(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記測色用画像は、前記表示装置において使用される基準色の少なくとも1つの階調値が最大階調値であり他の基準色の階調値が0を採る第1の測色用画像と、当該基準色の階調値が全て0となる第2の測色用画像と、当該第1の測色用画像および当該第2の測色用画像の間の階調値であって当該第1の測色用画像または当該第2の測色用画像の階調値に近い階調値を採る第3の測色用画像を含むことを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
表示装置において使用される基準色の少なくとも1つの階調値が最大階調値であり他の基準色の階調値が0を採る第1の測色用画像と、当該基準色の階調値が全て0となる第2の測色用画像と、当該第1の測色用画像および当該第2の測色用画像の間の階調値を採る第3の測色用画像を含む測色用画像の情報を当該表示装置に送信する画像情報送信部と、
前記画像情報送信部により送信された前記測色用画像の情報を基に前記表示装置に表示された画像の色情報を取得する色情報取得部と、
前記色情報取得部により取得された色情報に基づいて、前記第3の測色用画像を前記表示装置に表示したときに取得された色情報が基準範囲内であるか否かで当該表示装置の階調特性の良否を判定する階調特性判定部と、
前記階調特性判定部が、前記第3の測色用画像を前記表示装置に表示したときに取得された色情報が基準範囲内にはないと判定した場合に、前記表示装置で表示する画像の色調整の設定をハードウェア調整で変更する旨の指示を出力する変更指示出力部と、
前記階調特性判定部が前記第3の測色用画像を前記表示装置に表示したときに取得された色情報が基準範囲内であると判定した場合に、前記色情報取得部により取得された色情報に基づいて当該表示装置で表示する画像の色調整の設定をソフトウェア調整で変更するための変換関係を作成する変換関係作成部と、
を備えることを特徴とする画像処理装置。
【発明を実施するための形態】
【0014】
<画像表示システムの全体構成の説明>
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
図1は、本実施の形態の画像表示システム10の構成例を示す図である。
この画像表示システム10は、ネットワークNに接続され、表示のための画像情報(入力画像データ)の作成等を行う表示用PC(Personal Computer)11と、表示画面121に画像を表示する表示装置12と、表示用PC11から入力されてくる入力画像データに色変換テーブル(変換関係)を用いて色変換処理を行い、得られた画像データ(表示用の出力画像データ)を表示装置12に出力する色変換手段の一例としての色処理装置13とを備えている。なお、画像表示システム10は、ネットワークNを介して、別の画像表示システムや各種プリンタ等と接続されている。
【0015】
この画像表示システム10において、表示用PC11および色処理装置13はDVI(Digital Visual Interface)を介して接続されており、色処理装置13および表示装置12もDVIを介して接続されている。なお、DVIに代えて、HDMI(High-Definition Multimedia Interface:登録商標)やDisplayPortを介して接続するようにしてもかまわない。
【0016】
表示用PC11は、所謂汎用のパーソナルコンピュータである。そして、表示用PC11は、OSによる管理下において、各種アプリケーションソフトウェアを動作させることで、入力画像データの作成等が行われるようになっている。
【0017】
また、表示装置12は、例えばPC用の液晶ディスプレイ、液晶テレビあるいはプロジェクタなど、加法混色にて画像を表示する機能を備えたもので構成される。したがって、表示装置12における表示方式は、液晶方式に限定されるものではない。なお、
図1に示す例では、表示装置12内に表示画面121が設けられているが、表示装置12として例えばプロジェクタを用いる場合、表示画面121は、表示装置12の外部に設けられたスクリーン等となる。
【0018】
色処理装置13は、出力画像データ作成部131と、色変換テーブル記憶部132とを備えている。
【0019】
出力画像データ作成部131は、表示用PC11から入力されてくる入力画像データに対し、色変換テーブル記憶部132から読み出した色変換テーブルを用いて色変換を施し、得られた表示用の出力画像データを表示装置12に出力する。
【0020】
色変換テーブル記憶部132は、上述した出力画像データ作成部131による表示用の出力画像データの作成において用いられる色変換テーブルを記憶する。ここで、色変換テーブルとしては、例えば変換用の行列(マトリックス)、1次元LUT(Look Up Table)あるいは多次元LUT等が挙げられるが、本実施の形態では、色変換をより精度良く行うために多次元LUTが用いられる。なお、色変換テーブル記憶部132は、読み書き可能であって電源を供給しなくても記憶内容を保持することが可能な不揮発性メモリ(例えばフラッシュメモリ)で構成される。
【0021】
ここで、
図1に示す画像表示システム10は、1台の表示用PC11に1台の色処理装置13を介して1台の表示装置12を接続する場合を例示しているが、これに限られるものではない。例えば、1台の色処理装置13に複数台の表示装置12を接続し、各表示装置12に連続した異なる画像を表示する、所謂マルチモニタ構成とすることも可能である。
【0022】
さて、本実施の形態の画像表示システム10では、表示用PC11ではなく色処理装置13が、入力画像データに色変換処理を施すことで表示用の出力画像データを作成する。ここで、色処理装置13における色変換処理で用いられる色変換テーブルは、例えば表示装置12のデバイス特性と、ネットワークNを介して接続される他の画像表示システムやプリンタ等のデバイス特性とを加味し、
図1に示す画像表示システム10および他の画像表示システムやプリンタ等での色表現を合致させるように、その作成が行われる。そして、画像表示システム10では、画像表示システム10に後述する色設定システムを外付けした状態で、表示装置12のデバイス特性を加味した色変換テーブルの作成が実行される。
【0023】
次に色処理装置13で用いられる色変換テーブルの作成において、画像表示システム10に取り付けられる色設定システムについて説明を行う。
図2は、
図1に示す画像表示システム10に色設定システム20を取り付けた状態を説明するための図である。
【0024】
本実施の形態の色設定システム20は、画像表示システム10の色処理装置13に接続される設定用PC21と、設定用PC21に接続されるとともに画像表示システム10の表示装置12における表示画面121に表示された画像の色を測定する測色器22とを備えている。
【0025】
この色設定システム20において、設定用PC21および測色器22は、USB(Universal Serial Bus)あるいはRS−232Cを介して接続されている。また、色設定システム20における設定用PC21と画像表示システム10における色処理装置13とは、USBを介して接続されている。
【0026】
色設定システム20において、設定用PC21は、詳しくは後述するが所謂汎用のパーソナルコンピュータであり、例えば可搬性に優れたノート型PC等が用いられる。そして、設定用PC21も、OSによる管理下において、各種アプリケーションソフトウェアを動作させるようになっている。
【0027】
また、測色器22は、画像表示システム10の表示装置12に設けられた表示画面121に接触あるいは非接触に配置されることで、表示画面121に表示される画像の色を測定するセンサを備えている。この例において、測色器22に設けられたセンサによる測定領域の大きさは、表示画面121の大きさ以下となるように設定されている。そして、測色器22は、表示画面121の全領域について測色を行うのではなく、全領域のうち予め決められた一部領域について測色を行うように構成されている。
【0028】
ここで、
図2に示す色設定システム20は、1台の設定用PC21に1台の測色器22を接続する場合を例示しているが、これに限られるものではない。例えば、1台の設定用PC21に複数台の測色器22を接続するように構成することも可能である。
【0029】
本実施の形態では、色設定システム20に設けられた設定用PC21が、色変換テーブルを作成し、画像表示システム10の色処理装置13に設けられた色変換テーブル記憶部132に対し、色変換テーブルを書き込むことが可能となっている。本実施の形態において、この設定用PC21は、色処理装置13で用いられる色変換テーブルを作成する変換関係作成手段(画像処理装置)として捉えることができる。
【0030】
そして、本実施の形態の画像表示システム10は、通常は、色設定システム20が取り付けられていない状態で、表示用PC11が作成した入力画像データを、色処理装置13にて色変換することで得られた表示用の出力画像データに基づく画像(表示用画像)を、表示装置12の表示画面121に表示するようになっている。一方、この画像表示システム10は、色変換テーブルの作成あるいは変更等を実行する際に、色設定システム20が取り付けられた状態で、設定用PC21が選択した測色用画像(色パッチ)を、表示装置12の表示画面121に表示するようになっている。
【0031】
以上説明したように、表示装置12の色変換処理を行うために用いられる色変換テーブルを作成するためには、測色用画像を表示装置12の表示画面121に表示する。そして表示された測色用画像を測色器22を用いて測定し、測色器22により出力された色データに基づき、設定用PC21が色変換テーブルを作成する。この色変換テーブルは、色処理装置13において、色変換テーブル記憶部132に記憶され、出力画像データ作成部131で色変換を行なうことにより色調整を行なうことができる。このように色変換テーブルを用いて行なう色調整を、本実施の形態では、以後、「ソフトウェア調整」と言うことがある。
【0032】
一方、表示装置12には、通常は色調整を行なう機能が備えられている。つまりこの色調整機能を使用することで、表示装置12単独でも色調整を行なうことが可能である。これは、例えばユーザが、表示装置12に備えられた「Menu」ボタンを押し、表示装置12の表示画面121に表示される色調整のための項目を選択し、項目毎に表示装置12に備えられた「+(プラス)」ボタンや「−(マイナス)」ボタンを操作することにより行なうことができる。この色調整のための項目は、例えば、「輝度」、「コントラスト」、「ゲイン」、「オフセット」、「色温度」、「プリセットモード」などである。このように表示装置12にて行なう色調整を、本実施の形態では、以後、「ハードウェア調整」と言うことがある。
【0033】
このハードウェア調整を行なう際に、色調整を行なう目的によって、ユーザは、色調整のための項目の選択を行なう必要がある。例えば、表示装置12の輝度を調整したいときは、上記項目の中で「輝度」を選択することで調整を行なうことができるが、「コントラスト」を選択することでも調整することもできる。また色温度を調整したいときは、上記項目の中で「色温度」を選択することで調整を行なうことができるが、「ゲイン」を選択することでも調整することもできる。
【0034】
ここでハードウェア調整では、色調整後の階調特性に対する影響が比較的小さい利点を有するが、設定可能範囲が狭いとともに細かい色調整が困難であるという欠点を有する。
ただし、階調特性については、R(赤色)、G(緑色)、B(青色)の各色の入力値が0付近および最大値(例えば、8bit(256階調)の場合は、255)付近では、階調特性が悪化することがある。
【0035】
図3(a)〜(b)は、ハードウェア調整により色調整を行なったときの階調特性の変化について示した図である。
図3(a)〜(b)において、横軸は、入力値であり、本実施の形態の場合、0〜255の整数値を採る。また縦軸は、出力値であり、実際に表示装置12の表示画面121に表示される画像の明るさを最大値を1として規格化したものである。
【0036】
ここで
図3(a)は、ハードウェア調整により色調整を行なう前のR(赤色)、G(緑色)、B(青色)の各色の階調特性を例示している。図示するようにこの場合、R(赤色)、G(緑色)、B(青色)の各色の階調特性はほぼ同様であることを示している。この階調特性を、例えば、γ(ガンマ)値を用いて表わした場合、例えばγ=2.2となる。
【0037】
また
図3(b)では、ハードウェア調整として、色温度、輝度、コントラストのそれぞれについて「上げる」設定を行なった場合と、「下げる」設定を行なった場合とで、R(赤色)、G(緑色)、B(青色)の各色の階調特性がどのように変更されるかを示した図である。なお上述の通り、色温度を調整する場合に、色調整のための項目の中で「色温度」を選択するとは限らない。またこれについては、輝度、コントラストについても同様である。
【0038】
図3(b)において、まず色温度の場合について説明すると、色温度を上げる設定をしたとき、B(青色)の階調特性は、ほぼ変化しないが、R(赤色)、G(緑色)の階調カーブは、B(青色)より図中下側に移動する。つまりR(赤色)、G(緑色)の階調特性を、例えば、γ(ガンマ)値として表わした場合、γ<2.2となる。
対して色温度を下げる設定をしたとき、逆にR(赤色)、G(緑色)の階調特性は、ほぼ変化しないが、B(青色)の階調カーブは、R(赤色)、G(緑色)より図中下側に移動する。つまりB(青色)の階調特性を、例えば、γ(ガンマ)値として表わした場合、γ<2.2となる。
このように階調カーブが下側に移動すると、入力値が小さい領域で、出力値の階調数が実質的に減少する。これにより入力値が小さい領域で、表示される画像についていわゆる階調つぶれが生じやすくなる。
【0039】
次に輝度の場合は、輝度を上げる設定をしたとき、R(赤色)、G(緑色)、B(青色)の階調カーブは、一様に図中上側に移動する。ただし、上限が存在するため、入力値が大きい領域で、表示される画像の明るさが上限に固定される。この場合、いわゆるハイライトとびが生じやすくなる。
対して、輝度を下げる設定をしたとき、R(赤色)、G(緑色)、B(青色)の階調カーブは、一様に図中下側に移動する。この場合、入力値が小さい領域で表示される画像の明るさがほぼ0となり、いわゆる黒つぶれが生じやすくなる。
【0040】
次にコントラストの場合は、コントラストを上げる設定をした場合、R(赤色)、G(緑色)、B(青色)の階調カーブは、入力値が小さい領域で、一様に図中上側に移動する。この場合、入力値が0付近の場合でも表示される画像は、一定の明るさを有するため、黒色の画像が表示しにくく、いわゆる黒浮きが生じやすくなる。
対して、コントラストを下げる設定をした場合、R(赤色)、G(緑色)、B(青色)の階調カーブは、入力値が小さい領域で、一様に図中下側に移動するとともに、入力値が大きい領域で、一様に図中上側に移動する。この場合、入力値が小さい領域で表示される画像の明るさがほぼ0となり、いわゆる黒つぶれが生じやすくなる。さらに入力値が大きい領域で、表示される画像の明るさが上限に固定され、いわゆるハイライトとびが生じやすくなる。
【0041】
このようにハードウェア調整では、R(赤色)、G(緑色)、B(青色)の各色の入力値が0付近および最大値(この場合は255)付近で、階調特性が悪化することがある。
【0042】
対して、ソフトウェア調整では、設定可能範囲が広いとともに細かい色調整が可能である。さらに設定変更が容易であるという利点もある。一方、白色の輝度を上げることはできず、階調特性に対する影響が大きくなりやすい。そのため表示される画像の階調数が減少することがある。
【0043】
図4(a)〜(b)は、ソフトウェア調整により色調整を行なったときの階調特性の変化について示した図である。
ここで
図4(a)は、ソフトウェア調整により色調整を行なう前のR(赤色)、G(緑色)、B(青色)の各色の階調特性を例示しており、
図3(a)と同様である。
【0044】
また
図4(b)は、ソフトウェア調整により輝度を下げる調整を行なったときの階調特性の変化について示した図である。
図示するようにR(赤色)、G(緑色)、B(青色)の階調カーブは、一様に図中下側に移動する。ただしソフトウェア調整では、出力値の最大値も下げることになる。そのため表示される画像の階調数が実質的に減少する。階調数の減少はソフトウェア調整による補正幅が大きいほど大きくなる。
このように表示される画像の階調数が減少すると、画像に階調の段差が生じているように見えたり、ハイライトとびや黒つぶれが生じやすくなる。
【0045】
以上説明したようにハードウェア調整およびソフトウェア調整には、それぞれに利点および欠点がある。よって表示装置12の色調整をより高い精度で行なうには、ハードウェア調整およびソフトウェア調整のそれぞれについて適切な調整を行なうことが求められる。
【0046】
ここでハードウェア調整では、上述したように、R(赤色)、G(緑色)、B(青色)の各色の入力値が0付近および最大値付近で、階調特性が悪化しやすい点が特に問題になる。そこで本実施の形態では、色変換テーブルを作成するための測色用画像(以後、「ソフトウェア調整用測色用画像」と言うことがある。)とは別に、表示装置12の階調特性を把握するための測色用画像(以後、「ハードウェア調整用測色用画像」と言うことがある。)を用意し、これを表示装置12に表示させる。そしてハードウェア調整を行なった後に、このハードウェア調整用測色用画像を測色器22で測定し、その色データに基づき表示装置12の階調特性が許容範囲内であるか否かを判定する。その結果、階調特性が許容範囲外であったときは、表示装置12のハードウェア調整を再度行う。そして許容範囲内であることを確認後にソフトウェア調整を行なう。即ち、ソフトウェア調整用測色用画像を表示装置12に表示させ、このソフトウェア調整用測色用画像を測色器22で測定する。そしてその色データに基づき色変換テーブルを作成する。さらにこの色変換テーブルを用いて表示装置12の色調整を行なう。
以下、この事項についてさらに詳しく説明を行なう。
【0047】
<設定用PCのハードウェア構成例>
本実施の形態において、階調特性が許容範囲内であるか否かを判定するのは、設定用PC21である。
図5は、設定用PC21のハードウェア構成を示した図である。
設定用PC21は、上述したようにパーソナルコンピュータ等により実現される。そして図示するように、設定用PC21は、演算手段であるCPU(Central Processing Unit)41と、記憶手段であるメインメモリ42、およびHDD(Hard Disk Drive)43とを備える。ここで、CPU41は、OS(Operating System)やアプリケーションソフトウェア等の各種プログラムを実行する。また、メインメモリ42は、各種プログラムやその実行に用いるデータ等を記憶する記憶領域であり、HDD43は、各種プログラムに対する入力データや各種プログラムからの出力データ等を記憶する記憶領域である。
【0048】
さらに、設定用PC21は、外部との通信を行うための通信インターフェース(以下、「通信I/F」と表記する)44と、ビデオメモリやディスプレイ等からなり、画像を表示するモニタ45と、キーボードやマウス等の入力デバイス46とを備える。
【0049】
<設定用PCの機能構成例>
図6は、本実施の形態の設定用PC21の機能構成例を説明した図である。
図示した設定用PC21は、測色用画像の選択を行なう画像選択部211と、測色用画像の画像データを記憶する画像データ記憶部212と、測色用画像の画像データを表示装置12に送信する画像データ送信部213と、測色器22により出力された色データを取得する色データ取得部214と、表示装置12の階調特性が許容範囲内であるか否かを判定する階調特性判定部215と、表示装置12の階調特性が許容範囲内でない場合に表示装置12のハードウェア調整の設定を変更する旨の指示を出力する変更指示出力部216と、表示装置12の色変換処理を行うために用いられる色変換テーブルを作成する色変換テーブル作成部217とを備える。
【0050】
画像選択部211は、表示装置12で表示する測色用画像を選択する。この測色用画像の画像データは、画像データ記憶部212に記憶されており、画像選択部211は、選択した測色用画像の画像データを画像データ記憶部212から取得し、画像データ送信部213に送出する。
【0051】
上述したように、画像選択部211において選択が行なわれ得る測色用画像は、主に2種類存在する。一方は、色変換テーブル作成部217で色変換テーブルを作成するために使用するソフトウェア調整用測色用画像であり、他方は、表示装置12の階調特性を測定するためのハードウェア調整用測色用画像である。
【0052】
画像データ送信部213は、画像情報送信部の一例であり、表示装置の色調整を行うための測色用画像の情報(画像データ)を表示装置12に送信する。
【0053】
表示装置12では、画像データ送信部213により送信された測色用画像の画像データを基に測色用画像が順に表示される。表示装置12に表示されたこれらの測色用画像は、測色器22によりその色が読み取られる。そして測色器22は、これらの測色用画像を読み取ることで取得した色情報(色データ)を設定用PC21に対し、送信する。このとき測色器22が出力する色データは、例えば、XYZ色空間におけるX値、Y値、Z値である。あるいは例えば、L
*a
*b
*色空間におけるL
*値、a
*値、b
*値となる。
【0054】
色データ取得部214は、色情報取得部の一例であり、測色器22により送信された測色用画像の色データを取得する。色データは、この色データがソフトウェア調整用測色用画像に基づき取得されたものであった場合は、色変換テーブル作成部217に送られ、ハードウェア調整用測色用画像に基づき取得されたものであった場合は、階調特性判定部215に送られる。
【0055】
階調特性判定部215は、色データ取得部214により取得された色データに基づいて表示装置12にて行なう色調整(ハードウェア調整)の設定が予め定められた階調特性を満たすか否かを判定する。この判定の具体的な方法は後述する。
【0056】
変更指示出力部216は、階調特性判定部215が表示装置12にて行なう色調整(ハードウェア調整)の設定が予め定められた階調特性を満たさないと判定した場合に、表示装置12にて行なう色調整(ハードウェア調整)の設定を変更する旨の指示(変更指示)を出力する。
この変更指示は、例えば、ユーザに対し表示装置12の階調特性が許容範囲内ではないことを知らせる警告、およびユーザにハードウェア調整を行なう必要があることを知らせるものであり、例えば、表示装置12の表示画面121に表示される。また設定用PC21のモニタ45(
図5参照)に表示してもよい。
【0057】
色変換テーブル作成部217は、ソフトウェア調整用測色用画像に基づき色データ取得部214により取得された色データに基づいて表示装置12にて表示する画像の色の色変換テーブルを作成する。
【0058】
<階調特性判定部における判定の方法の説明>
次に階調特性判定部215において行なわれる表示装置12の階調特性の判定の方法について説明を行なう。
本実施の形態では、表示装置12の階調特性を把握するために、ハードウェア調整用測色用画像として少なくとも3種類の画像を用意する。具体的には、ハードウェア調整用測色用画像は、表示装置12において使用される基準色の少なくとも1つの階調値が最大階調値であり他の基準色の階調値が0を採る第1の測色用画像と、基準色の階調値が全て0となる第2の測色用画像と、第1の測色用画像および第2の測色用画像の間の階調値であって第1の測色用画像または第2の測色用画像の階調値に近い階調値を採る第3の測色用画像の3種類を少なくとも含む。
【0059】
ここで基準色とは、表示装置12で画像を表示するために使用される色であり、この場合、R(赤色)、G(緑色)、B(青色)の3色である。
そして第1の測色用画像は、これらの色の組み合わせからなる飽和色であり、階調値が8bit(256階調)で表わされる場合、R(赤色)、G(緑色)、B(青色)の少なくとも1つの階調値が255であり、他の色の階調値は、0となる。
【0060】
具体例を挙げると、例えば、白色を表わす(R、G、B)=(255、255、255)は、第1の測色用画像として用いることができる。また、R(赤色)単色の飽和色である(R、G、B)=(255、0、0)、G(緑色)単色の飽和色である(R、G、B)=(0、255、0)、B(青色)単色の飽和色である(R、G、B)=(0、0、255)も、第1の測色用画像として用いることができる。さらに2色の階調値が255で、他の1色の階調値が0である(R、G、B)=(255、255、0)のような場合であってもよい。
【0061】
第2の測色用画像は、基準色の階調値が全て0であるため、(R、G、B)=(0、0、0)となり、黒色の画像となる。
【0062】
第3の測色用画像は、第1の測色用画像に対し中間色となる。より具体的には、第1の測色用画像の階調値が255の色は、0と255の間の中間の階調値を採り、第1の測色用画像の階調値が0の色は、0の階調値を採る。さらに中間の階調値は、0または255に近い値となる。
【0063】
具体例を挙げると、第1の測色用画像が白色を表わす(R、G、B)=(255、255、255)であった場合は、第3の測色用画像は、例えば、(R、G、B)=(240、240、240)や(R、G、B)=(32、32、32)となり、グレー色の画像となる。また、第1の測色用画像がR(赤色)単色の飽和色である(R、G、B)=(255、0、0)であった場合は、第3の測色用画像は、例えば、(R、G、B)=(240、0、0)や(R、G、B)=(32、0、0)となる。
【0064】
図7は、表示装置12の階調特性を判定する方法について説明した第1の例である。
図中横軸は、入力値としてのR、G、Bの階調値であり、縦軸は、出力値である。
本実施の形態では、第1の測色用画像として、白色を表わす(R、G、B)=(255、255、255)のものを使用する。そして第2の測色用画像は、上述のように黒色を表わす(R、G、B)=(0、0、0)のものを使用する。また図では表示装置12の階調特性として、ハードウェア調整前の階調カーブとハードウェア調整後の階調カーブを示している。
【0065】
このとき本実施の形態では、第3の測色用画像として、例えば、(R、G、B)=(240、240、240)のものを使用したときの第1の基準値K1を設定する。そして(R、G、B)=(240、240、240)のときに、この第1の基準値K1よりも色データが小さいときには、この領域において階調特性は、良好であり、許容範囲内であると判定する。また同様に第3の測色用画像として、例えば、(R、G、B)=(32、32、32)のものを使用したときの第2の基準値K2を設定する。そして(R、G、B)=(32、32、32)のときに、この第2の基準値K2よりも色データが大きいときには、この領域において階調特性は、良好であり、許容範囲内であると判定する。
【0066】
即ち、ハードウェア調整では、上述したように、R(赤色)、G(緑色)、B(青色)の各色の入力値が0付近および最大値付近で、階調特性が悪化しやすい。そのため本実施の形態では、第3の測色用画像としてこの箇所に対応するものを設け、この第3の測色用画像を測定したときの色データと第1の基準値K1および第2の基準値K2とを比較する。そしてこれにより表示装置12の階調特性が許容範囲内であるか否かを判定することができる。
【0067】
この方法により
図3(b)で例示したハイライトとびや、黒つぶれが生じているか否かの判断ができる。つまり第3の測色用画像として、例えば、(R、G、B)=(240、240、240)のものを使用したときの色データが、第1の基準値K1以上だったときは、ハイライトとびが生じている。また第3の測色用画像として、例えば、(R、G、B)=(32、32、32)のものを使用したときの色データが、第2の基準値K2以下であったときは、黒つぶれが生じている。
なお黒浮きが生じているか否かは、第2の測色用画像を測定したときの色データから判定が可能である。即ちこのときの出力値が、0からどの程度上昇しているかどうかを見ることで判定を行なうことができる。
【0068】
図8は、表示装置12の階調特性を判定する方法について説明した第2の例である。
本実施の形態で使用する第1の測色用画像、第2の測色用画像、第3の測色用画像については、
図7で説明した場合と同様である。本実施の形態では、表示装置12の階調特性が入るべき範囲として範囲Kを指定する。そして第3の測色用画像を測定したときの色データが範囲Kに入っているか否かで、表示装置12の階調特性が許容範囲内であるか否かを判定する。
図8の場合は、範囲Kの例として、階調カーブが、1.8≦γ≦2.6の範囲を指定し、第3の測色用画像を測定したときの色データがこの範囲内にあるかどうかで表示装置12の階調特性が許容範囲内であるか否かを判定する。
【0069】
図9は、表示装置12の階調特性を判定する方法について説明した第3の例である。
本実施の形態で使用する第1の測色用画像、第2の測色用画像は、
図7で説明した場合と同様であるが、第3の測色用画像の階調値として、(R、G、B)=(240、240、240)のものの他にさらに階調値を減少させたものを選択する。例えば、第3の測色用画像として、(R、G、B)=(224、224、224)のものをさらに選択する。そして第3の測色用画像の階調値として、(R、G、B)=(32、32、32)のものの他に階調値を増加させたものを選択する。例えば、第3の測色用画像として、(R、G、B)=(64、64、64)のものをさらに選択する。そしてこれらの第3の測色用画像を測定したときの色データを順次取得する。
【0070】
そしてそれぞれの第3の測色用画像を測定したときの色データと第1の基準値K1および第2の基準値K2とを比較する。
これにより第1の基準値K1や第2の基準値K2を満たす階調値として、どの程度の入力値を選択すればよいのかがわかる。そしてこれによりハードウェア調整前とードウェア調整後について表示装置12の階調特性が、よい方向に調整されたのか、逆に悪い方向に調整されたのかを判断できる。例えば、ハードウェア調整前においては、入力値が、(R、G、B)=(240、240、240)の場合について、色データが第1の基準値K1を満たさなかったが、(R、G、B)=(224、224、224)の場合については、第1の基準値K1を満たしていたとする。このときハードウェア調整後において、両方の入力値について、第1の基準値K1を満たすものとなったときは、表示装置12の階調特性は、よい方向に調整されたと判断することができる。一方、両方の入力値について、第1の基準値K1を満たさなくなったとすると、表示装置12の階調特性は、悪い方向に調整されたと判断することができる。
【0071】
なお上述した例では、説明をわかりやすくするため、第3の測色用画像として、(R、G、B)=(240、240、240)や(R、G、B)=(32、32、32)の他に1つずつ選択を行なったが、2つ以上選択してもよいことはもちろんである。例えば、第3の測色用画像として、他に例えば、(R、G、B)=(192、192、192)や(R、G、B)=(96、96、96)のものを選択することができる。
【0072】
図10は、表示装置12の階調特性を判定する方法について説明した第4の例である。
本実施の形態では、表示装置12の輝度に応じて、第3の測色用画像の階調値を変更する。ここで使用する輝度は、表示装置12にて白色画像を表示させたときの輝度であり、予め測定を行なうことで取得することができる。ここでは表示装置12の輝度が大きい場合は、第3の測色用画像の階調値が255に近い方のものについては、より小さくし、第3の測色用画像の階調値が0に近い方のものについては、より大きく設定する。また表示装置12の輝度が小さい場合は、第3の測色用画像の階調値が255に近い方のものについては、より大きくし、第3の測色用画像の階調値が0に近い方のものについては、より小さく設定する。これは、階調特性判定部215は、表示装置12にて行なう色調整の設定が予め定められた階調特性を満たすか否かを判定する基準を、表示装置12にて白色画像を表示させたときの輝度に応じて変更する、と言い換えることもできる。
【0073】
具体的には、表示装置12の輝度が大きい場合は、例えば、第3の測色用画像の階調値を(R、G、B)=(192、192、192)および(R、G、B)=(96、96、96)とする。また表示装置12の輝度が中程度である場合は、例えば、第3の測色用画像の階調値を(R、G、B)=(224、224、224)および(R、G、B)=(64、64、64)とする。さらに表示装置12の輝度が小さい場合は、例えば、第3の測色用画像の階調値を(R、G、B)=(240、240、240)および(R、G、B)=(32、32、32)とする。
【0074】
以上のように第3の測色用画像を選択する場合、表示装置12の輝度が大きいほど、表示装置12に要求される階調特性の基準が緩やかになり、表示装置12の輝度が小さいほど、要求される階調特性の基準が厳しくなる。表示装置12の輝度が大きい場合、上述したハイライトとびや黒つぶれが顕在化しにくく、そのため表示装置12に要求される階調特性の基準はより緩やかでよい。逆に表示装置12の輝度が小さい場合、ハイライトとびや黒つぶれが顕在化しやすく、そのため表示装置12に要求される階調特性の基準をより厳しくする必要がある。
【0075】
図11は、表示装置12の階調特性を判定する方法について説明した第5の例である。
上述した例では、第1の測色用画像として、白色を表わす(R、G、B)=(255、255、255)を使用したが、本実施の形態では、第1の測色用画像として、R(赤色)、G(緑色)、B(青色)のそれぞれの基準色単色の(R、G、B)=(255、0、0)、(R、G、B)=(0、255、0)、(R、G、B)=(0、0、255)を使用する。そのため第3の測色用画像としては、(R、G、B)=(255、0、0)に対しては、例えば、(R、G、B)=(240、0、0)や(R、G、B)=(32、0、0)となる。また(R、G、B)=(0、255、0)に対しては、例えば、(R、G、B)=(0、240、0)や(R、G、B)=(0、32、0)となり、(R、G、B)=(0、0、255)に対しては、例えば、(R、G、B)=(0、0、240)や(R、G、B)=(0、0、32)となる。
【0076】
このように本実施の形態では、R(赤色)、G(緑色)、B(青色)のそれぞれについて、第1の測色用画像および第3の測色用画像を選択し、そしてそれぞれの第3の測色用画像を測定したときの色データを基に、これら各色毎の階調特性が許容範囲内であるか否かを判定する。
図11の例では、
図8の場合と同様に表示装置12の階調特性が入るべき範囲として範囲Kを、1.8≦γ≦2.6の範囲で指定し、各色の第3の測色用画像を測定したときの色データがこの範囲内であるかどうかを判定する。
この方法により、R(赤色)、G(緑色)、B(青色)のそれぞれについて、
図3(b)で例示した階調つぶれが生じているか否かの判断ができる。
【0077】
図12(a)〜(b)は、表示装置12の階調特性を判定する方法について説明した第6の例である。
ハードウェア調整を行なったときに、表示装置12の階調特性が許容範囲内である場合が複数通り生じることがある。本実施の形態では、この場合、何れの階調特性を採用するかの判断方法の説明を行なう。
【0078】
図12(a)では、表示装置12の階調特性が入るべき範囲として範囲Kが指定され、表示装置12の色温度および輝度を調整するハードウェア調整の結果、この範囲Kに入る階調特性として、設定Aと設定Bとがあることを示している。なお
図12(a)では、基準階調として、γ=2.2の階調カーブも併せて図示している。
【0079】
そして
図12(b)では、設定Aと設定Bとで色温度が、それぞれ5500Kと6000Kとなり、目標色温度6500Kに対する差分である色温度差分がそれぞれ1000Kと500Kであったことを示している。さらに
図12(b)では、設定Aと設定Bのそれぞれの階調カーブと基準階調との差分である階調差分が、それぞれ0.2と0.4であったことを示している。
【0080】
このとき色温度差分および階調差分について、それぞれ色温度ウエイトおよび階調ウエイトを設定する。そして色温度差分に対し色温度ウエイトを乗算するとともに階調差分に対し階調ウエイトを乗算した結果を、それぞれ色温度スコアおよび階調スコアとして算出する。
図12(b)の例では、色温度ウエイトは、1/100であり、階調ウエイトは、100と設定されている。その結果、設定Aの色温度スコアは10、階調スコアは20となる。また設定Bの色温度スコアは5、階調スコアは40となる。
【0081】
そして色温度スコアと階調スコアの合計を合計スコアとし、この合計スコアが小さい方の設定を採用する。
図12(b)の例では、設定Aの合計スコアは、30であり、設定Bの合計スコアは、45となるため、設定Aを採用することに決定する。
なおこの例では、階調ウエイトを大きく設定し、色温度よりも階調特性を重視した選択を行なっている。ただし、色温度ウエイトおよび階調ウエイトを調整することで、何れを重視するかについて容易に変更が可能である。
【0082】
以上のように階調特性判定部215は、色データ取得部214により取得された色データに基づいて、第3の測色用画像を表示装置12に表示したときに取得された色データが基準範囲内であるか否かで表示装置12の階調特性の良否を判定する。
そして階調特性判定部215が、第3の測色用画像を表示装置12に表示したときに取得された色データが基準範囲内にはないと判定した場合には、変更指示出力部216が、表示装置12にて行なう色調整の設定を変更する旨の指示を出力する。
また階調特性判定部215が、第3の測色用画像を表示装置12に表示したときに取得された色データが基準範囲内であると判定した場合には、ソフトウェア調整用測色用画像に基づき色データ取得部214により取得された色データに基づいて、色変換テーブル作成部217が、表示装置12で表示する画像の色の色変換テーブルを作成する。
【0083】
<設定用PCの動作の説明>
図13は、設定用PC21の動作の第1の例について説明したフローチャートである。
以下、
図6および
図13を使用して設定用PC21の動作について説明を行なう。
まず画像選択部211が、ハードウェア調整用測色用画像を選択する(ステップ101)。次に画像選択部211は、画像データ記憶部212から該当するハードウェア調整用測色用画像の画像データを取得する(ステップ102)。このハードウェア調整用測色用画像は、上述のように第1の測色用画像、第2の測色用画像、および第3の測色用画像の3種類を含む。
【0084】
次に画像データ送信部213が、画像選択部211で選択されたハードウェア調整用測色用画像の画像データを表示装置12に送信する(ステップ103)。
このハードウェア調整用測色用画像は、表示装置12の表示画面121に表示され、測色器22により色データが取得される。さらに取得された色データは、設定用PC21に送信される。
設定用PC21では、色データ取得部214が、送信された色データを取得する(ステップ104)。これによりまずハードウェア調整前の表示装置12の階調特性が取得できる。
【0085】
次にユーザによりハードウェア調整が行なわれる。そしてユーザによるハードウェア調整後、画像データ送信部213は、ハードウェア調整用測色用画像の画像データを再び表示装置12に送信する(ステップ105)。このハードウェア調整用測色用画像は、表示装置12の表示画面121に再び表示され、測色器22により色データが取得される。そして色データ取得部214が、この色データを取得する(ステップ106)。これによりハードウェア調整後の表示装置12の階調特性が取得される。
【0086】
そして階調特性判定部215は、上述した方法により表示装置12の階調特性が許容範囲内であるか否かを判定する(ステップ107)。このとき階調特性判定部215が、表示装置12の階調特性が許容範囲内でないと判定した場合(ステップ107でNo)、変更指示出力部216は、ハードウェア調整の変更を行なう旨の変更指示を出力する(ステップ108)。この指示は、上述のように表示装置12の表示画面121や、設定用PC21のモニタ45(
図5参照)に表示される。そしてユーザは、この指示に従い、再びハードウェア調整を行う。即ち、ステップ105に戻る。
【0087】
一方、階調特性判定部215が、表示装置12の階調特性が許容範囲内(基準範囲内)であると判定した場合(ステップ107でYes)、画像選択部211が、ソフトウェア調整用測色用画像を選択する。(ステップ109)。そして画像データ記憶部212から該当するソフトウェア調整用測色用画像の画像データを取得する(ステップ110)。
【0088】
次に画像データ送信部213が、画像選択部211で選択されたソフトウェア調整用測色用画像の画像データを表示装置12に送信する(ステップ111)。
このソフトウェア調整用測色用画像は、表示装置12の表示画面121に表示され、測色器22により色データが取得される。さらに色データ取得部214が、この色データを取得する(ステップ112)。
【0089】
そして色データ取得部214が取得した色データに基づき、色変換テーブル作成部217が、表示装置12の色変換処理を行うために用いられる色変換テーブルを作成する(ステップ113)。作成された色変換テーブルのデータは、色変換テーブル作成部217から出力され、色処理装置13の色変換テーブル記憶部132(
図1参照)に格納される。
【0090】
また
図14は、設定用PC21の動作の第2の例について説明したフローチャートである。
ここでは
図6および
図14を使用して設定用PC21の動作について説明を行なう。
図14において、ステップ201〜ステップ204の処理は、
図13のステップ101〜ステップ104の処理と同様であるため、説明を省略する。
【0091】
本実施の形態では、次にユーザによる第1のハードウェア調整が行なわれる。この第1のハードウェア調整は、例えは、表示装置12の輝度の調整である。
【0092】
次のステップ205〜ステップ208の処理は、
図13のステップ105〜ステップ108の処理と同様である。
【0093】
本実施の形態では、階調特性判定部215が、表示装置12の階調特性が許容範囲内であると判定した場合(ステップ207でYes)、ユーザによる第2のハードウェア調整が行なわれる。この第2のハードウェア調整は、例えは、表示装置12の色温度の調整である。
【0094】
またステップ209〜ステップ212の処理は、ステップ205〜ステップ208と同様である。
【0095】
そして本実施の形態では、階調特性判定部215が、再び表示装置12の階調特性が許容範囲内であると判定した場合(ステップ211でYes)、さらにユーザによる第1のハードウェア調整が行なわれる。つまり例えば、表示装置12の輝度の調整がもう一度行なわれる。
【0096】
次のステップ213〜ステップ216の処理は、ステップ205〜ステップ208と同様である。
【0097】
そして階調特性判定部215が、表示装置12の階調特性が許容範囲内であると判定した場合(ステップ215でYes)、ここで画像選択部211が、ソフトウェア調整用測色用画像を選択する(ステップ217)。
【0098】
以後、ステップ218〜ステップ221は、ステップ110〜ステップ113と同様である。
【0099】
図14の例によれば、第1のハードウェア調整と第2のハードウェア調整を行なった後に、再び第1のハードウェア調整を行なう。これによりハードウェア調整をより高精度に行なうことができる。
【0100】
なお以上詳述した例では、第3の測色用画像は、例えば、階調値が(R、G、B)=(240、240、240)や(R、G、B)=(32、32、32)のように2つ以上用意されていたが、これに限られるものではなく、何れか一方でもよい場合もある。例えば、色温度を調整する場合は、階調つぶれは生じうるが、ハイライトとびは生じにくいため、(R、G、B)=(240、240、240)の方を、測定する必要性は少ない。そのため第3の測色用画像として、(R、G、B)=(32、32、32)の方を測定すれば足りる。
【0101】
また以上詳述した例では、ハードウェア調整を行なった後、ソフトウェア調整を行ない、これにより最終的な色変換テーブルを作成していたが、これに限られるものではない。例えば、ハードウェア調整を行なう前と後でそれぞれ仮の色変換テーブルを作成し、そこで実質的な階調減少が生じているか否かを調べてもよい。
【0102】
<色調整システムの説明>
上述した色処理装置13および設定用PC21は、表示装置12で画像を表示するために作成された入力画像データを、予め定められた色変換テーブルを用いて色変換処理を行い表示装置12に出力する色処理装置13と、色処理装置13で用いられる色変換テーブルを作成する設定用PC21と、を備え、設定用PC21は、表示装置12の色調整を行うための測色用画像の画像データを表示装置12に送信する画像データ送信部213と、画像データ送信部213により送信された測色用画像の画像データを基に表示装置12に表示された画像の色データを取得する色データ取得部214と、色データ取得部214により取得された色データに基づいて表示装置12にて行なう色調整の設定が予め定められた階調特性を満たすか否かを判定する階調特性判定部215と、階調特性判定部215が表示装置12にて行なう色調整の設定が予め定められた階調特性を満たさないと判定した場合に、表示装置12にて行なう色調整の設定を変更する旨の指示を出力する変更指示出力部216と、を備えることを特徴とする色調整システムとしても捉えることができる。
また表示装置12をさらに加え、表示装置12、色処理装置13および設定用PC21とで色調整システムを構成すると捉えることもできる。
【0103】
<プログラムの説明>
ここで以上説明を行った本実施の形態における設定用PC21が行なう処理は、上述した通り、例えば、アプリケーションソフトウェア等のプログラムとして用意される。
【0104】
よって設定用PC21が行なう処理は、コンピュータに、表示装置12の色調整を行うための測色用画像の画像データを表示装置12に送信する機能と、送信された測色用画像の画像データを基に表示装置12に表示された画像の色データを取得する機能と、取得された色データに基づいて表示装置12にて行なう色調整の設定が予め定められた階調特性を満たすか否かを判定する機能と、表示装置12にて行なう色調整の設定が予め定められた階調特性を満たさないと判定した場合に、表示装置12にて行なう色調整の設定を変更する旨の指示を出力する機能と、を実現させるプログラムとして捉えることもできる。
【0105】
またこのとき設定用PC21が行なう処理は、表示装置12にて行なう色調整の設定が予め定められた階調特性を満たすと判定した場合に、取得された色データに基づいて表示装置12にて表示する画像の色の色変換テーブルを作成する機能をさらに備えると捉えることもできる。
【0106】
なお、本実施の形態を実現するプログラムは、通信手段により提供することはもちろん、CD−ROM等の記録媒体に格納して提供することも可能である。
【0107】
以上、本実施の形態について説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、種々の変更または改良を加えたものも、本発明の技術的範囲に含まれることは、特許請求の範囲の記載から明らかである。