実施形態の角形二次電池10では、第2領域34f2の先端部(導電性部材32側)の幅W1が、第2領域34f2の根本部(第1領域34f1との境界部分)の幅W2よりも小さくなっている。このため、第1絶縁部材34を導電部材32に装着する際、固定部34fが損傷することを確実に防止できる。また、第1絶縁部材34を導電部材32に装着する際に固定部34fに余計な負荷が掛からないため、固定部34fの耐久性の低下を防止できるため、電池使用時においても電流遮断機構の損傷を防止できる。
【0040】
更に、第2領域34f2の先端部(導電性部材32側)の厚みT1が、第2領域34f2の根本部(第1領域34f1との境界部分)の厚みT2よりも小さくなっている。ここで、第2領域34f2の上面は、第1絶縁部材34の本体部34kに対して傾斜している。これにより、第1絶縁部材34を導電部材32に装着する際に固定部34fに掛かる負荷をより低減できる。また、第2領域34f2の下面も、第1絶縁部材34の本体部34kに対して傾斜している。ここで、第2領域34f2の上面の第1絶縁部材34の本体部34kに対する傾斜角θ1は、第2領域34f2の下面の第1絶縁部材34の本体部34kに対する傾斜角θ2よりも大きくすることが好ましい。
【0041】
なお、実施形態の角形二次電池10では、第1絶縁部材34に形成されている固定部34fを導電部材32の筒状部32aに形成されたフランジ部32cの外周に引っ掛け固定するようにした例を示した。しかしながら、導電部材32の筒状部32aがフランジ部32cを備えていることは必ずしも必要な構成ではなく、筒状部32aの外周面に凹部を形成し、この凹部に第1絶縁部材34に形成されている固定部34fを引っ掛け固定することもできる。また、導電部材32の筒状部32aの上端部に第1絶縁部材34に形成されている固定部を固定することも考えられる。
【0042】
固定部34fの形状の変形例を
図10に示す。
図10は、固定部34fを上方(封口体側)から見た図である。
図10Aに示すように、第2領域34f2の幅方向の両端を切り欠いたような形状とすることが出来る。
図10Bに示すように、第2領域34f2の先端が尖がった形状とすることが出来る。
図10C及び
図10Dに示すように、第2領域34f2の側面部が湾曲する形状とすることが出来る。
図10Eに示すように、第2領域34f2の幅方向の中央部分を円弧状に切り欠いたような形状とすることが出来る。
図10Fに示すように、第2領域34f2を円弧状とすることが出来る。
図10G及び
図10Hに示すように、第1領域34f1の幅に比べて、第2領域34f2の根本部の幅を小さくすることが出来る。
図10I及び
図10Jに示すように、第1領域34f1に複数の第2領域34f2を設けることも出来る。
【0043】
上記実施形態の角形二次電池10では、導電部材32の筒状部32aと反転板33とを溶接接続する例を示したが、導電部材32の筒状部32aの下端を反転板33の周縁部にカシメ固定することにより、導電部材32の筒状部32aと反転板33を接続することも可能である。
【0044】
上記実施形態の角形二次電池10では、正極集電体16の第2領域16bが第1領域16aに2箇所形成されている例を示した。しかしながら、正極集電体の第2領域を1箇所のみ形成した角形二次電池に対しても適用可能である。
【0045】
上記実施形態の角形二次電池10では、集電体と芯体露出部の接続方法として抵抗溶接を用いた例を示したが、抵抗溶接に限定されず、レーザ溶接あるいは超音波溶接でもよい。
【0046】
角形二次電池としては、非水電解質二次電池に限定されず、アルカリ二次電池にも適用可能である。また、本発明の角形二次電池は車載用に限らず、太陽光発電、風力発電等の出力変動を抑制するための用途や夜間に電力をためて昼間に利用するための系統電力のピークシフト用途等の定置用蓄電池システムに用いることができる。
【符号の説明】
【0047】
10…角形二次電池 11…巻回電極体 12…電池外装体 13…封口体
14…正極芯体露出部 15…負極芯体露出部 16…正極集電体 16a…第1領域
16b…第2領域 16c…接続部形成用孔 16d…リブ 16e…薄肉領域 16
f…境界部 16g…第1開孔 16h…第2開孔 16j…第3開孔
17…正極端子部材 17a…筒状部 17b…貫通孔 17c…先端部 18…負極集電体 19…負極端子部材 20、21…絶縁部材 20a…第3絶縁部材 20b…第2絶縁部材 22a…電解液注液孔 22b…ガス排出弁 23…樹脂シート 24…正極用中間導電部材 24p…絶縁性中間部材 25…負極用中間導電部材 25p…絶縁性中間部材 30a…第1固定部 30b…第2固定部 30c…第3固定部 32…導電部材 32a…筒状部 32b…開孔 32c…フランジ部 33…反転板 34…第1絶縁部材 34a…第1の貫通孔 34b…第1突起部 34c…第2突起部 34d…第3突起部 34e…リブ 34f…固定部 34g…接続部 34h…貫通孔 34i…薄肉部 34k…本体部
35…電流遮断機構 36…端子栓 36a…頭部 36b…突出部
36c…係止部 36d…連結部 37…金属板